Cardano 財団は 10 月 29 日、スイスの業界団体 CMTA(資本市場・技術協会)の会員になったと公式 X で発表しました。CMTA はトークン化証券の規格 CMTAT を定める団体で、3 週間前に Cardano のプログラマブルトークン規格 CIP-0113 を CMTAT と同等と認めたばかりです。
認定を受けた側だった財団が、規格をつくる団体の内側に入ったことになります。CMTA の会員にはスイスの大手銀行やデジタル資産の取引所、法律事務所が並んでおり、Cardano はトークン化証券の実務を担う人たちと同じ名簿に載りました。この記事では、加盟の中身、10 月 7 日の認定が認めた範囲と条件、そしてまだ公表されていないことを整理します。
初期報: Cardano Foundation、CMTA のメンバーに加入(SIPO.TOKYO・10 月 29 日)
CMTA の歓迎投稿から 1 時間あまりで財団も発表
先に投稿したのは CMTA でした。日本時間 10 月 29 日 18 時 1 分、CMTA の公式 X は Cardano 財団を「最新の会員」として迎え、規制下での証券トークン化を一緒に進めたいと書きました。財団はその投稿を引用する形で、19 時 15 分に加盟を発表しています。財団の投稿は、同等性の認定で発行体が CIP-0113 を認証可能な株式のトークン化に使えるようになったことに触れ、次の一文で結んでいます。
Together, we will work to advance standards for tokenized capital markets.
— Cardano 財団公式 X(2026 年 10 月 29 日)
CMTA の会員一覧(10 月 30 日時点)には、創設会員 3 組織と会員 43 組織が載っており、Cardano 財団は会員の欄にあります。創設会員は法律事務所の Lenz & Staehelin、オンライン銀行の Swissquote、銀行向けソフトウェアの Temenos です。会員には UBS、Pictet、Lombard Odier といった銀行、デジタル資産の取引所 SIX Digital Exchange、暗号資産を扱う Sygnum や AMINA、カストディ(資産の保管)の Taurus などが並びます。ブロックチェーンの財団としては Tezos 財団も会員です。
10 月 7 日の認定が認めた範囲と、付いた条件
今回の加盟の前提になっているのが、10 月 7 日に CMTA と財団が共同で発表した認定です。CMTA の専門家委員会(Expert Committee)が 10 月 6 日に決定し、CIP-0113 にもとづく「CMTA プロファイル」のスマートコントラクトを、CMTA の株式トークン化の認証制度のもとで CMTAT と同等と認めました。株式に必須とされる機能はすべて備えている、というのが CMTA の判断です。
CMTA の発表は、このコントラクトが台帳の上で執行する管理機能として、本人確認を済ませた相手だけへの移転、拒否リスト、全体の一時停止、強制移転と差し押さえ、発行上限、役割ごとの権限、元に戻せない廃止の仕組みを挙げています。スイスの発行体はこのコントラクトを使って台帳型の証券を発行できる、とも明記しました。
一方で、認定には条件が付いています。CMTA の発表から要点を並べると、次のとおりです。
- トークン化の条件を定めた文書への参照を、配備ごとにオンチェーンで記録する
- 株式は 1 株単位で扱い、端数を認めない
- 配備ごとにトークン名とティッカーを付ける
- 確認の対象になった Cardano 側の基盤のバージョンを、配備ごとに記録する
対象の範囲にも線が引かれています。認定が及ぶのは株式のトークン化の制度だけで、CMTA の債券(デット)向けの制度は含みません。Cardano のベースレイヤー(台帳そのもの)も今回の認定の対象外で、こちらは別に監査されたと CMTA は説明しています。
規格を決める 3 つの委員会と、まだ公表されていないこと
CMTA は 10 月 13 日、規格づくりの体制を組み直したと発表しています。CMTAT の方向を決める製品委員会(Product Committee)を新設し、技術委員会と専門家委員会の委員長も交代しました。
製品委員会の役割は、標準化の優先順位を決め、CMTAT に加える機能を提案し、新しいブロックチェーンへの対応を判断することです。委員長はセキュリティ企業 Halborn のガビ・ウルティア氏で、UBS、Seturion、Pictet の担当者が初代の委員に名を連ねています。技術委員会と、他社のコントラクトの同等性を判断する専門家委員会は、Taurus の CTO、ニコラ・ボンヴァン氏が委員長を兼ねます。CIP-0113 の同等性を決めたのは、この専門家委員会です。
ただし、財団がこれらの委員会に加わるかどうかは、CMTA の発表にも財団の投稿にも書かれていません。CMTA の 10 月 13 日の発表も、会員が一般に委員会へどう関わるのかまでは説明していません。財団がどの場で規格づくりに関わるのかは、まだ公表されていない段階です。
CMTAT は特定のチェーンに依存しない規格として設計されており、CMTA は 7 月に Zama のプロトコルを使った秘匿型の CMTAT を公開し、6 月には Chainlink との連携も発表しています。複数のチェーンの技術が同じ規格のもとに集まる場に、Cardano も会員として加わったという位置づけになります。
Cardano にとっての意味: 株式は通り、債券は次の宿題
SIPO の視点では、今回の加盟は 10 月 7 日の認定を一度きりの評価で終わらせず、続けて関わる関係に変えた点に意味があります。認定には「確認した基盤のバージョンを記録する」という条件が付いており、Cardano の基盤が更新されれば、どのバージョンで確かめたのかが問われ続けます。規格をつくる団体の会員であることは、その確認のやりとりを内側で続けられる立場でもあります。
もう一つは範囲の問題です。現時点で CMTA の物差しを通ったのは株式だけで、債券は認定の外にあります。財団は 10 月 7 日の発表で、規制対象の金融商品に向けた証券モジュールの開発を続けるとしていました(10 月 7 日の記事)。ステーブルコインや実物資産の議論が多い Cardano にとって、債券のトークン化が CMTA の制度に乗るかどうかは、株式と並ぶ次の節目になります。
確認できる次の一点は、CMTA のニュースページです。CIP-0113 の同等性が債券向けの制度にも広がる決定が出るか、あるいは財団の名前が製品委員会や技術委員会の顔ぶれに加わるかは、まずそこに載ります。財団の側では、10 月分の月次報告で CMTA との取り組みにどう触れるかが目安になります。
ことば
- CMTA / CMTAT — スイス・ジュネーブの資本市場・技術協会と、同協会が公開しているトークン化証券のスマートコントラクト規格。チェーンを問わない設計で、他のコントラクトも同等と認められれば CMTA の認証制度を使えます。
- 同等性の認定 — CMTA の専門家委員会が、他社や他チェーンのコントラクトを CMTAT と同じ機能を備えると判断すること。CIP-0113 は 10 月 6 日に株式の制度で認められ、条件付きで使えるようになりました。
- 台帳型の証券 — スイス法で認められた、分散型台帳の上で発行・移転する有価証券。今回の認定により、スイスの発行体は CIP-0113 のコントラクトでこの形の株式を出せるようになりました。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano 財団公式 X の告知(2026 年 10 月 29 日)
https://x.com/Cardano_CF/status/2115749391126384861 - CMTA 公式 X の告知(2026 年 10 月 29 日)
https://x.com/cmta_ch/status/2115730609456709729

cmta.ch
Cardano Foundation launches programmable token standard(Cardano 財団・2026 年 10 月 7 日)(cardanofoundation.org)



