エポックな日々:646(2026年7月29日〜8月3日)
序章:配分の次に、取り分が来た

予算が決まると、話は終わったように見えます。けれども、ネットワークにとって予算の決定は、仕事の始まりです。誰に、何を、どれだけ配分するかを決めたあとには、支払いを執行し、成果を確かめ、日々の運用を続けなければなりません。そして、その日々を支える人たちが、どのような役割を担い、どのように収入を得るかという問いが残ります。
前回のエポック645を、SIPOは「リーダーシップを、共通の手順へつなぐ」5日間として記録しました。憲法委員会選挙の結果が出たあと、実際の委員会更新へ進む手順が必要になる。国庫提案が批准されたあと、実際の執行と仕事の着手を確認する必要がある。人を選ぶこと、資金を認めること、仕事を始めることは、似ているようで別の段階でした。
エポック646では、その続きを示す出来事が並びました。2026年度予算の残る5件が執行段階へ入りました。その直後、ステークプールの固定費の下限であるminPoolCostを170 ADAから75 ADAへ下げるパラメータ変更提案がオンチェーンへ提出されました。予算という大きな「配分」が動き始めた週に、SPOの「取り分」の床が議題へ上がったのです。
同じ5日間には、国庫を通らず失効した提案が8件ありました。その一つが、BitcoinをCardanoへつなぐBifrostのメインネット移行第1フェーズです。しかし、国庫提案が失効する一方で、FluidTokensはBifrostの設計を説明し続けました。預けられたBTCが動くのは、参加SPOのステーク加重多数が同意したときだけで、橋を動かす専用トークンは発行しない。その設計では、SPOはブロックを生成するだけでなく、別の資産を動かす判断にも加わります。
取り分が下がり得る話と、役割が増え得る話が、同じ週に並びました。どちらか一方だけを見れば、結論は簡単です。固定費の下限を下げる提案は、利用者や委任者にとって競争を促す話に見えます。新しい役割は、SPOにとって収入機会を増やす話に見えます。しかし、下限を下げることが小規模プールの持続可能性をどう変えるのか、新しい役割がどのような責任とリスクを伴うのかを見なければ、同じ「SPOの経済」を半分しか読めません。
エポック646の軸は、「取り分と、役割」です。何を受け取るかと、何を担うか。利用者が払う手数料と、運営者が受け取る収入。国庫を通った仕事と、通らなくても進む設計。この5日間を、Cardanoを動かす責任と報酬が、どのように組み替えられようとしているのかという視点から振り返ります。
第1章:取り分の下限が議題に上がった
エポック646の期間中、「Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)」というパラメータ変更提案がオンチェーンへ提出されました。Action IDはgov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk、投票期限はエポック653です。エポック647のプロトコルパラメータで確認できる現行のminPoolCostは170 ADAであり、75 ADAへの変更はまだ決まっていません。
minPoolCostは、プールがエポック報酬から差し引ける固定費について、プロトコルが許す下限です。ここで最初に分けておきたいのは、下限を75 ADAへ下げることと、すべてのプールの固定費が自動的に75 ADAへ変わることは同じではない、という点です。下限が変われば、各プールが選べる範囲が広がります。しかし、実際にどの値を設定するかは、それぞれの運営方針、費用構造、委任者への説明、競争環境に関わります。
SIPO、SIPO2、SIPO3の現在の固定費は340 ADAです。したがって、この提案はSIPOの固定費を直接変更するものではありません。それでも、SPOとして無関係ではいられません。制度上の下限が下がれば、「どこまで下げられるか」だけでなく、「なぜこの固定費なのか」を、これまで以上に説明する必要が生まれるからです。
小規模プールの参入条件という面では、固定費の下限を下げることで、報酬規模に対して固定費が大きく見える問題を和らげる可能性があります。委任者から見れば、ブロック生成数が少ないプールでも固定費の影響を抑えやすくなり、選択肢を比較しやすくなるかもしれません。ただし、下限を下げれば運営費そのものが下がるわけではありません。サーバー、監視、更新、セキュリティ対応、情報発信に必要な負担は残ります。価格だけで競争すれば、見えにくい保守や緊急対応の余力が削られる可能性もあります。
既存SPOの収入の床という面では、さらに慎重な読み方が必要です。固定費には、ブロックを生成できたエポックにおいて、変動する報酬とは別に運営の基礎を支える役割があります。170 ADAから75 ADAへの変更は、プロトコルが保証する「選択可能な最小値」を下げる提案です。これは競争の余地を広げる一方、固定費を下げる圧力がどのように働くかという問いをSPOへ返します。
そして、この提案にはもう一つ、Plutusのメモリ上限を広げる変更が組み合わされています。SPOの固定費と、スマートコントラクトが使える計算資源は、影響を受ける主体も、評価に必要な証拠も異なります。前者ではプールの持続可能性と委任者の選択が焦点になり、後者ではDAppの実行能力、ノードへの負荷、ベンチマークが焦点になります。一つのActionに入っているからといって、一つの理由だけで判断できるわけではありません。
SIPOの視点では、この提案を「安くなるから賛成」「収入が減るから反対」という二択へ急いで縮めるべきではありません。確認したいのは、小規模プールが継続できる収支、委任者が比較できる情報、ノード負荷の測定、Plutus側の具体的な利用例、そして二つの変更を同時に行う理由です。取り分の下限を変えるなら、何を持続させ、何を広げるための変更なのかが、投票期限までに見える必要があります。
第2章:通らなかった8件を、失効と否決に分けて読む
エポック646では、8件のガバナンスアクションがExpiredになりました。このうち4件はエポック646の期間中に失効し、残る4件は646から647への境界で期限を迎えました。
期間中に失効した4件は、Blockfrostの非営利化、Cardano Enterprise Adoptionのチケット基盤、Cardano Builder DAO、Alchemy by SundialとCharmsによるCardanoネイティブBitcoin国庫プロトコルです。前号で扱ったBlockfrostの提案も、この群に含まれます。
646から647への境界で失効した4件は、Bifrostのメインネット移行第1フェーズ、Cardano DeFiの板情報をつなぐGlobal Order Book、Scalusの2026年保守・Dijkstra対応・相互運用性・アプリケーションランタイム、そしてCardano国庫の純増減上限を扱う情報提案です。最初の3件は財務引出提案、最後の1件はInfo Actionです。
ここで8件を「8件が反対多数で否決された」とまとめるのは正確ではありません。確認できた共通点は、期限までに可決の条件を満たさず、失効したことです。オンチェーン・ガバナンスでは、明示的な反対票だけでなく、必要な賛成閾値へ届かないこと、必要な主体の判断がそろわないこと、期限が来ることが最終状態に影響します。未投票を反対票へ足すことはできません。
この違いは、提案を評価するうえでも重要です。反対票が多く集まった提案であれば、公開された反対理由を読み、設計のどこを変えるべきかを検討できます。一方、賛成条件へ届かないまま期限を迎えた提案では、内容への反対、資金規模への懸念、説明不足、優先順位、投票参加の不足が混ざっている可能性があります。状態だけから原因を一つに決めることはできません。
また、Expiredは提案内容の永久的な禁止を意味しません。同じ課題に対して、範囲、金額、マイルストーン、監督、返還条件を変え、別のActionとして再提出する余地があります。反対に、再提出できるからといって、前の提案で示された懸念を無視してよいわけでもありません。失効は、何も決まらなかった空白ではなく、次の提案が説明すべき論点を残す記録です。
エポック646では、2026年度予算の残る5件がEnactedへ進みました。Mithril Protocolに3,810,423 ADA、MLabsのコアツール保守・強化に1,162,746 ADA、Intersectのガバナンス調整・技術運営に25,400,000 ADA、Intersect Technical Steering Committee支援に1,193,000 ADA、ハードウェアウォレット保守に1,310,960 ADAです。失効した8件の横で、可決済みの仕事は執行段階へ入りました。
同じ「国庫の週」に、執行された仕事と失効した提案が並びました。これは、Cardanoが資金を出したか、出さなかったかという二色の地図ではありません。提案、投票、批准、執行、失効は別の状態です。どの段階にあるのかを正しく呼ぶことが、提案者にも、投票者にも、資金を預けるコミュニティにも公正な記録になります。
第3章:落ちた提案の設計が、前へ進むとき
Bifrostの「Road to Mainnet (Phase 1 of 2)」は、646から647への境界で失効しました。国庫提案としては、期限までに可決条件を満たさなかったということです。しかし、同じ5日間に、FluidTokensはBifrostの設計を続けて説明しました。国庫の時計が止まったとき、設計の時計まで止まるとは限りません。
公開された説明では、Bifrostに預けられたBTCが動くのは、参加するCardano SPOのうち、ステーク加重で多数を占める側が同意したときだけです。また、橋を稼働させるための専用トークンを必要とせず、CardanoのSPOが直接セキュリティを担うとされています。別のトークンを発行し、その価格や保有分布を新しい信頼の中心にするのではなく、すでにCardanoを守っている主体とステーク分布を使う発想です。
ここでSPOの役割は広がります。通常、SPOはノードを維持し、ブロック生成へ参加し、ネットワークの可用性を支えます。Bifrostの設計では、その運用能力と経済的な重みが、Bitcoin側の資産移動を承認する仕組みにも使われます。ブロックを作る役割の外側に、別のチェーンから持ち込まれる資産の安全境界を担う役割が加わるのです。
これはSPOにとって新しい収入源になり得ますが、収入の話だけでは不十分です。BTCの移動へ関与するなら、鍵管理、署名手順、障害時の復旧、参加プールの偏り、アップグレード、監査、責任範囲を明確にしなければなりません。ステーク加重多数という言葉だけでは、参加SPOの数や分布、閾値、少数側の扱い、停止時の手順までは分かりません。設計思想は確認できても、実運用の安全性は参加構成と検証結果を待つ必要があります。
特に重要なのは、「Cardanoのステーク分布」と「Bifrostに参加するSPOのステーク分布」が同じとは限らないことです。参加が一部の大規模プールへ偏れば、Cardano全体では分散していても、橋の判断は集中する可能性があります。逆に、多様な地域、規模、運営主体が参加し、公開された手順で判断するなら、既存のSPO基盤を別の用途へ拡張する意味が出てきます。
国庫提案が失効したあとも、コード、設計文書、テスト、参加者募集、監査を進めることはできます。国庫がなければ進まない部分もあれば、提案者の既存資金、事業収入、協力者によって進められる部分もあります。Bifrostは、その分かれ目を可視化しました。失効したから設計に価値がないとも、設計が進んでいるから国庫判断が不要だったとも言えません。
エポック646で確認できたのは、ガバナンスの結果と開発の継続を分けて記録する必要です。国庫は、ネットワークが共同で資金を出すかを決めます。開発者は、国庫以外の方法でも設計を進められます。SPOは、その設計が実運用へ近づいたとき、参加するか、どの条件を求めるかを判断します。一つの提案の失効は、別の主体の行動まで自動的に終わらせません。
第4章:手数料は、誰の数字か
Input Outputはこの期間、Cardanoの手数料市場に関する設計仕様と動的価格設定の議論を公開し、コミュニティへ意見を求めました。第1章のminPoolCostがSPO報酬の固定部分に関わるのに対し、手数料市場は、取引を使う人、処理を支える人、混雑を制御するネットワークの関係を扱います。
手数料は、利用者にとってはコストです。送金、スワップ、NFT、ガバナンス、スマートコントラクトを使うたびに支払うため、安く、予測しやすいほど使いやすくなります。価格が急に変わったり、必要額が分かりにくかったりすれば、操作の失敗や利用のためらいにつながります。
同じ手数料は、SPOにとって収入の一部です。ブロックを生成し、取引を取り込み、ネットワークを維持する運営者へ分配されます。利用者のコストを下げることだけを考えれば、運営者を支える原資が薄くなる可能性があります。逆に、運営者の収入だけを増やせば、利用者が取引を控え、ネットワークの活動自体が細るかもしれません。
そして手数料は、ネットワークにとって混雑制御の信号でもあります。限られたブロックスペースや計算資源に多くの需要が集まったとき、どの取引をいつ処理し、負荷をどう表すか。固定された一つの価格が分かりやすさを与える一方、需要の変化を価格へ反映しにくい場合があります。動的価格設定は、その調整を試みる考え方ですが、利用者の予測可能性や不公平感との間に新しい設計課題を生みます。
一つの数字に三つの顔があるため、手数料の議論は「高いか、安いか」だけでは終わりません。誰の行動を変えたいのか、混雑時に何を優先するのか、SPOの報酬へどのように反映するのか、ウォレットが利用者へ見積もりをどう示すのかを合わせて考える必要があります。
第1章の提案は、固定費の下限を下げる一方、Plutusのメモリ上限を広げようとしています。より大きなスマートコントラクト処理を許すなら、ネットワーク資源の使い方と価格付けはさらに重要になります。処理能力を広げる話と、その処理を支える報酬の話は、別々のActionや仕様書に見えても、SPOの運用現場では同じ収支と負荷へ戻ってきます。
ここでも、先に結論を置くより、仕様を公開し、利用者、ウォレット開発者、DApp、SPOがそれぞれの立場から検証できることに意味があります。手数料は誰か一人の数字ではありません。使う側と支える側が同じ数字を違う角度から見ているからこそ、設計理由、シミュレーション、混雑時の挙動、移行手順が公開される必要があります。
第5章:選挙結果を、オンチェーンの更新へつなぐ
前号では、2026年の憲法委員会選挙結果を扱いました。選挙で候補者が選ばれても、オンチェーンの委員会構成が自動的に入れ替わるわけではありません。エポック646では、その次の段階となる「Update Constitutional Committee 2026」が提出されました。
Action IDはgov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5、投票期限はエポック653です。第1章のminPoolCost・Plutusメモリ上限変更と同じ期限を持ちます。二つの提案は内容こそ異なりますが、これからの約1か月、同じ投票窓の中で判断されます。
憲法委員会は、ガバナンスアクションがCardano憲法に適合しているかを判断する役割です。そのため、委員会の更新は、単に当選者を名簿へ加える事務作業ではありません。誰が、どの期間、どの閾値のもとで判断し、交代がいつ有効になるかをオンチェーンで確定させる統治行為です。
この順序は、前号の「結果が出たあとに始まる仕事」への具体的な答えです。立候補を受け付け、投票し、監査し、結果を公表し、更新Actionを提出し、オンチェーンで承認する。選挙をイベントで終わらせず、ネットワークの状態へ接続するには、複数の手順が必要です。
同時に、委員会の更新提案そのものも、委員会が扱う他のActionと同じように、公開された情報とルールのもとで検討されます。選ばれた人の知名度だけでなく、選挙結果との対応、任期、閾値、移行時の連続性を確認する必要があります。制度の正当性は、「選挙をした」という事実だけでなく、選挙結果をどの手順で有効な権限へ変えたかに宿ります。
エポック645で語った「リーダーシップを、共通の手順へつなぐ」は、ここでオンチェーンの形を取り始めました。ただし、提出は完了ではありません。エポック653までの投票、憲法適合性の判断、最終状態を追い、選挙結果が実際の委員会構成へ反映されたかを確認する必要があります。
第6章:次の人が使える道具が、次の層へ進んだ
エポック645の第6章では、開発環境、ウォレット、教育を「次の人が使えるもの」としてまとめました。エポック646では、その道具が、取引、テスト、自己管理、コスト計測という別々の層で前へ進みました。
SundaeSwapはv4を発表し、流動性を一つの固定された取引形式だけでなく、複数の用途へ組み合わせられる基盤として再設計する方向を示しました。公開された説明には、注文、流動性管理、ルーティングなどを広げる構想が含まれます。ただし、発表された設計と、本番環境での流動性、価格への影響、監査、利用体験は別の確認点です。期待を性能実績へ置き換えず、公開テストと実装を追う必要があります。
GravityDEXはCardano Preprodで公開テストネットを開始しました。バッチャーへ依存しない構成と、並列UTxOを使ったスワップ処理を掲げています。利用者にとって重要なのは、技術用語そのものより、混雑時にも注文が通りやすいか、待ち時間や失敗が減るか、価格と手数料を理解しやすいかです。テストネットは、その利益を測る入口であり、まだ本番性能の証明ではありません。
Lace 2.2では、LedgerとTrezorを使ったBitcoin対応がブラウザ拡張へ入りました。Cardanoのウォレットが、Cardanoネイティブ資産だけでなくBitcoinを自己管理する導線を広げています。BifrostがBitcoinをCardanoの実行環境へつなぐ設計を示す一方、Laceは利用者が鍵を自分で持つ側の道具を厚くしました。資産を「動かす橋」と「持つ財布」が、同じ週に別の層で進んだことになります。
Scalusでは、スマートコントラクトの実行コストを行単位で確認できるプロファイリングがVS Code上で案内されました。どの行がどれだけ実行資源を使うかを、開発中に見られるようになれば、コスト最適化はデプロイ後の反省ではなく、書いている途中の判断になります。第4章の手数料市場がネットワーク全体の価格付けを議論する一方で、Scalusは作る側が使用量を細かく把握する道具を提供します。
四つの動きに共通するのは、抽象的な能力を、次の人が試せる形へ移していることです。SundaeSwap v4は取引設計、GravityDEXは公開テスト、Lace 2.2は鍵を持つ利用者、Scalusはコードを書く開発者に入口を作りました。道具が公開されると、宣伝文句だけではなく、操作、失敗、負荷、コスト、監査という具体的な証拠が集められるようになります。
エポック646では、役割が増えたのはSPOだけではありません。利用者はテストする人になり、開発者はコストを測る人になり、ウォレットは複数資産の自己管理を支える場所になりました。ネットワークの成熟は、機能の数だけでなく、誰が何を確かめられるようになったかにも現れます。
第7章:エポック646 市場指標・KPI分析
市場の5日間
日次市場データは1日1回の記録です。ここでは2026年7月29日から8月2日までの5行を、そのまま並べます。記録上の最高値は日中高値ではありません。また、週末の株式、債券、為替、商品には前営業日の値を引き継いだ項目があるため、8月2日の行をすべて同時刻の市場価格とは扱いません。
| 日付 | BTC/USD | ETH/USD | ADA/USD | NIGHT/USDT |
|---|---|---|---|---|
| 7/29 | 63,877 | 1,919.31 | 0.162732 | 0.01849135 |
| 7/30 | 63,952 | 1,905.61 | 0.162694 | 0.01810255 |
| 7/31 | 64,907 | 1,929.20 | 0.170450 | 0.01849849 |
| 8/1 | 62,943 | 1,861.53 | 0.168084 | 0.01798566 |
| 8/2 | 62,798 | 1,847.08 | 0.174765 | 0.01846233 |
| 日付 | S&P500 | VIX | 米10年債 | DXY | USD/JPY | 金 | WTI | Brent |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 7/29 | 7,428.7798 | 18.21 | 4.604 | 101.393 | 163.851 | 4,022.5 | 81.57 | 86.09 |
| 7/30 | 7,316.1499 | 20.66 | 4.622 | 100.802 | 163.431 | 4,132.2002 | 84.25 | 90.40 |
| 7/31 | 7,437.6299 | 17.09 | 4.663 | 99.969 | 159.718 | 4,166.7002 | 84.22 | 89.45 |
| 8/1 | 7,489.7202 | 15.99 | 4.745 | 99.803 | 157.4 | 4,098.6001 | 86.80 | 90.12 |
| 8/2 | 7,489.7202 | 15.99 | 4.745 | 99.8 | 157.4 | 4,049.1001 | 84.67 | 90.12 |
5行の記録では、ADAは8月2日の0.174765ドルが最高です。初日の0.162732ドルに対して最終行は0.174765ドルでした。一方、BTCは63,877ドルから62,798ドル、ETHは1,919.31ドルから1,847.08ドル、NIGHTは0.01849135 USDTから0.01846233 USDTです。暗号資産全体が同じ方向へ動いた5日間ではありません。
株式側では、S&P500の最終記録は7,489.7202、VIXは15.99です。ただし週末行は7月31日の市場値を含みます。USD/JPYの記録は7月29日の163.851から8月1日・2日の157.4へ移りました。境界時点の別系列では157.5円です。時刻と系列を混ぜず、日次表と境界値を分けて残します。
エポック646終了境界に最も近い価格記録では、ADA/USDは0.1896ドル、ADA/JPYは29.86円、USD/JPYは157.5円です。時価総額は約71億ドルでした。日次表の最終行より境界値が高いのは、観測時刻が異なるためです。
CardanoオンチェーンKPI
Dune Analytics経由のKPIは、2026年8月1日23時59分19秒UTCが基準です。ステーキング率57.39%、Nakamoto係数164、日次トランザクション15,650、アクティブアドレス9,273、Script Tx比率32.69%でした。前号の確認点に置いたScript Tx比率は33.10%でしたが、今回は32.69%です。動いた事実は記録できますが、原因はこの集計だけでは断定しません。
ステーブルコイン総額は58.65百万ドルです。内訳はUSDCx 40,210,423ドル、USDM 9,609,507ドル、USDA 4,452,383ドル、Djed USD 2,250,086ドル、iUSD 1,510,853ドル、USDC 475,012ドル、MyUSD 68,571ドル、USDT 60,516ドル、DAI 7,984ドル、PYUSD 199ドルでした。
Treasuryは1,473,763,718 ADA。同じ時刻の集計では、ガバナンスアクションは提案中8、批准0、失効64です。この集計は8月1日時点の全体像であり、その後の646から647への境界で失効した4件や、個別Actionの最新状態を置き換えるものではありません。第2章の8件、Daedalus、PRIME、新規2提案は、それぞれ個別記録で状態を分けています。
第9章の境界時点ネットワーク値では、ステーキング率は56.98%です。Duneの57.39%とは、基準時刻と集計経路が異なります。この二つを同じ系列の増減として扱わず、それぞれの基準を明記して残します。
第8章:エポック646 配信記事の紹介
エポック646の期間にSIPO、SITION、LifeMakersから配信した61本のうち、今回の主題と接続するCardano、暗号資産、AI・社会実装の記事を中心に抜粋しました。
| 日付 | 媒体 | 種別 | タイトル | URL |
|---|---|---|---|---|
| 7/29 | @SIPO_Tokyo | Breaking | Cardano、Shelley硬分岐から6年を記念 | 記事 |
| 7/29 | @SIPO_Tokyo | エポックな日々 | リーダーシップを、共通の手順へつなぐ──エポック645 | 記事 |
| 7/29 | @SIPO_Tokyo | Signal | 1億2,000万ADAのPRIME──賛成が先行、可決ラインへ届くか | 記事 |
| 7/30 | @SIPO_Tokyo | Breaking | Catalyst Pilotが2.5M ADAの資金で8月始動へ | 記事 |
| 7/30 | @SIPO_Tokyo | Signal | SecondFi、白帽子救出資産の回収基金への入金を公表 | 記事 |
| 7/30 | @SIPO_Tokyo | Signal | SecondFi、移行ツールを8月、ZKリカバリーツールを9月上旬に予定 | 記事 |
| 7/30 | @SIPO_Tokyo | 解説・全翻訳 | Blockfrost非営利化提案は失効、公共インフラは誰が支えるのか | 記事 |
| 7/30 | @SIPO_Tokyo | Daily Intel | プライバシーは「隠す技術」から、決済前に守る設計へ | 記事 |
| 7/31 | @SIPO_Tokyo | Breaking | Cardano憲法委員会選挙2026の監査結果、4候補が選出 | 記事 |
| 7/31 | @SIPO_Tokyo | Breaking | minPoolCost削減とPlutusメモリ上限拡大の提案を提出 | 記事 |
| 7/31 | @SIPO_Tokyo | Breaking | Lace 2.2がBitcoinサポート追加、Plutus V4開発も進行中 | 記事 |
| 7/31 | @SIPO_Tokyo | Signal | エポック646のオンチェーン集計──取引を動かしたのはDEXが78.0% | 記事 |
| 7/31 | @SIPO_Tokyo | Signal | 3件とも可決ライン67%に届いていません──エポック646の国庫投票 | 記事 |
| 8/1 | @SIPO_Tokyo | Breaking | Cardanoが7モジュールの開発教育プログラムを発表 | 記事 |
| 8/1 | @SIPO_Tokyo | Signal | Dijkstra期の計画と、憲法改正ポータルのアルファ公開 | 記事 |
| 8/1 | @SIPO_Tokyo | Signal | GravityDEX、Cardano Preprodで公開テストネット開始 | 記事 |
| 8/1 | @SIPO_Tokyo | Weekly Brief | 配分は決着し、次は取り分 | 記事 |
| 8/2 | @SIPO_Tokyo | Daily Intel | ビットコインを動かす鍵を、SPOの多数決が握る | 記事 |
| 8/2 | @SIPO_Tokyo | Signal | Catalyst Pilotが8月始動、審査と支払いの設計が変わります | 記事 |
| 8/2 | @SIPO_Tokyo | Deep Dive | SundaeSwap v4発表──DEXはモジュール型の流動性基盤へ | 記事 |
このほか、各媒体はDaily Intel、市場指標、AI、宇宙、暮らしに関する記事を配信しました。表は期間内の全件ではなく、今回の記録と接続するものを抜粋しています。
第9章:エポック646 終了時点 ステーキング動向
エポック646終了時点のSIPO、SIPO2、SIPO3は、3プール合計で有効ステーク105,233,571.57 ADA、ライブステーク105,234,284.64 ADA、委任者2,195名でした。エポック646では合計94ブロックを生成し、終了境界でのLifetimeは46,452ブロックです。
| プール | 有効ステーク | ライブステーク | 委任者 | ep646ブロック | Lifetime |
|---|---|---|---|---|---|
| SIPO | 44,046,730.93 ADA | 44,034,554.67 ADA | 1,143 | 38 | 19,750 |
| SIPO2 | 33,612,467.42 ADA | 33,619,505.39 ADA | 480 | 28 | 14,824 |
| SIPO3 | 27,574,373.22 ADA | 27,580,224.58 ADA | 572 | 28 | 11,878 |
| 3プール合計 | 105,233,571.57 ADA | 105,234,284.64 ADA | 2,195 | 94 | 46,452 |
前エポック比は、ライブステーク+713.07 ADA、有効ステーク+2,427,041.37 ADA、委任者は増減ゼロ、ブロックは+10です。ライブステークの合計は5日間で実質的に横ばいでした。有効ステークが増えているのは、前の境界で確認したライブ側の値が有効側へ反映されたためです。二つは同じ時計ではありません。
プール別では、SIPOのライブステークは-12,176.26 ADA、有効ステークは+1,306,388.91 ADA、ブロックは-2です。SIPO2はライブステーク+7,037.97 ADA、有効ステーク+1,117,291.49 ADA、ブロック+4。SIPO3はライブステーク+5,851.36 ADA、有効ステーク+3,360.97 ADA、ブロック+8です。委任者数は3プールとも変わりませんでした。
前号で確認点に置いた集計基準は、今回も分けて扱いました。ライブステークと委任者は境界のMark値に対応する系列、有効ステークと当該エポックの生成ブロックは有効側の系列です。Lifetimeは、前回終了境界の値へエポック646の確定ブロック数を加え、646終了時点へ固定しています。646開始後の取得値に次エポックのブロックが混ざっていても、終了値へは使いません。
3プールのマージンは3.9%、固定費は340 ADA、保証金は50,000 ADAです。第1章のminPoolCostはプロトコル上の下限であり、SIPO各プールの現在の固定費とは別の数字です。下限変更の提案が審議中でも、現在値が自動的に変わったわけではありません。
ネットワーク全体では、総サプライ約37.7B ADA、総ステーク約21.5B ADA、ステーキング率56.98%、ウォレット5,925,381、ホルダー3,299,944、委任者1,346,985、アクティブプール2,692でした。Protocol Versionは11.0が継続し、646から647への境界でハードフォークはありませんでした。
終章:取り分と役割を、同じ表で見る

前号645の終章で挙げた7件を、一つずつ答え合わせします。
- Daedalusの批准後:646終了時点でも、確認できる状態は
Ratifiedで、Enactedはまだ記録されていません。支払いと保守・改善計画の着手を完了とはせず、次へ持ち越します。 - Blockfrostの失効後:非営利化提案の失効後、公共インフラを誰がどのように支えるかという議論は続きました。一方、見直された新提案や合意済みの再設計は、この期間の確認資料では確定していません。持ち越しです。
- PRIMEの投票状況:120,000,000 ADAのCardano PRIMEは、646終了時点でも
Activeで、期限はエポック649です。前号取得時点の33.26%を最終結果へせず、今回も確定扱いしません。明示的な賛否、No Confidence、未投票、Abstain、憲法委員会の判断を分けた最終記録を待ちます。 - 憲法修正ポータルの次:Intersect Weekly #122ではポータルのアルファ公開が伝えられました。ただし、実際の憲法修正提案が議論、承認手順を通ったところまでは確認できません。入口は具体化しましたが、制度への接続は持ち越しです。
- ガバナンス情報の入口:ガバナンスアクションの案内、日本語記事、日次の要約は増えましたが、東京で挙がった検索、要約、翻訳、議論の場を一体で担う新しい仕組みが確定したとは言えません。これも持ち越します。
- Script Tx比率:前号の33.10%に対し、2026年8月1日23時59分19秒UTC基準の最新値は32.69%でした。値が動いたことは確認できましたが、原因は断定せず、次の記録へつなぎます。
- ライブと有効ステークの集計基準:今回はMark側のライブステークと有効ステークを分け、同じ定義の前エポック比を使いました。3プール合計はライブ105,234,284.64 ADA、有効105,233,571.57 ADAです。集計基準を分ける作法は継続できました。
7件には、確認できたもの、まだActiveなもの、次へ持ち越すものが混ざっています。Daedalusは批准済みでも未執行、PRIMEは投票中、Script Txとステーキング集計は新しい値を記録できました。連載の背骨は、すべてへ同じ種類の答えを出すことではありません。状態の違いを消さず、どこまで確認できたかを次の号へ渡すことです。
そのうえで、エポック647で確認すべきものを挙げます。
- minPoolCostとPlutusメモリ上限:170 ADAから75 ADAへの下限変更とメモリ上限拡大を分け、SPO、委任者、DApp、ノード負荷の根拠がどう示されるかを追う。
- 憲法委員会更新Action:2026年選挙結果とオンチェーン更新の対応、任期、閾値、投票状況を確認する。
- Cardano PRIME:エポック649の期限へ向け、途中値を最終結果にせず、投票力の区分と憲法委員会判断を確認する。
- dOSPO・OMF提案:エポック648の期限までに可決条件を満たすか、SPO支援策の目的、対象、成果測定を確認する。
- Bifrostの失効後:参加SPOの数と分布、ステーク加重多数の具体的な閾値、監査、鍵管理、インセンティブが公開されるかを見る。
- Daedalusの執行:
RatifiedからEnactedへの移行、支払い、保守・改善計画の着手を個別記録で確認する。 - 道具を使った証拠:SundaeSwap v4、GravityDEX Preprod、Lace 2.2、Scalusプロファイリングで、利用、性能、コスト、監査の具体的な記録が増えるかを追う。
エポック646は、SPOにとって簡単な週ではありませんでした。固定費の下限を下げる提案が出る一方、BifrostはSPOへ新しい安全保障の役割を与えようとしています。手数料市場は、利用者のコストとSPOの収入と混雑制御を同じ設計の中で扱います。取り分と役割は、別々に決められる数字ではなくなっています。
役割が増えるなら、報酬だけでなく責任も増えます。鍵を守り、署名し、障害に対応し、参加構成を公開し、監査を受ける必要があります。取り分を下げるなら、競争だけでなく、何を維持するための費用なのかを説明する必要があります。安さはそれだけで分散化ではなく、新しい収入もそれだけで持続可能性ではありません。
国庫を通った5件は執行へ進み、8件は失効しました。それでもBifrostの設計は進み、手数料仕様は議論へ開かれ、委員会更新はオンチェーンへ提出され、四つの道具が試せる形に近づきました。Cardanoでは、資金を共同で出す時計、開発を進める時計、運営者が参加を決める時計が、同じ速さでは動きません。
前号の「リーダーシップを、共通の手順へつなぐ」から、今号の「取り分と、役割」へ。手順へつながった人々が、次に問われるのは、どの責任を引き受け、その責任を支える資源をどう配るかです。エポック646は、ネットワークを支える経済を、受け取る額だけでなく、引き受ける仕事と一緒に見るべき5日間でした。
いつもSIPO、SIPO2、SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。SIPOはSPO、DRep、そして記録する立場として、取り分を語るときには役割を、役割を語るときには責任と検証を、同じ表の上に置いて見ていきます。
出典・参照
- GovTool:minPoolCostを75 ADAへ下げ、Plutusメモリ上限を広げる提案
- GovTool:Update Constitutional Committee 2026
- GovTool:ガバナンスアクション一覧
- GovTool Docs:投票合計の計算方法
- Intersect:Recent Cardano governance actions
- Cardano Foundation:Governance
- FluidTokens:Bifrost公開リポジトリ
- FluidTokens:Bifrostは専用トークンを必要としないとの説明
- FluidTokens:参加SPOのステーク加重多数によるBTC移動の説明
- FluidTokens / Lantr:Bifrostの改善に関する説明
- Input Output:Cardano Fee Market設計仕様と動的価格設定
- Input Output:手数料市場の議論への参加案内
- Cardano:Scalusの行単位実行コスト・プロファイリング
- Lace公式:Big Release Week for Lace
- Sundae Labs:Introducing Sundae v4
- SundaeSwap Finance:公式GitHub
- SundaeSwap:公開監査リポジトリ
- SIPO:GravityDEX公開テストネット
- SIPO:BifrostとSPOのステーク加重多数決
- SIPO:SundaeSwap v4解説
- SIPO:Weekly Brief #17「配分は決着し、次は取り分」
- SIPO:Blockfrost非営利化提案の失効と公共インフラ
- SIPO:憲法改正ポータルのアルファ公開
- Cardano Forum:IOR Cardano Vision Work Program 2026 Mid-Year Report Draft
- AdaStat:ステーキング・ネットワークデータ
- Dune Analytics:CardanoオンチェーンKPI
- CoinGecko:Cardano
