SITION が運用する 3 つのステークプール SIPO / SIPO2 / SIPO3 は、リレーとブロック生成ノードのすべてを cardano-node 11.1.2 に更新しました。9 月 21 日にリレーから始め、24 日にブロック生成ノード 3 台の切り替えを終えています。更新後も 3 プールともブロック生成を続けており、あわせて 3 プールで Mithril の署名者としての登録も済ませました。この記事では、更新の中身と進め方、そして委任者の皆さまにとって何が変わり、何が変わらないのかをお伝えします。
更新したもの
対象は、3 プールを支えるすべてのノードです。外部のノードとつながってブロックや取引を中継するリレーと、ブロックを実際に作るブロック生成ノード(BP)の両方を、cardano-node 11.1.2 に揃えました。あわせて、ノードを操作するための cardano-cli も 11.2.3.1 に更新しています。
11.1.2 は 9 月 17 日に公開された版で、9 月 27 日時点で cardano-node のリリース欄に正式版として並ぶ最新です。SIPO の 3 プールはこれまで 11.0.1 で動いていました。
委任者の皆さまの側で必要な操作はありません。委任先の変更も、ウォレットでの手続きも不要です。ステーキング報酬の仕組みや、運営マージン・固定費などの条件も変わりません。
11.1 系で入ったこと
11.1.2 は、9 月 8 日に出た 11.1.1 に小さな修正を重ねた版です。11.1.2 のリリースノートが挙げる変更は、タイムロックスクリプト(「この時刻より前は使えない」といった時間条件をかける仕組み)のメモリ使用の最適化です。中身の大部分は 11.1.1 で入っており、リリースノートはその版をこう紹介しています。
“Node version 11.1.1 includes a number of performance improvements and general enhancements, and prepares the way for the Dijkstra-era hard fork.”
性能面では、ノード同士の取引の受け渡しが効率化され、未処理の取引が増えてもその一覧の取り出しが速いまま保たれるようになり、Plutus スクリプトの検証も速くなりました。次の大型アップグレードである Dijkstra 時代へのハードフォークに向けた下準備も続いています。
運用の面で大きいのは、ノードが残す台帳のスナップショットが予測できる間隔で取られるようになり、Mithril と互換になったことです。ノードの監視(トレーシング)の仕組みも新しい方式に一本化され、旧方式の設定は使えなくなりました。SIPO のノードは更新前から新しい方式の設定で動いていたため、監視は途切れることなく引き継がれています。
一方で、既知の課題として、11.0.1 と比べてメモリ使用がわずかに増えることがリリースノートに記されています。SIPO では更新後の数日間、各ノードのメモリ使用の推移を見守り、増え続けることなく落ち着いていることを確かめてから次の段階に進みました。
ブロック生成を止めない順番で
Cardano には、新しいノードを全台へ一斉に配る仕組みがありません。運用者がそれぞれ自分のサーバーでバージョンを上げて再起動し、はじめて新しいリリースがネットワークの一部になります。いつ、どの順番で上げるかは、運用者ごとの判断です。
SIPO は、まずリレーを 1 台ずつ更新しました。リレーは複数台で並べているため、1 台を入れ替えている間も残りのリレーが外とのつながりを保ちます。リレーを新しい版で数日動かし、安定していることを確認してから、ブロック生成ノードへ進みました。
ブロック生成ノードは、止めている間に自分の担当スロットが来ると、そのブロックを作れません。そこで 3 台とも、担当スロットが入っていない時間帯を選び、1 台ずつ切り替えています。切り替えの作業中に担当スロットが重なることはなく、更新後も 3 プールともブロックの生成を続けています。
Mithril の署名者として、3 プールで参加
Mithril は、Cardano のチェーンのデータが正しいことを、多数の SPO の署名をまとめた証明書で示す仕組みです。新しくノードを立ち上げる人やウォレットは、この証明書つきのデータを使うことで、チェーンを最初から検証し直す長い時間をかけずに同期できます。署名に加わる SPO が多く、その背後の委任量が厚いほど、証明の土台も厚くなります。
今回のノード更新にあわせて、SIPO は 3 プールとも Mithril の署名者として登録しました。Mithril の公開 API では、エポック 659(日本時間 10 月 2 日 6 時 44 分開始)の署名者一覧に、SIPO / SIPO2 / SIPO3 の 3 プールが入っていることを確認できます。登録から実際の署名までは 2 エポックの間があり、署名への参加はエポック 659 からです。
Mithril の署名は、ブロック生成とは別に、ネットワーク全体のために行う仕事です。委任者の皆さまのステーキング報酬が増えたり減ったりするものではありませんが、Cardano を誰でも速く、安全に使い始められる状態を支える公共財への参加として、SIPO は継続していきます。
次に確かめること
まず、エポック 659 に入ったあと、Mithril の証明書に 3 プールの署名が実際に載ることを確かめます。
ノードのバージョンについては、cardano-node のリポジトリに 11.1.3 のタグが 9 月 25 日(UTC)付けで作られています。9 月 27 日時点では、リリース欄への掲載、リリースノート、配布物はまだありません。正式なリリースとして公開された段階で中身を確かめ、必要な対応をあらためてお知らせします。Dijkstra 時代へのハードフォークに向けて、今後もノードの更新は続いていきます。SIPO はこれからも、公開されたリリースの内容を確かめたうえで、3 プールそろって対応していきます。
ことば
- リレー — 外部のノードとつながり、ブロックや取引を中継するノード。ブロック生成ノードを直接インターネットにさらさないための前段でもあります。
- ブロック生成ノード(BP) — 担当スロットが来たときに、実際にブロックを作るノード。プールごとに 1 台ずつ動いています。
- Mithril — 多数の SPO の署名をまとめた証明書で、チェーンのデータの正しさを示す仕組み。ノードやウォレットの素早い同期に使われます。
一次ソース・参照
- cardano-node 11.1.2 リリースノート(2026 年 9 月 17 日):https://github.com/IntersectMBO/cardano-node/releases/tag/11.1.2
- cardano-node 11.1.1 リリースノート(2026 年 9 月 8 日):https://github.com/IntersectMBO/cardano-node/releases/tag/11.1.1
- cardano-node リリース一覧:https://github.com/IntersectMBO/cardano-node/releases
- cardano-cli 11.2.3.1:https://github.com/IntersectMBO/cardano-cli/releases/tag/cardano-cli-11.2.3.1
- Mithril Explorer(署名者の登録状況):https://mithril.network/explorer/registrations?aggregator=https%3A%2F%2Faggregator.release-mainnet.api.mithril.network%2Faggregator
- 関連記事:cardano-node 11.1.2、報告ノードの2割が更新(SIPO.TOKYO・9 月 21 日):https://sipo.tokyo/signal-20260921-4f3b4c54/
