Midnight のメインネットで 10 月 25 日、1 日あたりのトランザクション数が過去最多の 49,229 件に達しました。9 月 28 日にスマートコントラクトの公開が誰にでも開かれてから 1 か月足らずで、1 日数百件だった処理量は、4 万件台後半が続く水準まで増えています。
プライバシーを扱う基盤としての Midnight は、技術の話題より先に「実際に使われているか」で測られる段階に入りました。この記事では、記録の数字が何を数えたものか、増え方の経緯、そして Zcash との比較をどう読むかを順に整理します。
初期報: Midnight、1日あたりのトランザクション数で新記録を達成
4万9229件と累計95万件、数字の出どころ
記録を最初に伝えたのは、市場やマクロ、新しい技術の解説を発信している MSB Intel です。10 月 27 日の朝 5 時半(日本時間)に「10 月 25 日に 49,229 件を処理し、同じ日の Zcash の 20,445 件の 2 倍を超えた」と投稿し、メインネットの累計が 954,434 件になったことも添えました。その 45 分後、Midnight の開発を担ってきた IOG(Input Output Global)が「最初の 100 万件が近づいている」との一文を付けてこの報告を共有しています。
編集部で、コミュニティ製のブロックエクスプローラー Midnight Explorer の日次チャートを確認したところ、10 月 25 日の値は 49,229 件で、MSB Intel の数字と一致していました。比較に使われた Zcash 側も、Blockchair の日次集計で同日の 20,445 件と一致します。記録の日次の数字と比較相手の数字は、どちらも別々の集計で裏付けが取れます。
9月28日のパーミッションレス化から1か月の伸び
Midnight のメインネットは今年 3 月に稼働しましたが、最初の期間は安定性とセキュリティ、開発者の準備に重心が置かれていました。転機になったのは 9 月 28 日です。Midnight 公式ブログの「State of the Network – September 2026」で、メインネットへのスマートコントラクト公開がパーミッションレスになったと発表されました。それまで求められていた Preprod(公開テスト網)でのセキュリティ審査が不要になり、アプリが利用者に代わってコントラクトを公開することもできるようになっています。
Midnight Explorer の日次の推移を追うと、9 月末は 1 日数百件の規模でした。10 月 5 日に 22,655 件と一気に 2 万件台へ乗り、10 月 14 日には 4 万件を超えます。19 日に一度 24,141 件まで下がった後、20 日から 24 日までの 5 日間は毎日 48,353〜49,007 件の幅に収まっていました。
つまり今回の記録は、ある 1 日だけ跳ねた数字ではありません。4.8 万〜4.9 万件の水準が 1 週間続いた中で、上限が少し押し上げられた更新です。増え始めた時期はパーミッションレス化の直後と重なっており、公開の扉が開いたことで処理量の土台が一段上がった、と読むのが自然です。Explorer のトップ表示では、10 月 27 日朝の時点で公開済みのコントラクトが 1,433 件、コントラクトの操作が約 88 万件に積み上がっています。
Zcash との比較をどう読むか
MSB Intel は比較の相手に、プライバシー通貨として知られる Zcash を選びました。ただ、両者は設計の目的が異なります。Zcash は送金そのものを秘匿することに重心を置いた通貨です。一方の Midnight は、アプリが扱うデータのうち何を公開し何を伏せるかを選べるようにするスマートコントラクト基盤で、ネイティブトークンの NIGHT 自体は公開型(unshielded)のトークンです。
Midnight の件数は、アプリがコントラクトを動かす操作が中心です(前章のとおり、コントラクトの操作だけで約 88 万件あります)。件数が Zcash の 2 倍を超えたことは、Midnight の上でアプリが動く回数がここまで増えたことを示す数字で、秘匿された送金の量を比べたものとは性格が違います。件数の多さがそのまま経済的な価値の大きさを表すわけでもない点も、あわせて押さえておきたいところです。
次に見るもの
一つ目は 100 万件の到達です。MSB Intel の累計 954,434 件から 1 日 4.9 万件前後のペースが続けば、数日のうちに 100 万件を超える計算になります。Midnight Explorer のトップの累計表示は 10 月 27 日朝の時点ですでに 99 万件台に入っています(集計の取り方の違いで MSB Intel の数字とは少しずれます)。
二つ目は、件数の中身です。どのコントラクトがこの処理量を生んでいるのかは、Midnight Explorer のコントラクト一覧で追えます。Midnight 公式ブログでは 9 月 28 日に「State of the Network – September 2026」が出ており、同じ題の 10 月分が月末前後に公開されれば、パーミッションレス化後の 1 か月にどのアプリが動いたのか、Midnight 側からの説明が出てくるはずです。量の記録の次は、その量を何が生んでいるのかが焦点になります。
ことば
- Midnight Explorer — TexLabs が運営するコミュニティ製のブロックエクスプローラー。Midnight 財団の公式ではありませんが、メインネットの日次取引数のチャートを公開しており、今回の記録もここで突き合わせられます。
- パーミッションレス・デプロイ — 誰でも審査なしにスマートコントラクトをメインネットへ公開できる状態のこと。Midnight では 9 月 28 日に始まり、そこから処理量が段階的に増えました。
- Zcash — 送金の送り手・受け手・金額を秘匿できるプライバシー通貨。今回の比較では、プライバシーを掲げる代表的なチェーンとして引き合いに出されました。
一次ソース / 関連リンク
- MSB Intel の X 投稿(10 月 25 日の記録と Zcash との比較)
https://x.com/MSBIntel/status/2114816838744051735
Midnight 公式ブログ「State of the Network – September 2026」(パーミッションレス化の発表)(midnight.network)

Midnight Explorer(ネットワーク切替で Mainnet を選択・日次チャート)
Midnight Explorer
Blockchair の Zcash 統計(blockchair.com)

