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RealFi の仕組みと、利用前に確かめる 4 点

2026-09-24SIPO #RealFi

RealFi は、Cardano 上で発行されるドル建てステーブルコイン USDrf と、それを預けて受け取る sUSDrf の二層で組み立てられた仕組みで、現実の信用市場から生まれる収益をオンチェーンへ運ぶことを目的に設計されています。ただし公式ドキュメントの現在の記述では、USDrf・sUSDrf・ガバナンストークンの RFG はいずれもまだ利用可能になっておらず、動いているのはテストネットだけです。

公式資料を読むと、仕組みそのものの説明よりも、誰が使えるのか・いまどの段階なのか・何が保証されていないのかを定めた部分のほうが厚く書かれています。この記事では、公式ドキュメントに書かれている内容だけを使って、RealFi の組み立てと、触れる前に確かめておきたい 4 点を整理します。

■ 流動性と収益を、二つのトークンに分ける

RealFi はドキュメントの冒頭で、自らを Cardano 上に構築された次世代のステーブルコイン基盤だと説明し、オンチェーンの資金を現実の信用市場へつなぐことを目的に掲げています。その中心にあるのが、役割の異なる 2 つのトークンです。

USDrf は、日常の取引と流動性のための基礎トークンです。1 ドルとの比率を保つように設計され、裏づけとなる資産の中心には、米国債とトークン化されたマネー・マーケット・ファンドからなる流動性の層が置かれています。そこに変動金利のクレジットと、期間の短いプライベートクレジット(担保と返済順位で上位に置かれるもの)が加わる構成です。この流動性の層は、想定される償還にも強いストレス下の償還にも、プライベート資産を売らずに応じられる大きさにしている、と記されています。

もう一方の sUSDrf は、USDrf を預けることで受け取る、価値が増えていく受取証の側です。残高の数量が自動で増えていく方式ではなく、1 単位あたりの交換比率が上がっていく方式で、借り手の返済スケジュールに合わせた週単位の区切りごとに反映されます。ドキュメントはこの層を効率化の層と呼び、分散型金融(DeFi)のなかで取引や担保に組み込める性質を保っている、と説明しています。

ドキュメント自身の要約表では、USDrf が資本の保全と継続的な安定、sUSDrf が収益の生成とシステム上のリスク吸収と整理されています。ひとつのトークンに安定と収益の両方を担わせず、利用者が自分で配分を選べるようにした、という設計思想です。

■ 裏づけは、米国債からプライベートクレジットまで

収益の出どころについて、ドキュメントは暗号資産市場の値動きに依存しない形を目指すと述べています。資金調達率を刈り取るような合成型の戦略は強気相場では高い利回りを出すものの、相場の熱が冷めると消えてしまう、というのがその理由です。

代わりに置かれているのが、現実の経済に紐づく分散した資産の組み合わせです。ドキュメントは配分の目安として、トークン化された米国債とマネー・マーケット・ファンドを預かり資産総額の 10〜20%、新興国の変動金利社債を 15〜25%(下限 10%)と挙げ、さらに一流のプライベートクレジット・ファンドへの投資、格付け BBB 以上の部分を保有する投資適格 CLO(企業向け貸付をまとめて証券化した商品)の ETF、機関投資家向けプライベートクレジット・ファンド、そして自社の審査基盤を通じた 6 か月から 24 か月の直接貸付を並べています。

sUSDrf として預けた資金の想定利回りについては、最大で年 10% という数字が脚注に書かれています。同じ脚注は、この利回りが変動するものであり保証されないこと、資本がリスクにさらされること、そして配分の範囲が投資委員会の決議によって変わりうることを、続けて明記しています。開示されている構成は開始時点の戦略を示すもので、固定された配分ではない、とも書かれています。

■ 発行体は、BVI と Cayman に分かれている

運営の形も、ドキュメントに具体的に書かれています。

  • RealFi Foundation — ケイマン諸島の財団法人で、プロトコルの統治と長期の方向づけを担います
  • RealFi Reserve Ltd. — 英領ヴァージン諸島(BVI)の法人で、USDrf を発行します。USDrf は現行の BVI の仮想資産ガイドラインのもとで、開始時点では規制対象の金融商品には分類されていないとされています
  • RealFi Yield Ltd. — 同じく BVI の法人で、sUSDrf を発行します。sUSDrf は BVI の 2010 年証券投資業法のもとで社債(debenture)として性格づけられ、自己発行の免除規定に依拠して発行されます
  • RealFi Protocol Ltd. — RFG を発行する予定の BVI 法人。RFG はまだ発行されていません

ドキュメントは、各法人の規制上の位置づけが継続的な監視の対象であり、各国の枠組みのもとでの分類は規制の展開に応じて変わりうる、と付け加えています。同じ資産が、法域によって違う名前で呼ばれうるということです。

■ 利用の前に確かめる 4 点

1. 自分の法域が対象に入っているか ドキュメントの対象地域のページは、提供の対象外となる法域を列挙しています。米国(属領を含む)、欧州連合および欧州経済領域の加盟国、英国、香港特別行政区、そして米国外国資産管理室・国連安全保障理事会・欧州連合・英国が運用する包括的な制裁の対象となる法域、さらに、そこでの利用が違法になるか、プロトコルが保有していない登録・免許・認可を必要とする法域です。日本はこの一覧に挙げられていません。ただし同じページは、自分の法域の法令に適合しているかを確かめる責任は利用者の側にあると書いています。列挙されていないことは、使えることの保証ではありません。さらに、小口投資家への社債などの提供を制限する法域では、sUSDrf は適格投資家・機関投資家などに限られるとも書かれています。地域の制限は技術的な遮断で実装され、VPN やプロキシによる迂回は禁じられています。

2. いま動いているのはテストネット サイトの免責事項は、USDrf・sUSDrf・RFG はまだ利用可能ではなく、ここで説明しているのは開発中のプロトコルであり、機能・製品・時期・パラメータはすべて予告なく変更されうる、と明記しています。テストネットで個人の利用者ができるのは、テスト用の USDCx とテスト用の USDr を交換すること、それを預けてテスト用の sUSDrf を受け取ること、そして引き出すことです。USDrf の発行と償還ができるのは、本人確認を終えた機関のパートナーに限られます。ポイント規約は、テストネットのトークンと残高に金銭的・経済的な価値はないと重ねて書いています。

3. R-Points は RFG の約束ではない R-Points は、ブロックチェーンの外側で動く販促上の記録単位です。ポイント規約は、金銭的価値を持たず、譲渡も取引もできず、預金・証券・電子マネーその他の規制対象商品ではなく、利息も付かず、いかなる統治上・所有上の権利も生まないと列挙したうえで、ポイント残高は運営者の帳簿上の記載であって利用者の財産ではない、と書いています。付与されたポイントはすべて暫定扱いで、シーズンの確定時に審査を経て初めて確定します。運営者は RFG が配布されるまでのあいだ、遡及を含めてポイントを調整・取消できるとされ、その判断は最終のものだと定められています。確定したポイントを RFG へ交換する段階にも条件があり、テストネットの口座を Cardano メインネットのアンカーアドレスへ 1 対 1 で紐づけること、そのアンカーアドレスが、報酬付きテストネットの公表前から暗号資産の残高を持っていたこと、そして運営者が予告なく行う確認の時点で、当初は 100 米ドル相当とされる最低残高を満たしていることが求められます。満たせなかった分は補償なく失効します。なお、報酬付きテストネットはシーズン 0「パイオニア・シーズン」として 2026 年 7 月 6 日に始まったと規約に記載されています。

4. 損失を先に引き受けるのは sUSDrf ドキュメントは、損失が出たときの順番をはっきり書いています。まずプロトコル自身の初期損失準備金が吸収し、残りを sUSDrf が引き受け、USDrf の保有者に影響が及ぶのはその後です。損失は、預託の金庫から USDrf が焼却される一方で sUSDrf の流通量が変わらないため、sUSDrf の交換比率の低下として現れます。USDrf 自体の残高が書き換えられることはありません。ただしこの保護の厚みは、損失が起きた時点の準備金の残高と、預けられている資金の規模という 2 つの数字に上限を画されている、とも書かれています。収益を取りに行く側が、先にリスクを引き受ける側でもある、という構造です。

リスクのページは、この順番とは別に 7 つの区分を挙げています。コントラクトの未発見の脆弱性、USDrf が目標値から乖離する可能性、裏づけ資産の劣化や債務不履行、規制の変化、償還の待ち行列や市場の流動性、取引を一時停止する仕組みの発動によって速やかに出られない可能性、サービス提供者や借り手が義務を果たさない可能性、そして Cardano を含む基盤の障害です。

■ SIPO の立場と、次に読み直す場所

SIPO は RealFi のアルファ・アンバサダー(Alpha Ambassador Programme)として、RealFi SPO アクセラレータープログラムに参加しています。参加の経緯と、ステークプール運営者としての関わり方は、9 月 24 日の告知記事に書きました。

この記事は公式ドキュメントの記述にもとづく解説で、実際の操作を試した記録ではありません。条件は変わります。次に読み直す場所を決めておくなら、利用規約のページに表示されている改訂日(現在は 2026 年 8 月 4 日)、ポイント規約、そして対象地域のページの 3 か所です。規約本体は利用規約のページから配布されるファイルとして置かれているため、改訂日が動いたときには、この記事の前提も合わせて確かめ直す必要があります。開始時期や RFG の扱いについては、公式ブログに月ごとに掲載されている Office Hours の記録が、公表済みの情報が更新される場所になります。

なお、SIPO では RealFi についての委任者向けアンケートを用意しています。回答と連絡先は RealFi が管理し、連絡先の記入は任意です。アンケートはこちらからお願いします。

■ ことば

  • USDrf — RealFi が Cardano 上で発行する、1 ドルとの比率を保つように設計された基礎トークン。裏づけの中心に米国債とマネー・マーケット・ファンドを置き、日常の取引と流動性を担う側に位置づけられています。
  • sUSDrf — USDrf を預けて受け取る、価値が増えていく受取証。1 単位あたりの交換比率が上がる形で価値が増え、損失が出たときは USDrf より先に引き受ける劣後の層として設計されています。
  • R-Points — テストネット期間中の参加記録として付与される販促上の単位。金銭的価値を持たず、譲渡できず、将来の RFG 受領を約束するものではない、とポイント規約に明記されています。

一次ソース / 関連リンク

本文の記述は、日本時間 2026 年 9 月 24 日に公式ドキュメントで確認した内容です。条件・数値・時期は予告なく変更されることがあります。

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