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エポックな日々

CIP-113 が本番稼働、minPoolCost 案は賛成44.18%で失効、OKJ が NIGHT 取扱いへ:エポックな日々660

2026-10-12SIPO

エポック660(2026年10月7日〜10月12日)

序章:鍵は届いていて、扉はまだ半分でした

日本時間10月12日6時44分、エポック660が終わりました。

同じ時刻に、2つの議案の投票の受付が閉じています。プールの最低固定費を170 ADA から75 ADA へ下げる議案(minPoolCost)は、DRep の賛成が44.18%で、可決に要る67%に届かないまま失効しました。OpenZeppelin に Cardano 向けの開発基盤づくりを委ねる1,178万7,063 ADA の国庫引き出しも、賛成4.0%で失効しています。どちらも、反対票が上回って否決されたのではありません。minPoolCost では、最後まで投票しなかった DRep の投票力が約14億ADA残っていました。投票する手段はそろっていて、使われなかった票がありました。

この5日間は、ほかの場所でも同じ形が続けて表に出ました。

  • トークンに本人確認や凍結のルールを組み込む規格 CIP-113 が、10月7日にメインネットで稼働しました。翌日には、財団から独立したデジタル ID の会社 Veridian が、最初にこの規格でトークン化された資産として名前を出しています。
  • Peras のパラメータは台帳のコードに入りましたが、次のノードのリリースでは Peras の処理を迂回する変更も入っています。Plutus V4 も、ライブラリとしてはそろったうえで、ノード 11.2 への統合を待っています。
  • Intersect の週報は、ノード 11.1.2 のリリースから3週間たっても、ブロック生成の約30%がそれより古い版で行われていると伝えました。
  • Midnight では、DEX の North Star がメインネットにコントラクトを出したうえで、プールの作成を絞ったまま公開を待っています。「コントラクトを展開することと、DEX を全員に開くことは別の決定だ」と書いています。

使えるようになったものと、実際に使い始められたものの間には、いつも少し距離があります。軸は「使えるようになることと、使い始めることは別でした」です。

SIPO 自身は、使える票を使いました。10月7日、プール数の目安 k を500から1000へ上げるかを SPO に問うポールに、SIPO・SIPO2・SIPO3 の3プールで理由を付けて反対を投じています。第4章で扱います。

市場は、ADA が5日間で下げました。12指標の日次の記録で$0.2692から$0.25336へ−5.88%、境界の確定値では−6.28%です。第7章で並べます。

第1章:エポック660の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。この章だけで期間の全体像がつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
10月7日SIPO が k を500から1000へ上げるかを問う SPO ポールに、3プールで反対を投票。DRep としては棄権SIPO.TOKYO
10月7日DRep Council が、過去の投票理由をもとにした「ガバナンス提案の基準」づくりに着手したと公表。「5万ADAの提案が500万ADAの引き出しより厳しく問われるべきではない」DRep Council
10月9日Cardano 公式が、minPoolCost と OpenZeppelin の2議案の締切が近いと呼びかけCardano
10月9日Blockfrost が、SPO が API の応答を担う IceBreakers の終了を発表。次の段階の開発資金の提案が承認されなかったことを理由に挙げるBlockfrost
10月10日DRep Council の暫定理事会が、参加 DRep の投票(賛成73.18%)で承認され就任DRep Council
10月12日Intersect の週報 #132 が、憲法改正案 CAP-12 は寄せられたコメントで欠陥が見つかり、修正版で戻ってきたと伝えるIntersect
10月12日6時44分、minPoolCost(DRep 賛成44.18%)と OpenZeppelin(同4.0%)の2議案が失効AdaStat

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
10月7日Cardano 財団が、プログラマブルトークンの規格 CIP-0113 のメインネット稼働を TOKEN2049 で発表。スイスの CMTA が認証に使える規格と認めるCardano Foundation
10月7日Cardano 公式が「Peras is getting real」と紹介。Tweag の週次報告で、Peras のプロトコルパラメータの初期実装が台帳のコードに統合Tweag
10月7日〜9日取引件数が急増。Koios の集計で10月9日昼に92万2,251件と、前のエポック全体の5.8倍。大半は2 ADA を送ると HOSKY が返る取引AdaStat
10月8日IOG が、Open Wallet Standard の v1.4.3 で Cardano に対応したと発表。実装は WingRidersInput | Output
10月9日IOG の週次開発レポートが、Plutus 1.71.0.0(Plutus V4 のスクリプトコンテキスト)と、Leios の mempool がエンドーサーブロックの分を確保する変更を報告Essential Cardano
10月9日IOG が、コントラクトの性質を証明するか反例を返す検証ツール Blaster を開発者向けの会で実演IOG
10月12日Intersect の週報 #132 が、ノード 11.1.2 のリリースから3週間たっても、ブロック生成の約30%がそれより古い版と伝えるIntersect

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
10月7日TOKEN2049 の基調講演で、Night Mode・Collateral Warehouse・Offer Files・Midnight Passport の4つを提示Midnight
10月5日〜9日Midnight Explorer のグラフで、1日の取引が2万〜3万件台に(9月は1日数百件)。10月8日には配備の申請手続きを閉じる変更が改善提案リポジトリに入るMidnight Explorer
10月9日midnight-js が v5.0.0-rc.4 を公開。破壊的変更7件。本番の3ネットワークは 4.1.1 のままGitHub
10月9日Atrium が、Diffusion Staking Basket での NIGHT の上乗せ配布を終了。過去10か月で24万 NIGHT を配布Atrium Lab
10月10日「Midnight City: Tokyo」で、ホスキンソン氏が Nightframe を提示。Passport の初版は2026年末ごろ、実資金のエージェント取引は数か月内の計画Midnight City
10月10日OKJ が NIGHT の取扱いを10月13日17時に始めると告知。取引所・販売所・積立・入出庫が対象OKJ
10月10日DEX の North Star がメインネットにコントラクトを展開し、ダミーのトークンで交換を実行。NIGHT は未対応、プール作成を絞ったクローズドベータNorth Star
10月10日チューリッヒの Eldora が、Midnight Foundation から投資家として支援を受けると発表。出資額は非公表Eldora

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
10月7日SecondFi が6月の事件の資産回復ツールを公開。翌8日に最初のバッチの処理を報告SecondFi
10月7日FluidTokens が、Minswap とプロジェクトは独立したままチームを共有するという説明を紹介。「詳細はまもなく」FluidTokens
10月7日DefiLlama の集計で、DexHunter の7日間の取引額が約252.8万ドルとなり、Cardano のアグリゲーターで首位にDefiLlama
10月7日〜9日SundaeSwap V3 の TVL が10月7日の1日で約155.6万ドル増え、9日に約340.8万ドル(1週間で1.86倍)。増加の中心は USDCx と USDMDefiLlama
10月8日Sundae Labs が V4 の Atomic Swaps を紹介。USDCx から sUSDrf への交換を2つの V4 プール経由で1取引で決済SundaeSwap
10月8日アルゼンチンの Blockenfy が、自社の資金1万ドルを RealFi に置いたと発表。年末までに3万〜5万ドルへBlockenfy
10月8日RealFi が、Liqwid の RealFi Hub(交換・ステーク・借り入れを1画面に)を案内RealFi
10月10日Strike Finance が、V2 の累計取引200万件の突破を発表Strike Finance
10月10日Optim が請求ポータルを公開。OADA・sOADA・O の保有者は10週間のうちに請求、分配は年内Optim Finance
10月10日Surf が「Cardano で2番目の貸付プロトコル」と投稿。DefiLlama の標準の表示で約406万ドル、3位の FluidTokens と約45万ドル差Surf
10月11日Ledger が、販売店 CryptoBilis 経由の端末1台に不正なハードウェアの植込みを確認したと公表Ledger Support

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
10月7日Cardano 財団が上級資格 CBCP の試験を開始。ガバナンスが最大の比重、ステーキング報酬の計算も出題領域にCardano Foundation
10月8日Cardano 財団が、デジタル ID の Veridian を独立した会社として切り出し。CIP-113 で最初にトークン化された資産と Cardano 公式が紹介Cardano Foundation
10月8日財団の「.ada」の申請が、ICANN の新 gTLD の審査で次の段階へ。次の節目は11月17日Cardano Foundation
10月8日TOKEN2049 のハッカソン「Origins」で、全体の優勝は Cardano のトラックの CoinGraph。決済はまだテストネットCardano Foundation
10月8日Midgard Labs が、10月23日に東京、24日に大阪で無料のミートアップを開くと告知Dave Dionisio

市場

日付出来事一次ソース
10月8日12指標の記録で ADA が−5.65%の$0.25337。地合いは「暗号資産主導のリスクオフ」本記事 第7章(12指標の日次記録)
10月9日12指標の記録で ADA が−7.83%の$0.23352。期間の記録での最安本記事 第7章(12指標の日次記録)
10月11日12指標の記録で ADA が+5.33%の$0.25336。2日続けて戻す本記事 第7章(12指標の日次記録)

この5日間でいちばん重かったのは、CIP-113 がメインネットに乗ったことです。ステーブルコインや証券のトークンに、本人確認や凍結のルールを組み込み、台帳に守らせる仕組みが本番に入り、その翌日には最初の利用者が名乗り出ました。ドル建ての資金が DEX や貸付に流れ込む動きもこの週に重なっています。第2章で扱います。

ガバナンスは、2つの議案の期限と、SIPO 自身の投票が重なった5日間でした。minPoolCost は賛成が前号の32.79%から44.18%まで伸びて、それでも届かずに終わりました。k のポールでは、明示的な反対が賛成の約10倍になっています。第3章と第4章です。

Midnight は、門の先で使い始める人を待っています。取引は1日2万件台に上がり、日本では NIGHT を円で買える場所が増え、エージェントが実際のお金を扱う計画も示されました。開発の側では、コードに入っても動かさないもの、出ていても入れ替えられていないものが続けて見えています。第5章と第6章で扱います。

第2章:ルールの付いたトークンが、本番で使われ始めました

CIP-113 が、メインネットで動き始めました

10月7日、Cardano 財団はシンガポールの TOKEN2049 の場で、プログラマブルトークンの規格 CIP-0113 がメインネットで稼働したと発表しました。発行体は、本人確認(KYC)、マネーロンダリング対策、制裁リストの照合、凍結と差し押さえ、移転の制限といったルールをトークンそのものに組み込めるようになり、そのルールは送金・発行・焼却のたびに Cardano の台帳が執行します。

財団の公式 X は、要点を短くまとめています。

Issuers of stablecoins and other regulated assets can now build compliance rules directly into native Cardano tokens. Enforced by the network itself. No hard fork required.
— Cardano 財団公式 X(2026年10月7日)

このトークンは、別の器に包んだものではなく、Cardano のネイティブ資産のままです。ウォレットやエクスプローラーが一度対応すれば、ほかのネイティブ資産と同じように扱えます。稼働の時点で、ウォレットの Eternl と GeroWallet、エクスプローラーの CardanoScan、開発ツールの BloxBean が対応していました。同じ日、スイスの業界団体 CMTA は、CIP-113 のトークンを自らのトークン化証券の規格 CMTAT と同等のものとして、認証の制度の上で扱うと発表しています。財団が9月の月次報告で「認証を申請した」と書いていた件に、答えが出た形です。

翌日に、最初の利用者が名乗り出ました

規格が使えるようになることと、規格が使われ始めることの間には、ふつう時間があります。今回、その間は1日でした。

10月8日、財団は3年かけて育てたデジタル ID の基盤 Veridian を、独立した会社として切り出しました。同じ日の TOKEN2049 2日目のまとめで、Cardano 公式 X は、Veridian が CIP-113 で最初にトークン化された資産になったと伝えています。Intersect の週報 #132 は、Veridian が株式を新しい規格でトークン化したと書きました。何をどの条件で発行したのかの詳しい中身は、本稿の時点では確かめられていません。

同じ8日には、アルゼンチンでトークン化の基盤を提供する Blockenfy が、自社のトレジャリーとして RealFi のステーブルコインと利回りの仕組みに1万ドルを置いたと発表しました。年末までに3万〜5万ドルへ広げる計画です。Blockenfy の製品は EVM 系の規格 ERC-3643 で作られており、10月9日時点で連携先のチェーンに Cardano は入っていません。Cardano に来たのは、同社の製品ではなく手元の資金です。ただ、IOG アルゼンチンの担当者は9月、CIP-0113 と ERC-3643 を比べた分析文書の下書きを Blockenfy と一緒に作ったと明かしています。規格の比較を一緒に考えた相手が、先に資金を Cardano に置いた、という順番です。

ドル建ての資金が、プールに入ってきました

同じ週、ドル建ての資金の動きも数字に出ました。

DefiLlama の集計で、SundaeSwap V3 の預かり資産(TVL)は10月7日の1日で約155.6万ドル増え、9日には約340.8万ドルと、1週間前の約1.86倍になりました。増えた分の中心は USDCx(約8.9万ドル→約94.7万ドル)と USDM(約22.1万ドル→約55.2万ドル)で、ADA の値上がりで膨らんだ数字ではありません。同じ週に Gero ウォレットは、ADA を USDCx に替え、USDCx を RealFi の USDrf に替える交換を SundaeSwap V4 経由で組み込んでいます。

SundaeSwap V4 では、複数のプールを経由する交換を1つの取引で決済する Atomic Swaps が動いています。Sundae Labs が示したメインネットの例は、USDCx を sUSDrf に替える交換で、2つの V4 プールを通って1回で決済されました。乗り継ぎごとに取引を分けると、途中の資産を抱えたまま止まるおそれがあります。それを「全部成立するか、まったく成立しないか」にまとめた形です。

取引の入口では、DefiLlama の集計で DexHunter の7日間(9月30日〜10月6日)の取引額が約252.8万ドルとなり、Minswap Aggregator の約211.1万ドルを上回って首位に立ちました。貸付では Surf が「Cardano で2番目の貸付プロトコル」と投稿しています。DefiLlama の標準の表示で10月10日の Surf は約406万ドル、3位の FluidTokens は約361万ドルで、差は約45万ドルです。その FluidTokens は10月7日、Minswap とプロジェクトは独立したまま、チームを共有するという説明を紹介しました。両社の契約の条件や、利用者にとって何が変わるのかは、まだ示されていません。

RealFi の側では、Liqwid のアプリ内にある RealFi Hub で、USDrf への交換、sUSDrf へのステーク、ADA を担保にした借り入れを1つの画面で扱えるようになっています。ポイントの倍率が付く操作のうち3つは Liqwid の上にあり、sUSDrf を担保に USDCx を借りる操作は「ループ」に使われると RealFi 自身が書いています。そのうえで、ポイントを理由に本来なら取らないリスクを取るべきではない、という注意書きを付けています。

使い始めるときに、確かめることが一つ増えます

発行体にとっては、規制に対応したステーブルコインや証券のトークンを Cardano で出す入口が開きました。保有者にとっては、受け取ったトークンがどのモジュールで動いているかが、新しい確認点になります。凍結や差し押さえは、規制の要請に応える機能であると同時に、発行体などが保有者の残高に手を入れられる権限でもあります。誰がその操作をできるのかは、CIP-113 そのものではなく、トークンごとの設計で決まります。同じ「ドル建てのトークン」でも、ルールの中身はトークンごとに違いえます。

資産を守る側の動きも、この5日間に並びました。SecondFi は10月7日、6月の事件で影響を受けたウォレット向けに資産回復ツールを公開し、翌日には最初のバッチの処理を報告しています。リカバリーフレーズは利用者のブラウザの中でだけ使い、ゼロ知識証明で「このウォレットを管理しているのは自分だ」と示す設計です。Optim は OADA・sOADA・O の保有者向けに請求ポータルを開き、10週間のうちの請求を求めています。Ledger は、東南アジアの販売店 CryptoBilis 経由の端末1台に不正なハードウェアの植込みを確認し、直近90日にこの店で買った人に、新しい端末と新しいシードへの移行を勧めました。Cardano で資産を移すときは、ステーキングの委任先と DRep への委任を、移した先のウォレットであらためて設定する必要があります。

道具がそろうほど、使う前に確かめることも増えます。ルールの付いたトークンも、回復のツールも、使い始める人が中身を確かめられる形で出てきたことが、この週の特徴でした。

第3章:届かなかった2つの議案

minPoolCost:賛成は伸び、67%には届きませんでした

プールの最低固定費を170 ADA から75 ADA へ下げる議案(Reduce minPoolCost to 75 ada・gov_action1whncs25w727rj5tml7lmv48gnaf9mm66sdjds8s3l306et7xmkdsqzqd7s2)は、10月12日6時44分、エポック661に入った時点で失効しました。AdaStat の取得時点(エポック660の終了直後)の値で、締切の時点の票を並べます。

DRep の投票力エポック660終了時エポック659終了時
賛成87票・約16億4,326万ADA(44.18%)68票・約12億4,552万ADA(32.79%)
明示的な反対37票・約5億3,952万ADA30票・約5億1,638万ADA
No Confidence約1億3,590万ADA約1億3,536万ADA
未投票約14億59万ADA約19億81万ADA
棄権(分母外)19票・約15億1,300万ADA14票・約13億8,323万ADA
批准の分母約37億1,927万ADA約37億9,808万ADA

この5日間で、賛成は19票・約3億9,774万ADA増えました。明示的な反対は7票増えましたが、投票力では約2,313万ADAの増加にとどまっています。動いた票の大半は、前号に続いて賛成の側に入りました。それでも、67%に届くには賛成がさらに約8億4,865万ADA要りました。

届く余地がなかったわけではありません。最後まで投票しなかった約14億59万ADAがすべて賛成に回っていれば、賛成は約81.8%になっていました。可決の道は、計算の上では最後まで残っていたことになります。

憲法委員会は、前号の時点の賛成3から、締切までに賛成5・反対0・未投票2になりました。7人のうち5人の賛成で、委員会の基準(3分の2)は越えています。この議案は SPO の投票を要しない種類で、必要なのは DRep の67%と委員会の承認でした。委員会の側はそろい、DRep の側が届かなかった、という終わり方です。

SIPO は DRep として、この議案に9月15日に棄権を投じています。経済のパラメータは一つずつではなく、整合した設計で変えるべきだという立場で、その理由は当時の記事に書きました。

OpenZeppelin:明示的な反対が、分母の半分を超えました

Intersect を管理者とする OpenZeppelin Stack 向けの1,178万7,063 ADA の国庫引き出し(gov_action1gxxltxr02p28a398p8c6t08xhpg82wkkv9xgwvuxkly48lhgf20sqlkl2l8)も、同じ時刻に失効しました。

DRep の賛成は16票・約1億7,185万ADA で4.0%。明示的な反対は94票・約21億8,084万ADA で、前号から24票・約4億1,626万ADA増えています。批准の分母約42億9,261万ADA のうち、明示的な反対だけで約50.8%を占めました。未投票の約18億403万ADA がすべて賛成に回っても約46.0%で、こちらは前号の時点からすでに、可決の道が閉じていた議案です。委員会は賛成5・未投票2でした。この種類の議案に SPO の投票はありません。

SIPO は DRep として、9月25日に反対を投じています。OpenZeppelin は提案書で、否決や失効の場合は指摘された懸念を関係者と話し合い、提案を練り直して再提出すると書いています。

同じ「失効」でも、終わり方は違いました

2つの議案は同じ時刻に同じ「失効」で終わりましたが、中身は対照的です。OpenZeppelin は、明示的な反対が分母の半分を超えた議案でした。minPoolCost は、明示的な反対は約14.5%にとどまり、未投票が最後まで約14億ADA残った議案でした。

前号では、minPoolCost の賛成率の上昇は、2つの大口 DRep の棄権で分母が縮んだことによるもの(658)から、賛成の票そのものが増えたこと(659)へ移っていました。今回も、動いたのは分子です。それでも残りの距離を埋めるだけの票は、締切までに投じられませんでした。

投票の手段はそろっていて、使われなかった票が結果を決めた。Cardano のガバナンスで、未投票が「届かない側」に数えられることの意味が、今回ははっきり形になりました。

審査する側が、物差しをそろえ始めました

同じ5日間、審査する側の動きもありました。現役の DRep が集まる DRep Council は10月7日、最初の具体的な成果物として「ガバナンス提案の基準」づくりに取り組んでいると公表しました。過去の DRep の投票理由をもとに、提案者に求める要件と、DRep がオンチェーンの議案を評価する共通の枠組みをまとめる作業です。

A 50k ADA proposal should not face more scrutiny than a 5M ADA on-chain treasury withdrawal. We need clearer, more consistent expectations.
— DRep Council 公式 X(2026年10月6日 UTC)

基本の考え方は「求める金額が大きいほど、審査を厳しくする」です。暫定憲章は、国庫引き出しの「必須テンプレート」に、解決したい問題と金額、マイルストーンと予算の内訳、チームと実績、KPI と報告の約束、リスクと利害関係の開示などを並べています。参加しているのは14の DRep で、委任されている投票力は合わせて約1億7,500万ADA(9月22日時点)。10月10日には暫定理事会が承認されて就任しました。正式な基準になる前には、最低7日間の公開コメントを置く手順です。

OpenZeppelin の議案に反対した DRep のひとりは、費用の内訳がないことを理由に挙げていました。何を書けば審査に耐えるのかが提案を出す前に見えるようになれば、議案の読み方そのものが変わります。基準の草案は、まだ公開されていません。

第4章:使える票を、理由と一緒に使いました

SIPO の3プールは、k のポールに反対しました

エポック660が始まった10月7日、SIPO は、プール数の目安 k(stakePoolTargetNum)を500から1000へ上げるかを SPO に問うポール(gov_action17m7nv7839mw93hv889tqzj0umv9ckm780f0nq02fep78f50uedxqq6g5mt9)に、SIPO・SIPO2・SIPO3 の3プールで反対を投じました。DRep としては棄権です。前号の終章で「k のポールに SIPO の3プールが票を投じるときも、その理由を同じ場所に記録します」と書いた、その記録です(投票の記事)。

理由の中心は、次の3つです。

  • 分け合う総額は変わらない:他の条件が同じなら、エポックあたりの報酬の原資の総額は変わりません。総額が一定のまま配分だけが変わる変更は、Cardano を大きくしないと判断しました。
  • 効果は不確実で、コストは確実:新しいプールや独立した運営者が生まれる保証はありません。確実に起きるのは飽和点が半分になることで、その影響は運営者と委任者が負います。複数のプールを持つ事業者は調整できますが、単一のプールを運営するコミュニティの運営者には、その選択肢がありません。
  • これまでの立場との一貫性:8月7日の束ね版への賛成と、9月15日の minPoolCost 単独案への棄権を通じて、SIPO は経済のパラメータは整合した設計で変えるべきだと主張してきました。分け合う総額を大きくする計画と一体の提案であれば、改めて検討します。

SIPO は3プールを運営しており、k=1000 ではそのうち1つが飽和点を超えます。ただし、SIPO はこれをプール間の配分で調整できるため、自社の収益の問題としては扱っていません。未投票も賛成に届かない側に数えられますが、提出者が反対する人に理由付きの明示的な反対を勧めていたため、立場を記録に残す目的で反対を選びました。DRep として棄権したのは、このポールが SPO の意思を問うもので、DRep の票は判定に含まれないためです。

明示的な反対は、賛成の約10倍に

締切はエポック663が始まる10月22日6時44分頃で、ポールは続いています。エポック660終了直後の AdaStat の値で、SPO の側を並べます。分母は、全プールの委任ステークから明示的な棄権と常時棄権(AlwaysAbstain)を引いたもので、ブロック生成の実績があるプールに絞った母数ではありません。

SPO の投票力エポック660終了時エポック659終了時
賛成19プール・約1億1,406万ADA(1.21%)17プール・約6,785万ADA(0.72%)
明示的な反対32プール・約11億5,732万ADA23プール・約8億9,256万ADA
No Confidence16プール・約5,000万ADA約5,004万ADA
未投票約81億3,514万ADA約84億5,970万ADA
常時棄権(分母外)634プール・約118億763万ADA約117億9,714万ADA
批准の分母約94億5,652万ADA約94億7,015万ADA

明示的な反対は、この5日間で9プール・約2億6,475万ADA増えました。この中には SIPO の3プールの票も含まれます。賛成も2プール・約4,621万ADA増えましたが、反対との比は前号の約13倍から約10倍になっただけで、差の向きは変わっていません。明示的な反対は、分母の約12.2%です。提出者が掲げた「有効な SPO のステークの50%を超える明示的な賛成」という条件には、大きく届いていません。

DRep の側は賛成35票・反対32票・棄権35票で、委員会は賛成1・棄権1・未投票5です。このポールは情報アクションなので、チェーンの上で何かを実行するものではありません。SPO の意思を記録に残すための投票で、その記録は、明示的な反対の側に厚くなり続けています。

CAP-12 は、直して戻ってきました

次のハードフォーク Dijkstra で加わるパラメータを、先に憲法の付属書に書き込んでおく改正案 CAP-12 は、この5日間も意見募集が続きました。Cardano PRIME は10月10日、CAP-12 が既存の条文を変えずに「足すだけ」の改正で、パラメータごとの分類・投票のルール・ガードレールを定め、セキュリティに関わるものには SPO の投票が必要になると整理しています。

10月12日の Intersect の週報 #132 は、寄せられたコメントが欠陥を見つけ、CAP-12 が修正版で戻ってきたと伝えました。何が直されたのか、SIPO が DRep としてコメントした最低プールマージンの定義や、MPC-03 をめぐる論点に応えたのかは、本稿の時点では確かめられていません。10月15日7時(UTC)に Intersect の CAP レビューが予定されています。

Peras のパラメータは、CAP-12 の文案で、変更に SPO の投票も必要な「運用に不可欠なパラメータ」の一覧に入っています。文案ではガードレールの値がまだ空欄の箇所が残っていました。台帳のコードに入ったパラメータの値の幅は、これからガバナンスで決まっていきます(第6章)。

資金が通らなかったあとで、きちんと閉じました

ガバナンスの結果が、事業の形を決めた例もありました。Blockfrost は10月9日、SPO やノードの運用者が API のリクエストを処理して収益の分配を受ける「IceBreakers」を終えると発表しました。100を超える運用者が実際のトラフィックをさばき、コミュニティが運用する API の網が動くことは示されました。それでも、Leios で処理量が増えたあとに必要になる「スライス・インデキシング」の資金が得られませんでした。

We proposed a model to the community that would fund that work that wasn’t approved. We respect that outcome, and because we would rather do this well or not at all, we are closing the program properly instead.
— Blockfrost 公式 X(2026年10月9日)

発表は提案の名前を挙げていませんが、スライス・インデキシングを柱に含んでいた国庫引き出しの提案は、エポック633で批准されないまま失効しています。SIPO は DRep としてこの提案に賛成していました。参加している運用者はノードを止めてよく、最終の支払いは Discord とメールで個別に案内されます。Blockfrost の API サービスそのものの停止には触れていません。

使える仕組みは動いていて、次の段階に進む資金が通らなかった。その結果を受けて、中途半端に続けずに閉じる。ガバナンスの「届かなかった」が、事業の側でどう受け止められるかの一つの形でした。

第5章:Midnight の門の先で、使い始める人を待っています

取引は、1日2万件台に上がりました

前号で、Midnight はメインネットでのコントラクトの配備を審査なしにしました(10月2日)。その先で何が起きたのかが、この5日間に数字になって出てきました。

ブロックエクスプローラーの Midnight Explorer のグラフで日ごとの取引の件数を見ると、9月は1日数百件の水準でした。10月2日〜4日は2,009件・1,219件・3,690件、そして10月5日から9日(UTC)は2万2,655件・2万7,584件・2万3,675件・3万6,917件・3万3,758件と、桁が変わっています。開放と同時ではなく、3日後に別の段へ上がった形です。10月8日には、Midnight の改善提案のリポジトリに、配備の申請手続きを終える変更が入りました。審査の仕組みは、文書の上でも閉じられたことになります。

ただし、この件数をどのアプリやコントラクトが生んでいるのかは、公開されているグラフからは分かりません。Midnight Explorer はコミュニティが運営するもので、Midnight の公式文書は「監査を受けていない」と明記しています。Midnight Explorer 自身が投稿した「+9,100%」は2つの日を比べた値で、同じ2日をグラフの値で比べると約70倍になります。桁が変わったことは確かで、内訳はまだ示されていません。

展開することと、開くことは別の決定です

その中身の一端を、当事者が書きました。DEX の North Star は10月10日、Midnight のメインネットにコントラクトを展開し、ダミーのトークンで交換を実行したと発表しました。注文がブロック N に入り、決済が次のブロック N+1 で完了した記録も示しています。ただし NIGHT はまだ扱っておらず、プールの作成を絞ったクローズドベータにとどめています。

理由として North Star が挙げたのは、利用者がたどる道のり全体です。Midnight を初めて知った人は、ウォレットも、ネットワークの上の資産も持っておらず、手数料をどう用意するかも分からないかもしれない。だから、Midnight の通貨にまっすぐ手が届き、ネットワークに入る実用的な経路がそろうまで、一般公開を「一時的な回避策」の上には組み立てない、という判断です。コントラクトを展開することと、DEX を全員に開くことは別の決定だ、と North Star は書いています。

使えるようになることと、使い始めることを、作る側が自分で分けて考えている。この5日間の軸を、いちばんはっきり言葉にしたのはこのスレッドでした。

円で手に入れる入口と、触れてみる入口

入口のほうも、日本で動きました。国内の暗号資産交換業者 OKJ は10月10日、NIGHT の取扱いを10月13日(火)17時に始めると告知しました。対象は取引所・販売所・積立・入出庫の4つで、入出庫は Cardano チェーンで行います。OKJ は、利用者どうしが注文を出し合う板取引での NIGHT の提供を「国内初」としています。国内では8月24日に S.BLOX が取扱いを始めており、Midnight 公式は今回をそれに続く日本での一歩と位置づけました。取引所での売買は、OKJ の取引システムの移行(10月16日までの予定)を済ませた口座に限られます。

NIGHT は、手数料に使う DUST を生むトークンです。Midnight の公式文書によると、DUST は譲渡できない手数料用の資源で、NIGHT を持っているだけでは生まれず、生成先の登録が要ります。また、NIGHT の残高と送金は常に公開されると公式文書は明記しています。データを守る仕組みが働くのは、DUST やその上で動くアプリの側です。

同じ10月10日、東京・白金台の八芳園で「Midnight City: Tokyo」が開かれ、ホスキンソン氏が「スマートコントラクトの次に来るもの」として Nightframe を説明しました。本人の身元(Identity)、意図(Intention)、知能(Intelligence)、本人に属すること(Personal)を備え、常に動き、働きを証明できる私的なコンピューター、という構想です。講演の最後には、Midnight City の日本語版の告知映像が上映されました。

動いているもの、日付のあるもの、構想のもの

講演には、すでに動いているものと、予定と、構想が並んでいました。Midnight City の公式の更新履歴と重ねると、次のように分けられます。

項目状態(10月12日時点)
エージェントのウォレット稼働中。ただし接続先は Midnight Preview と Cardano Preprod のテストネット(9月初めに移行)
手持ちの AI の接続稼働中(公式文書に3通りの接続方法)
Midnight City 日本語版講演の告知映像で配信開始を表示
Midnight Passport の初版2026年末ごろの予定。2027年前半に約3週間ごとの機能追加
実資金を使うエージェント取引今後数か月で有効にする計画
スキルの利用権を売り買いする市場今後の機能として説明
企業間の機密共有・医療・オフライン決済利用シナリオ・構想

ウォレットは動いていますが、つながっている先はテストネットです。実際のお金を扱うのは、この線を本番へ越えてからになります。講演は、使えるようになるものの順番を示した、と読むのが近いでしょう。

同じ週の TOKEN2049 では、Midnight は基調講演で Night Mode(チェーンをつなぐ)、Collateral Warehouse(資産を保管する)、Offer Files(資産を取引できるようにする)、Midnight Passport(あなたとあなたのエージェントのための ID)の4つを、1行ずつの説明つきで示しました。それぞれの仕組みや時期を説明した記事は、10月7日夜の時点で公式ブログに載っていません。会期中には、チューリッヒのオンチェーン投資の Eldora が、Midnight Foundation から投資家として支援を受けると発表しています。出資額は示されていません。

次の台帳に向けた準備と、終わった上乗せ

開発者の側では、アプリ開発のライブラリ midnight-js が10月9日に v5.0.0-rc.4 を出し、破壊的変更を7件加えました。v5 は台帳が v8 から v9 へ移るハードフォークの前に乗っておくべき版とされ、公式の互換表では、本番の3つのネットワークはいずれも台帳8・midnight-js 4.1.1 のままです。いまメインネットに出すアプリは 4.1.1 で作り、v5 はテスト環境で試す段階です。

ステーキングの側では、Atrium が10月9日、複数のプールへまとめて委任できる Diffusion Staking Basket で配ってきた NIGHT の上乗せを終えました。過去10か月で24万 NIGHT を配り、ADA の報酬と ATMA の配布は続きます。すでに得た NIGHT は請求できますが、受け取りには、手元のウォレットが通常の単一のプールにも委任していることが条件です。

第6章:入っていても、まだ動かしません

Peras:台帳に入り、次のリリースでは迂回されます

決済の確定を速める Ouroboros Peras は、この週に一段進みました。実装を担う Tweag は10月2日付の週次報告で、Peras のプロトコルパラメータの初期実装を台帳のコード(cardano-ledger #6067)に統合したと報告し、Cardano 公式 X は10月7日にこれを「Peras is getting real!」と紹介しました。GitHub の記録では統合は9月28日です。証明書を入れるブロックで取引の量を減らす変更(ouroboros-consensus #2300)も10月7日に統合され、過去の証明書を保存するデータベースの試作もできています。

見落としやすいのは、その反対向きの変更です。次のノードのリリースで Peras の状態を進める処理を迂回する変更(ouroboros-consensus #2347)が、10月1日に統合されています。機能がメインネットに向けてそろう前に、Peras に固有の新しい制約を課さずに済ませるため、という説明です。コードは本体に入っていきますが、ノードを更新しただけで Peras が動き出すわけではありません。メインネットで有効になる時期は、まだ示されていません。

仕様の CIP-0140 によると、Peras は投票の層を足して、ブロックが確定したかどうかを最短で2分ほどで見分けられるようにします。投票の流通、証明書の保存、証明書の入ったブロックの扱いは、いずれもノードを動かす側に新しい処理として降りてきます。

Plutus V4:ライブラリはそろい、ハードフォークを待ちます

スマートコントラクトの側でも、同じ形がありました。Plutus の開発チームは9月30日に Plutus 1.71.0.0 を出し、Plutus V4 のスクリプトコンテキストを全体としてそろえました。IOG の10月9日の週次開発レポートと Plutus Core チームの10月7日の更新が、これを cardano-node 11.2 に統合される予定の版として報告しています。新しい言語バージョン Plutus Core 1.2.0 は、プロトコルバージョン12から使えるようになります。

いまのメインネットはプロトコルバージョン11です。リリースノートは、Haskell の文法で書く Plinth の既定のコンパイル先が 1.2.0 になったため、12より前のチェーンに向けてコンパイルするときは目標の版を明示するよう求めています。ライブラリを新しくしただけでビルドすると、現行のチェーンに向かない出力になりえます。V4 も 1.2.0 も、メインネットのコントラクトで使えるのはハードフォークの後です。

そのノード 11.2 は、10月12日朝の時点で、IntersectMBO の cardano-node のリリース一覧にまだ現れていません。最新の正式版は9月29日の 11.1.3 です。

出ている版に、入れ替わっていないプール

出ている版のほうも、すべてのプールに行き渡ってはいません。Intersect の週報 #132 は、ノード 11.1.2 のリリースから3週間たっても、メインネットのブロック生成の約30%がそれより古い版のノードで行われていると伝えました。

新しい機能や修正が使えるようになっても、それを動かすプールの側が入れ替えなければ、ネットワーク全体では使い始められません。委任しているプールがどの版で動いているかは、委任者からは見えにくいところですが、プールの運営の質を測るひとつの目安になります。

使われた日:取引件数が前のエポックの5.8倍に

一方で、この5日間は、ネットワークが実際に大量に使われた5日間でもありました。エポック660が始まってから取引が急に増え、Koios の集計では10月9日14時半の時点で92万2,251件と、前のエポック659全体の15万8,011件の5.8倍に2日余りで達しました。Weekly Brief #27 は、最初の3日間で108万件と伝えています。

編集部でブロックを抜き出して確かめると、件数の大半は、1つのアドレスに2 ADA を送り、ミームトークンの HOSKY が返ってくる取引でした。抜き出した5つのブロックの318件のうち、284件が同じアドレスへの2 ADA の送金です。配布の条件や期間を HOSKY 自身が説明した告知は、本稿の時点で確認できていません。

1ブロックに163件が入った例もあり、AdaStat はブロックが「ぎりぎりまで詰まっている」と指摘しました。それでもネットワークは止まらずに処理を続けています。手数料の合計は、10月9日の取得時点で約17万3,369 ADA と、エポック659全体の約4万9,495 ADA の3.5倍でした。Cardano の手数料はステーキング報酬の原資に加わるため、件数が増えたエポックは、その分だけ報酬の元手が厚くなります。

ただし、第7章で見る日々の活動の値(日次 Tx・アクティブアドレス)は、今回も9月20日の値のまま更新されていません。この急増が、外の集計にどう映るかはまだ分かりません。

エージェントが払う道具は、テストネットで動いています

TOKEN2049 の36時間のハッカソン「Origins」では、全体の優勝が Cardano のトラックの CoinGraph でした。AI エージェントがお金を動かす前に1回呼び出すと判定が返る仕組みで、エージェントは呼び出しごとに x402 で支払います。Cardano のトラックの受賞作は、どれも「エージェントが払う前に、相手の仕事を確かめる」手順を組み込んでいました。ただし、公開ページで確かめられた CoinGraph と特別賞の Hirakumi の決済は、どちらもテストネット(preprod)で、テスト用のトークンを使っています。

道具の側では、IOG が10月8日、ウォレットの管理と署名を複数のチェーンで共通に扱う Open Wallet Standard が v1.4.3 で Cardano に対応したと発表しました。実装を書いたのは DEX の WingRiders です。エージェントに渡す API キーごとに署名前のルールを付けられ、支払い用とステーク用の鍵を分けて扱えるため、委任の署名まで同じルールの下で行えます。Indigo も、MCP に対応した AI エージェントからローンや安定プールを言葉で照会・操作できる入口を案内しました。照会と操作は分かれていて、操作に進むにはウォレットの鍵を AI アプリの設定に置く必要があります。

エージェントが払うための部品は、本番のチェーンの上にそろい始めています。それを使う作品は、まだテストネットの上にあります。

第7章:エポック660 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック660期間・10月7日〜10月11日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。この期間の記録は、5日分すべてが Hyperliquid の先物(perp)の価格による同じ取得元です。株価の指標は S&P500 連動先物・米テック100 連動先物・日経225 連動先物です。10月12日朝の記録は、本シリーズの決まりで次のエポックの観測として扱うため含めていません。

この5日間の ADA は、3日続けて下げたあと、2日続けて戻しました。

日次の記録で$0.2692(10月7日)→ $0.25337(10月8日)→ $0.23352(10月9日)→ $0.24(10月10日)→ $0.25336(10月11日)。−5.88%です。期間の記録での最高は初日、最安は10月9日で、9日の記録は1日で−7.83%でした。そこから10日に+2.86%、11日に+5.33%と戻しています。

エポック境界の確定値では、エポック659終了時の$0.268741からエポック660終了時の$0.251877へ、−6.28%。時価総額は$10.09bから$9.46bへ−6.26%です。ADA/JPY は¥42.4960から¥39.8707へ−6.18%、そのときの USD/JPY は158.13から158.29でした。境界の値は、最終日の記録(10月11日朝)の$0.25336を0.59%下回っています。

同じ取得元の記録で、ほかの銘柄を初日から最終日の変化の大きい順に並べると、ATOM(+8.35%)、DOT(+4.67%)、WLFI(+1.12%)、BTC(−3.01%)、ALGO(−3.76%)、SUI(−5.54%)、ADA(−5.88%)、FET(−6.00%)、LINK(−6.25%)、XRP(−6.27%)、ETH(−7.02%)、ICP(−7.41%)、HBAR(−7.62%)、SOL(−9.03%)、AVAX(−9.39%)です。BTC は$85,609.0 → $83,028.0、ETH は$2,696.9 → $2,507.5 でした。前号は ADA が BTC と ETH を大きく上回って上げる5日間でしたが、今回は ADA が BTC より大きく下げ、ETH よりは小さく下げています。ほとんどの銘柄が10月9日前後を記録上の最安にしており、ADA の下げは市場全体の動きの中にありました。SIPO はこの下げを特定の材料には帰しません。

$NIGHT は、5日間とも Cardano の DEX のオンチェーン価格による記録です。$0.049512(10月7日)→ $0.046209 → $0.04352 → $0.045657 → $0.051068(10月11日)で、+3.14%。期間の記録での最安は10月9日、最高は最終日です。ADA 建てでは0.183924 → 0.201562 ADA と+9.59%で、ADA が下げたぶん、ADA 建てでは大きく上げています。OKJ の取扱いの告知は10月10日でした。

地合いは、10月7日の記録が「方向感薄い横ばい局面」、8日が「暗号資産主導のリスクオフ——主要暗号資産が大幅安、株式は底堅く二極化」、9日が「原油急騰(+2.6%)×株式軟調の警戒局面」、10日が「リスクオン——BTC・ETH上昇」、最終日が「方向感薄い横ばい局面」でした。

株式は、S&P500 連動先物が7,823.9 → 7,811.3(−0.16%)、米テック100 連動先物が31,251 → 30,910(−1.09%)、日経225 連動先物が70,885 → 68,909(−2.79%)で、3つとも初日が期間の記録での最高、10月9日が最安でした。暗号資産関連株の COIN は186.51 → 181.12(−2.89%)です。

原油は、WTI が$89.405 → $90.839(+1.60%)、ブレントが$100.68 → $101.96(+1.27%)。金は$4,165.9 → $4,190.9(+0.60%)で、記録上の最高は10月10日の$4,192.7です。為替は、EUR/USD が1.1264 → 1.1205、USD/JPY(ECB の参照レートからの計算)が10月6日の158.089から10月9日の158.255へ動きました。

米10年債利回りは、米財務省の値で10月6日の5.27%から10月9日の5.24%へ下がりました。日本国債は、10年が3.085%(10月5日時点)から3.089%(10月8日時点)、30年が4.166%から4.136%で、日米10年金利差は2.185から2.151へ縮んでいます。BTC のボラティリティの指標(BVIV)は38.078 → 39.031で、記録上の最高は10月9日の39.692でした。

Cardano オンチェーンKPI

データ基準日は2026年10月10日23時59分29秒(UTC)です。エポック660の終了境界(10月11日21時44分51秒 UTC)より約22時間前の断面で、第9章のネットワーク指標とは出典も時点も違います。

指標エポック660(基準日 10月10日)前回記録(エポック659基準日 10月5日)
ステーキング率56.92% of supply56.92%
Nakamoto係数160161
日次Tx(最新日)22,857(9月20日)22,857(9月20日)
アクティブアドレス10,49210,492
Script Tx比率38.69%38.69%
ステーブルコイン総額$66.26M$66.82M
Treasury1,370,992,830 ADA(エポック660)1,367,359,480 ADA(エポック659)

日々の活動を表す3つの値は、今回も前回と同じでした。日次Tx の「最新日」は9月20日のままで、4回続けて更新されていません。第6章で見たとおり、この5日間は取引の件数が前のエポックの数倍に増えていますが、その動きはこの表にはまだ映っていません。Nakamoto係数は161から160へ1つ下がりました。

ステーブルコイン総額は$66.82Mから$66.26Mへ、−$0.56Mです。内訳は、USDCx $45,140,776(前回$45,757,254・−$616,478)、USDM $13,579,706(前回$13,579,656・+$50)、USDA $4,233,639(+$129,999)、Djed USD $1,449,009(−$13,018)、iUSD $1,371,272(−$66,761)。USDCx の比率は約68.1%、USDM は約20.5%で、2割を保っています。このほか USDC $299,077、USDT $107,775、MyUSD $68,571、DAI $7,984、PYUSD $199 が前回と同じ値で並び、RealFi の USDrf はまだ内訳に現れていません。SundaeSwap V3 に USDCx と USDM が流れ込んだ動き(第2章)は、発行量ではなく置き場所の変化なので、この総額には現れません。

Treasury は1,367,359,480 ADA から1,370,992,830 ADA へ、+3,633,350 ADA です。前号の+3,648,258 ADA とほぼ同じ幅でした。

ガバナンスアクションの集計は、提案中4・批准0・失効73(基準日時点)です。基準日は2つの議案が失効する前で、本記事が追っていた3件のうち2件はエポック661に入った時点で失効しました。数え方の範囲も時点も違いますので、突き合わせないでください。

SIPO DRep 活動

SIPO DRep の投票力は、2026年10月12日7時31分の確認時点で約₳89.62M です(Koios・登録済み・active・有効期限エポック680・委任者404名)。エポック659記事の時点では約₳87.05M・403名でしたから、量は+₳2.57M、委任者は1名増えています。委任者は10エポック連続の増加です。

この5日間、SIPO DRep は k のポールに棄権を投じました(10月7日)。SPO としての反対は3プールで投じ、DRep として重ねて投票しなかった理由は第4章に書いたとおりです。期限を迎えた2件には、OpenZeppelin に反対、minPoolCost に棄権を投じ済みでした。

取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック660 配信記事の紹介

エポック660の5日間に、SITIONグループの3アカウントから配信した記事のうち、暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
10月7日SIPO.TOKYOエポックな日々Midnight が配備を開放、最低固定費案の賛成率32.79%に、k のポールは反対13倍記事
10月7日SIPO.TOKYOSPO 投票SIPO:k を 1000 に上げる SPO ポールに 3 プールで反対記事
10月7日SIPO.TOKYOSignalCardano のプログラマブルトークン CIP-0113、メインネットで稼働記事
10月7日SIPO.TOKYOSignalMidnight、TOKEN2049 で Night Mode を初公開記事
10月7日SIPO.TOKYOSignalDexHunter、Cardano のアグリゲーター週間取引額で首位に記事
10月7日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団、上級資格 CBCP の試験を開始記事
10月8日SIPO.TOKYOSignalFluidTokensが示したMinswap協業の範囲記事
10月9日SIPO.TOKYODeep DiveSecondFi 資産回復ツールの使い方、準備から着金まで記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalCardano の取引件数、2日余りで前エポックの5.8倍記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalPeras のパラメータが Cardano の台帳に統合記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalPlutus 1.71.0.0、V4 のスクリプトコンテキストを全面追加記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団、デジタル ID の Veridian を独立企業に記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalCardano トラックの CoinGraph、TOKEN2049 ハッカソンで全体優勝記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalOpen Wallet Standard、v1.4.3 で Cardano に対応記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalSundaeSwap V3 の TVL、USDCx の流入で1週間に1.86倍記事
10月9日SIPO.TOKYOLearningLiqwid の RealFi Hub、交換・ステーク・借り入れを1画面に記事
10月9日SIPO.TOKYOSignalBlockenfy、自社の資金1万ドルを Cardano の RealFi に記事
10月10日SIPO.TOKYOWeekly BriefWeekly Brief #27|Cardano の取引、エポック 660 の 3 日間で 108 万件に記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalminPoolCost 案と OpenZeppelin 案、10月12日朝に投票締切記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalDRep Council、ガバナンス提案の共通基準づくりに着手記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalBlockfrost、SPO が API を担う IceBreakers を終了記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalMidnight の取引、配備の開放後に1日2万件台へ記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalMidnight City 日本語版、次は Passport と実資金取引記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalmidnight-js 5.0.0-rc.4、破壊的変更を7件追加記事
10月10日SIPO.TOKYOSignalAtrium の Diffusion、NIGHT の上乗せ配布を終了記事
10月10日LiveMakersSignalMidnight City、AI エージェントの実資金取引を数か月内にX
10月11日SIPO.TOKYOSignalOKJ、NIGHT の取扱いを10月13日に開始記事
10月11日SIPO.TOKYOSignalNorth Star、Midnight メインネットでダミートークンを交換記事
10月11日SIPO.TOKYODeep Diveホスキンソン氏、スマートコントラクトの後継に Nightframe を提示記事
10月11日SIPO.TOKYOSignalLedger、CryptoBilis 経由の端末に不正な植込みを確認記事
10月11日SIPO.TOKYOSignalSurf、Cardano の貸付で TVL 2位を維持記事
10月11日SIPO.TOKYOLearningDRep への委任とは、13.7 億 ADA の国庫の使い道に一票を託す仕組み記事
10月11日SIPO.TOKYOLearning委任マニュアル 2026 年版、Lace と Daedalus でプールと DRep を選ぶ手順記事
10月11日LiveMakersDeep Dive暗号資産が AI を救う、ホスキンソン氏の東京講演X
10月11日LifeMakersDeep Diveホスキンソン氏が問う、代わりに動く AI は誰のものかX

この5日間の SIPO.TOKYO は、Signal を中心に、毎朝の Daily Intel、Weekly Brief #27、速報を配信しました。10月11日には、ステーキング・DRep への委任・委任の手順をまとめた3本の解説(ステーキングとは、DRep への委任とは、委任マニュアル 2026 年版)を常設の読み物として公開しています。上の表に載せたほかにも、LiveMakers・LifeMakers の2媒体から市場・規制・AI・ライフスタイルの記事が出ています。LifeMakers の「星読み」は毎日配信を続けていますが、本表の対象外としています。

10月10日の東京・八芳園での講演は、SIPO.TOKYO が Signal と Deep Dive で、LiveMakers と LifeMakers がそれぞれの読者に向けた切り口で、3媒体が続けて扱いました。同じ講演を、Cardano の現場、市場と技術、暮らしの3つの距離から読んだ形です。

第9章:エポック660 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック660:100%時点)

項目値前エポック比
ライブステーク112,081,193.03 ADA(112.08M)+55,531.51
有効ステーク112,025,661.52 ADA(112.03M)+8,451,037.44
委任者数2,126名−5
エポック生成ブロック109−1
累計生成ブロック47,931+109

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO52,651,552.10(+9,332.42)52,642,219.68(−961,461.96)1,108(−3)52(−7)20,444
SIPO234,854,934.47(+42,347.39)34,812,587.08(+9,424,939.48)473(±0)29(±0)15,231
SIPO324,574,706.46(+3,851.70)24,570,854.76(−12,440.08)545(−2)28(+6)12,256

マージンは3プールとも3.9%、保証金50,000 ADA です。ブロック数・累計ブロック・有効ステークはエポックの終了時点で確定した値です。ライブステークと委任者数は、10月12日6時54分、エポック661が始まってから約10分後に取得した値です。同じ朝に配信したステーキング状況の投稿と同じ取得です。

SIPO2 の増加が、そのまま有効ステークに現れました

前号の終章で、SIPO は「SIPO2 の約3,481万ADAが、次のエポックの有効ステークにそのまま現れるか」を確認点に挙げました。答えは、現れました。SIPO2 の有効ステークは34,812,587.08 ADA で、前号の終了時点のライブステークと小数点以下まで同じ値です。有効ステークの3プール合計の+845万1,037 ADA は、ほぼこの SIPO2 の分です。

一方、SIPO の有効ステークは−96万1,462 ADA、SIPO3 は−1万2,440 ADA でした。これは前号のライブステークの減少が1エポック遅れて有効ステークに反映されたもので、この5日間に新しく減ったものではありません。

この5日間のライブステークの動きは小さく、3プール合計で+5万5,532 ADA でした。SIPO は委任者が3名減ってライブステークは+9,332 ADA、SIPO3 は2名減って+3,852 ADA、SIPO2 は委任者の数が変わらず+4万2,347 ADA です。委任者が減ってもライブステークが増えたのは、離れた委任の額が小さく、残った委任の側の増加がそれを上回ったと読めます。いずれも、委任者の事情を SIPO は知りません。原因は断定せず、事実を記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。

SIPO2 のライブステークは約3,485万ADA で、前号で触れた k=1000 の飽和点(提案書の基準で約3,750万ADA)に近い水準にあります。SIPO のライブステークは、k=1000 の飽和点をいまも上回っています。k のポールに SIPO が反対したのは、これを自社の収益の問題として扱ったからではないことは、第4章に書いたとおりです。

SIPO2 と SIPO3、ほぼ並びました

エポック660の SIPO2 は29ブロック、SIPO3 は28ブロックです。直近5エポック(656〜660)を並べると、SIPO2 は18・31・22・29・29、SIPO3 は32・17・28・22・28。5エポックを足すと SIPO2 は129、SIPO3 は127で、前号の時点の123対129から、今回は SIPO2 がわずかに上回りました。

今回から、SIPO2 の有効ステークは約3,481万ADA、SIPO3 は約2,457万ADA と、SIPO2 が約1.4倍の規模になっています。有効ステークが大きいほどブロックの割り当ての期待値も大きくなりますが、エポック660の SIPO2 の29ブロックと SIPO3 の28ブロックは、ほとんど差がありませんでした。ブロック生成は確率的で、1エポックの数字からプールの状態は読めません。記録を続けます。SIPO は59から52へ7減りました。

有効ステークとライブステークの照合

エポック659の終了時点のライブステークと、エポック660の有効ステークを並べます。

プールエポック659 ライブステークエポック660 有効ステーク差
SIPO52,642,219.6852,642,219.680.00
SIPO234,812,587.0834,812,587.080.00
SIPO324,570,854.7624,570,854.760.00

3プールとも、小数点以下まで一致しました。3回連続です。前号・今号とも境界の約10分後の取得で、条件がそろっています。境界の直後に取得したライブステークが、次のエポックの有効ステークの確かな予告になっていることを、この照合で確かめ続けています。

累計47,931ブロック

3プールの累計ブロックは47,931です。SIPO 20,444 / SIPO2 15,231 / SIPO3 12,256。エポック660では109ブロックを積み上げました。

ネットワーク全体(エポック660終了時点)

前号・今号とも、境界の約10分後に取得した値です。

指標エポック660終了時点前エポック比
ステーキング率56.49%+0.33ポイント
総ステーク21,391,921,928 ADA+127,971,595
流通供給量37,866,204,591 ADA+5,806,407
委任者総数1,333,831名−351名
アカウント総数6,017,011+6,380
総プール数2,888−2
ステークのあるプール2,670−1
ブロック生成のあったプール944+11

総ステークは+1億2,797万ADA で、7エポック続いた減少が止まりました。流通供給量の増加(+581万ADA)を大きく上回る増え方で、ステーキング率は56.16%から56.49%へ上がっています。一方で、委任者総数は11エポック続けて減りました。アカウント総数は+6,380で、「新しいアカウントは増え、委任している人は減っている」という構図は続いています。委任している人の数は減り、委任されている量は増えた5日間です。どちらの変化も、原因は断定しません。

ブロック生成のあったプールは944で、前号の933から11増えました。2,888のプールのうち、この5日間に実際にブロックを作ったのは約3分の1です。

SIPO の3プールは、この5日間で109ブロックを生成しました。委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:使える手段を、使うと決めること

エポック659の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

minPoolCost と OpenZeppelin の期限は、答えが出ました。2件とも10月12日6時44分に失効しています。minPoolCost は賛成が32.79%から44.18%まで上がり、委員会は賛成5で基準を越えましたが、DRep の67%に約8億4,865万ADA 足りませんでした。OpenZeppelin は明示的な反対が94票・約21億8,084万ADA まで厚くなり、賛成4.0%で終わりました。EMURGO と Yoroi の DRep の登録の取り下げは、本稿では確かめていません。

k のポールと CAP-12 は、部分的に答えが出ました。SIPO の3プールは10月7日に理由を付けて反対を投じ、その理由はここと投票の記事に記録しました。明示的な反対は32プール・約11億5,732万ADA で、賛成の約10倍です。未投票は約81億3,514万ADA 残っています。前号で同じ1分に反対を入れた5つのプールの理由は、読めていません。CAP-12 は修正版で戻ってきましたが、最低プールマージンの定義と MPC-03 の論点に応えたかは、まだ確かめられていません。

Midnight の門のあとは、部分的に答えが出ました。TOKEN2049 では4つのプロダクトの名前が、八芳園では Nightframe と、Passport の初版(年末ごろ)・実資金のエージェント取引(数か月内)の予定が示されました。開放後のメインネットには North Star がダミーのトークンで現れ、1日の取引は2万件台に上がっています。配備の申請手続きは文書の上でも閉じられました。Pulse の各プールの預かり資産、勧告のページへの書き足し、MIP-0026 と MIP-0027 の状態欄は、本稿では確かめていません。

11.2 と Leios は、部分的に答えが出ました。10月12日朝の時点で cardano-node の最新の正式版は 11.1.3 のままで、11.2 はまだありません。Plutus 1.71.0.0 は 11.2 への統合を待つ版として報告されました。最初の公開 Dijkstra テストネットは確認できていません。Leios は週次報告で mempool の変更が報告され、エポック660の終わりの1分後に、次のリリース候補 rc-2026w41 が公開されています。監査の残りの番号と、OTG のブロックの番号は確かめていません。

新しいドルの入口は、部分的に答えが出ました。SundaeSwap V3 には10月7日の1日で USDCx と USDM が流れ込み、TVL は1週間で1.86倍になりました。V4 では乗り継ぎを1取引にまとめる交換が動き、Liqwid の Hub と Gero ウォレットにも入口ができています。FluidTokens は Minswap とチームを共有すると説明しました。Lace のモバイル版の再開、Indigo の PSM の提案の正式な投票、SundaeSwap の10月5日〜11日の週間取引額、Splash の預かり資産は、本稿では確かめていません。

オンチェーンの値は、部分的に答えが出ました。USDM の2割は約20.5%で保たれ、USDrf はまだ内訳に現れていません。日々の活動の値は、4回続けて9月20日のままです。

SIPO2 の増加と照合は、答えが出ました。SIPO2 の約3,481万ADAは有効ステークにそのまま現れ、照合は3回続けて3プールとも小数点以下まで一致しました。ネットワークの委任者総数は11エポック目も減っています。

7件のうち、答えが出たものが2件(2議案の期限・SIPO2 と照合)、部分的に答えが出たものが5件(k のポールと CAP-12・Midnight・11.2 と Leios・新しいドルの入口・オンチェーンの値)です。

そのうえで、エポック661で確認すべきものを挙げます。

  1. k のポールと、失効した2議案のその後(ガバナンス):k のポールはエポック663が始まる10月22日6時44分頃に期限を迎えます。明示的な反対がさらに積み上がるか、約81億ADAの未投票がどう動くか。minPoolCost の再提出や、OpenZeppelin が書いた「練り直しての再提出」が出るかも見ます。
  2. CAP-12 と提案の基準(ガバナンス):修正版の CAP-12 が10月15日の CAP レビューで何を問われるか、Peras のガードレールの空欄が埋まるか。DRep Council の国庫引き出しテンプレートの草案が公開され、7日間の公開コメントに入るか。
  3. CIP-113 の2番目の利用者(開発・資産):Veridian の次に CIP-113 で発行されるのはどのトークンか。ステーブルコインの発行体が名乗り出るか。財団が開発を続けるとした証券のモジュールが、11月初めに出る見込みの10月の月次報告に載るか。
  4. Midnight の入口(Midnight):10月13日17時の OKJ での NIGHT の取扱い開始。North Star がプールの作成を開き、NIGHT を扱い始めるか。Midnight City のエージェントのウォレットが、テストネットから本番へ切り替わるか。1日2万件台の取引が続くか。
  5. 11.2 と版の入れ替え(開発):cardano-node 11.2 が出て、Plutus V4 が入るか。次の Intersect の週報で、11.1.2 より古い版で作られるブロックの約30%がどこまで減るか。Leios の rc-2026w41 の中身と、10月29日予定の Amaru のベータ版。
  6. 使われた量のその後(ネットワーク・KPI):エポック660の取引件数の最終値と、エポック661の件数が前のエポックまでの15万件前後に戻るか。日々の活動の値が9月20日から先へ更新されるか。
  7. ドルの置き場所(DeFi):SundaeSwap V3 の USDCx が残るか、10万ドル前後に戻るか(10月16日ごろ)。DexHunter が首位を保つか(10月14日以降)。Surf の清算の再開と、FluidTokens と Minswap の協業の詳細。
  8. 量と人の数(ステーキング):総ステークが2エポック続けて増えるか、委任者総数が12エポック目も減るか。SIPO の3プールのライブステークと、照合が4回続けて成立するか。

エポック660は、使えるようになったものと、使い始められたものの距離が、続けて見えた5日間でした。

CIP-113 は、規格が本番に乗った翌日に最初の利用者を得ました。Peras と Plutus V4 は、コードに入ったうえで、動かす時期を待っています。ノード 11.1.2 は、出てから3週間たっても、ブロック生成の約3割で入れ替わっていません。Midnight では、ウォレットはテストネットにつながり、DEX は展開したうえで扉を半分にしています。どれも、使えることと使うことを、別の段として扱っていました。

ガバナンスでも、同じ距離が結果を決めました。minPoolCost は、賛成に回れる票が最後まで約14億ADA残ったまま、届かずに終わりました。投票する手段があることと、その手段を使うことは別です。SIPO は k のポールで、未投票でも同じ結果に数えられることを知ったうえで、理由を付けた反対を記録に残しました。

市場のほうは、日次の記録で ADA が−5.88%、境界の確定値で−6.28%と、市場全体の下げの中で下げました。NIGHT は ADA 建てで+9.59%でした。SIPO はこの動きを特定の材料には帰しません。事実として記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。

いつも SIPO / SIPO2 / SIPO3 へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRep を通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPO は SPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。

次の節目は、10月13日17時の OKJ での NIGHT の取扱い開始と、10月15日の CAP-12 のレビューです。そして10月22日の朝6時44分頃に、k のポールが期限を迎えます。

出典・参照