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Weekly Brief #28|minPoolCost 案、DRep 賛成 44.18% で失効

2026-10-17SIPO

プールの最低固定費 (minPoolCost) を 170 ada から 75 ada へ下げる Cardano の議案が、日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒の締切で、DRep の賛成 44.18% にとどまり失効しました。憲法委員会は前日に 7 名中 5 名の賛成をそろえていましたが、DRep の側で必要な 67% に約 8.5 億 ada 届かず、固定費は 170 ada のまま据え置かれます。

同じ締切で、OpenZeppelin のツール群に 11,787,063 ada を出す議案も、DRep の賛成 4.00% で失効しました。入れ替わるように 10 月 15 日、国庫から 22,000,000 ADA を引き出して米国の倉庫の銅を買い、トークンにする新しい議案が提出されています。

ネットワークでは、エポック 660 の取引が 1,780,896 件で確定し、2021 年 11 月のエポック 304 の記録を上回って過去最多になりました。Midnight は 10 月 14 日にロードマップを公開し、Cardano の SPO がブロック生成者として Midnight に参加できるようになる時期を、2027 年 1〜3 月期に置いています。

SIPO の DRep は minPoolCost の議案に棄権、OpenZeppelin の議案に反対を投じた当事者で、銅の議案にはまだ投票していません。k のポールでの 3 プールの反対と、飽和点をめぐる立場は第 7 章で開示します。

エグゼクティブ・サマリー

  • minPoolCost 75 ada 案は失効:最終の DRep の賛成は 87 票・1,643,257,367 ada で 44.18%。投票済みの反対は 14.51%、最後まで投票しなかった DRep が 37.66% 残りました。委員会は 10 月 11 日に 4・5 票目が入り、必要数に達していました。記録の上では、期限切れの失効です。
  • OpenZeppelin 案も失効:DRep の賛成は 4.00%、投票済みの反対が分母の 50.80% でした。国庫の引き出しの合計は動かず、2026 年の上限の残りは 42,604,371 ada のままです。
  • 銅を買う 22,000,000 ADA の新議案:Toto Finance が受け取り、COMEX 規格の銅を 18〜24 か月保有して、36 か月目までに売却代金を国庫に戻す計画です。提案書自身が、元本は保証されないこと、手数料の上限を使い切り為替が変わらない前提では、損益分岐に銅価格が 1 ポンド約 10.06 ドルまで上がる必要があることを書いています。締切は 11 月 16 日 6 時 44 分 51 秒です。
  • エポック 660 は 1,780,896 件で確定:エポック 659 の 11.27 倍、エポック 304 の 1,566,974 件を 13.65% 上回る過去最多です。報酬の総額は前のエポックより 1.34% 増え、国庫の増え方も 61,173 ada 大きくなりました。続くエポック 661 は 253,314 件でした。
  • k のポール、賛成と反対が 7 プールずつ増加:明示的な賛成は 24 プール・194,863,923 ada、反対は 33 プール・1,244,423,359 ada。賛成率は 2.04% で、締切は 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒です。
  • SIPO の 1 号機は、k=1000 の飽和点の 1.423 倍:SIPO2 は線まで残り約 159 万 ada です。
  • ノード 11.2 は、予定の週に出ず:Hard Fork Working Group は 10 月 12 日の週のプレリリースを見込んでいましたが、10 月 17 日朝の時点で公開されていません。cardano-cli と Leios の試作版は、Dijkstra の形に合わせて進んでいます。
  • Midnight のロードマップ:ブロック生成への NIGHT の報酬が 2026 年 10〜12 月期、NIGHT のステーキングと Cardano の SPO へのブロック生成の開放が 2027 年 1〜3 月期に置かれました。
  • Midnight 台帳に「High」の勧告:NIGHT 以外のトークンが水増しされうる欠陥で、修正済みの版は 8.1.2 とされています。悪用の記述はありません。
  • NIGHT が OKJ で取扱い開始:10 月 13 日、取引所・販売所・積立・入出庫の 4 つで始まりました。
  • 市場は 4 銘柄とも下落:ADA −5.99%、BTC −0.96%、ETH −2.55%、NIGHT −9.17%。

1. マーケット・パルス

10 月 10 日から 10 月 17 日にかけての、朝の定点観測の値です。

銘柄10/1010/17週間
ADA$0.24$0.22563−5.99%
BTC$82,527$81,736.8−0.96%
ETH$2,482.30$2,419.00−2.55%
NIGHT$0.045657$0.04147−9.17%

今週は 4 銘柄すべてが下げ、NIGHT と ADA の下げ幅が大きくなりました。前号では NIGHT の値の取得元が週の両端で違っていましたが、今週は両端とも Cardano の DEX の価格から算出した値で、そろっています。ADA 建てで見た NIGHT は 0.190237 ADA から 0.183797 ADA へ、−3.39% でした。

エポックの境界で見ると、ADA はエポック 661 が始まった 10 月 12 日 6 時 45 分の $0.25187719 (¥39.87) から、エポック 662 が始まった 10 月 17 日 6 時 45 分の $0.22545085 (¥35.63) へ、−10.49% です。朝の定点観測とは取得の時刻が違うため、週間の −5.99% とは一致しません。

価格の動きと、本稿で扱う出来事は結びつけていません。OKJ での NIGHT の取扱い開始や、エポック 660 の記録も同様です。

ネットワークの残りの数字も置いておきます。エポック 660 から 661 への境界で、ステーキング比率は 56.49% から 56.76% に上がり、委任者数は 342 減の 1,333,489、ブロックを作ったプールは 944 から 931 へ減りました。トレジャリーはエポック 662 で 1,381,928,464 ada です。

2. エポック 660、1,780,896 件で確定

前号で「3 日で 108 万件」とお伝えしたエポック 660 は、日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒に閉じ、取引は 1,780,896 件で確定しました。前号で経過時間から割り戻した「約 179 万件」のペースに、ほぼそのまま着地しています。

エポック期間 (日本時間)ブロック取引1 ブロックあたり手数料
65910/2 6:44 〜 10/7 6:4421,207158,0117.45 件49,494.70 ada
66010/7 6:44 〜 10/12 6:4421,2431,780,89683.8 件337,720.00 ada
66110/12 6:44 〜 10/17 6:4421,385253,31411.85 件67,761.27 ada

エポック 659 の 11.27 倍の取引を、ほぼ同じ数のブロックで運んだことになります。手数料は 659 の 6.82 倍でした。

エポック単位の過去最多

エクスプローラーの AdaStat と Cexplorer は、エポック 660 の件数を「過去最多」と告知しています。それまでの最多は、2021 年 11 月のエポック 304 の 1,566,974 件で、エポック 660 はこれを 213,922 件 (13.65%) 上回りました。

件数を押し上げたのは、前号で取り上げた HOSKY の「Doggie Bowl」です。2 ADA を送ると HOSKY トークンと受け取りに必要な最低限の ADA が返ってくる企画で、HOSKY は始まりの告知で、5 年以上持っているエポックあたりの記録を破りに戻ってきたと書いていました (Cardano のエポック660、取引178万件で過去最多)。

続くエポック 661 は 253,314 件でした。エポック 660 の 14.2% の水準ですが、15 万件前後だったそれ以前のエポックと比べると、なお 1.60 倍です。

手数料は、報酬と国庫にどう出たか

前号で「エポック 660 の手数料は報酬の原資に加わり、どれだけ上乗せされるかは報酬が確定してから確かめられる」と書きました。その報酬が、10 月 17 日の境界で確定しています。

エポック手数料報酬の総額
65853,506.45 ada6,201,561.55 ada
65949,494.70 ada6,142,296.55 ada
660337,720.00 ada6,224,827.98 ada

エポック 660 の報酬の総額は、659 から 82,531 ada (+1.34%) 増えました。手数料の増分 288,225 ada が、そのまま報酬に上乗せされたわけではありません。Cardano の報酬の原資は、準備金からの払い出しと手数料を合わせたもので、その 20% が国庫に入り、残りがプールの実績に応じて配られます。配りきれなかった分は準備金に戻ります。

国庫の側でも、変化は数字に出ています。エポック 661 への境界での国庫の増分は +3,608,981 ada、エポック 662 への境界では +3,670,154 ada で、差は 61,173 ada です。手数料の増分の 21.2% にあたります。ここで書けるのは、この並びの算術までです。

SIPO の 3 プールは、エポック 660 に SIPO 52・SIPO2 29・SIPO3 28 の計 109 ブロック、エポック 661 に 52・29・24 の計 105 ブロックを作りました。件数の多いブロックでも、作る手順は変わりません。

3. minPoolCost 75 ada 案、DRep 賛成 44.18% で失効

Reduce minPoolCost to 75 ada は、日本時間 10 月 12 日 6 時 44 分 51 秒で票の受付を終え、エポック 661 で失効として記録されました。プールの最低固定費 (minPoolCost) は 170 ada のままです。

区分前号 (10/10)最終
DRep 賛成34.45% (76 票・1,281,325,258 ada)44.18% (87 票・1,643,257,367 ada)
DRep 投票済み反対32 票・517,623,497 ada37 票・539,517,216 ada (14.51%)
DRep 棄権 (分母外)17 票・1,477,728,444 ada19 票・1,512,996,169 ada
DRep 未投票1,784,357,894 ada1,400,735,296 ada (37.66%)
委員会賛成 3・未投票 4賛成 5・未投票 2

最後の 1 週間で、賛成は 11 票・約 3 億 6,193 万 ada 増えました。締切前の 4 時間あまりにも、10 月 12 日 2 時 03 分、3 時 40 分、5 時 07 分、5 時 33 分と賛成が入っています。それでも 67% に届くには 848,745,818 ada 足りませんでした。

委員会は届き、DRep の側で届かず

憲法委員会は 10 月 11 日 18 時 50 分と 20 時 34 分に 4 票目と 5 票目の賛成を記録し、7 名中 5 名という必要数に達しました。議案が通らなかったのは DRep の側の不足です。

投票済みの反対は分母の 14.51% で、賛成の 3 分の 1 ほどでした。最後まで投票しなかった DRep の投票力が 37.66% 残っています。反対が賛成を上回ったわけではなく、基準に届く前に期限が来たという終わり方で、記録の上でも「失効」として残ります (minPoolCost 75 ADA 案、DRep 賛成44.18%で失効)。

固定費の議論は、ここで終わるわけではありません。前号で書いたとおり、憲法改正案 CAP-12 は、Dijkstra で加わる「最低プールマージン」を最低プールコストに代わるものとして付録に書き足す方向で改訂されています。

利害を開示します。SIPO の DRep はこの議案に 9 月 15 日、棄権を投じていました。3 プールはいずれも固定費 340 ada を宣言しているので、失効による機械的な影響はありません。

4. OpenZeppelin 案も失効、国庫の上限は動かず

Withdraw 11,787,063 ada for the OpenZeppelin Stack administered by Intersect も、同じ締切で失効しました。

区分前号 (10/10)最終
DRep 賛成3.90% (15 票・169,525,021 ada)4.00% (16 票・171,849,824 ada)
DRep 投票済み反対82 票・2,024,470,932 ada94 票・2,180,840,538 ada (50.80%)
DRep 棄権 (分母外)13 票・851,794,097 ada17 票・939,648,371 ada
DRep 未投票2,015,245,043 ada1,804,167,317 ada
委員会賛成 3・未投票 4賛成 5・未投票 2

委員会は minPoolCost と同じ 10 月 11 日の 2 票で、こちらも 5 名に達していました。DRep の側では、投票済みの反対が分母の 50.80% と過半を占めています。

2 つの議案がどちらも失効したため、国庫の引き出しの合計は動いていません。エポック 613 以降に発効した引き出しは 457,395,629 ada で、2026 年の上限 500,000,000 ada に対して残りは 42,604,371 ada です。

利害を開示します。SIPO の DRep は、この議案に 9 月 25 日、反対を投じた当事者です (SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対)。

5. 2,200 万 ADA で銅を買う国庫議案

締切を迎えた 2 件と入れ替わるように、新しい国庫引き出しの議案が 1 件、日本時間 10 月 15 日 10 時 01 分に提出されました。Cardano Strategic Copper Reserve | ₳22M RWA Tokenization です。

何を求めているか

議案の要約は、こう書いています。

「Cardano Strategic Copper Reserve は、米国を拠点とする受取人かつ責任ある管理者である Toto Finance Inc. への、1 回限りの 22,000,000 ADA の国庫引き出しを求める。COMEX が承認した米国の倉庫にある、独立に検証された COMEX グレード 1 の銅カソードを取得し、その金属を CuTT としてトークン化する。1 CuTT は、経済的に、検証された適格な現物の銅 1 ポンドを表す。」

計画は、銅を 18〜24 か月保有したあと、管理された手順で売却し、36 か月目までに売却で得た純額の 100% と、使わなかった予算を国庫に戻すというものです。22,000,000 ADA の内訳は次のとおりです。

用途額
銅の取得14,724,409 ADA (66.93%)
運営・保証 (倉庫・保険・監査・法務など、上限)3,533,859 ADA
Toto Finance の技術開発・プロジェクト管理 (マイルストーン承認後)2,640,000 ADA (12%)
独立した管理・監督660,000 ADA (3%)
1 回限りの執行費441,732 ADA

提案書自身が書いているリスク

議案の本文は、リスクを自分で数字にしています。

  • 元本は保証されない:「元の ADA の元本、銅の値上がり、トークンの採用、利益は、いずれも保証されない」と明記しています。
  • 損益分岐の銅価格:手数料の上限をすべて使い、ADA/USD が変わらず、例示として 1 ポンド 6.73 ドルで取得した場合、22,000,000 ADA の損益分岐には約 10.06 ドルが要る、と書いています。
  • トークンの置き場所:正本の CuTT は Ethereum の ERC-20 として発行し、国庫の資金で作った分はブリッジのエスクローにすべて固定して、Cardano 側では 1 対 1 でブリッジされた CuTT だけを動かせる形にする設計です。
  • 関係者の位置づけ:監督には米国の PwC のメンバーファームを「望ましい」としつつ「契約していない」とし、「PwC と Intersect は受取人でも保管者でも、確定したパートナーでもない」と書いています。受け取るウォレットについても「Toto Finance が管理する受取ウォレットは独立したエスクローではない」と明記しています。

最初の 2 日間

提出から 2 日たった 10 月 17 日朝の時点で、DRep の賛成は 2 票・12,547,657 ada、投票済みの反対は 16 票・154,987,311 ada です。委員会の票はまだありません。最後に票を受け付けるのは日本時間 11 月 16 日 6 時 44 分 51 秒です。

国庫の上限の残り 42,604,371 ada に対して、この議案の額は 22,000,000 ADA です。可決されれば、上限の残りはおよそ半分になる計算です (₳2,200万で銅を買う Cardano トレジャリー提案、投票入り)。

SIPO の DRep は、この議案にまだ票を投じていません。

6. k のポール、締切まで 5 日

Should stakePoolTargetNum (k) be raised from 500 to 1000? (SPO poll) は、日本時間 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒に締切を迎えます。今週は賛成と反対が、どちらも 7 プールずつ増えました。

区分前号 (10/10)本号 (10/17)
SPO 明示的な賛成17 プール・67,978,699 ada24 プール・194,863,923 ada
SPO 明示的な反対26 プール・1,005,266,980 ada33 プール・1,244,423,359 ada
SPO 未投票8,544,163,377 ada8,056,965,897 ada
SPO 常に棄権 (分母外)610 プール・11,596,679,562 ada618 プール・11,950,391,600 ada
委員会賛成 1・棄権 1賛成 1・棄権 1

今週入った SPO の票は次のとおりです。委任量は 10 月 17 日朝に取得した各プールの現在の値です。

記録時刻 (日本時間)プール票委任量 (概数)
10 月 11 日 18 時 08 分MDS賛成約 124 万 ada
10 月 12 日 3 時 40 分STAT (AdaStat Pool)賛成約 4,552 万 ada
10 月 12 日 6 時 14 分〜15 分DIGI〜DIGI6 (6 プール)反対計 約 1 億 5,184 万 ada
10 月 12 日 10 時 33 分ACL (4 プール)賛成計 約 7,846 万 ada
10 月 12 日 22 時 39 分AID1賛成約 159 万 ada
10 月 15 日 20 時 25 分HAPPY反対約 7,467 万 ada

DIGI の 6 プールは登録名がいずれも「Digital Fortress」で、31 秒のあいだに記録されています。ACL の 4 プールは登録名が「A CardanoLand pool ACL」で、36 秒のあいだに記録されました。どちらのグループの票にも理由書は添えられていないため、理由は書きません。

理由書を添えた票からは、賛否の両側の見方が読めます。

HAPPY (反対):「k を 1000 に上げることには、SPO として反対票を投じる。独立した運営者を増やすという目標は共有するが、k を上げてもそこには届かない。確立した約 200 のプールの委任者の報酬を削るうえ、前回そうだったように、運営者はプールを増やすだけで対応できてしまう。もっと的を絞った手段がある。」

AID1 (賛成):「Cardano の長期的な分散化を進める手段として、k を 500 から 1000 に上げる方向を支持する。」「ただし、1000 が必ずしも最適な値だとは考えていない。750 に上げるといった段階的な調整も、合理的な選択肢になりうる。」

判定までの距離

議案本文が宣言した判定は、明示的な賛成が有効投票ステークの 50% を超えるかどうかで、投票しない登録済みのステークは反対と同じ働きをします。分母はいま 9,546,123,057 ada、賛成率は 2.04% (前号 0.70%) です。50% を超えるには、明示的な賛成があと約 45.8 億 ada 要ります。未投票は約 80.6 億 ada です。

反対 ÷ 賛成は、前号の 14.79 倍から 6.39 倍に縮みました。1 週間で賛成が 2.87 倍になったのに対し、反対は 1.24 倍の増加だったためです。DRep の欄も動いていますが、議案本文は DRep 票をこのポールの判定に入れないと宣言しています。

7. SIPO の 3 プールと飽和点

ここは SIPO 自身の立場なので、記録と利害をまとめて開示します。

SIPO は 10 月 7 日、SIPO・SIPO2・SIPO3 の 3 プールでこのポールに反対を投じ、DRep としては棄権しています。今週の新しい票はありません。理由書の全文は SIPO:k を 1000 に上げる SPO ポールに 3 プールで反対 に置いています。理由の中心は、議案本文自身が「他の条件が同じなら、エポックあたりの報酬原資の総額は変わらない」と書いている点で、総額が一定のまま配分だけを変える変更は Cardano を成長させない、という判断です。

10 月 17 日朝のチェーン上の流通量 36,810,458,522 ada を k で割った機械的な試算です。

k飽和点 (流通量 ÷ k)SIPO の 3 プール (エポック 661 終了時のライブステーク)
500 (現行)約 73,620,917 ada3 プールすべて下
1000 (提案)約 36,810,459 adaSIPO 52,390,191 ada = 超過 (1.423 倍) / SIPO2 35,218,774 ada (0.957) / SIPO3 24,246,790 ada (0.659)

SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点を超える側にいて、この変更が通れば不利を負います。SIPO2 は 1 週間で約 36 万 ada 増え、k=1000 の線まで残り約 159 万 ada の位置です。SIPO の反対は、自社の収益への影響を前提にしたものとして読んでいただく必要があります。

飽和点が効くのは報酬計算の上限で、ブロックを作る資格ではありません。委任している方は、いま預けているプールが上の線のどちら側かを、結果を待たずに確かめられます。

8. Dijkstra への準備:ノード 11.2 はまだ出ていません

予定と実際

Intersect の Hard Fork Working Group は 10 月 13 日の会合の議事録で、次のノード 11.2 について、こう書いています。

「Dijkstra に関わるものを、Linear Leios を除いてすべて含む」「今週末 (10 月 12 日の週) までにプレリリースされる見込み」「テストを経て、翌週 (10 月 19 日の週) にメインネット向けの版に上げられる見込み」

10 月 17 日朝の時点で、IntersectMBO/cardano-node のリリースにもタグにも 11.2 はありません。最新は 9 月 29 日の 11.1.3 のままです。予定は 1 週間後ろにずれた形で、来週の注目点になります。同じ議事録は、Leios を含む 11.3 を「数週間先」とし、プロトコルバージョン 12 のガードレールが約 100 項目になる見込みと、その検証用スクリプトの初版が翌週に出る予定を伝えています。

会合には SPO もまとまって参加し、ATADA の Martin 氏を代表に、トークンのメタデータ規格 CIP-23 をバージョン 12 で完全に実装してほしいと求めました。議事録は「この段階で CIP-23 を完全に入れると、バージョン 12 の当初の予定がずれる可能性がある」と書き、IO の開発チームに作業量と日程への影響を見積もる宿題を出しています。

道具の側は、Dijkstra の形に

ノード本体より先に、周りの道具が Dijkstra に合わせて動いています。

  • cardano-cli 11.3.1.0 (10 月 15 日) と 11.4.0.0 (10 月 17 日):Dijkstra 専用の「サブトランザクション」を組み立てるコマンド群と、登録済みのアカウントへ ADA を直接入金する --direct-deposit が加わりました。サブトランザクションで使えるスクリプトは Plutus V4 だけです。
  • Leios の試作版 rc-2026w41 (10 月 12 日) と rc-2026w42 (10 月 17 日):どちらも「respin が必要」、つまり前の版とは通信もチェーンの読み込みもできない版です。w42 では、エンドーサーブロックの認証が 1 スロット早まり、CIP-164 にそろえたと説明されています。
  • Leios の公開テストネット「Musashi Dojo」:IOG は 10 月 12 日 21 時、5 つのフェーズの 3 つ目にあたる Fire に入ったと発表しました。10 月 15 日には、参加する SPO が負荷をかける分散型の負荷試験の日が設けられています。試験の結果の数字は、まだ公表されていません (Leios の Musashi Dojo、Fire フェーズで負荷試験を開始)。
  • 台帳:Ledger チームの 10 月 14 日の報告によると、Dijkstra で使えるスクリプト言語の上限が Plutus V4 に設定されました。
  • Hydra:1 つのスナップショットに入る取引の上限が 1,000 件から 4,000 件に上がりました。Essential Cardano の 10 月 16 日の週次報告は、ローカルの 3 ノードの試験の数字だと断ったうえで、最小の送金 24,000 件の処理が 37.04 秒から 13.50 秒に縮んだと伝えています。
  • Mithril 2642.0 (10 月 16 日・プレリリース):署名者とアグリゲーターが、プロトコルのパラメータをチェーン上から読む方式に変わりました。対象はプレビュー向けのネットワークだけです (Mithril 2642.0、署名者がプロトコル設定をチェーンから読む方式に)。
  • Daedalus 11.5.0 (10 月 15 日):Mithril で途中まで同期したあとに残る欠落を直し、ノードを 11.1.3 に上げた版で、すべての利用者に更新を勧めています。
  • Dingo:Go 製のノードは 10 月 10 日から 16 日に 8 つの版を出しました。v0.81.1 のリリースノートには「開発用ネットワークの鍵と公開 API の入力の強化」という security の項目があり、v0.83.1 ではブロックを作る資格の検証を直しています。

CAP-12 は、今週は改訂なし

憲法改正案 CAP-12 は、前号で作者が「残りの論点は翌週に」としていましたが、本文の最終更新は 10 月 9 日のまま、意見募集が続いています。今週のコメントには、Leios を緊急時に止める方法を重要パラメータの変更として扱う点を整理したものや、CIP-23 が Dijkstra のどの段階に入るかが決まるまで、最低プールコストのガードレールの扱いを確定させないよう求めるものがありました。

9. Midnight のロードマップ、SPO のブロック生成は 2027 年 1〜3 月期に

日本時間 10 月 14 日 0 時 39 分、Midnight は公式サイトでロードマップを公開しました。7 つの分野について、2026 年 10〜12 月期と 2027 年 1〜3 月期に届けるものを並べています。

SPO にとって直接関わるのは「規模と主権」の分野です。

時期項目説明 (要旨)
2026 年 10〜12 月期BABE への段階的な移行合意の仕組みを、いまの Aura から BABE へ段階的に移す
2026 年 10〜12 月期ブロック生成の報酬ブロックを作る SPO が、その働きに対して NIGHT を得はじめる
2027 年 1〜3 月期NIGHT のステーキングNIGHT の保有者が、トークンをステークプールに委任して報酬を得られるようになる
2027 年 1〜3 月期ブロック生成をコミュニティに開放Cardano のステークプール運営者が、ブロック生成者として Midnight に参加できるようになる
2027 年 1〜3 月期BABE のメインネット移行の開始BABE がメインネットで動きはじめる

ほかの分野では、Ethereum 系のチェーンとつなぐ「EVM NightMode」、オファーファイルによる非公開の取引意図、Passport SDK v1 などが 2026 年 10〜12 月期に、担保を預かる Collateral Warehouse や、監査人と規制当局向けの閲覧鍵などが 2027 年 1〜3 月期に置かれています。項目ごとの詳しい仕様は、ページには書かれていません。ロードマップは予定で、時期は四半期の単位で示されています (Midnight ロードマップ、NIGHT ステーキングは2027年1〜3月期)。

利害を開示します。SIPO は Cardano の 3 プールを運営する SPO で、ブロック生成の開放が予定どおりに進めば、その対象になりうる立場にあります。また、SIPO は Midnight の Nightforce のアンバサダーの一員です。

10. Midnight 台帳に、重大度「High」の新しい勧告

日本時間 10 月 15 日 9 時 41 分、Midnight の台帳のリポジトリで、新しいセキュリティ勧告 GHSA-vhp6-px6f-jv94 が公開されました。重大度は「High」、表題は「正規形でない MPT のパスの別名で、NIGHT 以外のトークンが水増しされうる」です。

勧告の中身を噛み砕くと、次のようになります。台帳の内部で使う表の一種 (MPT) に、同じ場所を指す正規形でない書き方が入り込むと、取引の検証では残高の計算に入るのに、取引を実際に反映する段階では読み飛ばされる「幽霊の入力」が作れる、というずれです。勧告は、これで実在の入力を使わずに NIGHT 以外の公開トークンを作り出せたと説明し、影響は攻撃者が水増ししたい NIGHT 以外のトークンが存在する場合に限られる、と書いています。

修正済みの版は台帳 8.1.2 とされています。前号で取り上げたとおり、メインネットのノード 1.0.400 はすでに 8.1.3 を載せており、今回の勧告に合わせた新しいノードのリリースはありません。CVE 番号は付いておらず、実際に悪用されたかどうかの記述もありません。前号で注目点に挙げた勧告 GHSA-wr7g-rr4v-jmj8 には、今週の書き足しはありませんでした。

11. Midnight、東京で講演と国内の取扱い

  • Midnight City: Tokyo (10 月 10 日):チャールズ・ホスキンソン氏が基調講演で「Nightframe」を紹介しました。Midnight City の公式アカウントは「ユーザーの意図を理解し、常時稼働するプライベートなプログラム」とまとめています。講演の動画は本人が YouTube で公開しています (ホスキンソン氏、スマートコントラクトの後継に Nightframe を提示)。
  • OKJ で NIGHT の取扱い開始 (10 月 13 日):国内の交換業者 OKJ が、取引所・販売所・積立・入出庫の 4 つで NIGHT を扱いはじめました。入出庫は Cardano のチェーンで行います (OKJ、NIGHT の取扱いを10月13日に開始)。
  • 国内企業向けの会 (10 月 13 日):Midnight の日本語アカウントは、日本の企業を招いたイベントを東京で開いたと伝えています。
  • Midnight 上の DEX、North Star:10 月 10 日にダミーのトークンでメインネットでの交換を実行し、10 月 14 日のベータ初日には 1,014 件の取引を処理したと公表しました。NIGHT はまだ扱っていません (North Star、Midnight でのベータ初日に取引1,014件)。
  • 配備開放後の取引:エクスプローラーの Midnight Explorer は、1 日の取引が 10 月 1 日の 284 件から 10 月 8 日に 26,178 件になったとしています (Midnight の取引、配備の開放後に1日2万件台へ)。
  • 改善提案に番号:10 月 16 日朝、ウォレットのメッセージ署名を定める MIP-0031、カストディ口座を ECDSA の鍵で動かす MIP-0030、譲渡できない資格情報を扱う MIP-0032 と MPS-0049 などに番号が付きました。番号が付いたことは、採択を意味しません (Midnight、メッセージ署名など3件の MIP に番号付与)。
  • 開発者向け:TypeScript のライブラリ midnight-js は、台帳 v9 への移行に向けた 5.0.0 のリリース候補を rc.4 (10 月 9 日)、rc.5 (10 月 17 日) と重ねています。
  • 出資と配布:チューリッヒの投資プラットフォーム Eldora は、Midnight Foundation が投資家として加わると発表しました (額は非公表)。Atrium Lab は、複数のプールにまとめて委任する仕組みの利用者への NIGHT の上乗せ配布を終えています。

ホスキンソン氏は 10 月 15 日、X に「Midnight のために、自分を限界まで追い込むものに取り組んでいる。(中略) [ANN] soon」と書きました。中身はまだ発表されていません。

12. 鍵と保管:Ledger、Trezor、量子の議論

  • Ledger の端末に不正な植込み:Ledger は日本時間 10 月 11 日未明、東南アジアの販売店 CryptoBilis から買った利用者の資金流出を調べるなかで、影響を受けた端末 1 台に不正なハードウェアの植込みを見つけたと公式サポートの X で明らかにしました。Ledger は自社のシステムが破られた兆候はないとしており、調査は特定の販売店を通った端末に絞られています (Ledger、CryptoBilis 経由の端末に不正な植込みを確認)。
  • Trezor Suite 26.10、投票委任の既定値を棄権に:10 月 15 日から、新しく ADA のステーキングを始める人の投票委任は、既定で「棄権」になりました。これまで既定だった Everstake や、任意の DRep も選べます。既存の委任は変わりません (Trezor Suite 26.10、ADA の投票委任は既定で棄権に)。DRep の側から見ると、新しく入る委任の既定の行き先が変わる話です。
  • 量子計算と鍵:10 月 7 日、イーサリアム財団の研究者ジャスティン・ドレイク氏が、資産を公開鍵がまだ表に出ていないアドレスへ計画的に移す「バンカーモード」を業界に呼びかけ、ヴィタリック・ブテリン氏とホスキンソン氏も議論に加わりました (バンカーモード論争、Cardano の鍵はどこまで守れるか)。Midnight のロードマップには、量子計算に耐えるゼロ知識証明の基盤「Nightstream」が置かれています。

13. DeFi の動き

  • Minswap と FluidTokens:FluidTokens は、Minswap と共同の X の音声配信「The merging」を 10 月 20 日 18 時 (日本時間) に開くと告知しました。前号で書いた「合併」と「独立したままチームを共有」の 2 つの言い方の中身は、まだ両社から示されていません。本稿では引き続き「合併」と断定しません。
  • Strike Finance と RealFi:無期限先物の Strike は、V2 の取引が稼働 1 年足らずで 200 万件を超えたと発表し、10 月 14 日には RealFi の利回りを自社の流動性の保管庫に組み込みました。ホスキンソン氏はこれを引いて「RealFi は Strike を通じて動き出した」と書いています。SIPO は RealFi のアルファ・アンバサダーとして、RealFi の SPO アクセラレーターに参加しています。
  • Indigo の USDrf:RealFi のステーブルコイン USDrf を iUSD のペグ安定化の仕組みに加える提案が、INDY のステーク保有者の投票に入りました。
  • Surf と Optim:貸付の Surf は年末に預かり資産 5,000 万 ADA を目標に掲げ、Optim は OADA などの保有者向けに、10 週間の請求期間を設けたポータルを開きました。
  • SecondFi:6 月の事件の資産回復について「手順に従った利用者では回復が成功している」とする一方、なりすましと詐欺への注意を呼びかけています。公式の回復ツールは自社サイトだけで提供されます。
  • Cardano Card の終了:EMURGO の決済カードは、発行を担う Wirex の方針転換で 10 月 31 日に終わります。それまでは通常どおり使えます (Cardano Card、Wirex の方針転換で10月31日に終了)。

今週、Cardano の DeFi で新たな事件の報告は見つかっていません。

14. 組織と人の動き

  • Cardano 財団は TOKEN2049 を振り返り、CEO のフレデリック・グレガード氏が「トークン規格は稼働し、ID の層は独立し、保管の道筋は 3 月に向けて定まった」と述べました。Cardano の公式アカウントは、Cardano のネイティブトークンが 2027 年 3 月までに Fireblocks の標準資産になる見込みだと伝えています。財団はあわせて、財務記録をチェーンに書き込む Reeve がオープンソースであることの案内、IOG との共著で PoS の準備金を論じた論文 (AFT 2026)、10 月 19 日に始まる「Research Exchange」を発表しています。
  • Plutus の保守は、IO Labs から Midgard Labs に移りました。Cardano の公式アカウントは、Daedalus、Mithril、台帳の開発、プラットフォームの技術に続く 5 つ目の独立チームへの移管だとしています。
  • Mesh SDK は 10 月 15 日、2026 年の保守費として国庫から ₳600,000 を引き出す議案の草案を公開し、意見を募っています。まだチェーン上には出ていません (Mesh SDK、2026年の保守に ₳600,000 の国庫引き出し草案)。
  • DRep Council は、ガバナンス提案の共通の基準づくりに取り組んでいます。
  • Draper University は、Cardano 財団と組む「Apex Growth Accelerator」の最初の 8 チームを発表しました。
  • Amaru のチームは、今年 2 回目のノードの多様性のワークショップを 11 月 12・13 日にロンドンで開くと告知しました。

15. リスク・ディメンション

  • ガバナンス (固定費)。 minPoolCost は 170 ada のままです。固定費の議論は、CAP-12 で最低プールマージンへ移る方向にありますが、CIP-23 を Dijkstra のどの段階に入れるかが決まらないまま、最低プールコストのガードレールを外すことを心配する意見も出ています。
  • 国庫 (新しい引き出し)。 銅の議案は 22,000,000 ADA で、通れば 2026 年の上限の残り 42,604,371 ada のおよそ半分を使います。提案書自身が、元本が戻る保証はなく、ADA/USD、銅価格、保管、ブリッジの失敗などを大きなリスクとして挙げています。
  • プールの経済 (SIPO 自身)。 SIPO の 1 号機は k=1000 の飽和点の 1.423 倍の位置にあり、SIPO2 も線の 95.7% まで来ています。SIPO は k のポールに 3 プールで反対を投じた当事者です。
  • 運用 (Cardano のノード)。 11.2 のプレリリースは予定の週に出ていません。Leios の試作版は版ごとに respin が要り、Mithril の新しい版は署名者の設定のしかたを変えます。どちらも、メインネットに来る前に中身を確かめておく必要があります。
  • 運用 (Midnight)。 新しい勧告は修正済みの版を 8.1.2 としていますが、NIGHT 以外のトークンを発行・保有するコントラクトの管理者は、勧告の条件に当たるかを確かめる必要があります。前号の勧告の「保存済みの状態は直らない」という注意も、そのまま残っています。
  • 鍵の保管。 Ledger の件は、特定の販売店を通った端末に絞られています。ハードウェアウォレットは、メーカーの公式の販売経路から買ったものかを確かめておく必要があります。
  • DeFi (統合という言葉)。 Minswap と FluidTokens の配信の題は「The merging」ですが、条件はまだ示されていません。預けている資産や契約が動くかどうかは、具体的な発表を待つ必要があります。
  • ネットワーク (取引の急増のあと)。 エポック 661 は 253,314 件に戻りました。HOSKY の企画がいつ終わったのか、どれだけ配ったのかは、公式には示されていません。

16. 来週の注目

  1. k のポールの締切 — 10 月 22 日 6 時 44 分 51 秒。未投票の約 80.6 億 ada がどこまで動くか、賛成率 2.04% がどこで止まるか。確認先は gov.tools の当該 Info Action のページです。
  2. cardano-node 11.2 のプレリリース — Hard Fork Working Group の見込みから 1 週間ずれています。確認先は IntersectMBO/cardano-node のリリース面と、Hard Fork Working Group の次の議事録です。
  3. プロトコルバージョン 12 のガードレールのスクリプト — 初版が「翌週」とされています。確認先は Intersect の Cardano Upgrades のドキュメントと、CAP ポータルの CAP-12 のページです。
  4. Intersect の週次更新 #133 — 10 月 17 日朝の時点で未公開です。ノードの版の分布 (前号の「3 割が 11.1.2 より前」) の更新値が出るか。確認先は Intersect のニュース面です。
  5. 銅の議案の票 — 締切は 11 月 16 日 6 時 44 分 51 秒。初週は賛成 2 票・反対 16 票でした。委員会の最初の票と理由書が出るか。確認先は gov.tools の当該議案のページです。
  6. Minswap と FluidTokens の配信「The merging」 — 10 月 20 日 18 時 (日本時間)。利用者向けの変更点が示されるか。確認先は @FluidTokens と @MinswapDEX の X です。
  7. Cardano R&D セッション — 10 月 22 日 23 時 (日本時間)。Peras の投票証明書や Mithril のブリッジの安全性が取り上げられる予定です。確認先は IOG の X の告知です。
  8. Midgard Labs のミートアップ — 10 月 23 日 (東京)・24 日 (大阪)。確認先は Midgard Labs の COO、Dave Dionisio 氏の X の告知です。
  9. ホスキンソン氏の「[ANN] soon」 — Midnight についての発表の中身。確認先は @IOHK_Charles と @MidnightNtwrk の X です。
  10. Cardano Card の終了 — 10 月 31 日。確認先は @cardano_card の X です。

まとめ

前号から追いかけてきた 2 つの議案は、10 月 12 日の朝に、どちらも失効しました。minPoolCost は 3 週間で賛成を 4 倍近くに伸ばし、委員会も必要な 5 名をそろえましたが、DRep の 67% には約 8.5 億 ada 届きませんでした。投票済みの反対は 14.51% で、最後まで票を投じなかった DRep が 37.66% 残っています。結果を分けたのは反対の多さよりも、期限までに集まらなかった票のほうでした。固定費の議論は、CAP-12 の最低プールマージンへと場所を移しています。

国庫には、入れ替わるように新しい問いが置かれました。22,000,000 ADA で銅を買い、トークンにして、3 年以内に売却代金を戻すという議案です。提案書は、元本が戻る保証はないこと、損益分岐の銅価格まで自ら数字で示しています。DRep は、実物資産のトークン化の実証に国庫をどこまで使うかを、11 月 16 日までに判断することになります。

ネットワークの側では、エポック 660 が 1,780,896 件で確定し、5 年前の記録を上回りました。手数料の増加は、報酬の総額と国庫の増え方の両方に数字として出ています。続くエポックは 25 万件台に戻りました。

Midnight は、ロードマップで Cardano の SPO にブロック生成を開く時期を 2027 年 1〜3 月期に置きました。Cardano の SPO にとって、Midnight は見守る対象から、参加を考える対象に近づいています。来週は、k のポールの締切と、遅れているノード 11.2 の行方が、最初の確認点です。

参考・出典

本文で SIPO 自身の記事に触れた箇所は、その場でリンクしています。以下は一次ソースです。

透明性メモ

  • 議案の最終の票:10 月 17 日 7 時 16 分 (日本時間) に Koios から取得した、エポック 661 の確定値です。minPoolCost の分母は、賛成 1,643,257,367 ada に反対として働く分 (投票済みの反対・常に不信任・未投票) 2,076,150,372 ada を足した 3,719,407,739 ada です。44.18% は賛成 ÷ 分母、14.51% は投票済みの反対 539,517,216 ada ÷ 分母、37.66% は未投票 1,400,735,296 ada ÷ 分母、不足の 848,745,818 ada は 0.67 × 分母 − 賛成です。
  • OpenZeppelin の 50.80%:投票済みの反対 2,180,840,538 ada を、分母 4,292,755,538 ada で割った値です。
  • 「反対が X%」の書き方:公開 API が返す反対率には未投票と「常に不信任」の分が含まれます。本文の反対の割合は、投票済みの反対だけを分母で割った値に限っています。
  • 失効と否決:2 つの議案はチェーン上で「expired」(エポック 661) として記録され、エポック 662 で取り除かれました。チェーン上に「否決」という状態はありません。
  • 委員会の票:記録時刻 (10 月 11 日 18 時 50 分 31 秒・20 時 34 分 05 秒) まで書き、委員の個人名は書いていません。
  • エポック 660 の倍率:11.27 倍は 1,780,896 ÷ 158,011、手数料の 6.82 倍は 337,720.00 ÷ 49,494.70、エポック 304 との差は 1,780,896 − 1,566,974 = 213,922 件 (13.65%) です。エポック 304 の件数は Koios のエポック情報と、AdaStat と Cexplorer の告知で確かめています。Cardano PRIME は、SIPO の 10 月 13 日の記事が示した手数料の推計を引用しています。
  • 報酬と国庫:報酬の総額は Koios のエポック情報の値です。国庫の増分は各エポックの国庫の残高の差で、61,173 ada は 3,670,153.74 − 3,608,980.68 です。手数料の増分に対する 21.2% は 61,173 ÷ 288,225 の算術で、内訳を分けて確かめたものではありません。
  • 銅の議案:要約・内訳・損益分岐 (1 ポンド約 10.06 ドル) は、議案のメタデータの本文によります。損益分岐の値は、提案書が「手数料の上限をすべて使い、ADA/USD が変わらず、取得価格を例示の 6.73 ドルとした場合」と前提を置いた試算です。上限の残りの「およそ半分」は 22,000,000 ÷ 42,604,371 の算術です。
  • k ポールの分母と賛成率:賛成 194,863,923 ada に、反対として働く分の 9,351,259,134 ada を足した 9,546,123,057 ada が分母で、賛成率は 2.04% です。明示的な棄権と「常に棄権」の 618 プールは、議案本文の宣言どおり分母から外しています。
  • プール別の委任量:第 6 章の表の値は、10 月 17 日朝に取得した各プールの現在のエポックの有効ステークで、議案の集計値とは取得の経路が違います。そのため「約」で書いています。DIGI と ACL の 2 つのグループは、プールの登録名まで書き、運営者が誰かや投票の理由は書いていません。
  • 飽和点の試算:10 月 17 日朝のチェーン上の流通量 36,810,458,522 ada を k で割った機械的な試算です。SIPO の 3 プールの値は、エポック 661 の終了直後に取得したライブステークです。
  • SIPO の利害:k のポールについては 3 プールで反対・DRep で棄権を投じた当事者であることと 1 号機が k=1000 の飽和点を超える側にいること、minPoolCost については 3 プールとも固定費 340 ada で機械的な影響がないことと DRep が棄権したこと、OpenZeppelin については DRep が反対を投じた当事者であること、銅の議案については DRep がまだ投票していないこと、Midnight については Cardano の SPO としてブロック生成の開放の対象になりうる立場にあることと Nightforce のアンバサダーの一員であること、RealFi については アルファ・アンバサダーとして SPO アクセラレーターに参加していることを本文で開示しています。
  • 市場の値の取得時刻:10 月 10 日の値は 6 時 35 分 12 秒、10 月 17 日の値は 6 時 35 分 02 秒の朝の定点観測です。10 月 10 日の ADA は小数第 2 位までの記録 ($0.24) で、週間 −5.99% はその値で計算しています。CoinGecko の 7 日の日次系列 (10 月 10 日 9 時 → 10 月 17 日 7 時 23 分) では ADA −7.01%、NIGHT −8.06% で、基準の時刻と系列が違います。エポック境界の ADA (−10.49%) は境界の時刻ちょうどの値です。
  • NIGHT の値:今週は両端とも Cardano の DEX の価格から算出した値で、取得元がそろっているため、週間の騰落率を示しています。
  • 「セキュリティ」の語:Midnight の勧告は GitHub のセキュリティ勧告として公開され、重大度は「High」です。cardano-node は今週リリースがありません。Dingo は v0.81.1 のリリースノートに security の語がある範囲で書いています。
  • 書かなかったこと:HOSKY の企画の終了時期と配布の総量 (公式に示されていないため)、Musashi Dojo の負荷試験の結果 (数字が公表されていないため)、ホスキンソン氏の講演の逐語 (書き起こしを確かめていないため)、Midnight Foundation の Quantum Alliance への参加 (財団自身の発表を確かめられなかったため)、Minswap と FluidTokens の統合の条件、銅の議案をめぐる DRep の試算と賛否の理由 (本稿では提案書自身の記述に限ったため)。
  • 価格と出来事の関係:結びつけていません。

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