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ウッタルプラデーシュ州警察、証拠の記録を Cardano に

2026-10-27SIPO #カルダノ財団

Cardano Foundation は 2026 年 10 月 26 日、インドで最も人口の多いウッタルプラデーシュ州の警察が、捜査中の事件の証拠を Cardano で追跡しているとする事例研究を公開しました。証拠のスキャンや鑑識の結果ごとにハッシュ値をオンチェーンへ記録する仕組みで、開発したのは同じ週に警察向けの新システム「PFMS」の開発費としてトレジャリーへ 960 万 ADA を請求しているインドの Trivolve Tech です。

行政が公開ブロックチェーンを日々の業務に組み込んだ例として、PFMS の投票を見ている DRep (委任代表者) にとっても判断材料になる事例です。本記事では、財団の告知と Trivolve Tech 自身の提案書から、何が記録されているのか、なぜ台帳を使うのかを整理し、投票の現状とあわせて読みます。

スキャンと鑑識結果を、ハッシュ値で記録する

財団の告知は短く、要点は三つです。対象はウッタルプラデーシュ州の警察で、証拠のスキャンと鑑識ラボの結果がすべてハッシュ値としてオンチェーンに記録され、それが進行中の事件で稼働している、という内容です。事例研究の題名は「TrivolveTech FMS」で、Trivolve Tech が開発した鑑識管理システム FMS (Forensic Management System) を扱っています。

FMS の仕組みは、Trivolve Tech が 10 月 21 日に出した PFMS の提案書に説明があります。対象は、事件現場で証拠を集めてから鑑識ラボが結果を出すまでの区間です。署で事件を登録すると証拠の箱ごとに専用の QR コードが発行され、これは FMS のアプリでしか読めません。証拠品にはそれぞれ無作為の別名が付き、箱を見ても、どの事件の証拠かは分からないようになっています。そのうえで、採取からラボまでの受け渡しの一つひとつに記録の刻印が押されます。

Cardano に載るのはハッシュ値で、証拠そのものではありません。ハッシュ値は元のデータが少しでも変われば別の値になるため、後から記録を書き換えると、オンチェーンの値と合わなくなります。

証拠の受け渡しを、台帳で残す理由

鑑識の証拠は、現場から複数のラボへ運ばれ、建物も担当者も替わりながら何度も人の手を渡ります。提案書は、法廷で証拠の保管の連鎖 (chain of custody) が疑われると、わずかな空白でも証拠の信用が揺らぐと書いています。紙の台帳や署内のデータベースは、記録を管理する側が後から直せてしまうため、記録が当時のままであることを第三者に示しにくい、というのが提案書の問題意識です。

公開ブロックチェーンに刻んだハッシュ値は、警察も開発会社も後から変えられません。提案書は、実績として示す取引件数や主張はすべて Cardano のエクスプローラーで確かめられると書き、検証を自分たちへの問い合わせに頼らない形をとっています。行政のシステムが台帳に求めているのは、記録の保管ではなく、記録が改ざんされていないことの公証です。

15 万 6,000 件の実績と、PFMS の投票

提案書によると、FMS はメインネットで 15 万 6,000 件を超えるトランザクションを記録し、現在は月に約 1 万 1,000 件のペースで動いています。1 年以上毎日稼働し、Cardano の取引件数ランキングで上位 10 位に入っているとも書かれています。

PFMS は、この FMS を土台に、鑑識の区間に加えて事件前の記録・証拠保管庫・訴追・法廷を含む 5 段階すべてへ範囲を広げる計画で、最初の導入先はテランガナ州です。10 月 22 日の記事 (PFMS、インド警察の証拠管理に960万 ADA のトレジャリー請求) で、提案書の中身と支払いの条件を取り上げました。Cardano Foundation は共同提案者で、可決された場合は資金の管理者を務めます。

2026 年 10 月 27 日 1 時 23 分 (日本時間) 時点で、DRep の賛成は可決基準 (未投票を分母に含め、棄権は除く) で 4.61% (16 票) です。投票済みの反対は 2.23% (8 票)、AlwaysNoConfidence (常に不信任を選ぶ既定の DRep) に委任された分が 2.5%、未投票が 90.66% を占めます。憲法委員会は 7 人のうち 1 人が賛成で、6 人が未投票です。可決には DRep と憲法委員会のそれぞれで 67% の賛成が要ります。

DRep の議論では、警察や裁判所の利用者は ADA を持たないため、エコシステムに新しい利用者や流動性は入らない、という論点も出ています。取引件数は増えても、利用の担い手は行政の内側にとどまる、という見方です。ウッタルプラデーシュ州で動いている FMS は、その評価の土台になる、すでに稼働中の実例です。

次に確かめる一点

最初に見たいのは、財団の事例研究に載る導入の規模と範囲です。告知では州の名前と「進行中の事件で稼働」までしか分からず、何件の事件、どの地域のラボが対象なのかは事例研究の本文で確かめる必要があります。あわせて、gov.tools の PFMS の提案ページで、期限のエポック 669 (11 月下旬) までに大口の DRep がこの事例をどう評価して投票理由を書くかを見ていくと、行政での実績がトレジャリーの判断にどう効くのかが見えてきます。

ことば

  • ハッシュ値 — データから計算する固定長の値で、元のデータが少しでも変わると別の値になります。FMS は証拠そのものを Cardano に載せず、この値だけを刻んで改ざんの有無を確かめられるようにしています。
  • 証拠の保管の連鎖 (chain of custody) — 証拠が誰の手から誰の手へ、いつ渡ったかの記録です。途中に空白があると法廷で証拠の信用が問われるため、FMS と PFMS はこの受け渡しを台帳に刻むことを中心に据えています。
  • PFMS — Trivolve Tech が提案する警察向けの証拠管理システムです。鑑識の区間を扱う FMS を土台に 5 段階へ広げる計画で、開発費 960 万 ADA のトレジャリー引き出しが DRep の投票にかかっています。

一次ソース / 関連リンク

Cardano Foundation 事例研究「TrivolveTech FMS Case Study」(cardanofoundation.org)

GovTool の PFMS 提案ページ (投票状況)(gov.tools)

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