LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
HOME日本語版 › 動かす人が、要る──1億2,000万ADAが批准のまま止まり、橋が開き、委員会の席が問われた5日間
日本語版

動かす人が、要る──1億2,000万ADAが批准のまま止まり、橋が開き、委員会の席が問われた5日間

2026-08-18SIPO

エポック649(2026年8月13日〜8月18日)

序章:通ったあとに、誰が動かすのか

投票で決まるのは「やるかどうか」までです。決まったものが実際に動くには、動かす人と、動かすための場所が要ります。契約を管理する主体、署名する委員、鍵を登録する運用者、そして資産が通る経路。どれが欠けても、可決した文面はそのままの形で止まります。

エポック649は、そこが並んで見えた5日間でした。

前のエポックの境界で批准された1億2,000万ADAは、この5日間を通じてまだ執行されていません。同じ期間に、可決した資金がどこへ動くのかを追える画面に2026年度分が追加され、資金を運ぶ契約と、それを確認する5つの組織の名前が公開されました。憲法委員会の入れ替えについては、成立しなかった場合に委員が7名から3名へ減り、ガバナンスが2種類の議題しか通せなくなる、という条件が初めて表に出ています。Cardanoと Midnight をつなぐ経路がメインネットで開き、ステーブルコインが実際に一度渡りました。そして次のエラのあと、ステークプールは鍵をもう1本登録することになる、と書かれました。

前回のエポック648を、SIPOは「渡し方が、先に決まる」の5日間として記録しました。1億2,000万ADAが可決ラインを越え、助成金の支払いが実績連動の三段に分かれ、プールの報酬に上限が、可変手数料に下限が置かれようとしている——渡す前に条件が動いた回です。

エポック649で起きたのは、その次の段です。条件が決まったあと、それを誰が、どの席で、どの鍵で動かすのか。決定は文面として残りますが、実行は人と手続きの側にあります。

軸は「動かす人が、要る」です。

第1章:批准のまま、まだ動いていない1億2,000万ADA

エポック648の記事の終章で、SIPOは7つの確認点を挙げました。その一番目が「PRIMEの執行」です。

Withdraw 120,000,000 ada for AlphaGrowth’s Cardano PRIME(Action ID: gov_action122wue2k65qq8gmpz795z2axt8apka6ay6xt3pwg8jxj5yfkujmtsqvlfpu7/action_ref: 529dcc…6d700)の状態を、2026年8月18日7時27分(JST)に確認しました。ratified_epoch649enacted_epochまだ立っていません。財務引出額は120,000,000 ADA。エポック642に提出され、期限はエポック649でした。

票のほうは、前号から1票も動いていません。

区分投票力割合
賛成3,678,476,395.10 ADA80.10%
明示的な反対352,139,395.62 ADA7.67%
No Confidence171,179,298.20 ADA3.73%
未投票390,547,910.60 ADA8.50%

批准の分母は4,592,342,999.51 ADA、可決の基準は67%です。棄権(Abstain)の701,069,711.79 ADAは、Cardanoのガバナンスの定義どおり分母から外れています。票数ではDRepの賛成154票・反対39票・棄権12票、憲法委員会は7議席のうち6議席が賛成、反対0、未投票1。批准された時点で投票は締め切られているため、これらの数字はエポック648の記事に載せたものと同一です。

動いていないのは票だけではありません。資金もです。

批准(ratified)と執行(enacted)は別の段である、と前号で書きました。批准は「可決された」という状態で、実際に国庫から資金が出るのは次の段です。通常、その次の段は批准の次のエポック境界にあたります。エポック649の終了境界は8月18日6時44分(JST)で、本稿の確認時点はその43分後です。

ここは断定しません。確認時点で enacted_epoch が立っていないという事実には、二つの読み方があり得ます。ひとつは、境界直後で集計への反映がまだ届いていない可能性。もうひとつは、執行そのものがまだ起きていない可能性です。43分という距離では、この二つを分けられません。分けられないものを、分かったことにはしません。 次のエポックの記事で、enacted_epoch が立っているかどうかを確認します。

そのうえで、この5日間についてはっきり言えることが一つあります。エポック649の期間中、1億2,000万ADAは動いていません。 可決から批准まで2週間で33.23%から80.10%へ駆け上がった提案が、批准のあと、静かに止まっている状態が5日間続きました。

動いていないもの、もう一つ

同じ「まだ動いていない」で並ぶ数字が、別のところにもありました。

8月14日、SIPOは SecondFi の移行ツールについて、公開がアプリストアの審査待ちで翌週へ回ったこと、返還用に用意された1,610万ADAがまだ動いていないことを記事にしています。あわせて、移行にともなってステークプールとDRepへの委任が自動的に外れること、そして現時点で「移行ツール」をうたうリンクは全て偽物であることを注意喚起しました。

用意された資金と、それを受け取るための道具。片方が揃っていても、もう片方が動くまで、利用者の手元では何も起きません。 この5日間には、そういう形の「止まっている」がいくつも並びました。

第2章:可決した資金の行き先が、同じ画面に載った

執行が見えないなら、見える場所を作る——という動きが、同じ5日間に出ています。

8月14日、Intersect は2026年度の財務準備スマートコントラクト(TRSC)の動きを公開ダッシュボードで追えるようになったと発表しました。すでに動いていた2025年度の契約に、2026年度分が並んだ形です。

You can now track activity on the 2026 Treasury Reserve Smart Contract (TRSC) for treasury withdrawals administered by Intersect on the public treasury dashboard, in addition to the 2025 TRSC.

(Intersect が管理する国庫からの引き出しについて、2025年度のTRSCに加えて、2026年度のTRSCの動きを公開の財務ダッシュボードで追えるようになりました。)

新しい仕組みが始まった、という話ではありません。見る面が1年分増えたという追加です。ダッシュボードは Sundae Labs のドメイン(treasury.sundae.fi)で公開されています。

資金は二段で動く

ここで見ているものを正確に読むには、契約が二種類あることを押さえておく必要があります。

ひとつが財務準備契約です。国庫から引き出されたADAを保持する口座にあたり、送り先はあらかじめ限定されています。Intersect の説明では、他の財務契約・ベンダー契約・国庫への返却のいずれかにしか送れません。個別の契約内容が固まっていない段階でも資金を受け止められるように、柔軟な割り当てを想定した設計です。

もうひとつがベンダー契約で、こちらはプロジェクトごとに作られます。ベンダー組織・総額・マイルストーンを含む支払いスケジュールが指定され、マイルストーンが満期を迎えると資金が解放されます。運用側が取れる行動には名前がついています。準備契約からベンダー契約へ資金を割り当てる Fund、問題が確認されたときにマイルストーンの支払いを一時停止する Pause、その解除にあたる Resume、契約内容を変更する Modify の4つです。

可決した金額がそのままベンダーへ渡るのではなく、いったん準備契約に置かれ、そこから進み方に合わせて出ていく。今回2026年度分が見えるようになったのは、この最初の受け皿のほうです。

第1章の1億2,000万ADAが、まさにこの経路を通ることになります。批准された金額が国庫を出て、どこに置かれ、どういう条件で出ていくのか。前号で「渡し方が先に決まる」と書いた条件が、実際に守られているかどうかを、同じ画面で見られるようになった、ということです。

確認する側にも、名前と人数がある

この仕組みには外部の確認役が置かれています。Oversight Committee は5つの組織で構成され、Sundae Labs・Xerberus・NMKR・Dquadrant・Cardano Foundation が名前を挙げられています。

役割の書き方が具体的です。委員会の役割は「データ保証に狭く限定される」と明記されており、確認の対象はベンダー契約の展開・資金の支払い・契約の変更・管理上の操作の4つです。金額や宛先が事前に承認された内容と合っているかを照合する役であって、すでに決まったガバナンス判断そのものに裁量を及ぼすことはない、という線が引かれています。

署名の閾値も公開されています。通常の操作は5名中2名、枠組みの外での支払いなど、より慎重を要する操作は5名中3名の承認が必要です。承認が要るということは、Intersect が単独で動かせる範囲が構造として狭められている、ということでもあります。

2026年度から、Intersect が管理する国庫引き出しには3%の管理手数料が適用されます。マイルストーンの監督・ベンダーとの調整・報告・調達・契約・支払いを支えるもの、という説明です。同時に、引き受けていない役割も明示されています。提案の是非を評価することはなく、資金提供の主体としてふるまうこともない、と書かれています。

何に出すかを決めるのは投票の側で、決まったものを契約どおりに運ぶのが管理の側。この分担を前提にすると、ダッシュボードで確認できることの性質も見えてきます。そこに出るのは「合意された手順どおりに資金が動いているか」であって、「その支出が正しかったか」ではありません。後者は引き続き、提案を読んで投票する側の仕事として残ります。

第3章:席が3つ欠けると、通せる議題が2種類になる

動かす人が要る、という話が最も直接的な形で出たのが、憲法委員会の入れ替えです。

Intersect の週次更新 第124号(8月14日付)に、これまで表に出ていなかった条件が書かれました。2026年の選挙は終了し、入れ替えのアクションは7月31日にオンチェーンへ提出されています(Update Constitutional Committee 2026/Action ID: gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5)。このアクションにはDRepとSPOの票が必要で、憲法委員会自身は棄権します。期限は9月1日、エポック653です。

問題は、成立しなかった場合です。

更新によれば、既存の任期が終わる前にこのアクションが通らなければ、委員会は7名から3名に減り、必須とされる最低人数の5名を下回ります。その状態ではガバナンスが滞り、Info Action と、委員会を更新するアクションだけしか通せなくなる、と説明されています。復旧するまでその状態が続く、とも書かれています。

読み替えると、こうなります。期限までに席が埋まらなければ、次のエポックから、国庫の引き出しもパラメータの変更もハードフォークも、一切通せなくなる。 通せるのは、拘束力を持たない情報提案と、この委員会をもう一度入れ替えるための提案だけです。

ガバナンスが止まるかどうかが、人数という一点にかかっている状態です。第2章で見た署名の閾値(5名中2名/5名中3名)も同じ構造で、手続きが動くための最小人数が先に決まっていて、それを割ると手続きそのものが止まります。

このアクションについて、本稿は票の内訳を数字で出しません。SIPOが一次として確認している公開集計に、この提案の憲法委員会側の票数が載っていないためです。確かめられない数字を、推測で埋めることはしません。 一次で確認できるようになった時点で出します。

名前を決める提案は、賛成が半分を超えても通らない

同じくガバナンスの席に関わる話として、投票中の情報提案の数字も出しておきます。

Name the Protocol Version 12 hard fork “von Bergen”(Action ID: gov_action1fzatpjn3e3r09mjzzfptznef9wxg8q4a5uraq04xvfjyhmfzhzfsqqgfc9h)は、8月18日7時27分(JST)の確認時点でこうなっています。

区分投票力割合
賛成2,017,310,587.03 ADA52.97%
明示的な反対1,369,758.17 ADA0.04%
No Confidence169,762,414.16 ADA4.46%
未投票1,620,095,385.02 ADA42.54%

分母は3,808,538,144.38 ADA、棄権の1,424,862,476.22 ADAは除かれています。エポック644に提出され、期限はエポック651。前号の時点では賛成38.28%・未投票58.13%でしたから、5日間で賛成は約15ポイント伸びています。

ただし、情報提案の閾値は100%です。賛成が半分を超えても、明示的な反対が0.04%しかなくても、未投票が42.54%ある限り成立しません。憲法委員会側では反対2・棄権1・未投票4で、賛成は0です。

ハードフォークの名前を決めるだけの提案が、100%という基準の前で期限を迎えようとしている。投票が「反対されて落ちる」のではなく「参加が足りずに終わる」形は、この5日間に並んだ他の話とも重なります。 席が埋まらない、票が足りない、鍵がまだ登録されていない——動かすために必要な人数が、どれも揃っていません。

第4章:22.80%から32.97%へ──固定費の下限は、SPOの票を待っている

前号の確認点の三番目、minPoolCost の提案は、この5日間で最も数字が動いた投票でした。

Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)(Action ID: gov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk)。プール運営の固定手数料の下限を170 ADAから75 ADAへ引き下げ、Plutusの実行メモリ上限の引き上げを当初計画の25%まで完了させるパラメータ変更です。エポック646に提出され、期限はエポック653

8月18日7時27分(JST)の確認時点で、DRep側の内訳はこうなっています。

区分投票力割合前号(8/14時点)
賛成1,414,892,129.67 ADA32.97%22.80%
明示的な反対44,049,205.82 ADA1.03%0.73%
No Confidence169,762,414.16 ADA3.96%3.27%
未投票2,663,155,180.53 ADA62.05%73.19%

分母は4,291,858,930.18 ADA、棄権の941,548,010.24 ADAは除外。票数ではDRepの賛成78票・反対10票・棄権9票で、前号の65票・7票・7票から増えました。憲法委員会は7議席のうち2議席が賛成、5議席が未投票で、こちらは前号から変わっていません。

5日間で賛成が10ポイント伸び、未投票が11ポイント減りました。 前号は5日間で7ポイントの伸びでしたから、加速しています。明示的な反対は1.03%で、賛否が割れているわけではありません。動いているのは「賛成か反対か」ではなく「投票したかどうか」のほうです。

閾値は67%。期限はエポック653で、エポック650に入った時点で残るのは650から653までの4エポック分になります。

なぜPlutusのメモリ上限が、SPOの話になるのか

この提案には、もうひとつ特徴があります。DRepだけでなく、SPOの票も要るという点です。

理由は束ね方にあります。提案の説明によれば、minPoolCost はガバナンスにとって重要なパラメータ(DRepの投票が要る区分)であり、maxBlockExecutionUnits[memory] はブロックチェーンの運用にとって重要なパラメータ(SPOの投票が要る区分)です。この2つが1本の提案に束ねられているため、両方の票が必要になります。

閾値はどちらも単純多数で、SPOは有効なブロック生成ステークの過半——オンチェーンの設定では51%——の賛成が要ります。固定費の下限そのものがSPO投票を要求しているのではなく、束ねられた結果としてSPOが全体を審議する形になった、と提案自身が説明しています。

Plutusのメモリ上限の中身は、2段階の後半です。1段目で maxTxExecutionUnits[memory] が14,000,000から16,500,000へ、maxBlockExecutionUnits[memory] が62,000,000から72,000,000へ上がりました。今回の2段目で、それぞれ17,500,000と77,500,000になります。累計で25%の引き上げです。1回のガバナンスアクションで上げられる幅に上限があるため、2回に分ける必要がありました。

SPO側の集計そのものは公開されており、SIPOもWeekly Brief #19で別途扱っています。ただし本稿では、SPO側の割合を数字で出しません。 投票力の割合は分母の取り方——全プールのステークで割るのか、有効なブロック生成ステークで割るのか——によって変わります。分母を確かめないまま数字を並べると、DRep側の割合と同じ意味に見えてしまいます。分母を明示できる形で確認したうえで出します。

実務の面では、週次更新がSPO向けに一つ助言を添えています。SPOの票が要るアクションは現在2件あり、同時に済ませればコールドキーに触れる回数を1回に減らせる、という書き方です。鍵を保管庫から出す作業をともなう運用者にとって、これは日程の組み方に直接効きます。動かす人の手間を減らす、という種類の配慮です。

第5章:橋は開いた。まだ、量は動いていない

前号の確認点の五番目は、「8月13日にCardanoとMidnightの両方で本番稼働する」と告知されていた案件が、告知どおり動いたかどうかでした。

動きました。

8月13日から14日にかけて、VIA Labs のクロスチェーンネットワークがメインネットで稼働し、CardanoとMidnightが同じ経路につながりました。VIA側の告知によれば、この経路は150を超えるブロックチェーンにまたがります。利用者と開発者が今日から何をできるのかも、三点で示されています。

What you can do today:

→ Move USDM between Cardano and Midnight, in either direction

→ Send messages between smart contracts on both chains

→ Build apps that link the two ecosystems with EVM chains across the VIA network

(今日からできること:USDMをCardanoとMidnightの間で双方向に移動できる/両チェーンのスマートコントラクト間でメッセージを送れる/VIAネットワーク上のEVM系チェーンと二つのエコシステムを結ぶアプリを作れる。)

読み飛ばされやすいのは二つ目です。資産が動くだけなら「置き場所が増えた」で終わりますが、コントラクト同士が声を掛け合えるなら、処理を分担させる設計が書けます。人に見せたくない計算だけをMidnight側で行い、結果だけをCardano側へ返す——プライバシーを目的地ではなく部品として使う、という組み方です。

Cardano側とMidnight側のどちらの実装も、メインネット稼働の前に Anastasia Labs の監査を受け、報告書は公開されている、と告知に明記されています。監査を受けたから安全だ、とは言えません。ただ「監査を受けたのか」「報告書は読めるのか」は、読者が自分の目で確かめられる数少ない手がかりです。

そして、USDMがMidnight上に展開できる状態になり、CardanoからMidnightへの送金が実際に完了したことも報告されました。設計が正しいことと、一往復することの間には距離があります。今回はその距離が一つ埋まりました。

渡った資産で、最初の一手が打てるようになった

翌日、経路のもう一方の端にも変化がありました。SundaeSwap の告知によれば、Midnight の対応 dApp で、取引手数料を DUST ではなく USDM で払えるようになりました。Capacity Exchange を経由する仕組みで、当面は Sundae Labs が1トランザクションあたり$0.02でスポンサーするとしています。

Midnight は「NIGHT を持っていなければ何も動かせない」構造で設計されたネットワークです。手数料に使う DUST は遮蔽されており譲渡できず、取引所で買ってくることもできません。NIGHT を保有していると時間とともに生成され、1 NIGHT が生む DUST の上限は5、満タンまでおよそ1週間——これが前号で扱った設計です。

入口から見ると、この構造は距離があります。まず NIGHT を手に入れ、登録し、DUST が溜まるのを待つ。そこに別の入口ができた、というのが今回の中身です。資産が渡れるようになっただけでは、渡った先で何もできません。渡った資産で最初の一手が打てるところまで揃って、ようやく入口になります。

ただし、価格は当面のものだと告知の中に明示されています。$0.02 は引き受け手が肩代わりする額であって、手数料の原価が発表されたわけではありません。両者を混ぜて読むと、あとで価格が動いたときに「値上げされた」と誤解することになります。また、Capacity Exchange の仕組みそのものは、Midnight の公開ドキュメントにはまだ記述がありません。文書として出てくるかどうかは、これが一時的な施策なのか基盤の一部なのかを見分ける材料になります。

「動き出した」と「使われている」の距離

8月17日には、Ascend が「perps are now live on Midnight mainnet」と告知しました。ただし、Ascend 自身のサイトと開発者向けドキュメントは、いま提供されている段階を「private mainnet beta」と表記しています。テストネットは終了しメインネット上で動いている——ここまでは告知と一致しますが、誰でも開いて取引できる状態としては案内されていません。

商品の輪郭にも注意が要ります。告知の「Trade BTC and ADA perps with leverage!」だけを読むと通常の無期限先物を思い浮かべますが、公式サイトが売買の対象に置いているのは「probabilities(確率)」で、市場カテゴリも Politics・Crypto・Economy・Sports・Geopolitics・Macro という出来事の分類です。Midnight 公式のカタログも「events perpetuals exchange」と記述しています。告知が誤りだとは言えません——カテゴリには Crypto が含まれ、現物 DEX も併記されています。ただ、告知の一文だけを受け取ると、実際の商品像とはずれます。

そして、この5日間でもう一つ確認しておきたい数字があります。Cardano上のUSDMの総額は、ほぼ動いていません。 後述するオンチェーンKPI(基準日8月16日)では、USDMは$9,625,472。前号の$9.64Mから、目立った増減はありません。

橋は開き、監査報告は公開され、一度は実際に渡り、渡った先で手数料も払えるようになりました。経路は揃いました。ただ、まだ量は動いていません。 経路が開いたあとに問われるのは、通る中身が続くかどうかです。ここは次号以降で追います。

第6章:Dijkstraの後、SPOは鍵をもう1本登録します

動かす人の手元に、具体的な作業が一つ増えることが分かりました。

Intersect の週次更新 第124号は、Dijkstra に続いて Leios がブートストラップ期に入り、そのあいだにステークプールが BLS 鍵を登録すると述べています。SIPOはこれまで Dijkstra について「範囲が決まる」「土台の実装が入る」という段階を追ってきました。今回は、決まったものがプール運営者の手元の作業として現れる最初の記述です。

この鍵が何であるかは、Leios の仕様である CIP-0164(Ouroboros Linear Leios)に書かれています。仕様は、Leios の投票参加者およびブロック生成ノードとして参加するために、プール運営者は既存の VRF 鍵・KES 鍵に加えて、投票方式のための暗号鍵をもう1本登録する必要があると規定しています。鍵は BLS12-381 という楕円曲線上のもので、委員会に選ばれたノードがエンドーサーブロックへ投票し、その署名をまとめて1本に集約するために使われます。

署名を1本に畳めることが要点です。 多数の投票をそのまま運ぶのではなく、集約した形で持ち回れるからこそ、スループットを上げる設計が成り立ちます。プール運営者から見れば、鍵の登録は KES 鍵の更新と同じく運用作業の側にある話です。ただし CIP-0164 はまだ Proposed の段階で、ブートストラップ期の移行手順そのものは仕様の中に細かく書かれていません。いつ、どの手順で登録するのかは、これから示される準備情報を待つ部分になります。

受け皿は、先にできている

同じ週の開発レポート(8月14日付)では、コンセンサス層のライブラリ ouroboros-consensus 4.0.0.0 と 4.1.0.0 のリリースが報告されました。レポートはこの2本を「Dijkstra era へのハードフォーク能力を可能にするもの」と位置づけています。GitHub上のタグでは、4.0.0.0 が7月30日、4.1.0.0 が8月11日に切られています。

era の切り替えは、当日にスイッチを入れれば済むものではありません。新しい era のブロックを解釈できるコードが、切り替え前のノードにあらかじめ入っている必要があります。ハードフォークが実行される前に、それを受け止める側の実装が入る——今回のリリースはその順序どおりの動きです。

Leios 側も一歩進みました。コンセンサスチームが公開したプロトタイプで、ノードがエンドーサーブロックのアナウンスメントを生成してピアへ送るようになった、と報告されています。ブロックそのものを撒くのではなく、まず「ある」と知らせてから中身をやり取りする方式の、最初の段階です。前号で扱ったテストネットの一周から、伝播の作り込みへ軸足が移ってきました。

11月に、もう一つのノードがブロックを作りにきます

同じ更新で、Amaru の状況も報告されています。Amaru のノードは現在リレーとして動作し、検証を行い、チェーンの先端まで同期している。そのうえで、メインネットでブロックを生成することを2026年11月に目標として置いている、と書かれています。

Amaru は PRAGMA が開発している、Rust で書かれた Cardano のノードクライアントです。ブロックを作る実装が増えるということは、ネットワークがどれか1つの実装の挙動だけに依存しなくなるということです。11月という月は目標として置かれたものであり、確定した日程ではありません。

調整に、名前と期間がついた

8月13日、Intersect は Nick Clarke 氏を Director of Cardano Technology として迎えたと発表しました。

In his new role, @nc_cardano will lead Intersect’s technical coordination team across the range of support, stewardship and services we provide to Cardano and its technical ecosystem.

(新しい役割では、Intersect が Cardano とその技術エコシステムに提供する支援・受託管理・サービスの全般にわたって、技術調整チームを率いることになります。)

紹介されている経歴は、台帳とノードの側に集まっています。2018年の Byron 期の書き直しから Cardano に関わり、台帳チームの立ち上げに携わり、台帳のコア部分と Praos プロトコルに貢献し、ノードのリリース管理に取り組んだこと。Intersect 内部でも、オープンソース委員会の議長、技術運営委員会の一員、セキュリティ評議会の設立とその後の在任が並記されています。

そして、期間と中身が明示されています

Over the next six months, that will include taking a lead role in coordinating the Dijkstra upgrade, alongside continuing to strengthen our security and incident response capability.

(今後6か月間、それには Dijkstra アップグレードの調整で主導的な役割を担うことと、セキュリティおよびインシデント対応の能力を強化し続けることが含まれます。)

キーワードは coordination(調整)です。Intersect 自身が全部を作るのではなく、複数の開発主体が並行して進めているものを、リリースやハードフォークという1本の時間軸に合わせていく仕事の呼び名です。

鍵を登録するのは運用者、ブロックを作るのは実装、受け皿を用意するのはライブラリ、そして日程を合わせるのは調整役。Dijkstra という一つの切り替えに、これだけの動かす人が要る、という並びが、この5日間で出揃いました。

誰が「動かしている」のかを、順位なしで並べた一覧

もう一つ、同じ週の小さな出来事を添えておきます。8月15日、Cardano の公式アカウントが cardano.org の企業一覧ページを紹介しました。添えられた一文は「Entities building on Cardano, listed as equals. No spotlight, no ranking, no pay to play」——対等に並べる、特集枠も順位も有料掲載もない、という説明です。60の企業・団体がアルファベット順に並び、Cardano Foundation・EMURGO・Input Output・Intersect・PRAGMA の5主体も別枠に切り出されず、該当位置にそのまま置かれています。Guild Operators や PoolTool、Koios Team といった、SPO が日々の運用で触っている道具の作り手も同じ格子の中にいます。

掲載の入口には条件が置かれています。「working today on Cardano mainnet, no coming soon, no preview, no promises, no token sales」——今日メインネットで動いていること。約束ではなく、動いている実績で測る、という条件です。ただし順位をつけない以上、この一覧から各社の規模も稼働の活発さも読み取れません。並んでいることは、同じ重みを持つことを意味しません。

第7章:エポック649 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック649期間・8月13日〜8月17日の日次記録)

はじめに一点、記録の性質についてお断りしておきます。この期間には土日が含まれます。株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれるため、8月15日以降の株式系の記録は8月14日時点の値のまま動いていません。以下では、据え置きが分かる箇所にその旨を添えます。

ADAは記録の初日8月13日に$0.181849、最終日8月17日に$0.175862−3.3%です。この5日間の記録のなかでの最高値は8月14日の$0.182396でした。12指標は1日1回の記録なので、日中の高値・安値ではありません。

エポック境界の確定値では、エポック648終了時の$0.180906からエポック649終了時の$0.174053へ、−3.8%。時価総額は$6.76bから$6.50bへ減りました。ADA/JPYは¥27.75、そのときのUSD/JPYは159.43です。前号は境界価格で−10.2%でしたから、下げは続いていますが、幅は3分の1に縮んでいます。

$NIGHTは$0.01736 → $0.01712(−1.4%)。期間の記録では8月16日の$0.01741が最高でした。ADAと同じ方向に、より小さく下げています。

BTCは$63,445 → $62,794(−1.0%)、ETHは$1,878.91 → $1,873.83(−0.3%)。前号ではADAの下げ幅がBTC・ETHより明確に大きく出ていましたが、今回もADA(−3.3%)のほうが大きく下げました。2エポック連続です。 原因は断定しません。事実として記録し、次のエポックで水準が戻るかを見ます。

株式は、S&P500が7,748.50 → 7,785.76(+0.5%)、ナスダックが26,588.49 → 26,729.16(+0.5%)、ダウが53,770.27 → 53,732.41(−0.1%)。いずれも最終記録は8月14日時点の値で、週末以降は据え置かれています。VIXは14.55 → 14.25へ低下しました。

為替と金利では、USD/JPYが159.412 → 159.307とほぼ横ばい。ドル指数(DXY)は99.985から99.656へわずかに低下、米10年債利回り(TNX)は4.682%から4.696%へ小幅上昇(最終記録は8月14日時点)。

日本国債の長期金利が、記録のうえで節目に乗りました。 10年が2.815% → 2.873%、30年が3.957% → 4.002%で、30年は4%台に入っています。日米10年金利差は1.867から1.823へ縮小しました。ただし日本国債の記録は8月13日時点の値が最終で、そこから据え置かれています。期間後半に動いたかどうかは、この記録からは読めません。 前号では10年2.804%・30年3.925%でしたから、記録上は両方とも上昇の続きにあります。

商品では、WTIが$82.77 → $82.57(−0.2%)、ブレントが$88.58 → $88.79(+0.2%)。前号は原油が8%台の急騰でしたから、上げたあとの高止まりという記録です。金は$4,460.60 → $4,430.90(−0.7%)で、期間の記録では初日の$4,460.60が最高でした。日経平均先物は68,600から68,950へ+0.5%、暗号資産関連株のCOINは149.04から148.47へ−0.4%(最終記録は8月14日時点)。

記録上の地合いは、5日間で「方向感薄い横ばい局面」→「リスクオン傾き」→「リスクオフ傾向」→「方向感薄い横ばい局面」→「リスクオフ傾向」と行き来しました。前号は後半で明確に反転しましたが、今回は方向が定まらないまま終わっています。

Cardano オンチェーンKPI(Dune Analytics経由)

※自動集計の基準日は2026年8月16日 23:59:09 UTC(エポック649の期間内)です。この日は日曜にあたります。 前号の基準日は火曜(8月11日)でしたので、取引件数の比較には曜日の差が含まれます。ステーキング関連はエポック649:100%時点の実測を第9章に併記します。

  • ステーキング率:57.58%(Dune算出・8月16日基準)/エポック649:100%時点の実測では57.06%
  • Nakamoto係数:164(前回164・3回連続で横ばい
  • 日次トランザクション:13,228(8月16日・日曜)/前号の基準日は16,946でしたから、約22%減
  • アクティブアドレス:9,513/前号の9,765から約3%減
  • Script Tx比率:32.05%/前号の33.09%から低下
  • ステーブルコイン総額:$62.55M(USDCx $44.02M/USDM $9.63M/USDA $4.45M/Djed $2.22M/iUSD $1.58M/USDC $0.48M ほか)/前号の$62.41Mから約0.2%増
  • Treasury残高:1,450,053,249 ADA(エポック649基準)/前号の1,446,440,676 ADAから約361万ADA増
  • ガバナンス:提案中 4件/批准 0件/失効 69件(8月16日 23:59:09 UTC 基準)

三つ、読みを添えます。

取引件数は2エポック続けて下げましたが、今回は基準日が日曜です。 前号でSIPOは「16,946件・9,765・32.05%が前号の水準へ戻るか、この水準に落ち着くか」を三つ目の点として置きました。数字は13,228件・9,513・32.05%で、いずれもさらに低い位置に置かれています。ただし平日と日曜を並べた比較である以上、これを「傾向が続いた」と読むのは早すぎます。アクティブアドレスの減り方が約3%にとどまっている点も、取引件数の−22%と性質が違います。次のエポックで、平日基準の点をもう一つ置いてから判断します。

ステーブルコインは横ばいで、内訳もほとんど動いていません。 総額は$62.41Mから$62.55Mへ約0.2%増。増分はほぼUSDCxで、USDMは$9.64Mから$9.63Mとほぼ変わりません。第5章で見たとおり、この5日間はUSDMがCardanoとMidnightの間を渡れるようになった期間です。経路が開いた週に、渡る側の残高は動いていない。 橋の話と残高の話を、同じ画面で並べておきます。

Treasuryは約361万ADA増えました。 前号は約194万ADA増でしたから、増分そのものは倍近くになっています。1億2,000万ADAの引き出しが執行されれば、この残高は逆向きに動きます。第1章で書いたとおり、確認時点でその執行は確認できていません。次号のTreasury残高は、執行の有無を映す数字の一つになります。

SIPO DRep 活動

SIPO DRepの投票力は、2026年8月18日の確認時点で約₳88.70Mです(active・有効期限エポック667・委任者370名)。エポック648記事の時点では約₳88.82M・371名でしたから、₳0.12Mほど減り、委任者は1名減っています。 取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

この5日間、SIPOは新たに決着した提案への投票記録を公開していません。第1章のPRIMEについてSIPOが投じた賛成票は、批准とともに確定しています。

第8章:エポック649 配信記事の紹介

エポック649(8月13日〜8月18日)にSIPO・SITIONの各アカウントから配信した主な記事です(暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋)。

日付媒体種別タイトルURL
8/13@SIPO_Tokyo速報Cardano憲法修正提案ポータルに3件の提案が提出https://sipo.tokyo/breaking-x-2087811588447224211/
8/13@SIPO_Tokyo速報ガバナンス投票が進行中、9月1日が期限https://sipo.tokyo/breaking-x-2087897484144111727/
8/14@SIPO_Tokyoエポックな日々渡し方が、先に決まる──1億2,000万ADAが可決ラインを越え、助成金が「実績払い」になった5日間:エポックな日々648https://sipo.tokyo/post-47374/
8/14@SIPO_TokyoDaily IntelMidnightとCardanoをつなぐブリッジがメインネットで動き出しましたhttps://sipo.tokyo/daily-intel-20260814/
8/14@SIPO_TokyoSignalCardano と Midnight をつなぐ橋がメインネットで開きました——プライバシーを「行き先」から「部品」へ変える経路https://sipo.tokyo/signal-20260814-500e9674/
8/14@SIPO_TokyoSignalMidnight の手数料が DUST 以外でも払えるようになりました——USDM で払える Capacity Exchange の意味https://sipo.tokyo/signal-20260814-0d943095/
8/14@SIPO_TokyoSignal2026年度の財務準備スマートコントラクトが公開ダッシュボードに載りました——可決した ADA が動く先を見るhttps://sipo.tokyo/signal-20260814-7c8809e1/
8/14@SIPO_TokyoSignalDijkstra の調整に名前がつきました——Intersect の技術調整チームを Nick Clarke 氏が率いますhttps://sipo.tokyo/signal-20260814-64e84fd1/
8/14@SIPO_TokyoSignalminPoolCost の DRep 賛成が 22.8% へ、未投票は 73%——SPO 票が要る 2 件と、期限のエポック 653https://sipo.tokyo/signal-20260814-7aca0a2f/
8/14@SIPO_TokyoSignalSecondFi の移行ツール、公開はアプリストア審査待ちで来週へ——委任は自動で外れ、返還用の 1,610 万 ADA はまだ動いていませんhttps://sipo.tokyo/secondfi-migration-tool-live/
8/14@SIPO_TokyoSignalワインの偽造被害は年 28 億ユーロ——産地証明の参照実装 OriginateNavio が Apache 2.0 で公開されていますhttps://sipo.tokyo/signal-20260814-514277e7/
8/14@SIPO_Tokyo速報Nick Clarke氏がIntersectのCardano技術責任者に就任https://sipo.tokyo/breaking-x-2087943915831800263/
8/15@SIPO_TokyoWeekly BriefWeekly Brief #19|沈黙は減り、次はSPOの番になった — 1億2,000万 ada が可決、SPO票は 2.63%、憲法ポータルに 4 件https://sipo.tokyo/weekly-brief-19/
8/15@SIPO_TokyoWeekly Brief (EN)Weekly Brief #19 \The Silence Broke, and Now It Is the SPOs’ Turnhttps://sipo.tokyo/language/en/weekly-brief-19-en/
8/15@SIPO_TokyoDaily IntelCardano と Midnight をつなぐブリッジが稼働し USDM が渡り始めた|Intersect 週次更新・CAP 稼働・Catalyst Pilot は残り 6 日https://sipo.tokyo/daily-intel-20260815/
8/15@SIPO_TokyoSignalDijkstra の後、SPO は BLS 鍵を登録します——Amaru はメインネットのブロック生成を 11 月に置きましたhttps://sipo.tokyo/signal-20260815-5deddd17/
8/15@SIPO_TokyoSignalDijkstra へのハードフォーク能力が、ノードの土台に入りました——ouroboros-consensus 4.0.0.0 と Leios の次の一歩https://sipo.tokyo/signal-20260815-afc8353b/
8/15@SIPO_TokyoSignalCardano が公開した企業一覧には順位も広告枠もありません——並ぶ 60 社と、載るための条件https://sipo.tokyo/signal-20260815-1b62568e/
8/15@SIPO_Tokyo解説・翻訳チャールズ・ホスキンソン氏動画「Claude is crossing a Rubicon」紹介・解説・全翻訳https://sipo.tokyo/claude-watermark-hoskinson-rubicon/
8/16@SIPO_TokyoDaily Intel実行を安くした次は、書きやすさの番でした|Plutus に 2 件の提案、UPLC にパターンマッチングを入れる CIP-0194 案https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2088841982059941951
8/16@SIPO_TokyoSignalPlutus のメモリ上限を上げることが、なぜ SPO の話になるのか——25% 引き上げの残り半分と、DRep 賛成 32.94%https://sipo.tokyo/signal-20260816-7dd2c0f1/
8/16@SIPO_Tokyo速報CardanoとMidnightが150以上のブロックチェーンを接続するクロスチェーンネットワークに統合https://sipo.tokyo/breaking-x-2088740173219852440/
8/17@SIPO_TokyoDaily Intelプールの固定費を 170 ada から 75 ada へ下げる提案が投票中です|賛成 33.2%、まだ 6 割が投票していませんhttps://sipo.tokyo/daily-intel-20260817/
8/17@SIPO_TokyoSignalMidnight 上で perps が動き出しました——ただし docs の表記は「private mainnet beta」ですhttps://sipo.tokyo/signal-20260817-a0b7ebc3/
8/17@SIPO_TokyoSignal暗号資産の監督が渡ったのは銀行・証券ではなかった——金融庁が27本の一括改正で書き換えた宛名https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2089314295670813175
8/14@SITIONjpSignalSEC が公開会合に載せたのは「暗号資産の募集制度を作るかどうか」——規律の対象はトークンではなく投資契約だhttps://x.com/SITIONjp/status/2088236191804277104
8/14@SITIONjpSignalテザーが KPMG の無限定適正意見を取得——監査が保証したのは、決算日という一点だhttps://x.com/SITIONjp/status/2088243741350105484
8/14@SITIONjpDeep Dive国債トークンは 162 億ドル、株式トークンは 25 億ドル——ブラックロックの新商品が示す、二つの別事業https://x.com/SITIONjp/status/2088237450103570547
8/15@SITIONjpDaily Intel日銀と金融庁の更新が週末に重なり、超長期金利は 4% 台に乗った|UAE の政府系ファンドが現物 ETF を開示https://x.com/SITIONjp/status/2088407223647314418
8/15@SITIONjpSignalCFTC 諮問委員会が初会合の議題に予測市場を載せた——規制の対象から、同席者への移動が始まっているhttps://x.com/SITIONjp/status/2088409584067088870
8/16@SITIONjpSignalWorld Liberty の国法信託銀行に OCC 予備認可——最初の条件は「銀行にならないこと」だったhttps://x.com/SITIONjp/status/2088849482746405101
8/17@SITIONjpSignalCircle の四半期開示に載った「有料サービス 900 超」——エージェント決済の争点は、支払いから受け取りへ移るhttps://x.com/SITIONjp/status/2089100667965382706
8/14@LifeMakersComSignalGrok 4.6の出力トークンはGPT-5.6 Solの5分の1——AIの値段は、何に払っているのかhttps://x.com/LifeMakersCom/status/2088232606504743382
8/15@LifeMakersComSignalClaude が書いた文章に、見えない印が入り始めた——その印が証明するのは「誰が書いたか」ではないhttps://x.com/LifeMakersCom/status/2088565828220309731

(このほか、@SIPO_Tokyoは毎朝のDaily Intelと随時の速報、@SITIONjpは12指標・Daily Intel・Signal、@LifeMakersComはAIを中心としたDaily Intel・Signal・星読みをこの期間も配信しています)

第9章:エポック649 終了時点 ステーキング動向

前号は配信が2日遅れ、ライブステークと委任者数が境界から2日ずれた時点の値になりました。今回は境界の43分後に取得しています。 ブロック数・ネットワーク集計・境界のADA価格に加え、ライブステーク・有効ステーク・委任者数も、境界とほぼ同じ時刻の値です。

SIPO 3プール合計は、有効ステーク ₳105.48M / ライブステーク ₳105.60M / 委任者 2,196名。エポック649のブロックは115(前エポックから+21)、Lifetime累計は46,751に達しました。

プール有効ステークライブステーク委任者ep649ブロックLifetime
SIPO₳44.11M₳44.25M1,1454519,877
SIPO2₳33.63M₳33.60M4783814,916
SIPO3₳27.74M₳27.75M5733211,958

ブロックは94から115へ、21増えました。 プール別ではSIPOが47→45(−2)、SIPO2が24→38(+14)、SIPO3が23→32(+9)です。前号はSIPOの12増が他2プールの減少を上回る形でしたが、今回は逆に、SIPO2とSIPO3の増加がSIPOのわずかな減少を大きく上回りました。

直近6エポックでは103(644)→84(645)→94(646)→90(647)→94(648)→115(649)と推移しています。115は、この6エポックで最も多い数字です。 ブロック生成は確率的なので、1エポック単位の増減に意味を読みすぎないようにしています。3プールを束ねると90前後に収まる回が続いていたところに、今回は上振れが出た、という記録です。次のエポックで水準が戻るかを見ます。

ライブステークの合計は105,483,363.89 ADAから105,600,704.76 ADAへ、₳117,341増えました。内訳は、SIPOが₳137,502増、SIPO3が₳6,734増、SIPO2が₳26,895です。前号は3プールすべてが増えていましたが、今回はSIPO2だけが減っています。

委任者数の合計は2,196名で、前エポックから変わっていません。 内訳ではSIPOが1名増え、SIPO2が1名減り、SIPO3は変わらず。合計は同じでも、中では入れ替わりが起きています。同じ5日間にADAは境界価格で3.8%下げていますが、委任の総数は動いていません。価格と委任は別の時計で動くという前号までの観察は、今回も変わりません。

有効ステークとライブステークの照合について、今回は取得のタイミングが揃ったので確認しました。この照合は「エポックNの有効ステークが、エポックN−1終了時点のライブステークと一致するか」を確かめるものです。結果は、SIPOが完全一致(差0 ADA)、SIPO3が差 −17 ADA、SIPO2が差 +1,000 ADAでした。

ただし、比較の相手側が境界の値ではありません。 前号のライブステークは境界から2日後に取得したものです。したがって今回の差分は、照合が通ったかどうかの判定には使えません。SIPOで完全一致が出たことも、SIPO2で1,000 ADAの差が出たことも、どちらも比較の基準がずれた状態での観測です。判定は次号——両端が境界で揃った状態——から行います。基準がずれているときに「通った」と書かないのが、この照合を続けている理由です。

ネットワーク全体では、エポック649の集計で総サプライ₳37.80b、総ステーク₳21.57b、ステークを持つプール2,678、ブロックを生成したプール928、総ウォレット5,938,726、総委任1,347,376。ステーキング率は57.10%(648)から57.06%へ、わずかに低下しました。

ウォレットは5日間で約4,200増え、委任は159増えています。 一方でステークを持つプールは2,680から2,678へ2減り、ブロックを生成したプールも932から928へ4減りました。参加者は増え、プールの数はゆっくり減る——前号から同じ向きが続いています。

終章:動かす人が、要る

エポック648の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

PRIMEの執行は、確認できていません。確認時点で ratified_epoch は649、enacted_epoch は立っていません。ただし確認時点はエポック649の終了境界の43分後で、集計への反映待ちと、執行そのものが起きていないことを分けられません。分けられないので、答えを出しません。 次号で確認します。AlphaGrowthが表明した「30日後に30%、3か月後に30%、6か月後に40%」という解除条件についても、執行が確認できていない以上、実務としての現れ方はまだ観測できていません。

Catalyst Pilot の応募は、まだ締切前です。締切は8月20日15時(日本時間)で、エポック649の終了は8月18日6時44分。8月15日の時点で残り6日と案内されていました。応募件数と採択の埋まり方は、次号で扱います。

minPoolCostは、大きく動きました。DRep賛成22.80%→32.97%、未投票73.19%→62.05%。5日間で賛成が10ポイント伸び、未投票が11ポイント減っています。明示的な反対は1.03%のままで、割れているわけではありません。SPO側の51%については、分母を明示できる形で確認できていないため、本稿では数字を出していません。

憲法委員会の入れ替えは、票の内訳を確認できていません。ただし、この5日間で条件のほうが分かりました。期限は9月1日・エポック653で、不成立なら委員会は7名から3名に減り、必須の5名を下回ります。その状態では Info Action と委員会更新のアクションしか通せなくなります。数字は取れていませんが、何がかかっているのかは分かりました。

8月13日の本番稼働は、動きました。VIA Labs のクロスチェーンネットワークがメインネットで稼働し、CardanoとMidnightがつながり、USDMが実際に渡りました。監査報告も稼働前に公開されています。翌日には、渡ったUSDMで手数料を払える経路も置かれました。ただし、渡る量そのものは動いていません。

引退したプールへの委任は、この5日間の配信では続報を確認できていません。132.59M ADA・55,289ウォレットという数字が減ったかどうかを示す集計は出ていません。持ち越します。

取引とアドレスの水準は、さらに低い位置に置かれました。日次13,228件・アクティブアドレス9,513・Script Tx比率32.05%。ただし基準日が日曜で、前号の基準日は火曜です。曜日の差を含んだ比較なので、三つ目の点としては扱えません。 次号で平日基準の点を置いてから判断します。

7件のうち、答えが出たものが2件(minPoolCost・8月13日の稼働)、条件だけが分かったものが1件(憲法委員会)、判定を保留したものが3件(PRIMEの執行・取引の水準・Catalyst Pilot)、持ち越しが1件(引退プールへの委任)です。前号に続いて、答えの出ない項目が半数を超えました。

そのうえで、エポック650で確認すべきものを挙げます。

  1. PRIMEの執行enacted_epoch が立つか。立つなら何エポックのものとして立つか。そしてTreasury残高が1,450,053,249 ADAから逆向きに動くか。二つの数字は同じことを別の角度から映します。
  2. 憲法委員会の入れ替え:期限は9月1日・エポック653。残りはわずかです。DRepとSPOの票が集まるか。集まらなければ、次のエポックからガバナンスが2種類の議題しか通せなくなります。この5日間で最も期限が近く、最も影響が広い一件です。
  3. minPoolCost:期限はエポック653。DRep賛成32.97%が67%へ届くか。そしてSPO側の51%を、数字として出せる形にできるか。
  4. von Bergen:期限はエポック651。閾値100%に対して賛成52.97%・未投票42.54%。次のエポックで期限を迎えます。情報提案がどう終わるかの実例になります。
  5. 橋を通る量:経路は開きました。USDMのCardano上の残高は動いていません。次のエポックで、渡る側の数字が動くか。
  6. Catalyst Pilot の結果:締切は8月20日。応募が何件集まり、採択の10〜15チームがどう埋まるか。実績連動の設計に、開発側がどう答えたか。
  7. 取引とアドレスの水準:平日基準の点をもう一つ置く。13,228件・9,513・32.05%が日曜による落ち込みなのか、水準そのものの低下なのかを、そこで分けます。

エポック649は、大きな決定が新しく通った5日間ではありませんでした。通ったのは前のエポックで、この5日間に並んだのは、通ったものを動かすために必要なもののほうです。

資金を運ぶ契約と、それを確認する5つの組織。5名中2名、5名中3名という署名の閾値。7名から3名に減ると止まる委員会。過半のブロック生成ステークを要求するSPOの票。次のエラのあとに登録することになる、もう1本の鍵。6か月と期間を切って置かれた調整役。そして、資産が実際に一度通った経路。

どれも、決定そのものではありません。決定を動かすための、人と手続きと道具です。

投票は「やるかどうか」を決めます。けれど、決めたことが動くかどうかは、そのあとに誰がいて、どの席が埋まっていて、どの鍵が登録されているかで決まります。1億2,000万ADAが批准のまま5日間止まっていたことは、その距離をそのまま示しています。可決は、到着ではありません。

そして、動かす人が足りないときに起きることも、この5日間に並んで見えました。名前を決めるだけの提案が、反対0.04%のまま参加不足で期限へ向かっている。委員会の席が埋まらなければ、ガバナンス全体が2種類の議題しか通せなくなる。反対されて止まるのではなく、誰も動かさないから止まる。 これは投票では表現できない種類の停止です。

いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

出典・参照