Cardano の公式 X は日本時間 10 月 31 日 4 時 7 分、トレジャリーから 960 万 ADA を求めている PFMS の提案を、11 月 6 日 1 時 30 分 (日本時間) からの Governance Hour #13 で取り上げると告知しました。Cardano Foundation でガバナンスを担当する Nicolas Cerny 氏が、提案者である Trivolve Tech の創業者 Rahul Konudula 氏と 30 分間話し合います。
投票は期限のエポック 669 まで 3 週間を残し、DRep (委任代表者) の賛成は可決基準で 21.05% と、4 日前の 4.61% から大きく伸びました。一方で、投票済みの反対も 13.41% あり、DRep の側からは予算の使い道とインドの既存システムとの関係について、具体的な問いが出ています。公開の場での質疑を前に、投票の現在地と、DRep が投げかけている問い、提案者の答えを順に整理します。
Governance Hour #13 が取り上げる論点
Governance Hour は、Cardano 公式アカウントが告知しているガバナンスの公開対談シリーズです。イベントページによると、今回は「公共部門の基盤を、Cardano が大きな規模で支えられるか」を主題に、提案の実装方法、見込まれるネットワークの利用量、資金のマイルストーン、独立した監督の仕組み、そして行政機関の中で大規模なシステムを動かし続けることの難しさを話し合います。
ページは、機会と同時に実務上の問いにも目を向けるとしています。ブロックチェーンで何を確かめられるのか、提案が掲げる数字をどう測るのか、納品のあいだの説明責任をどう保つのか、という三つです。PFMS は、警察の証拠の「指紋」にあたるハッシュ値と時刻を Cardano に刻み、証拠そのものや個人情報はチェーンの外に置く仕組みで、最初の導入先はインドのテランガナ州とされています。提案の中身と支払いの条件は、10 月 22 日の記事で取り上げました。
賛成 21.05%、投票済みの反対 13.41%
2026 年 10 月 31 日 14 時 21 分 (日本時間) 時点の集計は次のとおりです。
- DRep の賛成: 可決基準 (未投票を分母に含め、棄権は除く) で 21.05% (27 票)。可決に必要なのは 67%
- 投票済みの反対: 13.41% (27 票)
- AlwaysNoConfidence (常に不信任を選ぶ既定の DRep) に委任された分: 2.52%
- 未投票: 63.02%
- 棄権: 5 票 (分母に含めない)
- 憲法委員会: 7 人のうち賛成 1 人、6 人が未投票
賛成と反対の票の数は同じ 27 票ですが、投票力 (委任された ADA の量) では賛成がおよそ 11 億 ADA、反対がおよそ 7 億 ADA です。10 月 27 日の記事の時点では賛成 4.61%、反対 2.23% だったので、この 4 日で賛否の両方が大きく動いたことになります。ただ、未投票がまだ 6 割を超えており、大口の DRep が 1 票入れるだけで数ポイント変わる段階です。トレジャリーの引き出しは SPO の投票対象ではないため、可否は DRep と憲法委員会の票で決まります。期限はエポック 669 (日本時間 11 月 21 日午前 6 時 44 分頃) です。
DRep から出ている二つの問い
反対票を入れた DRep の一人、Dori 氏は 10 月 30 日の投稿で、提案書の予算配分を取り上げました。再利用できる中核の基盤に充てられるのは予算の 28% (268 万 ADA) で、テランガナ州向けのシステム統合・試験・接続部品には 38% (365 万 ADA) が充てられている、という読み方です。さらに作業パッケージ文書に、州ごとの接続部品の設定は非公開にすると書かれている点を挙げ、ほかの州が同じ仕組みを使おうとすれば同じ統合費用がまたかかり、それがまたトレジャリーに回ってくる、と指摘しています。
Dori 氏は取引件数の見込みにも触れています。初年度 153 万件という数字は予測であり、契約として約束されているのは、最後の支払いにあたるマイルストーン 4 の時点での 3 か月 39 万件だ、という指摘です。その時点で 960 万 ADA は払い終わっており、その後の件数を保つ義務はない、とも書いています。
もう一つの問いは、DRep の Input Endorsers からです。テランガナ州の警察はすでに、インド政府の機関である国立情報学センター (NIC) が開発したデジタル証拠システム「eSakshya」を使っており、そこでも暗号学的なハッシュ値や改ざんできない保存が使われている、という指摘です。Input Endorsers は 10 月 24 日に反対票を入れたことを公表しており、「テランガナ州の納税者には見合う買い物かもしれないが、Cardano のトレジャリーにはそれほど合わない」とも書いています。
提案者 Rahul Konudula 氏の答え
Rahul Konudula 氏は 10 月 30 日夜 (日本時間)、DRep への回答を X に投稿しました。まず、インドの法廷が公開ブロックチェーン上のハッシュ値を証拠として認めるのかという問いに対して、NIC のブロックチェーン技術の研究拠点が司法でのブロックチェーン活用について出した資料に、法廷に出す証拠の保全に使えると書かれていることを挙げ、認められると答えています。
eSakshya については、PFMS が連携する既存の政府システムの一つだと位置づけています。eSakshya の役割は特定のデジタル証拠の取得・保全・電子提出にあり、PFMS はそれを置き換えるものではなく、政府のシステム群の下に敷く技術の層になる、という説明です。売れる製品なのかという問いには、最初の利用者はすでに決まっており、提案で示した数字はすべてその最初の利用者の 1 年目の利用から出したものだと答えています。
Dori 氏が挙げた予算配分と非公開の接続部品について、提案者がどう答えるかはまだ示されていません。11 月 6 日の Governance Hour で「数字をどう測るか」「説明責任をどう保つか」が扱われるなら、この点にも触れられるはずです。
配信は日本時間 11 月 6 日の深夜 1 時 30 分からで、配信先の URL はイベントページに載っています。見終えたら、gov.tools の PFMS の提案ページを開いて、未投票の 63% のうち大口の DRep が投票理由をどう書くかを確かめると、この対談が票にどう効いたのかが見えてきます。
ことば
- Governance Hour — Cardano 公式アカウントが告知している、ガバナンスの議題を当事者と話し合う公開の配信です。今回の #13 は、投票が続いているトレジャリーの請求を、提案者本人を迎えて取り上げます。
- eSakshya — インド政府の国立情報学センター (NIC) が開発した、警察向けのデジタル証拠システムです。PFMS と目的が重なるのではないかという問いが DRep から出ており、提案者は連携先の一つだと答えています。
- 可決基準 — 賛成の割合を、未投票を含めた DRep の投票力全体で割った値です。棄権は分母から除きます。トレジャリーの引き出しは、この値が 67% に届くことが条件の一つです。
一次ソース / 関連リンク
- Cardano 公式 X の Governance Hour #13 の告知
https://x.com/Cardano/status/2116245547593908636

Governance Hour #13 のイベントページ (AddEvent)
addevent.com
GovTool の PFMS 提案ページ (投票状況)(gov.tools)

DRepTalk
- Dori 氏の投稿 (予算配分と取引件数への指摘)
https://x.com/dori_coin/status/2116017487758393466 - Input Endorsers の投稿 (eSakshya との関係)
https://x.com/InputEndorsers/status/2115982013169610988 - Input Endorsers の反対票の公表 (10 月 24 日)
https://x.com/InputEndorsers/status/2113813680592707837 - Input Endorsers の投稿 (テランガナ州の納税者が負担すべきという見方)
https://x.com/InputEndorsers/status/2115058821718495527 - Rahul Konudula 氏の回答
https://x.com/Rahulkonudula/status/2116156527228657983

