Cardano の永久先物の取引所 Strike(Strike Finance)は11月7日夜(日本時間)、流動性を提供する人への報酬プログラムのシーズン2を始めたと公式 X で発表しました。通常のボールト報酬に加えて、これから1か月で2万 STRIKE を配るとし、ボールトの預け入れ総額(TVL)は150万ドルに近づいていると書いています。
Strike はこの1週間、BTC の供給や利回りの上昇など、ボールトに資金を集める発表を重ねてきました。取引所の厚みは、売り買いの注文を出し続ける資金があって初めて生まれます。報酬で集めた資金が取引の厚みに変わるかどうかは、Cardano の DeFi が取引の場として根づくかを測る手がかりの一つです。ここでは、シーズン2の仕組みを Strike の公式ドキュメントから読み、2万 STRIKE がどれくらいの重さなのかを試算します。
ポイントは預けた額と時間で毎日分ける
Strike のドキュメントによると、報酬のポイントは SLP ボールト(Strike Liquidity Provider Vault)に預けた人に毎日付き、シーズンの終わりに STRIKE へ換算されて Cardano のアドレスに支払われます。毎日(UTC 基準)決まった数のポイントを、その日の預け入れ額の時間加重平均に応じて全員で分ける方式です。ボールトの損益はポイントに影響せず、引き出しを申請した分は対象から外れます。
ドキュメントに載っているシーズン1は、9月28日から10月28日(UTC)までの30日間で、賞金の総額は2万 STRIKE、1日あたり888ポイントでした。シーズン1が終わった10月28日の夜(日本時間)には、Strike が「報酬を送った」と X に投稿しています。今回の「1か月で2万 STRIKE」は、シーズン1と同じ規模です。
11月8日に確認した時点では、ドキュメントにはまだシーズン1の条件だけが載っていて、シーズン2の1日あたりのポイント数や終了日は書かれていません。発表では、報酬は毎日積み上がり、Strike のポイントのページで確認できるとしています。
シーズン2の前に続いたボールトの発表
シーズン2の発表の直前、Strike はボールトに関する数字を公式 X で続けて出していました(日付は日本時間)。
- 11月6日早朝: 25万ドル分の BTC がボールトに追加で供給され、合計45万ドルに(取引の全体像は近く発表するとしています)
- 11月7日未明: ボールトに供給された BTC が75万ドルを超え、ボールトの APR(年率の利回り)は40%に
- 11月7日早朝: ボールトの TVL が今月に入って70%増えた
- 11月7日夜: シーズン2を開始。ボールトの TVL は150万ドルに近づく
外部の集計も見ておきます。DeFi のデータ集計サイト DefiLlama では、Strike Finance Perpetuals の TVL は11月8日の取得時点で、Cardano 上が約136万ドル、Ethereum 上が約82万ドルでした。Ethereum 側は11月1日の時点ではほぼゼロで、この1週間で増えています。BTC の供給が続いた時期と重なりますが、DefiLlama の集計が Strike の言うボールトの TVL と同じ範囲を数えているとは限らないため、ここでは参考の数字として扱います。
2万 STRIKE を利回りに直すと
CoinGecko では、STRIKE は11月8日の取得時点で約0.39ドルです。この値で計算すると、2万 STRIKE は約7,800ドルになります。
これを TVL 150万ドルのボールトで1か月かけて分けると、預け入れ額に対して約0.5%、年率に直すとおよそ6%強の上乗せです。STRIKE の価格と TVL が1か月変わらないと置いた試算で、TVL が増えれば1ドルあたりの取り分は薄まり、報酬はトークンで支払われるため、価格が動けば受け取る額も動きます。Strike が11月7日に示したボールトの APR 40% に比べると、上乗せの幅は小さめです。
その40%も、決まった利息ではありません。SLP ボールトのドキュメントは、ボールトの資金がマーケットメイク(売りと買いの注文を出し続けて取引の厚みを作ること)や清算の受け皿に使われ、収益はそれらの損益の合計で決まり、固定の利払いや保証された利ざやではないと明記しています。
そのうえで Strike は、2026年7月4日から2027年7月4日まで、SLP ボールトの損失を財務から補填するプログラムを続けています。対象は原則として3か月以上続けて預けた資金で、補填の上限はボールト全体で預け入れ200万ドルまでです。TVL が150万ドルに近づいた今、この200万ドルの枠は遠い数字ではなくなってきました。
12月初めに分かること
シーズン2が1か月で終わるなら、締めは12月の上旬です。その時点で確かめたいのは3つあります。まず、ボールトの TVL が200万ドルの補填枠に届いたか。次に、ドキュメントのポイントのページにシーズン2の条件が載り、配分の計算が公開されたか。そして、11月4日の記事で取り上げた「月5億ドル」の取引高の目標に、11月の数字がどこまで近づいたかです。いずれも Strike の公式 X とドキュメント(docs.strikefinance.org)で確かめられます。
報酬で集めた資金が厚い板を作り、厚い板が取引を呼び、取引の手数料と損益で報酬なしでも利回りが回るようになるか。シーズン2の1か月は、その循環が Cardano の上で回り始めるかを見る期間でもあります。
ことば
- SLP ボールト — Strike Liquidity Provider Vault。預けた資金でマーケットメイクを行い、取引所に売り買いの厚みを作る、Strike が運営する公式のボールト。清算時の受け皿の役割も担っています。
- TVL — Total Value Locked。プロトコルに預けられている資産の総額。どこまでを数えるかが発表や集計サイトごとに違うため、同じプロトコルでも数字がずれることがあります。
- 時間加重平均 — 預けていた時間の長さで重みを付けた平均額。12時間だけ預けた額は半日分として数えるため、締め切り直前に大きく預けても、その日のポイントは伸びにくい仕組みです。
一次ソース / 関連リンク
- Strike 公式 X の発表(シーズン2開始・2万 STRIKE を追加配布)
https://x.com/strikeperps/status/2119069611173765550
Strike ドキュメント(Points・シーズン1の条件)
docs.strikefinance.org
docs.strikefinance.org
Strike ドキュメント(Strike LP Vault Liquidity Program・損失補填)
docs.strikefinance.org

Strike Finance
- Strike 公式 X(BTC の供給が75万ドル超・APR 40%)
https://x.com/strikeperps/status/2118735158421402051 - Strike 公式 X(ボールトの TVL が今月70%増)
https://x.com/strikeperps/status/2118784061032526066 - Strike 公式 X(BTC の供給が合計45万ドル)
https://x.com/strikeperps/status/2118427118161862659 - Strike 公式 X(シーズン1の報酬送付)
https://x.com/strikeperps/status/2115440975766315502
DefiLlama(Strike Finance Perpetuals)(defillama.com)
CoinGecko(Strike・STRIKE)(coingecko.com)
