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Weekly Brief #27|Cardano の取引、エポック 660 の 3 日間で 108 万件に

2026-10-10SIPO

日本時間 10 月 7 日 6 時 44 分に始まった Cardano のエポック 660 で、取引が 3 日間で 1,083,871 件に達しました。5 日間あった前のエポック 659 の 158,011 件の 6.86 倍で、1 ブロックに入る取引は平均 7.45 件から 84.0 件に増えています。

中身の大半は、同じ 1 つのアドレスへ 2 ADA ちょうどを送る取引でした。HOSKY がエポックの始まりと同時に告知した、2 ADA を送ると HOSKY トークンが返ってくる企画で、10 月 10 日朝に編集部が抜き出したブロックは、どれも上限の 9 割 7 分まで埋まっていました。手数料はエポック 659 全体の 4.15 倍になり、その分はステーキング報酬の原資に加わります。

同じ週、ガバナンスは週明けの締切に向かっています。minPoolCost を 75 ada に下げる議案と、OpenZeppelin のツール群に 11,787,063 ada を出す議案は、日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒で票の受付を終えます。k を 1000 へ上げるかを問う SPO のポールでは、明示的な反対が 26 プール・1,005,266,980 ada に増えました。

今週、SIPO の 3 プールはこの k のポールに反対を投じ、SIPO の DRep は棄権しました。SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点を超える側にいて、その立場は第 4 章で開示します。

エグゼクティブ・サマリー

  • エポック 660 は 3 日で 108 万件:10 月 10 日 7 時 16 分の時点で 12,897 ブロック・1,083,871 件。前のエポック全体の 6.86 倍で、このペースなら 5 日間で約 179 万件です。手数料は 205,533 ada で、前のエポック全体の 4.15 倍でした。
  • 件数を押し上げたのは HOSKY の「Doggie Bowl」:10 月 7 日 6 時 45 分、HOSKY が「2 ADA を送ると 1.XX ADA と HOSKY が返ってくる」企画を告知しました。10 月 10 日朝に抜き出した 3 ブロックでは、先頭 180 件のうち 136 件が同じアドレスへ 2 ADA ちょうどを送っていました。ブロックの大きさは上限 90,112 バイトの約 97% でした。
  • k のポール、明示的な反対は 26 プールに:今週の反対は 9 プールで、うち 5 プールは Cardano 財団が著者の理由書を添えた反対です。理由書は「プール ID が増えても、運営者が増えるわけではない」と書いています。反対の委任量は賛成の 14.79 倍 (前号 9.08 倍) に開きました。
  • SIPO は 3 プールで反対、DRep は棄権:10 月 7 日 9 時 47 分から 52 分にかけて記録しました。理由は「報酬の総額を変えず、配分だけを変える変更は Cardano を成長させない」というものです。
  • minPoolCost の賛成率は 17.42% から 34.45% に:賛成は 48 票から 76 票へ、投票力で約 6.2 億 ada 増えました。それでも 67% に届くには、未投票の 67.85% がさらに賛成に回る必要があります。
  • OpenZeppelin は、未投票がすべて賛成でも 50.28%:投票済みの反対は賛成の 11.94 倍です。締切は同じ 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒。委員会はどちらも賛成 3 のまま、今週の新しい票はありませんでした。
  • Midnight のノード 1.0.400:重大度「Critical」の勧告を直した台帳 8.1.3 を含む版で、修正は本番を含む 3 つのネットワークで先に動いていたと説明されています。審査つきの配備申請の受付も、正式に閉じられました。
  • CIP-113 がメインネットで稼働:10 月 7 日、Cardano 財団が TOKEN2049 の場で発表しました。凍結や移転の制限といったルールを、ネイティブトークンのまま台帳に守らせる規格です。
  • CAP-12 は改訂版に:Dijkstra で加わる新しいパラメータを憲法の付録に書き足す改正案で、10 月 9 日の改訂で最低プールマージンに定義とガードレールが入りました。SIPO は 10 月 3 日にこの案へコメントしています。
  • ブロックの 3 割は、まだ古いノードから:Intersect は 10 月 9 日、エポック 660 のブロックの 30% が 11.1.2 より前の版で作られていると伝え、更新を求め続けています。
  • Blockfrost が IceBreakers を終了:SPO が API の応答を担う仕組みで、100 を超える運用者が参加していました。
  • 市場は ETH が −6.62%:ADA +0.12%、BTC −2.25%。NIGHT は両端で値の取り方が違うため、1 本の騰落率では示していません。

1. マーケット・パルス

10 月 3 日から 10 月 10 日にかけての、朝の定点観測の値です。

銘柄10/310/10週間
ADA$0.239712$0.24+0.12%
BTC$84,427$82,527−2.25%
ETH$2,658.23$2,482.30−6.62%
NIGHT$0.04617263$0.045657(取得元が異なるため騰落率は示しません)

ETH が週を通して最も大きく下げ、BTC も 2% あまり下げました。ADA は週の両端でほぼ同じ水準です。

ただし、週の途中には山がありました。エポック 659 が終わった 10 月 7 日 6 時 44 分の時点で、ADA は $0.26874086 (¥42.50) と、1 つ前の境界の $0.24466542 (¥38.67) から +9.84% でした。朝の定点観測とは取得の時刻が違うため、週間の +0.12% とは一致しません。週の中ほどで上げ、終わりにかけて戻した形です。

NIGHT は、10 月 3 日の値が取引所の USDT 建ての価格、10 月 10 日の値が Cardano の DEX の価格から算出した値で、取得元が変わっています。2 つを割った数字は、値動きと取得元の違いを分けられないため、表には載せていません。同じ取得元でそろえると、CoinGecko の 7 日の推移 (10 月 10 日 7 時 30 分時点) は −7.62% でした。同じ系列の ETH は −6.87% です。

価格の動きと、本稿で扱う出来事は結びつけていません。エポック 660 の取引の急増と ADA の動きも同様です。

ネットワークの残りの数字も置いておきます。エポック 659 は 21,207 ブロック・158,011 取引で、前のエポックとほぼ同じ水準でした。ステーキング比率は 56.18% から 56.16%、委任者数は 553 減の 1,334,182、ブロックを作ったプールは 952 から 933 へ減っています。トレジャリーはエポック 660 で 1,374,649,329 ada です。

2. エポック 660、3 日で 108 万件の取引

エポックは Cardano の 5 日ごとの区切りです。直近のエポックの取引件数は、657 が 130,442 件、658 が 159,916 件、659 が 158,011 件と、15 万件前後で推移していました。

エポック期間 (日本時間)ブロック取引1 ブロックあたり手数料
65910/2 6:44 〜 10/7 6:44 (5 日)21,207158,0117.45 件49,494.70 ada
66010/7 6:44 〜 (10/10 7:16 の時点で 3.02 日)12,8971,083,87184.0 件205,533.61 ada

エポック 660 は、始まって 3 日あまりで前のエポック全体の 6.86 倍の取引を運びました。経過時間で割り戻すと、5 日間で約 179 万件のペースです。ただし伸び方は一定ではなく、10 月 9 日 14 時半に 922,251 件だった件数は、10 月 10 日朝までの約 17 時間で 16 万件あまりの増加にとどまっています。

中身は、HOSKY の「Doggie Bowl」でした

エポック 660 が始まった約 30 秒後の日本時間 10 月 7 日 6 時 45 分、Cardano の初期からあるミームトークン HOSKY の公式アカウントが、こう投稿しました。

「HOSKY の DOGGIE BOWL が開いた。私たちは 5 年以上、Cardano のエポックあたりの取引の記録 (150 万件) を持っている。いま、それを破りに戻ってきた。2 ADA を送ると、1.XX ADA と、ランダムな量の HOSKY が返ってくる。」

同じ日の夕方には「このエポックは約 50 万件に向かっている。もっとずっと多くの取引が要る」と続けています。

編集部は 10 月 10 日 7 時 22 分ごろの連続した 3 ブロックを抜き出し、それぞれ先頭 60 件、計 180 件の取引を Koios (公開 API) で読みました。136 件が、同じ 1 つのアドレス (addr1vy740r73…tyns4) へ 2 ADA ちょうどを送る出力を含んでいます。SIPO が 10 月 9 日に別の 5 ブロックで確かめたときと同じアドレスです。

その 10 月 9 日の確認では、このアドレスから出ていく取引が、1 回で 20 前後の宛先にそれぞれ約 1.86 ADA と HOSKY トークンを送り返していました。トークンのポリシー ID は、Cardano のトークン登録で「HOSKY Token」とされているものと一致しています。2 ADA を送ると、HOSKY と、受け取りに必要な最低限の ADA がまとめて返ってくる流れです (Cardano の取引件数、2日余りで前エポックの5.8倍)。

告知の文面と、チェーン上で確かめた流れは一致しています。一方で、この企画がいつまで続くのか、返ってくる HOSKY の量がどう決まるのかは、告知に書かれていません。抜き出したアドレスと HOSKY の運営の対応も、チェーン上の記録だけでは確かめられません。ここで書けるのは「告知どおりの、2 ADA を送ると HOSKY が返ってくる取引が、抜き出した範囲で件数の大半を占めている」までです。IOG、Cardano 財団、Intersect からは、この急増についての説明は出ていません。

ブロックは、ほぼ上限まで埋まっています

抜き出した 3 ブロックには 162 件から 196 件の取引が入り、大きさは 87,364 バイトから 88,022 バイトでした。1 ブロックの上限は 90,112 バイトなので、約 97% が使われています。1 件ごとの取引が小さいため、1 ブロックに 100 件を大きく超えて入る状態です。

ブロックが埋まると、ほかの取引が次のブロックへ回される可能性が出ます。一般の送金や DeFi の取引が実際にどれだけ待たされたかは、今回確かめた記録からは言えません。各ウォレットや DEX の告知で、遅延の報告が出ているかを見ておく必要があります。

手数料は、報酬の原資に入ります

エポック 660 の手数料は、10 月 10 日朝の時点で 205,533.61 ada と、エポック 659 全体の 49,494.70 ada の 4.15 倍です。Cardano の手数料は、そのエポックのステーキング報酬の原資に加わります。プールと委任者に配られる報酬は、エポックの終了後の計算で決まるため、どれだけ上乗せされるかは、エポック 660 の報酬が確定してから確かめられます。

SIPO の 3 プールは、エポック 659 に SIPO 59・SIPO2 29・SIPO3 22 の計 110 ブロックを作りました (エポック 658 は 98)。ブロックを作るプールの側から見ると、件数の多いブロックでも作る手順は変わりません。違うのは、1 ブロックに詰まる取引の数と、そこに乗る手数料です。

3. k のポール、明示的な反対は 26 プール・10 億 ada に

Should stakePoolTargetNum (k) be raised from 500 to 1000? (SPO poll) は、提出から 23 日目に入りました。前号で「数でも量でも反対が上になった」と書いた差は、1 週間でさらに開いています。

区分前号 (10/3)本号 (10/10)
SPO 明示的な賛成14 プール・55,646,107 ada17 プール・67,978,699 ada
SPO 明示的な反対17 プール・505,040,034 ada26 プール・1,005,266,980 ada
SPO 未投票8,737,025,845 ada8,544,163,377 ada
SPO 常に棄権 (分母外)619 プール・11,919,381,660 ada610 プール・11,596,679,562 ada
DRep 賛成23 票・123,625,124 ada29 票・137,633,650 ada
DRep 投票済み反対17 票・395,391,571 ada29 票・709,223,462 ada
DRep 棄権20 票・1,417,966,305 ada31 票・1,549,897,984 ada
委員会賛成 1・棄権 1賛成 1・棄権 1

今週入った SPO の票は、賛成 3・反対 9 です。

記録時刻 (日本時間)プール票委任量 (概数)
10 月 3 日 11 時 03 分CHIL賛成約 1,115 万 ada
10 月 3 日 16 時 32 分CROW反対約 6,198 万 ada
10 月 3 日 17 時 51 分GNP1賛成約 94 万 ada
10 月 5 日 23 時 16 分 33 秒CAG・CF1・CF2反対計 約 2 億 2,899 万 ada
10 月 5 日 23 時 16 分 52 秒CF3・CF4反対計 約 9,655 万 ada
10 月 7 日 1 時 03 分PSP賛成約 12 万 ada
10 月 7 日 9 時 47 分〜52 分SIPO・SIPO2・SIPO3反対計 約 1 億 357 万 ada

10 月 5 日深夜の 5 プールは、19 秒のあいだに記録されています。CF1〜CF4 の 4 プールは、プールの登録情報で名称が「Cardano Foundation – Private」、ホームページが Cardano 財団のサイトになっているプールです。CAG の登録名は「Cardano AG Pool – Private」です。5 プールの委任量は合わせて約 3 億 2,554 万 ada で、今週増えた反対のおよそ 3 分の 2 にあたります。

5 プールの票は、いずれも著者を「Cardano Foundation」とする同じ理由書を指しています。

「Cardano 財団は反対する。私たちの見方では、stakePoolTargetNum (k) を 500 から 1000 に上げることは、独立した運営者が存続できるかどうかを決める要因に手を付けないまま、決まった額の報酬を分け直すことになる。」「プール ID が増えても、運営者が増えるわけではない。」

理由書は、この見方が財団の DRep の票にも当てはまるとし、「これはこの提案についての立場であり、飽和度の低いプールやコミュニティが運営するプール、分散化に反対する票ではない」と添えています。

判定までの距離

議案本文が宣言した判定は、明示的な賛成が有効投票ステークの 50% を超えるかどうかで、投票しない登録済みのステークは反対と同じ働きをします。その分母はいま 9,667,470,771 ada、賛成率は 0.70% です。50% を超えるには、明示的な賛成があと約 47.7 億 ada 要ります。未投票は約 85.4 億 ada 残っていて、締切は日本時間 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒です。

反対 ÷ 賛成は、前号の 9.08 倍から 14.79 倍になりました。今週の賛成は 3 プール・約 1,233 万 ada の増加、反対は 9 プール・約 5 億 23 万 ada の増加です。DRep の欄も動いていますが、議案本文は DRep 票をこのポールの判定に入れないと宣言しています。

4. SIPO の 3 プールは反対、DRep は棄権しました

ここは SIPO 自身の票なので、記録と理由と利害をまとめて開示します。

SIPO は日本時間 10 月 7 日、SIPO (9 時 47 分 09 秒)、SIPO2 (9 時 49 分 00 秒)、SIPO3 (9 時 52 分 25 秒) の 3 プールでこのポールに反対を投じ、10 時 06 分 11 秒に DRep として棄権を記録しました。理由書の全文は SIPO:k を 1000 に上げる SPO ポールに 3 プールで反対 に、日本語と英語で置いています。

理由の中心は 1 点で、第 3 章の財団の理由書と同じところを見ています。議案本文自身が、k を引き上げても「他の条件が同じなら、エポックあたりの報酬原資の総額は変わらない」と書いています。総額が一定のまま配分だけを変える変更は、運営者のあいだで委任を動かすだけで、Cardano を成長させない。分け合う総額を大きくする設計と切り離された引き上げには、反対する、というのが SIPO の判断です。未投票のままでも判定の上では反対と同じ働きをしますが、立場を記録に残すため、明示的な反対を選びました。DRep の票は判定に入らないため、DRep としては棄権しています。

飽和点の線と、SIPO の 3 プール

10 月 10 日朝のチェーン上の流通量 36,797,328,639 ada を k で割った機械的な試算です。

k飽和点 (流通量 ÷ k)SIPO の 3 プール (エポック 659 終了時のライブステーク)
500 (現行)約 73,594,657 ada3 プールすべて下
1000 (提案)約 36,797,329 adaSIPO 52,642,220 ada = 超過 (1.431 倍) / SIPO2 34,812,587 ada (0.946) / SIPO3 24,570,855 ada (0.668)

SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点を超える側にいて、この変更が通れば不利を負います。SIPO2 は 1 週間で 25,387,648 ada から 34,812,587 ada へ約 942 万 ada 増え、k=1000 の線の 94.6% の位置まで来ました。増えた理由は、チェーン上の記録からは特定できません。

SIPO は 3 プールの間でステークを配分し直すことで、低い飽和点にも対応できます。理由書はそのことを認めたうえで、単一のプールで委任を積み上げてきたコミュニティ運営者には、その手段がないと書いています。SIPO の反対は、自社の収益への影響を前提にしたものとして読んでいただく必要があります。

飽和点が効くのは報酬計算の上限で、ブロックを作る資格ではありません。委任している方は、いま預けているプールが上の線のどちら側かを、結果を待たずに今日確かめられます。

5. minPoolCost、賛成率は 1 週間で倍に

Reduce minPoolCost to 75 ada は、最後に票を受け付けるのが日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒です。経済パラメータの変更で、SPO の票は求められていません。

区分前号 (10/3)本号 (10/10)
DRep 賛成17.42% (48 票・665,061,604 ada)34.45% (76 票・1,281,325,258 ada)
DRep 投票済み反対27 票・501,615,082 ada32 票・517,623,497 ada
DRep 棄権 (分母外)12 票・1,373,729,188 ada17 票・1,477,728,444 ada
DRep 未投票2,514,718,054 ada1,784,357,894 ada
委員会賛成 3・未投票 4賛成 3・未投票 4

1 週間で賛成は 28 票・約 6 億 1,626 万 ada 増えました。前号で書いた「分母が縮んだ分」とは違い、今週の上げ幅の大半は、賛成票そのものが増えた分です。投票力の大きい賛成を、記録の順に挙げます。投票力は 10 月 10 日朝に取得した各 DRep の現在の値です。

記録時刻 (日本時間)DRep票投票力 (概数)
10 月 3 日 9 時 36 分CryptoCrow賛成約 2 億 8,636 万 ada
10 月 3 日 10 時 49 分Rodrigo-[CHIL]賛成約 1,589 万 ada
10 月 4 日 21 時 38 分wolf31o2賛成約 2,404 万 ada
10 月 5 日 19 時 07 分Everstake賛成約 1 億 9,237 万 ada
10 月 6 日 5 時 17 分DraculaDAO賛成約 1,637 万 ada
10 月 9 日 5 時 55 分Aichi/Tokai_DRep賛成約 3,083 万 ada
10 月 9 日 10 時 46 分DINO賛成約 2,259 万 ada
10 月 10 日 6 時 58 分JAZZ棄権約 9,077 万 ada

67% まで、未投票の 67.85% が要ります

いまの分母は 3,719,406,264 ada です。67% に届くには、賛成があと 1,210,676,939 ada 要ります。未投票は 1,784,357,894 ada なので、その 67.85% が締切までに賛成に回る計算です。棄権が増えれば分母が縮み、必要な量は少し減ります。票は締切まで変更でき、委員会も 7 名中 5 名の賛成が要るので、あと 2 名です。

ここで書けるのは算術までです。期限を過ぎれば、議案は可決されないまま「失効」として記録されます。否決とは別の扱いです。

利害を開示します。SIPO の DRep は 9 月 15 日にこの議案へ棄権を投じています (SIPO DRep:minPoolCost 75 ADA 単独案に棄権)。3 プールはいずれも固定費 340 ada を宣言しているので、最低額が 75 ada に下がっても機械的な影響はありません。

6. OpenZeppelin、届く計算は成り立たないまま締切へ

Withdraw 11,787,063 ada for the OpenZeppelin Stack administered by Intersect も、締切は同じ 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒です。

区分前号 (10/3)本号 (10/10)
DRep 賛成2.93% (10 票・129,704,259 ada)3.90% (15 票・169,525,021 ada)
DRep 投票済み反対53 票・1,431,202,398 ada82 票・2,024,470,932 ada
DRep 棄権 (分母外)9 票・761,106,751 ada13 票・851,794,097 ada
DRep 未投票2,733,110,520 ada2,015,245,043 ada
委員会賛成 3・未投票 4賛成 3・未投票 4

分母は 4,345,340,611 ada で、未投票の 2,015,245,043 ada がすべて賛成に回っても、賛成率は 50.28% です。閾値の 67% には、既に投じられた票が動かないかぎり届きません。投票済みの反対は賛成の 11.94 倍で、前号の 11.03 倍からさらに開きました。今週は 29 票の反対が加わり、CryptoCrow と Everstake のように、minPoolCost には賛成し、この議案には反対した DRep もあります。

利害を開示します。SIPO の DRep は、この議案に 9 月 25 日、反対を投じた当事者です。理由書は SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対 に置いています。

国庫の側の数字は前号から動いていません。エポック 613 以降に発効した引き出しは 457,395,629 ada で、2026 年の上限 500,000,000 ada に対して残りは 42,604,371 ada です。

7. CAP-12 と、Dijkstra への準備

憲法の付録に、新しいパラメータを書き足す案

憲法改正案 CAP-12「Dijkstra era parameters」は、10 月 2 日に Intersect の CAP ポータルへ提出され、意見募集の段階にあります。Intersect は 10 月 4 日、X にこう書きました。

「Dijkstra は、技術の変更と同時に憲法の変更を要する、はじめての Cardano のハードフォークだ。それがなければ、新しいプロトコルパラメータは立ち上げ時の値で凍結される。CAP-12 はそれらをガードレールとともに憲法に加える。いまレビューを受け付けている。」

いまの憲法は、付録 I に名前が載っていないパラメータをガバナンスで変えてはならないと定めています。CAP-12 は、参照スクリプトの保護 (4 項目)、Leios (9 項目)、Peras (6 項目)、プール経済の 2 項目 (最低プールマージンと最大プレッジレバレッジ) を付録に加え、それぞれに変えられる範囲を置く案です。参照スクリプト・Leios・Peras の 19 項目は、変更に SPO の票も要るパラメータの一覧に入ります。上限と下限の値は、文案のなかでまだ未定の箇所が多く残っています。

利害を開示します。SIPO は 10 月 3 日、3 つのプールを運営する DRep として、プール経済の 2 項目に CAP ポータルでコメントしました (CAP-12、Dijkstra の新パラメータを憲法に追加)。最低プールマージンには上下限を置くか、それが有効になる後のハードフォークに合わせて載せること、最大プレッジレバレッジには初めて設定するときと引き下げるときに、報酬の対象から外れるステークの分析を添えることを求めた内容です。

10 月 9 日、CAP-12 は改訂版になりました。Intersect の週次更新 #132 によると、一覧にありながら定義のなかった最低プールマージンに、独自の節とガードレールが入りました。最低プールマージンは最低プールコストに代わるものとされていて、最低プールコストを運営費用に見合う水準に置くよう求める既存のガードレールは、そのままだと新しいパラメータが目指す変更を妨げるため、廃止する方向になっています。プレッジレバレッジの変更頻度などの残りの論点は翌週に回り、意見募集は続いています。締切の日付は、確認できた範囲では示されていません。

ノードの側:3 割がまだ古い版、次は DijkstraNet

同じ #132 は、冒頭でこう書いています。

「エポック 660 のメインネットのブロック生成は、いまも 30% が 11.1.2 より前のノードの版で検証されている。」

11.1.2 は、9 月に Preprod で見つかった問題に対する重要な更新で、Intersect は 11.1.3 を推奨、11.1.2 を最低ラインとしています。SIPO の 3 プールは 9 月 24 日までにすべてのノードを 11.1.2 にそろえています。

次の版については、Leios を除く Dijkstra の機能一式を載せ、アプリや周辺ツールの統合のための公開ネットワーク DijkstraNet を立ち上げる、と #132 は説明しています。その次の 11.3 で、Leios の実装と合わせたハードフォークの候補版にする計画です。スマートコントラクトの側では、Plutus 1.71.0.0 で V4 のスクリプトコンテキストが加わったと、Essential Cardano の 10 月 9 日の週次報告が伝えています。

Peras は、投票の層を加えて、ブロックの確定を最短で 2 分ほどで見分けられるようにする仕組みです。プロトコルパラメータの初期実装は 9 月末に台帳のコードへ統合されましたが、次のノードのリリースでは Peras の状態を進める処理を迂回する変更も入っています。ノードを更新しただけで Peras が動き出すわけではありません。メインネットでの有効化の時期は示されていません。

Leios の試作版は、10 月 5 日に prototype-2026w40、7 日に 2026w40a が出ました。前者は、監査で指摘された 3 件 (LEI-004・005・009) を解消し、動かすにはノードのデータベースを消して同期し直す必要がある版です。

8. Midnight ノード 1.0.400、本番で先に直した欠陥を公開

日本時間 10 月 6 日 19 時 24 分、Midnight のノード node-1.0.400 が GitHub で公開されました。台帳の部品を 8.1.3 に上げて、セキュリティ勧告 GHSA-wr7g-rr4v-jmj8 を直す版です。勧告の重大度は CVSS 4.0 で 9.2 (Critical)、9 月 21 日付の監査報告で指摘された項目です。

リリースノートは、この版を、プレビュー・プレプロッド・メインネットの 3 つのネットワークにすでに展開済みのセキュリティ修正を公開する版と位置づけています。チェーン上の規則そのもの (ランタイム) は変えないバイナリだけの更新で、ガバナンスの手続きは要りません。

勧告の中身を噛み砕くと、次のようになります。Midnight の台帳は、コントラクトの呼び出しに付いたゼロ知識証明を、ある素数で割った余りの世界の値として検証します。一方、コントラクトの状態を動かす仮想マシンは、送られてきた元の値をそのまま使います。そのため、値 x と「x に素数を足した値」が、証明の側では同じ値、仮想マシンの側では別の値として扱われうる、というずれがありました。勧告は、支払い済みの請求番号を記録して二重払いを防ぐコントラクトで、同じ請求を別の形で出し直すと払い出しが重なりうる例を挙げています。台帳 8.1.3 は、こうした正規形でない値をコントラクトの呼び出しの中で受け付けなくしました。

誰が何をするか

ブロックを作る運用者には、全員が同じ版にそろえることが求められています。8.1.3 のノードは、8.1.2 のノードが受け付ける呼び出しの一部を拒否するので、版が混在するとブロック生成者の判断が割れるためです。アプリの開発者は、公式のコンパイラと midnight-js が作る呼び出しには拒否される形式が含まれないため、作り方を変える必要はないと説明されています。

ただし勧告には注意書きが 1 つあります。新しく拒否するようになっても、すでにコントラクトの状態に保存された値は直らない、という点です。請求番号のような値の集合で払い出しや発行を守っているコントラクトの管理者は、保存済みの状態に重複がないかを確かめるよう求められています。

時系列も並べておきます。勧告の公開は 10 月 2 日 3 時 22 分 (日本時間)、メインネットで誰でもコントラクトを配備できるようになったのは同じ日の 16 時台でした。修正が本番に入った正確な時刻は、リリースノートに書かれていません。リリースノートも勧告も、この欠陥が実際に悪用されたかどうかには触れていません。あわせて、1.0.300 で既知の問題だった、メインネットを最初から同期するとブロック #1788979 で止まる不具合も、この版で直っています (Midnight ノード 1.0.400、重大な脆弱性を修正)。

9. Midnight、配備開放の翌週

配備が誰にでも開かれた翌週、Midnight の周りでは、使われ方を広げる動きと、重くなる部分に先回りする動きが並びました。

  • 改善提案 3 本に番号:10 月 5 日、MIP-0025・0026・0027 と、課題を定義する MPS-0044 が改善提案のリポジトリに取り込まれました。MIP-0027 は、ゼロ知識証明の検証結果を使い回す仕組みで、性能試験用のネットワークでブロックの作成時間を 42.4%、取り込みの時間を 41.1% 縮めたと報告しています。番号が付いたことは、採択を意味しません。
  • TOKEN2049 の基調講演:10 月 7 日、Midnight の Fahmi Syed 氏が、Night Mode、Collateral Warehouse、Offer Files、Midnight Passport の 4 つを示しました。Midnight の公式アカウントは、これを「すべてのチェーンのためのプライバシーの層」とまとめています。
  • 配備申請の受付を終了:日本時間 10 月 10 日 3 時 44 分、改善提案のリポジトリで、配備申請の手続きを終える変更が取り込まれました。「メインネットのコントラクトの配備は、いまやパーミッションレスだ」として申請のフォルダを凍結した保管庫とし、審査の枠組みの文書は任意の自己点検の目安として残します。前号の「来週の注目」で挙げた点に、答えが出ました。
  • Solana のウォレットから:10 月 7 日、財団 CTO の Sebastien Guillemot 氏が、Solana のウォレットから Midnight を使える対応を発表しました。いまはテストネットで、メインネットへの公開は「今年後半の Midnight の台帳 v9 のアップグレードとともに」予定されています。
  • Midnight City: Tokyo:本日 10 月 10 日 15 時から 19 時、東京・白金台の八芳園で開かれます。チャールズ・ホスキンソン氏と Midnight City のチームが登場し、参加は主催者の承認制です。

利害を開示します。SIPO は Midnight の Nightforce のアンバサダーの一員です。

10. CIP-113 が、メインネットで動き始めました

10 月 7 日、Cardano 財団はシンガポールの TOKEN2049 の場で、プログラマブルトークンの規格 CIP-113 がメインネットで稼働したと発表しました。財団の公式アカウントの投稿は次のとおりです。

「Cardano のプログラマブルトークンの規格 CIP-0113 が、メインネットで稼働した。ステーブルコインやその他の規制対象の資産の発行体は、コンプライアンスのルールを Cardano のネイティブトークンに直接組み込めるようになった。ネットワーク自体が執行する。ハードフォークは要らない。」

9 月 30 日に CIPs のリポジトリへ取り込まれた規格が、1 週間で本番に乗った形です。同じ日、スイスの業界団体 CMTA は、CIP-113 のトークンを自らのトークン化証券の規格 CMTAT と同等に扱うと発表しました。ウォレットの Eternl と GeroWallet、エクスプローラーの CardanoScan、開発ツールの BloxBean などが、稼働の時点から対応しています。Intersect の週次更新 #132 は、翌日に財団から独立したデジタル ID の会社 Veridian が、株式を CIP-113 でトークン化し、この規格で最初の資産になったと伝えています。ADA や既存のネイティブトークンには影響しない、とも書いています。

前号で書いたとおり、CIP-113 そのものは、誰が凍結や差し押さえを実行できるかを決めていません。それは個々のトークンのルールの部品 (モジュール) で決まります。受け取ったトークンがどのモジュールで動いているかが、保有する側の新しい確認点になります。

11. DeFi の動き

  • Minswap と FluidTokens:10 月 7 日、Cardano の公式アカウントは TOKEN2049 の初日のまとめで、両者が「合併 (merger) を発表した」と書きました。一方、「合併か、協業か」と問われた FluidTokens の CEO は「プロジェクトは独立したまま、チームを共有する」と答え、FluidTokens の公式アカウントがその返信を引いて「詳細はまもなく」としています。両社自身による正式な発表は、本稿の時点で確認できていません。本稿では「合併」と断定せず、2 つの言い方を並べておきます。
  • SecondFi の資産回復ツール:10 月 7 日 14 時 16 分、6 月のセキュリティ事件で影響を受けたウォレットの資産を回復するツールを公開しました。公式サイトのブラウザ上だけで使う手続きで、アプリの中では完結しません。処理には申請から最大 5 営業日かかるとしており、翌 8 日には最初のまとまった申請の処理を終えたと告知しています。
  • Lace モバイルの RealFi:10 月 3 日 5 時 31 分、Lace はモバイル版での RealFi の利用を、改善の作業のため一時的に止めました。デスクトップ版では使えます。RealFi 自身は、米国・EU・英国・香港などの居住者は使えないと明記しています。SIPO は RealFi のアルファ・アンバサダーとして、RealFi の SPO アクセラレーターに参加しています。
  • FluidTokens の預かり資産:9 月 30 日のオラクルの不具合による一時停止のあと、10 月 6 日には「TVL がこの 5 日で 20% 増えた」と告知しました。増加の大半は報酬を目当てにした利用だ、とチーム自身が説明しています。

12. Blockfrost、IceBreakers を終了

日本時間 10 月 9 日 23 時 11 分、Blockfrost は、SPO やノード運用者が API の応答を担って収益の分配を受ける「IceBreakers」を終えると発表しました。

「IceBreakers は終了する。運用者はノードを止めてよい。始めたとき、コミュニティが運用するネットワークが実際の Cardano の通信をさばくことは、理論にすぎなかった。100 を超える運用者が、それが動くこと、規模をもって動くことを証明した。」

発表は、Leios で処理量が増えるとチェーン全体をインデックスする費用も膨らむことを挙げ、その備えとして用意していた、チェーンを区切って運用者が分担する方式の資金モデルがコミュニティに承認されなかったと説明しています。参加中の運用者はノードを止めてよく、最終の支払いの金額と日程は個別に知らされます。

発表は提案の名前を挙げていません。この方式を柱の 1 つに含んでいた国庫引き出しの提案「Blockfrost: Maintenance and Next Generation Indexing」は、エポック 633 で批准されないまま失効しています。利害を開示します。SIPO は DRep として、この提案に賛成票を投じていました。

SPO にとっては、リレーの隣で動かせた副収入の仕組みが 1 つ終わる話です。2024 年 1 月に Input Output が Blockfrost に出資したのは、コミュニティが運用する形への移行を資金づけるためで、IceBreakers はその形でした、と発表は振り返っています。

13. 組織と人の動き

  • Cardano 財団は、9 月の月次報告 (10 月 6 日)、上級資格 CBCP の試験の開始 (10 月 6 日)、デジタル ID の Veridian の独立 (10 月 8 日)、新しいトップレベルドメイン「.ada」の申請が ICANN の審査で次の段階に進んだこと (10 月 8 日) を続けて発表しました。TOKEN2049 のハッカソンでは、Cardano のトラックから出た CoinGraph が全体の優勝を取っています。
  • チャールズ・ホスキンソン氏は 10 月 8 日、TOKEN2049 のメインステージで基調講演を行い、Intersect の #132 によれば Midnight City やエージェントによる支払いを語り、「Night Frames」という新しい考え方を紹介しました。講演の逐語は、一次で確かめられていないため引用しません。10 月 4 日には X で「RealFi を立ち上げ、Pogun が控え、Midnight を立ち上げ、いまは Midnight City がある」と、この 1 年の動きを並べています。
  • 独立したノード実装のチームが 10 月 6 日、シンガポールで「Node Diversity Celebration Day」を開きました。Go 製ノード Dingo は v0.78.0 で、AI エージェントがノードのデータベースを直接引ける窓口を持ちました。
  • Intersect は週次更新 #131 で、CIP の編集者 2 人を報酬つきで募集すること、自身の 2026/27 年度予算と Se7en Labs の予算をドル建てのステーブルコイン USDM で保有するようになったことを報告しました。
  • Open Wallet Standard が v1.4.3 で Cardano に対応しました。実装は WingRiders で、IOG と Midnight 財団が技術レビューに加わっています。
  • Midgard Labs は、10 月 1 日から Plutus の開発を引き継いだ会社です。10 月 23 日に東京、24 日に大阪でミートアップを開きます。

14. リスク・ディメンション

  • ネットワーク (取引の急増)。 エポック 660 では、抜き出したブロックが上限の約 97% まで埋まっていました。ほかの取引の待ち時間にどう響いたかは、今回の記録からは言えません。HOSKY の企画がいつまで続くかも、告知には書かれていません。
  • 運用 (Cardano のノード)。 Intersect によれば、エポック 660 のブロックの 30% はいまも 11.1.2 より前の版で作られています。最低ラインは 11.1.2、推奨は 11.1.3 です。
  • ガバナンス (締切)。 minPoolCost と OpenZeppelin は 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒が締切です。minPoolCost は未投票の 67.85% の賛成と委員会のあと 2 名、OpenZeppelin は既に投じられた票が動かないかぎり 67% に届きません。
  • プールの経済 (SIPO 自身)。 SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点の 1.431 倍の位置にあり、SIPO2 も線の 94.6% まで来ています。SIPO は 3 プールで反対を投じた当事者です。
  • 運用 (Midnight のノード)。 1.0.400 への切り替えは、ブロック生成者が一斉に行う前提です。保存済みのコントラクトの状態は、新しい規則では直りません。
  • 規格 (CIP-113)。 同じ CIP-113 のトークンでも、凍結や差し押さえの権限はモジュールで決まります。規格名だけで扱いを判断できません。
  • DeFi (合併という言葉)。 Minswap と FluidTokens は「合併」と「独立したままチームを共有」という 2 つの言い方が並んでいます。預けている資産や契約が動くかどうかは、具体的な発表を待つ必要があります。
  • インフラ (データの提供)。 IceBreakers の終了で、コミュニティ運用の API 網は止まります。Leios の後のインデックスの費用を誰が負うかは、開かれたままです。
  • 憲法 (Dijkstra)。 CAP-12 が整わないまま Dijkstra が稼働すれば、新しいパラメータは稼働時の値で凍結される、と Intersect は説明しています。

15. 来週の注目

  1. minPoolCost と OpenZeppelin の締切 — 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒。minPoolCost の賛成が未投票の 67.85% を取り込めるか、委員会の 4 票目・5 票目が入るか。確認先は gov.tools の各議案のページです。
  2. エポック 660 の最終的な取引件数 — 同じ 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒に確定します。確認先は AdaStat と Cexplorer のエポック 660 のページです。
  3. エポック 661 の件数 — 15 万件前後に戻るか、高い水準が続くか。10 月 17 日 6 時 44 分 51 秒の境界で、同じ 2 つのエクスプローラーで確かめられます。
  4. エポック 660 の報酬 — 手数料の上乗せが報酬にどう出るか。エポック 660 の報酬は 2 つ先の境界 (10 月 17 日) の後に計算が確定します。確認先は Koios のエポック情報です。
  5. k のポールの SPO 票 — 未投票の約 85.4 億 ada がどちらへ動くか。締切は 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒、確認先は gov.tools の当該 Info Action のページです。
  6. Minswap と FluidTokens の詳細 — FluidTokens の公式アカウントは「詳細はまもなく」としています。利用者向けの変更点と移行の手順が出るか。確認先は両社の公式 X アカウント (@minswap・@FluidTokens) です。
  7. Midnight の勧告ページ — GHSA-wr7g-rr4v-jmj8 に、既存コントラクトの点検の結果が書き足されるか。確認先は midnightntwrk の GitHub の勧告ページです。
  8. 次のノードの版と CAP-12 — Leios を除く Dijkstra の機能一式を載せる次の版と DijkstraNet の立ち上げ、そして CAP-12 の残りの論点 (プレッジレバレッジの変更頻度、CAP-10 との関係) を作者が翌週に示すとしている点。確認先は IntersectMBO/cardano-node のリリース面、Intersect の週次更新の次号 (#133)、CAP ポータルの CAP-12 のページです。
  9. Cardano PRIME の公募締切 — 日本時間 10 月 15 日 12 時 59 分。確認先は Cardano PRIME の告知面です。
  10. Midgard Labs のミートアップ — 10 月 23 日 (東京)・24 日 (大阪)。確認先は Midgard Labs の COO、Dave Dionisio 氏の X の告知です。

まとめ

今週の Cardano でいちばん大きく動いたのは、取引の数でした。エポック 660 は 3 日で 108 万件と、前のエポック全体の 6.86 倍を運び、抜き出したブロックは上限の約 97% まで埋まっていました。その大半は、HOSKY がエポックの始まりと同時に告知した、2 ADA を送ると HOSKY が返ってくる取引です。HOSKY 自身は、5 年以上前に作ったエポックあたりの取引の記録を破りに来たと書いています。届くかどうかは 10 月 12 日朝に分かります。確かなのは、手数料が前のエポックの 4.15 倍に積み上がり、それが報酬の原資に加わることです。

ガバナンスは、週明けの締切に向かっています。minPoolCost の賛成率は 1 週間で倍の 34.45% になりました。今週の上げは賛成票そのものが増えた分で、それでも 67% には未投票の 3 分の 2 あまりが要ります。OpenZeppelin は、未投票がすべて賛成でも 50.28% です。

k のポールでは、明示的な反対が 10 億 ada を超えました。Cardano 財団は 5 つのプールで反対し、「プール ID が増えても、運営者が増えるわけではない」と書きました。SIPO の 3 プールもそこに加わり、報酬の総額を変えずに配分だけを変える変更には反対する、という理由を記録に残しています。1 号機が新しい線を超える側にいることも、あわせて開示しています。

Midnight では、配備を開いた日の未明に公開された勧告の修正が、本番で先に動いていたことが、ノード 1.0.400 で明らかになりました。審査つきの配備申請は正式に閉じられ、審査の枠組みは任意の自己点検の目安になりました。誰でも配備できる段階に入った翌週、点検の対象は新しい呼び出しだけでなく、すでに保存された状態にも及んでいます。

参考・出典

本文で SIPO 自身の記事に触れた箇所は、その場でリンクしています。以下は一次ソースです。

透明性メモ

  • エポック 660 の件数と倍率:10 月 10 日 7 時 16 分 20 秒 (日本時間) に Koios から取得した、進行中のエポックの値です。6.86 倍は 1,083,871 ÷ 158,011、1 ブロックあたりは 1,083,871 ÷ 12,897 と 158,011 ÷ 21,207、約 179 万件は 1,083,871 件を経過 3.02 日で割って 5 日を掛けた機械的な試算です。手数料の 4.15 倍は 205,533.61 ÷ 49,494.70 です。
  • 2 ADA の取引の割合:10 月 10 日 7 時 22 分ごろの連続 3 ブロック (14,047,733〜14,047,735) の、各ブロック先頭 60 件だけを読んだ抜き取りです。136 / 180 はブロック全体やエポック全体の割合ではありません。ブロックの大きさの約 97% は、3 ブロックの大きさを上限 90,112 バイトで割った値です。
  • HOSKY が返ってくること:企画の中身は HOSKY の公式アカウントの告知 (10 月 7 日 6 時 45 分) によります。送り返しの取引をチェーン上で確かめたのは、SIPO が 10 月 9 日に 5 ブロックを読んだ範囲と、別の調査で 2 ブロックを読んだ範囲で、本号の 3 ブロックの抜き取りでは送り返しの取引は読んでいません。抜き出したアドレスと HOSKY の運営の対応は確かめていません。HOSKY が持つとする過去の記録 (150 万件) は HOSKY 自身の記述で、本稿では検証していません。
  • k ポールの分母と賛成率:賛成 67,978,699 ada に、反対として働く分 (明示的な反対・常に不信任・未投票) の 9,599,492,072 ada を足した 9,667,470,771 ada が分母で、賛成率は 0.703% です。明示的な棄権と「常に棄権」の 610 プールは、議案本文の宣言どおり分母から外しています。
  • プール別の委任量:第 3 章の表のプール別の値は、10 月 10 日朝に取得した各プールの現在のエポックの有効ステークで、議案の集計値とは取得の経路が違います。そのため「約」で書き、合計の比較には集計値を使っています。
  • Cardano 財団の 5 プール:CF1〜CF4 の登録名と、5 プールの票が同じ理由書 (著者「Cardano Foundation」) を指していることは、チェーン上の記録と理由書の本文で確かめています。CAG の運営者が誰かは、理由書が「財団のステークプール」と書いている範囲を超えては書いていません。理由書が当てはまるとした財団の DRep の票の記録時刻は、確かめていません。
  • DRep の投票力:第 5 章の表の投票力は、10 月 10 日朝に取得した各 DRep の現在の値で、票を記録した時点の値とはずれている可能性があります。
  • minPoolCost の 67.85%:0.67 × 3,719,406,264 − 1,281,325,258 = 1,210,676,939 ada を、未投票 1,784,357,894 ada (反対として働く分から投票済みの反対と常に不信任 136,099,615 ada を引いた値) で割った値です。棄権の増減は含めていません。
  • OpenZeppelin の 50.28%:賛成 169,525,021 ada に未投票 2,015,245,043 ada を足し、分母 4,345,340,611 ada で割った値です。
  • 「反対が X%」を書いていない理由:公開 API が返す反対率には未投票と「常に不信任」の分が含まれます。そのため本文では、投票済みの反対を票数と ada 額だけで書いています。
  • 飽和点の試算:10 月 10 日朝のチェーン上の流通量 36,797,328,639 ada を k で割った機械的な試算です。SIPO の 3 プールの値は、エポック 659 の終了直後に取得したライブステークです。SIPO2 の増加の理由は、記録から特定できないため書いていません。
  • SIPO の利害:k のポールについては 3 プールで反対・DRep で棄権を投じた当事者であることと 1 号機が k=1000 の飽和点を超える側にいること、minPoolCost については 3 プールとも固定費 340 ada で機械的な影響がないことと DRep が棄権したこと、OpenZeppelin については DRep が反対を投じた当事者であること、Blockfrost については 失効した国庫提案に DRep として賛成していたこと、CAP-12 については 10 月 3 日にコメントしたこと、RealFi については アルファ・アンバサダーとして SPO アクセラレーターに参加していること、Midnight については Nightforce のアンバサダーの一員であることを本文で開示しています。
  • 市場の値の取得時刻:10 月 3 日の値は 6 時 35 分 29 秒、10 月 10 日の値は 6 時 35 分 12 秒の朝の定点観測です。10 月 10 日の ADA は小数第 2 位までの記録 ($0.24) で、週間 +0.12% はその値で計算しています。エポック境界の ADA (+9.84%) は境界の時刻ちょうどの値で、朝の値とは取得時刻が違います。
  • NIGHT の値:10 月 3 日の $0.04617263 は取引所の USDT 建ての価格、10 月 10 日の $0.045657 は Cardano の DEX の価格から算出した値で、取得元が違います。そのため表の週間の騰落率は空けています。本文の −7.62% と ETH の −6.87% は、CoinGecko の 7 日の日次系列 (10 月 3 日 9 時 → 10 月 10 日 7 時 29 分) で、朝の定点観測とは取得時刻と系列が違います。
  • Midnight 1.0.400 の「セキュリティ」の語:リリースノートは「セキュリティパッチ」「critical advisory」と書いており、勧告の重大度は「critical」です。その範囲で語を使っています。「脆弱性 (vulnerability)」の語と CVE 番号は、リリースノートにも勧告にもありません。
  • Minswap と FluidTokens:Cardano の公式アカウントの「merger」と、FluidTokens の CEO の「独立したままチームを共有」の 2 つの説明を並べ、どちらかに寄せていません。Minswap 側の発表は確認できていません。
  • 書かなかったこと:ホスキンソン氏の Pogun についての「90 日以内」という発言 (今週の本人の投稿では確かめられなかったため)、Midnight 上の Pulse のトークン発行の仕組み (一次の告知を確かめられなかったため)、Night Mode などの機能の中身 (名称しか公表されていないため)、CAP-12 の意見募集の締切 (示されていないため)、k のポールの議案本文をめぐる DRep の主張 (事実関係を確かめられないため)。
  • Veridian と CIP-113:Veridian の株式が CIP-113 の最初の資産になったことは、Intersect の週次更新 #132 の記述によります。
  • 価格と出来事の関係:結びつけていません。

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