Cardano 財団は 10 月 28 日、2026 年版の開発者調査「State of the Cardano Developer Ecosystem」を、Info Action(情報提供のためのガバナンス提案)としてチェーンに提出しました。質問も回答もオンチェーン調査の規格 CIP-179 で記録され、誰でも集計を検算できる形で、11 月 30 日まで回答を受け付けています。
2022 年から毎年続いてきた調査で、今年は集計の元になる回答そのものを公開し、誰でも検算できる設計に変わりました。予算や開発の優先順位をガバナンスで決めていく Cardano にとって、判断材料そのものを検証できる形で持つ試みです。回答は日本語でもでき、ステークプール運用についての質問も含まれています。
投票を求めない Info Action
提案のタイトルは「State of the Cardano Developer Ecosystem – 2026 Survey」です。提案書(チェーン上のハッシュと一致することを編集部で確認しました)の冒頭には、投票すべき事柄はないと明記されています。Info Action は承認されてもプロトコルにも資金にも何も起きない種類の提案で、今回はそれを告知の場として使っています。
理由も提案書に書かれています。ガバナンス提案は開発者のコミュニティを越えて広く読まれ、議論される。だから、普段の開発者向けチャンネルを見ていない開発者にも、その人を知る DRep(委任代表者)や SPO(ステークプール運営者)を通じて届くことを期待している、という説明です。投票は不要で、記録を残したい場合は棄権(Abstain)を選んでほしいとしています。
実際の票の入り方もそれに沿っています。10 月 30 日 20 時 23 分(日本時間)の時点で、DRep の票は賛成と反対が各 2 票、棄権が 14 票でした。提案に必要な預け金 10 万 ADA は Cardano 財団が負担しており、調査の準備とサイトの運用も同財団の資金で行うと説明されています。そのうえで、回答は答えた人たちの見方であって財団の見解ではない、とも添えています。
CIP-179 で、何がチェーンに載るのか
CIP-179 は、アンケートや投票をトランザクションのメタデータとして記録するための規格案です。2025 年 10 月に作成され、現在のステータスは「Proposed(提案中)」。調査の定義・回答・取り消しの 3 種類を、メタデータのラベル 17 番に書き込む決まりになっています。単一選択・複数選択・順位付け・数値の範囲・評価など 7 種類の質問形式を扱えます。
今回の調査は、まず 10 月 27 日(日本時間)に調査の定義そのものがチェーンに書き込まれました。メタデータを読むと、タイトル、回答の締め切りとなるエポック、そして選択式と自由記述をあわせた 52 の質問項目が並んでいます。翌日に出された Info Action は、提案書の中に調査を参照する項目を持たせる形で、この調査を指し示しています。CIP-179 では、ガバナンス提案の側から調査を参照する、という向きでつなぐことになっているためです。
回答する側の負担は小さく抑えられています。提案書によれば、所要時間は約 15 分で 9 言語に対応し、ウォレットも ADA も必要ありません。調査を動かすコードと報告書を作るコードは GitHub で公開されており、締め切り後に処理期間を置いて結果を公表する予定です。
一方で、回答は公開されます。提案書は、回答がブロックチェーンに記録されるため公開情報になることを明記し、その意味は回答を始める前にサイトで説明するとしています。質問の中には、プロジェクトのサイトやリポジトリを尋ねる項目があり、そこに書いたリンクは公開され、すべての回答がそのプロジェクトと結びつく、と注記されています。答える前に一度目を通しておきたい点です。
SPO と日本の開発者にとっての意味
提案書は、技術的な作業を担う SPO にも回答を呼びかけています。ステークプールの運用についての質問があるためです。質問項目にも、取り組んでいる分野の選択肢として「ステークプールの運用」が入っています。ノードを動かしている人の声が、開発ツールやドキュメントの改善と同じ表に並ぶことになります。
9 言語の中には日本語があり、提案書には日本語版ページへのリンクも載っています。英語のアンケートだと回答をためらう開発者にとっては、入口がひとつ低くなりました。
2025 年版の回答者は 109 人でした。提案書は、結果がツールの作り手、ドキュメントの書き手、資金の出し手が何を先にやるかを決める助けになるとし、DRep・SPO・憲法委員会のメンバーとして判断に関わる人にとっても、開発者の実情を知ることは意味がある、と書いています。トレジャリーからの予算提案を評価するとき、開発者が何に困っているのかを自分で数え直せるデータがあれば、提案者の説明を受け取るだけの立場から一歩進めます。その価値は回答者の数で決まるため、財団は知り合いの開発者に調査を回してほしいとも呼びかけています。
次に見るもの
回答の締め切りは 11 月 30 日です。それまでは GovTool の提案ページで、DRep と SPO がこの告知にどう反応しているか(棄権が増えていくか)を追えます。結果は締め切り後の処理期間を経て公表される予定で、2025 年版は GitHub Pages で公開されています。2026 年版が出たら、GitHub の公開コードでチェーン上の回答を数え直し、報告書の数字と一致するかを確かめられるかどうか。オンチェーンで調査を行う意味は、そこで試されます。
ことば
- CIP-179 — Cardano でアンケートや投票をトランザクションのメタデータとして記録するための規格案。ガバナンス提案では扱いにくい意見の集計を、誰でも数え直せる形で残すために作られました。
- Info Action — 承認されても何も実行されない、意見表明のためのガバナンス提案。今回は広く読まれるというその性質を、調査の告知に使っています。
- Keyholder — CIP-179 で回答者の資格として定める区分のひとつで、支払い用の鍵を持っていることを指します。今回の調査はこの区分で回答を受け付ける定義になっています。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano 財団公式 X の告知
https://x.com/Cardano_CF/status/2115400500963312112
State of the Cardano Developer Ecosystem – 2026 Survey(GovTool の提案ページ)(gov.tools)
Info Action の提案書(IPFS)(ipfs.blockfrost.dev)
調査サイト(日本語版)(devsurvey.cardano.org)

adastat.net
調査と報告書のソースコード(GitHub)(GitHub)

cardano-foundation.github.io

Cardano Community Digest(10 月 28 日号・Cardano Forum)
Cardano Forum
