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Weekly Brief #26|Midnight メインネットで審査なしのコントラクト配備が始動

2026-10-03SIPO

日本時間 10 月 2 日、Midnight のメインネットで、誰でもスマートコントラクトを配備できる段階が始まりました。財団の CTO が 14 時 54 分に「コントラクトはメインネットで稼働中」と開発者へ呼びかけ、16 時 37 分に Midnight 財団が正式に告知しています。3 月のメインネット公開から続いてきた、本番に載るコントラクトを 1 件ずつ審査する段が、ここで外れたことになります。

告知が挙げた変更は 2 つです。開発者は追加のセキュリティ審査なしにコントラクトを直接配備できること。そしてコントラクトの側も、利用者に代わって別のコントラクトを配備できることです。秘匿のまま動くアプリは、申請して待つものから、書いて出すものに変わりました。

同じ週の Cardano では、数え方の話が 2 つの場所で続きました。k を 500 から 1000 へ引き上げるかを問う SPO のポールでは、明示的な反対が 3 プールから 17 プールへ増え、委任量では賛成の 9.08 倍になっています。そして EMURGO と Yoroi の 2 つの DRep が、係属している 3 件すべてに棄権を投じました。棄権は可決を判定する分母から外れるので、約 7 億 ada ぶん、割る側が小さくなっています。

SIPO の 3 プールと DRep は、k のポールにまだ投票していません。k=1000 は SIPO の 1 号機にとって不利な変更で、その立場は第 8 章で開示します。

エグゼクティブ・サマリー

  • Midnight のメインネットで、審査なしの配備が始まりました:日本時間 10 月 2 日、財団 CTO の投稿 (14 時 54 分) と財団の告知 (16 時 37 分) です。開発者は追加のセキュリティ審査なしに配備でき、コントラクトが利用者に代わって別のコントラクトを配備することもできます。以前の審査も監査ではありませんでしたが、これからは事前に誰も見ていないコントラクトが標準になります。
  • 配備の手前で、版の中身が確かめられていました:node-1.0.300 は 9 月 30 日、チェーン上のランタイムと同じハッシュを再現するために同じ番号のまま再発行されました。新系列 node-2.1.0 は rc.3 と rc.4 まで進みましたが、どの公開ネットワークでもまだ動いていません。
  • k のポール、反対は 17 プールになりました:明示的な賛成 14 プール・55,646,107 ada、明示的な反対 17 プール・505,040,034 ada。委任量で 9.08 倍 (前号 1.80 倍) に開き、数でも反対が上になりました。
  • 委員会の 3 票目は Ace Alliance でした:9 月 27 日、係属 3 件すべてに「合憲」として賛成。同じ k のポールに、Tingvard は「判断の対象ではない」と棄権し、Ace Alliance は条文を引いて「合憲」としました。
  • EMURGO と Yoroi が 3 件すべてに棄権しました:9 月 30 日の 21 分間に 6 票、投票力は計 717,678,367 ada。minPoolCost の賛成率は 17.42% に上がりましたが、2 つが未投票のままなら 14.66% で、上げ幅の一部は分母が縮んだ分です。
  • OpenZeppelin は、既に投じられた票が動かないかぎり届きません:未投票がすべて賛成に回っても 64.62% で、閾値の 67% に届きません。締切は 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒。
  • cardano-node 11.1.3 が出ました:IPv4 アドレスの読み取り順を戻す修正版で、Intersect は「不具合の修正のみで、セキュリティ修正ではない」と明記しています。
  • Dijkstra に向けた憲法改正案 CAP-12 が出ました:次のハードフォークで加わる新しいパラメータを、憲法の付録に書き足す案です。
  • FluidTokens が攻撃を受け、貸し出しを一時止めました:チームの説明では原因はオラクルのフィードで、スマートコントラクトの脆弱性は関わっておらず、影響は 1 市場。被害額を含む正式な事後報告は、10 月 3 日朝の時点で出ていません。
  • CIP-113 が取り込まれ、RealFi が動き始めました:PRIME は資金を出す全アプリに CIP-113 を求め、RealFi は 3 つの入口と同時に稼働しました。SIPO は RealFi のアンバサダーとして参加しています。
  • 市場は NIGHT だけが大きく上げました:NIGHT +85.76%、BTC +0.57%、ETH −1.10%、ADA −6.44%。NIGHT の上げは 9 月 30 日・10 月 1 日・10 月 3 日の 3 日に集中しています。

1. マーケット・パルス

9 月 26 日から 10 月 3 日にかけての、朝の定点観測の値です。

銘柄9/2610/3週間
ADA$0.256209$0.239712−6.44%
BTC$83,946$84,427+0.57%
ETH$2,687.84$2,658.23−1.10%
NIGHT$0.02485597$0.04617263+85.76%

2 週続いた「4 銘柄すべてプラス」は途切れ、動きは銘柄で極端に分かれました。

NIGHT は 1 週間で 1.86 倍です。記録上の前日比は 9 月 27〜29 日が +2〜7% 台と小さく、9 月 30 日 +18.36%、10 月 1 日 +19.79% と 2 日続けて大きく上げ、10 月 2 日に −0.30% で止まったあと、10 月 3 日に +18.96% と再び上げています。週の上げの大半は、この 3 日に入っています。

ADA は逆向きでした。9 月 29 日に前日比 −4.03%、10 月 3 日に −2.33%。同じ 10 月 3 日朝の SOL は +0.19%、BTC は −0.12% で、地合いの記録は「方向感の薄い横ばい」です。エポック 658 の両端で取る ADA は $0.25257111 から $0.24466542 へ −3.13%、円建てでは ¥39.73 から ¥38.67 でした。

価格の動きと、本稿で扱う出来事は結びつけていません。NIGHT の大きな上げは Midnight の配備開放と同じ週に起きていますが、何がどれだけ買いにつながったかは公開された情報からは特定できません。

ネットワークの数字も置いておきます。エポック 658 は 21,383 ブロック・159,916 取引で、657 の 130,442 取引から 2 割あまり増えました。ステーキング比率は 56.32% から 56.18% へ、委任者数は 546 減の 1,334,735。ブロックを作ったプールは 921 から 952 へ 31 本増えています。トレジャリーはエポック 659 で 1,370,992,827.23 ada です。

2. Midnight のメインネットで、審査なしの配備が始まりました

告知は 3 本の投稿で出ました。最初は日本時間 10 月 2 日 14 時 54 分、財団の CTO である Sebastien Guillemot 氏の「開発者のみなさん、コントラクトは Midnight のメインネットで稼働中です」という呼びかけです。続いて 16 時 37 分に Midnight 財団が、その 5 分後に Midnight の公式アカウントが告知しました。財団の投稿は、変更点を 2 つに絞っています。

「Midnight の次の段階が来た。パーミッションレスなスマートコントラクトの配備が、Midnight のメインネットで稼働した。」「つまり開発者は、追加のセキュリティ審査なしにコントラクトを直接配備でき、コントラクトの側も利用者に代わって別のコントラクトを動的に配備できる。」

Midnight の公式ブログの月次報告「State of the Network」9 月版は、同じ変更を「Preprod (本番前の試験環境) での審査を必須とせずに、メインネットへ直接書いて配備できる」と言い換え、そのうえで「本番へ移す前に、まず Preprod で試して配備すること」を開発者に勧めています。Intersect の週次更新 #131 も、10 月 2 日を「今日」として、この節目を記録しました。

9 月までの審査は、こう回っていました

3 月のメインネット公開以降、本番に出したいチームは、Preprod で動かしたうえで、Midnight の改善提案リポジトリにある配備申請のフォルダへ申請書を出し、レビュアーが承認するとマージされる、という経路を通っていました。月次報告は、この最初の段を「運用の安定、安全、開発者の準備を優先した」ものと位置づけています。前号で扱った Shadow Labz の投票コントラクト 3 本も、この経路を 9 月 23 日に通っています。

審査の枠組みは、プライバシー・価値・状態量の 3 つのリスクをそれぞれ 1 から 3 で採点するものでした。そしてその文書には、「配備申請の審査は監査ではない」と明記されていました。

その門が、今週外れました。

外れた門の、裏側

以前の審査は監査ではありませんでした。それでも、資金を預かる設計かどうか、秘匿したデータが漏れうるかどうかは、1 件ずつ人の目で見られていました。これからは、配備されたコントラクトを事前に誰も見ていない状態が標準になり、どれに資金や秘匿データを預けるかの判断は利用者とウォレットの側へ移ります。誰でも配備でき、監査の有無を確かめるのは使う側、という Cardano のメインネットと同じ形に、Midnight は半年かけて近づいたことになります。

コントラクトが、コントラクトを配備する

2 つ目の変更は、利用者の入口に関わります。月次報告は、アプリが利用者に代わってコントラクトを配備できるので、利用者の受け入れが簡単になる、と説明しています。投票や個人用の金庫のように、利用者ごとに 1 つのコントラクトを立てる設計なら、これまで利用者が自分で踏んでいた配備の手順を、アプリのコントラクトが引き受けられます。

混同しやすい点が 1 つあります。Guillemot 氏は前日の 10 月 1 日朝、こう投稿していました。

「知られているとおり、v8 のリリースで秘匿コントラクトが可能になり、その後に組み合わせ (v9) が来る。優れた監査パートナーのおかげで、組み合わせのアップグレード (v9) も今年中になりそうだ。」

v9 で見込まれているのは、コントラクト同士を呼び出して組み合わせることです。今回始まったのは、コントラクトが別のコントラクトを新しく作ることで、別の機能です。今回の移行がどの版番号にあたるのかも、告知の文面からは確認できません。

前号の「近く」が、2 週間で来ました

前号は、Guillemot 氏の 9 月 19 日の投稿「スマートコントラクトの配備が近く有効になる」を紹介し、日付も公式のリリースノートもまだ出ていないと書きました。その「近く」は 13 日後でした。前号で扱ったノードのセキュリティパッチ 1.0.300 の公開から 10 日後でもあります。

3. 配備の手前で、版の内側が確かめられていました

開放の前の 1 週間、Midnight の開発側では、番号の内側を確かめる作業が続いていました。

node-1.0.300 は、同じ番号のまま配布物が入れ替わりました

9 月 30 日、node-1.0.300 のリリースページの冒頭に、次の注記が加わりました。

「これは 1.0.300 の再発行で、ランタイムのハッシュがチェーン上のものと正確に一致するよう、Cargo.lock の更新を含む。」

注記は、食い違いを指摘した Justin Bons 氏への謝辞も添えています。同じ日の修正コミットの記録によれば、台帳ライブラリの更新に伴って依存関係が広く上がり、ランタイムが使う rand (0.10.0 → 0.10.2) と libc (0.2.184 → 0.2.189) の版も動いていました。ソースが同じでも、生成物が変わっていたことになります。再発行ではこの 2 つを元の版に固定し直しています。

前号で「全バリデータが先にこのバイナリへ移らないとチェーンから外れる」と書いた版が、配備の開放の手前でもう一度、中身を確かめられたことになります。運用者の側では、同じ「1.0.300」でもいつ取得したどのファイルかを、ハッシュで特定しておく必要があります。

新系列 2.1.0 は rc.4 まで進みました

node-2.1.0 は 9 月 28 日 (協定世界時) に rc.3、30 日に rc.4 が出ました。台帳を 8 から 9 へ上げるハードフォークを前提にした系列です。rc.4 のリリースノートは、展開先の欄を「まだなし。この版はリリースの品質確認を通っていない」とし、「この系列を動かしている公開ネットワークはない」と書いています。メインネットの運用者は 1.0.300 のままで、と明記されています。

言語の側では、Compact のコンパイラ compactc 0.35.0 が 9 月 29 日 (協定世界時) に出ました。ただしこれはまだメインネットにない台帳 9 向けで、リリースノートは、いまのメインネットへ配備するなら 0.31 系を使い続けるよう求めています。0.35.0 には、別のコントラクトの実装を実行時に解決して呼び出す変更が入っています。

ウォレットの側

Lace Midnight Preview は、予告の 9 月 30 日を過ぎました。Midnight の機能は Lace 本体へ移っていて、今週の Lace 2.4 では Midnight の同期が安定し、送金の前に生の取引データを確かめられるようになりました。cNIGHT を持つ Cardano のアカウントから DUST を生成する機能は「リリースのすぐ後に」来る、と IOG の週次報告は書いています。

4. k のポール、反対は 17 プールになりました

Should stakePoolTargetNum (k) be raised from 500 to 1000? (SPO poll) は、提出から 16 日目に入りました。前号では、票数で賛成が多く、委任量で反対が多いという食い違いを書きました。1 週間で、その食い違いは消えています。数でも量でも、反対が上になりました。

区分前号 (9/26)本号 (10/3)
SPO 明示的な賛成10 プール・53,185,274 ada14 プール・55,646,107 ada
SPO 明示的な反対3 プール・95,984,098 ada17 プール・505,040,034 ada
SPO 未投票9,251,693,095 ada8,737,025,845 ada
SPO 常に棄権 (分母外)617 プール・約 119 億 ada619 プール・11,919,381,660 ada
DRep 賛成18 票・101,317,767 ada23 票・123,625,124 ada
DRep 投票済み反対14 票・212,318,456 ada17 票・395,391,571 ada
DRep 棄権8 票・542,686,821 ada20 票・1,417,966,305 ada
委員会棄権 1賛成 1・棄権 1

今週入った SPO の票は、賛成 4・反対 14 です。賛成側は 4 プール増えましたが、委任量の増加は 2,460,833 ada でした。反対側は 14 プール・409,055,936 ada 増えています。反対 ÷ 賛成は、前号の 1.80 倍から 9.08 倍になりました。

反対の入り方には、まとまりがありました。

記録時刻 (日本時間)プール委任量 (概数)理由書
9 月 26 日 19 時 01 分OCTAS約 5,482 万 ada—
9 月 27 日 0 時 13 分 10 秒BCSH・BCSH0〜BCSH6 の 7 プール計 約 7,056 万 ada7 本とも同じ文書
9 月 28 日 3 時 54 分ATADA・ATAD2 の 2 プール (22 秒差)計 約 1 億 3,098 万 ada2 本とも同じ文書
9 月 30 日 20 時 57 分・21 時 03 分SASA・SASA2計 約 7,786 万 ada—
10 月 1 日 0 時 04 分TECH約 7,037 万 adaあり
10 月 1 日 1 時 25 分ADAJP約 196 万 ada—

7 プールの反対が同じ秒に記録され、同じ理由書を指しています。ティッカーも連番です。ただし、同じ運用者の手にあるかどうかを台帳は網羅的には開示しません。書けるのは「同じ秒・同じ理由書」までです。

理由書の中身にも共通点があります。BCSH 系と ATADA の理由書は、どちらも「Neil Davies の論拠を支持する」と書いています。前号で、提案者本人が提出後に知り、主張の多くに同意すると書いた、k の引き上げに反対する論考です。ATADA の理由書は、自分の見方も添えています。

「委任し直される ada がどこへ流れるかについての、まったくの思い違いだ。小さなプールには流れない。」

議案本文が宣言した判定は、明示的な賛成が有効投票ステークの 50% を超えるかどうかで、投票しない登録済みのステークは反対と同じ働きをします。その分母はいま 9,347,812,387 ada、賛成率は 0.60% です。50% を超えるには、明示的な賛成があと約 46.2 億 ada 要ります。未投票はなお 87 億 ada あまりで、締切は日本時間 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒です。

DRep の欄の棄権が約 14.2 億 ada に増えたのは、第 6 章の EMURGO と Yoroi の分です。ただし議案本文は、DRep 票をこのポールの判定に入れないと宣言しています。

5. 同じ Info Action に、委員会の 2 人が別の読み方をしました

日本時間 9 月 27 日 5 時 14 分 49 秒、憲法委員会の 3 人目の票が入りました。係属 3 件すべてに賛成です。理由書の著者欄には Ace Alliance と記され、委員としての内部投票は合憲 5・違憲 0と添えられています。委員の名乗りは、理由書自身に書かれているものです。

記録時刻 (日本時間)委員 (任期)minPoolCostOpenZeppelink のポール
9 月 12 日 17 時 10 分 17 秒cc_hot1qgsl88a… (799)賛成賛成—
9 月 22 日 2 時 26 分 29 秒Tingvard (726)賛成賛成棄権
9 月 27 日 5 時 14 分 49 秒Ace Alliance (726)賛成賛成賛成

目を引くのは k のポールの欄です。同じ Info Action に、2 人の委員が別の読み方をしています。

前号で引いたとおり、Tingvard は「Info Action は憲法委員会の判断の対象としてふさわしいものとは考えない。その目的は情報を集め、関係者の意向を示すことであって、台帳に変更を加えることではない」として、棄権を選びました。

Ace Alliance は、憲法の条文から逆の結論に進みます。

「第 III 条 1.4 項のもとで、憲法委員会は『Info アクションに含まれる、提案された、または想定された行為を含め、ガバナンスアクションの合憲性についての投票に限られる』。したがって私たちの審査は、このポールと、それが想定している変更の合憲性に関するものであり、stakePoolTargetNum を引き上げることの経済的・技術的な是非に関するものではない。それを決めるのは Cardano のコミュニティ、SPO、DRep であって、憲法委員会ではない。」

結論は「合憲」です。どちらの委員も、k を 1000 にすることの是非には踏み込んでいません。違うのは、Info Action を判断の対象に含めるかどうかの読み方です。ここでは並べるだけにします。

minPoolCost と OpenZeppelin への賛成も同じ性質で、minPoolCost は以前の束ねた議案 (エポック 653 で失効) で合憲と判断した分析を引き継ぎ、OpenZeppelin は実施予算 11,443,750 ada と管理手数料 343,313 ada の内訳を確かめたうえでの「合憲」です。提案の中身の是非は、判断の対象に含まれていません。

2 件の委員会票は、どちらも賛成 3・未投票 4 になりました。7 名の委員会で 2/3 を超えるには 5 名の賛成が要るので、あと 2 名です。

6. EMURGO と Yoroi の棄権で、分母が約 7 億 ada 縮みました

9 月 30 日の昼、21 分の間に 6 つの票がチェーンに記録されています。

記録時刻 (日本時間)DRep議案票
12 時 39 分 54 秒EMURGOOpenZeppelin棄権
12 時 44 分 54 秒EMURGOminPoolCost棄権
12 時 48 分 54 秒EMURGOk のポール棄権
12 時 54 分 19 秒YoroiOpenZeppelin棄権
12 時 57 分 42 秒YoroiminPoolCost棄権
13 時 00 分 45 秒Yoroik のポール棄権

投票力は、10 月 3 日朝の取得で EMURGO の DRep が 299,505,926 ada、Yoroi の DRep が 418,172,441 ada、合わせて 717,678,367 ada です。

理由書は議案ごとに置かれていますが、中身はほぼ同じです。EMURGO は次のように書いています。

「エコシステムで続いている状況を踏まえると、責任あるガバナンスには、完全な明確さと確信をもって行動することが求められる。現在の状況が解決に至るまで、EMURGO は、私たちの負託が求める確信を欠いたまま投票するよりも、判断を控えることを選ぶ。状況が解決したら、この提案を改めて検討する。」

Yoroi の理由書も、状況が許すようになった時点で立場を見直す、としています。どちらも議案の賛否の理由には踏み込んでいません。「状況」が何を指すのかも、理由書には書かれていません。

EMURGO は 8 月に、SecondFi の事案を受けて Cardano のガバナンスから一歩引き、DRep の登録を取り下げる方針を示していました。9 月 26 日には、7 つのステークプールの運営を Shunsuke Murasaki 氏に移したと告知しています。

棄権は、分母から外れます

DRep の票で可決を判定するときの分母は、賛成・投票済みの反対・常に不信任・未投票の合計で、棄権は分母から外れます。未投票は分母に残り、事実上は反対と同じ働きをします。大口が未投票から棄権へ移ると、反対として働いていた分が分母から抜け、残った賛成の割合が上がります。

minPoolCost で確かめます。いまの分母は 3,817,499,489 ada、賛成率は 17.42% です。仮に EMURGO と Yoroi が未投票のまま分母に残っていたとすると、同じ賛成の投票力で 14.66% になります。差の 2.76 ポイントは、賛成票が増えた分ではなく、分母が動いた分です。

もちろん賛成票そのものも、前号から 12 票・約 1 億 2,983 万 ada 増えています (投票済みの反対は 3 票・約 1,094 万 ada の増加)。賛成が反対を上回る幅は 44,553,298 ada から 163,446,522 ada へ開きました。2 つの要因が重なっているので、上げ幅を「支持が広がった」とだけ読むと、半分を読み落とします。

7. minPoolCost と OpenZeppelin、締切まで残り 9 日

2 件とも、最後に票を受け付けるのは日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒です。

区分minPoolCost (前号 → 本号)OpenZeppelin (前号 → 本号)閾値
DRep 賛成11.77% → 17.42% (48 票・665,061,604 ada)2.32% → 2.93% (10 票・129,704,259 ada)67%
DRep 投票済み反対24 票 → 27 票・501,615,082 ada41 票 → 53 票・1,431,202,398 ada—
DRep 棄権 (分母外)6 票 → 12 票・1,373,729,188 ada7 票 → 9 票・761,106,751 ada—
DRep 未投票2,514,718,054 ada2,733,110,520 ada—
委員会賛成 2 → 賛成 3賛成 2 → 賛成 32/3

minPoolCost は、届く計算はまだ成り立ちます。67% に要る追加の賛成は 1,892,663,054 ada で、未投票の 75.3% にあたります。この議案は経済パラメータの変更で、SPO の票は求められていません。SIPO の DRep は 9 月 15 日に棄権を投じていて、理由書はSIPO DRep:minPoolCost 75 ADA 単独案に棄権で公開しています。3 プールはいずれも固定費 340 ada を宣言しているので機械的な影響はなく、SIPO は「340 の既存勢力」の側にいます。

OpenZeppelin は、既に投じられた票が動かないかぎり、届く計算が成り立ちません。分母は 4,430,121,925 ada で、未投票の 2,733,110,520 ada がすべて賛成に回っても、賛成率は 64.62% です。投票済みの反対は賛成の 11.03 倍で、前号の 9.76 倍からさらに開きました。票は締切まで変更できるので、ここで書けるのは算術までです。期限を過ぎれば、議案は可決されないまま「失効」として記録されます。

利害を開示します。SIPO の DRep は、この議案に 9 月 25 日、反対を投じた当事者です。反対したのはこの版の提案に対してで、賛成に転じる 6 つの条件とあわせて、理由書を SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対 に置いています。

国庫の側の数字は前号から動いていません。エポック 613 以降に発効した引き出しは 457,395,629 ada で、2026 年の上限 500,000,000 ada に対して残りは 42,604,371 ada です。

8. 飽和点の線と、SIPO の 3 プール

ここは SIPO 自身の利害に触れるので、数字を先に開示します。10 月 3 日朝のチェーン上の流通量 36,786,187,632 ada を k で割った機械的な試算です。

k飽和点 (流通量 ÷ k)SIPO の 3 プール (エポック 658 終了時のライブステーク)
500 (現行)約 73,572,375 ada3 プールすべて下
1000 (提案)約 36,786,188 adaSIPO 53,603,682 ada = 超過 (1.457 倍) / SIPO2 25,387,648 ada / SIPO3 24,583,295 ada

SIPO の 1 号機は、前号の 53,862,342 ada から 53,603,682 ada へ、約 26 万 ada 減っています。委任者数は 1,112 のまま変わっていません。線との距離は少し縮みましたが、k=1000 の飽和点はなお下にあり、SIPO はこの変更で不利を負う側にいます。

SIPO の 3 プールと SIPO の DRep (10 月 3 日朝の投票力 89,029,859 ada・委任者 402) は、k のポールにまだ投票していません。投じるときは、立場と理由を理由書としてチェーン上に記録し、SIPO.TOKYO にも全文を置きます。

飽和点が効くのは報酬計算の上限で、ブロックを作る資格ではありません。エポック 658 の SIPO の 3 プールは、SIPO 48・SIPO2 22・SIPO3 28 の計 98 ブロックを作りました。委任している方は、いま預けているプールが上の線のどちら側かを、結果を待たずに今日確認できます。

9. ノードと道具

cardano-node 11.1.3 — IPv4 の読み取り順を戻す修正版

9 月 29 日、Intersect は cardano-node 11.1.3 を正式版として公開しました。リリースノートが挙げる変更は 1 点です。

「11.1.x より前のリリースは IPv4 アドレスをネットワークの順序でデコードしていたが、11.1.2 が意図せずそれを変えていた。これを、IPv4 のデコードにネットワークの順序を使う形へ戻した。」

IPv4 アドレスは 4 バイトの並びで、読む向きが違えば別のアドレスになります。台帳では、ステークプールが登録証明書に書くリレーの宛先に使われています。Cardano Foundation の 9 月 30 日のまとめは、更新に台帳の再生は要らない、と伝えています。

位置づけは、Intersect の週次更新 #131 がはっきり書いています。

「11.1.3 は不具合の修正のみで、セキュリティ修正ではないが、11.1.2 は Preprod テストネットで見つかった問題に対する優先度の高いアップグレードだった。すべての運用者は、最低でも 11.1.2 にいるべきだ。」

リリースノートにも「セキュリティ」の語はありません。11.1 系は、3 週間で 3 つ目の版になりました。

次は 11.2 と、Dijkstra のための憲法改正案

同じ #131 は、次の段も予告しています。11.2 のプレリリースが近く、Dijkstra の機能の大半 (新しいブロック形式と Plutus V4 の文脈) を含み、Leios は含まない。周辺のツールが統合の試験を始めるための版で、ハードフォークの準備はまだ整っていない、という位置づけです。

そして今週、CAP-12 が憲法改正のポータルに登録されました。

「いまの憲法のもとでは、付録 I に明記されたパラメータしかガバナンスで変えられない。新しいパラメータはまだ載っていないので、Dijkstra が稼働すれば、それらは稼働時の値で凍結され、コミュニティが調整する手段がなくなる。」

CAP-12 は新しいパラメータを 1 つずつ、何を制御するか、どの投票の区分に入るか (安全に関わるものは SPO の票を含む)、どの範囲で動かせるかの 3 段で書き足す案で、#131 は「純粋な追加で、既存の憲法は何も変えず何も削らない」と説明しています。パラメータ委員会が見積もる新しいガードレールは、Leios で約 100、Peras でさらに約 50 です。Dijkstra は、技術の変更と同時に憲法の変更を要する、はじめてのハードフォークになります。

SIPO の 3 プールは、9 月 24 日までにリレーとブロック生成ノードのすべてを 11.1.2 に揃え、Intersect が求める最低ラインを満たしています。3 プールとも Mithril の署名者としての登録を済ませ、署名への参加はエポック 659 からです (SIPO、全ノードを cardano-node 11.1.2 に更新)。11.1.3 への入れ替えの時期は、あらためてお知らせします。

そのほかの道具

  • Plutus 1.70.0.0 / 1.71.0.0 (9 月 29〜30 日)、Aiken 1.1.24 (9 月 26 日)、Lace 拡張 2.4.2 とモバイル 2.4.0 (9 月 29 日) が出ました。Lace 2.4 は、スワップを確定する前に、出ていくもの・手数料・行き先・担保・有効期限を並べて見せます。
  • Leios は、取引検証のベンチマークを、nix や Haskell の開発環境なしで動く単体の実行ファイルにして、SPO が自分の機器で回せるようにした、と IOG の週次報告 (10 月 2 日) が伝えています。
  • Hydra の新しいリリースは、今週もありません (直近は 9 月 2 日の 2.4.1)。Mithril も安定版の新しいリリースはありません。

10. FluidTokens、オラクルの不具合を突かれて貸し出しを一時停止

日本時間 9 月 30 日 9 時 57 分、Cardano の貸し借りプロトコル FluidTokens が、攻撃を受けて貸し出しを一時停止したと告知しました。約 1 時間後の続報の要点は 3 つです。

「攻撃者はすでに無力化され、スマートコントラクトをリバースエンジニアリングして恒久的にブロックした。」「攻撃はスマートコントラクトの脆弱性によるものではなく、オラクルのフィードの問題によるもので、1 つの市場に限られた。」「運用は 48 時間以内に全面的に再開する見込み。」

貸し借りのプロトコルは、担保の価格をもとに、借りられる上限や清算の水準を決めます。チェーンの中から取引所の価格は直接見えないので、価格を外から持ち込むオラクルが要ります。コードが設計どおりに動いていても、入ってくる価格が実勢とずれれば、担保の価値以上に借りられる余地が生まれます。チームの説明どおりなら、今回突かれたのは、コードに入ってくる数字の側です。

前号で扱った World Mobile Chain の件では、発行を承認する鍵が外に出ていました。その前の Hydra と Splash では、検証の前提が 1 つ省かれていました。今週は、外から入ってくる数字です。壊れた場所は、3 週続けて違う層にありました。

一方で、どの市場の、どのオラクルの、どんな不具合だったのか、被害額と返金の対象数、そして 48 時間以内という再開の見込みがどうなったかは、10 月 3 日朝の時点で、正式な事後報告としてはまだ示されていません。事後報告が出れば、FluidTokens 固有の問題か、Cardano の DeFi が共通して参照するデータ基盤の問題かを切り分けられます。

11. 入口の規格がそろい、新しいドルが入ってきました

CIP-113 が取り込まれ、PRIME が条件にしました

トークンに移転のルールを持たせる規格 CIP-113 が、日本時間 9 月 30 日 1 時 58 分に CIPs のリポジトリへ取り込まれました。2023 年 1 月の提案から 3 年 8 か月で、状態は Proposed です。所有者が変わるたびにスクリプトの実行を必須にすることで、凍結や差し押さえ、許可リストといった規則をトークンに持たせる仕組みで、ハードフォークは要りません。

同じ 9 月 30 日の朝、Cardano PRIME は「PRIME が資金を出すすべてのアプリは、CIP-113 で出す」と表明しました。ウォレットや保管業者が 1 度対応すれば、支援を受けたすべてのアプリに効く、という理由です。ただし CIP-113 そのものは、誰が凍結や差し押さえを実行できるかを決めていません。それは個別の下位規格 (サブスタンダード) で決まるので、同じ CIP-113 のトークンでも、発行者が残高を差し押さえられるものと、そうでないものがありえます。

PRIME の公募の締切は 2 週間延び、日本時間 10 月 15 日 12 時 59 分になりました。

RealFi は、3 つの入口と同時に始まりました

10 月 1 日夜、RealFi が Cardano のメインネットで稼働しました。ドルに連動する USDrf と、それを預けて利回りを受け取る sUSDrf が柱で、同じ夜に入口が 3 つ開いています。

  • 交換:SundaeSwap が新版 V4 を公開し、段階的な展開の最初の 2 プールの 1 つに、USDCx と USDrf を 1 対 1 で替える Linear Swaps のプールを置きました。
  • ウォレット:Lace に RealFi が組み込まれました。
  • 貸し出し:Liqwid が RealFi Hub を開き、USDrf への交換、ADA を担保にした借り入れ、sUSDrf への預け入れを 1 つの画面で扱えるようにしました。

ただし、入口が開いたことと、誰でも入れることは別です。Intersect の週次更新 #131 は「USDrf と sUSDrf は英国・米国・EU の人は使えないので、参加する前に条件を確かめてほしい」と添えています。sUSDrf の価値は上下し、利回りの保証もありません。

利害を開示します。SIPO は RealFi のアルファ・アンバサダーとして、RealFi の SPO アクセラレーター・プログラムに参加しています。

12. 組織と人の動き

  • Intersect の理事選は 9 月 28 日に、独立した監査を経て結果が公表されました。2 議席に 11 名が立ち、現職の Kavinda Kariyapperuma 氏 (67 票) と Adam Rusch 氏 (48 票) が再選です。投票したのは 139 名 (会費を払っている有権者の 25%) で、票は会員 1 人 1 票です。チェーン上の議案はステークで量り、理事会は会員の頭数で決める。数える単位が違います。
  • EMURGO と Yoroi の 7 プールは、9 月 26 日の告知で運営が Murasaki 氏に移りました。プール ID や手数料の条件は変わらず、新しい名称 MURA1〜MURA7 はエポック 660 (10 月 7 日朝) から有効です。旧名と新名の番号は一致しないので、照合はプール ID で行うのが確実です。
  • Cardano Foundation は、UCLA アンダーソン経営大学院との複数年の提携 (9 月 28 日)、ペトロブラスとの再生燃料の追跡アプリ 2 本の納品 (9 月 30 日)、Kraft Heinz などが参加する OpenFoodChain (9 月 30 日)、日本の Pacific Meta との提携 (10 月 1 日) を続けて発表しました。
  • チャールズ・ホスキンソン氏は 10 月 2 日、ニューヨークの国連本部で、Government Blockchain Association が国連の関連組織と組んで開いた 1 日の FinTech サミットに登壇しました。本人は X に「国連に来られてよかった」「国連での講演はうまくいった」と投稿し、講演の動画も公開しています。講演の中身は、書き起こしを一次で確かめられていないため、ここでは引用しません。

13. リスク・ディメンション

  • 利用 (Midnight の配備開放)。 メインネットのコントラクトは、事前の審査を経ずに配備されます。預ける先を確かめる作業は、利用者とウォレットの側にあります。監査の有無と配備の可否は、別の関門です。
  • 運用 (Midnight のノード)。 node-1.0.300 は同じ番号のまま配布物が入れ替わりました。取得したファイルはハッシュで特定しておく必要があります。
  • ガバナンス (分母の動き)。 EMURGO と Yoroi の棄権で、DRep の分母は約 7 億 ada 縮みました。minPoolCost の賛成率のうち 2.76 ポイントは分母の側の変化です。
  • ガバナンス (締切)。 minPoolCost と OpenZeppelin は 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒が締切です。委員会はあと 2 名、minPoolCost の DRep はあと約 18.9 億 ada の賛成が要ります。OpenZeppelin は、既に投じられた票が動かないかぎり 67% に届きません。
  • プールの経済 (SIPO 自身)。 SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点の 1.457 倍の位置にあり、この変更で不利を負う側にいます。SIPO はまだ投票していません。
  • DeFi (入力)。 FluidTokens は、原因はオラクルのデータで、コントラクトの脆弱性は関わっていないと説明しています。事後報告はまだです。同じデータ基盤を参照するプロトコルに預けている方は、報告の中身で影響範囲が切り分けられるまで、各プロトコルの告知を見ておく必要があります。
  • 運用 (Cardano のノード)。 11.1.3 は 11.1.2 の読み取り順の違いを戻す修正版で、Intersect は「セキュリティ修正ではない」と明記しています。最低ラインは 11.1.2 です。
  • 憲法 (Dijkstra)。 CAP-12 が整わないまま Dijkstra が稼働すれば、新しいパラメータは稼働時の値で凍結される、と Intersect は説明しています。技術の準備と憲法の準備が、同じ工程表に載りました。
  • 規格 (CIP-113)。 同じ CIP-113 でも、凍結や差し押さえの権限は下位規格で決まります。規格名だけで「安全」「自由」と読まないことが必要です。

14. 来週の注目

  1. エポック 660 の境界 — 日本時間 10 月 7 日 6 時 44 分 51 秒。MURA1〜MURA7 の新しい登録が有効になります。確認先は Cexplorer などのエクスプローラで、各プールの表示名と、ブロック生成が途切れずに続いているかです。
  2. minPoolCost と OpenZeppelin の締切 — 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒。委員会の 4 票目・5 票目が入るか、minPoolCost の賛成が未投票の 75.3% を取り込めるか。確認先は gov.tools の各議案のページです。
  3. FluidTokens の事後報告 — 影響を受けた市場、オラクルの名前、被害額、再開の状況。確認先は FluidTokens の公式 X アカウント (@FluidTokens) です。
  4. ノード多様性の日と TOKEN2049 — 10 月 6 日 (Amaru チームが主催・シンガポールとオンライン) と 10 月 7〜8 日 (Cardano Foundation のブース)。Midnight の関連イベントも同じ 2 日に並びます。確認先は Intersect の週次更新の次号です。
  5. Midnight のメインネット・ノードの次の版 — rc.4 のリリースノートは、メインネットを最初のブロックから同期し直す際の修正を 1.0.400 に回すと書いています。確認先は midnightntwrk/midnight-node のリリース面です。
  6. Midnight の配備申請フォルダ — 申請の受付が止まるのか、審査の枠組みの文書が利用者向けの目安として残るのか。確認先は midnightntwrk/midnight-improvement-proposals の deployments フォルダです。
  7. Enter Midnight City: Tokyo — 10 月 10 日 15 時、東京・白金台の八芳園。参加は承認制で、確認先は主催者の Luma の告知ページです。
  8. Cardano PRIME の公募締切 — 日本時間 10 月 15 日 12 時 59 分。確認先は Cardano PRIME の告知面です。
  9. k のポールの SPO 票 — 未投票の 87 億 ada がどちらへ動くか。締切は 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒、確認先は gov.tools の当該 Info Action のページです。SIPO の 3 プールの票と理由書も、ここに載ります。
  10. cardano-node 11.2 のプレリリースと CAP-12 — Dijkstra の機能の大半を含む 11.2 のプレリリースと、CAP-12 の最初の編集レビュー。確認先は IntersectMBO/cardano-node のリリース面と、憲法改正ポータルの CAP-12 のページです。

まとめ

今週いちばん大きく動いたのは、Midnight でした。10 月 2 日、メインネットのコントラクトを 1 件ずつ審査する段が外れ、開発者は追加の審査なしに配備でき、コントラクトが利用者に代わって別のコントラクトを配備することもできるようになりました。前号で「日付も公式のリリースノートもまだ」と書いた「近く」は、13 日後でした。

開放の手前では、版の中身が確かめられていました。node-1.0.300 は、チェーン上のランタイムと同じハッシュを再現するために、同じ番号のまま配布物が入れ替わっています。新系列の 2.1.0 も、新しいコンパイラも、まだメインネットの外にあります。門が外れたことで、どのコントラクトに預けるかを確かめる作業は、利用者とウォレットの側へ移っています。以前の審査も監査ではありませんでしたが、これからはその前段もありません。

Cardano の側では、数え方が 2 つの場所で問われました。k のポールは、前号の「数では賛成、量では反対」から、数でも量でも反対が上になりました。7 つのプールが同じ秒に、同じ理由書で反対を投じています。同じ Info Action に、委員会の 2 人は「判断の対象ではない」と「合憲」で読み方を分けました。どちらも是非には踏み込んでいません。

そして EMURGO と Yoroi が、3 件すべてに棄権しました。理由書は「状況が解決するまで判断を控える」とだけ書いています。棄権は分母から外れるので、minPoolCost の賛成率は 17.42% に上がり、そのうち 2.76 ポイントは分母の側の変化でした。割られる数が同じでも、割る数が動けば、割合は動きます。

SIPO は、この週も k のポールに票を入れていません。1 号機は k=1000 の飽和点の 1.457 倍の位置にあり、この変更で不利を負う側にいます。投じるときは、その立場と理由を、チェーン上とこの場所の両方に記録します。

参考・出典

本文で SIPO 自身の記事に触れた箇所は、その場でリンクしています。以下は一次ソースです。

透明性メモ

  • k ポールの「9.08 倍」:明示的な反対 505,040,034 ada を明示的な賛成 55,646,107 ada で割った値です。未投票の委任量は含めていません。
  • k ポールの分母と賛成率:賛成 55,646,107 ada に、反対として働く分 (明示的な反対・常に不信任・未投票) の 9,292,166,280 ada を足した 9,347,812,387 ada が分母で、賛成率は 0.595% (表示 0.60%) です。明示的な棄権と「常に棄権」の 619 プールは、議案本文の宣言どおり分母から外しています。未投票の 8,737,025,845 ada は、反対として働く分から明示的な反対と常に不信任 (50,100,401 ada) を引いた値です。
  • プール別の委任量:第 4 章の表のプール別の値は、10 月 3 日朝に取得した各プールの現在のエポックの有効ステークで、議案の集計値とは取得の経路が違います。そのため「約」で書き、合計の比較には集計値を使っています。
  • 同じ秒の 7 プール:BCSH 系 7 プールの反対が同じ秒・同じ理由書の URL で記録されていることは書きましたが、同じ運用者かどうかは書いていません。ATADA・ATAD2 も同じ扱いです。
  • 「反対が X%」を書いていない理由:公開 API が返す反対率には未投票と「常に不信任」の分が含まれます。そのため本文では、投票済みの反対を票数と ada 額だけで書いています。
  • EMURGO と Yoroi の投票力:10 月 3 日朝に取得した DRep の投票力です。棄権を記録した 9 月 30 日時点の値とは、わずかにずれている可能性があります。
  • 14.66% の仮定計算:minPoolCost の分母 3,817,499,489 ada に EMURGO と Yoroi の 717,678,367 ada を足した 4,535,177,856 ada で、賛成 665,061,604 ada を割った値です。2 つの DRep がほかの票を投じていたらどうなったか、という計算ではありません。
  • OpenZeppelin の 64.62%:賛成 129,704,259 ada に未投票 2,733,110,520 ada を足し、分母 4,430,121,925 ada で割った値です。棄権からの移動と、既に投じられた票の変更は含めていません。
  • 委員の名乗り:チェーン上の記録から取れるのは鍵のハッシュ値と任期エポックだけです。Ace Alliance と Tingvard の名は、投票に添えられた理由書が自分で名乗っているもので、本文ではその範囲で書いています。9 月 12 日に投じた委員は、理由書の名乗りを確認できていないため鍵の先頭で書いています。
  • 委員会の「賛成」の意味:Ace Alliance の理由書は、3 件とも合憲性の判断であることを明記しています。本文でも提案の是非への賛成とは書いていません。
  • EMURGO と Yoroi の棄権の理由:理由書が書いている「状況」が何を指すかは、理由書に書かれていません。本文では補っていません。SecondFi の事案への言及は、EMURGO が 8 月と 9 月 26 日の告知で自ら述べた範囲です。
  • SIPO の利害:k のポールについては SIPO の 1 号機が k=1000 の飽和点を超える側にいることと3 プール・DRep とも未投票であること、minPoolCost については3 プールとも固定費 340 ada で機械的な影響がないこととSIPO DRep が棄権したこと、OpenZeppelin については SIPO の DRep が反対を投じた当事者であること、RealFi については SIPO がアルファ・アンバサダーとして SPO アクセラレーターに参加していることを本文で開示しています。SIPO は Midnight の Nightforce のアンバサダーの一員でもあります。
  • 飽和点の試算:k=500 で約 73,572,375 ada、k=1000 で約 36,786,188 ada は、10 月 3 日朝のチェーン上の流通量 36,786,187,632 ada を k で割った機械的な試算です。SIPO の 3 プールの値は、エポック 658 の終了直後に取得したライブステークです。
  • 市場の値の取得時刻と、前号との接続:10 月 3 日の値は 6 時 35 分 29 秒、9 月 26 日の値は 7 時 30 分 11 秒の朝の定点観測です。前号は 9 月 26 日の終点に、定点観測の取得前に当方で取り直した 7 時 19 分 50 秒の値 (ADA $0.255395 など) を使っていました。本号の起点はその後に取得された定点観測の値なので、前号の終点とは一致しません。また 9 月 30 日の暗号資産の記録は、通常の取得先が応答しなかったため別の取得先 (Binance の現物・USDT 建て) の値で補われています。エポック境界の ADA (−3.13%) は境界の時刻ちょうどで取った値で、朝の値とは取得時刻が違うため週間 −6.44% とは一致しません。
  • セキュリティの語:cardano-node 11.1.3 のリリースノートと Intersect の告知には「セキュリティ」の語がないため、セキュリティ修正とは書いていません。
  • Midnight の配備開放の日付:Guillemot 氏の投稿 (10 月 2 日 14 時 54 分)、財団の告知 (16 時 37 分)、公式アカウント (16 時 42 分)、Intersect の週次更新 #131 は、いずれも 10 月 2 日を開始日としています。一方、引用した公式ブログの月次報告はページの表示日が 9 月 28 日で、本文には「今日から」とあります。ブログがいつ公開されたかは確認できなかったため、本文では日付を X の告知と #131 に合わせ、ブログからは変更の中身だけを引いています。同じブログはノードを「1.0.3」と書いていますが、GitHub のタグは node-1.0.300 で、本文はタグの表記に合わせました。
  • Midnight の配備開放と版番号:今回の開放が、Guillemot 氏の言う v8 にあたるのかは、告知の文面から確認できないため書いていません。
  • FluidTokens の被害と再開:市場名・オラクル名・被害額・返金の対象数は、10 月 3 日朝の時点で公表されていないため書いていません。返金の完了や再開を伝える続報も、本稿では一次の投稿で確認できた範囲に入っていないため書いていません。
  • ホスキンソン氏の講演:登壇の事実と本人の投稿の逐語までを書き、講演の中身は書き起こしを一次で照合できていないため引用していません。
  • 台帳の再生が要らないこと:cardano-node 11.1.3 のリリースノート本文には明記がなく、Cardano Foundation の 9 月 30 日のまとめの記述によります。
  • NIGHT の週間騰落の系列:本文の +85.76% は朝の定点観測の系列です。CoinGecko の 7 日の値 (10 月 3 日 7 時 21 分時点) は +92.18% で、取得時刻と系列が違うため一致しません。
  • 価格と出来事の関係:結びつけていません。NIGHT の +85.76% についても、同じ週の Midnight の配備開放とは関連づけていません。

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