Intersect は 10 月 28 日、2027 年の Cardano のトレジャリー予算を 7 つの領域 (Domain) に分けて決める「Cardano Ecosystem Budget Process (CEBP)」の案を公開し、DRepTalk で意見募集を始めました。Net Change Limit (トレジャリーから引き出せる総額の上限) を領域ごとに配分し、各領域に取りまとめ役 (Steward) を置いて、DRep が個々の資金申請を比べやすくする仕組みです。
Intersect は、これまでの予算サイクルで資金申請の量が多く、互いに比べにくかったことを課題に挙げています。今回の案は、DRep の判断の順番を「何にいくら使うか」から先に決める形へ組み替えるものです。最初の情報アクションは 11 月 10 日の提出が目標とされており、DRep にとっては年内に判断を求められる議題になります。
初期報: Cardano 2027年度財務配分の新フレームワーク、コミュニティ募集開始
案が挙げる、今の予算プロセスの課題
Intersect の公開ページは、2025〜2026 年の進め方について、資金申請の量と複雑さ、申請どうしを比べにくいことが、資本の配分を誤る大きなリスクになっていると書いています。あわせて、支出の重複、専門家による評価の不足、実行面の課題、時間に追われる判断も挙げています。
案は Intersect が Cardano Foundation と協力して進めているもので、9 月 21 日の Roundtable Talk でも、多くのコミュニティの専門家が同じ趣旨の意見を述べたと紹介されています。Cardano Foundation の公式 X も同日夜、2027 年のトレジャリー配分の新しい枠組みとして、この意見募集を告知しました。
7 つの領域と、取りまとめ役の候補
案の柱は 3 つです。Cardano 2030 に向けた年間の目標を定めること、Net Change Limit を 7 つの予算区分に分けること、区分ごとに取りまとめ役を置くことです。2027 年の領域と Steward の候補は次のとおりです。
- コア開発と保守 — Intersect
- 応用研究 — Intersect
- 開発者支援 — PRAGMA
- マーケティング・分析・イベント — Cardano Foundation
- 普及とエコシステムの成長 — Cardano Foundation
- ガバナンスの調整 — Intersect
- オープンな提案枠 (Open Contributions) — Steward なし
候補の各団体には事前に打診済みで、コミュニティの意見を条件に引き受ける意向を示しているとのことです。Steward は自分の領域の予算上限を米ドル建てで提案し、ほかの Steward とすり合わせます。DRep には標準化した形式で情報を出し、提案者の実行状況を管理する役割も負います。
案は「取りまとめは門番ではない」という原則を掲げています。支出の決定、年間目標、領域ごとの配分、Steward の承認はすべて DRep に残ります。Steward になってもその領域の資金を受け取る権利は生じず、自らが資金を受ける場合は透明に開示し、適切な歯止めを設けることが条件です。共通の行動規範への署名も求められます。
誰でも直接 DRep に出せる「オープンな提案枠」
7 つ目の Open Contributions には Steward を置きません。トレジャリーからの引き出しを提案したい人は誰でも、取りまとめ役を通さずに直接 DRep に提案できます。領域ごとの取りまとめが新しい関門にならないよう、従来の入口を残す設計です。
ある領域と Steward が DRep に承認されなかった場合、その領域の予算は Open Contributions に回る、と案は定めています。Intersect はこれを、どんな結果になっても最悪で 2026 年と同じ状況にとどまる、と説明しています。
3 段階の日程と、DRep の支持の目安
進め方は 3 段階です。
- 第 1 段階 (2026 年 10 月): DRepTalk での公開の意見募集
- 第 2 段階 (2026 年 11 月): 領域の定義と Steward の指名について、構想の承認を問う情報アクション。11 月 10 日の提出を目標とし、DRep の 51% 以上の支持を目安とする
- 第 3 段階 (2026 年 12 月〜2027 年 1 月): Steward のいる領域ごとの情報アクションと、2027 年の Net Change Limit を決める情報アクションを同時に提出。各領域は 60% 以上、Net Change Limit は通常どおり 51% の支持を目安とする
第 2 段階の情報アクションについて、Intersect は「まだ DRep を 2027 年の CEBP に縛るものではない」と明記しています。この段階で決めるのは、Steward が第 3 段階の中身を用意することまでです。
重いのは第 3 段階です。各領域の情報アクションには、Steward の進め方、その領域の予算、戦略が書かれます。これに賛成することは、2027 年はその領域で CEBP に沿わない引き出し案件に賛成票を投じない、という約束を意味します。案が領域ごとに 60% という高めの目安を置くのは、この約束の重さのためだと説明されています。2027 年の Net Change Limit は、全領域の予算上限の合計に Open Contributions の枠を足した額を基に決めます。
試行期間は 2027 年の 1 年で、結果を見て 2028 年に更新・改善するかを判断します。CEBP をチェーン上で強制する手段はなく、案自身もその根幹を社会的な合意 (social contract) と位置づけています。Steward は、必要に応じて CIP-0179 などを使った順位付けの投票で、領域ごとの意見を集める方針です。
憲法改正案 CAP-3 との違い
予算を区分ごとに分けるという考え方は、10 月 25 日に整理した CAP-3 第 4 版 とも重なります。CAP-3 は区分ごとの配分を憲法に書き込み、憲法委員会が引き出しの合憲性を判断する際の基準にする案でした。
一方、今回の CEBP は憲法を変えず、情報アクションと関係者の合意で同じ方向の整理を試みる案です。Intersect の公開ページは CAP-3 には触れておらず、両者がどう関係するかは示されていません。DRep にとっては、拘束力のある憲法改正と、試行として始める社会的な合意という、性格の違う 2 つの道が同じ時期に議論されていることになります。
DRepTalk の投稿が意見を求めているのは、領域の分け方や Steward への歯止めが適切か、Open Contributions をどう運用するか、2027 年の試行を支持する前に何が必要か、といった点への意見です。
次に見るもの
まず確認したいのは、11 月 10 日を目標とする第 2 段階の情報アクションが GovTool に上がるかどうかと、その時点で領域の定義や Steward の顔ぶれが今回の案から変わっているかです。それまでの議論は DRepTalk の「A More Strategic 2027 Cardano Budget」のスレッドに集まります。12 月以降の第 3 段階では、各 Steward が示す米ドル建ての予算上限と、その合計から導かれる 2027 年の Net Change Limit の額が、DRep の判断の中心になります。
ことば
- Net Change Limit — 一定期間に Cardano のトレジャリーから引き出せる総額の上限です。DRep の承認で決まり、今回の案はこの上限を 7 つの領域に配分する点で、従来の「総額だけを決める」運用と異なります。
- 情報アクション — チェーン上の状態を直接変えない種類のガバナンスアクションで、DRep などの意思表示を記録します。CEBP は強制の仕組みを持たないため、各段階の合意をこの形で積み上げます。
- Steward — 各領域の予算上限を提案し、申請を整理して DRep に示す取りまとめ役です。案は Intersect・Cardano Foundation・PRAGMA を候補に挙げ、資金を受け取る権利は生じないとしています。
一次ソース / 関連リンク

Intersect「A More Strategic 2027 Cardano Budget」
intersectmbo.org
DRepTalk の意見募集スレッド(DRepTalk)
- Intersect 公式 X の告知
https://x.com/IntersectMBO/status/2115422937910055415 - Cardano Foundation 公式 X の告知
https://x.com/Cardano_CF/status/2115426022317580674
