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エポックな日々

数と厚みは、別の物差しでした──k のポールで提出者が自ら反対し、EMURGO の7プールが一人に移り、PRIME が2〜3か所への集中を選んだ5日間:エポックな日々657

2026-09-27SIPO

エポック657(2026年9月22日〜9月27日)

序章:10プールと3プール、どちらが多いのか

日本時間9月27日6時44分、エポック657が終わりました。

その前日、9月26日の4時42分に、1つの反対票が記録されています。プールのパラメータ k を500から1000へ引き上げるべきかを SPO に問うポールに、このポールを提出した本人のプール STR8 が反対を投じました。23分後には、同じ人物が DRep としても反対を投じています。添えられた理由書には「私たちはまだ、いまの k=500 を使い切っていない」と書かれていました。

その朝の時点で、ポールには賛成10プール・反対3プールの票が入っていました。票の数だけを見れば、賛成が3倍を超える多数です。ところが委任されているステークで量ると、賛成5,319万ADAに対して反対9,598万ADAで、多数は反対の側にありました(Weekly Brief #25)。提案書が「支持あり」の判定に使うと宣言しているのは、量のほうです。

同じ5日間に、似た形が別々の場所で出ています。

  • Cardano は9周年を迎え、登録されているステークプールは2,890を数えました。エポック657でブロックを作ったプールは921です。
  • EMURGO と Yoroi の名前で動いていた7つのプールは、一人の運営者の手に移りました。台帳に並ぶプールの数は変わらず、運営する主体だけが入れ替わっています。
  • Cardano PRIME は、第3段階の報酬を40か所に薄く配るのではなく、2〜3か所に集めると説明しました。「40の浅いプールを足しても、1つの深いプールにはならない」という言い方です。

数えることと、量ることは、別の物差しです。どちらの物差しを当てるかで、多数も、分散も、成果も、見え方が変わります。この5日間は、それが何度も表に出ました。

軸は「数と厚みは、別の物差しでした」です。

市場は、前号の大きな上げのあと、ADA が小さく上げ、BTC と ETH が下げる5日間でした。ADA は日次の記録で$0.245284から$0.256209へ+4.45%。境界の確定値では+2.91%です。第7章で並べます。

第1章:エポック657の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。この章だけで期間の全体像がつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
9月22日Cardano 公式が、トレジャリー資金配分のラウンドテーブル(第39回)の要点を公表。分野別の枠を設けても、誰でも提案できる仕組みは残すことで登壇者5名が一致Cardano
9月24日Governance Hour #11 が、minPoolCost を170 ADAから75 ADAへ下げる提案を深掘り。9月26日に録画を公開Cardano
9月25日SIPO DRep が、OpenZeppelin スタックへの11,787,063 ADA の国庫引き出しに反対を投じた(10時38分)SIPO.TOKYO
9月25日Intersect 理事選(2議席に11人)の投票が21時に締め切られた。結果は9月28日に公表予定Intersect
9月26日k のポールで、提出者本人のプール STR8 が反対を投じ、理由書を公開。27日朝の取得では賛成11プール・反対11プールにAdaStat

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
9月23日Cardano PRIME が、cardano-node が gRPC で UTxO 照会・評価・送信・ブロック追従を自前で返せると投稿。リリースノートでは、この機能は10.7.0・11.0.0.0・11.1.0.0 に分かれて入っていたGitHub
9月23日Mesh SDK が、AI コーディング支援の入口4つを1ページに整理Mesh
9月25日IOG の週次開発報告が、Hydra で預け入れ資金が動かせなくなる不具合の修正(#2873)と、Leios のデータベース分割を報告Essential Cardano
9月26日Blink Labs が、同社のノード実装 Dingo がブロックを生成していると投稿Blink Labs
9月26日Aiken 1.1.24 が公開。Plutus V3 の Value 型を言語で直接扱えるようにGitHub

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
9月22日midnight-node 1.0.300 を公開。稼働中のバリデータのメモリを覗けた経路を塞ぐセキュリティパッチで、全バリデータの更新後にランタイムを切り替える手順つきGitHub
9月22日MIP-0018(トークンの名前をコントラクト自身がイベントで宣言する提案)を取り込みGitHub
9月23日Shadow Labz の投票・意見収集・DAO の3コントラクトのメインネット展開申請が承認された。3本とも資金を持たない設計GitHub
9月23日Lace が、Midnight Preview 拡張を9月30日で終了すると告知Lace
9月24日Midnight 財団が、SecondFi の事案で鍵が漏れたウォレットの Glacier Drop 請求を、財団の側から戻すことはできないと表明Midnight Foundation
9月24日ホスキンソン氏と Midnight City のチームが、10月10日に東京・八芳園でイベントを開くと告知Luma
9月26日Midnight 財団の Sebastien Guillemot 氏が、1.0.300 は最後の主要な技術リリースで、様子を見て問題がなければ配備を有効にすると投稿Sebastien Guillemot

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
9月22日World Mobile が、ブリッジ事案の復旧として Base 上で WMTX の新規発行を始めると告知。9月26日には Coinbase での取引が全面再開World Mobile Chain
9月23日Cardano PRIME の RFP、締切まで1週間で応募は55件。オラクル・ブリッジなど7カテゴリは応募が少ないCardano PRIME
9月24日Cardano PRIME が、第3段階の報酬を2〜3か所の取引場所に集中させる方針を説明Cardano PRIME
9月24日Lace が RealFi との連携を予告。米国・EU・英国・香港の利用者は対象外と注記Lace
9月25日Cexplorer が、Cardano のステーブルコイン時価総額が6,700万ドルを超え、USDM の比率が2割を超えたと投稿Cexplorer
9月26日Liqwid が Catalyst から₳200,000を得て、ADA と NIGHT の市場の価格を Pyth の署名で検証する仕組みへ移ると発表Liqwid

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
9月23日Cardano 財団が9周年の数字を投稿。2,890のステークプール、13,978,119ブロック、158のガバナンスアクションへの36,322票Cardano Foundation
9月24日Cardano 財団が、Cardano のネイティブトークンが Fireblocks で保管・送付できるようになると発表Cardano Foundation
9月24日SIPO が、RealFi の SPO アクセラレーター・プログラムでの活動を始めたSIPO.TOKYO
9月25日Project Catalyst が Pilot 2026 の12件を発表。応募は117件、資金の6割は利用実績に連動Project Catalyst
9月25日FC バルセロナが、ファンの参加記録を Cardano 上の証明書として残す Barça Fan Lab を公開FC Barcelona
9月25日米 SEC の企業金融局スタッフが、リキッドステーキングの預かり証トークンを証券ではない区分に置く FAQ を公表SEC
9月26日EMURGO が、EMURGO 1〜6 と YOROI の7プールの運営を Shunsuke Murasaki 氏へ移したと発表EMURGO

市場

日付出来事一次ソース
9月22日BTC が、ショートの清算を伴って1月以来の8万5,000ドル超えに。12指標の記録では ADA が1日で+8.36%、地合いは「リスクオン——BTC・ETH上昇・VIX低位安定」LiveMakers
9月24日12指標の記録で、14銘柄がそろって下げた。ADA は−5.65%、地合いは「原油急騰(+2.4%)×株式軟調の警戒局面」本記事 第7章(12指標の日次記録)
9月24日〜26日米10年債利回りが記録上で5%台に戻り、最終日は5.184%本記事 第7章(12指標の日次記録)

この5日間でいちばん重かったのは、「何で数えるか」が問われた場面です。k のポールでは、プールの数と委任量で多数が逆を向き、提出者本人が反対に回りました。EMURGO の7プールは、数を変えずに運営者だけが一人に移りました。9周年の2,890という数字と、ブロックを作った921という数字も、別の問いに答えています。第2章と第4章で扱います。

ガバナンスの残り2件は、票の向きが動いた5日間でした。minPoolCost では DRep の賛成が反対を上回り、OpenZeppelin では反対がさらに厚くなりました。そこに SIPO DRep の反対票と、憲法委員会の3票目が加わっています。第3章です。

DeFi と資金の側は、「広く配るか、深く置くか」の5日間でした。PRIME は2〜3か所への集中を選び、Catalyst は使われた分だけ後半を払う形を始め、Cardano のドルは USDM の積み増しで構成が変わりました。第5章で並べます。

Midnight は、配備を開く手前の最後の段を上がった5日間です。1.0.300 は「全員がそろってから切り替える」手順つきで出て、配備の審査にはすでに列ができています。第6章で扱います。

第2章:提案者が、自分の問いに反対を投じました

数で並び、量で開いた

対象は「Should stakePoolTargetNum (k) be raised from 500 to 1000? (SPO poll)」です(Action ID gov_action17m7nv7839mw93hv889tqzj0umv9ckm780f0nq02fep78f50uedxqq6g5mt9・action_ref f6fd3678f12edc58dd8739560149fcdb0b8b6fc77a5f303d49c87c74d1fccb4c00)。前号で扱ったとおり、エポック656に提出された Info Action で、期限はエポック663、日本時間10月22日6時44分頃です。

前号の終章で、SIPO は「SPO の賛成と反対のどちらに持ち分が積み上がるか」を確認点に挙げました。3つの時点で並べると、次のようになります。

SPO の票エポック656終了時9月26日朝(Weekly Brief #25)9月27日朝の取得
明示的な賛成4プール・2,589,759 ADA10プール・53,185,274 ADA11プール・53,727,983 ADA
明示的な反対2プール・42,532,443 ADA3プール・95,984,098 ADA11プール・224,300,668 ADA

9月26日朝から27日朝までの約1日で、明示的な反対は3プールから11プールへ、9,598万ADAから2億2,430万ADAへ増えました。同じ間に賛成は10プールから11プールへ、増えた持ち分は54万ADAです。数では11対11で並び、量では反対が賛成の約4.2倍になりました。

9月27日朝の値は、エポック658に入って約45分後(7時30分ごろ)の取得です。票はエポックの境界をまたいでも受け付けられるので、この中にはエポック658に入ってから投じられた票が含まれている可能性があります。

面9月27日朝の取得
SPO 明示的な賛成11プール・53,727,983 ADA
SPO 明示的な反対11プール・224,300,668 ADA
SPO 未投票8,881,468,791 ADA
SPO 常時不信任16プール・50,018,205 ADA
SPO の分母(全プール委任ステーク − 明示的な棄権 − 常時棄権)9,209,515,647 ADA
SPO 賛成の割合0.58%
SPO 常時棄権(分母から除外)633プール・12,111,564,134 ADA
DRep 賛成18票・102,706,853 ADA
DRep 明示的な反対15票・215,163,620 ADA
DRep 棄権9票・555,438,344 ADA
憲法委員会賛成1・棄権1・未投票5

分母の約96%にあたる88億8,147万ADAは、まだ投票していません。提案書の宣言では、投票しない登録済みのステークは反対と同じ働きをします。明示的な賛成が50%を超えるには、あと約45億5,103万ADAの賛成が要ります。上の分母は SIPO の取得経路の定義によるもので、ブロック生成実績のあるプールに絞った母数ではありません。DRep の票は、提案書の判定には入りません。

理由書に書かれていたこと

反対の流れが変わった起点は、提出者本人の票でした。議案のメタデータに著者として載っている Chris 氏のプール STR8 が、日本時間9月26日4時42分19秒に SPO として反対を投じ、5時05分23秒に DRep としても反対を投じています(Weekly Brief #25)。

理由書は、提出した時点では k=1000 を支持する論考しか手元になく、反対側の詳しい論考を提出後に読んだ、と経緯を説明しています。そのうえで、反対の根拠をこう書きました。

大口のカストディアンやマルチプール運営者は、自分の管理下にあるプールを追加してステークを配り直せばよい。それはプールの数を増やすが、コンセンサスを支配する独立した主体の数を必ずしも増やさない。

理由書はさらに、約214億ADAのアクティブステークに対して、k=500 の飽和点でいま完全に飽和できるのは約285プールにすぎず、ネットワークにはすでに約1,600のアクティブなプールがある、と数字を並べています。「まだ k=500 を使い切っていない」という一文は、この比較から来ています。

提出者が反対に回ることは、このポールの設計とは矛盾しません。前号で扱ったとおり、提案書は最初から、提出を k=1000 への支持表明として読まないでほしいと書き、反対の運営者にも理由を添えた明示的な NO を求めていました。問いを置いた本人が、置いたあとに読んだものを踏まえて票を入れた、という順番です。

数を増やすことと、主体を増やすこと

この理由書の中心にあるのは、「プールの数」と「独立した運営者の数」は別のものだ、という区別です。k を上げれば飽和点が下がり、飽和点を超えたステークは別のプールへ移る動機を持ちます。ただ、その移り先が同じ運営者の2つ目のプールであれば、台帳の上ではプールが1つ増えても、ブロックを作る主体の数は変わりません。

前号でも書いたとおり、台帳はプールを記録しますが、どのプールが同じ主体の手にあるかを網羅的には示しません。Weekly Brief #25 は、k のポールの賛成票のうち3件が9月22日10時03分06秒という同じ秒に記録されていることを書き留めています。同じ運用者の手にあるかどうかは、台帳からはわかりません。書けるのは、同じ秒に記録されたところまでです。

この5日間の終わりに、「数は変わらず、運営する主体が変わる」実例が1つ出ました。EMURGO の7プールです。第4章で扱います。

SIPO の3プールは、まだ投票していません

k=1000 の飽和点は、提案書の基準時点で約3,750万ADA、9月26日朝の流通量で機械的に割ると約3,677万ADAです(Weekly Brief #25)。エポック657終了時点のライブステークは、SIPO が53,857,431 ADA、SIPO2 が25,378,746 ADA、SIPO3 が24,866,559 ADAです(第9章)。SIPO の1号機はこの線を超えていて、k=1000 になると報酬計算のうえで過飽和になる側にいます。

理由書にある「2つ目のプールを運営する方向へ押しやられる」という記述は、SIPO が置かれている位置とも重なります。SIPO の3プールは、9月27日朝の時点でこのポールにまだ投票していません。数える欄が置かれている以上、票を投じるときは、立場と理由をあわせて記録します。

第3章:賛成と反対の厚みが入れ替わり、委員会に3票目が入りました

minPoolCost:賛成が反対を上回りました

「Reduce minPoolCost to 75 ada」(Action ID gov_action1whncs25w727rj5tml7lmv48gnaf9mm66sdjds8s3l306et7xmkdsqzqd7s2・action_ref 75e7882a8ef2bc39517bffbfb654e89f525def5a8364d81e11fc5facafc6dd9b0)。プールの最低固定費を170 ADAから75 ADAへ下げるパラメータ変更です。

面エポック656終了時エポック657終了後(9月27日朝の取得)
DRep 賛成28票・306,364,425 ADA38票・554,480,098 ADA
DRep 明示的な反対21票・480,667,066 ADA25票・490,993,410 ADA
DRep 棄権(分母から除外)3票・536,416,843 ADA6票・650,389,451 ADA
常時不信任137,387,636 ADA137,464,588 ADA
未投票3,707,344,755 ADA3,330,449,279 ADA
批准の分母4,631,763,882 ADA4,513,387,375 ADA
賛成率6.61%12.29%(必要な水準は67%)
憲法委員会賛成2・未投票5賛成3・未投票4

5日間で、賛成は+2億4,812万ADA、明示的な反対は+1,033万ADAでした。前号では反対が賛成を1億7,430万ADA上回っていましたが、今回は賛成が反対を6,349万ADA上回っています。前号の問いへの答えが「反対が先に厚くなった」だったのに対し、今回は向きが戻りました。Weekly Brief #25 も、9月19日からの1週間に入った23票を「賛成14・反対4・棄権4・委員会1」と記録しています。

この賛成の積み上がりは、日本時間9月24日0時の Governance Hour #11 を挟んだ期間に起きています。回の議題はこの引き下げ提案そのもので、9月26日に公開された録画の告知では、minPoolMargin(CIP-23)、k の引き上げの可能性、Dijkstra での pledge の変更とのつながりにも触れたとされています。ただし、個々の DRep がなぜ賛成したのかは、それぞれの理由書を読まない限りわかりません。SIPO は時期の重なりだけを記録します。

それでも、可決までは遠い位置です。分母が変わらないとすれば、67%に届くには賛成をあと約24億6,949万ADA積む必要があり、これは未投票33億3,045万ADAの約74%にあたります。この議案はプロトコルの経済パラメータの変更で、可決に SPO の投票は求められていません(SPO の閾値は0%)。SPO の欄は賛成0・反対0のままです。

SIPO DRep は、9月15日に棄権を投じています(SIPO DRep:minPoolCost 75 ADA 単独案に棄権)。Weekly Brief #25 によれば、プールの経済パラメータの変更に SPO の承認を求める憲法改正提案 CAP-10 は、前回の minPoolCost の議案のあとの SPO の議論から生まれたもので、次のレビュー会は協定世界時10月1日14時に予定されています。

OpenZeppelin:SIPO DRep は反対を投じました

「Withdraw 11,787,063 ada for the OpenZeppelin Stack administered by Intersect」(Action ID gov_action1gxxltxr02p28a398p8c6t08xhpg82wkkv9xgwvuxkly48lhgf20sqlkl2l8・action_ref 418df5986f50547ec4a709f1a5bce6b850753ad6614c873386b7c953fee84a9f0)。引き出し額は11,787,063 ADA です。

面エポック656終了時エポック657終了後(9月27日朝の取得)
DRep 賛成9票・119,110,833 ADA9票・119,364,614 ADA
DRep 明示的な反対36票・969,072,671 ADA42票・1,189,872,445 ADA
DRep 棄権(分母から除外)2票・41,830,222 ADA7票・43,290,138 ADA
常時不信任137,387,636 ADA137,464,588 ADA
未投票3,900,779,364 ADA3,673,785,042 ADA
批准の分母5,126,350,503 ADA5,120,486,689 ADA
賛成率2.32%2.33%(必要な水準は67%)
憲法委員会賛成2・未投票5賛成3・未投票4

明示的な反対は+2億2,080万ADA(36票から42票へ)、賛成は+25万ADAでした。前号で「鈍った」と書いた反対の積み上がりは、今回は前号の+1億5,976万ADAより速くなっています。委任量では、反対が賛成の約10倍です。この財務引出の種類には、SPO の投票はありません。

この反対の増加には、SIPO DRep の票も含まれています。SIPO DRep は日本時間9月25日10時38分に反対を投じました。前号で「10月9日までに判断します」と書いた件で、予告より2週間早い結論です。理由書は英日併記でチェーン上に記録してあり、骨子は4点です(SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対)。

  • SIPO 自身が5月に賛成した IO の Developer Experience Initiative(約360万ADA)の成果物に、同じ目的のコントラクトライブラリがある。提案書はその取り組みとの重なりに触れていない
  • スマートコントラクトの言語が、資金承認の後に決まる設計になっている
  • 固定の参照レートで換金するときに出る余剰の行き先が定められていない。実施予算の20%は、技術マイルストーンの承認前に支払われる
  • 参照実装・ライブラリ・セキュリティ枠が1つに束ねられ、Cardano 側の採用基準が軽い

SIPO は OpenZeppelin の Cardano への参入そのものは歓迎しており、反対したのはこの版の提案に対してです。棄権ではなく反対にしたのは、4点がいずれも再提出で解消できる性質のもので、何を直せば賛成になるかを票と理由書で伝えるためでした。理由書は、エポック613以降に発効したトレジャリー引き出しが34件・457,395,629 ADA で、本件が通れば2026年の上限5億ADAの93.84%に達することも記録しています。

委員会の3票目は、3件そろって入りました

前号の終章で挙げた「最低固定費と OpenZeppelin で、委員会の3票目が入るか」には、答えが出ました。2件とも、委員会の賛成が2から3に増えています。k のポールでも、委員会の欄に賛成が1つ加わりました。3件とも1票ずつ増えていますが、誰が投じたのかは、今回の取得では確かめていません。

それでも7名中3名で、2/3の水準にはまだ届きません。Weekly Brief #25 が書いたとおり、委員会の賛成は「合憲」の判断であって、提案の是非への賛成ではありません。minPoolCost と OpenZeppelin の期限はどちらもエポック661で、最後に投票できるのは日本時間10月12日6時44分頃です。残りは3エポックです。

配る前の設計は、「入口を閉じない」で一致しました

9月22日、Cardano 公式は前日のラウンドテーブル「Treasury Funding Allocation – The Case for Reform」の要点を公表しました。論点として挙がったのは、先着順の提案から分野別の枠(バケット)へ、コストと KPI を含む明確な基準、投票疲れを和らげるガバナンス・カレンダー、説明責任のための事後検証の4つです。登壇者5名が一致したのは、枠を設けても、誰でも提案できる仕組みは閉じないという1点でした(SIPO.TOKYO の解説)。

一方、事前の告知が掲げていた NCL(期間ごとの引き出し上限)の構造と、トレジャリー・ランウェイの扱いは、公表された要約の文面には出てきません。ラウンドテーブルは意思決定の場ではありません。2027年の NCL がオンチェーンの提案として出たとき、卓の上で出た言葉のどれが本文に残っているかを読むことになります。

9月25日21時には、Intersect 理事選の投票も締め切られました。理事会7席のうち、会員の投票で決まる4席の半分が入れ替わる選挙で、結果は9月28日に公表されます。

第4章:7つのプールが、一人の手に移りました

EMURGO が発表したこと

9月26日、EMURGO は自社と Yoroi ウォレットの名前で運営してきた7つのステークプール(EMURGO 1〜6 と YOROI)の運営管理を、Shunsuke Murasaki 氏に移したと公式 X で発表しました。8月に表明した Cardano ガバナンスからの撤退と、DRep の登録を解除する方針の続きとして、運営面の変更を行うという説明です。Murasaki 氏については、Cardano コミュニティに長く関わり、今年 EMURGO を離れるまで同社の初期からの社員だった人物と紹介しています。

委任者に向けては、3点が明記されました。手続きは不要で、委任と報酬はそのまま続くこと。プール ID は変わらないこと。Cardano のステーキングは資金を預けない仕組みで、委任者はいつでも委任先を変えられること。

台帳の上で、変わったことと変わらないこと

SIPO.TOKYO が Koios で7プールの登録履歴を確かめたところ、プール ID は変わらず、宣誓担保(pledge)は各500 ADA、手数料率は6プールが1.5%・旧 YOROI が4%、固定費は各170 ADA で、EMURGO の時代の登録と同じ値のままでした。報酬の受け取り先アドレスも、以前の登録から変わっていません(SIPO.TOKYO の解説)。

変わったのは名前です。発表の前日、日本時間9月25日のうちに7プールすべての再登録が提出され、名称は「Mura 1」〜「Mura 7」、ティッカーは MURA1〜MURA7 になりました。新しい登録はエポック660から有効になると記録されています。注意したいのは、旧名と新名の番号が一致しないことです。

旧名新ティッカー委任量(エポック657のアクティブ・ステーク)
EMURGO 1MURA1約5,631万ADA
EMURGO 5MURA2約3,927万ADA
EMURGO 4MURA3約3,597万ADA
EMURGO 3MURA4約2,887万ADA
EMURGO 2MURA5約1,935万ADA
EMURGO 6MURA6約890万ADA
YOROIMURA7約381万ADA

7プールの合計は約1億9,248万ADA、委任しているアドレスは合わせて約1万400件です。名称とティッカーについては Murasaki 氏から別途告知が出るとされており、表示名はまだ変わる可能性があります。ウォレットやエクスプローラーで委任先を確かめるときは、名前ではなくプール ID で照合するのが確実です。

数えると7、運営する主体は1

第2章の理由書は、プールの数と、独立した運営者の数は別のものだと書いていました。EMURGO の7プールは、その区別をそのまま見せています。移管の前も後も、台帳に並ぶプールは7つです。運営する主体は、企業から一人の個人へ移りました。プールの数でネットワークの分散を数えれば、何も変わっていません。運営者で数えれば、主体の名前が入れ替わっています。

もう1つ、この7プールの固定費はすべて170 ADA、つまりいまの最低固定費ちょうどです。minPoolCost が75 ADAへ下がれば下限は変わりますが、既存の登録に自動で適用されることはなく、運営者が新しい証明書を出すかどうかで決まります(第3章)。

委任者にとっては、引き継ぎ先がコミュニティで顔の見える人物であることが、判断の材料になります。同時に、運営主体が企業から個人に移れば、ノードの冗長性や障害時の体制も変わりえます。委任を続けるかどうかは、これからの運営の実績を見て判断できます。委任先をいつでも変えられることは、Cardano の仕組みのよいところです。

2,890と921

9月23日、Cardano 財団は最初のブロックから9年になると投稿し、2,890のステークプール、13,978,119ブロック、123,982,111トランザクション、オンチェーンで批准された憲法、158のガバナンスアクションへの36,322票を並べました。

2,890という数は、エポック657の終了時点の集計でも同じでした。そのうち委任を受けているのが2,672、エポック657でブロックを作ったのが921です。9月24日の SIPO.TOKYO の記事では、完了したエポック656で委任を受けていた2,674のうち、ブロックを作ったのは937でした(SIPO.TOKYO の解説)。

これは不調の指標ではありません。プールがブロックを作る回数は委任量に比例するので、小さなプールが5日間に一度も当たらないことは普通に起こります。2,890は参加の入口がどれだけ開いているかを示し、921は5日という窓で実際に手が動いた本数を示します。そして k の理由書が挙げた「約285」は、いまの飽和点で完全に飽和できるプールの数です。同じ「プールの数」でも、何を数えているかで答えている問いが違います。

第5章:40の浅いプールは、1つの深いプールになりません

PRIME は、広さより深さを選びました

9月24日、Cardano PRIME は第3段階のインセンティブを2〜3か所の取引場所に集中させる方針を、連続投稿で説明しました。インセンティブを40か所に広げれば40の浅いプールができ、スクリーンショットには十分だが、報酬が細るときに持ちこたえるには足りない、という書き出しです。そのうえで「40の浅いプールを足しても1つの深いプールにはならない。実際の取引がなおスリッページを起こす場所が40できるだけだ」と続けました。

前例として並べられたのは、報酬を広く配った Avalanche Rush と、少数の場所に集中させ、次の配分先を流動性提供者の投票で決める Aerodrome です。PRIME は後者を選び、「砂利ではなく要石を」という比喩で締めています(SIPO.TOKYO の解説)。

ここでも、数と厚みが分けて語られています。参加しているプロトコルの数が多いことは、Cardano DeFi の長所として語られてきた面があります。PRIME の設計は、その数ではなく、1か所あたりの深さを成果の物差しにしました。選ばれなかった場所との差は開きますし、PRIME が集中先をどう選ぶのかは、今回の投稿では示されていません。

RFP のほうは、9月23日時点で応募55件でした。集まっているのはウォレット・エージェント基盤・無期限先物の3カテゴリで、オラクル、ブリッジ、executor / scooper の共通規格、オンチェーン保険、集中流動性、自動の流動性管理、コミュニティの7カテゴリは応募が少ないままです。締切は米東部時間9月30日23時59分、日本時間では10月1日12時59分です(SIPO.TOKYO の解説)。

Catalyst は、使われた分だけ後半を払います

9月25日未明、Project Catalyst は Catalyst Pilot 2026 に採択した12件を発表しました。応募117件からの選定で、2025年10月以来となる資金配分です。支払いは3段に分かれます。

  • 着手時(オンボーディング完了後)に40%
  • 利用目標の達成に応じて最大40%
  • 継続的な活動に対して残り20%

成績上位3チームには最大50%の上乗せがあり、各チームには Cardano メインネットでの立ち上げと Demo Day での実演まで最大3か月が与えられます。提案が通れば全額が出る配り方から、使われた分だけ後半が出る配り方へ、支払いの設計そのものが変わりました。ただし、発表の文面だけでは「利用目標」が取引件数なのか、利用アドレス数なのか、金額なのかはわかりません(SIPO.TOKYO の解説)。

12件の1つが、Liqwid の Pyth オラクル統合です。Liqwid の価格はこれまで、Liqwid が管理する1本の鍵でオラクルに書き込まれていました。₳200,000の資金で、価格が必要な取引のたびに Pyth の署名付き価格を持ち込み、取引の中で署名を検証する形に置き換えます。対象は当面 ADA と NIGHT の2資産で、予算のうち₳60,000を独立したセキュリティ監査に充てます。提案書は利用目標として、オラクルを使う取引2,600件と手数料1,650 ADA を掲げ、直近30日の実績は1,777件・₳1,149.81だと書いています(SIPO.TOKYO の解説)。

Cardano のドルは、構成が動きました

9月25日、Cexplorer は Cardano 上のステーブルコインの時価総額が6,700万ドルを超え、USDCx の比率が7割を下回り、USDM の比率が2割を超えたと投稿しました。SIPO.TOKYO が Koios で発行の記録をたどると、USDM の流通量は9月21日の200万枚と23日の約282万枚の新規発行で、9月26日時点の1,354万枚まで戻っています。USDCx はこの間ほぼ横ばいで、比率の変化は USDM の積み増しによるものです(SIPO.TOKYO の解説)。第7章の Dune の集計でも、USDM は8,560,681ドルから13,544,373ドルへ増えています。

使い道の側でも、2つのドルが並び始めました。Catalyst Pilot の12件には、USDM と USDCx で請求と決済を行う Cexplorer の Pay、USDCx で店頭の QR コードに払う anyqr、USDM と USDCx を担保にした無期限先物の ATLAS が入っています。

受け皿の側も、同じ週に動きました

9月24日、Cardano 財団は、Cardano のネイティブトークンがデジタル資産の保管基盤 Fireblocks で保管・送付・受領できるようになると発表しました。財団が強調したのは、Cardano ではトークンがスマートコントラクトではなく台帳そのものの機能として扱われるため、既存のポリシーエンジンと承認フローにそのまま入る、という点です。規格の範囲や完全対応の時期は財団の投稿には書かれておらず、報道が先に伝えている段階です(SIPO.TOKYO の解説)。

RealFi も、この週に日程が近づきました。RealFi は9月23日、dApp が10月1日に Cardano で稼働すると述べ、Lace は9月24日に RealFi との連携を予告しています。Lace は同時に、RealFi の製品は米国・EU・英国・香港などの利用者には提供されないと注記しました。日本は対象外の一覧にありませんが、一覧に名前がないことは使えることの保証ではありません(SIPO.TOKYO の解説)。SIPO は RealFi のアルファ・アンバサダーとして、RealFi SPO アクセラレーター・プログラムに参加しています(SIPO、RealFi の SPO アクセラレーターで活動開始)。

PRIME は配る場所の数を絞り、Catalyst は配った件数ではなく使われた量で払い、ステーブルコインは量で構成が動きました。DeFi と資金の側では、この5日間に「いくつあるか」より「どれだけ厚いか」を測る設計が並んでいます。

第6章:全員がそろうまで、切り替えません

1.0.300 は、順序つきのリリースでした

9月22日、Midnight のノードソフト midnight-node は保守系列の新版 node-1.0.300 を公開しました。リリースノートはこの版を「セキュリティパッチ」と位置づけ、Preview・Preprod・メインネットを含むすべての環境が対象だとしています。塞がれたのは2つです。コンテナイメージに入っていたデバッガ gdb を取り除き、稼働中のバリデータのメモリ(鍵素材を含む)を調べられる状態を解消したこと。ツールキットのイメージに同梱された npm を更新し、tar ライブラリにあった深刻度 critical の脆弱性を解消したことです。実際に悪用されたかどうかには触れていません。

この版は、ノードのバイナリに加えて、チェーン上で動くランタイムも入れ替えます。ランタイムの spec_version は1000000から1000300に上がり、切り替えは set_code というガバナンス操作で、ネットワークごとに1回ずつ行われます。新しいランタイムは古いバイナリにない関数を呼ぶため、古いバイナリのまま残ったバリデータは、切り替えのブロックから先を取り込めなくなります。リリースノートは、全バリデータを先に新しいバイナリへ入れ替え、残りが1台もないことを確かめてから set_code を実行する、という順序を「助言ではない」と強く書いています(SIPO.TOKYO の解説)。

Cardano の cardano-node の更新は、運用者一人ひとりが自分の判断で上げるものでした(前号第5章)。Midnight の 1.0.300 は反対に、全員がそろうことが切り替えの条件になっています。どちらも「何台が上げたか」が効いてきますが、効き方が違います。

9月26日、Midnight 財団の Sebastien Guillemot 氏は、Midnight Node 1.0.3 が最後の主要な技術リリースだったこと、しばらく様子を見て問題がなければ配備を有効にすることを投稿しました。GitHub の node-1.0.300 に付いていた pre-release の表示は、9月27日朝の時点で外れています。並行する新系列の node-2.1.0 は、まだ rc.2 のままです。

配備の前に、審査の列ができています

配備はまだ全面的には開いていませんが、そこへ向かう列はすでに見えています。9月23日、Shadow Labz が出した投票・意見収集・DAO 運営の3コントラクトのメインネット展開申請が、Midnight 側のレビュアーに承認されました。3本とも、ネイティブトークンを受け取らず、持たず、送らない設計です。DAO の資金を預かる部分は別のコントラクトに切り離され、今回の申請から外されています。審査の基準文書は冒頭で「コントラクトのデプロイ申請レビューは監査ではありません」と書いています(SIPO.TOKYO の解説)。

その後ろにも名前が並びます。FluidTokens は9月23日、Midnight 向けのスマートコントラクトを監査中だと公表しました。Build Club の参加者が作ったローンチパッド Noctis Zone と、EU の電池パスポートで数値を伏せたまま基準達成を証明する NightPass は、どちらも試験用ネットワークで動いている段階です。9月24日には日本で初めて、Midnight のゼロ知識証明を使うアプリのワークショップが開かれ、10月10日には東京・八芳園で Midnight City のイベントが予定されています。

戻せないことも、設計のうちです

9月24日、Midnight 財団は、SecondFi(旧 Yoroi)の6月の事案で秘密鍵が漏れたウォレットについて、Glacier Drop の請求を財団の側から復元したり別のアドレスへ付け替えたりすることはできないと表明しました。請求を償還できるのは、その請求と結びついた秘密鍵を持つ人だけで、財団が動かせるマスターキーもバックドアも管理者権限も存在しない、と書いています(SIPO.TOKYO の解説)。

第三者の介入から請求を守る仕組みと、鍵が漏れたときに所有権を上書きできない仕組みは、同じ1つの性質の表と裏です。影響を受けた方の窓口は SecondFi の公式サポートで、割当の解凍期間は12月4日に終わり、その後に90日間の猶予期間が置かれます。あわせて、Lace の Midnight Preview 拡張は9月30日で動かなくなります。Preview を使ってきた方は、リカバリーフレーズで Lace 本体へ読み込み直してから拡張を外す手順が案内されています(SIPO.TOKYO の解説)。

Cardano の側:記録と実際が合わないと、数えられません

Cardano のレイヤー2 Hydra では、Mesh SDK を通じた預け入れがレイヤー2に反映されず、元のウォレットからも動かせなくなる不具合が修正されました。原因は、最低額に満たない出力を自動で増額する処理が、出力に付く記録(datum)のほうを更新していなかったことです。Hydra のノードは、出力の実際の額と datum に書かれた額が一致するかを確かめてから預け入れを受け付けます。額と記録が食い違っていたため、ノードはこの預け入れを「観測しなかった」ことになりました。修正は9月15日(協定世界時)にマージされ、送信前の検証と、滞った預け入れを回収する道具が加わっています。ただし最新のリリースは9月2日の 2.4.1 のままで、利用者の手元に届くのは次のリリースからです(SIPO.TOKYO の解説)。

ノードの側では、cardano-node が gRPC でチェーンのデータを返す機能について、照会と送信が10.7.0、評価が11.0.0.0、ブロック追従が11.1.0.0 と、半年かけて別々の版で積み上がってきたことが、リリースノートから確かめられました。いまのノード 11.1.2 が同梱する版では待ち受けは Unix ドメインソケットに限られ、ネットワーク越しの待ち受けは次の同梱版を待つことになります(SIPO.TOKYO の解説)。9月26日には Aiken 1.1.24 が出て、プロトコルバージョン11で Plutus V3 に入った Value 用の組み込み関数を、言語から直接呼べるようになりました(SIPO.TOKYO の解説)。

実装の数についても1つ。Blink Labs は9月22日、参照実装以外でブロックを作っているオープンソースのノードは Dingo だけで、各ネットワークで動いているプールは6つだと述べ、26日にも Dingo のブロック生成を報告しています。10月6日にはシンガポールで、独立したノード実装10種類のチームが現状を発表します。実装が10あることと、ブロックを作っている実装がいくつあるかも、別の数です。

第7章:エポック657 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック657期間・9月22日〜9月26日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。株式・金利・商品・為替の記録は、それぞれ前の営業日の値です。土曜日の9月26日の記録は、9月25日の値にあたります。日本国債の記録には遅れがあり、9月22日〜24日の記録は9月17日時点、25日は9月18日時点、26日は9月24日時点の値です。USD/JPY、日経平均先物、商品の記録には暫定値の印が付いています。また、初日9月22日の記録は6時35分の取得で、エポック657の開始(6時44分)の9分前にあたります。

この5日間の ADA は、2日目に上げ、3日目に大きく下げ、最後の2日で持ち直しました。

日次の記録で$0.245284(9月22日)→ $0.252241(9月23日)→ $0.238046(9月24日)→ $0.249609(9月25日)→ $0.256209(9月26日)。+4.45%です。期間の記録での最安は9月24日、最高は最終日。

9月22日の記録は、前日の記録から+8.36%でした。ただしこの上げは、前号の境界の確定値($0.245425)にすでに入っています。9月22日の記録$0.245284は、その境界の値とほぼ同じ水準です。+8.36%はエポック656の最後の1日に起きた上げで、エポック657の中の動きではありません。

エポック境界の確定値では、エポック656終了時の$0.245425からエポック657終了時の$0.252571へ、+2.91%。時価総額は$9.21bから$9.48bへ+2.93%です。ADA/JPY は¥38.6059から¥39.7256へ+2.90%、そのときの USD/JPY は157.30から157.28でした。

境界の値は、最終日の記録(9月26日7時30分)の$0.256209を1.42%下回っています。前号は、最終日の記録から境界までの約1日で8%上げていましたが、今回は小さく戻して終わりました。

$NIGHT は記録上$0.02419908 → $0.02485597(+2.71%)。期間の記録での最安は9月24日の$0.02308143で、最高は最終日です。

ADA が上げた5日間に、BTC と ETH は下げました。BTC は$86,703 → $83,946(−3.18%)で、期間の記録での最高は初日、最安は最終日。ETH は$2,773.73 → $2,687.84(−3.10%)です。前号まで、ADA は上げでも下げでも BTC の倍以上動く形が続いていましたが、今回は向きそのものが逆でした。

記録上の14銘柄は、上げと下げに分かれました。上げ幅の大きい順に、FET(+20.06%)、ICP(+6.35%)、LINK(+4.94%)、ADA(+4.45%)、ALGO(+2.99%)、NIGHT(+2.71%)、SOL(+1.98%)、XRP(+1.96%)、DOT(±0.00%)、WLFI(−0.16%)、ATOM(−2.20%)、ETH(−3.10%)、BTC(−3.18%)、AVAX(−6.64%)。前号で上げ幅の首位だった AVAX(+52.04%)が、今回は最下位です。

9月24日の記録の地合いは「原油急騰(+2.4%)×株式軟調の警戒局面」でした。この日の記録では14銘柄がそろって下げ、ADA は−5.65%、DOT は−8.02%、WLFI は−7.07%です。翌25日の記録は「BTC堅調×原油急騰(+2.8%)の複合局面」で、ADA は+4.83%、FET は+17.45%と戻しています。SOL と XRP も期間を通して小さく上げているので、SIPO は ADA と BTC の向きの違いを Cardano 固有の材料には帰しません。

株式は小幅に下げました。S&P500が7,764.70 → 7,743.41(−0.27%)、ナスダックが27,122.09 → 27,068.72(−0.20%)、ダウが52,048.83 → 51,828.62(−0.42%)。日経平均先物は66,430 → 66,490(+0.09%)です。VIX は14.87で始まり、14.87で終わりました。記録上の最高は9月25日の15.67です。

原油は、比べ方に注意が要ります。WTI は9月24日の記録から、参照する限月が10月限から11月限へ切り替わっています。10月限の2日が$95.49と$95.21、11月限に切り替わってからの3日が$92.71 → $94.76 → $92.44です。限月をまたぐので、初日と最終日をそのまま比べることはしません。ブレントは期間を通して同じ限月で、$100.04 → $104.37(+4.33%)。記録上の最高は9月25日の$107.03です。

金は$4,381.00 → $4,320.50(−1.38%)で、前号の上げから下げに戻りました。ドル指数(DXY)は100.408から101.035へ+0.62%。USD/JPY は157.285から157.185でほぼ変わらず、途中の9月25日の記録では158.80まで円安に振れています。

米10年債利回り(TNX)は、5%台に戻りました。4.963%で始まり、9月24日の記録で5.114%、最終日は5.184%です。前号の最終日に5%を下回った水準から、ふたたび上に出ています。日本国債は、10年が2.993%(9月17日時点)から3.073%(9月24日時点)へ、30年が4.047%から4.115%へ上げました。10年は再び3%台です。日米10年金利差は1.970から2.111へ広がり、記録上の最大は9月25日の2.181でした。

暗号資産関連株の COIN は201.05 → 195.11(−2.95%)。BTC とほぼ同じ幅の下げです。

Cardano オンチェーンKPI

データ基準日は2026年9月25日23時59分54秒(UTC)です。エポック657の終了境界(9月26日21時44分51秒 UTC)より約22時間前の断面で、第9章のネットワーク指標とは出典も時点も違います。

指標エポック657(基準日 9月25日)前回記録(エポック656基準日 9月20日)
ステーキング率56.92% of supply56.92%
Nakamoto係数162162
日次Tx(最新日)22,857(9月20日)22,857(9月20日)
アクティブアドレス10,49210,492
Script Tx比率38.69%38.69%
ステーブルコイン総額$67.34M$62.25M
Treasury1,360,079,770 ADA(エポック657)1,356,415,276 ADA(エポック656)

日々の活動を表す3つの値は、前回とまったく同じでした。日次Tx の「最新日」が前回と同じ9月20日のままで、アクティブアドレスとスクリプト比率も同じ値です。今回の集計では、日々の活動の部分が9月20日から先へ更新されていません。前号で確認点に挙げた「スクリプト比率の3つ目の基準日」は、今回は得られませんでした。

ステーブルコイン総額は、$62.25Mから$67.34Mへ、+$5.09Mです。内訳は、USDCx $46,347,084(前回$46,263,918・+$83,166)、USDM $13,544,373(前回$8,560,681・+$4,983,692)、USDA $4,103,172(+$994)、Djed USD $1,483,066(+$16,748)、iUSD $1,375,198(+$6,720)。増加分のほとんどは USDM で説明がつきます。前号まで減り続けていた USDM が、今回は大きく増えました。第5章の Koios の発行記録と、向きも規模もそろっています。PRIME の監査が基準線としたステーブルコイン6,712万ドルと比べると、いまはほぼ同じ水準にあります。

Treasury は1,356,415,276 ADA から1,360,079,770 ADA へ、+3,664,494 ADA です。前号の+3,755,014 ADA とほぼ同じ幅です。

ガバナンスアクションの集計は、提案中4・批准0・失効73(基準日時点)です。本記事が追っている係属中の議案は3件(AdaStat で active)で、Weekly Brief #25 もエポック657に入ってからの新しい提出は0件と記録しています。数え方の範囲が違いますので、突き合わせないでください。

SIPO DRep 活動

SIPO DRep の投票力は、2026年9月27日7時35分の確認時点で約₳88.59M です(登録済み・active・有効期限エポック677・委任者397名)。エポック656記事の時点では約₳88.12M・392名でしたから、量は+₳0.47M、委任者は5名増えています。委任者は7エポック連続の増加です。有効期限は、9月25日の投票でエポック675から677へ延びました。

取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック657 配信記事の紹介

エポック657の5日間に、SITIONグループの3アカウントから配信した記事のうち、暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
9月22日SIPO.TOKYOエポックな日々引き受ける人がいて、はじめて動きます──Maestro が API を畳んでコードを置いていき、Plutus が Midgard Labs へ移り、k=1000 の問いが SPO に届いた5日間記事
9月22日SIPO.TOKYOSignalDaedalus 11.4.0、ノードは 4 か月ぶりに 11.1.2 へ記事
9月22日SIPO.TOKYOSignalLace 2.3.0、プール一覧に年率・DRep は品質順に記事
9月22日SIPO.TOKYOSignalSecondFi、影響ウォレットの NIGHT は別のアドレスで受け取れず記事
9月22日SIPO.TOKYOSignalMidnight MIP-0018、トークン名をコントラクト自身が宣言記事
9月22日SIPO.TOKYOSignalSurf 再開、健全性 1.0 未満のローンは担保追加が先記事
9月22日LiveMakersSignalECB、トークン化資産を中央銀行マネーで決済する「Pontes」を稼働X
9月23日SIPO.TOKYOSignalminPoolCost 75 ADA 案、可決基準 67% に対し賛成 11.79%記事
9月23日SIPO.TOKYOSignalCardano トレジャリー円卓、許可不要の提案は維持で一致記事
9月23日SIPO.TOKYOSignalMidnight、資金を持たない投票コントラクト 3 本の展開を承認記事
9月23日SIPO.TOKYOSignalCardano PRIME の RFP、残り1週間で応募55件記事
9月23日SIPO.TOKYOSignalWorld Mobile、Base の WMTX 新規発行を「認可済み」と告知記事
9月24日SIPO.TOKYOSignalCardano 9 周年、2,890プールのうち直近エポックの生成者は775記事
9月24日SIPO.TOKYOお知らせSIPO、RealFi の SPO アクセラレーターで活動開始記事
9月24日SIPO.TOKYOSignalcardano-node が自前で返す gRPC、初出は10.7.0の実験版記事
9月24日SIPO.TOKYOSignalLace Midnight Preview、9月30日で動作終了記事
9月25日SIPO.TOKYOSignalCardano PRIME 第3段階、報酬を2〜3か所に集中記事
9月25日SIPO.TOKYOSignalCatalyst Pilot 2026 の12件、資金の6割は利用実績に連動記事
9月25日SIPO.TOKYOSignalCardano ネイティブトークン、Fireblocks で保管・送付へ記事
9月25日SIPO.TOKYOSignalMidnight 財団、鍵が漏れた Glacier Drop 請求を戻せず記事
9月25日SIPO.TOKYOSignalホスキンソン氏と Midnight City、10月10日に八芳園で東京イベント記事
9月25日SIPO.TOKYODaily IntelCardano ネイティブトークンの Fireblocks 対応記事
9月26日SIPO.TOKYOWeekly BriefWeekly Brief #25|Cardano の k ポール、賛成 10 プールを委任量で上回る反対 3 プール記事
9月26日SIPO.TOKYODRep 投票SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対記事
9月26日SIPO.TOKYOSignalEMURGO と Yoroi の7プール、Murasaki 氏へ移管記事
9月26日SIPO.TOKYOSignalMidnight ノード 1.0.300、全検証者の更新後にランタイム切替記事
9月26日SIPO.TOKYOSignalHydra、預け入れた資金が動かせなくなる不具合を修正記事
9月26日SIPO.TOKYOSignalCardano の USDM、9月下旬の発行で比率2割超に記事
9月26日SIPO.TOKYOSignalSEC のステーキング FAQ、Cardano の委任者が押さえたい3点記事
9月26日LiveMakersSignal金融庁、国債と日銀当座預金のオンチェーン化を省庁横断で検討X
9月27日SIPO.TOKYODaily IntelEMURGO と Yoroi の7プール、運営は Murasaki 氏へ記事

この5日間の SIPO.TOKYO は、Signal を中心に、Weekly Brief、DRep の投票記事、RealFi の解説(Learning)、毎朝の Daily Intel を配信しました。上の表に載せたほかにも、LiveMakers・LifeMakers の2媒体から市場・地政学・AI・ライフスタイルの記事が出ています。LifeMakers からは、SEC がステーキングを役務の対価と整理したことを、生活者の側から取り上げました。LifeMakers の「星読み」は毎日配信を続けていますが、本表の対象外としています。

今回も、同じ期間に出した記事どうしの前提を照らし合わせました。3か所に、提案書と食い違う書き方がありました。9月23日の Daily Intel は minPoolCost の提案を「340 ADA から 75 ADA へ」と書きましたが、いまの値は170 ADA で、提案書は170 ADA から75 ADAへの引き下げです(340 ADA は2023年に引き下げる前の値です)。9月24日の Daily Intel は「成立には DRep と SPO の双方の賛成が必要」と書きましたが、提案書は、この議案に SPO の承認は必要ないと明記しています。同じ9月24日の記事は、引き下げ案が Plutus のメモリ上限の引き上げと組み合わせて提出されているとも書きましたが、いま係属している議案は minPoolCost だけを変える単独案で、提案書は「このアクションで変更する他のプロトコルパラメータはない」と書いています。本記事の第3章は、提案書と9月23日の Signal の書き方に合わせました。

第9章:エポック657 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック657:100%時点)

項目値前エポック比
ライブステーク104,102,736.46 ADA(104.10M)+326,985.03
有効ステーク103,776,323.68 ADA(103.78M)−4,121,582.21
委任者数2,134名−2
エポック生成ブロック103+1
累計生成ブロック47,614+103

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO53,857,431.30(−4,911.06)53,862,917.94(−3,189,872.43)1,112(−1)55(+3)20,285
SIPO225,378,746.22(+332,258.22)25,046,484.67(−209,555.08)472(+1)31(+13)15,151
SIPO324,866,558.94(−362.13)24,866,921.07(−722,154.70)550(−2)17(−15)12,178

マージンは3プールとも3.9%、固定費340 ADA、保証金50,000 ADA です。ブロック数・累計ブロック・有効ステークはエポックの終了時点で確定した値です。ライブステークと委任者数は、9月27日6時54分、エポック658が始まってから約10分後に取得した値です。同じ朝に配信したステーキング状況の投稿と同じ取得です。

ライブステークは、5エポックぶりに増えました

前号の終章で、SIPO は「3プールのライブステークが5エポック目も減るか」を確認点に挙げました。答えは、増えた、です。3プール合計のライブステークは+32万6,985 ADA。エポック653から656まで4エポック続けて減り、前号は−412万ADAでしたので、5エポックぶりの増加です。

増加のほぼすべては SIPO2 です。SIPO2 のライブステークは+33万2,258 ADA、委任者は+1名でした。SIPO は−4,911 ADA・委任者−1名、SIPO3 は−362 ADA・委任者−2名で、どちらもほぼ横ばいです。委任者1名の増加に対して33万ADAが動いていますので、まとまった委任が1件入ったと読むのが自然です。ただし、委任者の事情を SIPO は知りません。事実として記録します。

一方、有効ステークは3プール合計で−412万1,582 ADA です。これは前号のライブステークの減少(−412万2,154 ADA)が、1エポック遅れて有効ステークに反映されたもので、この5日間に新しく減ったものではありません。

第2章で触れたとおり、SIPO のライブステークは k=1000 の飽和点(提案書の基準で約3,750万ADA)をいまも上回っています。

SIPO2 のブロックは、31でした

前号で SIPO は、SIPO2 が同規模の SIPO3 を3エポック続けて下回っていると書き、「次のエポックでも、2つのプールの差を見ます」と続けました。

エポック657の SIPO2 は31ブロック、SIPO3 は17ブロックです。直近4エポックを並べると、SIPO2 は14・23・18・31、SIPO3 は31・30・32・17。今回は SIPO2 が SIPO3 を上回り、差の向きが入れ替わりました。有効ステークは SIPO2 が2,505万ADA、SIPO3 が2,487万ADAで、ほぼ同じ規模です。

ブロック生成は確率的で、1エポックの数字からプールの状態は読めません。前号までの3エポックの差も、今回の逆向きの差も、同じ揺れの中にある可能性があります。記録を続けます。3プール合計では102から103へ+1、SIPO は52から55でした。

有効ステークとライブステークの照合

エポック656の終了時点のライブステークと、エポック657の有効ステークを並べます。

プールエポック656 ライブステークエポック657 有効ステーク差
SIPO53,862,342.3653,862,917.94+575.58
SIPO225,046,488.0025,046,484.67−3.33
SIPO324,866,921.0724,866,921.070.00

今回は、SIPO3 だけが小数点以下まで一致し、SIPO と SIPO2 には小さな差が出ました。前号のライブステークは、エポック657が始まってから約2時間半後(9月22日9時19分)の取得でした。境界ちょうどの値ではないため、その間の動きが差として残ったと考えられます。前号まで7回続いた照合は、今回は条件がそろいませんでした。今回のライブステークは境界の約10分後の取得なので、次の照合は条件がそろいます。

累計47,614ブロック

3プールの累計ブロックは47,614です。SIPO 20,285 / SIPO2 15,151 / SIPO3 12,178。エポック657では103ブロックを積み上げました。

ネットワーク全体(エポック657終了時点)

前号は、エポック656の集計が取得できず、エポック657が始まってから約2時間半後の値で代用しました。今回はエポック657の集計を、境界の約10分後に取得しています。前エポック比は、前号の代用値との差なので、取得時点のずれを含みます。

指標エポック657終了時点前エポック比
ステーキング率56.32%−0.02ポイント
総ステーク21,315,316,319 ADA−3,831,686
流通供給量37,848,152,940 ADA+6,136,639
委任者総数1,335,281名−905名
アカウント総数5,997,309+6,335
総プール数2,890±0
ステークのあるプール2,672+1
ブロック生成のあったプール921—

委任者総数は、8エポック続けて減りました。アカウント総数は+6,335で、増え続けています。「新しいアカウントは増え、委任している人は減っている」という構図は、8エポック続いています。総ステークは−383万ADAで5エポック続けての減少、流通供給量は+614万ADAで、ステーキング率は56.34%から56.32%へ下がりました。

ブロック生成のあったプールは921です。前号は代用値のため載せていませんでした。9月24日の記事で取得したエポック656の値は937でした(第4章)。

SIPO の3プールは、この5日間で103ブロックを生成しました。委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:数える前に、何を数えるかを決めます

エポック656の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

k のポールで、SPO の賛成と反対のどちらに持ち分が積み上がるかは、答えが出ました。反対です。賛成は4プール・259万ADAから11プール・5,373万ADAへ、反対は2プール・4,253万ADAから11プール・2億2,430万ADAへ。数では並び、量では反対が約4.2倍です。あわせて見ると書いた「理由書が集まるか」は、提出者本人の理由書がチェーン上に記録されました。

最低固定費と OpenZeppelin で、委員会の3票目が入るかは、答えが出ました。入りました。2件とも委員会の賛成は3になりました。ただし7名中3名で、2/3にはまだ届きません。最低固定費で反対の優位が続くかは、続きませんでした。賛成が反対を6,349万ADA上回っています。OpenZeppelin で反対の鈍化が続くかも、続きませんでした。反対は+2億2,080万ADAで、前号より速く積み上がっています。そこには SIPO DRep の反対票が含まれます。

置いていかれたコードと、仲介役の運用者は、部分的に答えが出ました。maestro-cardano-indexer のコミット履歴は、9月27日朝の時点でも9月15日の最初の公開のまま動いていません。x402 の公開ファシリテーターに Cardano のメインネットが載ったかは、確認できていません。持ち越しです。

11.1.2 の普及と、11.2・Genesis の正式告知は、部分的に答えが出ました。cardano-node のリリース欄の最新は、9月27日朝の時点でも 11.1.2 で、11.2 はまだ出ていません。報告ノードの20%から先の新しい数字は、確認できていません。Intersect の週次更新 #129 は、SPO に 11.1.2 への速やかな更新を呼びかけています。Genesis については、Cardano PRIME が「メインネットの設定が Genesis を既定にした」と投稿しましたが、開発元からの正式な告知は確認できていません。

Midnight のスマートコントラクト配備の日付は、部分的に答えが出ました。日付はまだありません。一方で、Guillemot 氏は 1.0.300 を最後の主要な技術リリースと位置づけ、様子を見て配備を有効にすると書きました。node-2.1.0 はまだ rc.2 のままです。Buildathon の審査結果は、境界の時点では確認できていません。

PRIME の基準線と、再開した DeFi は、部分的に答えが出ました。ステーブルコインは Dune の集計で$67.34M、監査の基準線(6,712万ドル)とほぼ同じ水準です。DeFi TVL の推移は、今回は測っていません。Surf は9月26日に「段階的に100%の通常状態へ戻りつつある」と投稿しましたが、清算とレバレッジが戻ったという告知は確認できていません。Splash と VyFi の報告書も、この5日間には見つけられていません。

スクリプト比率の3つ目の基準日は、得られませんでした。第7章のとおり、日々の活動の値が9月20日から更新されていません。持ち越しです。

3プールのライブステークが5エポック目も減るか、SIPO2 のブロックが SIPO3 に近づくかは、答えが出ました。どちらも、見たかった側です。ライブステークは+32万ADAで5エポックぶりに増え、SIPO2 は31ブロックで SIPO3 の17を上回りました。ネットワークの委任者総数は、境界の値で1,335,281名でした。

8件のうち、答えが出たものが3件(k の SPO 票・委員会の3票目・ライブステークとブロック)、部分的に答えが出たものが4件(置いていかれたコード・11.1.2 と Genesis・Midnight の配備・PRIME と DeFi)、持ち越しが1件(スクリプト比率)です。

そのうえで、エポック658で確認すべきものを挙げます。

  1. k のポールで、未投票の88億ADAがどちらへ動くか(ガバナンス):いまは賛成11プール・5,373万ADAに対し、反対11プール・2億2,430万ADA。反対の理由書がどこまで集まるか、SIPO の3プールの票と理由もここに記録します。期限はエポック663(10月22日6時44分頃)です。
  2. minPoolCost と OpenZeppelin で、委員会の4票目・5票目が入るか(ガバナンス):どちらも委員会は賛成3。minPoolCost では賛成の優位が続くか、OpenZeppelin では再提出の動きが出るかを見ます。期限は10月12日6時44分頃です。
  3. MURA1〜MURA7 の新しい登録(ステーキング・組織):エポック660(10月7日6時44分頃から)に新しい登録が有効になったあと、7プールのブロック生成が途切れずに続くか。名称とティッカーの告知が出るか。
  4. Midnight の配備の有効化(Midnight):様子見の期間が終わり、メインネットで配備が有効になったという告知が出るか。node-2.1.0 が正式版になるか。9月30日の Lace Midnight Preview の終了もあわせて見ます。
  5. PRIME の RFP の締切と、RealFi の稼働(DeFi):日本時間10月1日12時59分の締切で55件がどこまで伸び、空いていた7カテゴリが埋まるか。10月1日の RealFi の稼働で、公開資料と実際の画面の条件が一致するか。USDM の2割が定着するかも見ます。
  6. Hydra と cardano-node の次のリリース(開発):#2873 を含む Hydra の版がいつ出るか。cardano-node の次のリリースで、同梱の cardano-rpc が11.3.0.0以降になり、ネットワーク越しの待ち受けが届くか。
  7. 日々の活動の値の更新(オンチェーンKPI):日次Tx・アクティブアドレス・スクリプト比率が9月20日から先へ更新されるか。更新されれば、スクリプト比率の3つ目の基準日になります。
  8. 3プールのライブステークの増加が続くか、SIPO2 と SIPO3 の差(ステーキング):今回の照合は境界の約10分後の取得なので、次のエポックで有効ステークとの照合がふたたび成立するかも確かめます。

エポック657は、数と厚みが別の物差しであることが、何度も表に出た5日間でした。

k のポールでは、11対11で並んだプールの数の裏で、反対の持ち分が賛成の4倍に積み上がりました。その流れを始めたのは、問いを置いた本人の反対票です。理由書の中心には、プールの数を増やすことと、独立した主体を増やすことは違う、という区別がありました。

その区別は、同じ週に実例になりました。EMURGO の7プールは、数を変えずに、運営する主体だけが一人に移りました。9周年の2,890という数と、ブロックを作った921という数も、別の問いに答えています。

PRIME は「40の浅いプールは1つの深いプールにならない」と書き、Catalyst は配った件数ではなく使われた量で後半を払う形を始めました。Hydra では、額と記録が食い違った預け入れを、ノードが数えませんでした。Midnight の 1.0.300 は、全員がそろうまで切り替えない手順で出ています。

どれも、数える前に「何を数えるか」を決めておく話です。票の数か、持ち分か。プールの数か、運営者の数か。配った件数か、使われた量か。どの物差しを当てるかで、同じ5日間の見え方が変わります。

市場のほうは、日次の記録で ADA が+4.45%、BTC と ETH は約3%の下げでした。株は小幅に下げ、ドルと米金利が上がり、ブレントは上げて金は下げています。SIPO はこの5日間の ADA の上げを Cardano 固有の材料には帰しません。事実として記録し、次のエポックで水準が保たれるかを見ます。

いつも SIPO / SIPO2 / SIPO3 へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRep を通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPO は SPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。この5日間には、SIPO DRep として OpenZeppelin の議案に反対を投じ、その理由と賛成に転じる条件を公開しました。k のポールに SIPO の3プールが票を投じるときも、その理由を同じ場所に記録します。

次の節目は、9月28日の Intersect 理事選の結果です。そして10月12日の朝6時44分頃に、minPoolCost と OpenZeppelin の2件が同時に期限を迎えます。

出典・参照