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Peras の暗号方式、TSC が BLS と定足数引き上げを確認

2026-10-28SIPO

Ouroboros Peras を開発する Tweag は、10 月 23 日付の週報で、投票の暗号方式に BLS 署名を使い、あわせて定足数 (合意に必要なステークの割合) を引き上げる案が、当面の方針として Intersect の技術運営委員会 (TSC) に確認されたと報告しました。同じ週には Consensus の PR 3 本が取り込まれ、新しい試験環境 cardano-kosmos が試験網づくりの第一候補になっています。

Peras は、ステークプールが投票でブロックに重みを加え、取引の確定を早めるための仕組みです。プールが毎回の投票に署名する以上、どの暗号方式を使うかは、SPO が扱う鍵の種類と安全性の前提に直結します。設計文書がこれまで候補に挙げていた方式との違いと、週報に書かれていない点を整理します。

定足数 75% の投票で、ブロックに重みを加える

Peras の設計文書によると、各ラウンドで誠実なプールが協力して「証明書」を作ろうとします。証明書は、ステークで数えて一定の割合以上のプールが、どのブロックに重み (ブースト) を加えるかで一致したことを示すもので、設計文書が置く基準は 75% です。証明書は同じブロックへの票を束ねたもので、Mithril や Leios と同じく、ステークにもとづく閾値型の複数署名の方式が必要になります。

票を 1 つずつ並べると証明書が大きくなるため、設計文書は複数の署名を 1 つにまとめられる方式を検討してきました。BLS 署名はその代表で、まとめた後の大きさが一定に保てるうえ、計測した性能も実用的だとしています。

設計文書の候補は Pixel だった

ただし設計文書は、BLS 署名には前方安全性 (forward security) がないことも書いています。前方安全性とは、ある時点で鍵が盗まれても、それより前の時点の署名を偽造できない性質のことです。Cardano のブロック署名に使う KES 鍵は、この性質を持つ鍵を一定の周期で更新していく方式です。

設計文書はこの点を補う選択肢として、BLS とほぼ同じ使い方で前方安全性を持つ Pixel 署名を挙げ、10 月初めの更新版でも、委員の選び方 wFALS と Pixel 署名の組み合わせを「現在検討している」方式としていました。今回の週報は、BLS と引き上げた定足数の組み合わせが「当面の好ましい方針」だと TSC が確認したと書いています。候補が Pixel から BLS に寄ったことになります。

週報は、定足数を何 % に上げるのか、なぜ引き上げと組み合わせるのかを書いていません。前方安全性を持たない方式を選ぶ代わりに、合意に必要な票を増やして安全側に寄せる、という読み方は自然ですが、TSC の判断の理由として公表されたものではありません。「当面」という言い方も含めて、数値と理由は設計文書の次の更新を待つ必要があります。

同じ週に進んだ実装と、CAP-12 からの分離

実装の側では、Peras 用の台帳の見え方 (ledger view) の導入、追跡ログの追加、エラーの記録形式の 3 本の PR が 10 月 21 日に ouroboros-consensus へ取り込まれました。ネットワーク層の PR はレビューの指摘に対応して承認待ちです。試験網では、Tweag の GitHub に 10 月に作られた cardano-kosmos を第一候補の構成とし、Grafana のダッシュボードや、Peras が動くまで試験網を走らせる CI のチェックも加えています。

ガバナンスの側でも動きがありました。Intersect の週報 #134 によると、Dijkstra 時代のパラメータの範囲を定める憲法改正案 CAP-12 について、TSC の委員長がパラメータ委員会の意見として、Peras のパラメータを別の改正案に分けるよう勧告し、第 4 版では Peras が CAP-12 から外れました。暗号方式の確認と、パラメータの扱いの切り分けが、同じ週に並んだ形です。

SPO として確かめたい次の点

最初の確認先は、Tweag の Peras Tracker (peras-tracker.tweag.io) と、GitHub の tweag/cardano-peras にある設計文書です。引き上げ後の定足数の数値と、BLS を選んだ理由が書き加えられるかを見ます。Leios でも、SPO は BLS 鍵を登録し、十分なステークが登録してから Leios が動き始める段取りになっています。Peras の票に使う鍵がこれとどう関係するのかは、SPO の運用の手間を左右する点です。もう一つは、Intersect の改正案ポータル (cap.intersectmbo.org) に、Peras のパラメータだけを扱う改正案が出るかどうかです。

ことば

  • Ouroboros Peras — Cardano の合意の仕組み Ouroboros に、プールによる投票のラウンドを加える改良。一定以上のステークが同じブロックに票を投じると、そのブロックの重みが増し、取引が覆りにくくなるまでの時間が短くなります
  • BLS 署名 — 複数の署名を 1 つにまとめられる電子署名の方式。票をまとめた証明書を小さく保てるため、Leios では SPO が BLS 鍵を登録する段取りになっており、Peras でも当面の方針になりました。前方安全性は持たないと Peras の設計文書は書いています
  • TSC — Intersect の技術運営委員会 (Technical Steering Committee)。Cardano の技術的な方針について助言し、今回は Peras の暗号方式の確認と、CAP-12 へのパラメータ委員会の意見の取りまとめを担いました

一次ソース / 関連リンク

Ouroboros Peras weekly update: 23 October 2026(Cardano Forum・Tweag)(forum.cardano.org)

Peras Tracker

peras-tracker.tweag.io

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