Cardano 財団は 10 月 21 日、米証券取引委員会 (SEC) が 3 月に ADA を「デジタル商品」に分類した判断を、提案中の新規則「Regulation Crypto Assets」の本文に書き込むよう求める書簡に共同署名したと発表しました。いまの分類は規則の前文 (説明部分) にしか載っておらず、意見公募の手続きを経ずに狭めたり撤回したりできる状態にある、というのが書簡の問題意識です。
署名したのは Cardano 財団のほか、Stellar Development Foundation、Hedera、Aptos Labs、Ava Labs、Chainlink の計 6 団体です。ADA を持つ人や、ADA を扱う取引所・カストディ事業者にとっては、「証券ではない」という扱いがどこまで固い足場になるかを左右する論点です。この記事では、3 月の解釈と 8 月の規則案の関係を整理し、書簡が具体的に何を求めたのかを読み解きます。
初期報: ADA のコモディティ分類を規則に明記するよう SEC に要望書、Cardano 財団が共同署名
3 月の解釈で ADA は「デジタル商品」の例に入った
出発点は、SEC が 2026 年 3 月 17 日に出した解釈リリース (Release No. 33-11412) です。米商品先物取引委員会 (CFTC) との共同リリースで、暗号資産を「デジタル商品」「デジタル収集品」「デジタルツール」「ステーブルコイン」「デジタル証券」の 5 つに分けて考える枠組みを示しました。
このリリースは、デジタル商品の例として Aptos (APT)、Avalanche (AVAX)、Bitcoin (BTC)、Cardano (ADA)、Chainlink (LINK)、Ether (ETH)、Hedera (HBAR)、Solana (SOL)、Stellar (XLM)、XRP など 16 銘柄を挙げています。今回の書簡に名を連ねた 6 団体は、いずれもこの一覧に入った銘柄を支える組織です。
ただし、解釈リリースは正式な規則制定ではありません。分類の重みを確かなものにするには、規則そのものに書き込まれる必要がある — 6 団体の主張はここから始まります。
8 月の規則案は、分類を前文に置いたままだった
SEC は 8 月 21 日、Regulation Crypto Assets を提案しました (Release No. 33-11434、File No. S7-2026-27)。登録なしで資金調達できる 2 つの免除 (4 年で最大 500 万ドル、12 か月ごとに最大 7,500 万ドル) や、暗号資産が投資契約の対象から外れるためのセーフハーバー (条件を満たせば規制の適用を受けないと定める仕組み) を含む案で、意見募集は 10 月 20 日に締め切られました。
署名団体の一つである Stellar Development Foundation は、締切日に SEC へ出した自らの意見書で、この規則案の構造を説明しています。規則案の Rule 400 が取り込んでいるのは、3 月の解釈のうち「投資契約がいつ終わるか」を扱った部分だけで、デジタル商品の分類は前文にしか書かれていない。前文の説明は、意見公募の手続きを経ずに狭めたり撤回したりできる指針にとどまる、という指摘です。
Cardano 財団も発表のなかで、分類は新しい規則の「説明」には出てくるものの、規則そのものには入っていないと書いています。
書簡が求めた 5 つの書き込み
共同書簡の中身は、Stellar Development Foundation の意見書が「L1 連合の書簡」として 5 点にまとめています。
- 規則の定義条項 (§228.100) に「2026 年解釈」と「デジタル商品」の定義を加え、文言は解釈リリースに合わせる
- §228.101 で、デジタル商品は証券ではないこと、投資契約の対象として売られてもデジタル商品そのものは証券に変わらないことを確認する
- 発行者以外による流通市場での売買は、発行者の約束が残っていない限り投資契約を含まないと推定する。あわせて、解釈が挙げたデジタル商品について、個別の届出 (Form TR) を要しない一括の免除を検討する
- Rule 400 に頼ること (Form TR の提出を含む) は投資契約の存在を認めたことにならず、頼らないことも投資契約の存在を推定させない、と明記する
- 採択時の公表文で、この規則が 3 月の分類も SEC と CFTC の権限分担も変えないと述べる
3 点目の推定規定は、取引所・カストディ事業者・保有者が日々の売買をどう扱うかに直接かかわります。この要望が通れば、ADA の二次市場での売買が原則として証券取引に当たらないことを、指針ではなく規則の文言が裏づけることになります。
次に見るもの: 最終規則の定義条項
意見募集は締め切られ、ここから先は SEC が寄せられた意見を踏まえて最終規則をまとめる段階です。確認すべき点は一つで、最終規則が公表されたとき、定義条項 §228.100 に「digital commodity」が入っているかどうかです。入っていれば ADA の分類は手続きを経なければ変えられない規則の一部になり、前文のままなら今と同じ「指針」の位置にとどまります。
6 団体の共同書簡そのものは、SEC の意見公募ページ (File No. S7-2026-27) に掲載されるはずなので、原文の文言はそこで確かめられます。最終規則の時期はまだ示されていません。
ことば
- デジタル商品 (digital commodity) — SEC が 3 月の解釈で示した区分で、それ自体は証券に当たらない暗号資産を指します。ADA を含む 16 銘柄が例に挙がり、今回の書簡はこの区分を規則本文に定義するよう求めています。
- 前文 (preamble) — 規則案の冒頭で趣旨や考え方を説明する部分です。規則の条文と違って拘束力が弱く、今回の争点は分類がここにしか書かれていないことにあります。
- Form TR — Regulation Crypto Assets が新設する「移行報告」の書式で、Rule 400 のセーフハーバーを使うときにも提出します。書簡は、提出が投資契約の存在を認めたことにならないよう明記を求めています。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano 財団公式 X の発表
https://x.com/Cardano_CF/status/2112890636579832050
Stellar Development Foundation の意見書 (SEC 意見公募 S7-2026-27・2026 年 10 月 20 日)(sec.gov)
SEC 意見公募ページ: Regulation Crypto Assets (File No. S7-2026-27)(sec.gov)
SEC 解釈リリース Release No. 33-11412 (2026 年 3 月 17 日)(sec.gov)

Federal Register: Regulation Crypto Assets (2026 年 8 月 21 日)
Federal Register
- Cointelegraph 公式 X の報道
https://x.com/Cointelegraph/status/2112884293575856508
