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ホスキンソン氏、国連本部の FinTech サミットに登壇

2026-10-03SIPO

Cardano と Midnight の創設者チャールズ・ホスキンソン氏が10月2日(米国時間)、ニューヨークの国連本部で開かれた FinTech サミットに登壇しました。同じ日、Midnight のネイティブトークン NIGHT は上昇を続け、7日間の上げ幅は約90%に達しています。

ただし、登壇したのは国連総会の本会議ではなく、業界団体が国連本部の会議室で開いたサミットです。X で広がった「銀行がオンラインに来る」という期待についても、その中心にある英 Monument 銀行の預金トークン化は、まだ始まっていません。何が確認できて、何がこれからなのかを整理します。

国連本部での登壇は、GBA のサミット

ホスキンソン氏は10月2日、国連本部の前で撮った写真とともに「国連に来られて嬉しい」と投稿しました。同じ日の夜には「国連でのスピーチはうまくいった」と書いています。後者に添えられたのは、軍服姿で「Midnight City」の名札を前にした合成画像で、ホスキンソン氏らしい冗談として受け取るのが自然です。

会場になったのは、米国の業界団体 Government Blockchain Association(GBA)が開く会議シリーズ「Future of Money, Governance, and the Law 2026」です。9月29〜30日のワシントン D.C. に続いて、10月2日には国連本部の第2会議室で FinTech サミットが開かれました。GBA は、国連インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF)が認める動的連合(Dynamic Coalition)を運営しており、その枠組みで国連本部の会場を使っています。テーマにはデジタル資産の政策、資産のトークン化、行政での活用、AI、量子計算などが並び、ホスキンソン氏は登壇者として名前が挙がっています。

10月3日早朝の時点で、講演の内容は公開されていません。国連本部という場所で話したことと、何を話したかは、記録が出てから分けて確認する必要があります。

NIGHT は 10月1日からさらに上へ

SIPO が10月1日に NIGHT の急伸を整理した時点で、Bybit 現物の価格は 0.04048 USDT でした。その後も上昇は止まらず、CoinGecko の集計(10月3日 4時46分)では 0.0473 ドル、24時間で +24.3%、7日間で +90.0% です。7月20日につけた最安値 0.01524 ドルから見ると、約3.1倍の水準になりました。Bybit の現物日足では、10月3日の足が一時 0.05017 USDT まで伸び、0.05 の大台に届いています。

一方、2025年12月9日の最高値 0.1185 ドルと比べると、現在値はまだその約4割です。同じ7日間で ADA は −6.1%、プライバシー銘柄の Zcash は −15.0% でしたので、NIGHT の上昇は Midnight 固有の材料で動いたと見られます。

材料のひとつは、10月2日に始まったメインネットでの許可不要のスマートコントラクト配備です。経緯は10月2日の Signal で解説しました。コントラクト同士を組み合わせて使えるようにする v9 も年内の見込みとされており、こちらは別の記事で取り上げています。

「銀行がオンラインに」と、Monument 銀行の現在地

10月2日の X では、Monument 銀行と Midnight の紹介動画とともに「銀行がオンラインに来る。現実のユースケースだ」という投稿が広がりました。ホスキンソン氏もこれを引用し、自分の「プライベートな pub/sub プロトコル『Midnight Express』」の話を聞いたら驚くだろう、と冗談で応じています。

Monument 銀行は、ロンドンを拠点とする英国の認可銀行です。3月27日に公式ブログで、Midnight 上で個人顧客の預金をトークン化する計画を公表しました。第1段階で最大2億5,000万ポンドの預金を対象とし、トークンは同行の預金に1対1で裏づけられます。利息がつき、英国の預金保護制度(FSCS)の対象のまま残る設計です。ゼロ知識証明を使い、顧客情報を銀行の内部システムに留めたまま、規制上の要件を満たしていることをチェーン上で示します。

ただ、この計画は開始が後ろにずれています。CoinDesk が9月10日に報じた創業者ミントゥー・バンダリ氏へのインタビューによると、英国の金融行為規制機構(FCA)の要件と、ゼロ知識証明の技術要件を両方満たせる英国内の暗号資産カストディアンが見つからず、FCA の承認を受けたカナダのカストディアンと組む形に切り替えました。同氏は「2か月前には世界初のトークン化預金を出しているはずだったが、おそらくあと2か月かかる」と話しています。開始の見込みは11月で、確定した日付はまだ示されていません。

つまり、期待の向きは計画の中身と合っていますが、時期は先にあります。預金トークンはまだ発行されておらず、現在の価格はその実装を先に織り込みにいっている状態です。

10月10日、東京で Midnight City

日本の読者にとって近い節目もあります。Midnight は10月10日(土)15時から19時まで、東京・白金台の八芳園で「Midnight City: Tokyo」を開きます。AI エージェントが動き続けるデジタル空間「Midnight City」のライブデモがあり、ホスキンソン氏が登壇してビジョンとロードマップを話すと告知されています。参加は承認制で定員があり、会場に行けない人向けの配信も用意されています。

国連本部での講演の記録がまだ出ていない以上、ホスキンソン氏が Midnight の次の段階、とくに銀行の計画や v9 の時期をどう語るかを日本時間で直接確かめられる最初の機会になりそうです。

次に確かめること

11月中に、Monument 銀行の公式ブログでカナダのカストディアンの社名と、預金トークンの提供開始日が告知されるかを確かめます。規制下の銀行が公開チェーンで個人の預金を扱う最初の例になるかどうかは、この告知で決まります。開始時期はすでに一度ずれていますので、11月中に日付が出るかどうかが最初の確認点です。

その前に、10月10日の Midnight City: Tokyo で、ホスキンソン氏が Monument の計画や v9 にどこまで触れるかを見ておきたいところです。

ことば

  • GBA(Government Blockchain Association) — 行政機関とブロックチェーン企業をつなぐ米国の業界団体です。国連 IGF が認める動的連合を運営しており、その枠組みで国連本部の会議室を使った会議を開いています。
  • トークン化預金 — 銀行の預金そのものをチェーン上のトークンとして表したものです。発行するのは銀行で、預金保護や利息は従来どおり残ります。民間企業が発行するステーブルコインとは、発行主体と規制の枠組みが異なります。
  • カストディアン — 顧客の暗号資産や鍵を預かって管理する事業者です。Monument の場合、FCA の要件に加えてゼロ知識証明の技術にも対応できることが求められ、その相手探しが開始時期を左右しました。

一次ソース / 関連リンク