Cardano のフルノード型ウォレット Daedalus を保守する Se7en Labs は11月3日、10月の開発報告を公開しました。10月14日の 11.5.0 と10月24日の 11.6.0 の2つのリリース、チームのプルリクエスト(コードの変更の提案)22本のマージ、外部からの貢献1本が並びます。
Daedalus の保守は Cardano の国庫から資金を受けて行われていて、この報告はその資金が何に使われたかを、GitHub の記録から月ごとに数字で示すものです。国庫の使い道を DRep や委任者が自分で確かめられる形の一例として、中身を順に見ていきます。
10月の作業の内訳
報告は作業を「ワークストリーム」に分け、それぞれを国庫の提案で約束したマイルストーンにひもづけています。マージした数が多かったのは次の分野です。
- 日常の保守: 5本(プレビュー・プレプロッドのテストネットでのウォレットの取り込み、英語以外の Windows でノードの出力を読めるようにする修正など)
- セキュリティと依存関係の保守: 4本(Node.js、TOML、form-data と body-parser、electron と rustls を、それぞれセキュリティの勧告に合わせて更新)
- ノードとウォレットの裏側の更新: 3本(cardano-node 11.1.3 への更新、部分同期での最後のチャンクの取り直しなど)
- CIP-30 の dApp 接続: 1本(10月21日。この1本に39のコミット)
10月のコミット(個々の変更)は合わせて264でした。日本語の翻訳にも8つのコミットがあります。月末の時点で Daedalus が使う cardano-node は 11.1.3、cardano-wallet は v2026-10-07 で、どちらもその時点の最新の安定版でした。
22本のうち3本は、非公開のリポジトリにあるユーザーサポートの仕組みのコードです。報告はこの点を明記し、公開の検索で再現できるのは残りの19本だとしています。数字の横に、GitHub で同じ検索をやり直せるリンクを付けているのもこの報告の特徴です。
国庫の提案で約束したことと、10月の進み具合
報告の中ほどには、国庫の提案に書いた受け入れ条件と、その月の成果を並べた節があります。たとえばハードフォークへの対応では「メインネットでの有効化の2週間以上前に、対応する安定版を出す」ことが条件で、10月は2つの安定版がその成果として挙がっています。
一方で、10月に動きがなかった項目もそのまま書かれています。Keystone と Flex のハードウェアウォレット対応、Leios・Peras・入れ子の取引への備え、設計の評価の公開の3つは「この月の活動なし」です。進んだところだけを並べるのではなく、止まっているところも同じ表に載せているので、年間の契約のどこまでが済んだかを読み手が追えます。
まだマージされていない作業には、cardano-wallet で cardano-node 11.2.0 の先行版に合わせる変更が入っています。11.2 は次のハードフォーク Dijkstra に向けたノードの版で、11月2日にはテストネット DijkstraNet がプロトコル 12 に移りました(11月4日の Signal)。Daedalus がメインネットのハードフォークに間に合うかは、この先の報告で見ていくことになります。
日本の利用者にかかわる数字
ユーザーサポートのマイルストーンには「新しい機能はすべて、日本語の翻訳がそろった状態で出す」という条件があります。翻訳が契約の条件に入っている点は、日本語で Daedalus を使う人にとって意味のある約束です。
サポート窓口では、10月に利用者が61件の問い合わせを開き、スタッフが240回返信しました。最初の返信までの時間は、半分が23時間以内、9割が4日以内です。多かった相談は、インストールと起動、同期とノード、ネットワークへの接続でした。これらは窓口自身の記録で、GitHub の検索では再現できないと報告に書かれています。
Daedalus の使い方そのものは、SIPO の Daedalus マニュアル 2026 年版にまとめています。10月24日の 11.6.0 で入った部分同期の修正は、10月24日の Signal で解説しました。
月ごとの推移と、次の報告
報告の最後には、2026年1月からの月ごとのコミット数が載っています。1月から6月は2〜52だったのが、8月は326、9月は361、10月は264でした。マージしたプルリクエストも、8月44本、9月13本、10月22本と続いています。
報告は、GitHub に跡が残らない作業(コミュニティでのサポート、実機でのリリースの試験、ほかのチームとの調整、変更に至らなかった調査)はこの数字に入っていないとも書いています。2日かけて原因を突き止めた1行の修正も、機械的な名前の変更も、同じ1として数えられるという断りです。
9月分の報告は10月1日、10月分は11月3日に出ました。11月分は12月初めに、同じ Daedalus の月次報告のページに載る見込みです。そこでは、cardano-node 11.2 系への対応がマージまで進んだかと、10月に動きのなかったハードウェアウォレット対応に手が付いたかを確かめられます。
ことば
- Se7en Labs — Daedalus の保守と開発を担うチーム。Cardano の国庫から資金を受け、その使い道を毎月の報告で公開しています。Daedalus の本体のリポジトリは input-output-hk/daedalus です。
- マイルストーン(国庫の提案) — 国庫に資金を求める提案で、何をいつまでに、どの条件で達成するかを決めた区切り。月次報告はこの条件に対する進み具合を示すので、提案と並べて読むと評価しやすくなります。
- CIP-30 — Cardano のウォレットと dApp(分散型アプリ)をつなぐための共通の決まり。国庫の提案では「安定版で使えるようにする」ことが条件で、そこまで進めば Daedalus から dApp を使う道が開けます。
一次ソース / 関連リンク
- Se7en Labs 公式 X の告知(Daedalus の10月報告)
https://x.com/se7en_labs/status/2117737116163526999
Daedalus 月次報告の一覧ページ(daedaluswallet.io)
Daedalus 10月の開発報告(PDF)(daedalus.se7enlabs.org)
