いよいよ明日の朝です。van Rossemハードフォークの発動は、日本時間で7月19日6時44分51秒、エポック644の境界です(UTC 7月18日21時44分51秒、スロット192,844,800)。批准は7月13日に成立済みで、日程が動く余地はありません。昨日まで「あさって」だった発動が、今日は「明日」になりました。準備の側も追いついていて、エポック642の最後の12時間では、ブロック生成の93%が新しいバージョンのノードから出ています。
SPOの立場でやることは、昨日と変わらず一つだけです。cardano-nodeを11.0.1に上げてください。PV11に対応した最初のリリースで、5月5日に公開されてから2か月以上テストされています。db-syncを併用している場合は13.7.1.0が対応版です。締切は「発動時刻」ではなく「その前の最後のメンテナンス枠」だと考えたほうが安全です。取引所側の準備も、流動性ベースで84.15%まで来ています。
発動が近づいたので、誤解の広がりやすい2点をもう一度だけ整理させてください。まず、今回は「新しいエラーに入る」わけではありません。Conwayエラーの中で完結するイントラエラ・ハードフォークで、プロトコルバージョンが10から11へ上がります。そして「手数料が一律に下がる」わけでもありません。Intersectは一部の既存プリミティブのコストは上がると明記していて、その変更は6月18日のコストモデル更新で反映済みです。明日入るのは、Array(CIP-138)やBLS12-381のマルチスカラー倍算(CIP-133)といった新しいプリミティブの方です。dAppを運用されている方は、下がる前提ではなく実測でご確認ください。
📎 直近24時間の動き
- IOR(旧IOG)が今週の開発レポートを公開しました。van Rossemハードフォークの批准を含む進捗をまとめています。
IOG - Cardano公式が「Cardano Governance Hours #9」を配信しました。今回はDaedalusウォレットのメンテナンスと改善提案を取り上げています。
Cardano - Cardano公式が、2026年憲法委員会選挙のラウンドテーブルを改めて共有しました。4議席に10名が立っています。
Cardano - SundaeSwapが、Leiosの狙いは処理能力そのものではなく経済的な持続可能性にあるという整理を共有しました。
SundaeSwap(Cardano経由) - Liqwid Financeが、3日間の調整間隔を守った上で貸出金利を引き下げました。あわせて、AlphaGrowthのPRIME提案がガバナンス上の論点になっていると触れています。
Liqwid Finance / 同(PRIME提案) - Midnightのコミュニティ「Nightforce」に2,000人超の新規参加があったと共有されました。Charles Hoskinson氏も再投稿しています。
Charles Hoskinson - FluidTokensが、供給側APYが急騰したときに借り手が差分を負担する構造について解説しました。
FluidTokens
🧭 今日の焦点 3件
【1】今日が、実質最後のメンテ枠です
発動はエポック644の境界、日本時間19日6時44分51秒。ですのでSPOにとっての実質的な締切は、今日から明日未明にかけての最後のメンテナンス枠です。11.0.1は5月5日のリリースで、既に十分にテストされています。エポック642の最後の12時間で、ブロックの93%がバージョン11から出ていますので、未更新のプールはかなりの少数派になりました。
「上げなかったらどうなるのか」は、正直に書きます。Intersectは公式に「10.7がイントラエラ・ハードフォークをまたがない最後のノードリリース」とだけ述べていて、未更新ノードの具体的な振る舞いは明示していません。ですので、チェーンが分裂するといった表現はこちらの推測になってしまいます。確実に言えるのは、10.7以前のままでは19日以降の新しいルールのチェーンに追従できない、という点です。
【2】7月24日の朝に、2つの締切が重なります
発動の5日後、もう一つの区切りが来ます。憲法委員会選挙の投票締切は、UTC 7月23日21時45分、つまり日本時間では7月24日6時45分です。そして、Intersectの2,540万ADA国庫引き出し提案の投票期限も、同じエポック645の境界です。別々の話に見えて、同じ瞬間に締め切られます。
国庫引き出しの方は、これまでのところ可決の見通しが立っていません。国庫引き出しの可決には67%の賛成が必要ですが、DRepの賛成はその水準に届いていない状態が続いています。批准の機会は残り少なくなっています。Charles Hoskinson氏がBlink Labsの反論を再投稿し、Intersectが「なぜIntersectが必要なのか」という説明を出しているのも、この投票を背景に置くと位置づけが見えてきます。インフラを担う側と、資金の出し手であるDRepとの間で、対価の説明をめぐる緊張が続いている局面です。
【3】発動が終わっても、次がもう動いています
明日のハードフォークが加えるCIP-133は、BLS12-381のマルチスカラー倍算です。Cardano Foundationが先日「BLS12-381は本番投入可能で、数千の署名を1つ分のコストで検証できる」と解説したのは、この流れの中にあります。既にある基盤の上に、明日新しい部品が乗ります。
Leiosについては、SundaeSwapの整理が的を射ています。CIP-164自身が設計優先度の第一に「経済的持続可能性」を挙げていて、スループット問題の規模を経済が決めている、という見立てです。なおLeiosはCIP-164がProposed段階で、テストネットは稼働中ですが、メインネットの日程は未定です。発動前夜のいまも、その先の設計は並行して進んでいます。
📊 数値スナップショット
基準時刻: 2026-07-18朝JST。一次ソース(Intersect / GitHub)で確認した数値のみ。
- van Rossem発動: 日本時間 7月19日 6:44:51(UTC 7月18日 21:44:51)/エポック644の境界/スロット192,844,800。
- 必要バージョン: cardano-node 11.0.1(PV11対応の最初のリリース・5月5日公開)/db-sync 13.7.1.0。
- 準備状況: エポック642の最後の12時間でブロックの93%がバージョン11から生成/取引所は流動性ベースで84.15%。
- 批准投票(7月13日): DRep 77.63%(閾値60%)/SPO 52.7%(閾値51%)/憲法委員会6票が賛成。
- プロトコル: Conwayエラー内のイントラエラ・ハードフォーク/PV10 → PV11。
- 憲法委員会選挙: 4議席・10名が出馬/投票締切 日本時間 7月24日 6:45(UTC 7月23日 21:45)。
- Intersect国庫引き出し: 2,540万ADA/投票期限は同じエポック645境界/可決には67%が必要で、現状は届いていない。
⚡ 先行指標 Watch(48-72h)
- 明日の発動までにSPOの準備率がどこまで上がるか。エポック642時点で93%です。
- 発動直後に、コストが上がったプリミティブを使うdAppで想定外の挙動が出ないか。
- Intersectの国庫引き出しが、残る機会で67%へ届くか。
- 憲法委員会選挙の投票が、24日の締切前にどこまで動くか。DRepは締切まで選択を変更できます。
- Leiosのテストネットの動きと、Forumでのフィードバック。
- Midnightのハッカソンや開発者プログラムから、どんなプライバシーアプリが出てくるか。
🔄 48-72h 分岐(観察軸)
Base scenario: van Rossemは予定通り19日朝に発動し、大きな混乱なく移行が完了します。国庫引き出しは否決され、Intersectは資金調達の設計をやり直すことになります。ガバナンスの争点は「誰が何にいくら払うか」に集中していきます。
Risk scenario: 未更新のノードやdAppが発動後に問題を出し、コストモデルの変更に追随できていないコントラクトが表面化します。国庫の否決が、インフラ提供者の資金繰りとエコシステムの士気に波及します。
Alt scenario: 発動が滞りなく完了し、新しいプリミティブを使う実装が早期に出てきます。国庫引き出しは否決されても、その過程で示された論点が次の提案の設計を良くします。憲法委員会選挙と合わせて、24日の朝がガバナンスの一つの区切りになります。
