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Cardano の分散度を検証できる verifycardano.com が公開

2026-10-26SIPO

Cardano の運営・経済・投票の支配がどこまで分散しているかを測り、その値を毎日 Cardano メインネットに記録するポータル「Cardano Regulatory Evidence Portal」(verifycardano.com) が公開されました。Intersect 理事の Adam Rusch 氏が、Intersect の支援とイリノイ大学の学生研究者による分析を得て構築したもので、公開された数字を台帳の記録と照合して、誰でも自分で確かめられる作りになっています。

規制当局が「この仕組みを誰かが支配していないか」を問う場面で、主張ではなく検証できる記録を差し出す試みです。初期報では告知の要点だけを伝えました。本稿では、ポータルが何を測っているのか、10 月 25 日の算出でどんな値が出ているのか、そして数字を読むときの注意点までを整理します。

初期報: Cardano分散化データポータルが新規公開、算出方法も明示

規制当局に向けた「証拠」の置き場

名前に Regulatory (規制) とあるとおり、このポータルの第一の読者は規制当局です。ポータルの FAQ は、米国の三つの枠組みに各指標を対応づけていると説明しています。2026 年 3 月に SEC と CFTC が共同で出した解釈リリース (Release 33-11412)、米下院を通過した市場構造法案 CLARITY Act (H.R. 3633) の第 205 条が定める「成熟したブロックチェーン・システム」の条件、そして SEC が提案中の Regulation Crypto Assets です。FAQ によれば、共同解釈リリースは ADA をデジタル・コモディティの例に挙げており、ポータルはその分類の前提となった事実が後日も成り立っているかを読者が確かめられるようにすることを目的に掲げています。

一方で、ポータルは自らの役割を狭く定めています。Intersect の告知は、ポータルが情報提供を目的としたもので、Cardano の運営やガバナンスに対する公式の規制評価や認証ではないと明記しています。FAQ でも、Cardano の規制上の地位を主張しないこと、法的意見や投資助言を出さないこと、他のチェーンの数字を算出・比較しないことが挙げられています。結論は読者に委ねる、という姿勢です。

運営の枠組みは、Intersect の理事会が 2026 年 8 月 5 日に承認した設計に沿っています。コードは Intersect のオープンソース・オフィスの下で管理され、算出方法の変更はすべて理由つきで版を重ねて記録されます。定義の判断が割れる論点は、日付と理由つきの「運営者裁定」として残し、のちに外部諮問パネル (関係組織から独立した 3〜5 人) が承認または撤回する設計です。パネルはまだ発足しておらず、現時点の裁定には「承認待ち」の印が付いています。

ナカモト係数はプール単位で 157、運営者単位で 60

中心となる指標は、ブロックを生成するステークの過半数を握るのに何者が手を組む必要があるか、を表すナカモト係数です。10 月 25 日の算出 (エポック 663) では、登録済みの 2,815 プールを数えた結果、プール単位の値は 157 でした。

ただし、ポータル自身がこの数字に強い注意書きを付けています。Cardano ではプールが受け入れられるステークに飽和の上限 (1 プールあたりおよそ 7,000 万 ADA) があるため、大きな運営者はステークを複数のプールに分けて運営します。プールの数は運営者の数ではなく、プール単位の値は運営の分散度を実態より高く見せる、というのがポータルの説明です。

そこでポータルは、運営者単位の読み方を二つ並べています。

  • エディンバラ大学の分散化指数 (EDI) が公開している「同じ運営者のプール」の対応表を当てはめた値: 60。ポータルはこれを運営者単位の代表値として扱っています
  • 報酬の受取先やオーナーの登録など、オンチェーンの情報だけで運営者をまとめた値: 139。識別子を分けている運営者を見落とすため、実際の値はこれより低いと明記されています

同じ傾向は「ステークの 1% 超を持つ者」の数にも表れます。プール単位では 0 ですが、オンチェーンの情報で運営者グループにまとめると、少なくとも 2 グループが 1% を超えています。157 と 60 のどちらが正しいかではなく、何を一単位と数えるかで答えが変わることを、両方の値と注意書きを並べて見せているのがこのポータルの特徴です。

DRep 294 人、投票力の過半数は 10 人

ガバナンスの側では、10 月 25 日の算出で活動中の DRep (委任代表者) は 294 人でした。DRep に委任されている ADA は約 160.4 億 ADA にのぼります。一方で、現在ガバナンスの閾値に数えられる投票力の過半数を握るには、活動中の DRep のうち少なくとも 10 人が手を組めば足りる、という集中度も同時に示されています。

このほか、直近 20 エポック (約 100 日) に提出されたガバナンス・アクションは 11 件、トレジャリーの残高は約 13.86 億 ADA、直近 73 エポック (約 1 年) のトレジャリーの増減は約 2.32 億 ADA の減少です。純供給に対するステーキング参加率は 58.3920% と算出されています。

見ておきたいのは、まだ公開していない 5 つの指標と、その理由です。SPO の投票参加率は、投票力の分母を正確に取るためにポータル専用のノードの接続を待っています。分母は Conway 時代の正式仕様どおり、常時棄権に委任したプールを除き、未投票は反対として数える方式に 9 月 4 日の裁定で決まっています。上位アドレスへの集中度は同じノードと db-sync の稼働を、ネットワークの稼働率はノードの接続を待っています。ガバナンスへの参加率は「保有者」をアドレス・ステーク鍵・実質的な所有者のどれで数えるかが決まっておらず、ノードのクライアント多様性は検証できるデータ源がまだ無いとして、いずれも保留されています。

「信じなくていい」を支える毎日の記録

ポータルの値は、算出して載せるだけではありません。メインネットへの記録は 2026 年 10 月 18 日に始まり、その日に公開した値をまとめたマークルルートを Cardano のトランザクションに書き込み、個々の値のデータは IPFS に置いて、その所在を同じトランザクションに記録します。10 月 25 日の記録には 23 の値が含まれていました。

検証用のツールは、指標・日付・値・トランザクションのハッシュを受け取り、公開の IPFS ゲートウェイから記録を取り出して照合し、合否と理由を出します。ポータルのサーバーや運営者に頼らずに確かめられる、というのが設計の要点です。データの出どころは、コミュニティが運営する Koios (21 指標)、Dune (8 指標)、EDI の対応表 (1 指標) で、Dune の SQL は公開されて誰でも再実行できます。5 つの指標は、異なる索引系統の二つのデータ源から読んで完全一致を確かめています。

ポータルは、メインネットでの記録が 60 日分続くまでは、この記録を「立ち上げ完了」としては示さないと約束しています。改ざんを検出できる記録は、その長さがあって初めて説得力を持つという考え方です。起点は 10 月 18 日なので、60 日目は 12 月中旬になります。

これから確かめられること

このポータルの新しさは、値そのものよりも、算出方法・データ源・注意書き・台帳上の記録をひとつながりで公開するやり方にあります。委任先のプールや DRep を選ぶ立場から見ても、運営者単位の値 60 と DRep の集中度 10 は、エポックごとに追える身近な物差しになります。

次の確認点は二つあります。一つは、verifycardano.com のバナーに示される記録の日数が 60 日に届く 12 月中旬です。もう一つは、SPO の投票参加率が公開される時期で、ポータル専用ノードの接続がその条件になっています。どちらも、Intersect の週報 (Intersect Weekly Update) とポータル上の表示で確かめられます。

ことば

  • ナカモト係数 — ある仕組みの過半数を握るのに、最少で何者が手を組む必要があるかを示す数。数え方の単位をプールにするか運営者にするかで値が大きく変わるため、このポータルは両方を並べています。
  • エディンバラ分散化指数 (EDI) — エディンバラ大学の研究プログラムが公開する、ブロックチェーンの分散度の測定手法。同じ運営者が持つプールの対応表を含み、6〜18 か月ごとに更新されます。
  • マークルルート — 多数のデータをまとめて一つの短い値に要約したもの。元のデータが 1 つでも書き換わると値が変わるため、台帳に記録しておけば後からの改ざんを見つけられます。

一次ソース / 関連リンク

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