LIVE ADA-- MCAP-- TVL-- STAKE-- EPOCH-- Cardano & Midnight 総合情報ポータル
SIPO
HOME › エポックな日々 › Midnight の取引100万件、PFMS の賛成21%に、node 11.2 先行版:エポックな日々664
エポックな日々

Midnight の取引100万件、PFMS の賛成21%に、node 11.2 先行版:エポックな日々664

2026-11-01SIPO

エポック664(2026年10月27日〜11月1日)

序章:量の節目の次に、中身を問われていました

日本時間11月1日6時44分、エポック664が終わりました。

この5日間、Cardano とその周りでは、大きな数字の節目がいくつも並びました。そして節目が出るたびに、「その数字の中身は何か」という問いが、すぐ後ろについてきました。

  • Midnight のメインネットの取引は、10月28日未明までに累計100万件を超えました。そのうち33万件あまりは直近7日間の取引です。一方で、10月27日に出た Midnight 公式の10月の月報には、取引件数も、どのアプリが動いているかの内訳も載っていません。
  • 国庫から960万 ADA を求める PFMS の提案は、DRep の賛成が前号の4.70%から21.42%に伸びました。11月30日に登録を解除すると発表したばかりの EMURGO と Yoroi の DRep が、賛成の票を投じたためです。同時に、予算のうち再利用できる部分はどれだけかという具体的な問いも DRep から出ています。
  • cardano-node 11.2.0 が先行版として公開され、Dijkstra の新しい取引の形や SPO の BLS 投票鍵の登録を、手元で試せるようになりました。ただしリリースノートの「既知の問題」や試験結果の欄は、まだ空欄です。
  • 永久先物の Strike は24時間の取引高3,000万ドルで過去最高を記録し、Liqwid は7〜8月の NIGHT の清算で残った不良債権のポジションをすべて閉じました。

Midnight の100万件、PFMS の21%、Strike の3,000万ドル。どれも、前号までには無かった大きさの数字です。そのぶん、次に問われるのは「誰が、何のために、どう数えたものか」です。軸は「量の節目の次に、中身を問われていました」です。

守りの面では、ハードウェアウォレットの Keystone が、端末が本物かを確かめる鍵まで攻撃者に渡ったと説明し、取引所の Binance では大規模な流出が起きました。Intersect は SPO に、Linux カーネルの重大な脆弱性への備えを呼びかけています。

市場は、ADA が5日間で下げました。12指標の日次の記録で$0.20558から$0.19425へ−5.51%です。第7章で並べます。

第1章:エポック664の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。この章だけで期間の全体像がつかめることを目的にしています。日付は日本時間です。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
10月28日Cardano 公式の Governance Hour #12 で、国庫から2,200万 ADA を引き出して銅を買う提案を、提案者を交えて検討Cardano
10月28日EMURGO が、EMURGO と Yoroi の2つの DRep を11月30日に登録解除すると発表。2つへの委任は合わせて約6億1,344万 ADA(10月28日・Koios)EMURGO
10月28日Cardano 財団が、2026年版の開発者調査を Info Action としてチェーンに提出。回答は CIP-179 で記録し、11月30日まで受け付けCardano Foundation
10月28日Intersect が、2027年の予算を7つの領域に分けて決める CEBP の案を公開し、意見募集を開始。最初の情報アクションは11月10日の提出が目標Intersect
10月28日Cardano 財団が DRep として、銅準備金の提案に反対票。資金が受け取り手ひとりの管理に移ること、費用の重さ、安全策の未整備を理由に挙げるCardano Foundation
10月29日EMURGO と Yoroi の DRep が、PFMS に賛成、銅準備金と AURORA に棄権の票を投じるKoios
10月29日BKIND が、SPO・DRep・憲法委員会の兼任をどこにどう開示するかを定める CIP「Disclosure of Governance Roles」を提出(PR #1311)GitHub
10月30日投票力の最も大きい DRep の YUTA が、PFMS に反対票を投じるKoios
10月31日Cardano 公式が、PFMS を提案者と話し合う Governance Hour #13 を11月5日16時30分(UTC)に開くと告知Cardano

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
10月27日台帳のコードに、Leios の証明書を検証する規則 LEIOSCERT が取り込まれる。29日にはコンセンサス層から呼び出す窓口もGitHub
10月27日SundaeSwap が、Catalyst の Fund 11 で資金を受けた L2 の Gummiworm の仕様書(51本の記事・5万語・図40点以上)の完成を発表SundaeSwap
10月28日cardano-node 11.2.0 が先行版として公開。配布の設定ファイルが新形式になり、11.2 より前のノードでは読めなくなる。メインネットでの利用はまだ推奨されないGitHub
10月29日Intersect が、11.2 を Dijkstra を「エコシステム全体での試験と統合に近づける」版と告知。サブトランザクションと BLS 投票鍵の登録を cardano-cli で扱えるIntersect
10月30日IOG の週次開発報告。Leios の証明書の検証、Hermod の準備、Hydra 2.4.2、UAL 1.0 の仕様などIOG
10月30日BKIND が、ネットワークにつながない端末で署名する SPO・DRep・ウォレットの道具を 1.4.0 にそろえて公開。Wallet Tools は初公開BKIND
11月1日Intersect の週報 #135(10月30日付)が、SPO に Linux カーネルの重大な脆弱性 CVE-2026-98432(CVSS 9.8)への備えを要請。Leios を含む Node 11.3 の先行版は3〜4週間後の見込みIntersect

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
10月27日Midnight 公式が月報「State of the Network – October 2026」を公開。2027年1〜3月期までのロードマップと、Midnight Passport・Companions・Nightmode を紹介Midnight
10月28日Midnight Explorer が、メインネットの累計取引1,019,963件を報告。IOG が「節目」として追認Midnight Explorer
10月28日Midnight Foundation が Sig Network との提携を発表。Ethereum のアプリが資産を Ethereum に置いたまま、利用者の残高と身元を Midnight 側で伏せられる。いまは stagenet で稼働Midnight
10月29日Compact のコントラクトを実行せずに調べる静的解析ツール Nightshade が、96の規則でオープンソース公開GitHub
10月30日Lace のブラウザ拡張版 2.5.0。Cardano のアカウントの NIGHT を Midnight のアドレスに割り当て、Lace の中から DUST を生み出せるようにGitHub
10月30日Midnight が、身元と資産と AI エージェントの権限を自分で管理する Midnight Passport の実演を公開Midnight
10月31日Midnight City で動く AI エージェントが4,500を超え、4日で2,700以上増えたと Angry Crypto Show が伝えるAngry Crypto Show

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
10月28日Liqwid の技術責任者が Cardano PRIME の配信で、分離型の貸し出し市場 Liqwid V3 を説明Liqwid
10月28日Strike が初めてのハッカソンの受賞作を発表。60件を超える提出があり、1位は取引のエージェント CoilStrike
10月28日NIGHT の清算で損失を負った Liqwid の貸し手への払い戻しで、払い戻しの対象になるウォレットを市場ごとに確定(Cardano PRIME)Cardano PRIME
10月28日Cardanoscan が全 DEX の価格と取引を1画面にまとめた画面を公開。FluidTokens は Fluid v4 で借り手向けの P2P の市場を開始FluidTokens
10月28日Strike の V2 の累計取引高が8億ドルを突破Strike
10月30日Strike の24時間の取引高が3,000万ドルとなり、過去最高を更新Strike
10月31日Liqwid が、7〜8月の NIGHT の清算で残った不良債権のポジションをすべて閉じたと発表。wanUSDC の市場の払い戻しは11月2日から請求Liqwid
10月31日Indigo が新しい「Indigo Prime」の開発入りを発表。詳細は翌週Indigo

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
10月28日Cardano 財団の AMA で、インドの10万を超える農地の記録と、ウッタル・プラデーシュ州の警察と運用する鑑識の証拠の管理を紹介Cardano Foundation
10月29日Cardano 財団が、トークン化証券の規格 CMTAT を定めるスイスの業界団体 CMTA に加盟Cardano Foundation
10月30日Keystone が Q&A で、端末が本物かを確かめる Web 認証の鍵も攻撃者に渡ったと説明。Keystone 3 Pro の在庫をすべて廃棄へKeystone
10月30日取引所 Binance のホットウォレットから大規模な流出。共同 CEO の Yi He 氏が、ハッキングによる損失はすべて Binance が補償すると表明。Binance は入出金を一時停止Yi He(Binance)
10月31日IOG が、ホスキンソン氏が東京で Midnight City と個人の AI エージェントについて話した講演の全編を紹介IOG

市場

日付出来事一次ソース
10月28日12指標の記録で ADA が$0.20665。期間の記録での最高。地合いは「リスクオン——BTC・ETH上昇」本記事 第7章(12指標の日次記録)
10月30日12指標の記録で ADA が$0.19463。24時間比−5.80%本記事 第7章(12指標の日次記録)
10月31日12指標の記録で ADA が$0.19425。期間の記録での最安。地合いは「全面リスクオフ——株式・暗号資産・金が揃って下落、資金はドルへ逃避」本記事 第7章(12指標の日次記録)

この5日間でいちばん出来事が多かったのは、Midnight でした。取引の累計が100万件を超え、Ethereum のアプリから Midnight の秘匿を呼び出す道と、Cardano のウォレットの中から Midnight を使い始める道が、同じ週に開きました。量の節目と、その中身についての問いを、第2章で扱います。

ガバナンスは、票が大きく動いた5日間でした。国庫の3件の票は、登録解除を控えた大口の DRep の投票で形を変えました。第3章で扱います。来年の予算を7つの領域で決める案と、約6億 ADA の委任が行き先を探す EMURGO・Yoroi の登録解除、兼任を開示する書式の提案は、第4章です。開発では node 11.2 の先行版が出て、Leios の規則が台帳に書き込まれ始めました。SPO への脆弱性の注意とあわせて第5章です。DeFi の記録と後始末、そして端末と取引所の信頼の揺らぎは、第6章で扱います。

第2章:Midnight の100万件と、まだ数えられていない中身

1か月で、1日128件から4万件台へ

Midnight のメインネットの取引の累計が、100万件を超えました。最初に伝えたのは、TexLabs が運営する独立系のブロックエクスプローラー Midnight Explorer です。10月28日0時7分の投稿で、累計が1,019,963件を超えたと報告しました。1日の件数は、9月27日の128件から、10月26日には47,714件に増えています。

その約1時間後には、MSB Intel が、100万件のうち33万4,000件超が直近7日間の取引だったと伝えました。前日の10月27日朝には、同じ MSB Intel が、10月25日の1日の取引49,229件を「過去最多」と報告しています。同じ日の Zcash の20,445件の2倍を超える数字で、SIPO.TOKYO が Midnight Explorer の日次のチャートと Blockchair の Zcash の日次集計で確かめたところ、どちらの値も一致していました。

転機は9月28日でした。Midnight 公式の9月の月報で、メインネットへのスマートコントラクトの公開が、公開テスト網 Preprod でのセキュリティ審査なしにできるようになったと発表されています。Midnight Explorer の日次の推移を追うと、9月末は1日数百件、10月5日に22,655件、10月14日に4万件を超え、10月20日から24日までは毎日48,353〜49,007件の幅に収まっていました。100万件は、1日だけ跳ねた数字の積み上げではなく、4.8万件前後の日が続いた結果です。この水準が続けば、次の100万件は3週間ほどで積み上がる計算になります。

数えたのは外の集計、公式の月報に件数は無い

ここで、数字の出どころを押さえておきます。100万件は、Midnight 財団や IOG が自ら集計した数字ではありません。外部のエクスプローラーが数えた値を、開発元の IOG が「Midnight と、プライバシーを実際に使っているビルダーにとっての節目」として追認した形です。Midnight の公式ドキュメントは、Midnight Explorer をコミュニティの道具で、監査は受けていないと説明しています。

Midnight 公式ブログは10月27日、月報「State of the Network – October 2026」を公開しました。中心は、2027年1〜3月期までの7つの分野にわたるロードマップと、シンガポールの TOKEN2049 で披露された製品群です。ID と資産を自分で管理するアプリ Midnight Passport、利用者を関連するアプリへつなぐ AI エージェント Midnight Companions、Midnight の秘匿を Ethereum へ広げる Nightmode が並びます。一方で、この月報には取引件数やコントラクトの数といった利用の数字が示されていません。

同じ月報には、数字の読み方に関わる告知もありました。Midnight が自ら提供していたメインネットと Preprod 向けのインデクサーと RPC は10月9日に止まり、開発者は Blockfrost に移るか、自前でインデクサーを動かすよう案内されています。チェーンのデータを読む窓口が外の事業者とコミュニティに移ったいま、独立した集計が利用の数字を確かめる主な手段になっています。100万件のうち、どれだけが本人確認や支払いのような実需なのかは、公式の数字ではまだ分かりません。件数の多さが、そのまま経済的な価値の大きさを表すわけでもありません。

Ethereum のアプリから、Midnight を呼び出す

量の節目と同じ週に、Midnight を「外から使う」道が一つ増えました。Midnight Foundation は10月28日、署名ネットワークの Sig Network との提携を公式ブログと X で発表しました。Ethereum で動くアプリが、資産と流動性を Ethereum に置いたまま、利用者の残高と身元だけを Midnight の側で伏せられるようにする仕組みです。

中心にあるのは、Midnight のコントラクトに Ethereum の口座を1つ持たせることです。利用者の依頼は Midnight の Compact の回路で確かめられ、Ethereum の側ではその口座から取引が実行されます。ブログは「ブリッジもラップもしない」と書いており、資産は Ethereum に残ります。秘匿の範囲もはっきり書かれています。Ethereum の側の取引の金額とタイミングは、ほかの口座と同じように見えたままです。伏せられるのは、利用者一人ひとりの活動・残高・取引の履歴で、これらは Midnight の側に置かれます。

10月20日の Nightmode は、利用者が自分の資産を秘匿して使う入口でした。今回は、アプリの側が Midnight の秘匿を部品として呼び出す入口です。いまは Midnight の stagenet(公開前の試験環境)で動いており、預け入れ、Uniswap での交換、Aave への供給、Ethereum の任意のアドレスへの引き出しに対応しています。Sig Network が GitHub で公開した例のコントラクトは1種類で、README は学習と実験のためのものとしています。メインネットの時期は示されていません。

Cardano のウォレットの中に、Midnight の入口

Cardano の利用者の側にも、入口ができました。Lace のブラウザ拡張版 2.5.0 が10月30日未明に公開され、Cardano のアカウントにある NIGHT を Midnight のアドレスに割り当て、Lace の中から DUST を生み出せるようになりました。9月23日の 2.4.0 のリリースノートで「まもなく提供」とされていた機能が、約5週間を経て載った形です。

DUST は、Midnight の手数料とスマートコントラクトの実行に使う資源です。Midnight の技術文書は、NIGHT を太陽光パネル、DUST をそこから生まれる電気にたとえています。DUST は人に送れず、残高は裏付けの NIGHT の量と経過時間から計算されます。上限は NIGHT 1枚あたり5 DUST、上限に届くまでの時間は約1週間です。裏付けの NIGHT を送ると、DUST はその時点からゼロへ向けて減り始めます。同じ版では、ADA を送るときに手元の ADA を先に使い、足りなければ受け取れる状態のステーキング報酬を自動で取引に含める動きも入りました。

なお、NIGHT そのものは公式に「シールドされていない(unshielded)」公開型のトークンです。隠すのはアプリが扱うデータの側で、トークンではありません。

「指摘なし」は安全の証明ではない

コントラクトを書く人が増えれば、書き方の危うさを手元で確かめる道具の価値が上がります。10月29日夜、開発者の Dickson Wu 氏は、Compact のコントラクトを実行せずに読んで危うい書き方を探す静的解析ツール Nightshade を、Apache-2.0 のライセンスで公開しました。プライバシーの漏れ、なりすましのできる認証、署名の検証結果の見落としなどを、96の規則で検出するとしています。既定で動くのはそのうち28の規則です。

Nightshade の文書は、限界も正面から書いています。解析が最後まで終わったことは、選んだ範囲の解析が完了したという意味であって、コントラクトの安全を証明しない。組み込みの規則はすべて試験段階で、精度や見落としの割合の見積もりもまだ無い、という説明です。

100万件の内訳がまだ見えないことと、「指摘なし」が安全の証明にならないこと。この章の数字は、どれも次の問いを連れてきました。Midnight は、使われているかを測られる段階から、何に使われているかを問われる段階へ入っています。

第3章:国庫の3件、大口の票が動きました

3件の票の現在地

国庫から引き出せる額の上限5億 ADA のうち、10月19日の時点の残りは42,604,371 ADA でした(前号)。この枠の中で、3つの国庫引き出しが投票中です。エポック664の終わりの時点の AdaStat の値で、DRep の側を並べます(11月1日朝の取得)。国庫引き出しに SPO の投票はありません。

DRep の投票力Cardano Strategic Copper Reserve(₳2,200万)AURORA(₳94万)PFMS(₳960万)
賛成4票・約1,738万ADA(0.39%)13票・約1億4,676万ADA(3.43%)27票・約11億146万ADA(21.42%)
明示的な反対90票・約19億9,286万ADA47票・約12億9,881万ADA27票・約6億9,891万ADA
No Confidence約1億3,177万ADA約1億3,177万ADA約1億3,177万ADA
未投票約22億7,921万ADA約27億93万ADA約32億968万ADA
棄権(分母外)5票・約7億4,928万ADA9票・約8億9,224万ADA5票・約2,841万ADA
批准の分母約44億2,123万ADA約42億7,826万ADA約51億4,183万ADA
憲法委員会反対2・未投票5反対2・未投票5賛成1・未投票6
期限エポック668エポック669エポック669

可決には、どれも DRep の賛成67%と憲法委員会の承認が必要です。賛成の割合は、未投票を分母に含め、棄権を除いて計算します。前号と並べると、3件とも票の形が大きく変わりました。

登録解除を控えた2つの DRep が、票を投じました

変化の中心にあったのは、EMURGO と Yoroi の DRep です。EMURGO は10月28日13時27分、この2つの DRep を11月30日に登録解除すると発表しました。その翌日、Koios の投票記録によると、2つの DRep は10月29日の昼(日本時間12時7分〜12時44分)に3件の国庫引き出しへ票を投じています。PFMS には賛成、銅準備金と AURORA には棄権です。

2つの DRep の委任量は、Koios の11月1日朝の値で、Yoroi が約3億9,818万 ADA、EMURGO が約2億1,223万 ADA、合わせて約6.1億 ADA です。この量が、PFMS では賛成の側へ、銅準備金と AURORA では分母の外の棄権へ移りました。

  • PFMS(gov_action1wfy3vzxurfgq6wrpxg2qdx3t6wm7ng8xwr26h47kxa8xhd20cr5qqz0wzfc)の賛成は、前号の16票・約2億4,459万ADA(4.70%)から、27票・約11億146万ADA(21.42%)になりました。
  • 銅準備金(gov_action1dmwlfuwm45r0x2d2d96r2kwyjv9hk6ylzmq8xpsay2xecesn6xwqqdlv55z)の棄権は、前号の3票・約1億3,640万ADA から5票・約7億4,928万ADA に増え、分母は約50億7,306万ADA から約44億2,123万ADA に縮みました。
  • AURORA(gov_action1znt2fr0chyye50nj0cdld2dvdjg3xsdfvq0fr37n43uehlvfkqdsqjnuq3n)の棄権も、7票・約2億8,166万ADA から9票・約8億9,224万ADA に増え、分母は約49億2,955万ADA から約42億7,826万ADA になりました。

委任先を返す前に、手元の重みを使い切る。登録解除の発表と投票が1日違いで並んだことで、2つの DRep の最後の判断が、そのまま3件の表の形を変えました。棄権は可決の分母から外れるので、銅準備金と AURORA では、残った反対と未投票の比重がそのぶん大きくなっています。

銅準備金:明示的な反対が分母の約45%に

銅準備金では、明示的な反対が前号の63票・約14億3,224万ADA から90票・約19億9,286万ADA に増えました。縮んだ分母の約45%にあたります。

その中には、Cardano 財団の票があります。財団は10月28日、DRep としてこの提案に反対票を投じ、チェーンに残した投票理由で、実物資産のトークン化の可能性は認めたうえで、資金が受け取り手ひとりの管理に移ること、費用が重いこと、安全策がまだ整っていないことを挙げました。とくに具体的なのは、提案者が経営に行き詰まった場合の扱いです。銅の法的な所有権は提案者の Toto Finance が持ち、36か月の期間中に同社が支払い不能に陥れば、銅・トークンの鍵・使っていない ADA は同社の破産財産に入りうる。国庫は自分で債権を届け出られないため、何も戻らないこともありうる、という指摘です。

同じ10月28日未明には、Cardano 公式の Governance Hour #12 が、この提案を提案者を交えて取り上げました。期限はエポック668の終わり、11月16日6時44分ごろです。賛成が67%に届くには、未投票の大半が賛成に回る必要があり、委員会も反対2・未投票5のままです。

PFMS:賛成は伸び、問いも具体になりました

PFMS は、インドの警察の証拠を、事件の前の証拠集めから法廷までの5つの段階で一本の「証拠の鎖」にし、ハッシュ値だけを Cardano に書き込む仕組みです(前号の第3章)。EMURGO と Yoroi の賛成で、3件の中で唯一、賛成が2割を超えました。

一方で、明示的な反対も前号の8票・約1億1,804万ADA から27票・約6億9,891万ADA に増えています。10月30日には、投票力の最も大きい DRep の YUTA が反対票を投じました(Koios)。賛成と反対の票数は27票ずつで並び、分母の約62%はまだ未投票です。

DRep の側からは、具体的な問いが出ています。反対票を投じた DRep の Dori 氏は10月30日、提案書の予算のうち、再利用できる中核の基盤に充てられるのは28%(268万 ADA)で、テランガナ州向けのシステム統合・試験・接続部品には38%(365万 ADA)が充てられていると読みました。州ごとの接続部品の設定が非公開とされている点も挙げ、ほかの州が使おうとすれば同じ統合費用がまた国庫に回ってくる、と指摘しています。提案者の Rahul Konudula 氏は同じ日の夜、インドの法廷が公開ブロックチェーンのハッシュ値を証拠として認めるのかという問いには、NIC のブロックチェーン技術の研究拠点の資料を挙げて認められると答え、既存の政府システム eSakshya とは置き換えではなく連携だと説明しました。予算の配分の指摘への答えは、本稿の時点で確認できていません。

Cardano 公式は10月31日、PFMS を取り上げる Governance Hour #13 を、11月6日1時30分(日本時間)から開くと告知しました。Cardano 財団でガバナンスを担当する Nicolas Cerny 氏が、提案者と30分間話し合います。賛成が伸びたことで、今度は「何にいくら使うのか」が公開の場で問われる順番になりました。

AURORA と、もう1件の Info Action

AURORA は、賛成が前号の10票・約7,981万ADA(1.62%)から13票・約1億4,676万ADA(3.43%)に、明示的な反対が28票・約11億5,547万ADA から47票・約12億9,881万ADA になりました。縮んだ分母の約30%が明示的な反対です。委員会は反対2・未投票5です。

エポック664には、もう1件の議案が加わりました。Cardano 財団の開発者調査「State of the Cardano Developer Ecosystem – 2026 Survey」(gov_action1wpjynage9uu4rg7rev2g2g2u0spvj5g3fe6lqq286m3dl5tdv47sqhysy4u)です。投票の結果で何かが実行される種類の議案ではなく、情報を共有するための Info Action で、期限はエポック671です。11月1日朝の時点で、DRep は賛成3票・約1,196万ADA、明示的な反対2票・約274万ADA、棄権18票・約14億3,460万ADA。SPO は反対1プール・約200万ADA で、賛成はありません。委員会は7人とも未投票です。第4章で中身を見ます。

3件の国庫引き出しの請求額を合わせると3,254万 ADA で、残り枠の約4,260万 ADA に収まります。ただ、どの1件も可決の基準からは遠い位置にあります。

第4章:来年の予算の地図と、委任の引っ越し

2027年の予算を、7つの領域で決める案

Intersect は10月28日、2027年の Cardano の国庫予算を7つの領域に分けて決める「Cardano Ecosystem Budget Process(CEBP)」の案を公開し、DRep Talk で意見募集を始めました。Intersect は、これまでの予算サイクルで資金申請の量が多く、互いに比べにくかったことが、資本の配分を誤る大きなリスクになっていたと書いています。支出の重複、専門家による評価の不足、時間に追われる判断も課題に挙げています。

案の柱は3つです。Cardano 2030 に向けた年間の目標を定めること、引き出しの上限(Net Change Limit)を7つの予算区分に分けること、区分ごとに取りまとめ役(Steward)を置くことです。2027年の領域と Steward の候補は次のとおりです。

  • コア開発と保守 — Intersect
  • 応用研究 — Intersect
  • 開発者支援 — PRAGMA
  • マーケティング・分析・イベント — Cardano 財団
  • 普及とエコシステムの成長 — Cardano 財団
  • ガバナンスの調整 — Intersect
  • Open Contributions — Steward を置かず、誰でも取りまとめ役を通さずに直接 DRep に提案できる枠

進め方は3段階です。10月は DRep Talk での意見募集。11月は、領域の定義と Steward の指名について構想の承認を問う情報アクションで、11月10日の提出を目標に DRep の51%以上の支持を目安とします。12月から2027年1月にかけて、領域ごとの情報アクションと、2027年の上限を決める情報アクションを同時に出します。各領域は60%以上の支持が目安です。

重いのは第3段階です。領域の情報アクションに賛成することは、2027年はその領域で CEBP に沿わない引き出しの提案に賛成票を投じない、という約束を意味します。CEBP をチェーンの上で強制する手段はなく、案自身もその根幹を社会的な合意と位置づけています。

前号で見た憲法改正案 CAP-3 も、上限を区分ごとに分けるという同じ方向の案でした。CAP-3 は区分ごとの配分を憲法に書き込み、憲法委員会の判断の基準にします。CEBP は憲法を変えず、情報アクションと合意で試します。Intersect の公開ページは CAP-3 に触れておらず、両者の関係は示されていません。拘束力のある改正と、試行として始める合意。性格の違う2つの道が、同じ時期に議論されています。第3章の3件で見たように、いまは1件ずつの請求を、互いに比べる物差しのないまま判断しています。来年の予算の地図は、その物差しを先に描こうとする試みです。

約6.1億 ADA の委任が、行き先を探す

EMURGO が DRep をやめる方針を最初に示したのは8月3日でした。SecondFi(旧 Yoroi)のセキュリティ事案で影響を受けた利用者の支援と回収に力を集中させるため、という説明です。10月28日の発表は、その予告に11月30日という期日を付けました。どちらかの DRep に委任しているウォレットは、11月30日までに別の DRep を選ばないと、ステーキング報酬を引き出せなくなります。発表は、事情によって登録解除の日がさらに延びる余地も残しています。

10月28日の時点(Koios・エポック664)で、Yoroi の DRep には約4億126万 ADA・ステークアドレス15,171件、EMURGO の DRep には約2億1,218万 ADA・815件が委任されていました。件数の多くは Yoroi の DRep にあります。使っているウォレットの名前をそのまま委任先に選んだ利用者も多いと見られ、ガバナンスの発表を追っていない人ほど、期日を知らないまま11月30日を迎えやすい構造です。

止まるのは引き出しで、報酬そのものではありません。CIP-1694 は、DRep に委任していないステークアドレスについて、報酬アカウントからの引き出しを止めると定めています。ステークプールへの委任は別の手続きなので、プールから配られる報酬は積み上がり続け、委任をやり直せば引き出せるようになります。委任のやり直しは、ウォレットの中で取引に署名するだけで、ADA がウォレットから出ていくことはありません。

EMURGO の発表は、新しい DRep を選ぶ観点として、一貫した投票の実績と公開された投票理由、エコシステムへの長期的な関わり、商業と技術にわたる知見、優先事項を同じ重さで見る現実的な姿勢の4つを挙げ、例として5つの DRep の名前を出しました。Cardano 財団、ながまる氏、Phil UPLC 氏、Socious、そして SIPO です。どの DRep を選ぶかは委任者の判断です。SIPO.TOKYO は、委任先を比べるときに、名前ではなく投票の記録と理由を見ることをおすすめします。

兼任を、ID で開示する書式

委任先を選び直す人が増える時期に、委任先の素性を確かめる道具の提案も出ました。ステークプール BKIND を運営する Smit Blockchain Operations は10月29日夜、新しい CIP「Disclosure of Governance Roles」を提出しました(PR #1311)。SPO・DRep・憲法委員会の役割を兼ねる人が、その兼任をどこに、どの形で開示するかを定める提案です。

Cardano の憲法は兼任の開示を求めていますが、場所も形式も決めていません。提案は、すでにチェーンに記録が残っているプールや DRep のメタデータの参照リストに、種類を「Role」とした項目を1つ足し、もう一方の役割の ID を書くというものです。慎重なのは読み取った結果の扱いで、双方が互いを宣言しても、それだけで同一人物の証明にはならないとしています。BKIND は提出と同じ日から、自分のプールと DRep で相互の宣言を始めました。前号で見たとおり、BKIND は上位の DRep の多くがプールの運営者でもあることを指摘していました。その指摘を、名前の一致ではなく ID で確かめられる形にする提案です。

判断の材料を、検算できる形に

第3章で見た Info Action は、2022年から毎年続く Cardano の開発者調査です。今年は、質問も回答もオンチェーンの調査の規格 CIP-179 で記録され、誰でも集計を検算できる形になりました。回答は11月30日まで受け付け、日本語でもできます。SPO の運用についての質問もあり、取り組んでいる分野の選択肢に「ステークプールの運用」が入っています。

DRep の側でも、判断の基準を記録から作る動きが続いています。DRep が集まる DRep Council は10月22日、19の DRep が158件の議案に残した投票理由をもとに、提案を8つの区分に分け、懸念の対応表と書式のひな形をまとめた草案を示しました。草案の本文はまだ公開されていません。予算の地図、委任先の引っ越し、兼任の開示、検算できる調査。どれも、来年の判断の前提をどう整えるかという話です。

第5章:node 11.2 の先行版と、SPO の守り

テストネットが待っていた版

Intersect は10月28日、cardano-node 11.2.0 を GitHub で先行版として公開しました。前号の時点で、Dijkstra の公開テストネットは node 11.1.3 のまま、プロトコルバージョン11(Conway)で動いていました。node 11.2 の先行版が出たあとにハードフォーク開始のアクションを出し、バージョン12(Dijkstra)へ移る段取りです。11.2.0 は、その次の段の入口です。

Dijkstra の側から読むと、この版で初めてそろったものが2つあります。1つは、取引の中に別の取引を入れ子にできるサブトランザクションです。cardano-cli に、サブトランザクション用の build-raw・sign・txid の3つのコマンドが加わり、署名済みのサブトランザクションを外側の取引に何本でも渡せます。もう1つは、SPO の BLS 投票鍵です。プールの登録証明書に BLS の投票鍵を渡して登録し、リリースノートはこの登録を Dijkstra 以降は必須としています。取引を HTTP で送る cardano-submit-api も、Dijkstra の取引を受け付けるようになりました。

Intersect の週報 #135 によると、11.2 は Leios を除く Dijkstra のハードフォークの機能をそろえた先行版で、DijkstraNet の SPO は、テストネットのハードフォークの前に更新が必要です。Leios を含む Node 11.3 の先行版は3〜4週間後、早ければ2週間後の見込みとしています。

設定ファイルが、新しい形式に

ノードを動かす側にとっていちばん大きな変更は、設定ファイルの読み方です。各ネットワーク向けに配られる設定ファイルが新しい形式に切り替わり、11.2 より前のノードでは読めなくなります。ノードとウォレットやインデクサーとの通信(node-to-client)でも古い版が打ち切られ、いくつかの問い合わせが削除されました。後継のある問い合わせもありますが、ノードの外の道具の側にも更新が及びます。

リリースノートは「メインネットでの利用はまだ推奨しない」と明記しています。「既知の問題」、ベンチマークの報告、システムテストの結果の欄は、まだ記入待ちです。正式版が出たときに何が必要になるかは、先行版の段階でほぼ読み取れます。先行版でサブトランザクションや BLS 鍵の手順を一通り通しておけば、メインネットのハードフォークの前に、ノード本体以外の道具との食い違いを見つける時間が取れます。前号で見た Go 言語のノード Dingo は、すでに Dijkstra のテストネットへの接続に対応しています。

Leios の規則が、台帳に書き込まれ始めました

台帳(ledger)のコードには10月27日、Leios の証明書を検証する規則 LEIOSCERT が取り込まれ、29日にはノードのコンセンサス層からその規則を呼び出す窓口も加わりました。Leios では、通常のブロックとは別に、取引をまとめたエンドーサーブロック(EB)が告知され、委員会がそれに票を投じます。定足数を満たした証明書が後のブロックに載り、台帳はそれを受け入れてよいかを判定します。LEIOSCERT は、EB の告知から早すぎないこと、告知が前のエポックのものでないこと、証明書そのものが有効であることの3点を確かめます。30日には EB を適用する規則も入りましたが、いまは告知されたハッシュとの照合だけの最小限の実装です。

同じ週、台帳には SPO と委任者に関わる Dijkstra の変更も入りました。最低手数料の計算にサブトランザクションの分を合算する修正と、前号で見た CIP-23 の考え方による報酬計算です。Dijkstra では、最低固定費や最低マージンを下回る値を宣言したプールの登録はエラーで拒否されなくなり、報酬を計算するときに大きい方が使われます。プールが宣言した値と、報酬計算に使われる実効の値がずれうる構造です。最低マージンの具体的な値は、本稿の時点でも定められていません。

Peras のチームは前号の期間の終わりに出した10月23日付の週報で、投票の暗号方式に BLS 署名を使い、定足数を引き上げる案が当面の方針として Intersect の技術運営委員会(TSC)に確認されたと報告していました。設計文書は、BLS 署名には前方安全性(鍵が盗まれても過去の署名を偽造されない性質)がないことも書いています。Leios でも SPO は BLS 鍵を登録します。Peras の票に使う鍵とどう関係するかは、SPO の運用の手間を左右する点で、引き上げ後の定足数の数値はまだ示されていません。

カーネルの修正と、鍵を切り離す道具

次の版への備えと同じ数週間に、守りの仕事が重なりました。Intersect の週報 #135 は、SPO に向けて Linux カーネルの重大な脆弱性 CVE-2026-98432(CVSS 9.8)への備えを呼びかけています。Ubuntu を含む多くのディストリビューションが影響を受け、修正版のカーネルは一部ですでに出ている一方、Ubuntu などはまだ準備中です。ブロック生成ノードとリレーがどのカーネルで動いているかを確かめ、修正版が出たら適用して再起動するよう求めています。

鍵の扱いでは、BKIND が10月30日、ネットワークにつながない端末で署名するための SPO Tools・DRep Tools・Wallet Tools を、そろって 1.4.0 として GitHub で公開しました。オンラインの端末と署名の端末を QR コードでつなぎ、ブロック生成の予定表の計算、KES 鍵の更新、報酬の引き出し、SPO としてのガバナンス投票までを扱います。今回は、プールのメタデータの URL から実際に配信されているファイルを取りに行き、そのハッシュ値を計算する機能が加わりました。初公開の Wallet Tools は、24個の単語のシードフレーズを作らない形で鍵を保存します。説明書は、エアギャップを守るのはソフトウェアではなく使う人だと明記しています。署名側の端末を物理的に切り離しておく運用が、信頼の起点です。

テストネットのハードフォーク、Node 11.3、そしてカーネルの修正。SPO にとっては、更新の予定が数週間の中に詰まってきました。

第6章:記録と後始末、そして揺らいだ信頼

Strike、13時間で1日の取引高が2倍に

Cardano の永久先物の取引所 Strike は、この期間に節目を立て続けに発表しました。10月28日23時台に V2 の累計取引高が8億ドルを突破、10月30日9時台に1日の取引高が1,500万ドルを超え、同じ日の23時に24時間の取引高3,000万ドルで過去最高を更新しています。集計サイトの CoinGecko でも、31日1時台の Strike の24時間の取引高は378.09 BTC で、当時の BTC の価格で約2,900万ドルと、発表とほぼ同じ水準でした。

読むときに押さえておきたいのは、永久先物の取引高はレバレッジを含む名目額で数えるのが一般的だということです。3,000万ドルは、Strike に預けられた資金の規模ではなく、その上でどれだけ売買が回ったかを示す数字です。Strike は30日朝の時点で、月間の取引高2億ドル超えが目前だと書いていました。10月分は11月1日に締まります。

同じ週、Strike は初めての48時間ハッカソンの結果も発表しました。60件を超える提出があり、1位はデスクトップで動く取引のエージェント Coil です。上位の取引者の注文を写す道具や、相場の見方をレバレッジつきのポジションで裏づけたトークンにする仕組みも選ばれています。取引所の数字と、その上に道具を作る人の数が、同じ週に並びました。

Liqwid、NIGHT の清算の後始末を終える

貸し借りのプロトコル Liqwid は10月31日未明、7〜8月の NIGHT の清算で残っていた不良債権のポジションをすべて閉じたと発表しました。Liqwid の側で必要な手順はこれが最後としています。影響を受けた市場のうち1つを除くすべてで、貸し出しの返済によって損失が埋まり、ポジションはすでに元に戻っているため、利用者が請求する必要はありません。

例外は wanUSDC の市場です。ここでは不良債権を供給者全体で分け合う形になっていたため、別の配布で払い戻され、11月2日から Sundae のアプリで請求できるようになります。10月28日の時点で、払い戻しの対象になるウォレットは市場ごとに確定していました。前号で「まだ告知されていない」とした補填の請求は、今回、日付が付きました。

次の製品の話も続きました。Liqwid の技術責任者は Cardano PRIME の配信で、誰でも自分の貸し出し用のボールトを立ち上げられる分離型の市場 Liqwid V3 を説明しました。前号で見た PRIME の最初の9チームの1つです。担保つきの借り入れの Indigo は10月31日、新しい「Indigo Prime」の開発に入ったと発表し、詳細は翌週としています。

RealFi は、10月26日の分配で sUSDrf の年利を12.20%と公表していました。公式資料が見込みとして示す「最大10%程度」を上回る水準が、10月中旬から続いています。RealFi 自身は、利回りは変動し保証されないとし、損失はまず自社の準備金、次に sUSDrf が負担する順番だと説明しています。準備資産の証明の文書は「まもなく掲載」とされたままです。

端末が本物かを確かめる鍵まで

守りの面では、前号で見た Keystone の件が広がりました。Keystone は10月30日0時23分、利用者向けの Q&A を投稿し、端末が本物かどうかを確かめるための Web 認証の鍵が攻撃者の手に渡ったと説明しました。10月25日の公表では、流出したのは氏名や住所などの配送の情報だとされていました。漏れたものの範囲が「誰が買ったか」から「その端末が本物か」を見分ける仕組みにまで広がったことになります。

鍵が外にあると、攻撃者は本物の鍵を入れた偽の端末を作れ、検証ページを通しても本物に見えてしまう、と Keystone は説明しています。そのため、手元にある Keystone 3 Pro の在庫はすべて廃棄に回し、新しい注文は新しい鍵で作る次の製造分(到着まで4〜6週間)に切り替えます。10月20日より前に受け取った端末は検証ページで確かめたうえで使い続けてよく、10月20日以降に受け取った端末はサポートに連絡するよう求めています。ファームウェアに署名する鍵は漏れた鍵とは別で、ファームウェアの更新はこれまでどおり安全だとしています。注文していない端末に、リカバリーフレーズを入れないことが、これまで以上に重い意味を持ちます。

取引所の流出と、「預けない」設計

10月30日早朝には、取引所 Binance のホットウォレットから、数十億ドル規模の資産が外へ流れ出ました。その9分前の9時4分に共同 CEO の Yi He 氏が「ハッキングによる損失はすべて Binance が補償する」と投稿し、Binance も9時13分に同じ趣旨を公式に表明して、予防措置として入出金をすべて一時停止しています。流出額は調査会社によって約33億ドルから約59億ドルまで幅があり、まだ確認されていません。Midnight の開発に関わる Sebastien Guillemot 氏は、被害は EVM のチェーンに限られ、NIGHT は盗まれていないと投稿しています。ADA や NIGHT を Binance に置いている人は、入出金の再開と扱いの告知を、Binance の公式の窓口で確かめる必要があります。

この件では、ホスキンソン氏が「Midnight がこれを直す」と一言添えた投稿も広がりました。SIPO.TOKYO は10月28日の Deep Dive で、日本で続く個人情報の漏えいを入口に、「データを預からずに、必要な条件だけを証明する」という Midnight の設計を取り上げました。預かる限り、預かった場所が狙われる場所になる。取引所の流出も、ネットショップに預けた購入者の情報も、同じ構造の上にあります。ただ、第2章で見たとおり、Midnight の100万件の中身はまだ数えられていません。「直す」が本当になるかは、使われ方と運営の広がりで見ていくことになります。

Strike の記録と Liqwid の後始末は、DeFi の数字が新しい段に進んだことを示しました。Keystone と Binance は、その外側で、鍵と預け先への信頼がどれほど細い糸の上にあるかを示しました。

第7章:エポック664 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック664期間・10月27日〜10月31日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。この期間の記録は、5日分すべてが Hyperliquid の先物(perp)の価格による同じ取得元です。株価の指標は S&P500 連動先物・米テック100 連動先物・日経225 連動先物です。11月1日朝の記録は、本シリーズの決まりで次のエポックの観測として扱うため含めていません。

この5日間の ADA は、前半は横ばいで、後半に下げました。

日次の記録で$0.20558(10月27日)→ $0.20665(10月28日)→ $0.20558(10月29日)→ $0.19463(10月30日)→ $0.19425(10月31日)。−5.51%です。期間の記録での最高は10月28日、最安は最終日でした。10月30日の記録は、24時間比で−5.80%です。

エポック境界の確定値では、エポック663終了時の$0.205351からエポック664終了時の$0.193400へ、−5.82%。時価総額は$7.71bから$7.27bへ−5.80%です。ADA/JPY は¥32.3394から¥30.4759へ−5.76%、そのときの USD/JPY は157.48から157.58でした。境界の値は、最終日の記録(10月31日朝)の$0.19425を0.44%下回っています。日次の記録と境界の値は、どちらも5%台後半の下げを示しています。

同じ取得元の記録で、ほかの銘柄を初日から最終日の変化の大きい順に並べると、HYPE(+15.68%)、BCH(+3.79%)、ZEC(+1.03%)、TRX(+0.47%)、XLM(+0.27%)、XMR(+0.11%)、LINK(−1.13%)、SUI(−1.75%)、UNI(−1.88%)、DOGE(−2.42%)、LTC(−2.54%)、ICP(−2.70%)、ETH(−3.15%)、DOT(−3.15%)、NEAR(−3.40%)、XRP(−3.41%)、FET(−3.66%)、BTC(−4.06%)、SOL(−5.22%)、ADA(−5.51%)、AVAX(−5.66%)、BNB(−5.87%)、HBAR(−5.93%)、ATOM(−5.93%)、ALGO(−9.07%)です。BTC は$80,070.8 → $76,820、ETH は$2,311.6 → $2,238.7 でした。多くの銘柄が下げた5日間で、ADA の下げは BTC や ETH より大きく、主要なアルトコインの中では下から数えて早い位置でした。SIPO はこの動きを特定の材料には帰しません。

$NIGHT は、5日間とも Cardano の DEX のオンチェーン価格による記録です。$0.039985(10月27日)→ $0.041501 → $0.040965 → $0.03743 → $0.040036(10月31日)で、+0.13%。期間の記録での最高は10月28日、最安は10月30日です。ADA 建てでは0.194499 → 0.206105 ADA と+5.97%で、最終日が期間の記録での最高でした。ドル建てでほぼ横ばいのまま、ADA に対しては値を上げた形です。

地合いは、10月27日の記録が「方向感薄い横ばい局面」、28日が「リスクオン——BTC・ETH上昇」、29日と30日が「方向感薄い横ばい局面」、最終日が「全面リスクオフ——株式・暗号資産・金が揃って下落、資金はドルへ逃避」でした。

株式は、S&P500 連動先物が7,673.9 → 7,581.6(−1.20%)、米テック100 連動先物が29,308 → 28,398(−3.10%)、日経225 連動先物が62,789 → 62,426(−0.58%)で、3つとも10月28日が期間の記録での最高、最終日が最安でした。暗号資産関連株の COIN は159.69 → 143.82(−9.94%)で、最終日の記録が前日比−8.11%と大きく下げています。

原油は、WTI が$101.37 → $103.14(+1.75%)、ブレントが$110.37 → $112.67(+2.08%)と上げ、どちらも最終日が記録上の最高でした。金は$4,019.7 → $3,879.7(−3.48%)で、10月29日の$4,067.8が記録上の最高、最終日が最安です。為替は、EUR/USD が1.1179 → 1.1145でした。USD/JPY(ECB の参照レートからの計算)は10月26日の157.445から10月30日の157.25へ、途中の10月29日に158.059をつけています。

米10年債利回りは、米財務省の値で10月26日の5.00%から10月30日の4.94%へ下がりました。日本国債は、10年が2.837%(10月23日時点)から2.876%(10月29日時点)、30年が3.904%から3.956%で、日米10年金利差は2.163から2.064へ縮んでいます。BTC のボラティリティの指標(BVIV)は40.309 → 42.739で、最終日が記録上の最高でした。

Cardano オンチェーンKPI

行ごとに基準日と出典が違います。Koios はエポックの集計、Dune は取得した時点の最新の値です。ステーキング率は第9章の境界の値に一本化しています。

指標値基準日出典
取引件数(エポック664の5日間合計)138,147件(1日平均27,629件・前エポック126,711件)エポック664全体Koios
Treasury(エポック664終了時点)1,392,896,975 ADA(前エポック終了時点比 +3,621,994 ADA)10月31日21時44分(UTC)Koios
アクティブアドレス(最新日)11,18110月29日Dune
Script Tx比率(最新日)38.94%(同日の取引30,102件中)10月29日Dune
Nakamoto係数16110月31日取得Dune
ステーブルコイン総額$58.83M10月31日取得Dune

取引件数は、エポック663の126,711件から138,147件へ、約9%増えました。前号で約2割減ったうちの一部を取り戻した形ですが、エポック662の156,063件の水準には戻っていません。原因は断定しません。

アクティブアドレスと Script Tx比率は、前号の表の10月24日(土曜日)の値から10月29日(木曜日)の値に進みました。アクティブアドレスは10,042から11,181、Script Tx比率は39.52%から38.94%です。どちらも1日の値どうしの比較で、曜日も違います。

Nakamoto係数は前号と同じ161です。

ステーブルコイン総額は、前号の表の$63.63M から$58.83M へ、−$4.80M です。内訳は、USDCx $40,119,656(前号$43,054,112・−$2,934,456)、USDM $11,521,235(前号$13,325,124・−$1,803,889)、USDA $3,929,095、Djed USD $1,448,565、iUSD $1,343,338(+$2,396)、USDC $350,679、USDT $107,922、DAI $7,984、PYUSD $199 です。前号の表にあった MyUSD は、今号の内訳には現れていません。ステーブルコインはドル建てなので、この減少は ADA の下げとは別の動きです。大きいのは USDCx の約293万ドルと USDM の約180万ドルの減少で、2エポック続けて USDCx が減りました。

ガバナンスアクションの集計は、Koios の取得時点(10月31日22時 UTC)で提案中4・批准81(うち発効81)・失効76・全162件です。前号から、開発者調査の Info Action が1件増えました。本文で追っている議案の状態(AdaStat)とは数え方の範囲が違いますので、突き合わせないでください。

SIPO DRep 活動

SIPO DRep の投票力は、2026年11月1日7時32分の確認時点で約₳116.76M です(Koios・登録済み・active・有効期限エポック680・委任者421名)。エポック663記事の時点では約₳104.63M・416名でしたから、量は+₳12.13M、委任者は5名増えています。委任者は14エポック連続の増加です。投票力の増え方は、委任者の増え方に比べて大きく、まとまった量の委任が加わったと読めます。委任者の事情を SIPO は知りません。

この5日間、SIPO DRep は新しい票を投じていません。銅準備金はエポック668、AURORA と PFMS はエポック669、開発者調査の Info Action はエポック671が期限です。それぞれの期限までに判断し、理由とともに記録します(第3章)。

取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック664 配信記事の紹介

エポック664の5日間に、SITIONグループの3アカウントから配信した記事のうち、暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
10月27日SIPO.TOKYOエポックな日々Dijkstra の試験網が開通、国庫へ初の返却11.5万ADA、PRIME が9チーム選定記事
10月27日SIPO.TOKYOSignalMidnight、1日4万9229件の取引で最多更新記事
10月27日SIPO.TOKYOSignalRealFi の sUSDrf、10月26日の分配で年利12.20%記事
10月27日SIPO.TOKYOSignalShadowLabz、TOKEN2049 で Midnight の秘密投票を実演記事
10月27日SIPO.TOKYOSignalStrike、SUI の永久先物を20倍で開始記事
10月28日SIPO.TOKYODaily IntelMidnight のメインネット、取引100万件を突破記事
10月28日SIPO.TOKYOSignalMidnight の取引100万件、直近1週間で3分の1記事
10月28日SIPO.TOKYODeep Dive漏えいの時代の Midnight、預からずに条件だけを証明記事
10月28日SIPO.TOKYOSignalEMURGO と Yoroi の DRep、11月30日で登録解除記事
10月28日SIPO.TOKYOSignalDRep Council、158 議案の投票理由から提案基準の草案記事
10月28日SIPO.TOKYOSignalPeras の暗号方式、TSC が BLS と定足数引き上げを確認記事
10月28日SIPO.TOKYOSignalGummiworm、Catalyst F11 の仕様書づくりを完了記事
10月29日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団、銅準備金の国庫案に反対票記事
10月29日SIPO.TOKYOSignalIntersect、Cardano の2027年予算を7領域に分ける案を公開記事
10月29日SIPO.TOKYOSignalSig Network、Midnight のコントラクトに Ethereum の口座を用意記事
10月29日SIPO.TOKYOSignalcardano-node 11.2.0 先行版、設定ファイルが新形式に記事
10月30日SIPO.TOKYODaily IntelLace 2.5.0、ウォレットから DUST を生成記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalNode 11.2、Dijkstra の取引を CLI で組み立て可能に記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalBinance で大規模流出、ADA・NIGHT を持つ方へ現時点の整理記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団、トークン化証券のスイス業界団体 CMTA に加盟記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団の開発者調査 2026、回答はすべてチェーン上に記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalSPO と DRep の兼任開示、BKIND が書式の CIP を提出記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalCompact の静的解析 Nightshade、96 の規則で公開記事
10月30日SIPO.TOKYOSignalLace 2.5.0、NIGHT から DUST を生む機能を搭載記事
10月31日SIPO.TOKYODaily IntelLiqwid、NIGHT 清算の不良債権を解消記事
10月31日SIPO.TOKYOWeekly BriefWeekly Brief #30|Midnight のメインネット、累計取引 100 万件に記事
10月31日SIPO.TOKYOSignalPFMS の 960 万 ADA 請求、Governance Hour で公開の質疑へ記事
10月31日SIPO.TOKYOSignalCardano の台帳、Leios 証明書の検証規則を実装記事
10月31日SIPO.TOKYOSignalKeystone、認証鍵の流出で 3 Pro の在庫を廃棄へ記事
10月31日SIPO.TOKYOSignalBKIND のエアギャップ署名ツール 1.4.0、ウォレット版を初公開記事
10月31日SIPO.TOKYOSignalStrike、24時間取引高3,000万ドルで過去最高記事
11月1日SIPO.TOKYODaily IntelIntersect、SPO に Linux カーネルの重大な脆弱性への備えを要請記事

この5日間の SIPO.TOKYO は、Signal を中心に、毎朝の Daily Intel、週末の Weekly Brief(日本語版と英語版)、Midnight の100万件や Sig Network との提携、node 11.2 の先行版などの速報を配信しました。漏えいが続く時代に Midnight の設計を読む Deep Dive と、Lace 2.5 の使い方のマニュアルも公開しています。上の表に載せたほかにも、LiveMakers・LifeMakers の2媒体から市場・規制・AI・ライフスタイルの記事が出ています。LifeMakers の「星読み」は本表の対象外としています。

Midnight の100万件は、10月27日の1日の最多記録、28日の累計の節目、同じ日の Deep Dive、31日の Weekly Brief と、4つの角度で続けて扱いました。数字の出どころと、まだ見えていない中身を分けて読めるようにするためです。

第9章:エポック664 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック664:100%時点)

項目値前エポック比
ライブステーク115,575,770.17 ADA(115.58M)−194,747.51
有効ステーク115,770,517.68 ADA(115.77M)+2,348,706.57
委任者数2,119名−5
エポック生成ブロック119−10
累計生成ブロック48,405+119

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO56,240,330.58(−32,161.23)56,272,491.81(+2,319,492.13)1,101(−4)55(−5)20,656
SIPO235,232,073.15(+11,027.10)35,221,046.05(+19,834.73)476(±0)37(−1)15,378
SIPO324,103,366.44(−173,613.38)24,276,979.82(+9,379.71)542(−1)27(−4)12,371

マージンは3プールとも3.9%、保証金50,000 ADA です。ブロック数(Koios)・累計ブロック・有効ステークはエポックの終了時点で確定した値です。ライブステークと委任者数は、AdaStat のプールの値を11月1日6時53分に取得しました。エポック665が始まってから約9分後で、前号(約1時間44分後)と違い、それ以前と同じ境界の直後の取得に戻りました。同じ朝のステーキング状況の投稿と同じ取得です。

前号の SIPO の増加は、有効ステークにそのまま現れました

有効ステークの3プール合計の+234万8,707 ADA は、前号の期間のライブステークの増加が、1エポック遅れて現れたものです。前号で「今回の SIPO の増加は、エポック665の有効ステークに現れます」と書いたとおり、SIPO は+231万9,492 ADA、SIPO2 は+1万9,835 ADA、SIPO3 は+9,380 ADA で、前号のライブステークの変化と同じ値でした。

この5日間のライブステークは、3プール合計で−19万4,748 ADA でした。SIPO は委任者が4名減って−3万2,161 ADA、SIPO2 は委任者が変わらず+1万1,027 ADA、SIPO3 は委任者が1名減って−17万3,613 ADA です。SIPO3 の減少は、1名の減少に対して量が大きく、まとまった量の委任が1件移ったと読めます。委任者の事情を SIPO は知りません。原因は断定せず、事実を記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。前号まで2エポック続いた SIPO の大きな増加は、今回は続かず、ほぼ横ばいでした。

SIPO のライブステークは約5,624万 ADA、SIPO2 は約3,523万 ADA、SIPO3 は約2,410万 ADA です。

SIPO は55ブロック

エポック664の SIPO は55ブロックで、前号の60から5減りました。SIPO2 は37ブロック、SIPO3 は27ブロックです。直近5エポック(660〜664)を並べると、SIPO2 は29・29・43・38・37、SIPO3 は28・24・33・31・27。ブロック生成は確率的で、1エポックの数字からプールの状態は読めません。3プール合計の119ブロックは、前号の129から10減っています。

有効ステークとライブステークの照合

エポック663の終了時点のライブステークと、今回取得した有効ステークを並べます。

プールエポック663 ライブステーク今回の有効ステーク差
SIPO56,272,491.8156,272,491.810.00
SIPO235,221,046.0535,221,046.050.00
SIPO324,276,979.8224,276,979.820.00

3プールとも、小数点以下まで一致しました。7回連続です。前号では、エポック663のライブステークを境界の約1時間44分後に取得したため、「次号の照合は、取得の条件が違う値どうしの比較になる」と書きました。その条件でも、値は一致しています。

累計48,405ブロック

3プールの累計ブロックは48,405です。SIPO 20,656 / SIPO2 15,378 / SIPO3 12,371。エポック664では119ブロックを積み上げました。

ネットワーク全体(エポック664終了時点)

今回は AdaStat のエポックの集計データが境界の直後に取れたので、ネットワーク全体の値を1 ADA 単位に戻して載せます。前号の値は AdaStat のウェブ画面の表示(0.01b 単位に丸めた値)だったため、総ステークと流通供給量は、丸めた値との比較になります。

指標エポック664終了時点(AdaStat)前号(エポック663終了後・画面の値)
ステーキング率56.29%約56.8%(丸めた値からの計算)
総ステーク21,327,334,991.84 ADA₳21.53b
流通供給量37,890,553,809.42 ADA₳37.88b
委任者総数1,332,319名1,332,711名
アカウント総数6,038,0046,033,048
総プール数2,886—
ステークのあるプール2,6692,668
ブロック生成のあったプール933—

委任者総数は1,332,711名から1,332,319名へ392名減り、アカウント総数は4,956増えました。「新しいアカウントは増え、委任している人は減っている」という構図は、15エポック続けての形です。総ステークは、前号の丸めた値₳21.53b から約213.27億 ADA へ、約2億 ADA 減りました。2エポック前の確定値21,505,325,462 ADA と比べても、約1億7,799万 ADA の減少です。ステーキング率は56.29%になりました。どちらの変化も、原因は断定しません。ステークのあるプールは2,669で、1つ増えました。

SIPO の3プールは、この5日間で119ブロックを生成しました。委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:数字の中身を、確かめに行く

エポック663の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

国庫の3件の票(ガバナンス)は、答えが出ました。Governance Hour #12 は10月28日未明に開かれ、銅準備金の明示的な反対は63票・約14億3,224万ADA から90票・約19億9,286万ADA に増えました。PFMS の賛成は分母の4.70%から21.42%に伸びています。上位の DRep は票を投じました。EMURGO と Yoroi が PFMS に賛成・2件に棄権、Cardano 財団が銅準備金に反対、最大の YUTA が PFMS に反対です。

CAP-3 と CAP-12(ガバナンス)は、部分的に答えが出ました。10月29日の CAP Review でどんな意見が付いたかは、確認できていません。次の期間の上限の議論は、Intersect の CEBP の案という形で始まりました。上限を7つの領域に分ける、CAP-3 と同じ方向の案です。

11.2 と Dijkstra のテストネット(開発)は、部分的に答えが出ました。cardano-node 11.2.0 の先行版は10月28日に出ました。テストネットでハードフォークを始めるアクションは、まだです。SPO の参加数は確認できていません。

最低マージンの値(SPO の経済)は、まだ答えが出ていません。Dijkstra の報酬計算で最低値が効く仕組みは台帳に入りましたが、minPoolMargin の具体的な値の案は確認できていません。

PRIME の9チームの最初の成果(DeFi)は、部分的に答えが出ました。10月27日の配信の流れで、Liqwid が分離型の市場 V3 を説明しました。各チームの時期は、まだ具体になっていません。Liqwid の補填は、不良債権のポジションをすべて閉じ、wanUSDC の請求が11月2日に始まるところまで進みました。Strike のシーズン1の後半の配布と、Strike の上の RealFi USD が30万ドルを超えたかは、確認できていません。

Midnight と TRON(Midnight)は、部分的に答えが出ました。10月の月報は、Nightmode の TRON への展開を12月に予定しているとしていますが、中身の詳細はまだです。代わりに、Ethereum のアプリから Midnight を呼び出す Sig Network との提携が発表されました。Gero 2.8 と NuFi の Midnight 対応は、確認できていません。

鍵と道具の守り(セキュリティ)は、部分的に答えが出ました。Keystone の詳しい説明は10月30日に出て、Web 認証の鍵まで渡ったこと、3 Pro の在庫の廃棄、配送の情報の保存期間を180日から90日に縮めることが示されました。eMudhra の件でほかの Cardano の道具に更新が続いたかは、確認できていません。

分散の記録(ネットワーク)は、まだ答えが出ていません。verifycardano.com の未公開の指標が出たかは、確認できていません。

取引件数と量と人の数(ネットワーク・ステーキング)は、答えが出ました。エポック664の取引件数は138,147件で、126,711件から約9%増えました。委任者総数は15エポック目も減りました。SIPO のライブステークの約232万 ADA の増加は有効ステークにそのまま現れ、照合は7回続けて一致しました。AdaStat のエポックの集計は戻り、総ステークを再び1 ADA 単位で載せています。

9件のうち、答えが出たものが2件(国庫の3件の票・取引件数と量と人の数)、部分的に答えが出たものが5件(CAP-3 と CAP-12・11.2 と Dijkstra のテストネット・PRIME の9チームの最初の成果・Midnight と TRON・鍵と道具の守り)、まだ答えが出ていないものが2件(最低マージンの値・分散の記録)です。

そのうえで、エポック665で確認すべきものを挙げます。

  1. PFMS と銅準備金の票(ガバナンス):11月6日1時30分からの Governance Hour #13 で、Dori 氏の予算の配分の指摘に提案者がどう答えるか。そのあと、PFMS の未投票の約62%のうち、大口の DRep がどう投じるか。銅準備金の期限のエポック668(11月16日)までに、憲法委員会の残り5人がどう投じるか。
  2. 2027年の予算と委任の引っ越し(ガバナンス):11月10日を目標とする CEBP の最初の情報アクションが出るか、領域や Steward の顔ぶれが変わるか。EMURGO と Yoroi の約6.1億 ADA の委任が、11月30日に向けてどこへ移るか。
  3. Dijkstra のテストネットのハードフォークと Node 11.3(開発):11.2 でテストネットのハードフォークが始まるか。Leios を含む Node 11.3 の先行版が、週報の見込みどおり3〜4週間以内に出るか。最低マージンの値の案が示されるか。
  4. Linux カーネルの修正(SPO の守り):Ubuntu などの修正版のカーネルが出て、SPO の適用と再起動が進むか。
  5. Midnight の中身(Midnight):11月の State of the Network が、取引件数と、どのアプリが動いているかを公式の数字で示すか。Sig Network のメインネットの時期と、Midnight Passport の開発キット(ロードマップ上は10〜12月期)が出るか。
  6. DeFi の記録と後始末(DeFi):Liqwid の wanUSDC の払い戻しの請求(11月2日から)が進むか。Strike の10月の月間取引高が2億ドルを超えたか。Indigo Prime の詳細と、RealFi の11月2日の分配で年利12%台が続くか。
  7. 端末と取引所(セキュリティ):Binance の入出金の再開と、ADA・NIGHT の扱いの告知。Keystone の新しい鍵で作る次の製造分の出荷。
  8. 取引件数と量と人の数(ネットワーク・ステーキング):エポック665の取引件数が138,147件からどう動くか。委任者総数が16エポック目も減るか。総ステーク約213.27億 ADA の水準がどう動くか。SIPO3 のライブステークの約17万 ADA の減少が、エポック666の有効ステークにそのまま現れるか。

エポック664は、大きな数字の節目が並び、そのたびに中身が問われた5日間でした。

Midnight の取引は累計100万件を超え、Ethereum のアプリと Cardano のウォレットの両方に入口ができました。それでも、100万件を数えたのは外の集計で、公式の月報に件数は載っていません。PFMS の賛成は21%に伸びましたが、その票を動かしたのは、委任を返す日を決めたばかりの2つの DRep でした。そして賛成が伸びたことで、予算の28%と38%という配分が問われ始めています。node 11.2 は Dijkstra の取引を手元で組めるようにしましたが、試験結果の欄はまだ空いています。Strike の3,000万ドルはレバレッジを含む名目額で、Nightshade の「指摘なし」は安全の証明ではありません。

数字が大きくなるほど、その数字が何を数えたものかを、自分で確かめに行く手間が増えます。外の集計を照らし合わせ、投票の記録を開き、リリースノートの空欄を見る。前号で見た「数え直せる形」は、こうして使われて初めて意味を持ちます。来年の予算を領域で描く案も、兼任を ID で開示する書式も、検算できる開発者調査も、その手間を減らすための道具でした。

市場のほうは、日次の記録で ADA が−5.51%、境界の確定値で$0.205351から$0.193400へ−5.82%でした。NIGHT はドル建てでほぼ横ばい、ADA 建てでは+5.97%です。SIPO はこの動きを特定の材料には帰しません。事実として記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。

いつも SIPO / SIPO2 / SIPO3 へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRep を通じて判断の重みを託す行為でもあります。第4章で見たとおり、その託し先を選び直す人がこれから増えていきます。SIPO は SPO・DRep・観察者として、票を投じたときはその理由を残し、まだ答えの出ていない問いも含めて記録し続けます。

次の節目は、11月2日の Liqwid の払い戻しの請求の開始と RealFi の分配、11月6日1時30分の Governance Hour #13、11月10日の CEBP の情報アクション、そして11月12〜13日にロンドンで開かれるノードの多様性のワークショップです。

出典・参照

Delegate to SIPO · 委任ガイド

ADA を手元に置いたまま、
SIPO に委任する

SIPO は Cardano ステークプール 3 基 (SIPO / SIPO2 / SIPO3) を運用しています。Midnight のバリデータ運用は開始後に参加予定です。

  • 預けない・ロックなし
  • 約 5 日ごとに報酬
  • DRep も SIPO に
ステーキングをはじめる → はじめての方は、この 3 本を順に読むと迷いません。
  1. 1
    📘 Learning ステーキングとは、ADA を手元に置いたまま報酬を受け取る仕組み 仕組みを知る →
  2. 2
    📘 Learning DRep への委任とは、13.7 億 ADA の国庫の使い道に一票を託す仕組み ガバナンスに参加する →
  3. 3
    📘 Learning 委任マニュアル 2026 年版、Lace と Daedalus でプールと DRep を選ぶ手順 手順どおりに委任する →