Cardano の永久先物取引所 ATLAS が、日本時間 11 月 2 日 8 時 45 分に「Atlas Beta Public Mainnet is LIVE.」と告知し、メインネットでの永久先物の取引をベータ版として一般に開きました。Cardano の上で、ステーブルコインを担保にしたレバレッジ取引の場がもう一つ動き出したことになります。
Cardano の公式アカウントも 3 日未明に公開を祝っています。SIPO.TOKYO では 3 日朝に初期報をお伝えしました。この記事では、ATLAS の公開ドキュメント (docs) に書かれた上限・手数料・価格の決め方を読み、ベータ版がどこまで絞って始まったのかを確かめます。
BTC/USD を最大 5 倍、1 建玉 300 までで始まったベータ版
ATLAS の告知は「数か月の構築とテストを経て、Cardano での永久先物の取引が開いた」という短いもので、取引画面と docs へのリンクが添えられています。永久先物 (perps) は満期のない先物で、手元の担保より大きなポジションを持てるのが特徴です。
docs の「Leverage & Margin」ページには、11 月 2 日時点の BTC/USD の上限が、メインネットのオープンベータとテストネット (Cardano Preprod) に分けて載っています。
- 建玉を開くのに必要な最低の担保: メインネット 30 / テストネット 10
- 1 つの建玉の最大サイズ: メインネット 300 / テストネットは個別の上限なし
- 最大レバレッジ: メインネット 5 倍 / テストネット 50 倍
単位は、選んだ米ドル建てステーブルコインの枚数です。たとえば担保 30 を 5 倍にすると建玉は 150、担保 60 を 5 倍にすると上限の 300 に届きます。この上限は建玉 1 つごとのもので、口座全体の合計ではないと docs は説明しています。
テストネットで 50 倍まで試せた仕組みを、メインネットでは 5 倍と小さな建玉に絞って開けた形です。docs は、使える容量がこの上限より小さくなることもあり、注文は処理のたびに検査されるとも書いています。担保に使えるステーブルコインは市場とネットワークごとに異なり、テストネットでは USDCx・USDM・USDA の 3 種が用意されています。
担保 30・5 倍で開くと、手数料は 0.30
docs の「Fees」ページには、11 月 2 日にメインネットの設定と照らし合わせたという BTC/USD の手数料が載っています。建玉を開くときの手数料は建玉サイズの 0.20% で、担保と同じステーブルコインで払います。担保 30 を 5 倍にした建玉 150 なら、手数料は 0.30 です。これとは別に、建玉を開く注文が約定したときに 1 ADA のネットワーク手数料と、Cardano の通常の取引手数料がかかります。
建玉を持っている間は、市場ごとに決められた 1 時間あたりの借入手数料が積み上がります。いまの仕組みでは、ロングとショートに同じ率をかけ、利用率や偏りに応じた上乗せは自動では行わないとしています。
ADA まわりで 1 つ気をつけたいのは、建玉を開くときの 2.5 ADA、決済や利確・損切りの注文での 2 ADA という預け入れです。docs はこれを手数料ではなく、スマートコントラクトの出力に必要な ADA の確保だと説明しており、使わなかった分は戻ります。ウォレットの署名画面で ADA が多めに見えても、すべてが支払いになるわけではありません。
決済は 2 段階です。「Close」を押すと損益が確定して支払い待ちになり、別の取引でステーブルコインがウォレットに届きます。受け取る額は「担保 + 価格の損益 − 借入手数料」です。清算は建玉の全部が対象で、一部だけを清算する仕組みはないと明記されています。
約定価格を証明する運営者と、それを検査するバリデータ
docs の「How Atlas Works」で最も読み応えがあるのは、約定価格をどう決めるかの節です。ATLAS では、価格サービスが市場のデータを集め、許可された市場の運営者が、その取引に使う価格を証明 (attest) します。プロトコル全体の価格を定期的に書き込む、独立したオラクルの UTxO (Cardano 上でデータを保持する取引の出力) は置いていません。
Cardano のバリデータは外部の取引所を照会できないため、証明された価格が世界の市場価格と等しいことまでは独立に証明できません。docs はこの点を隠さず、価格の権限は「設計として許可制」であり、利用者と流動性の提供者は運営者の価格の仕組みに頼る部分がある、と書いています。そのうえで、価格の新しさ、スリッページや指値の範囲、清算の条件、担保とレバレッジ、会計の整合はバリデータが毎回検査します。
全取引の相手方は、流動性の提供者がステーブルコインを預けた 1 つの Vault です。トレーダーが勝てば Vault から払われ、負ければ Vault に入ります。価格の証明が正しく働くかどうかは、トレーダーだけでなく、Vault に資金を預ける側の損益にも直結します。ベータ版が 5 倍・1 建玉 300 という小さな幅で始まったのは、この仕組みを実際の資金で確かめる段階だと読めます。
安全面について ATLAS は 9 月 11 日、独立したセキュリティ評価を 1 回終え、2 回目の審査が数週間のうちに終わる見込みだと公式 X で説明していました。今回の公開の告知と docs には、2 回目の審査の結果についての記述はありません。
Strike と並べて見える、Cardano の永久先物の現在地
Cardano の永久先物では、Strike が先に規模を広げています。10 月 27 日の Signal でお伝えしたとおり、Strike は SUI を最大 20 倍で加えて 34 の市場を並べ、10 月 30 日には 24 時間の取引高 3,000 万ドルで過去最高を更新しました。ATLAS は BTC/USD の 1 市場・最大 5 倍から入っており、出発点の幅はかなり違います。
そのぶん、ATLAS の docs は上限と手数料を「11 月 2 日時点の値」として日付つきで公開し、価格の決め方の弱点まで書いています。同じ 11 月 2 日には、貸し出しの Surf がレバレッジと清算の機能を再開し、Midnight では Ascend が予測の永久先物を始めました (Daily Intel 11/3)。交換と貸し出しが中心だった Cardano の DeFi に、先物を扱う場が複数並ぶ段階に入っています。場が増えるほど、どこの価格を使い、誰がそれを保証するのかが、利用者が取引所を選ぶときの物差しになっていきます。
上限の表が書き換わるとき
ATLAS 自身は告知を「作って、出した。次は広げる」と締めています。広げる段階で最初に動くのは、docs の「Leverage & Margin」ページにある「Network and Market Limits」の表です。最大レバレッジ 5 倍・1 建玉 300 という値と、表の日付 (いまは 11 月 2 日) が更新されたとき、ベータ版は次の段階に進んだことになります。あわせて、ATLAS の公式 X で 2 回目のセキュリティ審査の結果が公表されるかどうか、取引画面に BTC/USD 以外の市場が加わるかどうかを見ていきます。
ことば
- 永久先物 (perps) — 満期のない先物取引です。価格の差だけをやり取りし、担保より大きな建玉を持てます。Cardano では Strike に続き、ATLAS がメインネットに場を開きました。
- Vault — ATLAS で全取引の相手方になる共同の資金プールです。流動性の提供者がステーブルコインを預けて LP トークンを受け取り、借入手数料とトレーダーの損益で価値が動きます。
- 価格の証明 (attest) — 許可された運営者が、その取引に使う価格に署名して示すことです。バリデータは外部の取引所を見られないため、ATLAS はこの方式で価格を取引に添えています。
一次ソース / 関連リンク
- ATLAS 公式 X の告知 (Atlas Beta Public Mainnet is LIVE.)
https://x.com/ATLAS_DEFI_/status/2117040248551063958 - Cardano 公式 X の祝福ポスト
https://x.com/Cardano/status/2117335952607650028

Atlas docs: Leverage & Margin (Network and Market Limits)
docs.atlasdefi.org

docs.atlasdefi.org

docs.atlasdefi.org

docs.atlasdefi.org

Atlas docs: Getting Started with Trading
docs.atlasdefi.org
- ATLAS 公式 X (9 月 11 日・セキュリティ審査の状況)
https://x.com/ATLAS_DEFI_/status/2098415254472450510

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