Cardano のウォレット Lace のブラウザ拡張版 2.5.0 が、日本時間 10 月 30 日未明に GitHub で公開されました。Cardano のアカウントにある NIGHT を Midnight のアドレスに割り当て、Midnight の手数料に使う DUST を Lace の中から生み出せるようになっています。
Lace ブラウザ拡張版 2.5.0 リリースノート(GitHub)(GitHub)
この機能は、9 月 23 日に出た 2.4.0 のリリースノートで既に説明され、「2.4.0 の公開後まもなく提供」と添えられていたものです。その後の 2.4.1〜2.4.3 には記載がなく、約 5 週間を経て 2.5.0 で「追加」の欄に載りました。ADA と NIGHT を同じウォレットで持つ方にとっては、Midnight を使い始める準備を別のアプリに移らずに進められる更新です。何ができるようになったか、DUST がどう貯まるか、同じ版で変わった ADA の送金の動きを順に整理します。10 月 30 日の Daily Intel でも主役として取り上げました。
割り当て先を選び、確かめて、承認する
2.5.0 のリリースノートは、新機能を次のように説明しています。
Designate NIGHT held in your Cardano account to a Midnight address and generate DUST directly from Lace.
Cardano のアカウントで持っている NIGHT を Midnight のアドレスに割り当て、Lace から直接 DUST を生み出す、という意味です。手順は、割り当て先を選び、取引の内容を確かめ、承認するという流れで、どれもウォレットを離れずに済むと書かれています。
2.4.0 の予告のほうは、もう少し細かく書いていました。DUST を生み出す先として Midnight のアカウントかアドレスを選べること、確定の前に選んだ内容を見直せること、そして割り当て先をあとから変えたり、生成を止めたりする操作も同じ画面でできることです。2.5.0 のリリースノートは、このうち変更と停止には触れていません。
DUST は貯まるが、人に渡せない
DUST が何かは、Midnight の技術文書「DUST architecture」に整理されています。文書は NIGHT を太陽光パネル、DUST をそこから生まれる電気にたとえ、取引の手数料として消費するのは電気の側、つまり DUST だと説明しています。
性質は普通の暗号資産と大きく違います。DUST は手数料のためだけの資源で、シールド(中身を外から見せない形)で扱われ、ほかの人に送ることはできません。残高は固定ではなく、裏付けになっている NIGHT の量と経過時間から計算されます。上限は NIGHT 1 枚あたり 5 DUST で、上限に届くまでの時間は NIGHT の量にかかわらず約 1 週間(604,815 秒)です。文書の例では、100 NIGHT なら 1 日に約 71 DUST ずつ増え、約 1 週間で上限の 500 DUST に届きます。
反対に、裏付けの NIGHT を使う(送る)と、DUST はその時点からゼロに向けて減り始めます。生成の途中でも同じです。Lace で割り当てを済ませたあとに NIGHT を動かす予定がある方は、この減り方を前提に考えておく必要があります。
ADA の送金では、報酬を自動で含める
2.5.0 は Midnight 以外にも手を入れています。ふだんの使い方にいちばん近いのは ADA の送金です。Lace はまず手元にある ADA を使い、それで足りないときは、受け取れる状態にあるステーキングの報酬を自動で取引に含められるようになりました。
Cardano の委任報酬は、手元の ADA とは別の報酬アカウントに貯まり、使うには引き出しの手続きを取引に含める必要があります。2.5.0 では、報酬の引き出しが必要になる場合、そのことが取引の確認画面にはっきり表示されます。手数料まで払いきれないほど ADA が足りないときのエラーの文言も改められました。
ほかに、DApp での署名が失敗したときに詳しいエラー情報をコピーしてサポートに渡せるようになり、ウォレットの同期のやり直しはアカウントごとに実行できるようになりました。やり直しの範囲も、見つけたアドレスだけでなく、端末に保存している取引の記録、トークンの情報、アクティビティまで広がっています。
次に見るもの
2.4.0 の予告にあった「割り当て先をあとから変える」「生成を止める」操作が 2.5.0 の画面でどう提供されているかは、リリースノートからは読み取れません。次の版が出たとき、GitHub の input-output-hk/lace のリリース一覧でこの 2 つの操作が記載されるかを確かめます。DUST の上限や生成の速さといった数字は、Midnight の技術文書が更新されれば変わりうるので、割り当ての前には文書の該当箇所もあわせて見ておくのが確実です。
ことば
- DUST — Midnight で取引の手数料にだけ使う資源です。NIGHT を持っていると時間とともに貯まり、人には送れません。Lace 2.5.0 で、この生成を始める操作がウォレットの中に入りました。
- NIGHT の割り当て — 手元の NIGHT を、DUST を受け取る Midnight のアドレスと結びつける手続きです。これを済ませて初めて DUST が生まれ始めるため、Midnight を使う最初の一歩になります。
一次ソース / 関連リンク
Lace ブラウザ拡張版 2.4.0 リリースノート(DUST 生成の予告)(GitHub)
Midnight 技術文書「DUST architecture」(docs.midnight.network)
