Cardanoの未来を支える「委員会」の仕組みとは?Intersectの新しいガバナンス支援体制に迫る
Cardanoのガバナンスがいよいよ本格稼働を迎える中、その意思決定を裏で支える「委員会」の存在が注目を集めています。Intersectは記事「Understanding committees in Intersect」を公開し、Cardanoのガバナンス推進組織Intersectが設置する各種委員会の役割と仕組みについて、わかりやすく解説しています。
Intersectとは?Cardanoの自律的成長を支える組織
Intersectは、Cardanoエコシステムの成長と進化を促進するために設立された、メンバーシップ型の非営利組織(MBO)です。ADA保有者、ステークプールオペレーター(SPO)、開発者、コミュニティ団体など、誰でも参加可能であり、ガバナンスに関する議論や意思決定の場を提供しています。
その中核にあるのが、選出された各種委員会の存在です。
なぜ委員会が必要なのか?
Cardanoの新しいガバナンスモデルでは、DRep(委任代表)やSPOが重要なガバナンスアクションに投票する義務を持ちます。しかし、すべての提案の技術的・戦略的な詳細を理解するのは容易ではありません。
そこで委員会の出番です。Intersectの各委員会は、提案の精査、助言、議論のファシリテーション、情報提供を通じて、DRepやSPOが賢明な判断を下せるよう支援する役割を担います。
委員会の構造と選出方法
Intersectには現在、7つの常設委員会と、それらを統括する**ステアリング委員会(運営委員会)**があります。
委員会のメンバーは、Intersectに所属するコミュニティメンバーの投票によって年2回選出されます。ADAの保有量に関係なく、1人1票の平等な投票権が与えられます。
各委員会の役割とは?
1. 予算委員会
Cardano憲法に基づく年間予算策定を支援。エコシステム全体のステークホルダーからの知見を集め、実効性あるガイドラインを提供。
2. 市民委員会(Civics)
オンチェーン投票ツールの運営やガイドラインの更新を担当。コミュニティ提案への助言を行います。
3. 成長・マーケティング委員会
Cardanoの分散化と採用拡大を目指し、革新的なマーケティング戦略を提案。
4. メンバーシップ・コミュニティ委員会
Intersectメンバーの体験を充実させ、教育リソースやイベントを通じてコミュニティの活性化を図ります。
5. オープンソース委員会
Cardanoをコミュニティ主導のオープンソースプロジェクトとして発展させるため、ツールやポリシーを整備。
6. プロダクト委員会
Cardanoのプロダクトロードマップを策定し、コミュニティと連携して未来像を描きます。
7. 技術運営委員会
プロトコルパラメータや技術提案に対する詳細な技術レビューを実施。DRepの意思決定を技術面から支援します。
ステアリング委員会
上記すべての委員長およびIntersectの管理職によって構成され、Intersect全体の戦略を議論・決定します。
委員会が担う未来
今後、CardanoのガバナンスはCatalystを超えて、憲法・予算・ソフトウェア更新などを含む全方位的な意思決定プロセスへと移行します。DRepとSPOにとって、専門的な知見に裏打ちされた助言は不可欠なものになるでしょう。
Intersectの委員会は、まさに「分散型シンクタンク」としてCardanoの未来を設計する原動力となります。
あなたも委員会の一員に
Intersectへの参加は誰でも可能であり、委員会の選挙に投票することでガバナンスに直接関与できます。さらに、委員としての立候補も可能です。自らの専門性や情熱をCardanoの未来に活かしてみませんか?
終わりに:分散化の本質、それは「参加」
Cardanoの目指す真の分散化は、テクノロジーだけでなく、意思決定の分散化にあります。Intersectの委員会は、その実現を支える柱であり、今こそその重要性が増しています。
日本のCardanoコミュニティとしても、より多くの声を届け、未来を共に築くフェーズに突入しています。
以下はIntersect記事「Understanding committees in Intersect」を翻訳したものです。
Intersectにおける委員会の理解
2025年3月21日
Intersect MBO(Member-Based Organization)は、メンバーによってCardanoの発展を支援する目的で設立されました。この使命を果たす上で不可欠なのが、複数の選出された委員会:committeesの存在です。これらの委員会は、ガバナンスの意思決定者に対して専門的な助言や指針を提供します。たとえば、ガバナンスの行動が憲法に準拠しているかを監督する「憲法委員会」、ADA保有者を代表して行動する「委任代表(DRep)」、そしてブロックチェーンの整合性を維持する「ステークプールオペレーター(SPO)」などが含まれます。
Intersectは、DRepやSPOが連携・協力できる場(ハードフォークワーキンググループなど)を提供し、情報提供資料、ワークショップ、継続的な教育、専門委員会による直接支援といった形で、勧告やガイダンスを積極的に発信しています。
委員会の構造と選挙
Intersectのメンバー(Intersect members)は、委員会の選挙プロセスにおいて重要な役割を担っています。Intersectでは年に2回、選挙を実施し、その中で委員会の選出が行われます。参加を希望するコミュニティメンバーや団体はIntersectに加入することで、このプロセスに関与できます。委員会の選出は明確かつシンプルなプロセスに従って行われ、各メンバーは保有するADAの量にかかわらず、1票を持ちます。
現在、Intersectには7つの常設委員会と1つの運営委員会(ステアリングコミッティ)があります。ステアリングコミッティは、各常設委員会の委員長とIntersect内部の機能リーダーで構成されます。
DRepやSPOはガバナンスアクションに対して投票する必要がありますが、それぞれのアクションの詳細やその意味合いをすべて把握することは現実的ではありません。そこでIntersectの委員会が重要な役割を果たします。彼らは知識のギャップを埋める架け橋として機能し、DRepやSPOが自信を持って意思決定できるように専門的な支援を提供します。
委員会の役割
Intersectの各委員会は、それぞれの専門分野に特化して、的確かつ有益な助言を提供します。彼らの役割には、提案者がガバナンスアクションを策定する支援や、SNSなどのプラットフォームでのコミュニティディスカッションの促進、問い合わせへの透明な対応などが含まれます。これらを通じて、アクション実施前に明確な理解と広範なコミュニティの支持が得られるようにすることが目的です。
Intersect運営委員会
Intersectの運営委員会(ステアリングコミッティ)は、7つの常設委員会の委員長、各機能部門の管理責任者、そして選出されたメンバーで構成されます。この委員会の目的は、Intersectの発展をCardanoコミュニティの代表として戦略的に支援し、集団で意思決定を行うことです。
予算委員会(Budget committee)
Cardano憲法では、毎年の予算策定プロセスが義務付けられています。予算委員会は、Cardanoエコシステム内の主要ステークホルダーを招集し、それぞれの知見や経験を活かして、効果的なガイダンス、監督、サポートを提供します。
市民委員会(Civics committee)
市民委員会は、Cardanoガバナンスの改善に関するコミュニティからの提案に助言を行います。また、オンチェーン投票ツールの監督も行い、それらが常に稼働状態にあることを確認します。さらに、投票ガイドライン、テンプレート、標準などを定期的に更新します。
成長・マーケティング委員会(Growth and marketing committee)
この委員会は、Cardanoブロックチェーンの初期開発者と経験豊富なマーケティングの専門家が集まり、分散化の強化やCardanoエコシステムの採用拡大を目的とした革新的な戦略を提案します。
メンバーシップ・コミュニティ委員会(Membership and community committee)
この委員会は、活気あるCardanoコミュニティの育成に専念しています。Intersectのメンバーシップ体験の効果的な管理、強力なコミュニティ支援と教育リソースの提供、そして魅力的なコミュニティイベントの開催を通じて、目的を達成します。
オープンソース委員会(Open source committee)
Intersectのオープンソース委員会は、Cardanoの発展と進化を、分散型・コミュニティ主導のオープンソースプロジェクトとして推進しています。この委員会は、Cardanoの成長・柔軟性・アクセス性を支えるために、必要なツール、ポリシー、ガイドラインを提供します。意思決定のインクルーシブ性を重視しています。
プロダクト委員会(Product committee)
この委員会は、Cardanoのロードマップを管理する役割を担います。革新的な提案を調整し、コミュニティと密接に連携しながら、Cardanoの将来開発に向けた包括的なビジョンを形作っていきます。
技術運営委員会(Technical steering committee)
DRepはCardanoのプロトコルパラメータやコードベースに関わる重要な技術変更に投票することがよくあります。技術運営委員会は、開発プロジェクト、プロトコルパラメータ(その下部委員会およびワーキンググループを通じて)、およびネットワーク関連の条件について、詳細な技術分析とガイダンスを提供します。
今、なぜ委員会がこれまで以上に重要なのか
DRep(委任代表)の責任がますます増している現在、委員会は専門的な分析と戦略的な助言を提供する不可欠な専門機関となっています。これらの委員会は、いわばシンクタンクのような役割を果たしており、DRepが検討すべき戦略、ロードマップ、実行可能なインサイトを創出することで、Cardanoの方向性を形作っていきます。
Intersectのメンバーは、委員会選挙に参加することで、重要な意思決定に影響を与える専門性の質そのものに直接関与することができます。こうした選挙への積極的な参加は、Cardanoが掲げる分散型のビジョンをさらに強固なものとし、エコシステム全体が透明性・革新性・そしてコミュニティの価値観と調和した形で発展し続けることを保証します。