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Cardano 財団、銅準備金の国庫案に反対票

2026-10-29SIPO #DRep

Cardano 財団は10月28日、国庫から2,200万 ADA を引き出して米国の倉庫の銅を買う提案「Cardano Strategic Copper Reserve」に、DRep として反対票を投じました。チェーン上に残した投票理由では、実物資産のトークン化の可能性を認めたうえで、資金が受け取り手ひとりの管理に移ること、費用が重いこと、安全策がまだ整っていないことを挙げています。

財団の DRep は、Koios の集計で10月29日時点に約1億4,224万 ADA の委任を受けています。提案の中身はエポックな日々661で紹介しましたが、ここでは財団がどの点を問題にしたのかを、チェーン上の投票理由の原文から整理します。

財団が投票理由に書いた5つの懸念

投票理由は、CIP-100 の形式で IPFS に置かれています。冒頭で、提案がリスクや費用、関連当事者への支払いを率直に開示している点は評価するとしたうえで、判断の理由を5つに分けて書いています。

1つ目は、安全策より先に資金が出ていくことです。2,200万 ADA の全額は、受け取り手が管理する鍵のアドレスへ送られ、受け取り手自身が管理者を名乗っています。財団は、自分で管理する形の提案でも資金の使い道を保証する組み立ては可能だとしつつ、この提案には監査や保管などの安全策が書かれていないと指摘しました。

2つ目は、国庫が値上がりに賭ける立場を持つことです。引き出し額のうち銅の購入に充てるのは66.93%で、提案者自身の試算では、ADA と米ドルの相場が変わらない場合、国庫が ADA を取り戻すには銅が1ポンド6.73ドルから約10.06ドルへ、約49%上がる必要があります。財団は1980年以降の月次の銅価格を独自に分析し、過去の最高値から10%以内の水準で買った場合、その後36か月で値を下げた例が69%、49%以上上がった例は13%だったとしています。

3つ目は、分散にならないことです。単一の実物資産に集中して持つのは、ADA に偏った持ち方を工業用金属の値動きに置き換えるだけで、本当の分散には株式指数のような、互いに連動しにくい資産を長く持つことが要る、という立場です。

4つ目は、費用が成果ではなく資金の額に結びついていることです。提案者の Toto Finance へ直接払われる額は最大3,360,023 ADA で、そのうち技術開発・管理費の2,640,000 ADA は、作業量ではなく総額の12%として決められています。第三者の請求書には最大30%の上乗せが認められ、一部は提案者自身の TOTO トークンで精算される可能性があるとも書いています。

5つ目は、Cardano の側から準備金を確かめることも、約束を守らせることもできない点です。倉庫の名前は示されておらず、保有の証明は受け取り手が管理するチェーン外の報告です。Cardano 側のトークンの発行が、最新の保有証明と結びついているわけでもありません。

倒産のときに、国庫は取り戻せるのか

財団がとくに具体的に書いたのが、提案者が経営に行き詰まった場合の扱いです。銅の法的な所有権は Toto Finance が持ちます。36か月の期間中に同社が支払い不能に陥れば、銅、トークンの鍵、使っていない ADA はすべて同社の破産財産に入り、債権者への返済のために銅が売られる可能性がある、と財団は説明しています。国庫は自分で債権を届け出ることができないため、何も戻らないこともありうる、という指摘です。

提案が約束する国庫のための担保についても、担保を受ける側の名前がなく、資金が支払われた後に整える予定になっている点を挙げています。さらに、正式なトークンは Ethereum の ERC-20 で、Cardano にはブリッジした分を置く構成のため、国庫はブリッジのリスクも負います。財団は、Cardano の上には追加の機能を持たない仮想的なトークンが置かれるだけで、Cardano にとっての戦略的な価値という提案者の主張は弱まる、と結論づけました。

反対票は、エポック661の終わりから5倍近くに

10月29日14時22分(日本時間)に AdaStat から取得し、Koios と照合した値では、DRep の賛成は可決の計算で0.38%(3票)です。可決の基準は67%で、この割合は未投票の分も分母に含めて計算します。投票済みの反対は38.81%(76票)、常に不信任を選ぶ設定(AlwaysNoConfidence)が2.96%、未投票が57.85%です。棄権は5票で、分母には入りません。この種類の議案に SPO の投票はありません。

エポック661の終了時点では、明示的な反対は16票・分母の約2.9%でした。2週間足らずで、反対の票数は5倍近くに増えています。憲法委員会は7人のうち2人が反対を投じ、5人は未投票です。

大口の DRep の動きも分かれています。Cardano 財団が反対を選んだ一方で、EMURGO と Yoroi W₳llet の DRep は10月29日に棄権を投じました。

期限のエポック668まで

投票の期限はエポック668の終わり、11月16日6時44分ごろです。賛成が67%に届くには、未投票の大半が賛成に回る必要があります。次に確かめる点は、GovTool の提案ページで、憲法委員会の残り5人がどう投じるかです。委員会の承認がなければ、DRep の賛成が足りても国庫からは出ません。

国庫の使い道を、公共財や開発の支援に限るのか、資産の運用にも広げるのか。財団の反対票は、その線引きを銅という具体的な案で示した形になりました。実物資産のトークン化そのものを否定したわけではない、という点は、財団自身が投票理由の要約と本文の冒頭の両方で書いています。

ことば

  • CIP-100 — Cardano のガバナンスで、提案や投票理由をどんな形式のデータで残すかを決めた規格。財団の今回の理由書もこの形式で、誰でも原文を読めます。
  • AlwaysNoConfidence — DRep を選ぶ代わりに「常に不信任」を選べる委任先。この提案のような国庫の引き出しでは、反対と同じ側に数えられます。
  • 破産財産 — 会社が破産したとき、債権者への返済に充てるためにまとめられる財産。名義が提案者にあれば、国庫の資金で買った銅もここに入ります。

一次ソース / 関連リンク

Cardano 財団の投票理由(CIP-100・IPFS)(gateway.pinata.cloud)

Cardano 財団の投票理由(PDF 版・IPFS)(ipfs.io)

Cardano Strategic Copper Reserve(GovTool の提案ページ・投票状況)(gov.tools)

タグ: #DRep
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