Kalshi の暗号資産部門アカウントが日本時間 9 月 4 日 3 時 00 分、「ADA Perpetuals are now live for trading. Cardano perps in America. Only on Kalshi.」と告知しました。同じ日の朝までに Cardano Foundation と Cardano の公式アカウントが、この投稿をそのまま共有しています。ADA を対象にした無期限先物(perps)が、米国の規制下にある取引所で、米国居住者向けに取引できる状態になった、という内容です。
同じ 9 月 3 日、Polymarket も Perps の提供を始めました。こちらの一覧にも ADA が並んでいます。ただし Polymarket の Perps は国際向けの面で、米国からは注文できません。「同じ日に ADA の perps が二つ始まった」と一言でまとめると、この違いが消えてしまいます。
Cardano の側から見ると、これは Midnight 上で動き出した Ascend の perps とも性格が違います。あちらは Cardano の周辺で新しい実行環境が動き出した話で、今回は既存の市場で ADA という資産を扱える商品が増えた話です。ここでは、二つの告知に何が書かれていて、公式面で何が確認でき、何がまだ確認できないのかを分けて整理します。
ADA Perpetuals are now live for trading.
Cardano perps in America. Only on Kalshi.— Kalshi Crypto(@Kalshi_Crypto)2026 年 9 月 4 日 3 時 00 分(JST)
■ Kalshi の告知に書かれていること
投稿は二文だけです。ADA の無期限先物が取引可能になったこと、そして「アメリカでの Cardano perps は Kalshi だけ」という位置づけです。契約の仕様、証拠金、上限倍率は投稿には書かれていません。
Kalshi 側の枠組みは、5 月末の発表と CFTC の文書で確認できます。CFTC は 2026 年 5 月 29 日、KalshiEX, LLC が提出した BTCPERP 契約(ビットコインの現物価格を参照する無期限先物)を承認しました。KalshiEX は CFTC に登録された指定契約市場(DCM)で、承認の根拠は商品取引所法 5c(c)(4) 条と規則 40.3 です。CFTC はこの文書のなかで、無期限先物という設計が「すべての資産クラスに適するとは限らない」と付け加え、他の契約も自主的な承認手続きで提出するよう促しています。
Kalshi は同じ 5 月 29 日、これを「アメリカで最初の無期限先物」と位置づける発表を出しています。CEO の Tarek Mansour 氏の言葉は「This marks Kalshi’s evolution from prediction market leader to next-gen derivatives exchange.」です。資金調達率は 8 時間ごとに変わること、農産物の無期限先物は扱わないことも、この発表に書かれています。Kalshi のヘルプセンターによれば、暗号資産の無期限先物は CF Benchmarks の指数を参照価格として使います。ビットコインなら BRTI です。
つまり Kalshi の ADA perps は、予測市場の会社が作った新商品というより、CFTC の枠組みのなかで 6 月から順に増えてきた暗号資産の無期限先物の一つに ADA が加わった、という理解が近いと考えます。
■ 米国で取引できるのは Kalshi、Polymarket は国際面です
Polymarket の Perps ページには、この記事を書いている時点で 67 の市場が並んでいます。暗号資産、個別株、指数、コモディティで、そのなかに ADA があります。ADA の個別ページには、契約の仕組みが読者向けの言葉で書かれています。
- 上限倍率は 10 倍です。暗号資産の上限として報じられている 20 倍より低く設定されています
- 担保は pUSD です。Polymarket の技術文書によれば、USDC に 1 対 1 で裏付けられた Polygon 上のトークンです
- 証拠金の既定は分離(isolated)モードです
- 価格は二本立てです。外部の価格フィードから来るオラクル価格と、損益と清算に使うマーク価格を分け、資金調達率で両者を寄せています
同じページの脚注には、Polymarket が別々の法人で運営されていること、米国向けの Polymarket US は CFTC 規制下の指定契約市場である QCX LLC が運営していること、そして国際向けの面は CFTC の規制を受けていないことが書かれています。Perps があるのは国際向けの面のほうです。各社の報道によれば、Polymarket 自身の案内では米国、カナダ、および制裁対象地域からは注文できません。
ここが今回の二つの告知の分かれ目です。Kalshi は米国居住者向けで、米ドル証拠金で、CFTC の枠組みのなかにあります。Polymarket は国際向けで、ステーブルコイン担保で、国際面は CFTC の外にあります。「ADA の perps がどこで取引できるようになったか」という問いへの答えは、住んでいる場所によって変わります。
■ Cardano の上で動く perps とは、別の話です
SIPO はこの 3 週間で、Midnight 上で動き出した Ascend の perps について 2 本の記事を書きました。8 月 17 日の「Midnight 上で perps が動き出しました」と、8 月 28 日の「Midnight で動く perps のトークンが、Cardano の貸借市場に載りました」です。エポック 653 の振り返りでは、この二つの「無期限先物が始まった」を設計の話と流通の話として分けました。
その分け方は、今回もそのまま使えると考えます。Ascend の perps は、ゼロ知識証明で決済される新しい実行環境の上に金融アプリケーションが載った、という話です。取引の対象には ADA も含まれますが、主題は「Cardano の周辺にどんな実行環境が育っているか」です。
Kalshi と Polymarket の ADA perps は、既に動いている市場のなかで ADA を扱える商品が増えた、という話です。Cardano のプロトコルには何も変わっていません。変わったのは、ADA という資産に対して、米国の規制下の取引所と、国際向けの大きな取引面の両方で、レバレッジ付きの売り買いができる場所が同じ日に増えたことです。
SIPO の日次の記録では、ADA は 9 月 4 日朝の時点で前日比 11.7% 上げ、0.22 ドル台に戻りました。ただし SIPO は、この上げが今回の上場によって起きたとは書きません。同じ日に記録上の主要銘柄が広く上げており、ADA だけに効いた引き金を特定できる材料を持っていないからです。エポック 653 の記事で書いた留保を、ここでも引き継ぎます。
■ 確認できていないこと
床として書けないことを、先に並べておきます。
- Kalshi の ADA 契約の上限倍率は、SIPO が確認した範囲では Kalshi の公式面に記載がありません。各社の報道は同じ日に追加された他の銘柄の上限倍率を伝えていますが、ADA の数字は出ていません
- Kalshi のヘルプセンターにある「どの無期限先物が取引できるか」の一覧は、この記事を書いている時点で 6 月 3 日更新のままで、13 銘柄のなかに ADA はありません。告知は X の投稿が先で、公式の一覧は追いついていない状態です
- ADA 契約について、ビットコインの BTCPERP のような CFTC の個別の承認文書は見つかっていません。DCM が自己認証で上場する手続きもあるため、承認の形は一次資料が出るまで保留にします
- Polymarket の Perps がいつ始まったかについて、SIPO は各社の報道で 9 月 3 日と確認していますが、Polymarket 公式の発表文そのものは本文に引用していません。ADA の掲載と契約条件は、Polymarket のページで直接確認しています
どれも「書かれていない」ことであって、「否定されている」ことではありません。公式面が更新されれば、この記事も追記します。
■ 次に見るもの
一つめは、Kalshi の公式一覧と契約仕様の更新です。ADA の上限倍率と最小建玉が公式面に出た時点で、米国の投資家が実際にどの条件で ADA を扱えるのかが確定します。CFTC の公開文書に ADA 契約の記録が載るかどうかも、同じ意味で見ておく価値があります。
二つめは、Polymarket US に Perps が来るかどうかです。国際面の Perps は米国の外にありますが、Polymarket US は CFTC 規制下の指定契約市場です。ここに無期限先物が入れば、米国での ADA perps は「Only on Kalshi」ではなくなります。
三つめは、Cardano の側です。ADA を扱う場所が外側で増えるのと、Cardano の周辺で perps の実行環境が育つのは、別の動きとして並走しています。SIPO は、この二つを混ぜずに追い続けます。
一次ソース / 関連リンク
- Kalshi Crypto:ADA Perpetuals are now live for trading(2026 年 9 月 4 日 3 時 00 分 JST・Cardano Foundation の共有経由で原文を表示)
https://x.com/Cardano_CF/status/2095578535004184609 - Cardano:上記投稿の共有
https://x.com/Cardano/status/2095593468051492936 - CFTC:KalshiEX, LLC が提出した BTCPERP 契約の承認(2026 年 5 月 29 日・Release 9240-26)
https://www.cftc.gov/PressRoom/PressReleases/9240-26 - Kalshi:Kalshi Launches First-Ever Perpetual Futures in America(2026 年 5 月 29 日)
https://news.kalshi.com/p/kalshi-launches-perpetual-futures-america - Kalshi ヘルプセンター:What perpetuals are available on Kalshi?(2026 年 6 月 3 日更新)
https://help.kalshi.com/en/articles/15357566-what-perpetuals-are-available-on-kalshi - Polymarket:ADA Perps(契約条件・脚注)
https://polymarket.com/perps/asset/ada - Polymarket:Perps 一覧(67 市場)
https://polymarket.com/perps - Polymarket Documentation:Polymarket USD(pUSD)
https://docs.polymarket.com/concepts/pusd - Decrypt:Polymarket Launches Crypto Perpetual Futures With Up to 20x Leverage(2026 年 9 月 4 日・報道)
https://decrypt.co/377483/polymarket-crypto-perpetual-futures - crypto.news:Kalshi adds 5 crypto perpetuals for U.S. traders(2026 年 9 月 4 日・報道)
https://crypto.news/kalshi-adds-5-crypto-perpetuals-for-u-s-traders/ - CoinGecko:Cardano(ADA)価格
https://www.coingecko.com/en/coins/cardano - SIPO.TOKYO:Midnight 上で perps が動き出しました(2026 年 8 月 17 日)
https://sipo.tokyo/signal-20260817-a0b7ebc3/ - SIPO.TOKYO:エポックな日々 653
https://sipo.tokyo/epoch-653/
