Input Output (IOG) は 11 月 5 日、Cardano のコンセンサス層を保守するチームを Serokell へ、開発者体験 (DevX) のチームを AlwaysTrue へ移すと発表しました。エンジニアは担当の仕事ごと移り、コードは公開のリポジトリに残ります。
今年続いてきた中核開発の分散の続きで、今回の 2 件を加えると、ノードまわりの主要な領域の多くが IO Labs の外へ出たことになります。ステークプールの順番を決める仕組みを誰が保守するのかは、SPO にも DRep にも関係する話です。移る先の 2 社と、発表に書かれていることを整理します。
ブロックの順番を決める層が Serokell へ
コンセンサス層は、Cardano の合意の仕組み Ouroboros を動かす部分です。次のブロックを作れるステークプールを決め、チェーンが 2 本に分かれたときには正しい 1 本を選びます。チェーンを止めずに次の時代へ移るためのハードフォーク・コンビネータも、ここに含まれます。
Serokell は Haskell を専門とする開発会社で、2017 年のメインネット開始の前に、IOHK と一緒に最初の Cardano ノードである Cardano SL を作りました。Ouroboros の最初の実装にも関わっています。IOG の記事は今回の移動を「コンセンサスが Serokell に戻る」と表現しています。同社は Cardano ノードの開発に使われるコンパイラ GHC に専任で取り組むチームにも資金を出しており、コンセンサスのエンジニアは、自分たちのコードが依存するコンパイラの担当者と同じ組織で働くことになります。
開発者の入口は AlwaysTrue へ
DevX は、新しい開発者が最初の試作からメインネットの公開までに使うものの全体を指します。ドキュメント、ツール、ライブラリ、実例、デプロイなどです。今年 IO が提案し DRep が承認した DevX の取り組みを率いてきた Robertino Martinez 氏は、AlwaysTrue で同じ仕事を続けます。
AlwaysTrue は 2021 年から Cardano に取り組む会社で、スマートコントラクトの監査と開発ツールの両方を手がけます。IOG によると、IO の DevX の作業を最初から実行してきたのも同じチームです。cardano-init は、Cardano のプロトコルのリポジトリ一式を 1 つのコマンドで作るツールです。今月公開予定の ContractsLibrary は、OpenZeppelin に相当する再利用可能なコントラクト集で、オフチェーンのビルダー、仕様書、Lean 4 による証明を添えて提供するとされています。
今年の移管を一覧にする
IOG の記事が挙げた移管先を、今回の 2 件とあわせて並べると次のとおりです。
- コンセンサス → Serokell (今回)
- 開発者体験 (DevX) → AlwaysTrue (今回)
- Mithril → Teragone
- Daedalus → Se7en Labs
- 台帳、ブロックチェーンのインデクサ、形式手法、高可用性エンジニアリング → BlockPQR
- Plutus → Midgard Labs
- プラットフォームエンジニアリング、品質保証、暗号、性能とトレーシング → ICAN Group
1 社に集まっていた責任が複数の組織に分かれれば、1 つの組織の事情で開発全体が止まる心配は小さくなります。その代わり、リリースのたびに調整する相手が増えます。IOG はこの調整を Intersect を通じて公開の場で進めるとしており、コンセンサスのコードも IntersectMBO の GitHub に残ります。AlwaysTrue が保守する開発ツールは Apache 2.0 のオープンソースのままです。
移動の時期と、発表に書かれていないこと
各チームの移動日はそれぞれ異なり、今月に始まって 2027 年の初めまで続きます。この期間は、Dijkstra ハードフォークの準備と重なります。11 月 4 日の Intersect の告知によると、試験網の DijkstraNet はプロトコルバージョン 12 へハードフォークしたばかりです。ハードフォークの機構を受け持つチームが組織を移りながら本番へ向かうことになるので、移行の段取りが読みどころになります。IOG は移動の間も作業は続くと説明しています。
一方、今回の記事には、移管後の資金の出どころや契約の条件は書かれていません。国庫から資金を受ける開発であれば、報告の責任を誰が負うのかは DRep が次の提案を読むときの論点になります。
確認先は 2 つあります。今月のうちに見られるのは、AlwaysTrue の ContractsLibrary の公開で、移管後の最初の成果物の 1 つになるはずです。もう 1 つは IO Labs の Cardano エンジニアリングのページで、体制と次のリリースがまとめられています。Serokell も、DRep や SPO、開発者が追えるように開発の進み具合を自社の X で伝えるとしています。担い手の名前が変わっても、進み具合を外から同じように追えるかどうかが、この分散の実質を決めていきます。
ことば
- コンセンサス層 — どのプールが次のブロックを作るかを決め、競合するチェーンから正しい 1 本を選ぶ部分。Cardano では Ouroboros がこの役割を担い、今回その保守チームが Serokell へ移ります。
- ハードフォーク・コンビネータ — チェーンを再起動せずに、次の時代のルールへ切り替える仕組み。Dijkstra への移行でも使われるため、担当チームの移動時期と本番の日程の関係が気になるところです。
- Lean 4 — プログラムが仕様どおりに動くことを数学的に証明するための言語。ContractsLibrary はコントラクトにこの証明を添える計画で、監査を手がける AlwaysTrue らしい取り組みです。
一次ソース / 関連リンク
- IOG 公式 X の告知
https://x.com/IOGroup/status/2118325587001454799

IOG「Independent teams. Shared foundations.」(2026 年 11 月 5 日)
Input | Output
- Serokell 公式 X (コンセンサスの引き継ぎ)
https://x.com/serokell/status/2118371359214473528 - Serokell 公式 X (進み具合の公開)
https://x.com/serokell/status/2118371374158815707

IO Labs
alwaystrue
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- Intersect 公式 X (DijkstraNet のハードフォーク)
https://x.com/IntersectMBO/status/2118075442754457872
