Cardano の合成資産プロトコル Indigo は日本時間 11 月 3 日未明、INDY をステークした利用者に貸し出しの利息や PSM の手数料の一部を戻す「INDY キャッシュバック」の初回の支払いを今週行うと発表しました。1 万 INDY 以上のステークで利息の 5%・PSM の手数料の 25%、5 万 INDY 以上で 10%・50% が戻る段階制です。
ガバナンスのためのトークンを持つことと、そのプロトコルを使うことを、手数料の払い戻しで直接結びつける仕組みが、10 月 5 日の開始から約 1 か月で最初の支払いを迎えます。Cardano の DeFi で先物やレバレッジの場が増えるなか (Daily Intel 11/3)、貸し出し側のプロトコルが利用者を引き留める手段を工夫し始めた例でもあります。この記事では、9 月の紹介記事に示された上限と条件を読みます。
ステークと利用を結ぶ 2 つの払い戻し
Indigo は 9 月 23 日 (日本時間) に公式 X の記事でこの仕組みを紹介し、10 月 5 日に開始しました。紹介記事は、トークンの新規発行に頼らない形へ移ったことを背景に挙げ、INDY のステークとプロトコルの利用は、これまで別々の行動だったと説明しています。INDY をステークしても Indigo を使う必要はなく、借り手や PSM の利用者も INDY をステークする理由が薄かった、という問題意識です。
そこで用意されたのが次の 2 つです。
- 貸し出しの利息のキャッシュバック: Indigo で借り入れをしている INDY のステーク保有者に、付いた利息の一部を戻す
- PSM の手数料のキャッシュバック: PSM (ステーブルコインの価格を保つための交換の仕組み) で払った手数料の一部を戻す
2 つは独立していて、条件を満たせば両方を受け取れます。11 月 3 日の告知は、キャッシュバックはステーキングの報酬とは別に上乗せで支払われると説明しています。
割合は 2 段、上限は 6 段
紹介記事の表では、戻る割合は 1 万 INDY 以上と 5 万 INDY 以上の 2 段で、5 万 INDY 以上は利息 10%・PSM の手数料 50% で頭打ちになります。そのうえで、1 か月あたりの払い戻しの上限が、ステーク量に応じて 6 段に分かれています。
- 1 万 INDY 以上: 上限 月 10 ドル
- 5 万 INDY 以上: 上限 月 50 ドル
- 10 万 INDY 以上: 上限 月 100 ドル
- 15 万 INDY 以上: 上限 月 150 ドル
- 20 万 INDY 以上: 上限 月 200 ドル
- 25 万 INDY 以上: 上限 月 250 ドル
上限は利息と PSM の手数料それぞれに同じ額が設定されています。紹介記事の例では、5 万 INDY の段で年利 7.5% の借り入れをしている場合、約 8 万ドルの借り入れで月の利息の 10% が 50 ドルの上限に届きます。PSM では、手数料 0.5% の発行なら 2 万ドル分、手数料 1% の償還なら 1 万ドル分の取引で、同じ 50 ドルの上限に達するとしています。
紹介記事はこの設計の理由を、ステークを増やしても払い戻しの割合が際限なく上がるのではなく、使える上限が広がるようにしたと説明しています。上限がなければ、最低限の INDY だけをステークした大口の借り手が、払い戻しを大きく受け取れてしまうためです。上限は借り入れや取引の件数ごとではなく、口座ごとにかかります。
「平均のステーク」で決まる対象者
対象になるかどうかは、ある時点の残高ではなく、1 か月の期間を通じた平均のステークで決まります。紹介記事は、期間の平均で 1 万 INDY 以上を最低条件としています。払い戻しの額は期間の終わりにさかのぼって計算され、支払われます。借り入れの利息そのものは通常どおり付き、計算の仕組みを変えずに後から戻す形を選んだと説明しています。
11 月 3 日の告知が「今から始めて」と呼びかけているのはこのためです。月の途中でステークしても、その月の平均は 1 万に届かない場合があります。INDY の総供給は Indigo のドキュメントで 2,500 万枚と定められていて、1 万 INDY はその 0.04% にあたります。
Indigo では 10 月 20 日に TxPipe が見つけた脆弱性を DAO の承認を経て修正し (Signal 10/20)、同じ 10 月 20 日には PSM で RealFi の USDrf と iUSD の交換を始めています。PSM の使い道が増えるほど、手数料の払い戻しが効く場面も増えます。
払い戻しは利用を変えるか
月 10 ドルから 250 ドルという上限は、大口の借り手にとっては小さく、少額の利用者にとっては届きにくい額でもあります。そのあいだにいる利用者が、借り入れや PSM での交換を Indigo に寄せる理由になるのか。ガバナンスのトークンを「使う人が持つトークン」に寄せていく試みが、初回の支払いでどう受け止められるかが見どころです。
確認先は 2 つあります。1 つは今週中とされた初回の支払いが実際に行われたかで、Indigo の公式 X での報告で確かめられます。もう 1 つは、10 月 31 日 (日本時間) に Indigo が「詳細は来週」と予告した、Cardano PRIME の資金で開発中の次世代の借り入れの仕組み Indigo PRIME の発表です。金利を自分で決めて借りられる設計とされており、利息のキャッシュバックとの関係も、そこで見えてきます。
ことば
- INDY — Indigo のガバナンストークンで、DAO の提案への投票に使います。ステークするとプロトコルの収益の分配に加わり、今回のキャッシュバックで利用時の手数料の払い戻しも受けられるようになりました。
- PSM — ステーブルコインどうしを決まった比率で交換し、iUSD の価格を保つための仕組みです。Indigo では USDrf などのステーブルコインと iUSD を 1 対 1 で交換でき、そこで払う手数料が払い戻しの対象になります。
- Indigo PRIME — Cardano PRIME の資金提供を受けて開発中の、Indigo の次世代の借り入れの仕組みです。金利の設定や、より多くの資産を担保にできることが掲げられています。
一次ソース / 関連リンク
- Indigo 公式 X の告知 (初回のキャッシュバックの支払いは今週)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2117322301834248425 - Indigo 公式 X の記事 (Introducing the INDY Cashback Program)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2102442135672762844 - Indigo 公式 X (10 月 5 日・プログラム開始)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2107123346848526367 - Indigo 公式 X (9 月 24 日・数字で見るキャッシュバック)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2102814847872196703
Indigo docs: Governance & INDY Staking
docs.indigoprotocol.io
- Indigo 公式 X (10 月 20 日・USDrf と iUSD の交換開始)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2112284246606033388 - Indigo 公式 X (10 月 24 日・Cardano PRIME の資金提供先)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2113801054458617987 - Indigo 公式 X (10 月 31 日・Indigo PRIME の開発開始)
https://x.com/Indigo_protocol/status/2116206664936517966

