X の @Cardano アカウントは 9 月 13 日、RealFi の CEO である John O’Connor 氏が登壇するセミナーの動画を公開しました。紹介文には、年の変わり目までに TVL(預かり資産の総額)1 億ドルに到達し、持続的な実世界の利回りを届けることで 10 億ドル規模へ広げるという目標が明記されています。
比べる物差しとして、DefiLlama が集計する Cardano 全体の DeFi の TVL は、9 月 13 日時点で約 5,460 万ドルです。RealFi が掲げた 1 億ドルは、いまのチェーン全体の預かり資産の 2 倍近くにあたります。10 月 1 日のメインネットを前に示されたこの数字を、紹介文が挙げたテーマの並びとあわせて読んでいきます。
初期報: Cardano、RealFi CEOによるセミナー開催 実資産裏付けステーブルコイン構想を紹介
■ 紹介文が並べた 9 つのテーマ
紹介文には、時刻つきで次の 9 つのテーマが並んでいます。
- 03:58 利回りつきステーブルコインの変遷
- 08:37 USDRF・sUSDRF・RFG のトークン設計
- 09:42 リスク管理と損失の吸収順(loss waterfall)
- 15:31 資産ポートフォリオと 8〜10% の目標 APY
- 17:07 過去の実績と審査(underwriting)
- 18:08 TVL 10 億ドルまでの段階的なロードマップ
- 21:51 Cardano の SPO によるテストネットの結果
- 22:52 メインネットの立ち上げ、Lace との連携、DeFi プール
- 26:48 規制対応、クロスチェーン、普及をめぐる質疑
並びを見ると、前半は仕組みの説明、後半は Cardano との関わりにあてられています。利回りつきステーブルコインの成り立ちから入り、トークン設計、損失の扱い、資産の中身と進んでから、ロードマップ、テストネット、メインネットへと話が移っていく構成です。
■ 3 つのトークンと、損失を先に負う側
RealFi が 7 月 6 日のプレスリリースで示した設計では、基本となるステーブルコインは利回りを持たず、それを預け入れた人が利回りつきの別トークンを受け取ります。当時の名前は USDr と sUSDr でしたが、8 月のコミュニティ投票を経て USDrf と sUSDrf に移り、ガバナンストークンの RFG は名前を据え置きました。セミナーの目次も、この 3 つを並べています。
利回りの源泉について、プレスリリースは MMF(マネー・マーケット・ファンド)、企業の変動利付債、フィンテック企業への直接融資といった実世界の金融商品からなる準備資産を挙げていました。sUSDr の利回りは最大 9% を目標とし、現在の金利にもとづく参考値で保証されたものではない、という注記つきです。今回の紹介文にある目標 APY は 8〜10% で、こちらも目標値として示されています。
そのうえで、09:42 に「リスク管理と損失の吸収順」が独立したテーマとして置かれている点に目が向きます。利回りを受け取る側と受け取らない側にトークンが分かれた設計では、準備資産に損失が出たとき、どちらがどの順番で負うのかが、ステーブルコインとしての安定を左右します。実世界の融資や債券は、暗号資産の担保のようにオンチェーンで即座に清算できるものではありません。そのぶん、この順番の取り決めが実質的な守りになります。紹介文は構造の中身までは書いていないため、具体的な順番は動画本編と RealFi の資料で確かめる必要があります。
■ SPO のテストネットと、Lace での入口
21:51 からの「Cardano の SPO によるテストネットの結果」は、プールを運営する側にも関わるテーマです。RealFi は SPO 向けのアクセラレーターを設けており、8 月にはその日本語ページもできました。9 月 2 日の告知では、テストネットの Pioneer Season に 3,600 人を超える利用者が参加したと述べています。セミナーが利用者数とは別に SPO の結果を独立したテーマとして立てていることから、SPO がこの仕組みで担う役割にも、メインネット前に説明の区切りをつけようとしていることがうかがえます。
22:52 からは、メインネットの立ち上げ、Lace との連携、DeFi プールが続きます。7 月のプレスリリースでも、RealFi は Lace ウォレットとの統合を掲げていました。10 月 1 日のメインネットで、利用者が最初に RealFi に触れる場所がウォレットの中になるのか、DEX のプールになるのか。この 2 つが同じテーマの中でまとめて扱われていることは、立ち上げ時の導線を考える手がかりになります。
■ 1 億ドルという数字の置き場所
目標の数字は、読む側の立場によって意味が変わります。Cardano のエコシステムから見れば、チェーン全体の DeFi の預かり資産を 1 つのプロトコルで上回ろうという宣言です。利用者から見れば、それだけの資金が集まる前提で、その資金が何に置かれ、損失が出たら誰がどの順で負うのかが問われる数字でもあります。
ステーブルコインが実際に使われるかどうかは、利回りの高さよりも、裏付けを外から確かめられるかにかかっています。RealFi は 8 月の告知で、裏付け資産とポートフォリオをどう選び、利用者が自分でどう確認するかを扱う回を案内していました。10 月 1 日にメインネットが開いたとき、最初に確かめられるのは 1 億ドルに届くかどうかではなく、その確認の手段が手元に用意されているかどうかです。
■ ことば
- TVL(預かり資産の総額):DeFi のプロトコルに預けられている資産の合計額です。RealFi は年の変わり目までに 1 億ドル、その先に 10 億ドルという目標を掲げ、規模の物差しとしてこの指標を使っています。
- 利回りつきステーブルコイン:価格を米ドルなどに連動させつつ、裏付け資産の運用益を保有者に配る仕組みのステーブルコインです。RealFi では、利回りを受け取るのは USDrf をステークした sUSDrf の側です。
- 損失の吸収順(loss waterfall):裏付け資産に損失が出たとき、どの保有者やどの層が先に負担するかを定めた取り決めです。実世界の融資を裏付けにする仕組みでは、安全性を測る中心の項目になります。
一次ソース / 関連リンク
- @Cardano による RealFi CEO セミナー動画の投稿(目標 TVL・目次、2026 年 9 月 13 日)
https://x.com/Cardano/status/2099131735573242319 - RealFi プレスリリース「RealFi Launches Public Testnet for USDr Ahead of Mainnet Rollout」(トークン設計・準備資産・目標利回り、2026 年 7 月 6 日)
https://www.coindesk.com/press-release/2026/07/06/realfi-launches-public-testnet-for-usdr-ahead-of-mainnet-rollout - RealFi「Cardano メインネットへ 10 月 1 日に来ます」(2026 年 9 月 2 日・X)
https://x.com/realfi_co/status/2095170398669189177 - RealFi USDrf・sUSDrf への移行と RFG 据え置きの説明(2026 年 8 月 31 日・X)
https://x.com/realfi_co/status/2094390156740452589 - RealFi 裏付け資産とポートフォリオを扱う回の案内(2026 年 8 月 27 日・X)
https://x.com/realfi_co/status/2092883698475487444 - DefiLlama「Cardano」チェーン別 TVL
https://defillama.com/chain/cardano - SIPO 初期報「Cardano、RealFi CEOによるセミナー開催 実資産裏付けステーブルコイン構想を紹介」
https://sipo.tokyo/breaking-x-2099131735573242319/ - SIPO「RealFi、10月1日に Cardano メインネットへ」
https://sipo.tokyo/signal-20260904-d6d4e745/ - SIPO「RealFi の SPO アクセラレーターに日本語ページができました」
https://sipo.tokyo/signal-20260807-5779c010/
