van Rossemハードフォークの発動時刻が確定しています。日本時間で7月19日6時44分51秒、エポック644の境界です(UTC 7月18日21時44分51秒、スロット192,844,800)。批准は7月13日に成立済みで、日程が動く余地はもうありません。あさっての朝、Cardanoは新しいルールで動き始めます。
SPOの立場から、やることは一つだけです。cardano-nodeを11.0.1に上げてください。これはPV11に対応した最初のリリースで、Intersectは10.7系を「イントラエラ・ハードフォークをまたがない最後のノードリリース」と位置づけています。db-syncを併用している場合は13.7.1.0が対応版です。エポック642では既に92%のブロックがバージョン11のノードから生成されていて、未更新のプールはかなりの少数派になっています。
ここで一点、誤解が広がりやすい部分を整理させてください。今回は「新しいエラーに入る」わけではありません。Conwayエラーの中で完結するイントラエラ・ハードフォークで、プロトコルバージョンが10から11へ上がります。そして「手数料が一律に下がる」わけでもありません。Intersectは一部の既存プリミティブのコストは上がると明記していて、しかもその変更は6月18日のコストモデル更新で既に反映済みです。あさって入るのは、Array(CIP-138)やBLS12-381のマルチスカラー倍算(CIP-133)といった新しいプリミティブの方です。dAppを運用されている方は、下がる前提ではなく実測でご確認ください。
📎 直近24時間の動き
- Intersectが、憲法委員会選挙・国庫引き出し提案・エコシステム全体の活動について、質問を募集すると告知しました。
Intersect - Cardano公式が、2026年憲法委員会選挙のラウンドテーブル「REAL TALK WITH THE CANDIDATES」を配信しました。4議席に10名が立っています。
Cardano / Intersect — 選挙に立つ顔ぶれ - Intersectが、表に出にくいエコシステム運営の実務についての特別アップデートを公開しました。「なぜIntersectが必要なのか」という問いへの回答という位置づけです。
Intersect - IOR(旧IOG)が「Cardano Vision ’26」の年央レポートを公開しました。上半期はプロトタイプ4件(CardanoのL1向けZK検証基盤、トラストレスなアトミックスワップ実装を含む)、査読付き論文8本、Peras研究の実装チームへの引き渡しが完了し、7つのワークパッケージすべてが計画通りとしています。ドラフトはCardano Forumで意見募集中です。
IOG - Cardano Foundationが、BLS12-381楕円曲線がすべてのCardanoコントラクトでネイティブに動くこと、数千の署名を1つ分のコストで検証できることを解説する新しいガイドを公開しました。オラクルも外部サービスも不要としています。
Cardano Foundation - SundaeSwapが、Leiosの本質はスループットではなく経済的な持続可能性の問題だと説明する動画を公開しました。ADAのリザーブが減っていく中で、ステーキング報酬を賄うには取引量を増やす必要があるという整理です。
SundaeSwap / CIP-164 - Charles Hoskinson氏が、Blink Labsの投稿を再投稿しました。「資金がなければサービスの90%を無償で提供し続けることはできない」という説明を「脅し」と受け取る向きへの反論で、国庫の資金配分をめぐる議論の温度が上がっています。
Charles Hoskinson - Cardano公式が、Javaでゼロ知識証明を扱うツールキット「ZeroJ」を紹介する投稿を再投稿しました。cardano-client-libの作者による実験的プロジェクトで、本人が「本番環境では使わないでください」と明記しています。
Cardano - Cardano FoundationのCEOが、CoinDeskの寄稿で、子どものオンライン保護と年齢確認はデータ最小化とプライバシーを優先すべきだと論じました。
Cardano Foundation - Midnightが、開発者向けプログラムの一覧を公開しました。7月17〜19日のバーチャルハッカソン、8月7〜8日のブエノスアイレス現地ハッカソン、7月31日締切のビルダープログラムなどが並びます。
Midnight Network - Midnight日本語アカウントが、開発者向けプログラムへの参加を呼びかけました。オフライン・オンライン双方のハッカソンが対象です。
Midnight Japan - Midnight日本語アカウントが、開発者向けストリーム「Fireside Dev Hang」の内容を共有しました。EUバッテリーパスポートで規制遵守を証明するNightpassと、オープンなナレッジマーケットプレイスであるMidnight Skillsが紹介されています。
Midnight Japan
🧭 今日の焦点 3件
【1】あさっての朝までに、ノードを11.0.1へ
発動はエポック644の境界、日本時間19日6時44分51秒です。SPOにとっての締切は「発動時刻」ではなく「その前の最後のメンテナンス枠」だと考えたほうが安全です。11.0.1は5月5日のリリースで、既に2か月以上テストされています。
「上げなかったらどうなるのか」については、正直に書きます。Intersectは公式に「10.7がイントラエラ・ハードフォークをまたがない最後のノードリリース」とだけ述べていて、未更新ノードがどう振る舞うかを明示していません。ですので、チェーンが分裂するとか、マイナーチェーンに取り残されるといった具体的な表現は、こちらの推測になってしまいます。確実に言えるのは、10.7以前のままでは19日以降の新しいルールのチェーンに追従できない、という点です。準備状況は全体で84%、SPOは計測方法により88〜94%です。
【2】7月24日の朝に、2つの締切が重なります
ここは整理しておく価値があります。憲法委員会選挙の投票締切は、UTC 7月23日21時45分、つまり日本時間では7月24日6時45分です。そして、Intersectの2,540万ADA国庫引き出し提案の投票期限も、同じエポック645の境界です。別々の話に見えて、同じ瞬間に締め切られます。
そして国庫引き出しの方は、現時点で可決の見通しが立っていません。DRepの投票は賛成40.25%に対して反対59.75%。国庫引き出しの可決には67%の賛成が必要ですので、このままでは否決されます。批准の機会は残り一度です。Hoskinson氏が再投稿したBlink Labsの反論も、Intersectが「なぜIntersectが必要なのか」という特別アップデートを出したことも、この投票を背景に置くと位置づけが見えてきます。インフラを担う側と、資金の出し手であるDRepとの間で、対価の説明をめぐる緊張が表に出ている局面です。
【3】ハードフォークと、その先の話がつながっています
Cardano Foundationが「BLS12-381は本番投入可能で、数千の署名を1つ分のコストで検証できる」と説明したのは、偶然のタイミングではないと思います。あさってのハードフォークが加えるCIP-133は、まさにそのBLS12-381のマルチスカラー倍算です。既にある基盤の上に、新しい部品が乗ります。ZeroJのようなJava向けZKツールキットが実験段階で出てくるのも、同じ流れの中にあります。
Leiosについては、SundaeSwapの整理が的を射ています。CIP-164自身が設計優先度の第一に「経済的持続可能性」を挙げ、現在はエポック報酬の85%以上をリザーブが供給していると明記しています。ただしCIPは同時に「Leiosはインセンティブの変更を必要としない」とも書いています。経済モデルを作り替えるものではなく、スループット問題の規模を経済が決めている、という整理が正確です。なおLeiosはCIP-164がProposed段階、テストネットは稼働中ですが、メインネットの日程は未定です。
📊 数値スナップショット
基準時刻: 2026-07-17朝JST。一次ソース(Intersect / GitHub / DefiLlama)で確認した数値のみ。
- van Rossem発動: 日本時間 7月19日 6:44:51(UTC 7月18日 21:44:51)/エポック644の境界/スロット192,844,800。
- 必要バージョン: cardano-node 11.0.1(PV11対応の最初のリリース・5月5日公開)/db-sync 13.7.1.0。
- 準備状況: 全体84%/SPO 88〜94%(計測方法による)/エポック642のブロックの92%がバージョン11から生成。
- プロトコル: Conwayエラー内のイントラエラ・ハードフォーク/PV10 → PV11。
- 憲法委員会選挙: 4議席・10名が出馬/投票締切 日本時間 7月24日 6:45(UTC 7月23日 21:45)。
- Intersect国庫引き出し: 2,540万ADA/投票期限は同じエポック645境界/現在 賛成40.25% / 反対59.75%(可決には67%が必要)。
- Cardano DeFi TVL: 約7,167万ドル(7月16日 00:00 UTC時点・DefiLlama)。
⚡ 先行指標 Watch(48-72h)
- あさっての発動までにSPOの準備率がどこまで上がるか。エポック642時点で92%のブロックがバージョン11から出ています。
- 発動直後に、コストが上がったプリミティブを使うdAppで想定外の挙動が出ないか。
- Intersectの国庫引き出しが、残り一度の批准機会で67%へ届くか。現在40.25%です。
- 憲法委員会選挙の投票が、締切前にどこまで動くか。DRepは締切まで選択を変更できます。
- Cardano Vision ’26 年央レポートのドラフトに、Forumでどのような意見が付くか。
- Midnightのハッカソン(7月17〜19日のバーチャル、8月7〜8日のブエノスアイレス)から、どんなプライバシーアプリが出てくるか。
🔄 48-72h 分岐(観察軸)
Base scenario: van Rossemは予定通り19日朝に発動し、大きな混乱なく移行が完了します。国庫引き出しは否決され、Intersectは資金調達の設計をやり直すことになります。ガバナンスの争点は「誰が何にいくら払うか」に集中していきます。
Risk scenario: 未更新のノードやdAppが発動後に問題を出し、コストモデルの変更に追随できていないコントラクトが表面化します。国庫の否決が、インフラ提供者の資金繰りとエコシステムの士気に波及します。
Alt scenario: 発動が滞りなく完了し、新しいプリミティブを使う実装が早期に出てきます。国庫引き出しは否決されても、その過程で示された論点が次の提案の設計を良くします。憲法委員会選挙と合わせて、24日の朝がガバナンスの一つの区切りになります。
