LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
速報 Cardano、ボード選挙投票開始やLeios性能向上など複数の進展を報告 3時間前 速報一覧 →
HOMEWeekly Brief › Weekly Brief #22|締切は来た — 委員会の更新は 71.95% と 56.54% で可決、minPoolCost は SPO 側だけで落ち、Hydra に資金窃取の critical
Weekly Brief

Weekly Brief #22|締切は来た — 委員会の更新は 71.95% と 56.54% で可決、minPoolCost は SPO 側だけで落ち、Hydra に資金窃取の critical

2026-09-05SIPO

前号(#21)は、こう閉じました。「期限は、日本時間 9 月 2 日の朝 6 時 44 分 51 秒です」。

その締切が来ました。そして、同じ瞬間に締め切られた 2 件は、違う結果になりました。

憲法委員会の更新は、可決しました。 DRep が 71.95%、SPO が 56.54%。必要だったのは 67% と 51% なので、どちらも越えています。前号の時点では DRep 64.24%・SPO 35.47% で、「あと 2.76 ポイントと 15.53 ポイント」と書いていました。その差は、締切までの 4 日間で埋まりました。

minPoolCost を 75 ada へ下げる提案のほうは、失効しました。 ただし、落ち方が特徴的です。DRep 側は 68.57% で閾値の 67% を越えていました。 越えなかったのは SPO 側だけで、34.5% にとどまりました。可決には両方が必要なので、片側だけでは通りません。

今週は、この 2 件の分かれ方を、票が入った時刻まで含めて見ていきます。

エグゼクティブ・サマリー

  • 憲法委員会の更新は可決しました:DRep 71.95%(165 票・閾値 67%)、SPO 56.54%(302 プール・閾値 51%)。Koios の proposal_list では ratified_epoch: 653 です。
  • minPoolCost は失効しました:expired_epoch: 653。DRep は 68.57% で閾値 67% を越えていましたが、SPO が 34.5% で 51% に届きませんでした。
  • 落ちたのは反対されたからではありません:憲法委員会の更新に投票済みで反対した SPO は、最後まで 1 プールだけでした。minPoolCost の反対は 28 プールから 59 プールへ増えましたが、それでも棄権と未投票のほうがはるかに大きい規模です。
  • 最後の 1 票は、締切の 69 秒前でした:憲法委員会の更新の最終票は 9 月 1 日 21 時 43 分 42 秒 UTC。締切の 21 時 44 分 51 秒まで、69 秒。minPoolCost のほうは 44 秒前です。締切後の票は、両方とも 0 件でした。
  • 票の半分は最後の 1 エポックに入りました:憲法委員会の更新の 521 票のうち 262 票(50.3%)が、最後のエポック(652)の 5 日間に入っています。
  • 発効は 9 月 7 日の朝です:批准は済みましたが enacted_epoch はまだ null です。発効はエポック 654 の開始時点、日本時間 9 月 7 日 6 時 44 分 51 秒になります。
  • 委員会は 7 名のままです:除名 3・任期エポック 799 で選任 4(うち 2 名は再任)。期限エポック 726 の 3 名と合わせて 7 名になり、最小構成の 5 名を満たします。
  • 変わらなかった数値が 3 つあります:minPoolCost は 170 ada のまま。トランザクションのメモリ上限は 16,500,000 のまま、ブロックは 72,000,000 のままです。
  • Midnight は MIP-0016「NIGHT Staking」が入りました:9 月 1 日にマージ。MIP は 15 本から 16 本になりました。
  • Hydra に critical の脆弱性が出ました:9 月 2 日、GHSA-cg83-6w6r-6hx3(severity: critical)と修正版 2.4.1 が同時に公開されました。「2.3.0 または 2.4.0 を運用しているすべての事業者は、直ちにアップグレードしてください」と明記されています。
  • 手元の道具が、そろって更新されました:Daedalus 11.3.0(DRep ディレクトリ実装・サポートが Se7en Labs へ移管)、Lace 2.2.3(DRep としての署名が GovTool 等で動くように修正)、Amaru 2 回目の公開ベータ、cardano-cli 11.2.3.0 / 11.2.3.1(Dijkstra エラのサブコマンドがフルセットに)。すべて 9 月 1 日から 4 日のあいだです。
  • 市場は先週と逆でした:ADA は週間 +4.49%、NIGHT は +9.08%。BTC は +2.54%、ETH は +0.59% です。

1. マーケット・パルス

8 月 29 日から 9 月 5 日にかけての、朝の定点観測値です。

銘柄8/299/5週間
ADA$0.202420$0.211514+4.49%
BTC$77,696$79,667+2.54%
ETH$2,438.85$2,453.16+0.59%
NIGHT$0.0193916$0.02115339+9.08%

9 月 5 日の 4 銘柄は、日本時間 7 時 7 分に同じ取得でそろえた値です。

前号は「BTC と ETH はほぼ横ばいで、ADA と NIGHT だけが 2 桁のマイナス」でした。今週は、その形がそのまま裏返っています。4 銘柄すべてがプラスで、ADA と NIGHT の上げ幅が BTC と ETH より大きい。 先週いちばん下げた 2 つが、今週いちばん戻しました。

ここでも、前号と同じ注意を置いておきます。戻したからといって理由が分かるわけではありません。 今週のカルダノには、ガバナンスの締切とその結果という大きな材料がありましたが、可決した議案と失効した議案が同じ日に確定しています。価格からそのどちらが効いたのかを読み取ることはできません。

NIGHT の時価総額ランクは、前号時点の 126 位から 120 位になりました。

2. 締切が来ました

まず、何が締め切られたのかを確認します。

前号で確定させたとおり、2 件の議案の期限は「エポック 653 が始まる瞬間」でした。Koios が返すエポック 653 の開始時刻は 1788299091 で、変換すると 2026 年 9 月 1 日 21 時 44 分 51 秒 UTC、日本時間では 9 月 2 日 6 時 44 分 51 秒です。

この時刻が本当に締切として機能したかどうかは、実際の投票記録で確かめられます。両議案に入った票を全件取り出し、記録時刻(block_time)を締切の 1788299091 と比べました。

締切以降に記録された票は、両議案とも 0 件でした。

期限は、書かれていたとおりに効いています。

なお、この時刻は Cardano の公式アカウントの投稿でも同じでした。8 月 26 日と 28 日の 2 本で、投票締切を 9 月 1 日 21 時 44 分 UTC と書き、あわせて「可決すればエポック 653 の境界(9 月 1 日)までに批准され、653 から 654 への境界(9 月 6 日)で発効する」と説明しています。前号で退けた「期限は 9 月 6 日」という記述は、この発効日のほうを締切と取り違えたものと読むのが自然です。

3. 憲法委員会の更新は、可決しました

Koios の proposal_list が返す Update Constitutional Committee 2026 の状態は、ratified_epoch: 653 です。批准されました。

最終的な数字です(2026 年 9 月 5 日 07:03 JST 取得)。

区分最終閾値前号(8/29)
DRep 賛成71.95%67%+4.95 pt64.24%
SPO 賛成56.54%51%+5.54 pt35.47%

票数では、DRep が 165 票、SPO が 302 プールです。前号は DRep 129 票・SPO 179 プールでしたから、締切までの 4 日間で DRep が 36 票、SPO が 123 プール増えたことになります。

前号でいちばん強く書いたのは、「足りない分は反対ではなく未投票に眠っている」という点でした。SPO 側は未投票の委任量の 24.45% が動けば届く、DRep 側は 8.46% で届く、と。

結果として、動いたのはその未投票のほうでした。

投票済みで反対した SPO は、最後まで 1 プールだけです。DRep も 8 票(0.28%)にとどまりました。この議案は、最初から最後まで「割れていた」のではありません。席に着くかどうかだけが問題でした。

4. 最後の 1 票は、締切の 69 秒前でした

票がいつ入ったのかを見ると、この議案の性格がもう少しはっきりします。

憲法委員会の更新に入った票は、全部で 521 票です。その記録時刻を並べました。

憲法委員会の更新minPoolCost ほか
総票数521444
最終票9/1 21:43:42 UTC = 締切の 69 秒前9/1 21:44:07 UTC = 締切の 44 秒前
2 番目に遅い票21:35:27 UTC(564 秒前)21:28:52 UTC(959 秒前)
締切後0 票0 票
最後のエポック(652)中262 票(50.3%)141 票(31.8%)
最後の 24 時間69 票44 票
最後の 6 時間26 票15 票

憲法委員会の更新に入った票の半分は、最後の 5 日間に入っています。 そして最後の 1 票は、締切の 1 分 9 秒前でした。

これは、前号で「境界ぎりぎりを狙う設計にはしないほうが安全です」と書いたことの、実例でもあります。実際に 69 秒前に入った票は間に合いましたが、投票は取引としてブロックに入る必要があります。ブロックの生成間隔を考えれば、69 秒は運の要素が入る幅です。間に合ったこと自体は、設計の余裕を意味しません。

もう一つ、時刻の分布から読めることがあります。最後のエポックに入った 262 票のうち、SPO の賛成が 176、DRep の賛成が 46 でした。大量に入ったのは賛成票で、反対は最後のエポックでも SPO 1 票・DRep 4 票です。 締切前に起きたのは、意見の対立ではなく、参加の集中でした。

5. minPoolCost は、SPO 側だけで落ちました

同じ締切のもう 1 件、Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2) は、expired_epoch: 653 です。失効しました。

ただし、落ち方を分けて見る必要があります。

区分最終閾値判定前号(8/29)
DRep 賛成68.57%67%越えました61.73%
SPO 賛成34.5%51%16.5 pt 不足26.11%

DRep 側は閾値を越えていました。 パラメータ変更の議案では、DRep と SPO の両方が閾値を越えないと可決しません。したがって、この議案は「DRep には支持されたが、SPO のところで止まった」という形で失効したことになります。

SPO 側の内訳も、憲法委員会の更新とは違います。

  • 投票済みで反対した SPO:59 プール(前号時点は 28 プール)
  • 明示的に棄権した SPO:41 プール
  • 「常に棄権」に委任されているプール:548
  • 憲法委員会:賛成 5・反対 0・未投票 2

最後のエポックに入った 141 票のうち、SPO の賛成が 51、SPO の反対が 36 です。憲法委員会の更新では最後のエポックの反対が 1 票だったのに対し、こちらでは賛成と反対が並んで積み上がっています。

同じ締切に向かって、片方は賛成が集まり、もう片方は賛成と反対が両方集まった。 これが 2 件の分かれ方でした。

なお、DRep 側の賛成率については後述の透明性メモに 1 点だけ注記があります。パーセンテージは 2 つの出典で一致していますが、票数のほうに 1 票のずれが残っているため、本稿では DRep の票数を書いていません。

6. 失効によって、変わらなかった数値

議案が失効したということは、提案されていた値が現行のまま据え置かれた、ということです。何が据え置かれたのかを、具体的な数字で確認します。

パラメータ現行(エポック 653)提案されていた値
minPoolCost170 ada75 ada−95 ada(−55.9%)
トランザクションのメモリ上限16,500,00017,500,000+1,000,000(+6.06%)
ブロックのメモリ上限72,000,00077,500,000+5,500,000(+7.64%)
実行ステップ上限(tx / block)10,000,000,000 / 20,000,000,000同値変更なし

現行値は Koios の epoch_params から、提案値は議案本体の param_proposal から取っています。

minPoolCost は、プールが 1 エポックあたり最低限受け取る固定費です。170 ada から 75 ada への引き下げは、小規模プールの実質的な取り分に直接効きます。この提案が失効したことで、次のエポック以降も 170 ada のままです。

メモリ上限のほうは、提案の幅が思ったより小さい点に注意が必要です。トランザクション側で 6.06%、ブロック側で 7.64% の引き上げでした。名前は「Part 2」ですが、1 桁の増分です。

7. 委員会は、7 名のままです

可決した議案の中身も見ておきます。何がどう変わるのかは、議案本体(proposal_description)と Koios の committee_info を突き合わせると分かります。

発効前の登録は 8 名で、うち 1 名は resigned(辞任済み)です。有効な委員は 7 名になります。

任期の期限人数備考
エポック 6535 名うち 1 名が辞任済み。有効 4 名
エポック 7263 名今回の議案の対象外

議案の中身は、次のとおりです。

  • 除名 3 名:辞任済みの 1 名を含みます。
  • 任期エポック 799 で選任 4 名:うち 2 名は再任(期限 653 だった委員の任期延長)、2 名は新規です。
  • 定足数は 2/3 のまま(据え置き)。

したがって発効後は、期限 726 の 3 名と、期限 799 の 4 名で、合わせて 7 名になります。プロトコルパラメータの committee_min_size は 5 なので、これを満たします。

前号で紹介した「否決されたら 7 名から 3 名になる」という Intersect の記載も、ここで裏が取れます。期限 653 の有効 4 名がそのまま失効していれば、残るのは期限 726 の 3 名だけでした。3 名は最小構成の 5 名を下回ります。

なお、新任 2 名と再任 2 名の氏名は、本稿では書いていません。 Koios が返すのは鍵のハッシュ値だけで、氏名と結びつける一次情報を今週の時点で確認できていないためです。

8. 発効は、9 月 7 日の朝 6 時 44 分 51 秒です

批准(ratified)と発効(enacted)は、別の段階です。

Koios が返す状態は ratified_epoch: 653 / enacted_epoch: null です。批准は済みましたが、発効はまだしていません。

カルダノでは、批准された議案はその次のエポック境界で発効します。エポック 653 は 1788731091 に終わるので、これを変換すると 2026 年 9 月 6 日 21 時 44 分 51 秒 UTC、日本時間で 9 月 7 日 6 時 44 分 51 秒です。

つまり、新しい委員会の構成が実際に効き始めるのは、この記事が出た 2 日後の朝ということになります。

9. 「9 月 6 日」という記述について

前号で、期限を 9 月 6 日と書く記述が流通していることに触れ、一次は 9 月 1 日 21 時 44 分 51 秒 UTC であると書きました。今週、この点は結果のほうから確かめられます。

締切は 9 月 1 日でした。 9 月 1 日 21 時 44 分 51 秒 UTC 以降、両議案に票は 1 つも入っていません。そして議案は、その時点の集計で批准と失効が確定しています。

では 9 月 6 日は何かというと、エポック 653 が終わる日です。日付だけを見ると、expiration: 653 という記録を「エポック 653 の終わりまで」と読んでしまいそうになります。実際には「エポック 653 が始まる瞬間まで」でした。5 日ずれます。

今回は、この読み違いが投票の機会そのものを失わせる性質の誤差でした。9 月 6 日を締切だと思って準備していた場合、票は入りません。

10. Hydra に、critical の脆弱性が出ました

今週、ガバナンス以外でいちばん実務に効く一次情報は、これでした。

9 月 2 日、Hydra のセキュリティ勧告 GHSA-cg83-6w6r-6hx3 が公開されました。深刻度は critical です。 同じ日の 4 分後に、修正版の Hydra 2.4.1 が出ています。

勧告の見出しは「無効なトランザクションが reapplyTransactions を通ることで、資金の窃取に使われうる」というものです。リリースノートには、こう書かれています。

2.3.0 または 2.4.0 を運用しているすべての事業者は、直ちにアップグレードしてください。 あなたの head の悪意ある参加者が、無効な署名(または失敗するスクリプト)であなたの資金を使うレイヤー 2 トランザクションを作り、正直なノードを騙して、それを含むスナップショットに署名させることができます。

原因も明記されています。スナップショットを確定する際、hydra-node は要求されたトランザクションを最適化された経路で再適用しており、その経路は署名の検証と Plutus スクリプトの評価をスキップしていました。 受信時にすでに検証済みだろう、という前提です。ところが、検証されていないトランザクションがその経路に到達しうる状態でした。2.4.1 はこの最適化を取り除き、スナップショット要求を処理するときは常に完全な検証を行うようにしています。

アップグレードの手順は、いまのバージョンによって変わります。

  • 2.4.0 から:そのまま置き換えられます。Hydra スクリプト、スナップショットの署名、hydra.db の保存形式のいずれにも変更はありません。
  • 2.3.0 以前から:2.4.0 の破壊的変更がすべて適用されます。アップグレードの前に、開いている head を close して fan out しておく必要があります。

注意しておきたいのは、2.4.0 自体が 9 月 1 日に出たばかりのリリースで、しかもそれがこの勧告の対象に含まれていることです。2.4.0 は前日に、別のセキュリティ修正(incremental commit まわり)として公開されていました。1 日おいて、より深いところに critical が見つかった形になります。

もう一点。この勧告は、同じ週の開発レポートには載っていません。 週次のレポートは Hydra の仕様移行やイメージ公開について書いていますが、脆弱性の記載はありません。Hydra を実際に動かしている場合、一次はリリースと勧告のほうです。

11. 手元の道具が、そろって更新されました

9 月 1 日から 4 日にかけて、利用者や運用者が直接触るソフトウェアが、まとめて更新されました。並べると、今週の性格が見えてきます。

Daedalus 11.3.0(9 月 1 日)。 Governance Center に DRep ディレクトリが入りました。名前や ID で DRep を検索し、活動状態と投票力のシェアで絞り込み、投票力や名前で並べ替えられます。委任は、手数料・デポジット・エポックのタイミングを表示する確認フローになりました。DRep の詳細ページには、オフチェーンのメタデータ、anchor の検証状態、オンチェーン上の由来が並びます。休眠中の DRep は、活動中・引退済みと見分けがつくように表示されます。

同じリリースで、Daedalus のサポートが IOG から Se7en Labs へ移管されました。アプリ内のヘルプとサポートのリンクはすべて daedalus.support.se7enlabs.com を指すようになり、IOG の Zendesk は Daedalus のサポート窓口ではなくなります。内部では、バックグラウンドのプロセス管理が Rust で書き直され、従来の TypeScript 製 cardano-launcher が watchdog supervisor に置き換わりました。

Lace 拡張 2.2.3(9 月 1 日)。 「ガバナンス dApp のデータ署名に絞った保守リリース」と説明されています。DRep としてコメントや rationale、dApp へのログインに署名する操作が、GovTool・dreptalk・Tempo で動くように修正されました。Trezor は平文データの署名に対応していないため、その旨を dApp 側へ先に伝えるようになっています。

Amaru v10.11.20260903(9 月 3 日・ベータ)。 マイルストーンは「Minimum viable Block producer」で、2 回目の公開ベータです。フルリレーノードに期待される機能はおおむね揃ったとしたうえで、制約を 2 つ明示しています。①van Rossem で導入された VRF 鍵の一意性に関する台帳ルールがまだ強制されていない(Haskell 実装との差異を調査中)②接続がまだ全二重ではなく、送信と受信で別の TCP を使う(ただし多重化はされている)。最小要件は 2 コア 2GHz 以上、RAM 2GiB、SSD 20〜300GiB です。

cardano-cli 11.2.3.0(9 月 3 日)/ 11.2.3.1(9 月 4 日)。 dijkstra エラのサブコマンドがフルセットになりました。 これまでは node コマンドしかありませんでしたが、address・key・genesis・governance・query・stake-address・stake-pool・text-view・transaction が他のエラと同じように揃っています。あわせて、Dijkstra エラでプロトコルパラメータの更新提案を作れるようになりました。新しく扱えるパラメータとして、ブロックあたり・トランザクションあたりの参照スクリプト最大サイズと、参照スクリプトのコストの stride と multiplier が挙がっています。query kes-period-infoquery tip に影響していた不具合も直っています。

この 4 つを並べると、ガバナンスの動線(Daedalus と Lace)と、次のエラの足回り(Amaru と cardano-cli)が、同じ週に別々の理由で前へ出たことが分かります。Lace の修正が「DRep として署名できない」という、ガバナンス参加そのものを止めていた不具合だった点は、今週の締切と並べて読む価値があります。

12. 期限がまだ先の 2 件

エポック 656(日本時間 9 月 17 日 6 時 44 分 51 秒)を期限とする議案が 2 件、進行中です。

議案DRep 賛成(閾値 67%)投票済み反対委員会
Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit(103,000 ada)51.14%(102 票)0.06%(4 票)賛成 2・反対 0・未投票 4
Governance Incentives Framework 2026(4,207,967 ada)1.27%(11 票)42.96%(75 票)賛成 0・反対 3・未投票 4

Ikigai の件は、前号で当方が数値を出せなかった議案です。取得経路の出典間で乖離が許容差を超えたため、自前の数値を書かずに Intersect の記載(44.47%)を引くにとどめていました。今週は取得が通り、51.14% を確認できています。ただし閾値の 67% までは、まだ 15.86 ポイントあります。

Governance Incentives Framework 2026 のほうは、方向がはっきりしています。DRep の賛成は 1.27% で、投票済みの反対が 42.96%(75 票)。前号の 58 票からさらに増えました。加えて、憲法委員会が 3 名反対しています。 委員会が反対票を投じている議案は、今回の 4 件の中でこれだけです。

期限のある予定として、もう一つ。Intersect の理事選挙 2026 は、8 月 31 日 12:00 UTC に応募の受付が始まりました。 締切は 9 月 11 日 12:00 UTC、投票は 9 月 14 日 12:00 UTC から 9 月 25 日 12:00 UTC、結果は 9 月 28 日です。member-elected の 2 議席で、任期は 2 年。応募資格には「Intersect の委員会または理事を 1 期以上務めた経験」が含まれます。

13. 開発の動き

一次は Essential Cardano の週次開発レポート(9 月 4 日)です。今週は 3 領域の記載でした。

ノード。 パフォーマンス・トレーシングのチームが Cardano node v11.1.0 をベンチマークしています。結果は「プロセスの CPU 使用は減ったが、常駐メモリ(resident set size)は増えた」というもので、この増加は v11.1.1 のパッチリリースで対処中と書かれています。あわせて、ベンチマークの計測を細かくし(台帳の更新時間と UTXO 参照のディスクアクセス時間を分離)、作図のバックエンドを Cairo から gnuplot へ入れ替えて依存を減らしています。

SPO の立場で目を引くのは Leios 側の記述です。オンディスクの台帳データベースについてトランザクション検証のベンチマークを出し、さらに「Nix もネットワークも無しに、SPO のハードウェアで走る」自己完結型のベンチマークパッケージを作っている、とあります。手元の機材で測れる形にする作業が進んでいます。

Hydra。 仕様を LaTeX から Typst へ移し、Agda で形式化しました。加えて、Hydra ノードとバリデータのあいだで差分テストを行い、機械が検査できるリファレンスを追加しています。運用面では、ネイティブの Linux ARM64 イメージを AMD64 と並べて公開しました。

リサーチ。 Cardano Vision 26 の技術ワークショップ第 2 回が開かれ、データ可用性(data availability)の要件・ユースケース・仕様が扱われました。CPS の準備、ロードマップ、実装の引き継ぎまで含まれています。ホストは IOG の Fergie Miller と Giorgos Panagiotakos です。

なお、Intersect の週次更新 #127 は、本稿の取得時点(9 月 5 日 07 時台)でまだ公開されていません。 一覧とサイトマップの最新は #126(8 月 28 日)で、想定される URL を直接叩いても 404 でした。したがって今週の Intersect 一次情報は、本稿にはありません。

14. Midnight ウォッチ

今週の Midnight は、公式ブログよりリポジトリのほうに動きがありました。

MIP-0016「NIGHT Staking」

9 月 1 日、MIP-0016「NIGHT Staking」がマージされました(PR #290)。これで mips/ に並ぶ改善提案は、前号時点の 15 本から 16 本になります。

このリポジトリには、MIP(どう変えるか)と MPS(何が問題か)の 2 トラックがあります。NIGHT のステーキングについては、問題提起の側に mps-0034-night-staking.md が既にありました。 今回 MIP-0016 が入ったことで、1 つのテーマについて「問題の定義」と「変更の提案」が両方そろった形になります。

同じ週に、MPS-0038「Operational Cost of Cardano Observation」(9 月 2 日・PR #296)も入りました。Midnight が Cardano を観測し続けるための運用コストを扱うもので、パートナーチェーンという構造そのものに関わる論点です。

新規に立った提案としては、MPS-035「Introduce Shielded Note V2」(8 月 31 日起票・PR #289)が open のままです。

公式ブログ

公式ブログの今週の投稿は、8 月 31 日の「Inside Aliit: Everything you want to know」(Aliit Fellowship の紹介)1 本でした。9 月に入ってからの投稿はまだありません。 実務系の直近は、前号で扱った 8 月 26 日の「State of the Network — August 2026」です。

したがって、DUST や Glacier Drop、次フェーズの計画について、今週あらためて確認できた一次情報はありません。 本稿でそれらの新しい数値を書かないのは、そのためです。

次フェーズ「Mōhalu」について、いま言えること

Midnight の次フェーズの名前として Mōhalu が語られています。これは実在する公式のフェーズ名で、一次は Midnight の開発者向けドキュメントにある Dev Diary「Testnet-02 Transition & The Roadmap to Mōhalu」(2026 年 1 月 27 日・Developer Relations の Stevan Lohja)です。そこでは Mōhalu を「Incentivized Mainnet」のフェーズと位置づけ、SPO のオンボーディングが始まること、Docker 専用の配布をやめて midnight-node のビルド済みバイナリを提供すること、ドキュメントを全面的に刷新することが書かれています。

一方で、時期についての一次記載は確認できませんでした。 よく見かける「2026 年の第 2〜第 3 四半期」といった記述は、当方が当たった範囲では一次にたどり着けていません。8 月 30 日には、コミュニティのフォーラムに「Mohalu — when can it be expected?」という投稿も立っています。時期を尋ねる投稿が出ている、という状態そのものが、いまの情報の量を表しています。本稿では時期を書きません。

なお、DUST に関して 1 点だけ、前号までの理解を補足しておきます。Sundae Labs の Capacity Exchange は、すでに限定的な形で動いています。 8 月の公式の状態報告に「Sundae Labs Capacity Exchange により、対応する Midnight アプリケーションで、利用者は DUST の代わりに USDM で取引手数料を決済できるようになった」と書かれています。次フェーズを待っている未実装の機能、ではありません。

「RealFi が 10 月 1 日にメインネット」という話について

今週、RealFi が 10 月 1 日にカルダノのメインネットへ来る、という日付が流れました。当方が当たった範囲では、RealFi 側にも Input Output 側にも、この日付の公式表明は見つかりませんでした。 出所はコミュニティのアカウントの 9 月 2 日の投稿で、その後の記事はそれを引用しています。

一次として確認できるのは、8 月 11 日に Cardano Forum の公式アナウンス枠へ出た「RealFi のテストネットが正式に稼働、フェーズ 1 開始」までです。10 月 1 日を公式の日程として扱うことは、本稿ではしません。

15. リスク・ディメンション

  • Hydra(最優先)。 GHSA-cg83-6w6r-6hx3 は critical で、影響は資金の窃取です。2.3.0 または 2.4.0 を動かしている場合、2.4.1 への更新が必要です。2.3.0 以前からの更新では、先に head を close して fan out する手順が入ります。自分は正直な参加者でも、同じ head に悪意ある参加者が 1 人いれば成立する類の脆弱性なので、「自分の運用は問題ない」では止まりません。
  • 技術。 node v11.1.0 で常駐メモリが増えたことは、v11.1.1 で対処中とされています。SPO にとっては、パッチが出るまでのあいだ、メモリ側の余裕を確認しておく理由になります。Amaru を試している場合は、VRF 鍵の一意性ルールが未実装であることが公式に明記された点を、ベータの前提として把握しておく必要があります。
  • ガバナンス。 締切の 69 秒前に票が入るという状態は、可決したという結果だけを見ると成功に見えますが、手順としては余裕がありません。 次に期限のある議案(エポック 656 の 2 件)では、日本時間 9 月 17 日 6 時 44 分 51 秒が締切です。
  • 構造。 minPoolCost の議案は、DRep が越えて SPO が越えないという形で落ちました。この形は、同じテーマで再提出しても同じところで止まりうることを意味します。再提出があるとすれば、SPO 側の 51% をどう組み立てるかが論点になります。
  • 委員会。 発効は 9 月 7 日です。それまでの 2 日間、委員会は旧構成のままで、期限 653 の委員が含まれた状態が続きます。
  • 情報。 Intersect の週次更新が今週まだ出ていないため、公式の総括が読める状態にありません。次の更新で、可決と失効の両方がどう説明されるかは確認する価値があります。

16. 来週の注目

  1. 委員会の発効 — 日本時間 9 月 7 日 6 時 44 分 51 秒。enacted_epoch が 654 で埋まるかを、エポック境界の直後に確認します。
  2. 新任・再任の 4 名の氏名 — 今週は鍵のハッシュ値までしか確認できませんでした。Intersect 側の名簿一次が出れば書けます。
  3. Intersect weekly update #127 — 可決と失効の公式な総括。とくに minPoolCost の再提出に触れるかどうか。
  4. minPoolCost の再提出 — DRep が越えて SPO が越えなかった議案です。同じ内容で出し直すのか、SPO 向けに組み替えるのか。
  5. Dijkstra に向けた憲法改正の提出 — cardano.org は 7 月 10 日の記事で「エポック 655 より前を目標」と書いています。エポック 655 の開始は日本時間 9 月 12 日 6 時 44 分 51 秒です。今週発効する新しい委員会が、その合憲性を確認する側に立ちます。
  6. エポック 656 の 2 件 — Ikigai(51.14%)が 67% へ届くか。Governance Incentives Framework 2026 は委員会が 3 名反対しており、方向がすでに出ています。
  7. node v11.1.1 — 常駐メモリの増加に対するパッチ。
  8. Hydra を運用している場合の 2.4.1 適用状況 — 勧告が出てからの経過と、追加の続報が出るかどうか。
  9. Intersect 理事選挙の応募締切 — 9 月 11 日 12:00 UTC。2 議席に何名が出るか。
  10. MIP-0016 の先 — NIGHT ステーキングの提案が、Review から先へ進むかどうか。

まとめ

前号は、「期限は、日本時間 9 月 2 日の朝 6 時 44 分 51 秒です」で終わりました。

その締切に、票は間に合いました。憲法委員会の更新は DRep 71.95%・SPO 56.54% で可決し、最後の 1 票は締切の 69 秒前に入っています。521 票のうち 262 票が最後の 5 日間に集まりました。

前号で「足りないのは説得ではなく、席に着く委任量のほう」と書いたことは、結果としては当たっていました。この議案に投票済みで反対した SPO は、最後まで 1 プールだけです。 割れていた議案ではなく、参加が遅れていた議案でした。

ただし、同じ締切のもう 1 件は、違う形で落ちました。minPoolCost の引き下げは、DRep 側では 68.57% で閾値を越えていました。 越えなかったのは SPO 側だけです。そして SPO の反対は、28 プールから 59 プールへ増えていました。こちらは、参加が遅れていたのではなく、意見が分かれていた議案です。

この 2 件を並べると、「SPO の投票率が低い」という一つの言い方では足りないことが分かります。同じ低さでも、賛成が届かなかった議案と、反対が積み上がった議案は別物です。 前者は呼びかけで動きました。後者は、おそらく動きません。

そして、170 ada は 170 ada のままです。トランザクションのメモリ上限も 16,500,000 のままです。失効した議案が残すのは、変わらなかった数値のほうです。

ガバナンスから目を移すと、今週はもう一つ、期限のある話がありました。Hydra の critical です。こちらに投票はありません。2.3.0 か 2.4.0 を動かしているなら、2.4.1 に上げる。 それだけですが、締切は勧告が出た瞬間から始まっています。

新しい委員会が効き始めるのは、日本時間 9 月 7 日の朝 6 時 44 分 51 秒です。

参考・出典

透明性メモ

今週、判断が分かれた点と、書かなかったことを記しておきます。

  • 締切が効いたことの確かめ方:両議案の投票記録を全件取り出し、締切(1788299091)以降に記録された票が 0 件であることを確認しました。エポックの記録から日付を推測してはいません。
  • minPoolCost の DRep 票数を書いていない理由:当方の canonical な取得経路が、この議案についてのみ投票数の突合で停止しました(AdaStat 148 票 / Koios 明細 149 票の 1 票差・2 回試行して同じ)。一方で賛成率は 2 つの出典で 68.57% と完全に一致し、SPO 側も 34.5% と 34.53% で 0.03 ポイント差です。そのため本稿ではパーセンテージのみを書き、DRep の票数は書いていません。
  • 委員会の新任・再任 4 名の氏名:Koios が返すのは鍵のハッシュ値のみで、氏名と結びつく一次情報を今週確認できていないため、書いていません。
  • Intersect weekly update #127:本稿の取得時点(9 月 5 日 07 時台)で未公開でした。一覧・サイトマップの最新は #126 で、想定 URL は 404 です。まだ出ていないものを「今週の Intersect によれば」と書くことはしていません。
  • Midnight の次フェーズ・DUST 市場・Glacier Drop の解除日程:構成案として参照した資料にはこれらの記述がありましたが、公式ブログにも今週の一次にも確認できませんでした。 本稿では扱っていません。
  • 「RealFi の 10 月 1 日メインネット」:本文にも書いたとおり、公式の表明を確認できませんでした。 出所はコミュニティのアカウントの 9 月 2 日の投稿で、記事はそれを引用しています。一次として確認できるのは 8 月 11 日のテストネット稼働までです。日付そのものが誤りだと主張しているのではなく、公式日程として扱える根拠が見つからない、ということです。
  • Mōhalu の時期:フェーズ名と位置づけ(Incentivized Mainnet)は 2026 年 1 月 27 日の公式 Dev Diary で確認できましたが、時期の一次記載は見つかりませんでした。 そのため時期を書いていません。
  • Cardano Foundation の今週の発信cardanofoundation.org が取得できず(アクセス制限で 429)、確認できていません。 「今週 CF は何も出していない」とは書いていません。確認できたのは Intersect・cardano.org・iog.io の側だけです。
  • Intersect 理事選挙の記事の日付:応募開始が 8 月 31 日 12:00 UTC であることは告知記事に記載がありますが、その記事自体の公開は 8 月 19 日です。今週出た記事ではありません。
  • Hydra の勧告と週次レポートの関係:同じ週の開発レポートに勧告の記載がないことは実測ですが、それが漏れなのか、扱いの方針なのかは判断していません。 事実として並べるにとどめています。
  • 票が締切直前に集中した理由:記録から分かるのは、いつ何票入ったかまでです。呼びかけの効果や個々の判断については、書いていません。
  • minPoolCost に反対が 59 プール入った理由:投票そのものからは読み取れないため、票数の事実だけを記しています。
  • 価格と議案の関係:ADA と NIGHT が今週戻したことと、可決・失効の結果を結びつけてはいません。同じ日に方向の違う結果が確定しており、価格からは切り分けられません。
  • 前号との連続性:前号の「あと 2.76 ポイントと 15.53 ポイント」は、今回の最終値(71.95% / 56.54%)と整合します。前号の数値は 8 月 29 日 08:17 JST 時点、本稿は 9 月 5 日 07:03 JST 時点です。

投資助言ではありません。情報提供・リサーチ目的のみ。