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Catalyst Pilot 2026 の12件、資金の6割は利用実績に連動

2026-09-25SIPO

Project Catalyst は日本時間9月25日未明、Catalyst Pilot 2026 に採択された12件を発表しました。応募117件からの選定で、資金の4割は着手時に支払われ、残り6割はオンチェーンでの利用実績と継続的な利用に連動します。

Catalyst にとってこれは2025年10月以来となる資金配分の選定です。提案が通れば全額が出る、という配り方から、使われた分だけ後半が出る配り方へ、支払いの設計そのものが変わりました。SIPO がこの1年追ってきた「財務が何に対して払うのか」という論点の、実装側の答えにあたります。以下、採択された顔ぶれと、支払いと期限の条件を順に見ていきます。

■ 117件から12件、4つの分野へ

Project Catalyst は今回のコホートを「ステーブルコイン、オラクル、プログラム可能なトークン、検証可能な ID を、実世界の分野に持ち込む12のプロジェクト」と紹介しています。着地先として挙げられているのは決済、レンディング、ヘルスケア、サプライチェーンの4分野です。

顔ぶれを分野ごとに並べると、狙いが見えてきます。決済では Cexplorer の Pay(ステーブルコイン決済)、SyncAI の anyqr(QR コード決済)、PagFinance の Regulated BRL Settlement(ブラジル・レアルの規制対応決済)。レンディングでは Liqwid Labs による Pyth オラクルの統合(価格情報の取り込み)と、Dano Finance の In-Place Collateral Swaps(担保を置いたまま入れ替える仕組み)。

ヘルスケアからは Aline Health の CIP-0170 Identity Rails(医療渡航の資格証明)、サプライチェーンからは GreenSun Tech の OriLife(農産物のトークン化)が入りました。ほかに Anvil の Compliant Secondary Trading(実物資産の流通市場)、VIA Labs の AnyToAny、House of Titans の ATLAS(無期限先物)、L4VA Technologies の L4VA(AI が運用する資産ヴォールト)、Nucast の nuhuman(ロボットの ID 認証)が並びます。

並べてみると、既存の業務のどこにトークンや ID を差し込むか、という順番で選ばれたことが見えてきます。

■ 支払いを3つに割る

資金の出し方は3段階に分かれます。

  • 着手時(オンボーディング完了後)に40%
  • 利用目標の達成に応じて最大40%
  • 継続的な活動に対して残り20%

さらに、成績上位3チームには最大50%の上乗せが用意されています。

Catalyst はこれまで、提案書の質と投票で資金を配り、その後の成果は各チームのマイルストーン報告に委ねてきました。報告が滞ったまま終わる案件や、承認待ちで1か月以上止まる案件が出ていたことは、SIPO でも個別に扱ってきたとおりです。着手時に4割を出して開発を始められるようにしつつ、残りをオンチェーンの実績に紐づける今回の形は、その反省を制度に落とした設計と読めます。

ただし「利用目標」の中身は、この発表だけでは分かりません。取引件数なのか、利用アドレス数なのか、金額なのか。判定の物差しがどこに置かれるかで、チームの動き方は変わります。

■ 3か月でメインネット、そして Demo Day

期限も明確です。各チームには Cardano メインネットでの立ち上げと、Demo Day での統合のデモンストレーションまでに最大3か月が与えられます。今回の発表から数えると、年末までに動くものを出す、という時間軸になります。

3か月は短い期間です。すでに動くものを持っていて Cardano に載せ替える段階のチームが中心、という選び方に見えます。実際、Liqwid や Cexplorer、Anvil のように Cardano で既に稼働している名前が複数入っています。

■ 12件より先に、配り方が試される

Catalyst Pilot 2026 は12件という小さな規模ですが、12件の成否より先に、配り方そのものが試されます。実績連動で払う仕組みが機能するなら、次のファンドでも同じ形が採られる可能性は高く、機能しなければ「目標が甘かった」「測り方が悪かった」という形で早い時期に表面化します。3か月という期限は、その検証が年内に終わることを意味します。

確かめる場所ははっきりしています。採択発表の本文は Project Catalyst のブログ(projectcatalyst.io/blog)にあり、12チームそれぞれの説明もそこに載っています。次に見るのは Demo Day の日程告知と、そこで各チームが何を実績として示すかです。SIPO では、支払いの第2段階(利用連動の40%)がどのチームで実際に発生したかを、年末の時点で確認する予定です。

■ ことば

  • Project Catalyst — Cardano の国庫資金を提案と投票で配分する仕組み。2025年から運営体制の見直しが続いており、今回は2025年10月以来となる資金配分の選定にあたります。
  • Demo Day — 採択チームが成果を公開の場で実演する日。今回は「メインネットで動かし、統合を実演する」ことが資金の後半を受け取る条件に組み込まれています。
  • オラクル — チェーンの外にある価格や事実をチェーン上へ運ぶ仕組み。レンディングでは担保の評価に使われるため、ここが止まると貸し借り全体が止まります。今回 Liqwid が Pyth の統合で採択されたのはこの層です。

一次ソース / 関連リンク