Cardano 上で合成資産とドル建てトークン iUSD を発行する Indigo Protocol が、日本時間 10 月 20 日未明、開発ツール企業 TxPipe が見つけた脆弱性を修正するプロトコルの更新を終えたと公式 X で発表しました。更新は INDY DAO(INDY 保有者による意思決定の仕組み)の承認を経てチェーン上で実行され、警告から更新完了までのあいだ利用者の資金が危険にさらされたことはなかったとしています。
Indigo にとって、セキュリティ上の指摘を受けての更新はこれが初めてです。発表は、外部の開発チームが AI を使った点検を定期的に回し、見つかった問題を DAO の投票で直すという、守りの段取りそのものを公開した形になりました。この記事では、発表に書かれていることと書かれていないこと、そして同じ日に動いた USDrf との接続を順に整理します。
Indigo の発表に並んだ 4 つの事実
Indigo の投稿は、TxPipe とのセキュリティ体制を「継続的で、最重要の共同作業」と位置づけ、次の 4 点を挙げています。
- TxPipe が Indigo Foundation と一緒に、AI を補助に使った脅威分析を定期的に行っている
- 最近の点検で見つかった脆弱性を、優先して修正すべきものと判断した
- INDY DAO が更新を承認し、その後チェーン上で自律的に更新された
- 警告の時点から更新の完了まで、利用者の資金が危険にさらされたことはない
締めくくりには、セキュリティ上の発見を受けた更新は Indigo として初めてだと書かれ、TxPipe への謝辞が添えられています。
一方で、脆弱性の種類、影響を受けうる契約(スマートコントラクト)、発見から修正までの日数、DAO の投票の数字は、今回の投稿には書かれていません。いま確かめられるのは上の 4 点までです。
TxPipe の点検と、DAO の投票で直す仕組み
TxPipe は、Cardano のデータノード Dolos や、ノードとのやり取りを簡単にする UTxO RPC、プロトコルを API のように呼び出す Tx3 などを作ってきた開発ツールの会社です。今月は利益の一部を RealFi に回すと発表しており(10 月 15 日の記事)、Cardano の DeFi に道具と資金の両面で関わっています。今回は、その道具を作る側の目で Indigo の契約を点検し、問題を見つけた役回りです。
直す側の手続きは、Indigo のガバナンスの仕組みに乗っています。公式ドキュメントによると、投票の重みは投票の時点でステークしている INDY の量で決まり、投票した INDY はその提案の投票期間が終わるまで動かせません。一度入れた票は変えられず、オンチェーンの提案を出すには 100 INDY の預け入れが必要です。運営チームが単独で契約を書き換えるのではなく、INDY の保有者が承認した内容だけがチェーン上で実行される、という順番になっています。
脆弱性への対応で DAO を通すことは、時間との勝負になる場面では不利にも見えます。今回は「警告から完了まで資金は安全だった」と書かれており、少なくとも今回は、投票を経ても間に合う範囲で問題を押さえられたことになります。
同じ日に始まった USDrf と iUSD の交換
Indigo は修正の発表から約 2 時間後、RealFi のドル建てトークン USDrf と iUSD を 1 対 1 で交換できる PSM(価格安定のための交換窓口)が稼働したとも投稿しました。PSM でまかなえる範囲なら、どの規模でも価格のずれなく交換できるとしています。10 月 12 日にオンチェーン投票へ入った提案が、ここで実装まで進んだ形です(10 月 14 日の記事)。
DefiLlama の集計では、Indigo に預けられている資産は日本時間 10 月 20 日 13 時ごろの時点で約 369 万ドルです。新しい交換経路で外のドルが入ってくる前に、守りの側の更新を一つ終えていたことは、利用者にとって確かめておきたい順番です。
次に見るもの
確認できる次の一点は、Indigo のガバナンスの画面に残る今回の更新提案の記録です。どの契約を、どの投票で更新したのかは、ここで提案ごとにたどれます。あわせて、Indigo か TxPipe が脆弱性の中身を技術的に説明する報告を出すかどうかも見ておきたいところです。PSM で USDrf の流れ込みが始まった今週、その報告の有無が、AI を使った定期点検という体制がどこまで実際に機能しているかを測る材料になります。
ことば
- INDY DAO — Indigo のガバナンストークン INDY をステークした保有者が、提案への投票でプロトコルの変更を決める仕組み。今回の脆弱性の修正も、この投票を経てチェーン上で実行されました。
- PSM(Peg Stability Module) — 決めた比率で 2 つのドル建てトークンを交換できる窓口。Indigo では USDrf と iUSD を 1 対 1 で交換できます。一般に、ドル建てトークンの価格を 1 ドル近くに保つために置かれる仕組みです。
- TxPipe — Cardano の開発ツールを作る会社。データノード Dolos や UTxO RPC で知られ、今回は Indigo Foundation と組んで AI を補助に使った点検を行い、脆弱性を見つけました。
一次ソース / 関連リンク
- Indigo Protocol 公式 X:TxPipe が見つけた脆弱性の修正を完了(2026 年 10 月 19 日 UTC)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2112252956167041051 - Indigo Protocol 公式 X:USDrf と iUSD の PSM が稼働(2026 年 10 月 19 日 UTC)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2112284246606033388
docs.indigoprotocol.io
Indigo Protocol ガバナンスの画面(app.indigoprotocol.io)
DefiLlama:Indigo の預かり資産(defillama.com)


