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エポックな日々

反対も、票になりました──入れ替わった委員会が賛成と反対を1つずつ投じ、ADAが5日で12.67%戻した5日間

2026-09-07SIPO

エポック653(2026年9月2日〜9月7日)

序章:沈黙のつぎに来たのは、反対でした

前回のエポック652で、SIPOは「投じられて、初めて数になる」と書きました。憲法委員会の更新が期限の11分前に通ったのは、反対から賛成へ転じた人がいたからではなく、それまで投票していなかった人が投票したからでした。同じ期限を共有した minPoolCost の議案が落ちたのも、反対が多かったからではなく、投票そのものが集まらなかったからです。前号の記録では、明示的な反対の14倍が未投票の側にありました(この倍率は第3章で取り直します)。

エポック653で起きたのは、その次のことです。反対が、票として出てきました。

いま投票を受け付けている国庫引き出しは2件あります。どちらも期限はエポック656です。ひとつは「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit.」(供託金103,000 ADA の返還)で、DRepの賛成率は取得時点で51.55%。もうひとつは「Governance Incentives Framework 2026」(4,207,967 ADA の引き出し)で、DRepの賛成率は1.66%です。

1.66%という数字は、この連載で記録してきたどの議案とも形が違います。 賛成に投じられたのは11のDRep・6,969万ADA、対して明示的な反対は80のDRep・18億3,076万ADA。今回は反対18億3,076万ADAに対し、未投票が21億6,459万ADA。倍率にして1.18倍です。沈黙と反対が、ほぼ同じ厚みで並んでいます。

そして、もうひとつ。この5日間で、決める人が入れ替わりました。 エポック652の境界で批准された委員会更新は、Koios の提案一覧ではenacted_epoch = 654として記録されています。つまり日本時間9月7日6時44分51秒の境界を越えたところで施行されました。批准と施行のあいだにあたるこのエポック653のあいだに、新しい委員会はすでに票を投じています。 AdaStat の取得時点で、Ikigai の返還には賛成2票、Governance Incentives Framework には反対2票が記録されています。

賛成と反対を、1件ずつ。批准されたばかりの委員会が最初にやったのは、全部に賛成することではありませんでした。

軸は「反対も、票になりました」です。

市場のほうは、前号と正反対でした。ADAは日次の記録で$0.194881から$0.219566へ+12.67%。境界の確定値では+13.53%です。前号は5営業日すべてで前日を下回る一方向の下げでしたから、下げ切ったところから、そのまま戻しました。 記録上の12銘柄はすべて上げており、そのなかでADAは上げ幅の首位です。前号でADAは下げ幅の先頭近くにいましたので、位置がそっくり入れ替わっています。第7章で記録として並べます。

第1章:エポック653の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。読者がこの章だけで期間の全体像をつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
9月2日Intersect が「Update Constitutional Committee 2026 が批准された」と告知。エポック653の開始直後Intersect
9月3日国庫からの引き出しが全エポック分プロットされ、1ページで見られるようになった。エポック554以降で8億442万 ada、70件Cardano
9月4日Cardano Foundation が「DRep 67%・SPO 51% の両方の基準を越えて批准された」と告知Cardano Foundation
9月5日Intersect のボード選挙の投票がまもなく開始と週次ダイジェストで告知Cardano
期間末Koios の提案一覧で委員会更新の enacted_epoch = 654 と記録。取得時点の AdaStat 側の表示は ratifiedKoios
期間末期限エポック656の国庫引き出し2件に、委員会の票が記録された(Ikigai に賛成2・Governance Incentives Framework に反対2)AdaStat

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
9月3日Amaru によるノード多様性の進捗が共有されたCardano Foundation
9月3日Daedalus のウォレットサポート窓口が Ariadne へ移管。運営は SE7EN LabsInput Output
9月4日週次開発レポートで、Hydra の仕様が Agda で形式化されたこと、Cardano node v11.1.0 のベンチマークが報告されたInput Output
9月4日Upgrade Bulletin 32 を公開。ノードのリリース、ノード多様性ワークショップ、ハードフォーク対応版の起点Intersect
9月5日直近30日のコミット数で Cardano が Layer-1 の上位層に位置すると告知Cardano
9月7日CIP の定例まとめで、CIP-0198 候補「ネストされたトランザクション」が紹介されたCardano

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
9月2日Midnight の日本語ハンズオンワークショップが9月24日に開催と告知。ZK でプライバシー重視のアプリを実装する内容Midnight 日本語公式
9月3日NIGHT の3回目の配布が、ADA の市場流動性提供者に対して受け取れる状態になったLiqwid Finance
9月4日Ascend Perps による無期限先物が Midnight 上で稼働開始Midnight
9月4日同 PerpDEX で BTC・ADA・金の無期限先物が扱えると日本語公式が説明Midnight 日本語公式
9月5日Midnight 週間ダイジェスト(8/29〜9/4)が公開Midnight 日本語公式

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
9月2日Liqwid が8月の月次実績をまとめて公開Liqwid Finance
9月3日Liqwid の V3 進捗。中核フローが単一のトランザクションチェーンで走るようになったLiqwid Finance
9月3日RealFi が10月1日に Cardano メインネットへ来ると発表RealFi
9月4日RealFi のパイオニアシーズンに3,600人超が参加していると共有されたCharles Hoskinson(引用)

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
9月3日Cardano Foundation が Cardano の5段階のアップグレード完了と「自己統治」を総括Cardano Foundation
9月3日コンゴ民主共和国ゴマで18人が実践利用。ウォレット作成と Preprod のトランザクションまで進んだCardano
9月5日開発者カリキュラムが MIT ライセンスでオープンソース公開。基礎・スマートコントラクト・dApp・セキュリティ・スケーリングの構成Cardano
9月5日監査意見の指紋がオンチェーンに固定される仕組みが Reeve として説明されたCardano Foundation
9月5日南アフリカ・ガーナ・コンゴ・ブルキナファソでの草の根イベント7件の実績が共有されたCardano

市場

日付出来事一次ソース
9月3日ADA が時価総額上位25銘柄のなかで24時間の上昇率首位になったと観測されたItsDave_ADA
9月4日ADA の無期限先物が Kalshi で取引開始と共有されたCardano Foundation(引用)
9月2日〜6日記録上の12銘柄がすべて上昇。ADA は+12.67%で首位、NIGHT は+21.75%第7章

この5日間は、どこが重かったか

重かったのはガバナンスと市場です。ただし、前号とは別の意味で重い5日間でした。

前号は「期限に間に合うかどうか」で重い5日間でした。今回は期限がありません。次の期限はエポック656で、まだ先です。それでも重いのは、批准された委員会が実際に動き出したことと、その委員会が最初に触った議案のひとつが強く拒否されていることが、同時に見えたからです。ガバナンスの話題としては派手さがありませんが、「決める仕組みが動いているか」を確かめる材料としては、期限直前の攻防より情報量があります。

開発の側は、この5日間で「証明できる形にする」方向に一段進みました。Hydra の仕様が Agda で形式化され、監査意見の指紋がオンチェーンに固定され、開発者カリキュラムが MIT ライセンスで公開されました。書かれたものを、誰でも確かめられる形に置き換えていく、という共通の向きがあります。 Cardano Foundation はこれを「信じるな、確かめろ」という言い方で説明しています。

Midnight と DeFi は、どちらも「動くものが増えた」5日間でした。無期限先物が Midnight 上で動き、NIGHT の3回目の配布が受け取れるようになり、RealFi のメインネット到達日に10月1日という具体的な日付が付きました。

静かだった領域はありません。 ただし、前号で追っていた minPoolCost の再提出については、この5日間に新しい提案は出ていません。第3章で触れます。

第2章:入れ替わった委員会が、最初に投じた2票

批准と施行は、別の時刻です

エポック652の記事で、SIPOは「批准は記録されましたが、新しい委員の着任は9月6日から」と書きました。正確には、施行はエポック654の開始時点、つまり日本時間9月7日6時44分51秒です。

Koios の提案一覧では、「Update Constitutional Committee 2026」(gov_action1w2w64uhelz0cg2np7m37hal905tdd7jpzm3fcyc3g7qvkwgfppgqqfsggt5)の記録はこうなっています。

  • 提出:エポック646
  • 期限:エポック653
  • 批准(ratified):エポック653
  • 施行(enacted):エポック654

一方、AdaStat の取得時点の表示は ratified のままで、施行の記録はまだ入っていません。同じ時刻に、二つの一次ソースが違う段階を示しています。 SIPOはどちらが正しいかを決められる材料を持っていませんので、両方を並べて記録します。 施行がエポック654の開始で起きるというのは Cardano のガバナンスの仕組みどおりですから、Koios の記録のほうが先に反映されたのだろうと読めますが、断定はしません。次のエポックで AdaStat 側の表示も揃うかどうかを見ます。

批准の票は、こう記録されています(AdaStat・取得時点)。

賛成明示的な反対棄権未投票批准分母賛成率基準
DRep36億5,724万ADA(165)1,411万ADA(8)5,177万ADA(10)12億6,639万ADA50億8,283万ADA71.95%67%
SPO62億1,376万ADA(302プール)200万ADA(1プール)4億9,761万ADA(35プール)47億2,501万ADA109億8,919万ADA56.54%51%

この議案に委員会の投票欄はありません。 AdaStat が返す委員会の集計は null です。これは「取り出せていない」のではなく、委員会の更新という種別に、委員会自身の投票が存在しないということです。自分の入れ替えを自分で承認する構造にはなっていません。

新しい委員会は、最初の2件に賛成と反対を1つずつ投じました

いま投票を受け付けている議案は、国庫引き出しの2件です。どちらも提出はエポック649、期限はエポック656(日本時間9月17日6時44分頃)です。

1件目:「Reimburse Ikigai Info Governance Action Deposit.」gov_action105mjyzm3spjppny2m776lwk5jnsuu07uva9tz0yg5u4nkf770rvsql5raht

引き出し額は103,000 ADA。過去に提出された Info アクションの供託金を返還する内容です。

2件目:「Governance Incentives Framework 2026」gov_action174lclj6wswk3km6chl755vp24ja44yy8fjput7z20795hdpuax7qq67pvcp

引き出し額は4,207,967 ADAです。

この2件について、AdaStat が取得時点で返す委員会の集計はこうなっています。

議案委員会 賛成委員会 反対委員会 棄権委員会 未投票基準
Ikigai 供託金返還200466.67%
Governance Incentives Framework 2026020466.67%

批准されたばかりの委員会が、最初に触った2件で、賛成と反対を1つずつ投じています。

比較のために、期限切れになった minPoolCost Part 2 の委員会欄も並べておきます。こちらは賛成5・反対0・棄権0・未投票2でした。集計に現れる行数が、決着済みの議案では7、いま進行中の2件では6です。この差が何を意味するのかを、SIPOは断定しません。 委員会の構成が変わる時期をまたいでいるため、集計の対象が動いている可能性はありますが、議席数そのものをこの数字から読み取ることはできません。 次のエポックで、施行後の議席数が別の形で確認できるかを見ます。

「SPOの票がない」は、取れていないという意味ではありません

この2件には、SPO側の投票欄がありません(AdaStat の返す集計は null)。委員会更新に委員会の票がなかったのと同じ理由で、国庫引き出しという種別に SPO の投票が存在しないからです。批准に必要なのは DRep と委員会の2面で、SPO は関与しません。

この違いは、前号の読み方にそのまま効きます。 エポック652で minPoolCost が落ちたのは SPO 側で51%に届かなかったからでした。今回の2件では、そもそも SPO が届くかどうかという問題が発生しません。 逆に言えば、この2件の行方を決めるのは DRep と委員会だけです。前号の終章でSIPOが「批准後の最初の議案で、委員会の投票が実際に出るか」を確認点に置いたのは、この構造があるからでした。

第3章:賛成1.66%という数字

反対が、未投票とほぼ同じ厚みになりました

Governance Incentives Framework 2026 の DRep 側は、こうなっています(AdaStat・取得時点)。

区分ステークDRep数
賛成6,969万ADA11
明示的な反対18億3,076万ADA80
棄権(Abstain)9億5,688万ADA18
No Confidence1億4,181万ADA
未投票21億6,459万ADA
批准分母42億0,686万ADA
賛成率1.66%基準67%

前号で記録した形と、正反対です。

エポック652の minPoolCost では、明示的な反対が11億3,081万ADAに対し、未投票が158億4,015万ADA。反対の14倍が、投票していない側にありました。 委員会更新にいたっては、明示的な反対はたった1プール・200万ADAでした。前号でSIPOは「沈黙は中立ではなく、事実上の反対として効きます」と書きました。

ただし、この158億4,015万ADAという未投票の数字は、あとで述べる分母の問題を含んでいます。 同じ議案をエポック653の境界で取り直すと、未投票は58億0,979万ADAで、AlwaysAbstain の99億7,833万ADAが未投票とは別枠で立っています。 反対に対する倍率は14.0倍ではなく5.1倍です。前号の記録は取得時点で見えたとおりに書かれており、誤りではありません。 分けて数え直すと、沈黙は前号が書いたほど厚くはなかった、ということです。この訂正を踏まえても、次の対比は成り立ちます。

今回の Governance Incentives Framework は違います。反対18億3,076万ADAに対し、未投票は21億6,459万ADA。倍率は1.18倍です。 沈黙のほうが厚いことに変わりはありませんが、反対がほぼ同じ高さまで積み上がっています。

しかも、この議案には委員会の反対2票も入っています。 DRep側で1.66%、委員会側で賛成0という状態で、基準の67%へ向かって残り65ポイント以上あります。期限まではまだエポック3つぶんありますが、この位置から届く形は、前号の委員会更新で見た「48時間で17ポイント」の伸びとは桁が違います。

同じ日に投票された、もう1件との差

同じ日に提出され、同じ期限を持つ Ikigai の供託金返還は、こうです。

区分ステークDRep数
賛成22億3,993万ADA108
明示的な反対5,498万ADA6
棄権(Abstain)8億1,826万ADA7
No Confidence1億4,181万ADA
未投票19億0,875万ADA
批准分母43億4,547万ADA
賛成率51.55%基準67%

同じ期限、同じ種別、同じ投票期間で、賛成率が51.55%と1.66%に割れています。 そして注目すべきは、Ikigai のほうでも明示的な反対は6のDRep・5,498万ADAしかないことです。反対が集まっているのは片方だけです。

DRepは「国庫からの引き出し」という種別に一律の態度を取っているのではありません。 103,000 ADA の供託金返還には賛成が集まり、4,207,967 ADA の枠組み提案には反対が集まっています。額の大小だけの話でもありません。 どちらの中身をどう評価したのかは、公開されている投票理由を一件ずつ読まなければ分かりませんので、SIPOはここで理由を断定しません。事実として、二つの結果が分かれていることを記録します。

なお、SIPO DRepはこの2件に、エポック651の期間中(8月26日)に投票を済ませています。 Governance Incentives Framework 2026 に反対、Ikigai の供託金返還に賛成です。いまDRep全体が置かれている位置と、SIPOが2週間前に置いた位置は、2件とも同じ側です。 ただしSIPOの投票力は約₳83.90Mで、DRep全体の批准分母の2%前後にすぎません。SIPOの票が全体を動かしたという読み方はできません。

分母の倍増は、境界の瞬間だけの見え方でした

前号でSIPOは、もうひとつ記録を残しました。同じ「賛成率」が、分母の取り方で倍近く変わるという話です。委員会更新のSPO賛成率は、期限11分前の取得で56.12%、境界を越えた直後の取得で29.76%。分母が約108億ADAから約209億ADAへ倍増していました。 原因は、AlwaysAbstain のステーク約105億ADAが0として返っていたことでした。

今回、答えが出ました。

エポック653の境界で取得した委員会更新の記録は、こうです。

  • 批准分母:109億8,919万ADA
  • AlwaysAbstain のステーク:98億8,713万ADA
  • SPO賛成率:56.54%

分母は元の水準に戻り、AlwaysAbstain は0ではなくなり、賛成率は56.54%と読めています。 これは、SIPOが9月4日のDaily Intel と Weekly Brief #22 で公開した「DRep 71.95%・SPO 56.54%」という数字と一致します。

minPoolCost Part 2 のほうも同じです。批准分母106億7,600万ADA、AlwaysAbstain 99億7,833万ADA、SPO賛成率34.50%。前号が期限直前の取得で記録した34.46%と、ほぼ同じ位置です。

つまり、分母が倍に見えたのは境界の瞬間だけの現象でした。 決着した議案の記録は、5日後に取り直すと元の形に戻っています。前号で「同じ現象が再現すれば、読み方を固定できます」と書きました。再現しませんでした。 読み方はこう固定します——エポック境界の直後に取得した投票力の分母は、AlwaysAbstain が反映されていないことがある。境界をまたいだ数字を比べるときは、取得時刻を必ず添える。

これは前号の記録を訂正するものではありません。前号は「取得時点でこう見えた」を正確に書いており、その見え方が一時的なものだったことが、今回のエポックで分かったということです。

第4章:仕様書が型検査を通り、教材が誰のものでもなくなりました

Hydra の仕様が、Agda で形式化されました

9月4日の週次開発レポートで、Hydra の仕様が Agda で形式化されたことが報告されました。あわせて Cardano node v11.1.0 のベンチマークが実施され、CPU使用率が下がり、メモリ使用量が増えるという結果が共有されています。

Agda は定理証明支援系の言語です。仕様をこの形で書き直すと、仕様そのものが型検査を通るようになります。 「こう動くはずだ」と自然言語で書かれた文書が、「この条件を満たす」と機械が確認できる文書に変わる、ということです。実装のバグを直接なくすものではありませんが、実装が何に対して正しくあるべきかの基準が、曖昧さを持てなくなります。

Cardano では以前から Ouroboros の一部やレジャー仕様に形式手法が使われてきました。Hydra というレイヤー2の側が同じ扱いに入ったことが、この報告の中身です。

Upgrade Bulletin 32 と、ハードフォークの起点

9月4日、Intersect が Upgrade Bulletin 32 を公開しました。要点は、注視すべきノードのリリース、開催予定のノード多様性ワークショップ、そしてハードフォーク対応版の起点です。

同じ週、Cardano Foundation は Amaru によるノード多様性の進捗を共有しています。ノードの実装を1つに依存しない状態へ持っていく作業が、告知の側でも技術の側でも同時に進んでいる形です。

前号の終章でSIPOは「9月3日のデータ可用性ワークショップの成果が、Cardano Problem Statement の形になるか」を確認点に置きました。この5日間の公開情報では、CPS として文書化されたという告知は確認できていません。 ワークショップ自体は9月3日に予定どおり開催の告知が出ていましたが、成果物についてはこの期間に出ていません。持ち越しです。

CIP-0198 候補:ネストされたトランザクション

期間の最後、日本時間9月7日1時39分に、CIP の定例まとめが公開されました。新規提出のなかに、CIP-0198 候補「ネストされたトランザクション」があります。トランザクションのツール群を拡張する提案です。

これは、次のハードフォーク(Dijkstra)の機能セットに関わる話題と地続きです。 前号で記録した「次のハードフォークを決めている部屋は、どちらも公開されている」という状態が、今回は提案の中身として一段具体的になった形です。ただし候補段階であり、採用も日程も決まっていません。

教材が、MIT ライセンスになりました

9月5日、Cardano の開発者カリキュラムが MIT ライセンスでオープンソース公開されました。基礎、スマートコントラクト、dApp、セキュリティ、スケーリングという構成で、7つのモジュールから成ります。4番目は「ステーキングとガバナンス」です。

MIT ライセンスというのは、誰でも、商用でも、改変しても、再配布してよいという条件です。教材を「配る」のではなく「渡してしまう」に近い形です。 日本語に訳して自分の教室で使うことも、別のプロジェクトの研修に組み込むことも、許可を取らずにできます。

同じ週、Cardano は直近30日のコミット数で Layer-1 の上位層に位置すると告知しました。書かれたコードの量と、教えられる形になった教材と、型検査を通る仕様書が、同じ5日間に並んでいます。 前号でSIPOは「見えるところに、置く」というエポック651の軸を引き継いで書きましたが、この5日間で置かれたものは、見えるだけでなく、持ち出せるものでした。

第5章:無期限先物が、二つの別の場所で始まりました

Midnight 上で、Ascend Perps が動き出しました

9月4日、Ascend Perps による無期限先物が Midnight 上で稼働開始しました。Midnight の公式が、Ascend の執行・リスク・清算のロジックが動いていることを告知しています。日本語公式の説明では、BTC・ADA・金の無期限先物が扱えるとされています。

Midnight にとって、これはアプリケーションが載った最初期の実例のひとつです。 これまで Midnight について公開されてきたのは、DUST の設計、コンプライアンスの比較、開発者向けの道具といった「土台の話」が中心でした。その上で動く金融アプリケーションが、名前と稼働日を持って現れたのが、この5日間の変化です。

前号でSIPOは「手数料を『誰が払うか』に書き換える」という軸で DUST スポンサーシップを扱いました。払う仕組みができたところに、払う相手が来たという順序です。

同じ週に、Kalshi でも ADA の無期限先物が始まりました

9月4日、Cardano Foundation が引用するかたちで、ADA の無期限先物が Kalshi で取引開始と共有されました。米国の規制下にある取引所での ADA perps です。

二つの「無期限先物が始まった」は、性質がまったく違います。

  • Midnight 上の Ascend Perps は、ゼロ知識証明で決済される新しい実行環境の上に、金融アプリが載ったという話です。設計の話です。
  • Kalshi の ADA perps は、既存の規制枠組みのなかで ADA というアセットが扱える商品が1つ増えたという話です。流通の話です。

この5日間、ADA は日次の記録で+12.67%上げています。 9月3日には時価総額上位25銘柄のなかで24時間の上昇率首位になったという観測も出ています。ただし、SIPOはこの上げが上記のどちらかによって起きたとは書きません。 同じ期間に記録上の12銘柄すべてが上げており、ADAだけに効いた引き金を特定できる材料を持っていないからです。 第7章で記録として並べます。

NIGHT の3回目の配布が始まり、価格は+21.75%でした

9月3日、NIGHT の3回目の配布が、ADA の市場流動性提供者に対して受け取れる状態になったと告知されました。SIPOはこの件を単独の記事として扱っています。残るのは最後の1回で、資格は2025年6月に確定しています。 つまり、いまから条件を満たしにいくことはできません。

同じ5日間、NIGHT は記録上$0.01839344から$0.02239382へ+21.75%ADAの+12.67%を上回り、記録上の全銘柄で最大の上げ幅です。前号ではNIGHTがADAとほぼ同じ幅で下げていましたので、今回は差が開き、しかもNIGHTが上側に開いています。

配布と価格を因果で結ぶことは、SIPOはしません。 受け取れる状態になったことと、価格が上げたことは、同じ5日間に起きた別々の記録です。

前号から持ち越した問い:預け先での扱い

前号と前々号でSIPOは「国内の登録業者に預けたままのNIGHTについて、DUSTの生成条件(鍵の登録)がどう扱われるか」を確認点に置いてきました。この5日間の公開情報でも、説明は出ていません。3エポック連続の持ち越しです。

一方、日本語圏の入口としては、9月24日の日本語ハンズオンワークショップ(ZKでプライバシー重視のアプリを実装する内容)が告知されています。作る側の入口は増えていますが、預けている側の疑問は埋まっていません。 この非対称は、記録として残しておきます。

第6章:ゴマの18人と、監査意見の指紋

「知って帰った」ではなく「使って帰った」

9月3日、コンゴ民主共和国ゴマで18人が Cardano を実践利用したという報告が出ました。ウォレットを作り、Preprod でトランザクションを送り、そのうち一部は本番で ada を受け取るところまで進んでいます。

この報告が他のイベント報告と違うのは、数え方です。 「何人が参加した」ではなく、「何人がウォレットを作り、何人が本番のトランザクションまで到達したか」で書かれています。イベントの成果を参加者数で数えると、翌日に何も残らなくても数字は変わりません。到達した段階で数えると、残らなかったものは数字に入りません。

9月5日には、南アフリカ・ガーナ・コンゴ・ブルキナファソでの草の根イベント7件の実績も共有されています。この地域での活動が、単発ではなく継続の形になっていることが、2件の報告から読めます。

監査意見の指紋が、オンチェーンに固定されました

9月5日、Cardano Foundation が監査意見のオンチェーン固定について説明しました。監査意見は通常、誰かのサーバー上の PDF として存在します。その PDF の指紋(フィンガープリント)を Cardano に固定することで、後から差し替えられていないことを第三者が確認できるようにする、という仕組みです。道具は Reeve というオープンソースの報告基盤です。

前号でSIPOは、Blockforce のトレーサビリティ基盤で Cardano が公開証明レイヤーとして動き始めた件(商用データは非公開のまま、50万件超が記録)を扱いました。構造は同じです。 中身は公開せず、中身が変わっていないことだけを公開する第4章の Agda 形式化も、性質としては近い場所にあります——「正しいと言う」のではなく「確かめられる形にする」。

Cardano Foundation はこの週、「信じるな、確かめろ」という言い方でこの向きを説明しています。

RealFi に、10月1日という日付が付きました

9月3日、RealFi が10月1日に Cardano メインネットへ来ると発表されました。翌日には、パイオニアシーズンに3,600人超が参加していることも共有されています。

準備段階の話にはじめて日付が付いた、というのがこの発表の中身です。日付が付いたものは、守られたか守られなかったかを後から数えられます。 SIPOは10月1日を、次のエポックからの定点観測に加えます。

Daedalus のサポート窓口が Ariadne へ移りました

9月3日、Daedalus のウォレットサポート窓口が Ariadne へ移管されました。運営は SE7EN Labs です。Lace の窓口は Zendesk のままです。

地味な変更ですが、意味は小さくありません。 Daedalus の保守は、エポック646で批准された「Se7en Labs: Daedalus Wallet Maintenance and Improvements 2026-2027」という国庫引き出しで資金がついています。国庫から出た資金で、実際に運用の主体が移ったという、決めたことが届いた例です。

前号でSIPOは、Daedalus 11.3.0 の DRep Directory が投票率に効くかを確認点に置きました。この5日間に新しい議案の投票が始まっていないため、効果を測る材料はまだありません。 期限エポック656の2件で、未投票の比率がどう動くかを次のエポックで見ます。

第7章:エポック653 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック653期間・9月2日〜9月6日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。また株式・金利・商品の記録は市場が閉じているあいだ直前の値が据え置かれます。この期間は9月5日(土)・9月6日(日)を含み、9月5日と9月6日の株式系の記録はどちらも9月4日時点の値です。

この5日間のADAは、前号とほぼ正反対の形でした。

日次の記録で$0.194881(9月2日)→ $0.220655(9月4日)→ $0.210854(9月5日)→ $0.219566(9月6日)。+12.67%です。期間の記録での最高は9月4日の$0.220655で、最終日ではありません。最安は初日の$0.194881。前号が「最高が初日、最安が最終日」というきれいな一方向の下げでしたから、向きがそのまま裏返っています。

エポック境界の確定値では、エポック652終了時の$0.195384からエポック653終了時の$0.221816へ、+13.53%。時価総額は$7.33bから$8.32b+13.54%。ADA/JPYは¥34.63、そのときのUSD/JPYは156.12です。前号が境界価格で−8.30%、その前が−5.57%でしたから、3エポックぶりに向きが変わり、しかも下げた2エポックぶんをほぼ取り戻しています。

円建てでは+10.65%です。 ドル建ての+13.53%より小さいのは、同じ期間に円が強くなったからです(USD/JPY 160.19→156.12)。円で持っている人が受け取った戻りは、ドルで見た戻りより3ポイント近く小さいことになります。

$NIGHTは記録上$0.01839344 → $0.02239382(+21.75%)記録上の全銘柄で最大の上げ幅です。 前号ではADA −7.23%に対しNIGHT −7.66%とほぼ同じ幅でしたが、今回は差がはっきり開いています。

BTCとETHも上げましたが、幅が違います。 BTCは$77,055 → $79,800(+3.56%)、ETHは$2,406.4 → $2,479.72(+3.05%)ADAの+12.67%はBTCの約3.6倍です。 前号ではADAの下げ幅がBTCの約3.8倍でしたから、上げでも下げでも、ADAはBTCの3〜4倍の幅で動いています。

記録上の12銘柄は、すべて上げました。 上げ幅の大きい順に、ADA(+12.67%)、ALGO(+9.15%)、ICP(+8.94%)、FET(+8.37%)、LINK(+7.43%)、DOT(+7.36%)、ATOM(+6.85%)、AVAX(+5.85%)、XRP(+5.22%)、SOL(+3.94%)、BTC(+3.56%)、ETH(+3.05%)、WLFI(+1.28%)。前号でADAは下げ側の先頭近くにいました。今回は上げ側の先頭です。位置がそっくり入れ替わっています。

株式は小幅に上げました。 S&P500が7,631.47 → 7,718.60(+1.14%)、ナスダックが26,099.77 → 26,506.99(+1.56%)、ダウが52,766.88 → 53,414.25(+1.23%)。期間中の最高はいずれも9月4日の記録(S&P500が7,747.71、ナスダックが26,584.06、ダウが53,686.11)です。VIXは16.34から14.53(−11.08%)へ低下し、期間中の最安は9月4日記録の14.32でした。日経平均先物は64,755 → 65,820(+1.64%)です。

商品では、金が上げました。 金は$4,374.10 → $4,429.80(+1.27%)で、期間中の最高は9月4日記録の$4,523.80。WTIは$90.83 → $91.48(+0.72%)、ブレントは$95.48 → $96.28(+0.84%)でほぼ横ばいです。前号でWTIが+3.23%と大きく動いていましたが、今回は原油側が落ち着き、代わりに株式と暗号資産が上げています。

為替では、円が強くなりました。 USD/JPYは160.152から156.221(−2.45%)へ。期間中の最安は155.856です。ドル指数(DXY)は99.654から99.16(−0.50%)前号は小幅の円安でしたので、向きが逆になり、しかも幅が大きくなっています。 米10年債利回り(TNX)は4.796%から4.784%(−0.25%)とほぼ横ばいでした。

日本国債では、10年が3%台に乗る記録が出ました。 10年は2.943%(8月31日時点)から9月4日の記録で3.006%(9月2日時点)へ上げ、最終記録は2.966%(9月3日時点)です。前号の最終記録は2.930%でした。 30年は4.092%から4.052%へ下げています。10年が上げて30年が下げたため、二つの差は縮んでいます。 日米10年金利差は1.853から1.818へ縮小し、期間中の最小は1.756でした。前号は拡大でしたので、こちらも向きが逆です。 なお日本国債の記録には基準日の遅れがあり、9月3日の記録には国債の値が入っていません。

暗号資産関連株のCOINは176.82 → 184.64(+4.42%)。期間中の最高は9月4日記録の192.70です。9月6日の記録にはCOINの値が入っていないため、最終値は9月4日時点のものです。

記録上の地合いは、9月2日が「原油急騰×株式軟調の警戒局面」、9月3日が「方向感薄い横ばい局面」、9月4日が「リスクオン——BTC・ETH上昇・VIX低位安定」、9月5日・9月6日が「方向感薄い横ばい局面」でした。上げの大半は9月4日の記録に集中しています。 ADAはこの日だけで+11.71%動いており、5日間の+12.67%のほとんどが1日ぶんです。

この5日間についても、価格を動かした個別の引き金をSIPOは特定していません。 委員会更新の批准は9月2日の朝に告知されていますが、上げが集中したのは9月4日の記録です。時間差があり、しかも12銘柄すべてが上げていますので、Cardano 固有の材料で説明することはできません。 事実として記録し、次のエポックで水準が保たれるかを見ます。

Cardano オンチェーンKPI

前号では取得できなかった Dune 経由のオンチェーンKPIを、今回は持っています。 データ基準日は2026年9月5日23時59分47秒(UTC)です。エポック653の終了境界(9月6日21時44分51秒 UTC)より前の断面であることに注意してください。第9章のネットワーク指標とは出典も時点も違います。

指標前回記録(エポック651基準日 8月26日)
ステーキング率57.04% of supply57.13%
Nakamoto係数163164
日次Tx(最新日)18,229(9月5日)23,812(8月26日)
アクティブアドレス9,48813,224
Script Tx比率35.85%29.68%
ステーブルコイン総額$58.79M$61.18M
Treasury1,344,850,366 ADA(エポック653)1,337,356,660 ADA(エポック651)

前号で持ち越した2件に、答えが出ました。

Treasury は、エポック651の1,337,356,660 ADA から 1,344,850,366 ADA へ、+7,493,706 ADA です。 前々号で記録した「エポック650からエポック651で−1億1,638万ADA」のような大きな引き出しは、この2エポックには記録されていません。 ただしエポック652の値を持っていないため、エポック単位でどちらのエポックに積み増しが起きたかは分けられません。 2エポックの合計として記録します。

ステーブルコイン総額は、$61.18M から $58.79M へ、−$2.39M(−3.9%)です。 向きは下です。内訳では USDCx が $41,652,014 と全体の7割を占め、USDM $9,315,351、USDA $4,452,393、Djed USD $1,467,573、iUSD $1,418,520 と続きます。

その他で目立つのは、アクティブアドレスと日次トランザクションの減少です。 アクティブアドレスは13,224から9,488へ、日次Txは23,812から18,229へ。一方でScript Tx比率は29.68%から35.85%へ上がっています。 全体の件数が減りながらスクリプト経由の比率が上がる、という形です。単純な人出の減少ではなく、構成が変わっている可能性がありますが、SIPOは原因を断定しません。

Nakamoto係数は164から163へ1つ下がりました。ガバナンスアクションの集計は、提案中3・批准0・失効71(基準日時点)です。前号の基準日では提案中5・失効70でしたので、この間に決着したものがあることと整合します。

SIPO DRep 活動

SIPO DRepの投票力は、2026年9月7日の確認時点で約₳83.90Mです(登録済み・active・有効期限エポック671・委任者379名)。エポック652記事の時点では約₳82.29M・373名でしたから、₳1.61Mほど増え、委任者も6名増えています。

3エポックぶりの増加です。 エポック650→651で₳5.24M減、651→652で₳0.64M減と減り続けていましたが、今回は向きが変わりました。 委任者のほうは前々号が+1名、前号が+5名、今回が+6名で、3エポック連続の増加です。

量も人数も、同時に増えたのは今回がはじめてです。 前号でSIPOは「量は減り、人数は増える」という向きが2回続いたと書きました。今回は両方が上を向いています。 取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック653 配信記事の紹介

このエポックの5日間で、SIPO / SITION グループの3アカウントから配信した記事は98本です。ここでは暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
9月2日SIPO.TOKYOお知らせ3プール揃ってブロック生成の大台へ — SIPO 20,000 / SIPO2 15,000 / SIPO3 12,000 達成のご報告記事
9月2日SIPO.TOKYOエポック記事止まるものを、名指しした──期限の11分前に委員会更新が通り、minPoolCost が流れた5日間:エポックな日々652記事
9月2日SIPO.TOKYOSignal最後の 36 時間で 80 プールが動きました——委員会更新は承認され、残るのは 9 月 7 日の着任です記事
9月2日SIPO.TOKYOSignalBlockforce のトレーサビリティ基盤で Cardano が公開証明レイヤーとして動き始めました——商用データは非公開のまま、50 万件超が記録されています記事
9月2日@SIPO_TokyoDaily Intel期限の11分前に、SPO 側も基準を超えました|Chang ハードフォークから2年の日に憲法委員会の更新が両院で通り、Daedalus 11.3.0 が委任先を選ぶ画面を持ってきましたX
9月2日@SIPO_TokyoSignal次のハードフォークを決めている部屋は、どちらも公開されています——Hard Fork Working Group と CIP Editors Meeting が 1 時間差で開きますX
9月3日SIPO.TOKYODaily Intel決める週が終わり、見る道具と作る道具が並びました|財務引き出しが全エポック分プロットされ、データ可用性の技術ワークショップが本日、Midnight の日本語ハンズオンが9月24日です記事
9月3日SIPO.TOKYOSignal「基礎は据えられた」と財団は書きました——「自己統治」の実体は、三つの体による批准です記事
9月3日SIPO.TOKYOSignal国庫からの引き出し 70 件が、1 ページに並びました——エポック 554 以降で 8 億 442 万 ada、各行から提案ページへ直接飛べます記事
9月4日SIPO.TOKYOSignal仕様書が、型検査を通るようになりました——Hydra の Agda 形式化と、node 11.1.0 で CPU が下がりメモリが増えた話記事
9月4日SIPO.TOKYOSignalハードフォーク対応版は 11.3 からです——Upgrade Bulletin 32 の 3 点と、DijkstraNet が MusashiNet の隣を走る理由記事
9月4日SIPO.TOKYOSignalNIGHT の3回目の配布が受け取れる状態になりました——残るのは最後の1回、資格は2025年6月に確定しています記事
9月4日SIPO.TOKYOSignalRealFi が10月1日に Cardano メインネットへ来ます——準備段階に、はじめて日付がつきました記事
9月4日SIPO.TOKYOSignalゴマの18人は、Cardano を知って帰ったのではなく使って帰りました——14人がウォレットを作り、3人が本番で ada を受け取るまで記事
9月4日SIPO.TOKYOSignalDaedalus のサポート窓口が Ariadne に移りました——運営は SE7EN Labs、Lace の窓口は Zendesk のままです記事
9月4日@SIPO_TokyoDaily Intel憲法委員会の入れ替えが、投票だけで通りました|DRep 71.95%・SPO 56.54% で可決、Midnight に無期限先物が稼働、ADA は主要25銘柄で24時間の上昇率首位X
9月5日SIPO.TOKYOWeekly BriefWeekly Brief #22|締切は来た — 委員会の更新は 71.95% と 56.54% で可決、minPoolCost は SPO 側だけで落ち、Hydra に資金窃取の critical記事
9月5日SIPO.TOKYOWeekly Brief(英語)The Deadline Arrived — The Committee Renewal Passed at 71.95% and 56.54%, minPoolCost Fell on the SPO Side Alone, and Hydra Shipped a Critical記事
9月5日SIPO.TOKYODeep Diveなぜ今、Midnightなのか――AIに任せる時代の「選べるプライバシー」記事
9月5日SIPO.TOKYOSignalCardano の開発者カリキュラムが MIT ライセンスで公開されました——7 モジュールの 4 番目は「ステーキングとガバナンス」です記事
9月5日@SIPO_TokyoDaily Intel「信じるな、確かめろ」が財団の口から出ました|監査意見がオンチェーンに固定され、Hydra の仕様が Agda で形式化、開発者カリキュラムが MIT ライセンスで無償公開X
9月6日SIPO.TOKYODaily Intel今夜、決める人が入れ替わります|賛成は通ったのに、投票しなかった側のほうが厚い記事
9月4日@SITIONjpDeep DiveSEC が40年ぶりに書き換える名義書換代理人ルール——株主名簿をブロックチェーンに置くことを、許すが強制しないX
9月3日@SITIONjpSignalロビンフッドの AI エージェント取引が暗号資産で全面展開——規制されているのは助言であって、執行ではないX
9月3日@SITIONjpSignalロンドン証取の上位100社が xStocks になる——110か国で買え、英国では買えないX
9月4日@SITIONjpSignalSEC が 24 時間取引の議題に「終値の決め方」を入れた——24X の本番開始まで、残る宿題は清算日と夜間監視だX
9月5日@SITIONjpWeekly BriefWeekly Brief #5|Fed の 9 月利上げは 5 分 5 分に戻り、円は 1 週間で 4 円近く高くなったX

このほか、@SITIONjp の12指標(9月3日・9月4日・週末版)と Daily Intel、@LifeMakersCom の Daily Intel・Signal・Deep Dive、そして毎日の星読みを配信しています。暗号資産・ブロックチェーンの範囲外の連載は、上の表からは外しています。

第9章:エポック653 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック653:100%時点)

項目前エポック比
ライブステーク109,624,594.55 ADA(109.62M)−486,590.98
有効ステーク110,111,185.70 ADA(110.11M)+6,858,004.41
委任者数2,162名−4
エポック生成ブロック126+11
累計生成ブロック47,189+126

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO57,754,052.20(+560,133.16)57,193,919.21(+14,580,772.01)1,124(−1)42(−1)20,056
SIPO225,226,835.86(−112,626.37)25,339,462.23(−7,694,080.47)475(+1)54(+15)15,065
SIPO326,643,706.49(−934,097.77)27,577,804.26(−28,687.13)563(−4)30(−3)12,068

マージンは3プールとも3.9%、固定費340 ADA、保証金50,000 ADA です。

前号の大口委任は、残りました

前号でSIPOは、SIPOのライブステークが1,458万ADA増え、SIPO2が769万ADA減ったことを記録し、「大口1件の移動と読める」と書きました。そして終章の確認点に「次のエポックでこの水準が維持されるか、それとも1エポックで戻るか」を置きました。

答えは、残りました。

有効ステークを見ると、SIPOが+14,580,772.01 ADA、SIPO2が−7,694,080.47 ADAです。これは前号のライブステークの動きが、1エポック遅れて有効ステークに反映されたものです。 そのうえで今回のライブステークは、SIPOが+560,133.16、SIPO2が−112,626.37。大きな戻しは起きていません。

委任は、次のエポックの報酬から効きます。 前号の時点では「まだ有効ステークに入っていない」状態でしたが、エポック653では有効ステークとして働き、ブロック生成に反映されています。 SIPO2 のエポックブロックが39から54へ+15伸びているのは、有効ステークが減ったにもかかわらず起きた動きで、ブロック生成は確率的なので、1エポックの増減から傾向は読めません。

有効ステークとライブステークの照合が、4回続けて成立しました

エポック652の終了時点のライブステークが、そのままエポック653の有効ステークになっています。

プールエポック652 ライブステークエポック653 有効ステーク
SIPO57,193,919.0457,193,919.21
SIPO225,339,462.2325,339,462.23
SIPO327,577,804.2627,577,804.26

SIPO2 と SIPO3 は小数点以下まで完全に一致し、SIPO も0.17 ADA の差です。Cardano のステーキングは「委任した内容が2エポック後の報酬に効く」という設計になっていますので、この一致は仕組みどおりです。 前号で「3回続けて成立」と書きました。今回で4回目です。

この照合を毎回書いているのは、数字の出どころが正しいことを毎回確かめるためです。 ライブステークは AdaStat、有効ステークは Koios から取っていますので、別々の出典から取った数字が一致するかどうかが、そのまま検算になります。

累計47,189ブロック——大台越えの記録

3プールの累計ブロックは47,189です。SIPO 20,056 / SIPO2 15,065 / SIPO3 12,068 で、3プールともそれぞれの大台(20,000 / 15,000 / 12,000)を越えた状態でこのエポックを終えました。 SIPOはこの節目を9月2日にご報告しています。

3プールが同じ時期に大台へ届いたのは偶然です。 開設時期も規模も違いますので、揃ったこと自体に意味はありません。 ただ、止めずに動かし続けた結果として同じ月に並んだという事実は、記録として残しておきます。

ネットワーク全体では、ステークがまた減りました

指標エポック653前エポック比
ステーキング率56.54%−0.03ポイント
総ステーク21,386,263,525 ADA−5,061,727
流通供給量37,823,334,660 ADA+6,147,386
委任者総数1,338,967名−938名
アカウント総数5,974,652+4,820
ブロック生成のあったプール921−23

前号で3エポックぶりに増えた総ステークは、今回また減りました。 −506万ADAです。前号が+1,781万ADA、その前が−4,564万ADA、その前が−1億4,852万ADA。大きく減って、少し戻して、また少し減る、という形が続いています。

委任者は、4エポック連続で減りました。 −938名です。前号が−1,222名でしたので減り方は鈍っていますが、向きは変わっていません。 一方でアカウント総数は+4,820で増え続けています。新しいアカウントは増え、委任している人は減っているという構図が4エポック続いていることになります。

ブロック生成のあったプールが944から921へ、23プール減っています。 これはエポックごとの確率的な揺れも含みますので、1エポックの減少から「プールが減った」とは読めません。 ただし総プール数(2,895)とステークのあるプール数(2,677)は前号からほぼ動いていませんので、プールが消えたのではなく、ブロックを引けなかったプールが増えたという読み方のほうが素直です。次のエポックで水準が戻るかを見ます。

SIPOの3プールは、この5日間で126ブロックを生成しました。 ステーク全体が減り、ブロックを引けたプールが減った5日間で、3プールとも1桁のブロックしか引けない事態にはなっていません。 委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:数えられた反対は、次の設計図になります

エポック652の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

委員会更新の実務は、答えが出ました。 Koios の提案一覧で施行がエポック654と記録され、批准後の最初の議案——期限エポック656の国庫引き出し2件——に、委員会の票が実際に出ています。 前号で「委員会の投票が実際に出るかを見ます」と置いた問いへの答えは、出た、しかも賛成と反対を1つずつ、です。一方で「4議席が実際に入れ替わり、委員会が定数5を保った状態で機能を再開するか」については、議席数を投票の集計から読み取ることができませんでした。 AdaStat の集計に現れる行数は決着済みの議案で7、進行中の2件で6ですが、この差の理由をSIPOは特定できていません。持ち越します。

SPO側の分母の見え方は、答えが出ました。再現しませんでした。 境界の直後に約209億ADAへ倍増して見えた分母は、5日後の取得では約110億ADAに戻り、AlwaysAbstain も0ではなくなっています。賛成率も56.54%と、SIPOが9月4日に公開した数字と一致します。 前号で「同じ現象が再現すれば、読み方を固定できます」と書きました。再現しなかったので、こう固定します——境界直後に取得した投票力の分母は AlwaysAbstain を欠くことがある。境界をまたいだ数字を比べるときは、取得時刻を必ず添える。

minPoolCost の次の形は、今回は動きがありません。 Part 3 の提出も、報酬設計の組み直しとしての別提案も、この5日間の公開情報では確認できていません。期限エポック656の議案は国庫引き出し2件だけで、パラメータ変更の新規提案は入っていません。持ち越しです。

9月3日のワークショップの成果は、今回は確認できていません。 データ可用性の要件が Cardano Problem Statement の形になったという告知は、この5日間には出ていません。持ち越しです。 ただし関連する動きとして、CIP-0198 候補「ネストされたトランザクション」の提出が期間の最後に記録されています(第4章)。問いへの答えではありませんが、次のハードフォークの機能セットが具体的な提案の形で出てくる段階には入っています。

Bifrost の M4 のサインオフは、今回は確認できていません。 7月28日提出・レビュアー承認済みのまま待っている案件について、この5日間に新しい告知は出ていません。前号でSIPOはCatalyst Pilot の応募件数を定点観測から外し、代わりにこの項目を置きました。1エポック目は空振りです。持ち越します。

SIPOへの大口委任が残るかは、答えが出ました。残りました。 前号のライブステークの動きは、今回そのまま有効ステークへ反映され、ライブステーク側での大きな戻しは起きていません(第9章)。

Daedalus 11.3.0 の DRep Directory が投票率に効くかは、今回は測る材料がありません。 この5日間に新しい議案の投票が始まっていないため、未投票の比率を前後で比べられません。ただし、進行中の2件では興味深い形が出ています。 Governance Incentives Framework では明示的な反対18億3,076万ADAに対し未投票が21億6,459万ADA、Ikigai では賛成22億3,993万ADAに対し未投票が19億0,875万ADA。どちらも、未投票が反対を何倍も上回るという偏りにはなっていません。 これが道具のおかげなのか、議案の性格の違いなのかは分けられません。期限エポック656の時点で、この2件の未投票がどこまで減っているかを見ます。

7件のうち、答えが出たものが3件(委員会更新の実務・SPO側の分母・大口委任)、部分的に答えが出たものが1件(DRep Directory)、持ち越しが3件(minPoolCost の次の形・ワークショップの成果・Bifrost の M4)です。前号は答え2件・持ち越し5件でしたので、今回は答えの側が増えました。 そして前号で持ち越した2件(Treasury・ステーブルコイン)は、Dune 経由のKPIが戻ったことで、第7章に数字として並べられています。

そのうえで、エポック654で確認すべきものを挙げます。

  1. Governance Incentives Framework 2026 の賛成率が動くか:現在1.66%、委員会も反対2票。期限はエポック656です。 この位置から67%へ届く形はほぼありませんが、SIPOが見たいのは届くかどうかではなく、明示的な反対がさらに積み上がるか、それとも未投票のまま流れるかです。反対で落ちた議案と、投票されずに落ちた議案は、記録として意味が違います。
  2. Ikigai の供託金返還が51.55%からどこまで動くか:委員会は賛成2票を投じています。67%まで残り15.45ポイント。 前号の委員会更新は48時間で17ポイント動きました。期限まではまだエポック3つぶんありますので、同じ性質の動きが起きるかどうかを見ます。
  3. 委員会の議席数が、別の形で確認できるか:投票の集計に現れる行数からは読み取れませんでした。施行後の委員会の構成が、Intersect または Cardano Foundation の告知として出るかを見ます。
  4. Treasury とステーブルコインの向き:Treasury は2エポック合計で+749万ADA、ステーブルコインは$61.18Mから$58.79Mへ−$2.39M。次のエポックで、Treasury が単独エポックの数字として並べられるか、ステーブルコインの減少が続くかを見ます。
  5. RealFi の10月1日:メインネット到達日に日付が付きました。日付が付いたものは、守られたかどうかを後から数えられます。 準備の告知がこのエポックからどう積み上がるかを見ます。
  6. アクティブアドレスと日次トランザクションの水準:アクティブアドレスは13,224から9,488へ、日次Txは23,812から18,229へ減り、一方でScript Tx比率は29.68%から35.85%へ上がりました。次の基準日で、この構成の変化が続くのか、単発の揺れだったのかを見ます。
  7. 委任者数とブロック生成プール数:ネットワークの委任者は4エポック連続で減少(−938名)、ブロック生成のあったプールは944から921へ。どちらも「減り方が鈍った」段階にいます。 5エポック目で向きが変わるかを見ます。

エポック653は、反対が票になった5日間でした。

前号でSIPOは「投じられて、初めて数になる」と書きました。沈黙は中立ではなく、事実上の反対として効く——それが委員会更新と minPoolCost の対比から出た読みでした。今回起きたのは、その沈黙が票の形を取ったことです。

Governance Incentives Framework 2026 の賛成率1.66%という数字は、「誰も動かなかった結果」ではありません。 80のDRepが18億3,076万ADAぶんの反対を投じ、批准されたばかりの委員会も2票の反対を投じました。この議案は、まだ落ちていません。期限はエポック656です。けれど、もし落ちるとしたら、それは von Bergen や minPoolCost のような「投票が集まらなかった」終わり方ではありません。

この違いは、次に提案する人にとって意味があります。 投票が集まらずに流れた議案からは、何が悪かったのかが分かりません。明示的に反対された議案からは、何を直せばいいのかが読めます。 反対したDRepの多くは投票理由を公開していますので、次に同じ論点を持ってくる人は、その理由を一件ずつ読んで設計をやり直せます。 前号でSIPOは「数字は状態を示し、止まるものの名前は理由を示す」と書きました。数えられた反対も、同じように理由を示します。

そしてもうひとつ。批准されたばかりの委員会が、最初の2件で賛成と反対を1つずつ投じたことです。全部に賛成する委員会も、全部を止める委員会も、どちらも判断していないのと同じです。分けた、ということが、いちばんはっきりした事実でした。

市場のほうは、5日間で+12.67%戻しました。委員会の批准は9月2日の朝、上げが集中したのは9月4日の記録で、しかも記録上の12銘柄すべてが上げています。SIPOはこの上げをCardano の材料で説明しません。 前号で「一度も上げなかった」と書いた5日間の直後に「一度も下げない」に近い5日間が来たことを、事実として記録するだけです。 下げた理由を特定していない以上、戻した理由も特定できません。

いつもSIPO / SIPO2 / SIPO3へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRepを通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPOはSPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

次の期限は、エポック656です。今度は、反対の側にも数字が付いています。

出典・参照