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Catalyst Pilot の応募窓が開きました——締切は 8月20日 06:00 UTC、3か月で本番稼働が条件です

2026-08-09SIPO

Project Catalyst の 2026 Pilot が、8 月 6 日に応募の受付を開始しました。締切は 8 月 20 日 06:00 UTC、日本時間では同日 15 時です。総額 2.5M ADA、1 件あたり 50〜200k ADA、採択は 10〜15 チーム。応募ページには、規模と並んでもうひとつの条件が置かれています。Pilot の開始から 3 か月以内に、Cardano 上で実際に動くものを出すことです。

8 月 2 日の記事では、この Pilot が「多段階の投票ではなくキュレーションで選び、支払いの後半を実測に連動させる」設計であることを扱いました。今回は、その設計が応募要件として具体的な文面になりました。誰に配るかより先に、何をもって成果とみなすかが決まっている——この順序は、Cardano の資金配分がどこへ向かうのかを読むうえで有効な手がかりになります。締切までに何を確かめておくべきか、順に見ていきます。

■ 締切は 8 月 20 日 15 時(日本時間)、問われるのは計画より実績です

事前チェックリストは、採点の前に通過すべき適格性ゲートを 5 つの束にまとめています。「誰が出すのか」では、1 チーム 1 提案であること、メンバーが他の提案に重複して現れないこと、過去の Catalyst 資金で良好な状態にあること(初回応募も可)、そして実名で検証できるチームであることが求められます。

「何を出すのか」では、対象 4 領域のいずれかを使っていること、既存プロダクトが TRL 5 以上であること、3 か月のビルド期間と 4 か月の Pilot 期間の中でメインネット到達が収まることが確認されます。予算については、今後の作業のみを対象とすること、成果物に紐づいた内訳であることが条件で、エアドロップのような用途は認められていません。

特徴的なのは、普及計画がゲートの中に入っている点です。到達目標は提出時点で確定値として宣言する必要があり、その根拠として具体的なチャネルと既存ユーザーの流入元、想定規模を挙げることが求められます。第三者への依存があれば、証拠とともに名指しします。提案内容が公開されることへの同意も、ここに含まれます。

これらを通過した提案が、別立ての採点対象になります。見られるのはチームの資格、技術設計の妥当性、そして事業としての需要——使われ続ける見込みがあるか、です。

■ 4 つの領域は、抽象的なテーマではなく既存の接続先を指しています

対象となる 4 領域は、カテゴリ概要でそれぞれ具体的に定義されています。

オラクルは「リアルタイムの価格フィード(例: Pyth)」。ステーブルコインは「検証済みのステーブルコインポリシーで構築する、または受け入れること(例: USDM、USDCx)。とくに中央集権取引所から Cardano へステーブルコインを移す経路」。プログラマブルトークン(CIP-0113)は「ロジックを埋め込んだトークン。例えばコンプライアンス規則を伴う実物資産のトークン化」。オンチェーン ID(CIP-0170)は「ウォレットと stake key に基づく識別」。

いずれも「この分野に取り組む」という宣言ではなく、既に動いている仕組みに自分のプロダクトを接続することを想定した書き方になっています。加えて 4 領域のすべてで、採択後は標準化されたトランザクションラベルによる Dune のトラッキング実装が求められます。集計先は共通の Catalyst Impact ダッシュボードと、公開のリーダーボードです。

成果が公開の場で並ぶ設計は、資金を受け取った側にとっては後戻りのしにくい約束になります。同時に、外から見る側にとっては、どの領域に人と資金が集まったのかを後から確認できる材料でもあります。

■ 3 か月でメインネット——この条件が選ぶチーム像

応募できるのはプロダクトチームのみで、既存プロダクトが TRL 5 以上であることが入口です。TRL の定義ページは、Cardano 文脈での TRL 5 を「公開の Cardano テストネット(Preview または Preprod)で展開され動作している、または他のエコシステムで現実的な条件下に稼働している」としています。新しく作る Cardano 統合そのものは、それより低い成熟度から始めて構いません。既に何かを作り切った経験があるか、が問われている形です。

ビルド期間の到達点は、メインネットでの稼働と、証明としての実トランザクション 1 件以上です。その後の支払いは、ネットワーク手数料の実測に連動します。数えられるのは外部ウォレットから発生した手数料だけで、チーム自身のウォレットは対象外。取引に紐づく報酬やリベートによる誘導は「作られた出来高」として扱われます。

集計には偏りを抑える仕組みも入っています。単日で総手数料の 20% を超えるスパイクは除外され、1 ウォレットの寄与が 35% を超えた分は半分として数えられ、外部ウォレット数にも下限が設けられています。支払いはビルド 40%、普及に応じて最大 40%、その後のペース維持で 20%。上位 1〜4 チームには、自分の助成額の最大 50% にあたるボーナスが用意されています(ボーナスプールは 40 万 ADA)。

まとめると、この Pilot が探しているのは「これから作り始めるチーム」ではなく、既に動くものを持っていて、3 か月で Cardano 上に載せ替えられ、外部の利用者を実際に連れてこられるチームです。応募要件の一つひとつが、その像に向かって絞られています。

■ 次に見るもの

締切以降の日程は、応募ページには記載されていません。まず確認したいのは、採択リストがいつ、どのような粒度で公表されるかです。次に、10〜15 という枠が 4 領域にどう配分されるか——ステーブルコインの流入経路に寄るのか、プログラマブルトークンやオンチェーン ID のような標準寄りの領域に配分されるのかで、この Pilot が資金プログラムとして何を狙っていたのかが後から見えてきます。そして、公開リーダーボードが実際に動き始めるかどうか。実測連動という設計は、数字が公開されて初めて機能します。

応募を検討する立場からは、判断はもう少し単純です。3 か月で本番に出せる状態のものが手元にあるかどうか。締切までに用意すべきなのは、新しい計画よりも、既にあるものの証拠なのかもしれません。


一次ソース / 関連リンク