エポック651(2026年8月23日〜8月28日)
序章:帳簿のほうに、数字が現れる日

決めたことが本当に起きたかどうかは、どこを見れば分かるのでしょうか。
台帳には「執行済み」と書かれています。けれど残高のほうがそれを映していない——前回のエポック650で、SIPOはその食い違いを記録して終わりました。1億2,000万ADAの引き出しが執行済みとして記録された同じ期間に、財務の残高は約369万ADA増えていたからです。執行の記録と、残高の集計。二つは同じ期間の別の角度の記録で、そのときは一致していませんでした。
エポック651で、残高のほうが動きました。1,453,739,191 ADAから、1,337,356,660 ADAへ。差は116,382,531 ADAの減少です。 引き出された額そのものと一致はしませんが、向きも桁も、待っていたものと同じです。前号で「片方だけを答えとしては扱いません」と書いたその答えが、今回そろいました。
同じ5日間に、似た形のことがいくつも起きています。
9月1日に期限がかかっている2つの提案について、SPOの賛成が、初めて分母つきの数字として並びました。前号でSIPOは「SPO側の51%については、今回も分母を明示できる形で数字を出していません」と書きました。今回はその分母が出ています。そして出てきた数字は、賛成が25.60%と30.53%——閾値の51%に対して、どちらも半分前後です。
Leiosのテストネットは、41日間の運転で壊れた5つの事例を、発生から修正までの経緯つきで公開しました。1バイトの食い違いで鎖が分かれた朝と、不正な署名1つでネットワーク上の全マシンが停止した朝が、そこに含まれています。
NIGHTは、国内の登録業者の取扱銘柄になりました。Midnightは、Zswapの注文を別の層の共有された場所に置くという設計を告知しました。Cardano財団は、ガバナンス専任の職務内容を求人票として公開しました。Input Outputは、中核プロトコル作業の担い手の所在を短い一文で示しました。
軸は「見えるところに、置く」です。
前回のエポック650は「期限が、答えになる」の5日間でした。数え終える前に時計が止まれば、期限そのものが答えになる——賛成61.28%の提案が票を数えられずに終わった回です。エポック651で起きたのは、その手前のことでした。期限が来る前に、何がどれだけ足りていないのかを、外から数えられる形にする。 残高も、票の分母も、壊れ方も、担い手も、この5日間はそれぞれ別の場所で「確かめられる形」に置き直されています。
市場のほうは、逆の記録になりました。前号でADAは記録のうえで+31.6%動きました。この5日間は−6.80%です。同じ期間にBTCは+2.25%、ETHは+3.44%——上げの回でADAが先頭にいた並びは、1エポックで元に戻りました。 第7章で記録として並べます。
第1章:エポック651の5日間を俯瞰する
まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。読者がこの章だけで期間の全体像をつかめることを目的にしています。
ガバナンス
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月23日 | 9月1日期限の2議案について、minPoolCost のDRep賛成が45.17%・未投票48.14%という当日値で報じられた | SIPO Daily Intel 8/23 |
| 8月24日 | 改善提案5本が確定扱いに移り、そのうちCPS-0033「DRep Voting Power Concentration」が票の偏りを番号付きの課題として定義した | Cardano 公式 |
| 8月26日 | Intersect が DRep 月例コールを日本時間8月27日0時に開催。議題に委員会アクションの可否の影響が入った | SIPO |
| 8月26日 | SIPO DRep が2件投票(Governance Incentives Framework 2026 に反対/Ikigai 供託金103,000 ADA の返還に賛成) | SIPO DRep |
| 8月26日 | 9月1日期限の2議案について、SPO の賛成がまだ2割前後であることを記録 | SIPO |
| 8月27日 | Cardano 財団が Ecosystem Governance Coordinator(ガバナンス専任)を募集 | Cardano Foundation |
| 8月28日 | Intersect の Upgrade Bulletin 31 が、SPO のオンチェーン投票を要する現行議案が最終エポックに入ったと告知 | Intersect |
| 期間中 | ハードフォーク命名の情報提案「von Bergen」が、エポック651で期限切れとして記録された | AdaStat |
開発・スケーリング
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月24日 | 改善提案 CIP-0197「Post-Quantum ZK Signatures for HD Wallets」が審査に入った。証明サイズ約219KB・署名生成12.5秒という参考値つき | CIP-0197 |
| 8月27日 | Leios の公開テストネット MusashiNet について、Earth フェーズ41日間の記録が公開。127,000超の Praos ブロック、30,000の endorser ブロック告知、8,000近い証明書、参加プールは3から63へ | Input Output |
| 8月27日 | Bitcoin の Lightning を Cardano へ運ぶ設計が Pre-production の段階として紹介された | SIPO |
| 8月28日 | Upgrade Bulletin 31 が、早期テストが近づくなかで Dijkstra が形になってきていると報告 | Intersect |
Midnight・パートナー
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月24日 | S.BLOX が NIGHT と ADA の取扱いを開始。NIGHT は「国内で初めての取扱い」(同社調べ)と明記 | S.BLOX プレスリリース |
| 8月24日 | CertiK と Midnight のエコシステム提携(告知は8月21日)について、監査の対象・時期・成果物の形が未記載であることを確認 | CertiK |
| 8月24日 | Midnight Buildathon の日程と配分が公開。3つの Wave で総額12,500ドル、Wave 1 は8月27日開始 | Midnight |
| 8月24日 | 日本ミートアップが9月11〜13日に福岡→名古屋→東京。コミュニティ(Nightforce)主催 | Midnight 日本語公式 |
| 8月25日 | Zswap の注文を Celestia の共有名前空間へ投稿し、それを索引する側が同じ注文を発見できる設計を告知 | Midnight |
| 8月25日 | 公式ブログ「主流化には透明性以上のものが要る」を公開 | Midnight Blog |
| 8月26日 | 8月分の State of the Network を公開 | Midnight Blog |
| 8月28日 | DUST サイクルの4フェーズと DUST スポンサーシップの解説を案内 | Midnight |
DeFi・アプリ
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月23日 | Fluid V4 で $FLDT 保有者のボットが清算役を担える設計が告知された | SIPO |
| 8月23日 | SIPO が Yoroi / SecondFi 利用者向けの移行マニュアルを公開 | SIPO |
| 8月25日 | FluidTokens が Wanchain 事案の影響範囲を整理。影響を受けたのは NIGHT で wanBTC ではないと明示したうえで、ステーキング報酬の設計を見直すと告知 | FluidTokens |
| 8月25日 | Lace が Keystone に対応。署名は画面とカメラの間だけで完結し、USB も Bluetooth も使わない | SIPO |
| 8月28日 | FluidTokens で $ASCEND の貸借が開始。Fluid Lending V4・Bifrost・Aquarium にまたがる公開コミットは680件超と報告 | FluidTokens |
組織・資金・イベント
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月25日 | Cardano 財団が「Cardano on the Road」を紹介。最初の訪問先はペトロブラス本社、翌週にブラジリア大学と PUC-Rio が Cardano Summer School に参加(ブラジルはスイス・南アフリカに次ぐ3か国目、奨学金4件) | Cardano Foundation |
| 8月25日 | 財団が「使われるほど語られなくなる」と投稿。Gartner のブロックチェーン単独ハイプサイクルは2024年版で止まっている | Cardano Foundation |
| 8月26日 | Input Output が、Cardano の中核プロトコル作業は BlockPQR で続くと告知 | Input Output |
| 8月28日 | Java 開発者向けガイド、CIP-13 の web+cardano スキーム、通知ツール Adder が同じ日に案内された | Cardano Foundation |
市場
| 日付 | 出来事 | 一次ソース |
|---|---|---|
| 8月23日〜27日 | ADA は日次の記録で $0.226525 → $0.21112(−6.80%)。同じ5日間に BTC は +2.25%、ETH は +3.44% | 12指標の日次記録 |
| 8月26日 | ブレント原油が $86.15 まで下げ、期間で最も大きく動いた指標になった(−8.25%) | 同上 |
この5日間は、どこが重かったか
重かったのは開発とMidnightです。件数だけを見ればガバナンスが最も多いのですが、ガバナンス側で新しく起きたことは「票が積み上がった」ことと「期限が近づいた」ことで、構図そのものは前号から変わっていません。変わったのは数字の位置だけです。
対して開発の側では、Leios が41日間の運転記録を——性能の数字だけでなく壊れ方まで含めて——外に出しました。設計の主張ではなく運用の実績が公開されたという意味で、この5日間でいちばん新しい情報量を持っています。Midnight は同じ週に、取扱いの入口(国内の登録業者)、設計思想(透明性だけでは足りない)、実装の分け方(発見だけを共有層へ)、そして参加の入口(Buildathon・日本ミートアップ)を、それぞれ別の面から出しました。
静かだった領域もあります。この5日間、SIPO自身のプールに関わる制度面での変更はありませんでした。 委任とステークの水準は動いていますが(第9章)、手数料・誓約・運用条件に関わる決定は起きていません。市場も、前号のような一方向の動きにはなっていません——ADAは下げ、BTC・ETHは上げ、株式はほぼ横ばいという、方向の揃わない5日間でした。
第2章:9月1日の2件に、SPOの分母がつきました
前号でSIPOが書けなかったことが、今回は書けます。SPOの賛成が何に対する割合なのか——その分母です。
数字を、分母つきで置きます
取得時点は2026年8月28日朝です。
Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2)(Action ID: gov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk/種別 ParameterChange/提出エポック646/期限エポック653/状態 active)
| 面 | 賛成 | 明示的な反対 | No Confidence | 未投票 | 閾値 |
|---|---|---|---|---|---|
| DRep | ₳2,225,920,362(52.94%) | ₳216,720,858(5.15%) | ₳149,294,067(3.55%) | ₳1,612,653,851(38.35%) | 67% |
| SPO | ₳2,858,026,229(25.60%) | ₳410,774,610(3.68%) | ₳52,034,755(0.47%) | ₳7,843,428,162(70.25%) | 51% |
DRep側の批准分母は₳4,204,589,138、SPO側の批准分母は₳11,164,263,757です。割合はすべて、この分母に対するものです。
Update Constitutional Committee 2026(Action ID: gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5/種別 NewCommittee/提出エポック646/期限エポック653/状態 active)
| 面 | 賛成 | 明示的な反対 | No Confidence | 未投票 | 閾値 |
|---|---|---|---|---|---|
| DRep | ₳2,379,502,835(56.38%) | ₳12,062,161(0.29%) | ₳149,294,067(3.54%) | ₳1,679,902,675(39.80%) | 67% |
| SPO | ₳3,298,470,654(30.53%) | ₳60,086,762(0.56%) | ₳52,034,755(0.48%) | ₳7,393,517,946(68.43%) | 51% |
DRep側の批准分母は₳4,220,761,738、SPO側の批准分母は₳10,804,110,117です。この種別に憲法委員会の投票の面はありません。 取れなかったのではなく、委員会の更新について委員会自身が投票する枠組みが置かれていない、ということです。
分母が何でできているかを、はっきりさせます
ここが今回いちばん書いておきたいところです。SPO側の分母は、全プールの委任ステークから、明示的な棄権と「常に棄権」を差し引いたものです。ブロック生成の実績があるプールだけに絞った母数ではありません。minPoolCost の側でいえば、明示的な棄権が₳644,696,012、「常に棄権」が₳9,610,602,456あり、これらは分母の外に出ています。プール数でいうと、常に棄権が543プール、常に No Confidence が18プール、全体は2,913プールです。
そのうえで、未投票は分母の中に残ります。 minPoolCost のSPO側では₳7,843,428,162、分母の70.25%が未投票です。委員会更新の側でも₳7,393,517,946、68.43%が未投票。閾値51%に対して賛成が25.60%と30.53%というのは、反対されているからではありません。7割が投票していないからです。
SIPOは8月26日、この構造を「『投票しない』は反対側に数えられます」という見出しで記録しました。棄権を選べば分母から抜けますが、何もしなければ分母に残る——その差が、いま数字として見えています。
DRep側は、届く距離まで来ています
DRep側は別の景色です。minPoolCost の賛成は52.94%。前号の時点では45.21%でしたから、5日間で7.73ポイント積み上がっています。 その前の5日間は12.24ポイント伸びていましたので、伸び幅は落ちましたが、方向は同じです。未投票は前号の48.11%から38.35%へ、約10ポイント減りました。
委員会更新のDRep賛成は56.38%です。閾値67%まで、minPoolCost は14.06ポイント、委員会更新は10.62ポイント。 未投票が両方とも4割前後残っているので、届くかどうかは残り2エポックで誰が投票するかにかかっています。
明示的な反対は、どちらも小さいままです。minPoolCost で5.15%、委員会更新で0.29%。反対されて止まっているのではないという構図は、前号から変わっていません。
von Bergen は、記録として閉じました
前号で「終わりました」と書いた情報提案「Name the Protocol Version 12 hard fork “von Bergen”」(Action ID: gov_action1fzatpjn3e3r09mjzzfptznef9wxg8q4a5uraq04xvfjyhmfzhzfsqqgfc9h)は、取得時点でも失効エポック651として記録されています。 最後の数字はDRep賛成61.28%・明示的な反対0.04%・未投票34.39%、SPO賛成4.31%・未投票95.41%、閾値はどちらも100%でした。
情報提案の閾値100%というのは、事実上、全員が賛成しなければ通らないという設計です。誰も反対していない提案が、票が足りないまま消えました。この記録は、いま投票期限に向かっている2件が「賛成が多ければ通る」ものではないことを、そのまま示しています。
第3章:壊れ方が、記録つきで公開されました
8月27日、Input Output が Leios の公開テストネット MusashiNet について、最初のフェーズ「Earth」の記録を公式サイトに掲載しました。処理量の数字だけでなく、41日間の運転で見つかった不具合を、発生から修正までの経緯つきで並べた文章です。
前号でSIPOは、Leios について「メインネットへの道筋と、遭遇した課題をまとめた文書が公開されるか」を観測点に置いていました。今回の記事が、その1つを埋めています。
まず、初めて出た数字
Earth フェーズの41日間で、127,000を超える Praos ブロック、30,000の endorser ブロックの告知、8,000近い証明書がチェーン上に載りました。参加プールは開始時の3から63まで増え、ピーク時には1エポックで40プールがブロックを生成しています。安定した終盤の数日間では、チェーンに到達したもののうち54%を Leios が運びました。同じ期間の実際のメインネットが運んだ量と比べると、トランザクション数で18倍、バイト数で3.3倍だとされています。
見出しになっている「約6倍」は、これとは別の比較です。合成負荷をかけた条件下でのピーク26.8 TxkB/s と、現行パラメータで Praos だけのメインネットが到達しうる4.51 TxkB/s の比を指しています。何と何を比べた数字なのかは、8月21日の記事で分解済みです。
そのうえで、記事が自分から書いている位置づけのほうが、今回は重要です。「見つかった問題はすべてプロトコルの欠陥ではなく自分たちのコードのバグだった」「そのすべてを公開の場で、週次のリリース周期で直した」。8週間で12のリリースが出ており、同じ週に2度のホットフィックスを挟んでも次のリリースを落としていません。同じ文章の中に、まだプロトタイプであること、mempool の置き換えはレビュー中であること、ボトルネックは残っていること、パイプラインは完成していないことも書かれています。
1バイトの違いで、鎖が分かれました
4週目の早朝、ネットワークがブロック67,554で分岐しました。サイズの不一致——66,006バイトに対して、宣言されていたのは66,007バイト。差は1バイトです。
原因は、別のノード実装を動かしていた生成者が、まったく正当なブロックを鍛造したことでした。それを Haskell のノードがデコードし、異なるバイナリ規約のもとで1バイト短くディスクに書き戻していました。同じトランザクション、同じ意味、違うハッシュです。
記事は、相手の実装は何も間違っていないと明記したうえで、こう書いています。ほかのノードのデータを再シリアライズしないというルールは10年近く前から持っていたが、自分たちがそれを破った、と。暫定の防御が同日中に投入され、恒久的な修正は台帳側の上流に入って、Earth フェーズが終わる前に着地しています。
ここは Leios 固有の話として読まないほうがよいところです。 実装が1つでないネットワークでは、無害な再エンコードというものが存在しない——記事自身がそう結んでいます。Cardano は複数のノード実装が並ぶ方向へ進んでいますから、実装間の適合性検査の重みは、これから増えていきます。 同じ週に確定した改善提案 CPS-0034「Extending Plutus Core conformance testing」が、参照実装とは別の実装が同じ振る舞いをすることを確かめるための計画を扱っているのは、偶然ではないと思います。
不正な署名1つで、全ノードが止まりました
6週目、自動導出されていた投票鍵が、実際の BLS 鍵に置き換えられました。鍵そのものは数か月前に確定し、独立した監査も受けたものです。
そして10時42分 UTC、ネットワーク上のすべてのマシンが停止しました。 遅くなったのではなく、止まったと書かれています。外部の実験的なノードが、無効な署名を持つ証明書を載せたブロックを鍛造し、コードがそれを「拒否すべきブロック」ではなく「致命的なエラー」として扱ったためです。そのブロックを見たノードはすべて落ち、再起動したノードは同じブロックに再び当たって、また落ちました。
修正版のノードは45分後に配備され、公開の告知は2時間以内、恒久的な修正は翌日にマージされています。記事は、署名方式は設計どおりに動いたのであって、過剰反応したのは自分たちのコードのほうだ、とまとめています。
プールを動かす側から見ると、この壊れ方はいちばん手が出しにくい形です。 外から届いたものを検証して落とすことと、検証に失敗して自分が落ちることは別のことで、後者は再起動しても同じ結果になります。ノードの仕事は、見知らぬ相手が送ってきたものを生き延びることだ——記事にその一文が置かれているのは、そのためだと思います。
mempool は、機材で殴れる問題ではありませんでした
負荷生成ツールが公開され、コミュニティがそれをネットワークに向けた結果、mempool は10時間続けて満杯になりました。そこでブロックの伝播が遅れ始めます。40%を超えるブロックが、ネットワークに届くまで1秒以上かかりました。 メインネットではほぼすべてが1秒未満で届く水準です。
原因はメモリでも伝播でもなく、ブロック生成そのものでした。鍛造ループは、待機中のトランザクションの一覧を mempool に要求するところから始まります。ところが Praos 向けに設計された mempool は、ノードがブロックを取り込むたびに全体を再検証し、そのあいだ鍛造ループが必要とするロックを握り続けます。mempool が満ちているほど、各生成者は鍛造まで長く待たされ、極端な場合には自分のリーダースロットを過ぎてから鍛造することになります。
記事は、大きなマシンなら助けにはなったと書いたうえで、こう続けています。1ギガバイトごとが運用者の持ち出しになるのだから、ハードウェアは解決策ではない、と。
ここが、今回の記事でいちばんプール運用者に寄っているところです。 処理量を上げる設計が、そのまま機材代に跳ね返る形になっていたら、増えた容量は誰かの持ち出しで買われたことになります。設計側がそれを「直すべき問題」として扱い、mempool をオフチェーンで再検証する形に作り直した——その検証の場が、次の Water フェーズです。
赤チームの結果も、今回はじめて公開されました。公開されている脅威モデルにもとづく攻撃が期間を通じて仕掛けられ、いくつかは効いて、持ち分に比例して性能を劣化させています。ただし Praos 層の安全性を損なったものはなく、いちばん重い攻撃は次以降のフェーズで来るとされています。 「攻撃が効いた」ことと「安全性が壊れた」ことを分けて書いている点は、読むときにも分けておきたいところです。
第4章:NIGHTが国内の板に載りました——入口が増え、条件は預け先に残りました
8月24日11時55分、S.BLOX 株式会社が、ナイト(NIGHT)とカルダノ(ADA)の取扱いを同日から開始したと発表しました。プレスリリースは NIGHT について「国内で初めての取扱い」と書いています。
この「国内初」には注釈が付いており、根拠も併記されています。2026年8月24日時点の同社調べであること、照合先が業界団体の公開情報であること。 主張そのものより、根拠の書き方まで含めて読むほうが正確に受け取れる種類の表記です。
Midnight 側も同日に反応し、日本で最初の対応取引所だとする投稿を出しました。
「国内初」が指しているもの
S.BLOX は暗号資産交換業者として関東財務局長 第00016号の登録を受けている会社で、2023年8月にソニー・オンチェーンテクノロジーズ株式会社の傘下に入っています。
登録業者の取扱銘柄になるということは、日本円で買えるようになるという入口の話にとどまりません。その銘柄が、国内の業規制の枠の中で扱われる対象になったということでもあります。分別管理や説明義務といった、業者の側が負う決まりが同時に付いてくるからです。
これまで NIGHT を手にする経路は、海外の取引所を使うか、自分で保管するかが中心でした。そこに三つ目の経路が加わった——今回の位置づけを一言でいうと、そうなります。
留保も置いておきます。販売所と取引所のどちらの形式で提供されるのかは、プレスリリースに書かれていません。 手数料の考え方も注文の出し方もこの違いで変わりますが、一次資料に記載がない以上、ここは断定しません。
預けたままにするなら、条件は預け先に残ります
NIGHT を持っていると DUST が生まれる、という説明は広く知られています。ただ Midnight の技術文書は、もう一段細かい条件を置いています。新しい DUST が作られるのは、NIGHT の未使用出力が作られ、かつその鍵が登録表に項目を持っている場合に限られる、という書き方です。「NIGHT を持っている」だけでは足りません。
同じ文書は、DUST が手数料のためだけの資源であり、利用者どうしで送り合えないことも明記しています。さらに、NIGHT が動いたときに生成の状態は引き継がれません。NIGHT の一部を使うと、おつりとして作られる新しい未使用出力では DUST の生成が最初から始まり、古いほうは減っていきます。
つまり NIGHT は「持っていれば同じ」ではなく、どこに置いたかで手元に残るものが変わります。 業者に預けたままの NIGHT について、この鍵の登録がどう扱われるのかは、今回のプレスリリースには記載がありません。
この構図は今回が初めてではありません。SIPOは8月20日、SecondFi の移行ツールを扱った記事で、NIGHT の受け取り先が後から変更できないことを記録しました。入口が増えたときほど、入口の先で何が固定されるのかを見ておく価値があります。
そして8月28日、Midnight は DUST サイクルの4つのフェーズと、DUST スポンサーシップの解説を案内しました。手数料の設計を外に説明し始めたという点では、上の問いに答えが近づく方向の動きです。ただし「預け先に置いたままの NIGHT がどう扱われるか」は、業者の側が説明する話であって、設計の解説では埋まりません。
なお、価格や出来高の数値は今回の一次資料からは確認できていないため、本稿では扱いません。動いたのは相場ではなく、入口の形のほうです。
第5章:見せる場所と、伏せる場所を、別の層に置く
同じ週、Midnight は「何を見せるか」について三つの別々の面から発信しました。設計(Celestia との連携)、思想(公式ブログ)、そして検査(CertiK との提携)です。プライバシーを扱うネットワークにとって、この三つは同じ問いの三つの側面です。
発見だけを、外の層に出しました
8月25日、Midnight は Zswap の注文を Celestia の共有名前空間へ投稿し、その名前空間を索引するウォレットやアプリが同じ注文を見つけられるようにする、という設計を告知しました。
プライバシーを保つ取引方式には、実装とは別のところに固有の難しさがあります。注文を誰にも見せなければ、相手も見つかりません。 かといって注文を広く配れば、配った先から当事者が推測される余地が生まれます。隠すことと、見つけてもらうこと——この二つを同じ層で解こうとすると必ずぶつかります。
今回置かれたのは、その「どこに投稿するか」の共通の置き場です。ウォレットAが投稿した注文を、ウォレットBもマーケットプレイスCも、同じ名前空間を読むことで拾える。秘匿の仕組みは Zswap 側に残したまま、発見の経路だけを外の共有層に出しました。
「マッチングのために見える」とされているのが何なのかは、読み違えやすいところです。Midnight の技術文書は、Zswap について送り手・受け手・金額の詳細は公開される必要がないとしたうえで、資産クラスごとの限定的な不均衡の情報だけが明かされ、正確な移転の関係は露出しない、と書いています。共有名前空間に置かれるのは注文であって、誰がいくら持っているかの一覧ではありません。
作る側から見た効果も告知に書かれています。注文を配るためのゴシップ層を自前で作り、最適化する作業が要らなくなる——これは開発コストの話に見えて、実際にはもう少し構造的な話です。取引の場を新しく立ち上げるとき、いちばん重くのしかかるのは、たいてい機能ではなく流動性です。板に注文が並んでいない場所には、誰も注文を置きに来ません。 注文の置き場がエコシステムで共有されていれば、新しいウォレットや取引の場は、その最初の空白をゼロから埋め直さずに済みます。
同時に、依存が一段増えることも記録しておきます。注文の発見を外部の層に預けるということは、その層が読める状態にあることを前提にするということでもあります。Zswap の秘匿性そのものは Midnight 側に残るとしても、注文が見つかるかどうかは共有層の側に依存します。
「証明する」と「見せる」を分ける
8月25日の公式ブログは、新機能の発表ではありません。なぜ企業が公開台帳を使えないのかを正面から並べた文章です。挙がっているのは医療記録・企業の財務データ・決済・個人識別情報——公開ブロックチェーンに載せた瞬間、競合にも見知らぬ相手にも見えてしまうものの一覧でした。
ゼロ知識証明の説明は、一つの例だけに絞られています。18歳以上であることを、IDの全部・氏名・生年月日・住所を見せずに証明する。短い例ですが、分けているものははっきりしています。「証明する」と「見せる」です。
従来の本人確認は、この二つが束ねられていました。年齢の条件を満たしていることを相手に納得させるために、書類そのものを渡す。渡した瞬間、年齢以外の情報も相手の手元に残ります。条件を満たしているという結論だけを検証可能な形で渡せるなら、確認のために預けたデータが後から漏れるという事故の型が、そもそも成立しなくなります。
そのうえでブログが置いているのが、選択的開示です。ここは読み方に注意が要ります。「秘匿するチェーン」と「公開するチェーン」の二択があって後者を選ぶ、という構図ではありません。何を伏せたままにし、何を開示するかを、作る側が決められるようにする——決定権をビルダーに渡す、という設計です。
ブロックを作る側から見ると、効きどころは「監査可能性を保ったまま」と明記されている点にあります。 秘匿を強めるほど、外から異常が見えにくくなります。公開チェーンであれば不審な資金の動きは誰でも観測でき、実際にそれで早期に発見された事故がいくつもありました。取引の中身が秘匿される設計では、その経路が細くなります。だからこそ、誰がどんなときに何を見られるかを設計の時点で決めておくという組み立てが要になります。事後に人が判断して開示するのではなく、条件のほうが先に固定されている、という順序です。
外から中身が見えない場所の正しさを、誰が確かめるのか
同じ問いが、CertiK との提携にも出てきます。告知は8月21日、SIPOが扱ったのは8月24日です。文面は「Midnight のエコシステムが拡大していくなかで、そのセキュリティと継続的な成長を支える機会を共に探っていく」というもので、監査の対象・開始時期・期間・成果物の形・報告書が公開されるかどうかは、いずれも書かれていません。
エコシステムパートナーシップは、個別の監査契約とは別の枠組みです。「支える機会を探る」と「監査する」のあいだには距離があります。提携が結ばれたかどうかよりも、告知の言葉がどこまで踏み込んでいるかを見ておくと、次に何が出てくるかが先に分かります。 現時点で置かれているのは、提携が成立したという事実だけです。
依存の形を、作る側が見直しました
同じ週、この「何に依存しているか」を作る側から見直した例も出ています。
8月25日、FluidTokens が Wanchain の Cardano–BNB ブリッジ事案について、影響を受けたのは NIGHT であって wanBTC ではないと自ら整理しました。そのうえで「それでも Fluid のステーキング報酬を考え直すきっかけになった」と書いています。wanBTC は今も BTC へ戻すことができ、ブリッジは機能しているとも明記したうえで、コミュニティをより安全に保つための策が必要だ、という順序です。
読むべきは二文目の「Still(それでも)」だと思います。影響を受けていないと確認できたなら、そこで話を終える選択肢もありました。 にもかかわらず投稿は、そこから報酬設計の見直しへ話を進めています。
問われているのは「今回やられたか」ではなく「何に依存しているか」です。ブリッジが今回は無事だったとしても、ブリッジされた資産を報酬の原資や担保の前提に置いている限り、依存そのものは残ります。事案は、その依存が普段は見えないだけで消えてはいないことを、外から示した形になりました。
具体的な変更内容は、まだ示されていません。報酬設計をどう変えるのか、wanBTC の扱いそのものを変えるのか、いつから適用されるのか。投稿は「More soon」で終わっています。
第6章:中核を担うのは誰か——BlockPQR、財団の求人、票の偏りという課題
この5日間、「誰が担うのか」という同じ問いが、三つの別々の場所で言葉になりました。
担い手の所在が、一文で示されました
8月26日、Input Output の公式アカウントが短い告知を出しました。Cardano の中核プロトコル作業は BlockPQR という会社で続き、その創業者は IO で Cardano ブロックチェーンの技術デリバリーを率い、van Rossem アップグレードの中核インフラを担った人物である——という内容です。投稿はさらに一行、デリバリーは IO に残り、Intersect を通じて開かれている、と続けます。
動いたのは技術仕様ではありません。担い手の所在です。
確定しているのは3点です。中核プロトコル作業の場が BlockPQR になったこと。その創業者が IO 在籍時に Cardano の技術デリバリーを率い、van Rossem アップグレードの中核インフラを動かした経歴を持つこと。そして同じ人物が現在は Midnight Foundation でブロックチェーン部門を率いていることです。
書かれていないことも、同じくらいはっきりしています。BlockPQR が具体的にどの領域を受け持つのか、どれくらいの体制なのか、契約や資金の形がどうなっているのか、Midnight Foundation との兼務がどういう配分になるのか。 いずれも今回の告知には含まれていません。
いちばん密度が高いのは最後の一行です。作業する会社と、成果が届く先と、それが公開される経路が、3つの別々のものとして書かれています。人が会社を移ると成果物の所在も一緒に動いてしまうことは、ソフトウェアの世界ではよく起きます。中核プロトコルのように長期の継続性が前提になっているものでは、それは無視できない論点です。今回の書き方は、そこに対して「人は移るが、届け先と公開経路は動かさない」と宣言する形になっています。
ただし、これはあくまで宣言です。 実際にそうなっているかどうかは、Intersect 側でどの粒度の情報が公開されるかで確かめるほかありません。
「連合をつくる」と、職務内容に書かれました
8月27日、Cardano 財団が Ecosystem Governance Coordinator の募集を告知しました。所属はガバナンスチーム、雇用形態は正社員のフルタイム、勤務地はドイツ(リモート)・アイルランド・スイス、給与はドイツとアイルランドで年70,000〜100,000ユーロと記載されています。
求人票は、組織が自分に何が足りていないと考えているかが、いちばん具体的な言葉で出てくる文書です。
必須要件の先頭に置かれているのは、CIP-1694 の仕組みについての実証された知識です。ただし文言はそこで止まっていません。DRep・SPO・憲法委員会のあいだにある実際の力学についての理解が、同じ一文の中に並べられています。仕様を読めることと、その仕様の上で実際に何が起きているかを知っていることを、別々の能力として書いている、ということです。
職務は4つの塊で示されています。コミュニティ発信とDRepへの関与。ステークホルダー関係と連合形成。ガバナンス戦略の支援。そして議事録と意思決定の記録を維持し、ガバナンスアクションを提出から施行まで追跡する運用の背骨。
注目したいのは2番目です。連合をつくる(build coalitions)と書かれています。 財団が投票の場で自分の立場を通すために、関係をつくる側に回ると明記しているということです。中立の観察者ではなく、参加者としての役回りが、職務内容の中に言葉として置かれています。
4番目の「提出から施行まで追跡する」も、実務としてはかなり重い作業です。ガバナンスアクションは、提出された時点と、投票が集まる過程と、閾値に届いたかどうかと、実際に効力が発生する時点で、それぞれ見るべきものが変わります。それを一続きで追い続ける担当を置く、という設計になっています。
歓迎条件のほうには、日本の Cardano コミュニティについての文化的な知識が挙がっています。必須ではないので、これがなくても応募はできます。それでも、地域として名指しで挙がっているのが日本だという点は、そのまま受け取ってよいところだと思います。
委任先を選ぶ側にとっての論点も、ひとつ置いておきます。財団が「連合をつくる」と職務に書いたとき、その連合の外にいるDRepの票は、どう扱われるのか。 財団の立場が明確になること自体は透明性の向上ですが、明確な立場を持つ大きな参加者が調整役も兼ねる構図は、投票の場では別の意味を持ちます。どちらの側面も、実際の投票の並びを見ながら確かめていくことになります。
票の偏りが、番号の付いた課題になりました
8月24日に確定扱いへ移った5本のうち、SIPO の観測範囲でとりわけ重いのは CPS-0033「DRep Voting Power Concentration」です。保有量に応じて重みを付ける投票の仕組みは、時間とともに力が集中していく構造的な傾向を持つ——文書はそう書き出しています。
構造的な傾向だと書いている点が重要です。誰かの振る舞いが悪いから偏るのではなく、仕組みの形からそうなる、という立て方をしています。
ただし文書は、偏り=悪と単純化していません。一部の集中は正当でありうる(信頼された機関としての委任先など)一方で、他の集中は問題でありうる(少数の主体が結果を左右する場合)と両方を書いています。数が偏っていること自体ではなく、それが結果を決めてしまう状態が論点だという整理です。
残された問いとして挙げられているのは、どの指標で測れば「偏りすぎ」と言えるのか、台帳の側でDRepの投票の重みに飽和曲線を導入すべきか、資格情報を複数に分けて回避されることをどう防ぐか、といったものです。
最後の問いは、SPOの世界を知っている人には見覚えのある形だと思います。 ステークプールには飽和点があり、ウォレットはそれを表示し、委任者はそれを見て分散させる——という循環が既にあります。同じ考え方を投票の側に持ち込めるかどうかが、いま問いとして立てられました。
明確にしておくと、起きたのは問題の定義が公式のプロセスに載ったことであって、飽和曲線の導入が決まったわけではありません。CPS は「解決すべき課題はこれだ」と定義する文書で、CIP は「こう解決する」と方式を出す文書です。今回確定した5本のうち2本がCPSだというのは、解き方が決まったのではなく、問いの形が決まったことを意味します。
三つ並べてみると、同じ形が見えます。中核作業の担い手の所在、ガバナンスを回す人の職務内容、そして票の重みが偏るという現象。 どれも「誰が担うのか」を、後から確かめられる形に置き直した記録です。
第7章:エポック651 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック651期間・8月23日〜8月27日の日次記録)
はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。また株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれます。この期間の初日8月23日は日曜にあたるため、その日の株式・商品系の記録は8月21日時点の値です。
この5日間は、前号とは逆向きに動きました。
ADAは記録の初日8月23日に$0.226525、最終日8月27日に$0.21112。−6.80%です。期間の記録での最高は初日の$0.226525、最安は8月26日の$0.211036でした。
エポック境界の確定値では、エポック650終了時の$0.225636からエポック651終了時の$0.213079へ、−5.57%。時価総額は$8.46bから$7.99bへ−5.55%。ADA/JPYは¥33.96、そのときのUSD/JPYは159.40です。前号は境界価格で+29.6%でしたから、1エポックで向きが変わりました。ただし、上げた分が戻ったわけではありません。 エポック649終了時は$0.174053でしたので、2エポック前と比べると、水準は依然として上にあります。
$NIGHTは記録上$0.02033696 → $0.01969947(−3.13%)。ADAより下げ幅が小さく、前号でほぼ同じ幅で上げていた関係とは変わっています。
BTCとETHは、逆方向でした。 BTCは$77,108 → $78,841(+2.25%)、ETHは$2,423.44 → $2,506.72(+3.44%)。前号でSIPOは「2エポック続いた『下げでADAのほうが大きい』という記録は、上げの回で反転しました」と書き、次のエポックで水準が続くかを見ると置きました。続きませんでした。 BTC・ETHが上げた5日間に、ADAは下げています。
他の暗号資産は割れました。上げたのはSOL(+6.81%)、ETH(+3.44%)、FET(+2.52%)、BTC(+2.25%)、ICP(+1.70%)。下げたのはDOT(−6.81%)とADA(−6.80%)が最も大きく、続いてATOM(−5.06%)、XRP(−4.08%)、ALGO(−3.07%)、NIGHT(−3.13%)、AVAX(−1.60%)、WLFI(−0.77%)、LINK(−0.35%)。「暗号資産全体が下げた」という記録ではありません。ADAとDOTが下げ側の先頭にいた、という記録です。
株式は、ほぼ動いていません。 S&P500が7,674.37 → 7,675.70(+0.02%)、ナスダックが26,180.46 → 26,130.20(−0.19%)、ダウが53,277.01 → 53,463.88(+0.35%)。VIXは15.13から15.21で、期間中の最高が8月25日の15.85です。日経平均先物だけが65,930 → 66,970(+1.58%)と上げています。
この期間でいちばん大きく動いたのは原油でした。 ブレントが$94.39 → $86.60(−8.25%)、WTIが$87.06 → $81.82(−6.02%)。どちらも8月26日が期間の最安(ブレント$86.15、WTI$81.09)です。金は$4,624.10 → $4,665.60(+0.90%)で、8月26日の$4,723.90が記録上の最高でした。
為替と金利では、ドル指数(DXY)が98.800から99.134(+0.34%)へ上昇、USD/JPYは158.94から159.267へ小幅の円安。米10年債利回り(TNX)は4.738%から4.664%へ低下し、期間中は8月26日の4.639%が最安でした。
日本国債は、期間を通じて上げています。10年は2.854%から2.897%、30年は3.995%から4.040%へ。30年は期間中に4.042%(8月25日)を付けており、前号で「節目の4%台に一度乗って、戻っています」と書いた水準に、今回は乗ったまま終わりました。 日米10年金利差は1.884から1.767へ縮小しています。米国の金利が下がり、日本の金利が上がった結果です。
暗号資産関連株のCOINは186.49 → 181.78(−2.53%)。BTCが上げた5日間に下げています。
記録上の地合いは、5日間のうち3日が「方向感薄い横ばい局面」、2日(8月24日・25日)が「リスクオン」でした。前号は5日のうち4日が一方向でしたから、今回は方向が定まらないまま終わっています。
この5日間について、価格を動かした個別の引き金をSIPOは特定していません。 前号では米国の財務当局による長期国債の買い戻し枠の引き上げという明確な出来事がありましたが、今回はそれに相当するものを、この期間の記録からは挙げられません。ADAが下げてBTCが上げた理由も、断定しません。 事実として記録し、次のエポックで水準がどちらへ動くかを見ます。
Cardano オンチェーンKPI(Dune Analytics経由)
※自動集計の基準日は2026年8月26日 23:59:39 UTC(エポック651の期間内)です。この日は水曜にあたります。 前号の基準日は金曜(8月21日)でしたので、曜日の差は小さくなりました。ステーキング関連はエポック651:100%時点の実測を第9章に併記します。
- ステーキング率:57.13%(Dune算出・8月26日基準)/エポック651:100%時点の実測では56.53%
- Nakamoto係数:164(前回164・5回連続で横ばい)
- 日次トランザクション:23,812(8月26日・水曜)/前号の基準日は40,063でした
- アクティブアドレス:13,224/前号の20,900から低下
- Script Tx比率:29.68%/前号の31.39%から低下
- ステーブルコイン総額:$61.18M(USDCx $43.52M/USDM $9.50M/USDA $4.45M/iUSD $1.49M/Djed $1.49M/USDC $0.54M ほか)/前号の$62.94Mから約2.8%減
- Treasury残高:1,337,356,660 ADA(エポック651基準)/前号の1,453,739,191 ADAから116,382,531 ADAの減少
- ガバナンス:提案中 5件/批准 0件/失効 70件(8月26日 23:59:39 UTC 基準)
三つ、読みを添えます。
Treasuryが、初めて逆向きに動きました。 前号の2番目の確認点は「1,453,739,191 ADAから、1億2,000万ADAぶんの逆向きの動きが現れるか」でした。現れました。減少は116,382,531 ADAです。引き出し額の1億2,000万ADAとは約362万ADAの差がありますが、前号までの1エポックあたりの増加が約369万ADAだったことを考えると、その差は同じ期間の積み増しの幅に収まっています。 断定はしません。ただ、前号で「執行済みという記録と、増え続ける残高」と書いた食い違いは、残高の側が動いたことで解消の方向に進んだと読めます。
取引件数とアドレスは、8月21日の水準を保ちませんでした。 前号の6番目の確認点は「40,063件・20,900が続くか」でした。8月26日(水)の基準では23,812件・13,224です。ただし、これを「元に戻った」と読むのは早いと思います。直近の平日基準を並べると、8月6日(木)21,636件・11,310、8月11日(火)16,946件・9,765、8月21日(金)40,063件・20,900、そして8月26日(水)23,812件・13,224。8月21日の突出は続きませんでしたが、8月11日より上、8月6日ともほぼ同水準です。 8月21日の1点だけが飛び抜けていた、という形になります。同じ日にADAが記録のうえで大きく上げていましたから、あの日の取引は価格の動きと同じ時計で動いた可能性のほうが高いという前号の見立ては、今回の点で否定されていません。
ステーブルコインは、初めてまとまって減りました。 総額は$62.94Mから$61.18Mへ約2.8%減。USDMは$9.64Mから$9.50Mへ、こちらも減っています。前号まで2エポック続いた「経路は開いたまま、量は動かない」という記録は、今回は「わずかに減った」に変わりました。橋を渡って入ってくる量が増える段階には、まだ入っていません。
SIPO DRep 活動
SIPO DRepの投票力は、2026年8月28日の確認時点で約₳82.93Mです(active・有効期限エポック671・委任者368名)。エポック650記事の時点では約₳88.17M・367名・有効期限エポック667でしたから、₳5.24Mほど減り、委任者は1名増えています。 取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。
委任者が1名増えたのに投票力が₳5.24M減っているというのは、委任の件数ではなく、委任されているADAの量のほうが動いたということです。1件あたりの平均で見れば大きな移動が含まれている形になりますが、どの委任がどう動いたのかを特定できる情報を持っていないため、原因は断定しません。 有効期限がエポック667から671へ延びていますので、DRepとしての登録そのものは更新されています。
なお、DRepの投票力はADAの量で数えるため、価格の影響を受けません。この5日間にADAは境界価格で−5.57%動いていますが、減ったのは委任されている量そのものです。
第8章:エポック651 配信記事の紹介
エポック651(8月23日〜8月28日)にSIPO・SITIONの各アカウントから配信した主な記事です(暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋)。
| 日付 | 媒体 | 種別 | タイトル | URL |
|---|---|---|---|---|
| 8/23 | SIPO | マニュアル | Yoroi / SecondFi 利用者のための移行マニュアル | https://sipo.tokyo/secondfi-yoroi-migration-manual/ |
| 8/23 | SIPO | エポック記事 | 期限が、答えになる(エポックな日々650) | https://sipo.tokyo/epoch-650/ |
| 8/23 | SIPO | Daily Intel | 9月1日まで一週間、まだ半分が投票していません | https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2091278321124565431 |
| 8/23 | SIPO | Signal | Fluid V4 で $FLDT 保有者の bot が清算役になります | https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2091304237259215350 |
| 8/24 | SIPO | Signal | Cardano の改善提案に、耐量子署名の案が入りました——CIP-0197 と、確定した5本の中身 | https://sipo.tokyo/signal-20260824-53a9b3b9/ |
| 8/24 | SIPO | Signal | NIGHT が国内の暗号資産交換業者に初めて載りました——ソニー系 S.BLOX が ADA と同時に取扱いを開始 | https://sipo.tokyo/signal-20260824-ece598f2/ |
| 8/24 | SIPO | Signal | CertiK が Midnight とのエコシステム提携を告知しました | https://sipo.tokyo/signal-20260824-8ea4e111/ |
| 8/24 | SIPO | Signal | Midnight の日本ミートアップが9月に三都市を回ります | https://sipo.tokyo/signal-20260824-a4bef103/ |
| 8/24 | SIPO | Signal | プライバシー資産が「規制された器」に入ります——Zcash の現物ETF化を、Midnight の側から見る | https://sipo.tokyo/signal-20260824-d0a4b81e/ |
| 8/24 | SIPO | Signal | Cardano と Injective をつなぐ IBC の中身 | https://sipo.tokyo/signal-20260824-67e16e39/ |
| 8/24 | SIPO | Daily Intel | 5本の提案が「議論中」から「採用可能」に変わりました | https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2091685681139695683 |
| 8/25 | SIPO | Signal | Lace が Keystone に対応しました | https://sipo.tokyo/signal-20260825-a08b5259/ |
| 8/25 | SIPO | 動画解説 | チャールズ・ホスキンソン氏動画「Welcome to Midnight Sony (S.Blox)」紹介・解説・全翻訳 | https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2092034743340855588 |
| 8/25 | SIPO | Daily Intel | Midnight が「探す場所」だけを外に置きました | https://sipo.tokyo/daily-intel-20260825/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | 「投票しない」は反対側に数えられます——9月1日期限の2議案 | https://sipo.tokyo/signal-spo-vote-deadline-e653/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | Midnight が「注文を探す場所」だけを Celestia に置きました | https://sipo.tokyo/signal-20260826-9fb200ad/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | Midnight が「透明性だけでは主流にならない」と書きました | https://sipo.tokyo/signal-20260826-08430370/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | FluidTokens が Wanchain 事案の影響範囲を整理しました | https://sipo.tokyo/signal-20260826-7e638e23/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | Midnight Buildathon の日程と配分が出ました | https://sipo.tokyo/signal-20260826-77980962/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | Cardano 財団が「道」を走り始めました——ペトロブラスとブラジリアの大学2校 | https://sipo.tokyo/signal-20260826-2ac59bc9/ |
| 8/26 | SIPO | Signal | Cardano 財団が「使われるほど、語られなくなる」と書きました | https://sipo.tokyo/signal-20260826-eb036a3a/ |
| 8/26 | SIPO | DRep | DRep 月例コールは日本時間8月27日0時です | https://sipo.tokyo/signal-20260826-f27af417/ |
| 8/26 | SIPO | Daily Intel | Cardano がブラジル最大の企業の本社に入りました | https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2092361535377334603 |
| 8/27 | SIPO | Signal | Leios のテストネットで壊れたものが、記録つきで公開されました | https://sipo.tokyo/signal-20260827-ef9f1eda/ |
| 8/27 | SIPO | Signal | Cardano の中核プロトコル作業は BlockPQR で続きます | https://sipo.tokyo/signal-20260827-e2249cc9/ |
| 8/27 | SIPO | Signal | Cardano 財団がガバナンス専任を募集しています | https://sipo.tokyo/signal-20260827-f8da6c9a/ |
| 8/27 | SIPO | Signal | Bitcoin の Lightning を Cardano へ運ぶ設計 | https://sipo.tokyo/signal-20260827-886d836a/ |
| 8/27 | SIPO | Daily Intel | Cardano の中核を誰が担うのかが、実装と統治の両側で同じ日に動きました | https://sipo.tokyo/daily-intel-20260827/ |
| 8/28 | SIPO | Daily Intel | 次のアップグレードの輪郭と、投票の締切が、同じ朝に並びました | https://sipo.tokyo/daily-intel-20260828/ |
| 8/25 | SITION | Deep Dive | GENIUS法が名指したのは発行体だけだ | https://x.com/SITIONjp/status/2092099650119709175 |
| 8/26 | SITION | Deep Dive | 大統領令13902の「部門」にデジタル資産が加わった | https://x.com/SITIONjp/status/2092372949747777671 |
| 8/26 | SITION | Signal | NEAR がアドレスを変えずに耐量子鍵を足せた理由 | https://x.com/SITIONjp/status/2092362016816288160 |
| 8/26 | SITION | Signal | Grayscale の Zcash ETF、乖離は上場前に1%へ畳まれた | https://x.com/SITIONjp/status/2092473958901883230 |
| 8/27 | SITION | Signal | 現物ビットコイン ETF の連続流入は7営業日に伸びた | https://x.com/SITIONjp/status/2092930876548260340 |
このほか、@SITIONjp では12指標の朝のマーケットを毎日、@LifeMakersCom では星読みを毎日配信しています。表には暗号資産・ブロックチェーンに関わるものを中心に載せていますので、金利・関税・AI といったマクロ側の記事は一部のみの掲載です。
第9章:エポック651 終了時点 ステーキング動向
エポック651の終了境界は2026年8月28日6時44分(日本時間)です。以下はその時点で確定した値です。
3プール合計
| 項目 | エポック651終了時点 | 前回比 |
|---|---|---|
| ライブステーク | 103,253,181 ADA | −724,213 ADA |
| 有効ステーク | 103,977,394 ADA | — |
| 委任者 | 2,165名 | −18名 |
| 当該エポックの生成ブロック | 101ブロック | +5 |
| 通算生成ブロック | 46,948ブロック | +101 |
プール別
| プール | ライブステーク | 前回比 | 委任者 | 前回比 | 当該エポックのブロック | 通算 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SIPO | 42,613,147 ADA | −617,911 | 1,124名 | −8 | 50 | 19,971 |
| SIPO2 | 33,033,543 ADA | −553,433 | 476名 | −6 | 24 | 14,972 |
| SIPO3 | 27,606,491 ADA | +447,131 | 565名 | −4 | 27 | 12,005 |
手数料は3プールとも変動費3.9%、誓約は各50,000 ADAで、この5日間に変更はありません。
有効ステークとライブステークの照合が、2回続けて成立しました
前号で初めて確認できた対応が、今回も成立しています。エポック651終了時点の有効ステークは、エポック650終了時点のライブステークと、3プールとも小数点以下まで一致します。
- SIPO:43,231,058.06 ADA(651の有効ステーク=650のライブステーク)
- SIPO2:33,586,975.88 ADA
- SIPO3:27,159,360.20 ADA
有効ステークは、報酬計算の対象になる確定した委任量です。いま増えた委任がすぐ報酬に効くのではなく、境界をまたいでから効く——その時間差が、数字の対応として2回続けて確認できました。1回目は偶然の可能性を排除できませんでしたが、2回目が同じ形で出たことで、この対応は再現するものとして扱えます。
ライブステークは減り、委任者も減りました
3プール合計のライブステークは724,213 ADA減り、委任者は18名減りました。前号も同じ向きでした(ライブステーク減・委任者減)。2エポック続いています。
内訳を見ると、SIPOとSIPO2が減り、SIPO3だけが447,131 ADA増えています。 ただしSIPO3も委任者は4名減っています。委任者が減ってライブステークが増えたということは、抜けた委任より大きい委任が入ったと読むのが自然です。 逆にSIPOは617,911 ADA減で委任者8名減ですから、1名あたり平均で7万7千ADA相当が抜けた計算になります。個別の委任を特定できる情報を持っていないため、これ以上は踏み込みません。
ブロック生成のほうは、合計101ブロックで前回の96から5ブロック増えました。プール別ではSIPOが44→50、SIPO3が20→27と増え、SIPO2が32→24と減っています。ブロック生成は確率的な事象なので、1エポックの増減から傾向は読みません。
ネットワーク全体でも、同じ向きが続いています
エポック651終了時点のネットワーク全体は、次のとおりです。
| 項目 | エポック651 | 前回比 |
|---|---|---|
| 総ステーク | 21,373,519,202 ADA | −45,643,023 ADA |
| ステーキング率 | 56.53% | −0.13ポイント |
| 委任者 | 1,341,127名 | −2,190名 |
| ブロック生成のあるプール | 939 | −6 |
| ステークのあるプール | 2,676 | −1 |
| アカウント総数 | 5,961,174 | +11,214 |
| 流通供給量 | 37,811,335,369 ADA | +6,254,460 ADA |
向きは前号と同じですが、幅は小さくなりました。 前号はネットワーク全体で1億4,852万ADAのステークと4,059件の委任が減っていました。今回は4,564万ADAと2,190件です。減り続けてはいますが、減り方は3分の1程度に落ち着いています。
前号の5番目の確認点は「上げ相場の一時的な動きなのか、水準の移動なのか。次のエポックで戻るかどうかで分けます」でした。戻っていません。ただし、減り方は鈍っています。 価格が下げた5日間にも同じ向きで減っているので、「上げ相場だから抜けた」という説明では足りないことが分かりました。もう1点置いて確かめます。
アカウント総数が11,214増えている一方で、委任者が2,190減っているのも、記録として残しておきます。新しいアカウントは増え、委任は減っている——この2つが同時に起きています。
終章:見えるところに、置く

エポック650の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。
9月1日の2件は、大きく前進しました。 minPoolCost のDRep賛成は45.21%から52.94%へ、7.73ポイント積み上がっています。委員会更新のDRep賛成は56.38%。そして前号で「分母を明示できる形で数字を出していません」と書いたSPO側が、今回は分母つきで出ています。minPoolCost が25.60%、委員会更新が30.53%。閾値51%に対して、どちらも半分前後です。 前号の問い「揃わなければ、両方とも von Bergen と同じ終わり方をします」に対する答えは、まだ出ていません。期限はエポック653、残り1エポックです。
Treasury残高は、答えが出ました。 1,453,739,191 ADAから1,337,356,660 ADAへ、116,382,531 ADAの減少です。前号で「執行の記録と残高の集計が何を別々に見ているのかを、もう一段掘る必要があります」と書きましたが、掘る前に残高のほうが動きました。引き出し額との差は約362万ADAで、1エポックあたりの積み増しの幅に収まっています。
Dijkstra の readiness trackerは、部分的に答えが出ました。 エポック651の終わりに重なる8月28日朝、Intersect の Upgrade Bulletin 31 が「早期テストが近づくなかで Dijkstra が形になってきている」と報告しています。ただし前号で求めた「公開先と判定基準が示されるか」は、まだ埋まっていません。 早期テストの具体的な日程も出ていません。
Leios の Water フェーズは、部分的に答えが出ました。 Earth フェーズの記録が公開され、Water の内容も示されています——パラメータの探索、部品ごとの代替実装(まず mempool から)、そして投票委員会に入る手段としての実際のBLS鍵です。ただし前号で挙げた「第三者環境での再現」は、今回も埋まっていません。 これは8月21日に挙げてから、3エポック連続で持ち越しになります。
委任とステークは、部分的に答えが出ました。 戻っていません。ネットワーク全体で4,564万ADAのステークと2,190件の委任が減り、SIPOの3プールでも合計724,213 ADAと18名が減りました。ただし減り方は前号の3分の1程度に鈍っています。 そして今回は価格が下げた5日間ですから、「上げ相場の一時的な動き」という説明は成り立ちません。 上げでも下げでも同じ向きに減っている、というのが2エポックぶんの記録です。
取引とアドレスの水準は、答えが出ました。 8月21日の40,063件・20,900は続いていません。8月26日(水)の基準で23,812件・13,224です。ただし「元の低い水準に戻った」わけでもありません。 8月11日(火)の16,946件・9,765より上にあります。8月21日の1点だけが突出していた、という形です。
Catalyst Pilot の応募件数は、今回も確認できていません。 締切の8月20日から1週間が過ぎましたが、応募件数と採択の埋まり方はこの5日間の公開情報では確認できていません。2エポック連続の持ち越しです。
7件のうち、答えが出たものが3件(Treasury残高・取引とアドレスの水準・9月1日の2件のSPO分母)、部分的に答えが出たものが3件(Dijkstra・Leios の Water・委任とステーク)、持ち越しが1件(Catalyst Pilot)です。前号が答え3件・部分2件・持ち越し2件でしたから、2エポック続けて答えの側が多い回になりました。
そのうえで、エポック652で確認すべきものを挙げます。
- 9月1日の2件の決着:期限はエポック653です。エポック652が最後の丸ごと1エポックになります。DRep側は52.94%と56.38%から67%へ届くか。SPO側は25.60%と30.53%から51%へ届くか。 未投票が7割前後残っている以上、SPO側は誰かがまとめて動かなければ届きません。届かなければ、von Bergen と同じ終わり方になります。
- Leios の Water フェーズの実測値:mempool をオフチェーンで再検証する形に作り直した、その効果が数字で出るか。ブロックの伝播が1秒を超えた40%という記録が、どこまで戻るかが具体的な目盛りになります。あわせて、3エポック持ち越している「第三者環境での再現」も引き続き見ます。
- NIGHTの預け先での扱い:国内の登録業者に預けたままのNIGHTについて、DUSTの生成条件(鍵の登録)がどう扱われるかの説明が出るか。入口が増えた分、入口の先で何が固定されるのかが、実務としてはいちばん効きます。 あわせて、二社目の登録業者が続くかどうかも見ます。
- Treasuryの次の1点:今回1億1,638万ADA減った残高が、次のエポックで通常どおりの積み増し(1エポックあたり約369万ADA前後)に戻るか。戻れば、今回の減少が引き出しの反映だったという読みが1点補強されます。
- ステーブルコインの向き:$62.94Mから$61.18Mへ、2.8%減りました。USDMも$9.64Mから$9.50Mへ減っています。3エポック続いた「経路は開いたまま、量は動かない」が、減少の方向へ変わったのかどうか。 もう1点置いて分けます。
- 委任とステークの水準:ネットワーク全体で2エポック続けて減っています。減り方は鈍りましたが、向きは変わっていません。3エポック目でどうなるか。 SIPO DRepの投票力が₳88.17Mから₳82.93Mへ減った件も、同じ枠で見ます。
- Catalyst Pilot の応募件数:締切から2週間が経ちます。3エポック目の持ち越しにするかどうかは、次号で判断します。
エポック651は、確かめられる形に置き直された5日間でした。
財務の残高は、執行済みという記録に追いつきました。SPOの賛成率には分母がつき、「足りていない」の中身が未投票であることが数字で見えました。Leios は、性能の主張ではなく壊れ方を、発生から修正までの経緯つきで出しました。Midnight は、見せる場所と伏せる場所を別の層に置きました。財団は、ガバナンスを回す人の職務内容を求人票として公開しました。Input Output は、中核作業の担い手の所在を一文で示しました。
どれも、新しく決まったことではありません。すでに起きていたことを、外から確かめられる場所に置き直した記録です。
前号でSIPOは、期限が答えを出す様子を記録しました。今回分かったのは、その前段のことです。期限が来るまでに何が足りないのかは、数えられる形になっていなければ、埋めようがありません。 SPOの賛成が「2割前後」と言われている状態と、「分母は111億6,426万ADA、そのうち78億4,343万ADAが未投票」と言われている状態は、同じ事実でも動かし方が違います。前者は感想で、後者は作業の対象です。
壊れ方の記録も同じです。「安定して動いています」という報告からは、次に何を直すべきかが読めません。1バイトの食い違いで鎖が分かれた、不正な署名1つで全マシンが止まった、mempool が満杯のとき鍛造ループがロックを待たされた——そこまで書いてあれば、外の誰かが同じ形を自分の環境で探せます。
見えるところに置くというのは、都合のいいことだけを見せるという意味ではありません。足りていないもの、壊れたもの、まだ決まっていないものを、確かめられる場所に置くということです。 そしてそれをした側は、次に問われる立場に自分から入ります。財団は「連合をつくる」と書いた以上、その連合の外の票をどう扱うかを問われます。Input Output は「Intersect を通じて開かれている」と書いた以上、どの粒度で開くのかを問われます。
いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。
9月1日まで、残り1エポックです。
出典・参照
- AdaStat:Reduce minPoolCost to 75 ada and increase Plutus Memory Limits (Part 2) — https://adastat.net/governances/gov_action14dr5yg75pchr2sz42djtuflpvx5qnsek29qg7s7cft8lzrqt5vrqqtqntpk
- AdaStat:Update Constitutional Committee 2026 — https://adastat.net/governances/gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5
- AdaStat:Name the Protocol Version 12 hard fork “von Bergen”(エポック651で失効) — https://adastat.net/governances/gov_action1fzatpjn3e3r09mjzzfptznef9wxg8q4a5uraq04xvfjyhmfzhzfsqqgfc9h
- AdaStat:Withdraw 120,000,000 ada for AlphaGrowth’s Cardano PRIME(エポック650で執行) — https://adastat.net/governances/gov_action122wue2k65qq8gmpz795z2axt8apka6ay6xt3pwg8jxj5yfkujmtsqvlfpu7
- GovTool:ガバナンスアクションの投票合計の計算方法 — https://docs.gov.tools/cardano-govtool/faqs/how-are-the-voting-totals-calculated
- CIP-1694(SPO閾値・セキュリティ関連プロトコルパラメータの定義) — https://github.com/cardano-foundation/CIPs/blob/master/CIP-1694/README.md
- Input Output:Leios hits 6x Cardano’s throughput on its first testnet(2026年8月27日・Earth フェーズの記録) — https://www.iog.io/news/leios-hit-6x-cardano-s-throughput-on-its-first-testnet
- Input Output:中核プロトコル作業は BlockPQR で続く(2026年8月26日) — https://x.com/IOGroup/status/2092626819044225496
- Intersect:Upgrade Bulletin 31(2026年8月28日) — https://x.com/IntersectMBO/status/2093067300010184847
- Cardano Foundation:Ecosystem Governance Coordinator 求人ページ — https://cardano-foundation.jobs.personio.com/job/2760375
- Cardano Foundation:ガバナンス専任の募集告知(2026年8月27日) — https://x.com/Cardano_CF/status/2092816874610257921
- Cardano 公式:改善提案プロセスの最新の一覧(2026年8月23日) — https://x.com/Cardano/status/2091495197897056338
- CIP-0197: Post-Quantum ZK Signatures for HD Wallets — https://github.com/cardano-foundation/CIPs/pull/1242
- CPS-0034: Extending Plutus Core conformance testing — https://github.com/cardano-foundation/CIPs/pull/1244
- S.BLOX:ナイト(NIGHT)およびカルダノ(ADA)の取扱い開始(2026年8月24日) — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000092.000042886.html
- Midnight Network:Zswap の注文を Celestia の共有名前空間へ(2026年8月25日) — https://x.com/MidnightNtwrk/status/2091958032104145402
- Midnight Blog:Why mainstream blockchain adoption requires more than transparency(2026年8月25日) — https://midnight.network/blog/why-mainstream-blockchain-adoption-requires-more-than-transparency
- Midnight Blog:State of the Network – August 2026(2026年8月26日) — https://midnight.network/blog/state-of-the-network-august-2026
- Midnight Docs:DUST architecture(DUST の生成条件と非移転性) — https://docs.midnight.network/concepts/dust-architecture
- FluidTokens:Wanchain 事案の影響範囲と報酬設計の見直し(2026年8月25日) — https://x.com/FluidTokens/status/2091979859627294853
- SIPO:「投票しない」は反対側に数えられます——9月1日期限の2議案 — https://sipo.tokyo/signal-spo-vote-deadline-e653/
- SIPO:Leios のテストネットで壊れたものが、記録つきで公開されました — https://sipo.tokyo/signal-20260827-ef9f1eda/
- SIPO:Cardano の中核プロトコル作業は BlockPQR で続きます — https://sipo.tokyo/signal-20260827-e2249cc9/
- SIPO:Cardano 財団がガバナンス専任を募集しています — https://sipo.tokyo/signal-20260827-f8da6c9a/
- SIPO:NIGHT が国内の暗号資産交換業者に初めて載りました — https://sipo.tokyo/signal-20260824-ece598f2/
- SIPO:Midnight が「注文を探す場所」だけを Celestia に置きました — https://sipo.tokyo/signal-20260826-9fb200ad/
- SIPO:Midnight が「透明性だけでは主流にならない」と書きました — https://sipo.tokyo/signal-20260826-08430370/
- SIPO:Cardano の改善提案に、耐量子署名の案が入りました — https://sipo.tokyo/signal-20260824-53a9b3b9/
- SIPO:FluidTokens が Wanchain 事案の影響範囲を整理しました — https://sipo.tokyo/signal-20260826-7e638e23/
- SIPO:CertiK が Midnight とのエコシステム提携を告知しました — https://sipo.tokyo/signal-20260824-8ea4e111/
- SIPO:Daily Intel 8/28|次のアップグレードの輪郭と、投票の締切が、同じ朝に並びました — https://sipo.tokyo/daily-intel-20260828/
- SIPO:エポックな日々650 — https://sipo.tokyo/epoch-650/
