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エポックな日々

維持に、票が集まった──2026年度予算が決まった5日間:エポック644

2026-07-24SIPO

エポックな日々:644(2026年7月19日 午前6時44分頃 〜 7月24日 午前6時44分頃)

序章:締切が重なった朝に

今朝、7月24日の午前6時44分。エポックが644から645へ切り替わるのと同時に、Cardano の2026年度予算にあたる11件の国庫支出提案の投票が締め切られ、結果が確定しました。10件が可決、1件が否決です。

前回のエポック643を、SIPO は「決めたことが、動き出す」5日間として書きました。van Rossem ハードフォークが発効し、コミュニティの投票だけでプロトコルを更新できることが、実際のチェーンの上で証明された朝でした。あの記事の終章で、SIPO はエポック644に確認すべきものとして「トレジャリー投票の締切」を挙げています。その答えが、今朝出ました。

面白いのは、答えの中身です。可決された10件を並べてみると、そこにあるのは Mithril、ハードウェアウォレットの保守、開発ツールの維持、ガバナンスの事務——壊れても誰も気づかないけれど、止まると全部が困る種類のものばかりでした。一方で落ちたのは、実世界の決済を Cardano に持ち込むという、いちばん外向きで、いちばん「採用」の物語になりやすい提案です。

プロトコルを更新できることを証明した次のエポックで、コミュニティが最初にお金を出す先として選んだのは、新しい何かではなく、すでに動いているものを動かし続けることでした。エポック644は、その選択が数字になって返ってきた5日間です。

▶ エポック643振り返り:https://sipo.tokyo/post-46922/

第1章:3,672万ADAの行き先──何に票が集まり、何が落ちたか

まず、決まった中身を具体的に見ていきます。可決された10件と、その金額です。

提案金額(ADA)
Intersect:ガバナンス調整と技術スチュワードシップ25,400,000
Mithril プロトコル3,810,423
TxPipe:Tx3(dApp 向けオープン API 層)1,684,050
ハードウェアウォレット保守 20261,310,960
Intersect:技術運営委員会(TSC)支援1,193,000
MLabs:中核ツール保守・改善(Plutarc)1,162,746
TxPipe:Oura(イベントパイプライン維持)540,750
TxPipe:Pallas(Rust 中核ライブラリ維持)540,750
TxPipe:UTxO RPC(統合層の維持)540,750
TxPipe:Dolos(軽量データノードの維持)540,750
合計36,724,179

そして否決されたのが、Wirex による「実世界の決済を Cardano へ」の提案(3,961,538 ADA)です。

この一覧を眺めると、言葉の選び方に共通点があるのが分かります。「維持」「保守」「支援」「スチュワードシップ」。TxPipe の4件はいずれも既存ソフトウェアの維持費であり、MLabs も「保守・改善」、ハードウェアウォレットも「保守」です。金額として最大の Intersect 分も、新規開発ではなく調整と運営の費用です。

つまり、2026年度に Cardano のコミュニティがトレジャリーから出すと決めたお金の大半は、すでに存在して、すでに使われているものを、来年も動かし続けるための費用でした。

対照的に、否決された Wirex の提案は、ウォレットと API を整備して実際の支払いに Cardano を使えるようにする、という趣旨のものです。エコシステムの外に出ていく話であり、いわゆる「実利用(アダプション)」の物語にいちばん近い提案でした。それが、維持費の束の中で唯一落ちています。

これをどう読むかは、立場によって分かれるはずです。「守りに入った」と読むこともできますし、「まず足元を固めた」と読むこともできます。ただ、事実として押さえておきたいのは、判断したのは特定の誰かではなく、DRep の投票の集計結果だということです。van Rossem で証明されたのは「コミュニティがプロトコルを変えられる」ことでしたが、今回証明されたのは「コミュニティがお金の優先順位をつけられる」ことでした。そして、つけられた優先順位は、派手ではありませんでした。

なお、可決10件のうち5件はこの切り替えでそのままオンチェーン執行され、残る5件は次のエポック境界で執行される見込みです。批准と執行が別の時計で動くことは、前回 van Rossem で見たとおりです。

第2章:11件、すべて一致──SIPOが投じた票の答え合わせ

エポック643の第4章で、SIPO は DRep としてこの11件に票を投じたことを書きました。7月17日、「期待事項付き賛成10件・建設的反対1件」という投票です。同じトランザクションに束ねられた提案群の中で、案件ごとに賛否を分けたのは SIPO として初めてでした。

今朝、その答えが出ました。SIPO が賛成した10件はすべて可決し、SIPO が反対した1件——Wirex の提案——は否決されました。11件すべてで、SIPO の票と結果が一致しています。

ただし、ここを「予想が当たった」と書くのは、たぶん正確ではありません。DRep の投票は予想ではなく判断であり、しかも自分の票そのものが結果の一部です。一致したことを自慢する話ではない、というのが SIPO の受け止めです。

意味があるのは、むしろ分かれ目の置き方が、結果的にネットワーク全体の判断と重なっていたことのほうです。SIPO が賛否の分かれ目にしたのは、金額の大小でも技術の良し悪しでもなく、提案者・受益者・大口 DRep の関係がきちんと開示されているか、そして資金が公共財の構造に向かうか、という二点でした。その物差しで見たときに反対に振れた1件が、ネットワーク全体でも通らなかった。物差しが特殊なものではなく、他の DRep が見ていたものと近かった、ということになります。

すべての票には、案件ごとの理由書をオンチェーンで添付しました。結果が出た今も、その理由書はチェーンの上に残っています。賛成・反対の結論は多数決で上書きされますが、なぜそう判断したかの記録は上書きされません。投票力を預かる側として、SIPO はそこにいちばんの価値があると考えています。

なお、SIPO が同じ日に賛成票を投じた Daedalus ウォレットの保守・改善提案(Se7en Labs・1,785,333 ADA)は、まだ投票が続いています。締切は7月28日です。

第3章:Mithrilという補助線──資金と統治と体験が、同じ5日間で揃った

今回の予算の中で、SIPO がいちばん注目しているのは Mithril です。理由は、この5日間のあいだに、Mithril をめぐって三つの別々のことが同時に起きたからです。

一つめは、お金です。Mithril プロトコルへの 3,810,423 ADA が、今朝の集計で可決しました。

二つめは、統治です。この期間、Mithril のリポジトリが Intersect のガバナンス下へ移管されました。開発の主体が特定企業からコミュニティ側の組織へ移る、という話です。

三つめは、体験です。7月22日、Daedalus 11.1.0 が公開され、Mithril による部分同期が実装されました。

Mithril は、チェーンの状態を証明付きの軽量なスナップショットとして配る仕組みです。ふつうの利用者がその名前を意識することはありません。4月の 8.0.0 で、新規インストール時の初回同期にはすでに導入されていました。ただしそのときのリリースノートには、「Mithril による部分同期の再開は、将来のリリースで対応します」と書かれたままの一行が残っていました。すでに使っている人が長く立ち上げずに大きく遅れた場合には、この高速化は効かない——遅れを取り戻す実質的な手段が「入れ直す」しかない、という状態です。11.1.0 は、その宿題に手を入れたリリースでした。

新しい部分同期は、ノードが認証済みのチェーン先端から大きく遅れていると判断されたときに、不足している範囲だけを Mithril 経由で取得する選択肢を出します。再インストールは要りません。あわせて、遅れをエポック単位で表示する、ダウンロードの進捗をリアルタイムに出す、リプレイ中でも任意のタイミングで中断できるようにする、といった改善が入りました。所要時間について公式リリースノートは数値を出していないため、ここでは「速くなった」以上の具体的な数字には踏み込みません。

ただ、この4つの改善が何に答えているかは、はっきりしています。フルノード同期のつらさは、時間そのものよりも終わりが見えないまま操作を奪われることでした。あと何ブロックかではなく、あと何エポックか。止まっているのか、進んでいるのか。そして、途中でやめられるのか。これは体験の改善というより、いったん閉じかけていた選択肢が開き直す変化に近いものです。

そして、この三つが同じ5日間に並んだことには意味があります。維持費に票が集まったという第1章の話は、抽象的に聞こえるかもしれません。でも Mithril を補助線にすると、その具体的な帰結が見えます。維持されているものにお金と統治の受け皿がつき、その成果が利用者の手元に届く——このループが一周する様子を、今回はひとつのエポックの中で観察できました。

「見えないインフラは誰が持つべきか」という問いは、エポック643で Blockfrost をめぐって立てたものです。Mithril は、その問いに対する一つの回答の形——公共財として資金と統治の枠組みを整え、成果は静かに全員へ届く——を、先に見せてくれた事例だと言えます。

なお、日付の符合として書き添えておきます。この 11.1.0 が公開された7月22日は、SecondFi(旧 Yoroi)が事業の畳み込みを公式に発表した日でもありました。日本で長く使われてきた選択肢が一つ閉じるのと同じ日に、フルノード・ウォレットが久しぶりでも追いつける形になった、ということです。ただし順序を間違えないでください。SecondFi の流出は鍵そのものが計算されうる実装欠陥に由来しており、公式は「復元フレーズを新しいウォレットに復元しないでください。セキュリティリスクは解消されません」と明記しています。影響を受けた方は、まず公式の案内と復旧ツールの提供を待つのが先です。SIPO はこの点を Signal で詳しく整理しました。

第4章:Protocol Version 11の、最初のまるごと1エポック

エポック644は、van Rossem 発効後の最初の完全な1エポックでした。

結論から言えば、5日間は静かでした。プロトコルバージョン11のもとでチェーンは通常どおり動き、各プロジェクトから「対応済み」の報告が順に積み上がりました。ハードフォークにおいて、何も起きないことは最良の結果です。

この期間、エコシステム側の関心は「切り替わったこと」から「切り替わった上で何が変わるか」へ移りました。van Rossem が入れたのは、Plutus への定数時間の配列操作の追加と、それによるスマートコントラクト実行コストの引き下げ、そして台帳のセキュリティの引き締めです。開発者にとっては、同じ処理をより安く書けるようになった、ということになります。Input Output はこの変更を、次世代スケーリング設計 Leios への布石としても位置づけています。

その Leios については、この5日間で議論が一段階降りてきました。テストネット「Musashi Dojo」での検証が続くなか、SundaeSwap が Linear Leios アップグレードをめぐるサービス妨害(DDoS)の懸念について技術的な説明を出しています。設計の是非が、抽象的な期待や不安ではなく、具体的な攻撃シナリオと、それに対する設計上の応答として語られ始めた、ということです。

エポック643で「速くなるはずを、測れる形に」と書きました。測れる形になったものは、次に叩かれる形になります。批判が具体的になるのは、設計が具体的になった証拠でもあります。順番としては、正しい方向に進んでいます。

第5章:破られたのは橋だった──Wanchainと、境界の安全

静かだったプロトコル層の外側で、この5日間いちばん人を動かしたのは、第三者ブリッジのインシデントでした。

Wanchain の Cardano⇔BNB Chain 経路で異常が発生し、ブリッジ経由の NIGHT トークンが影響を受けました。まず押さえるべきは、これが Cardano や Midnight のコアプロトコルの障害ではないということです。破られたのはチェーンそのものではなく、チェーンとチェーンをつなぐ外部の橋でした。Midnight Foundation は日本語でも続報を重ね、取引所側が資産の移動を制限する予防措置を取ったことを説明しています。Charles Hoskinson 氏も対応方針を発信しました。

SIPO はこの期間、この事件を Signal「守られたコア、破られた境界」として整理しました。SecondFi 事件のときに書いた「プロトコルは無傷、陥ちたのはアプリ層」と、構図はよく似ています。違うのは、今回落ちたのがアプリ層ですらなく、チェーンとチェーンのあいだだったことです。

このことは、Cardano の設計を考えるうえで示唆的です。一つのチェーンの中でどれだけ形式手法を使い、どれだけ検証を重ねても、資産が別のチェーンへ渡る瞬間には、その保証が届かない区間ができます。プライバシーチェーンの価値が上がるほど、そこへ資産を運ぶ橋の安全性が、利用者にとっての実質的なリスクになる——という順序です。

同じ5日間に、Midnight は Dune に対応しました。オンチェーンの動きを外部の分析基盤から追えるようになった、という話です。プライバシーを扱うネットワークが「何も見えない」のではなく「何を見せるかを選べる」設計であることが、データの側から確認しやすくなりました。守るべき境界と、開くべき境界。この二つを分けて設計できるかどうかが、これからのプライバシー技術の実用性を決めていくのだと思います。

なお、この期間には SecondFi 側からも続報がありました。6月の資産流出について、独立調査を踏まえた原因説明が公表され、暗号署名の実装欠陥という技術的な結論が示されています。SIPO は Signal としてこれも配信しました。

第6章:外側の時計──ブレント100ドルと、全面リスクオフ

Cardano の外側では、エポック644の終盤に地合いが大きく変わりました。

いちばん大きな動きは原油です。ブレント原油が $100.50(前日比 +6.84%) と、100ドルの大台を回復しました。WTI も $92.16(+6.14%) です。前エポックの終わりに WTI が $81 台だったことを思えば、5日間での上昇幅は相当なものです。中東情勢を背景とした供給不安が、そのまま値に出ています。

エネルギー価格の急騰は、リスク資産全体を押し下げました。切り替え当日の朝の時点で、S&P500 は 7,408(−1.21%)、ナスダック 25,138(−2.15%)、日経平均先物 65,315(−1.71%)。恐怖指数 VIX は 18.70(+12.38%) へ跳ね、米10年債利回りは 4.703% まで上昇しました。ドル指数は 101.44 と上昇し、資金はドルへ向かっています。

特徴的だったのは、金も下げたことです。$4,052(−2.29%)。株式・暗号資産・金が同時に下落し、ドルだけが買われる——典型的な全面リスクオフの形です。暗号資産では BTC $65,129(−1.31%)、ETH $1,880(−2.83%)、ADA $0.1687(−3.83%) と、揃って売られました。

エポック644の中の ADA は、実はもっと大きく振れていました。エポック初日の $0.166 から一時 $0.1799 まで上昇し、そこから押し戻して、切り替え時点で $0.1688 です。5日間のネットでは +1.7% の小幅高ですが、途中で 8% 近く上げてから戻した、という中身になります。

そして今回も、開発・ガバナンスの進捗と価格は、はっきり別の時計で動いていました。予算が決まり、Mithril が速くなり、プロトコルが安定して回った5日間の終わりに、ADA は原油と VIX の都合で下げています。この非対称に慣れることが、長くこのエコシステムに関わるための条件なのだと、SIPO は思っています。

第7章:エポック644 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック644期間・7/19〜7/24)
ADA はエポック初日の $0.166 から一時 $0.1799 まで上昇し、切り替え時点は $0.1688(期間ネット約 +1.7%)。BTC は $65,129、ETH は $1,880 で着地し、いずれも最終日に売られました。$NIGHT は $0.0212 前後で、Glacier Drop による引き出しが15億枚を超えた供給増を消化する局面が続いています。株式は S&P500 7,408(−1.21%)、ナスダック 25,138(−2.15%)、日経平均先物 65,315(−1.71%) と週末に軟化。VIX は 18.70(+12.38%)、米10年債は 4.703%、ドル指数は 101.44、USD/JPY は 163.8円台。商品は ブレント $100.50(+6.84%)/WTI $92.16(+6.14%) と急騰する一方、金は $4,052(−2.29%) と下落しました。エポックの最終日は、株式・暗号資産・金が揃って下げ、資金がドルへ逃避する全面リスクオフの地合いです。

Cardano オンチェーン KPI
※自動集計(Dune 経由)の基準日は 2026-07-22 23:59 UTC(エポック644 終盤)です。ステーキング関連はエポック644:100%時点(7/24 朝取得・adastat 系)を併記します。

  • ステーキング率:約 56.9%(ネットワーク総ステーク ₳21.4b ÷ 循環供給 ₳37.6b・エポック644:100%)/Dune 算出では 57.31%(エポック643 基準)
  • アクティブ・プール:2,694(エポック644:100%・前エポックから横ばい)
  • Nakamoto 係数:164(前回 165)
  • 日次トランザクション:7/20 に 57,048、7/21 に 45,104、7/22 に 25,115/アクティブアドレスは 7/21 の 20,371 が期間最多
  • Script Tx 比率:7/20 50.81%/7/21 46.70%/7/22 41.91%(7月上旬〜中旬は概ね 27〜43% で推移)
  • ステーブルコイン総額(Cardano):約 $58.19M(USDCx $39.98M・USDM $9.65M・USDA $4.35M・Djed $2.27M・iUSD $1.33M ほか)
  • Treasury 残高:約 14.76 億 ADA(エポック644 基準)
  • ガバナンス:総提案 150件(うち批准 73・期限切れ 59・審議中 18/7/22 23:59 UTC 基準)。この境界で2026年度予算11件が決着し、Daedalus 保守提案(7/28 締切)と Blockfrost 非営利化提案の投票が継続中
  • 年間純増限度(NCL):Dune は 350m ADA を前提に集計しており、その 86.5%(約 3.03 億 ADA)が引き出し済み、残枠 約 4,727万 ADA(7/22 23:59 UTC 基準)。今回可決した 3,672万 ADA はこの基準日より後に乗るため、枠の消化はさらに進む計算になります。なお、この 350m という枠自体を確定させる提案は現在も投票中です

スクリプト取引の急増について(観察)
上の Script Tx 比率が、7/20 以降に平常の 30% 前後から 40〜50% 台へ跳ねています。取引総数も 7/20 に 57,048 件と、7月上旬の 2 倍近い水準です。van Rossem の発効(7/18 21:44 UTC)の直後という時期ではありますが、発効当日を含む 7/19 はむしろ 14,251 件と低く、跳ねたのは翌日からでした。実行コストの低下が効いた可能性もありますし、同時期に進んでいた Glacier Drop による NIGHT の引き出しなど、別の要因が重なった可能性もあります。SIPO としては現時点で原因を断定せず、数字が動いたという事実だけを記録し、次のエポックで水準が戻るかどうかを見ます。

SIPO DRep 活動
SIPO DRep の投票力は 約 ₳86.03M(active・有効期限エポック663)。前エポック終了時点の ₳89.79M から ₳3.76M の減少です。この期間の投票は、第2章のとおり7月17日に投じた12件の結果が確定した局面にあたり、新規の投票はありません。

第8章:エポック644 配信記事の紹介

エポック644(7/19〜7/24)に SIPO・SITION の各アカウントから配信した主な記事です(暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋)。

日付媒体種別タイトルURL
7/19@SIPO_TokyoDaily Intelvan Rossem 発動——Cardano初のコミュニティ主導ハードフォークが稼働https://sipo.tokyo/post-46913/
7/19@SIPO_Tokyoエポックな日々決めたことが、動き出す──van Rossem発効までの5日間:エポック643https://sipo.tokyo/post-46922/
7/20@SIPO_TokyoDaily Intelvan Rossem 後の一日——エコシステムが順次「対応済み」を確認、ZK暗号がCardanoで稼働https://sipo.tokyo/post-46934/
7/21@SIPO_TokyoDaily Intelvan Rossem ハードフォーク稼働・PV11 始動https://sipo.tokyo/46944-2/
7/21@SIPO_Tokyo速報van Rossem ハードフォークがCardanoメインネットで正常に実装https://sipo.tokyo/breaking-x-2079119526466138456/
7/21@SIPO_Tokyo速報Wanchain Cardano-BNB ブリッジのインシデント報告を認識https://sipo.tokyo/breaking-x-2079307541771669809/
7/21@SIPO_TokyoSignalWanchain の Cardano⇆BNB ブリッジでインシデント報告、bridged NIGHT に影響https://sipo.tokyo/post-46952/
7/21@SIPO_Tokyo速報Cardano 2026年度予算プロセスの投票期限、7月23日に終了https://sipo.tokyo/breaking-x-2079486914567032862/
7/21@SIPO_TokyoCharles動画「Brief Update on WanChain」解説・全翻訳https://sipo.tokyo/post-46960/
7/22@SIPO_TokyoDaily IntelWanchainブリッジ事故とNIGHT──第三者ブリッジの安全境界https://sipo.tokyo/post-46966/
7/22@SIPO_TokyoSignalWanchain Cardano–BNBブリッジ事故とNIGHT——守られたコア、破られた境界https://sipo.tokyo/post-46969/
7/22@SIPO_TokyoSignalSecondFi、1,610万ADA流出の原因を「暗号署名の実装欠陥」と説明https://sipo.tokyo/post-46972/
7/22@SIPO_Tokyo速報Constitutional Committee選挙2026、4議席に10候補が立候補https://sipo.tokyo/breaking-x-2079898426376847365/
7/23@SIPO_TokyoDaily Intel2026年度予算、11件の国庫支出が投票期限へhttps://x.com/SIPO_Tokyo/status/2080071159488659739
7/20@SITIONjpDeep Dive終末を予測した者たちが、次に描いたのは「減速の設計図」だった──AI 2027からAI 2040へhttps://x.com/SITIONjp/status/2078985723676618967
7/21@SITIONjpDaily IntelCircle が全米初の連邦認可トラスト銀行へ、ドルの暗号レールが「公式」化https://x.com/SITIONjp/status/2079358247472160906
7/21@SITIONjpSignalロシアが暗号資産を「財産」に ― 法典化は地政学を越えるhttps://x.com/SITIONjp/status/2079397184198652347
7/21@SITIONjpSignalCLARITY法、最後の関門「倫理条項」が動いたhttps://x.com/SITIONjp/status/2079402850116153623
7/22@SITIONjpSignalIllinois州の暗号資産税、施行前に法廷へ──Digital Chamberが差し止めを請求https://x.com/SITIONjp/status/2079747712833204270
7/22@SITIONjpDeep Dive米CLARITY法の最終関門は技術ではなく倫理規定https://x.com/SITIONjp/status/2079751755974467864
7/23@SITIONjpDaily IntelCLARITY法、上院共和党が統合テキストを公開——倫理条項は「時限」で決着へhttps://x.com/SITIONjp/status/2080055944340484214
7/24@SITIONjpDaily Intelブレントが100ドルを回復、株・金・暗号が同時に沈むhttps://x.com/SITIONjp/status/2080419165345923451
7/22@LifeMakersComDeep Dive量子計算とPQC移行時計——「50万未満」「2029年」を誤読しないhttps://x.com/LifeMakersCom/status/2079756651473895761

*(このほか、@SIPO_Tokyo は毎朝の Daily Intel と随時の速報、@SITIONjp は12指標・Event Risk Radar、@LifeMakersCom はこの期間 AI・宇宙を中心とした Daily Intel・星読みを配信しています)*

第9章:エポック644 終了時点 ステーキング動向

エポック644:100%時点の SIPO 3 プール合計は、有効ステーク ₳104.10M / ライブステーク ₳102.79M / 委任者 2,192 名でした。エポック644 のブロックは 103(前エポックと同数)、Lifetime 累計は 46,274 に達しています。

プール有効ステークライブステーク委任者ep644ブロックLifetime
SIPO₳42.73M₳42.73M1,1423919,672
SIPO2₳33.74M₳32.49M4784114,772
SIPO3₳27.63M₳27.57M5722311,830

今回は、正直に書いておくべき変化があります。ライブステークが ₳104.10M から ₳102.79M へ、₳1.31M 減りました。内訳のほとんどは SIPO2 で、₳33.74M から ₳32.49M への減少です。一方で SIPO2 の委任者数は 477 名から 478 名へ増えていますから、多数の方が離れたのではなく、大口の委任が一件動いた、と読むのが自然です。委任は預ける側の自由な判断であり、動くこと自体はネットワークの健全さの一部です。数字は数字として、そのまま記録しておきます。

一方、ブロックの巡り合わせは安定していました。3プール合計は 103 と、前エポックとまったく同じです。ただし中身は入れ替わっていて、SIPO2 が 28 → 41 と伸び、SIPO3 が 33 → 23 と減りました。個々のプールでは運の揺れが出ても、3プールを束ねると期待値に収束していく——複数プール運用の意味が、今回はきれいに数字に出ています。

委任者数は全体で 2,191 名から 2,192 名へ、静かな微増です。SIPO DRep の投票力は 約 ₳86.03M(active・有効期限エポック663)。ネットワーク全体では、総ステーク ₳21.4b・アクティブプール 2,694・総委任 1,346,478 で、大きな変動はありません。

詳しい内訳は、本日朝に公開したステーキング状況スレッドをご覧ください( https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2080414018511192131 )。

終章:von Bergen──台帳に、名前が残るということ

エポック643の終わりに、SIPO は「エポック644で確認すべきもの」を5つ挙げました。答え合わせをしておきます。

Protocol Version 11 の初週は、静かに過ぎました。ノード群は安定して動き、各プロジェクトの「対応済み」報告が積み上がりました。実行コスト低下が DeFi の採算にどう効くかは、まだ判断できる材料が揃っていません。憲法委員会選挙は7月23日に投票が締め切られましたが、結果はこれからです。トレジャリー投票の締切は、今朝の境界で決着しました——本記事の主題です。Blockfrost 非営利化の採否は、まだ投票が続いています。Leios の初期データは、まだ出ていません。代わりに、Linear Leios の設計をめぐる技術的な論点が具体化しました。

そのうえで、エポック645で確認すべきものを挙げておきます。

1. 憲法委員会選挙の結果:4議席の顔ぶれが、今後の憲法適合性の審査を担います。
2. Daedalus 保守提案の採否(7月28日締切):SIPO が賛成票を投じた最後の1件です。
3. Blockfrost 非営利化の採否:「見えないインフラの持ち主」を決める投票の行方。
4. 可決した5件の執行:次の境界でオンチェーン執行される残りの5件が、予定どおり処理されるか。
5. スクリプト取引の水準:7/20 以降に跳ねた比率が、平常へ戻るか、定着するか。
6. SIPO2 のライブステーク:今回の減少が一時的な移動か、傾向の始まりか。

最後に、このエポックに提出された一つの提案について書かせてください。

7月24日の未明、次のハードフォーク Protocol Version 12 を「von Bergen」と名付ける提案が、オンチェーンに提出されました。Fabian von Bergen 氏——Zyroxa の名で知られた方です。ITN の時代から Cardano に関わり、フォーラムでよく知られ、Tempus Stake Pool の SPO であり、アンバサダープログラムのごく初期からのアンバサダーでした。多くの人を Cardano に案内し、いつも率直で、思ったことを言い、自分の立場を守り通した人だった、と提案文にはあります。2026年1月に亡くなられました。

提案文の最後は、こう結ばれています。「その名が、台帳に知られたままでありますように」。

この記事は、維持について書いてきました。維持とは、誰かが作ったものを、作った人がいなくなった後も動かし続けることです。Mithril に票が集まったのも、TxPipe のライブラリに票が集まったのも、突き詰めればそういうことでした。そして、コミュニティが同じ5日間に、亡くなった一人の名前をプロトコルのバージョンに刻もうとしたことも、同じ種類の行為なのだと思います。

ブロックチェーンは、記録が消えないことを技術的な特性として持っています。けれど、何を記録するに値すると考えるかは、技術ではなく、そこにいる人たちが決めることです。エポック644は、コミュニティが「残すべきもの」を二つの形で選んだ5日間でした。動かし続けるべきコードと、忘れないでおくべき名前です。

いつも SIPO / SIPO2 / SIPO3 へ委任をいただき、ありがとうございます。派手な変化のない5日間にも、動かし続けるための決定は積み重なっています。SIPO は SPO・DRep・観察者として、その積み重ねを記録し続けます。

出典・参照