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CAP-3 第4版、トレジャリー引き出しに区分ごとの上限

Intersect は 10 月 24 日付の週報(#134)で、Cardano 憲法の改正提案 CAP-3 の第 4 版を紹介しました。トレジャリーから引き出せる総額の上限(Net Change Limit)に、使い道の区分ごとの配分を同じガバナンスアクションで決める仕組みを足す提案で、各引き出しはメタデータに区分と金額を書き、その区分の配分を超えられなくなります。

DRep にとっては、個々の資金申請を審査する前に「何に使うか」の合意を先に作る枠組みです。第 4 版で何が書かれたのか、誰が区分を決めて誰が守らせるのかを、CAP ポータルの提案原文に沿って整理します。編集者が公開の場で読み合わせる CAP Review は 10 月 29 日に予定されています。

今の Net Change Limit は総額の天井だけ

現行の憲法は Net Change Limit を「一定期間に Cardano のトレジャリーから引き出せる lovelace の最大額または割合」と定義し、DRep がオンチェーンのアクションで、有効な投票ステークの 50% 超で合意すると定めています(ガードレール TREASURY-01a)。いま有効な枠は上限 5 億 ADA・期間は 2027 年 7 月上旬までで、その残りは10 月 19 日の時点で約 4,260 万 ADA と整理しました。

提案者は、この天井が「いくら出してよいか」だけを決め、「何のためか」を何も言わないことを問題にしています。その結果、支出は個々の引き出し案件ごとにばらばらに判断され、エコシステムとしてどこに投資するのかという共通の絵がない、という指摘です。

あわせて提案は、憲法 v1 にはトレジャリーのガードレールに独立した予算の段階(TREASURY-01a〜04a の系列)があり、v2.4 で削られた経緯に触れています。CAP-3 は、その予算の段階を Net Change Limit と同じアクションに組み込む形で戻すものだと位置づけています。

第 4 版が憲法に入れる 3 つの変更

1 つ目は定義です。Net Change Limit を、総額の上限に加えて、その上限を大きな予算区分に配分したものと定義し直します。区分は個々の受益者や提案ではなく、支出の大まかな分類です。提案は例として、ネットワークの保守、研究開発、ガバナンス、コミュニティへの資金提供を挙げています。各区分の配分は、その区分で行う引き出しへの拘束力のある上限になります。

2 つ目は、第 II 条のトレジャリー引き出しの基準です。Net Change Limit は総額と区分の配分を同じアクションで承認しなければならず、各引き出しはメタデータに、どの区分からいくら引き出すかを書く必要があります。総額と、関わるすべての区分の配分の両方を超えてはいけません。1 件の引き出しが複数の区分にまたがってもよく、提案は開発者イベントと小規模な助成を同時に行うプログラムを例にしています。

3 つ目は付属書のガードレールです。現行の TREASURY-01a は文言が変わるため TREASURY-01b に改め、区分と配分を同じアクションで承認する TREASURY-01c と、Net Change Limit の採択に有効な投票ステークの 67% 以上を求める TREASURY-01d を新設します。

67% の閾値を独立したガードレールに切り出したのが、この版の設計上の要点です。提案は、区分を決める仕組みと閾値の数字は別々に評価できるとし、閾値は引き上げ、現行水準への差し戻し、削除のいずれも仕組みに触れずに行えるようにしています。

区分を決めるのは DRep、守らせるのは憲法委員会

区分の中身と金額は憲法には固定しません。Net Change Limit のアクションを出す人がそこに書き、DRep がそのアクションを採択した時点で効力を持ちます。どの編集者や委員会の持ち物でもない、というのが提案の立場です。

守らせる側は、今の Net Change Limit と同じく憲法委員会です。委員会は各引き出しの合憲性を確かめる際に、その時点で有効な区分と配分に照らして判断します。区分ごとの残りの枠は、その区分に計上された引き出しを足し合わせれば誰でも検算できます。緊急時にだけ使う配分をあらかじめ計画に入れることもできます。

計画の途中変更にも決まりがあります。ある区分が使い残されても、それを別の区分へ回す理由にはならず、配分は新しい Net Change Limit のアクションで変えるまで動きません。付け替えも、状況が悪化したときの上限の引き下げも、同じ 67% の閾値で新しいアクションを通すことになります。期間の終わりに使われなかった枠は失効し、次の期間へ繰り越されません。

総額と配分のどちらかで合意できないアクションは成立しません。成立した Net Change Limit がない期間は、今の憲法と同じく、新しい枠が合意されるまでトレジャリーからの引き出しは承認できません。提案は、だからこそ次の期間の計画づくりを早めに始めるべきだとしています。

DRep が考えることになる論点

採択の閾値が 50% 超から 67% 以上に上がると、計画は通しにくく、変えにくくなります。提案者はこれを意図したものだと説明しています。エコシステムが拠り所にする計画は、それが縛る支出と少なくとも同じくらい変えにくくあるべきで、簡単に差し替えられる上限は上限としての正統性を失う、という理屈です。

一方で、総額と配分を一度に合意できなければ何も成立しない設計は、オンチェーンに出す前の議論で合意を作り切ることを前提にしています。区分をいくつに分けるか、どの程度の粗さにするかも、各期のアクションに委ねられます。67% という数字については、提案自身が「よりよく論証された調整には開かれている」と書いています。

SIPO の DRep としての CAP への関わりは、CAP 参加トラッカーで公開しています。

10 月 29 日の CAP Review

直近の場は、10 月 29 日 15:00 UTC(日本時間 30 日 0 時)に Google Meet で開かれる CAP Review です。編集者が公開の場で審査中の提案を読み進め、CAP-3 と CAP-12 の第 4 版も対象になっています。参加の案内は Luma の告知ページにあり、論点の動きは CAP ポータルの CAP-3 のページに付くコメントで追えます。

ことば

  • Net Change Limit — 一定期間にトレジャリーから出せる ADA の上限。DRep の投票で決まり、すべてのトレジャリー引き出しはこの枠に収まる必要があります。CAP-3 はここに使い道の区分を足します。
  • CAP(Constitutional Amendment Proposal) — Intersect の CAP ポータルで受け付けている Cardano 憲法の改正提案。議論と編集者の審査を経て、最終的には憲法改正のガバナンスアクションとしてオンチェーンに出ます。
  • ガードレール — 憲法の付属書にある、オンチェーンのアクションが守るべき具体的な数値や条件の一覧。CAP-3 は Net Change Limit に関わる TREASURY 系列の文言を差し替え、2 項目を足します。

一次ソース / 関連リンク

CAP-3「Evolve the Net Change Limit into a Strategic Spending Plan」(CAP ポータル)(cap.intersectmbo.org)

CAP ポータル(cap.intersectmbo.org)

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