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Weekly Brief #30|Midnight のメインネット、累計取引 100 万件に

2026-10-31SIPO

Midnight のメインネットで、取引の累計が日本時間 10 月 28 日未明に 100 万件を超えました。9 月 28 日にスマートコントラクトの公開が誰にでも開かれてから約 1 か月で、1 日の取引は 100 件台から 4 万 8,000 件前後の水準まで増えています。

同じ週、Midnight は Sig Network と組んで Ethereum のアプリに秘匿の仕組みを届ける道を開き、Cardano のウォレット Lace は NIGHT から DUST を生み出す機能を載せました。Cardano の側では、2 週遅れていた cardano-node 11.2.0 が 10 月 28 日に先行版として公開され、次のハードフォーク Dijkstra の試験を次の段に進める条件がそろいつつあります。

ガバナンスでは、EMURGO が EMURGO と Yoroi の 2 つの DRep を 11 月 30 日に登録解除すると発表しました。約 6 億 1,344 万 ADA の委任が行き先を失う計算で、委任したままのウォレットは期日までに委任先を選び直さないと、ステーキング報酬を引き出せなくなります。国庫の議案では、Cardano 財団が銅の準備金の案に DRep として反対を投じ、Intersect は 2027 年の予算を 7 つの領域に分ける案を示しました。

SIPO は、EMURGO の発表が乗り換え先の例として名前を挙げた 5 つの DRep の一つです。Midnight の Nightforce のアンバサダーの一員でもあります。国庫の 3 件には、SIPO の DRep はまだ投票していません。開示の詳細は第 6 章と第 2 章に置きます。

エグゼクティブ・サマリー

  • Midnight の取引が累計 100 万件に:独立系のエクスプローラー Midnight Explorer が 10 月 28 日 0 時 7 分に 1,019,963 件と報告し、IOG が共有しました。10 月 25 日には 1 日 49,229 件の最多記録も出ています。Midnight 公式の 10 月の月報には、利用件数の数字は載っていません。
  • Midnight の入口が広がる:Sig Network との提携で、Ethereum のアプリが資産を Ethereum に置いたまま利用者の残高と身元を Midnight の側で伏せられるようになりました (いまは試験環境)。Lace 2.5.0 は NIGHT から DUST を生む機能を載せ、Compact の静的解析ツール Nightshade も公開されました。
  • cardano-node 11.2.0 が先行版で公開:配布の設定ファイルが新しい形式になり、11.2 より前のノードでは読めなくなります。BLS 投票鍵の登録とサブトランザクションの組み立ての手順も、この版で初めてそろいました。リリースノートは「メインネットでの利用はまだ推奨しない」と書いています。
  • Dijkstra の台帳:Leios の証明書を検証する規則が台帳のコードに入り、CIP-23 の考え方を取り入れた報酬計算の変更も取り込まれました。Peras では、投票の暗号方式に BLS を使う方針を TSC が確認しています。
  • EMURGO と Yoroi の DRep が 11 月 30 日に登録解除:2 つの DRep への委任は合わせて約 6 億 1,344 万 ADA・約 1 万 6,000 件です。止まるのは報酬の「引き出し」で、報酬そのものではありません。
  • 国庫の 3 議案:銅の案は投票済みの反対が分母の 43.67% に増え、Cardano 財団が 5 つの懸念を挙げて反対しました。PFMS は DRep の賛成が 20.39% まで増え、財団は PFMS には賛成を投じましたが、可決の 67% からは遠い位置です。委員会の新しい票はありません。
  • 予算の決め方:Intersect は 2027 年の国庫の予算を 7 つの領域に分ける「CEBP」の案で意見募集を始め、最初の情報アクションは 11 月 10 日の提出を目標にしています。憲法改正案 CAP-3 の第 4 版は、区分ごとの配分を憲法に書き込む案です。
  • k のポールはチェーンから取り除かれた:エポック 664 の境界で、k を 1000 に上げるかを問う SPO ポールが記録の上でも取り下げ済みになりました。k は 500 のままです。
  • ネットワーク:エポック 663 の取引は 126,711 件で、前のエポックから 18.81% 減りました。
  • 鍵と取引所の事故:ハードウェアウォレットの Keystone で購入者の配送情報が流出し、10 月 30 日には Binance のホットウォレットから大規模な流出が起きました。Binance は「すべての損失を補償する」と表明しています。
  • 市場は ADA が下げ、NIGHT は小幅高:ADA −9.23%、BTC −5.62%、ETH −6.69%、NIGHT +2.11%。

1. マーケット・パルス

10 月 24 日から 10 月 31 日にかけての、朝の定点観測の値です。

銘柄10/2410/31週間
ADA$0.21401$0.19425−9.23%
BTC$81,392.0$76,820.0−5.62%
ETH$2,399.20$2,238.70−6.69%
NIGHT$0.039207$0.040036+2.11%

4 銘柄のうち 3 銘柄が下げ、ADA の下げ幅がいちばん大きくなりました。NIGHT は両端とも Cardano の DEX の価格から算出した値で、取得元はそろっています。ADA 建てで見た NIGHT は 0.183203 ADA から 0.206105 ADA へ、+12.50% でした。

エポックの境界で見ると、ADA はエポック 663 が始まった 10 月 22 日 6 時 45 分の $0.22840837 (¥36.11) から、エポック 664 が始まった 10 月 27 日 6 時 45 分の $0.20535050 (¥32.34) へ、−10.10% です。取得の時刻が違うため、週間の −9.23% とは幅がずれます。

価格の動きと、本稿で扱う出来事は結びつけていません。

ネットワークの残りの数字も置いておきます。エポック 663 から 664 への境界で、ステーキング比率は 56.77% から 56.84% へ、委任者数は 592 減の 1,332,711 になりました。トレジャリーはエポック 664 で 1,389,274,981 ada です。

2. Midnight のメインネット、累計 100 万件

数えたのは独立系のエクスプローラー

最初に 100 万件の突破を伝えたのは、TexLabs が運営するブロックエクスプローラー Midnight Explorer です。日本時間 10 月 28 日 0 時 7 分の投稿で、メインネットの累計が 1,019,963 件を超えたと報告しました。

「Midnight Explorer によれば、メインネットはこれまでに 1,019,963 件を超える取引を記録した」

同じ投稿は、1 日の件数が 9 月 27 日の 128 件から 10 月 26 日の 47,714 件へ増えた推移も示しています。約 2 時間後の 2 時 18 分、IOG は公式の X でこの投稿を引用し、「Midnight と、プライバシーを実際に使っているビルダーにとっての節目」と共有しました。100 万件は、外部のエクスプローラーの集計を開発元が追認した形の数字です (Midnight の取引100万件、直近1週間で3分の1)。

その 2 日前には、1 日あたりの最多記録も出ていました。市場や新しい技術を解説する MSB Intel が、10 月 25 日の取引が 49,229 件で、同じ日の Zcash の 20,445 件の 2 倍を超えたと投稿しています。SIPO.TOKYO の編集部が Midnight Explorer の日次のチャートと Blockchair の Zcash の日次集計を確かめたところ、どちらの値も一致しました (Midnight、1日4万9229件の取引で最多更新)。

1 か月の推移

時点1 日の取引出どころ
9 月 27 日128 件Midnight Explorer の投稿
10 月 5 日22,655 件Midnight Explorer の日次チャート
10 月 20〜24 日48,353〜49,007 件同
10 月 25 日49,229 件 (最多)MSB Intel の投稿・日次チャート
10 月 26 日47,714 件Midnight Explorer の投稿

増え始めた時期は、Midnight 公式ブログの「State of the Network – September 2026」が 9 月 28 日に伝えたパーミッションレス化、つまり審査なしでのコントラクトの公開が始まった直後と重なっています。MSB Intel は、100 万件のうち 33 万 4,000 件超が直近 7 日間の取引だったとも伝えました。1 日あたりに直すと約 4.8 万件で、上の表の水準と合います。

件数の読み方

比較に使われた Zcash は、送金そのものを秘匿することに重心を置いた通貨です。Midnight は、アプリが扱うデータのうち何を見せて何を伏せるかを選べるスマートコントラクトの基盤で、件数の多くはアプリがコントラクトを動かす操作です。Midnight Explorer のトップの表示では、10 月 27 日朝の時点で公開済みのコントラクトが 1,433 件、コントラクトの操作が約 88 万件ありました。件数の多さが示すのは Midnight の上でアプリが動く回数で、秘匿された送金の量や経済的な価値の大きさは、この数字からは読めません。

公式の 10 月の月報

Midnight 公式ブログは 10 月 27 日、「State of the Network – October 2026」を公開しました。中心は 2027 年 1〜3 月期までのロードマップの公開と、シンガポールの TOKEN2049 で披露された製品群 (ID と資産を管理する Midnight Passport、プライバシーを保った AI エージェントの Midnight Companions、Nightmode) の紹介です。取引件数やコントラクト数といった利用の数字は載っていません。

同じ月報は、Midnight が自ら提供していたメインネットと Preprod 向けのインデクサーと RPC を 10 月 9 日に止め、開発者を Blockfrost か自前の運用へ案内したことも伝えています。チェーンのデータを読む窓口が外部に移ったいま、Midnight Explorer のような独立した集計が、利用の数字を外から確かめる主な手段になっています。メインネットのすべてのバリデーターがノード 1.0.400 に更新済みだとも書かれています。

利害を開示します。SIPO は Midnight の Nightforce のアンバサダーの一員で、Cardano の SPO として、ロードマップにあるブロック生成の開放の対象になりうる立場にあります。

3. Midnight の入口:Ethereum、Lace、開発の道具

Sig Network と Ethereum のアプリ

Midnight Foundation は 10 月 28 日、署名のネットワーク Sig Network との提携を公式ブログと X で発表しました。Ethereum で動くアプリが、資産と流動性を Ethereum に置いたまま、利用者一人ひとりの残高と身元を Midnight の側で伏せられるようにする仕組みです。

ブログが説明する流れは 4 段です。Midnight のコントラクトが利用者の依頼を確かめて Ethereum の取引を 1 件用意し、Sig Network が独立した複数の署名者による閾値署名でそれに署名し、取引はコントラクトが持つ Ethereum の口座から実行され、結果が証明として Midnight に戻ります。ブログは、ブリッジもラップもしないと書いています。Sig Network の CEO の David Millar-Durrant 氏は、ブログでこう述べています。

「アプリを秘匿にするために、チームが作り直す必要はないはずだ」

Ethereum の側の取引は公開されたままで、金額とタイミングは見えます。伏せられるのは、利用者ごとの活動・残高・取引の履歴です。いまは Midnight の stagenet (公開前の試験環境) で動いており、預け入れ、Uniswap での交換、Aave への供給、Ethereum の任意のアドレスへの引き出しに対応しています。メインネットでいつ使えるかは、ブログに書かれていません (Sig Network、Midnight のコントラクトに Ethereum の口座を用意)。

10 月 20 日の Nightmode が「利用者が自分の資産を秘匿して使う」入口だったのに対し、今回は「アプリの側が Midnight の秘匿を部品として呼び出す」入口です。Midnight Foundation は X で「Welcome to Midnight, Ethereum.」と書きました。

Lace 2.5.0、ウォレットの中で DUST を生む

Cardano のウォレット Lace のブラウザ拡張版 2.5.0 が、日本時間 10 月 30 日未明に公開されました。リリースノートは新機能をこう書いています。

「Cardano のアカウントで持っている NIGHT を Midnight のアドレスに割り当て、Lace から直接 DUST を生み出す」

DUST は Midnight で取引の手数料にだけ使う資源で、人には送れません。Midnight の技術文書によると、上限は NIGHT 1 枚あたり 5 DUST で、上限に届くまでの時間は NIGHT の量にかかわらず約 1 週間です。裏付けの NIGHT を送ると、DUST はその時点からゼロに向けて減り始めます。9 月 23 日の 2.4.0 で「公開後まもなく」と予告されていた機能が、約 5 週間を経て載った形です (Lace 2.5.0、NIGHT から DUST を生む機能を搭載)。

開発の道具と、エコシステム

  • Nightshade (10 月 29 日):Compact で書いたコントラクトを実行せずに読んで、プライバシーの漏れ、なりすましのできる認証、署名の検証結果の見落としなどを探す静的解析ツールが、Apache-2.0 で公開されました。規則は 96 で、既定で動くのはそのうち 28 です。リポジトリの文書は、指摘がないことを安全の証明としないよう書いています (Compact の静的解析 Nightshade、96 の規則で公開)。
  • ShadowLabz:Midnight の公式アカウントは 10 月 27 日未明、誰がどれを選んだかを伏せたまま結果を確かめられる投票を TOKEN2049 で実演したチームとして、ShadowLabz を紹介しました (ShadowLabz、TOKEN2049 で Midnight の秘密投票を実演)。
  • インデクサーの勧告:10 月 28 日、midnight-indexer に深刻度「high」の勧告 (GHSA-67mp) が公開されました。勧告は「細工した取引でインデクサーを止められる」と書いており、止まるのはデータを整理して配る側で、チェーンそのものではありません。

midnight-node と Compact のリリースは、今週ありません。10 月の月報は、Sig Network が Nightmode の次の対象として TRON を挙げ、2026 年 12 月の展開を予定していると伝えています。

4. cardano-node 11.2.0、先行版で公開

2 週遅れて届いた起点

Intersect は日本時間 10 月 28 日 21 時 53 分、cardano-node 11.2.0 を GitHub で先行版 (pre-release) として公開しました。前号で伝えたとおり、Hard Fork Working Group の議事録は 10 月 13 日の時点で「10 月 12 日の週にプレリリース」、20 日の時点で「今週タグ付けの見込み」としていた版です。翌 29 日、Intersect は X でこう告知しました。

「Node 11.2 が先行版で出た。Dijkstra を、エコシステム全体での試験と統合に近づける」

公開の Dijkstra テストネットは 10 月 23 日に開いたものの、プロトコルバージョン 11 (Conway) のまま node 11.1.3 で動いていました。Intersect の段取りでは、11.2 の先行版のあとにハードフォークを始めるガバナンスアクションを出し、11.2 でバージョン 12 (Dijkstra) に移ります。Hard Fork Working Group の 10 月 27 日の議事録は、11.2 が出れば「DijkstraNet を Dijkstra の時代へフォークするのに使う」と書き、Leios を含む 11.3 については「タグ付けと先行版まで、現実的には 3〜4 週間」としています。Intersect の Upgrade Bulletin #40 は、SPO にテストネットのハードフォークより前に 11.2 へ上げるよう呼びかけています。10 月 31 日朝の時点で、テストネットはまだバージョン 11 のままです。

ノードを動かす側の変更

リリースノートが「破壊的な変更」として挙げる中心は、設定ファイルです。

  • 配布の設定ファイルが新形式に:公開されている mainnet-config.json などの設定ファイルは、$schema・Version・MinNodeVersion・Configuration の 4 つの欄で中身を包む新しい形式になり、11.2 より前のノードでは読めません。設定ファイルだけを先に新しくすると、古いノードは起動できなくなります。これまでの平らな形式の設定ファイルは、11.2 でもそのまま使えます。
  • ウォレットやインデクサーとの通信:同じマシンの道具とノードが話す手順の古い版 (V16〜V22) が外れ、それらでしか届かなかった問い合わせの一部も削除されました。
  • 台帳の保存の間隔:台帳の状態の保存は、既定でメインネットではおよそ 1 日 1 回になりました。
  • Mithril の署名者:同梱される Mithril の署名プログラムは 1.2.5 に上がっています。

Dijkstra に向けて、この版で初めてそろったもの

SPO にとっていちばん具体的なのは、BLS 投票鍵の登録です。11.2.0 の cardano-cli では、プールの登録証明書に BLS の署名鍵を渡して登録し、リリースノートはこの登録を Dijkstra 以降は必須としています。所有の証明は証明書の中に組み込まれるようになり、そのための単独のコマンドは削除されました。

取引の側では、取引の中に別の取引を入れ子にするサブトランザクションを cardano-cli で組み立てて署名する手順が加わりました。サブトランザクションの中で使えるスクリプトは、ネイティブスクリプトと Plutus V4 だけです。Plutus V4 はプロトコルバージョン 12 で使える状態になりましたが、リリースノートによると、この版の V4 が持つ組み込み関数はいまの V1〜V3 と同じで、新しい関数は後の版で有効になります。Leios と Peras の下地も入っていますが、どちらも既定では無効です (Node 11.2、Dijkstra の取引を組み立て可能に)。

空欄のまま残るもの

先行版のリリースノートには、「既知の問題」、ベンチマークの報告、システムテストの結果の欄が、記入待ちのまま残っています。正式版になるときに、これらの欄が埋まり、pre-release の表記が外れるかが次の確認点です (cardano-node 11.2.0 先行版、設定ファイルが新形式に)。

周辺では、cardano-cli 11.6.0.0 (10 月 27 日) と、ガバナンスの操作画面 GovTool の v3.0.0 (10 月 26 日) も公開されました。

利害を開示します。SIPO は 3 プールを運営する SPO で、11.2 への更新、設定ファイルの入れ替えの順番、BLS 投票鍵の登録は、SIPO 自身の作業です。

5. Dijkstra の台帳と、Peras の方針

Leios の証明書を検証する規則

Cardano の台帳のコードに、日本時間 10 月 27 日、Leios の証明書を検証する規則「LEIOSCERT」が取り込まれました (cardano-ledger #6209)。設計を記した issue によると、この規則は 3 つの点を確かめます。いまのスロットが、取引の塊 (エンドーサーブロック) が告知されたスロットから見て早すぎないこと、その告知が前のエポックのものではないこと、そして証明書そのものが有効であることです。

10 月 29 日には、ノードの合意の層が、エンドーサーブロックの中身が届く前に証明書だけを先に確かめるための窓口も加わりました (#6216)。IOG は 10 月 30 日の週次開発報告の告知で、「Leios certificate checks」を今週の項目の先頭に挙げています (Cardano の台帳、Leios 証明書の検証規則を実装)。

報酬計算に、最低値の考え方

同じ週、台帳には SPO と委任者に直接関わる変更も入りました。Dijkstra では、最低固定費 (minPoolCost) を下回る固定費を宣言したプールの登録や更新がエラーで拒否されなくなり、その代わりに報酬を計算するときは、宣言した固定費と最低固定費の大きい方を使います。最低マージン (minPoolMargin) も同じ扱いで、宣言したマージンと最低マージンの大きい方が報酬計算に使われます。

この変更は、前号で取り上げた CIP-23 の実装 (cardano-ledger #6197) が台帳に取り込まれたものです。前号では #6197 を「下書きのまま」と書きましたが、実際には 10 月 23 日 10 時 32 分 (日本時間) にマージされていました。訂正します。最低マージンの値はこの変更では決めておらず、前号で伝えたとおり、憲法改正案 CAP-12 の第 4 版は「0 で導入し、後のパラメータ変更で初めの値を決める」と書いています。node 11.2.0 のリリースノートも、CIP-50 の Pledge に対する最大レバレッジと CIP-23 の最低プールマージンを、将来の時代向けのパラメータとして台帳に加えたと書き、「値が設定されるまでは何の効果もない」としています。

宣言した値と報酬計算に使われる値がずれうるため、委任先を比べる一覧が宣言値だけを表示していると、委任者の報酬の見込みと食い違う可能性があります。

CAP-12 は 10 月 30 日に第 5 版になりました。作者の要約は「Leios のパラメータは 0 に設定できない」とし、Leios を一時的に止める必要が出た場合は、パラメータの設定ではなく、ネットワークの災害復旧計画 (CIP-0135) の考え方に沿った非常時の計画で扱うのが望ましいと書いています。第 4 版で数値があった 6 項目は、パラメータ委員会の確認を待つ空欄に戻されました。この停止の手順を検討するはずだった 10 月 28 日の TSC の会合は、定足数に届かず、正式な見解は出ていません。

Peras、BLS と定足数の引き上げ

取引の確定を速める Ouroboros Peras を開発する Tweag は、10 月 23 日付の週報で、投票の暗号方式に BLS 署名を使い、あわせて定足数を引き上げる案が、当面の方針として Intersect の技術運営委員会 (TSC) に確認されたと報告しました。設計文書はこれまで、鍵が盗まれても過去の署名を偽造できない性質 (前方安全性) を持つ Pixel 署名を候補に挙げていました。週報は、引き上げ後の定足数の値と、BLS を選んだ理由を書いていません (Peras の暗号方式、TSC が BLS と定足数引き上げを確認)。

SIPO の 3 プールのマージンは 3.9%、固定費は 340 ada です。最低マージンが 0 で入るあいだは、SIPO を含むどのプールの報酬計算も変わりません。

6. EMURGO と Yoroi の DRep、11 月 30 日に登録解除

8 月の予告に期日

EMURGO は日本時間 10 月 28 日 13 時 27 分、公式の X で、EMURGO と Yoroi の 2 つの DRep を 11 月 30 日に正式に登録解除すると発表しました。8 月 3 日に、SecondFi (旧 Yoroi) のセキュリティの事案で影響を受けた利用者の支援に力を集中させるため、いずれ登録を解除すると示していた方針に、日付が付いた形です。発表は、委任している人にこう呼びかけています。

「EMURGO か Yoroi の DRep に委任しているウォレットは、ステーキング報酬を引き続き引き出せるように、そして Cardano のガバナンスで声が代表され続けるように、2026 年 11 月 30 日までに、ほかのアクティブな DRep に委任してほしい。登録解除の日は、事情によってさらに延びることがある」

10 月 28 日 (エポック 664) の時点で、2 つの DRep への委任は次のとおりです。

DRep委任されている ADA委任しているステークアドレス
Yoroi約 4 億 126 万 ADA15,171 件
EMURGO約 2 億 1,218 万 ADA815 件
合計約 6 億 1,344 万 ADA約 1 万 6,000 件

止まるのは「引き出し」

Cardano のガバナンスを定めた CIP-1694 は、ステークアドレスが DRep に委任していない場合、報酬アカウントからの引き出しを止めると定めています。止まるのは引き出しで、報酬そのものではありません。ステークプールへの委任は別の手続きなので、プールから配られる報酬は報酬アカウントに積み上がり続け、委任をやり直せば引き出せるようになります。特定の DRep の代わりに、棄権 (Abstain) か不信任 (No Confidence) の選択肢へ委任しても、引き出しは止まりません。

8 月の発表どおり、SecondFi の移行ツールでウォレットを移した人は、移した時点で DRep への委任がすでに外れています。今回の期日で影響を受けるのは、いまも 2 つの DRep のどちらかに委任が残っているウォレットです。

発表が挙げた観点と 5 つの DRep

発表は、新しい DRep を選ぶときの観点として、一貫した投票の実績と公開された投票理由、エコシステムへの長期の関わり、商業と技術にわたる知見、優先事項を同じ重さで見るバランスの 4 つを挙げ、例として Cardano Foundation、ながまる、Phil UPLC、SIPO、Socious の 5 つの DRep の名前を出しました。原文は「DReps such as」で、この 5 つに限る意味ではありません。

大口の DRep の票は、同じ週の国庫の議案にも表れています。EMURGO と Yoroi の DRep は、10 月 29 日に銅の準備金の案に棄権を投じました。

利害を開示します。SIPO は、EMURGO の発表が例に挙げた 5 つの DRep の一つで、10 月 28 日の時点で約 1 億 463 万 ADA・417 件の委任を受けています。乗り換え先の選択に直接の利害を持つ立場です。どの DRep がどの議案にどう投票し、どんな理由を添えたかは、gov.tools の DRep ディレクトリで確かめられます (EMURGO と Yoroi の DRep、11月30日で登録解除)。

7. 国庫の 3 議案、銅に Cardano 財団の反対

票の現在地

10 月 31 日 7 時 16 分 (日本時間) に取得した DRep の票です。分母は、明示的な賛成に、投票済みの反対・未投票・常に不信任を足したものです。

議案額DRep 賛成投票済みの反対締切
銅22,000,000 ADA4 票・0.36%87 票・43.67%11 月 16 日 6 時 44 分 51 秒
AURORA940,000 ADA13 票・3.32%45 票・29.27%11 月 21 日 6 時 44 分 51 秒
PFMS9,600,000 ADA26 票・20.39%27 票・13.30%11 月 21 日 6 時 44 分 51 秒

前号から、銅の投票済みの反対は 51 票 (25.75%) から 87 票へ、PFMS の賛成は 10 票 (3.46%) から 26 票へ増えました。可決にはどれも DRep の 67% と、憲法委員会の 3 分の 2 の「合憲」が要ります。委員会では今週、新しい票はありませんでした。銅と AURORA に「違憲」2 票、PFMS に「合憲」1 票のままです。

Cardano 財団が銅の案に反対

Cardano 財団は 10 月 28 日、DRep として銅の準備金の案に反対を投じ、X にこう書きました。

「実物資産のトークン化には本当の可能性があると見ているが、この提案は国庫にとってリスクが大きすぎると考える。2,200 万 ADA が単一の当事者の管理下に置かれ、手数料が高く、安全策がまだ整っていない」

チェーン上に残した投票理由は、懸念を 5 つに分けています。全額が受け取り手の管理する鍵のアドレスへ送られ、監査や保管の安全策が書かれていないこと。提案者自身の試算では、国庫が ADA を取り戻すには銅が 1 ポンド 6.73 ドルから約 10.06 ドルへ約 49% 上がる必要があること。単一の実物資産への集中は分散にならないこと。提案者へ直接払われる最大 3,360,023 ADA のうち 2,640,000 ADA が、作業量ではなく総額の 12% として決められていること。そして倉庫の名前が示されず、Cardano の側から準備金を確かめることも約束を守らせることもできないことです。投票理由は、提案者が支払い不能に陥った場合に銅が破産財産に入り、国庫に何も戻らないこともありうると書いています。財団は同時に、実物資産のトークン化そのものを否定していないことも、要約と本文の冒頭に書いています (Cardano 財団、銅準備金の国庫案に反対票)。

PFMS と、ウッタル・プラデーシュ州の事例

PFMS は、インドの Trivolve Tech が作る警察の証拠管理の仕組みの開発費を求める議案で、Cardano 財団が資金の管理者を務めると表明しています。財団は 10 月 26 日、インドで最も人口の多いウッタル・プラデーシュ州の警察が、証拠のスキャンや鑑識の結果のハッシュ値を Cardano に記録して、進行中の事件で使っているとする事例研究を公開しました。開発したのは同じ Trivolve Tech です (ウッタルプラデーシュ州警察、証拠の記録を Cardano に)。

Cardano 財団は 10 月 30 日 17 時 27 分、DRep として PFMS に賛成を投じました。投票理由は「5 回に分けた資金のうち 4 回、計 7,800,000 ada は、独立した確認者と管理者が成果物を確かめたあとにだけ出す」と書き、あわせて「Cardano 財団はこの提案の共著者で、名前の挙がった管理者であり、管理の経費と税のための 200,000 ada の予算を受け取る」と開示しています。

Cardano の公式アカウントは、PFMS を取り上げる「Governance Hour #13」を日本時間 11 月 6 日 1 時 30 分から開くと案内しています。

SIPO の DRep は、銅・AURORA・PFMS のいずれにも、まだ票を投じていません。

8. 予算の決め方:CEBP と CAP-3

Intersect の 2027 年予算の案

Intersect は 10 月 28 日、2027 年の Cardano の国庫の予算を 7 つの領域に分けて決める「Cardano Ecosystem Budget Process (CEBP)」の案を公開し、DRepTalk で意見募集を始めました。Cardano 財団と協力して進めている案です。

領域取りまとめ役 (Steward) の候補
コア開発と保守Intersect
応用研究Intersect
開発者支援PRAGMA
マーケティング・分析・イベントCardano 財団
普及とエコシステムの成長Cardano 財団
ガバナンスの調整Intersect
オープンな提案枠なし (誰でも直接 DRep に提案できる)

案は「取りまとめは門番ではない」とし、支出の決定、年間目標、領域ごとの配分、Steward の承認はすべて DRep に残るとしています。進め方は 3 段で、11 月に領域の定義と Steward の指名について構想の承認を問う情報アクション (11 月 10 日の提出が目標・DRep の支持 51% 以上が目安)、12 月から 2027 年 1 月に領域ごとの情報アクション (60% 以上が目安) と 2027 年の上限を決める情報アクションを出します。第 2 段について Intersect は「まだ DRep を 2027 年の CEBP に縛るものではない」と明記しています (Intersect、Cardano の2027年予算を7領域に分ける案を公開)。

CAP-3 の第 4 版

Intersect の週次更新 #134 (10 月 24 日) は、憲法改正案 CAP-3 の第 4 版を紹介しました。国庫から引き出せる総額の上限 (Net Change Limit) に、使い道の区分ごとの配分を同じアクションで決める仕組みを足す案で、各引き出しはメタデータに区分と金額を書き、その区分の配分を超えられなくなります。上限の採択に有効な投票ステークの 67% 以上を求めるガードレールを、独立した項目として新設するのがこの版の設計上の要点です (CAP-3 第4版、トレジャリー引き出しに区分ごとの上限)。

CEBP は憲法を変えずに情報アクションと関係者の合意で進める案で、CAP-3 は拘束力のある憲法改正です。Intersect の CEBP のページは CAP-3 に触れておらず、両者の関係は示されていません。

戻す道が、初めて動いた

Intersect は 10 月 24 日夜、2025 年度の予算を預かるスマートコントラクトで、使われなかった資金を国庫へ戻す機能を初めてメインネットで実行し、115,172 ADA を戻したと公表しました。10 月 20 日と 21 日の 2 本の取引で、元は 2025 年度に Intersect の製品委員会の事業向けに引き出された 75 万 ADA の一部です (Intersect の準備金コントラクト、初の返却で 115,172 ADA)。

9. 投票力と分散を、数え直す

  • 上位 20 の DRep で 3 分の 2:SPO の BKIND は 10 月 24 日、有効な DRep 294 のうち上位 20 だけで国庫の引き出しの可決に必要な 3 分の 2 の投票力に届くとする集計を示しました。SIPO.TOKYO の編集部が 10 月 25 日時点の Koios のデータで数え直すと、上位 19 で 67.9% でした (Cardano の DRep 投票力、上位20で3分の2に)。
  • 兼任の開示の書式:BKIND は 10 月 29 日、SPO・DRep・憲法委員を兼ねる人が、その兼任をどこにどの形で開示するかを定める CIP「Disclosure of Governance Roles」を提出しました。憲法は開示を義務づけていますが、場所も形式も決めていません (SPO と DRep の兼任開示、BKIND が書式の CIP を提出)。
  • 開発者調査をチェーンに:Cardano 財団は 10 月 28 日 19 時 27 分、2026 年の開発者調査を情報アクションとして提出しました。議案の本文は「ここで投票すべきことはない」と書き、回答は 11 月 30 日まで受け付けています (Cardano 財団の開発者調査 2026、回答はすべてチェーン上に)。

SIPO は 3 プールの SPO と DRep を兼ねる運営者で、BKIND の CIP が扱う開示の対象にあたります。

10. SIPO の 3 プールと、k のポールの後

ここは SIPO 自身の立場なので、記録と利害をまとめて開示します。

k を 500 から 1000 に上げるかを問う SPO ポールは、前号で伝えたとおり明示的な賛成 2.20% で期限を迎え、エポック 664 の境界 (10 月 27 日 6 時 44 分 51 秒) で、チェーン上でも取り下げ済みと記録されました。情報提供のための議案なので、効力はありません。SIPO は 10 月 7 日、3 プールでこのポールに反対を投じ、DRep としては棄権しています。

k の議論が終わったわけではないため、10 月 31 日朝のチェーン上の流通量 36,819,240,008 ada を k で割った機械的な試算を、前号と同じ形で置いておきます。

k飽和点 (流通量 ÷ k)SIPO の 3 プール (エポック 663 終了時のライブステーク)
500 (現行)約 73,638,480 ada3 プールすべて下
1000 (ポールの案)約 36,819,240 adaSIPO 56,272,492 ada = 1.528 倍 / SIPO2 35,221,046 ada (0.957) / SIPO3 24,276,980 ada (0.659)

SIPO の 1 号機は、k=1000 なら飽和点を超える側にいて、1 週間で約 232 万 ada 増えました。委任者の数は 1,106 から 1,105 へ、ほぼ変わっていません。

エポック 663 に、3 プールは SIPO 60・SIPO2 38・SIPO3 31 の計 129 ブロックを作りました (エポック 662 は計 121)。委任者は 1,105・476・543 です。

11. ネットワーク:エポック 663 は 126,711 件

エポック期間 (日本時間)ブロック取引1 ブロックあたり手数料
66110/12 6:44 〜 10/17 6:4421,385253,31411.85 件67,761.27 ada
66210/17 6:44 〜 10/22 6:4421,268156,0637.34 件54,576.59 ada
66310/22 6:44 〜 10/27 6:4421,471126,7115.90 件40,210.07 ada

エポック 663 の取引は 126,711 件で、前のエポックから 18.81% 減り、手数料は 26.32% 減りました。

報酬の側では、エポック 662 の報酬の総額が 6,146,980 ada と確定し、エポック 661 の 6,165,276 ada から 0.30% 減りました。国庫の残高は、エポック 664 への境界で +3,602,917 ada 増えています。報酬の原資は準備金からの払い出しと手数料を合わせたもので、その 20% が国庫に入ります。ここで書けるのは、この並びの算術までです。

12. 道具とレイヤー 2

  • Daedalus 11.6.0 (10 月 24 日):11.5.0 より前の版で Mithril による部分的な同期をしたときに残った、チェーンのデータの欠落を見つけ、検証済みの完全な Mithril のデータから作り直せるようにしたメインネット向けの保守版です。サポートを担う Se7en Labs は「すべての Daedalus 利用者に更新を勧める」としています (Daedalus 11.6.0、部分同期で欠けたチェーンデータを再構築)。
  • Dingo v0.88.0 (10 月 25 日):Go 製のノード Dingo が、Dijkstra テストネットへの接続設定に対応しました。Haskell 製の cardano-node 以外のノードも、試験網に加わる準備が一段進んだ形です (Dingo v0.88.0、Dijkstra テストネットに対応)。

Hydra と Mithril の正式版のリリースは、今週ありません。

13. DeFi の動き

  • Cardano PRIME の 9 チーム:Cardano の DeFi に資金を出す Cardano PRIME は 10 月 24 日朝、最初の資金提供先 9 チームを発表しました。Liqwid のレンディング V3、Indigo の改修、SundaeSwap の新機能、EVM のチェーンとのブリッジ、実物資産の債券の市場、監査の 2 社などが並びます (Cardano PRIME、最初の資金提供先9チームを発表)。
  • Liqwid の後始末:Liqwid は 10 月 31 日未明、7〜8 月の NIGHT の清算で残っていた不良債権のポジションをすべて閉じたと発表しました。影響を受けた市場のうち wanUSDC 以外は貸付の返済で埋まっており、wanUSDC の市場の払い戻しは 11 月 2 日から請求できるとしています。
  • Strike の取引高:永久先物の Strike は 10 月 30 日夜、24 時間の取引高が 3,000 万ドルに達して過去最高を更新したと発表しました。10 月 26 日には SUI の永久先物を最大 20 倍で始めています (Strike、24時間取引高3,000万ドルで過去最高)。

14. 鍵と取引所の事故

Keystone の購入者情報

ハードウェアウォレットの Keystone は 10 月 25 日未明 (日本時間)、公式サイトへの不正アクセスで、購入者の氏名・連絡先・配送先住所・注文内容が第三者に渡ったと公表しました。10 月 20 日に検知し、23 日に確認したとしています。秘密鍵やリカバリーフレーズは対象外とされていますが、注文内容を知った相手が担当者を名乗って連絡してくるおそれがあります。続報では、10 月 20 日以降に届いた端末を持つ人にサポートへの連絡を求め、いまある在庫は廃棄に回すとしています (Keystone 公式サイトに不正アクセス、購入者の配送情報が流出)。

Binance の流出

10 月 30 日早朝 (日本時間)、暗号資産の取引所 Binance のホットウォレットから、大規模な資産の流出が起きました。Binance は 9 時 13 分、公式の X でこう発表しています。

「Binance はすべての損失を補償する。予防措置として、セキュリティの確認、資金の凍結、法執行機関との連携を進めるあいだ、すべての入出金を一時的に止めている」

流出額には調査会社によって幅があり、手口についても Binance はまだ確認していません。Binance の発表は、ADA や NIGHT など個別の銘柄の扱いに触れていません。ホスキンソン氏は同じ朝、この件に触れた投稿を引用して「Midnight Fixes this」と書きましたが、どう直すのかは書いていません (Binance で大規模流出、ADA・NIGHT を持つ方へ現時点の整理)。

15. 組織と人の動き

  • Cardano 財団が CMTA に加盟:財団は 10 月 29 日、トークン化証券の規格 CMTAT を定めるスイスの業界団体 CMTA (資本市場・技術協会) の会員になったと発表しました。CMTA は 3 週間前に、Cardano のプログラマブルトークンの規格 CIP-0113 を CMTAT と同等と認めています (Cardano 財団、トークン化証券のスイス業界団体 CMTA に加盟)。

16. リスク・ディメンション

  • 運用 (設定ファイルの順番)。 11.2 の新しい設定ファイルは、11.2 より前のノードでは読めません。正式版の公開後、ノード本体より先に設定ファイルを入れ替えると起動できなくなります。ウォレットやインデクサーなど、ノードにつながる道具が古い通信の版に頼っていないかも確かめる必要があります。
  • 運用 (BLS 投票鍵)。 Dijkstra 以降、プールの登録には BLS 投票鍵が必須になり、登録していないプールは Leios の投票に加われません。手順が 11.2 で変わったため、試験網で先に通しておく意味があります。
  • プールの経済 (2 本の床)。 報酬計算に最低固定費と最低マージンの大きい方を使う変更が台帳に入りました。値はまだ決まっておらず、宣言値と実効値がずれうる点は、委任先の一覧の見え方にも関わります。
  • 委任 (11 月 30 日)。 EMURGO と Yoroi の DRep への委任が残るウォレットは、期日のあと報酬を引き出せなくなります。ふだんガバナンスの発表を追っていない利用者ほど、期日を知らないまま迎えやすい点に注意が要ります。
  • 国庫。 3 件とも可決の 67% から遠い位置にあり、委員会の判断も銅と AURORA では「違憲」が先に出ています。2027 年の予算の決め方は、CEBP と CAP-3 の 2 つの道が同じ時期に議論されています。
  • Midnight。 100 万件は外部のエクスプローラーの集計で、どのアプリがその量を生んでいるかは公表されていません。Sig Network の仕組みはまだ試験環境で、メインネットの時期は示されていません。
  • 鍵と取引所。 Keystone の件では、担当者を名乗る偽の連絡に注意が要ります。Binance の件では、入出金の再開と銘柄ごとの扱いは Binance の公式の経路でだけ告知されます。

17. 来週の注目

  1. エポック 665 の境界 — 11 月 1 日 6 時 44 分 51 秒。エポック 664 の取引件数と、3 プールのブロック数が確定します。確認先は Koios のエポック情報です。
  2. Liqwid の wanUSDC の払い戻し — 11 月 2 日から請求の受け付け。確認先は @liqwidfinance の X です。
  3. Dijkstra テストネットのハードフォーク — 11.2 の先行版のあとに出る、ハードフォークを始めるアクションとバージョン 12 への切り替え。確認先は Intersect の Upgrade Bulletin と、テストネットのエクスプローラー Kleioscan です。
  4. cardano-node 11.2.0 のリリースノートの空欄 — 既知の問題・ベンチマーク・システムテストの欄が埋まり、pre-release の表記が外れるか。確認先は IntersectMBO/cardano-node のリリース面です。
  5. PFMS の Governance Hour #13 — 11 月 6 日 1 時 30 分 (日本時間)。確認先は @Cardano の X の告知です。
  6. IOG の週次開発報告 — 11 月 6 日 (金)。Leios のエンドーサーブロックの規則がどこまで広がるか。確認先は Essential Cardano の開発報告の面です。
  7. CEBP の第 2 段の情報アクション — 11 月 10 日の提出が目標。確認先は GovTool と、DRepTalk の「A More Strategic 2027 Cardano Budget」のスレッドです。
  8. 銅の議案の締切 — 11 月 16 日 6 時 44 分 51 秒。残る 5 名の委員の票は gov.tools の当該議案のページで追えます。
  9. Midnight の利用の中身 — どのコントラクトが件数を生んでいるか。確認先は Midnight Explorer のコントラクト一覧と、Midnight 公式ブログの「State of the Network」の 11 月版です。
  10. Sig Network のメインネット対応 — 確認先は Sig Network のドキュメント (docs.sig.network) の対応ネットワークの記載です。
  11. EMURGO と Yoroi の DRep の登録解除 — 11 月 30 日。延期の告知があるかは @emurgo_io の X で確かめられます。

まとめ

今週、Midnight は利用の量で測られる段階に入りました。メインネットの取引は、パーミッションレス化から約 1 か月で累計 100 万件を超え、1 日 4.8 万件前後の水準が続いています。同じ週に、Ethereum のアプリが Midnight の秘匿を部品として使う道と、Lace の中で DUST を生む手順が加わり、入口は利用者の側にもアプリの側にも広がりました。一方で、その量をどのアプリが生んでいるかは、まだ公式には語られていません。

Cardano の側では、2 週遅れていた node 11.2.0 が先行版として届き、BLS 投票鍵の登録とサブトランザクションの手順がそろいました。台帳には Leios の証明書の検証と、最低値を効かせる報酬計算が書き込まれ、Dijkstra は試験網での切り替えを待つところまで来ています。

ガバナンスでは、約 6 億 ADA の委任が 11 月 30 日に行き先を失うことになり、国庫の使い道を領域や区分で先に決める案が 2 つ並びました。誰に声を預け、どんな順番でお金の使い道を決めるか。委任者と DRep の双方にとって、判断の材料が増えた週です。

来週は、Dijkstra テストネットのハードフォークを始めるアクションが出るかを、Intersect の Upgrade Bulletin で最初に確かめます。

参考・出典

本文で SIPO 自身の記事に触れた箇所は、その場でリンクしています。以下は一次ソースです。

透明性メモ

  • 国庫の 3 議案の票:10 月 31 日 7 時 16 分 (日本時間) に Koios から取得した値です。分母は、明示的な賛成に、反対として働く分 (投票済みの反対・未投票・常に不信任) を足したもので、銅 4,529,167,284 ada、AURORA 4,383,912,770 ada、PFMS 5,250,708,763 ada です。賛成率は賛成 ÷ 分母、投票済みの反対の割合は投票済みの反対 ÷ 分母です (銅 1,978,059,943 ÷ 4,529,167,284 = 43.67%、AURORA 1,282,969,957 ÷ 4,383,912,770 = 29.27%、PFMS 698,554,799 ÷ 5,250,708,763 = 13.30%)。公開 API が返す反対率には未投票と常に不信任の分が含まれるため、本文では使っていません。棄権は分母から外しています。
  • 委員会の票:今週、新しい票の記録はありません。委員の名前は本文に書いていません。
  • k のポール:チェーン上の状態は「expired」(エポック 663)・「dropped」(エポック 664) です。情報提供のための議案には批准の手続きがなく、「否決」という状態もありません。
  • Midnight の取引件数:100 万件 (1,019,963 件) は Midnight Explorer の投稿、10 月 25 日の 49,229 件は MSB Intel の投稿と Midnight Explorer の日次チャートの値です。Zcash の 20,445 件は Blockchair の日次集計と一致しています。Midnight Explorer は Midnight Foundation の公式ではありません。
  • EMURGO と Yoroi の DRep の委任量:10 月 28 日 (エポック 664) に Koios で確かめた値です。SIPO の DRep の委任量も同じ時点の値です。
  • cardano-node 11.2.0:GitHub のリリースの記録 (2026-10-28 12:53:25 UTC・pre-release) によります。リリースノートには「security」の語による修正の記載を確かめていないため、「セキュリティ修正」とは書いていません。
  • 報酬計算の変更:台帳のリポジトリに取り込まれた変更の説明によります。#6197 のマージの時刻は GitHub の記録 (2026-10-23 01:32:29 UTC) です。最低マージンの値は決まっていません。
  • Cardano 財団の票:銅への反対は X の告知とチェーン上の投票理由、PFMS への賛成はチェーン上の記録 (10 月 30 日 17 時 27 分) と投票理由の逐語によります。PFMS については、財団自身が共著者・管理者で 200,000 ada を受け取ると開示している点を本文に併記しています。
  • 報酬と国庫:報酬の総額は Koios のエポック情報の値です。国庫の増分は各エポックの残高の差 (1,389,274,981.55 − 1,385,672,064.61) です。
  • 飽和点の試算:10 月 31 日朝のチェーン上の流通量 36,819,240,008 ada を k で割った機械的な試算です。SIPO の 3 プールの値は、エポック 663 の終了直後に取得したライブステークです。
  • 市場の値の取得時刻:10 月 24 日の値は 6 時 35 分 01 秒、10 月 31 日の値は 6 時 35 分 08 秒の朝の定点観測です。エポック境界の ADA (−10.10%) は境界の時刻ちょうどの値です。
  • SIPO の利害:EMURGO の発表については 乗り換え先の例に名前が挙がった 5 つの DRep の一つであることと約 1 億 463 万 ADA・417 件の委任を受けていること、Midnight については Nightforce のアンバサダーの一員でブロック生成の開放の対象になりうる立場にあること、node 11.2 と Dijkstra については 設定ファイルの入れ替えと BLS 投票鍵の登録が SIPO 自身の作業になること、報酬計算については 3 プールのマージンが 3.9%・固定費が 340 ada であること、k のポールについては 3 プールで反対・DRep で棄権を投じた当事者であることと 1 号機が k=1000 の飽和点を超える側にいること、国庫の 3 議案については DRep がまだ投票していないこと、兼任の開示については SPO と DRep を兼ねる運営者であることを本文で開示しています。
  • 書かなかったこと:Binance の流出額と手口 (公式に確認されていないため)、Binance の件で NIGHT が影響を受けたかどうか (Binance の公式の発表がないため)、Sig Network のメインネットの時期 (公式の資料で確かめられなかったため)、各議案の可否の見通し、各 DRep が投票した理由の推測。
  • 価格と出来事の関係:結びつけていません。

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