カルダノ2.0の幕開け—ロードマップ2.0とコミュニティ主導型2025年予算策定への道筋と挑戦

1. はじめに:カルダノ2.0の新時代へ
カルダノはこれまで、明確に定義された「5つの時代(Byron、Shelley、Goguen、Basho、Voltaire)」を順調に歩み続け、2024年をもって「カルダノ1.0」とも呼べる段階をついに完成させました。これにより、分散型アプリケーション(dApps)の基盤整備、スマートコントラクト機能の実装、高度なスケーリング技術の導入など、数々の革新的な取り組みが形になっています。
しかし、これは終わりではありません。むしろ、カルダノにとって新たな幕開けとなる「カルダノ2.0」へのスタート地点なのです。次のステージでは、これまで築き上げた技術基盤をさらに拡張し、完全に分散化されたコミュニティ主導型のエコシステムを確立することが目標となります。
その意味で、2025年はカルダノにとって極めて重要な節目の年となります。特に、最後の開発時代として位置付けられる「Voltaire時代」が本格的に始動し、カルダノの真の分散型ガバナンスの仕組みが具体的に導入されるからです。
Voltaire時代は、コミュニティメンバー一人ひとりが意思決定に参加できる環境を整え、予算編成、プロジェクトの優先順位付け、そしてカルダノの未来を決定する上での重要な役割を担います。その中核には、「DReps(代表委任制)」や「カルダノ憲法」、そして新たな財務管理制度があり、コミュニティ自身がカルダノの未来を主体的に形作る時代が到来します。
本記事では、この新しい時代に向けたカルダノの野心的なロードマップ2.0の詳細と、コミュニティ主導で策定される2025年予算がもたらす変化と挑戦について、丁寧に紐解いていきます。カルダノが分散型金融や社会システムに対してどのような革新をもたらそうとしているのか、その全貌を一緒に見ていきましょう。
また、このロードマップ2.0とコミュニティ主導型の2025年予算策定プロセスは、まだ始まったばかりです。二日前にチャールズ・ホスキンソン氏が来日し、日本でワークショップが開催されたのを皮切りに、今後はIntersectがサポートする形でコミュニティが主体となり、世界規模でコミュニティからのフィードバックを収集しながらプロセスが形成されていくことになります。
したがって、今回の内容は 現時点における「ロードマップ2.0」と「カルダノ2025年予算」策定プロセスの状況を反映したもの であり、今後の議論やフィードバックを通じて変化していく可能性が十分にあります。その点をご理解いただければと思います。
機会があれば、SIPOが日本のワークショップで発言させていただいた提案についても、別の記事で詳しくご紹介する予定です。今後、さまざまな提案や議論が展開され、プロセスや計画が随時アップデートされていくことでしょう。
DRepとしても、これらの動きを正確に把握し、投票プロセスに適切に臨むために、引き続きこの進展を注視していきます。
2. 完全分散型ガバナンスの実現に向けて
カルダノ2.0時代への移行に伴い、予算策定や意思決定のプロセスにも大きな変革が訪れています。その中心に位置するのが、Intersectによる「予算プロセスの再調整」です。これまでカルダノのエコシステム開発を支援・管理してきたIntersectは、コミュニティから寄せられた多くの声を受け止め、意思決定プロセスの再構築を決定しました。
この再調整の最大の意義は、予算決定やプロジェクトの優先順位付けを、従来の管理主体(Intersect)が主導する方式から、完全にコミュニティ主導型の方式へと移行させることにあります。カルダノの財務運営やエコシステム発展の方向性を決定する権限が、正式にコミュニティに委ねられることになるのです。
参考記事:詳しくはこちらの記事もご覧ください。
コミュニティ主導への移行とDRepsの役割強化
コミュニティ主導のガバナンス実現には、代表委任者(Delegated Representatives:通称DReps)の存在が鍵を握ります。DRepsはコミュニティメンバーから投票権を委任され、予算やプロジェクト提案に対してコミュニティを代表して審査し、最終的な意思決定を行う役割を担います。
この再調整により、DRepsは単なる投票代理人から、エコシステム全体の予算やプロジェクトの優先順位を決定する実質的な代表者へとその役割が格段に強化されます。これにより、カルダノコミュニティの意見やニーズが、より直接的かつ反映されやすいプロセスへと生まれ変わるのです。
ベンダー提案の直接受付化とプロセスの透明性向上
もう一つの重要な変更点が、ベンダーやエコシステム開発者が委員会を経由せず、直接提案を提出できるようになるという点です。従来は委員会が提案内容を審査・整理した上でコミュニティに提示していましたが、今後は開発者自身が直接コミュニティに向けて提案を行うことが可能となります。
これにより、提案プロセスが迅速化されるとともに、透明性も大幅に向上します。また、資金の流れはスマートコントラクトを利用したマルチシグ方式で管理されるため、不正な資金流用を防ぎつつ、全ての資金移動がコミュニティの監査対象となり、説明責任も格段に向上することになります。
「ネット・チェンジ・リミット(NCL)」導入の意味
そして最後に注目すべき新たな仕組みが、「ネット・チェンジ・リミット(Net Change Limit: NCL)」の導入です。これは一定期間内に財務資金(ADA)の引き出し可能額を限定する仕組みであり、カルダノ財務の長期的な持続可能性を担保する目的で設けられます。
NCLには、「総準備金に対する一定割合」とする方式と「固定数値の上限を設定」する方式という2つの選択肢が議論されており、コミュニティの意見を十分に反映した上で最終決定されることになります。この制限が設けられることで、資金の急激な流出を抑制し、カルダノエコシステムの持続可能な成長をサポートすることが期待されています。
カルダノ2.0において、完全分散型ガバナンスの実現はまさに画期的な試みであり、ブロックチェーン業界においても前例のない挑戦となります。これらの改革がスムーズに進み、カルダノが真にコミュニティ主導のモデルとなるか、今後の展開に大きな注目が集まります。
3. カルダノ2025年予算策定プロセスの詳細とその革新性
2025年、カルダノは初めてコミュニティが主導する完全分散型の予算策定プロセスを正式に導入します。これはカルダノが目指す真の分散化を象徴する重要なイベントであり、歴史的にも前例のない取り組みとして注目されています。ここでは、この「カルダノ2025年予算策定プロセス」の具体的な流れとその意義について詳しく解説します。
予算策定プロセスの新たな枠組み:コミュニティ主導型への転換
カルダノの2025年度予算策定プロセスは、従来の管理主体主導型の意思決定から、完全にコミュニティ主導型の方式へと移行します。このプロセスは、Intersectが2024年にコミュニティからのフィードバックを受け、「予算プロセスの再調整」を行ったことに端を発しています。
これまでIntersectが担ってきたプロジェクト評価、提案の選定および予算配分に関する意思決定の権限は、コミュニティによって選ばれる代表委任者(Delegated Representatives:DReps)と憲法委員会に完全に委ねられます。
予算策定プロセスの具体的な流れ
カルダノ2025年予算策定のプロセスは以下のステップで構成されます。
① 提案の受付(2025年3月初旬〜)
まずはコミュニティの誰もが、提案を自由に行える形で受付を開始します。従来のように委員会を経由することなく、開発者や企業が直接、コミュニティにプロジェクトの提案を行うことが可能になります。
② 提案内容の公開とコミュニティレビュー(2025年4月)
受付期間終了後、提案は透明性をもって公開され、コミュニティによるレビューが行われます。この段階で提案者とコミュニティが直接コミュニケーションを取り、提案の詳細な議論やブラッシュアップが行われます。
③ DRepsによる予算の優先順位付け(2025年4月〜5月)
レビュー期間後、コミュニティを代表するDRepsが各提案を評価し、コミュニティ全体の利益やロードマップとの整合性を考慮して予算の優先順位を決定します。ここでの決定は完全にコミュニティ代表(DReps)が行い、Intersectは意思決定権を持ちません。
③ オンチェーン投票と予算承認(2025年5月〜6月)
DRepsによって決定された予算配分は、オンチェーン投票によって正式に承認されます。最終決定は、カルダノコミュニティのステークホルダーが直接的に関わる投票を通じて行われ、民主的かつ透明性の高い方法で予算が決定されます。
③ 予算の執行とスマートコントラクトを活用した資金管理
予算の配分決定後、資金の執行はスマートコントラクトを利用したマルチシグ(複数署名)方式により安全に行われます。これにより、コミュニティによる監査が可能となり、資金の用途や流れが常に透明に可視化されます。
財務の安定化:「ネット・チェンジ・リミット(NCL)」導入の意義
また、今回新たに導入される重要な仕組みとして、「ネット・チェンジ・リミット(Net Change Limit: NCL)」があります。NCLとは、一定期間内にカルダノ財務から引き出せるADAの総量に上限を設ける仕組みです。
これは財務資金の急激な減少や乱用を防ぐことで、カルダノの財政的持続可能性を長期的に確保する目的があります。現在、カルダノコミュニティでは、「総準備金に対する一定割合を上限とする方式」と「固定数値での上限設定方式」の二つが検討されており、コミュニティ投票で最終的に決定されます。
完全分散化への歴史的挑戦:コミュニティへの呼びかけ
カルダノ2025年の予算策定プロセスは、ブロックチェーン業界においても前例のない規模で、完全にコミュニティが主導権を握る新たな試みです。このプロセスの成功は、まさにコミュニティ一人ひとりの参加と積極的なフィードバックによって支えられています。
コミュニティメンバーとして、この歴史的な取り組みに参加し、あなた自身の意見を積極的に提案として反映させてください。あなたの一票、一つの意見が、カルダノエコシステム全体の発展を決定づける力になります。共にカルダノの未来を作り上げていきましょう。
4. ロードマップ2.0の柱:カルダノ2025年の具体的戦略
カルダノが2025年に向けて描くロードマップ2.0では、主に「レイヤー1(L1)の性能向上」、「レイヤー2(L2)ソリューションの拡充」、「スマートコントラクトおよびプログラム可能な資産の高度化」の3つの戦略的な柱が掲げられています。それぞれの内容を順に見ていきましょう。
参考記事:詳しくはこちらの記事もご覧ください。
レイヤー1(L1)エンジンの革新とスケーリング:Leiosプロトコルの導入
カルダノがブロックチェーン業界で競争力を維持するためには、トランザクション処理性能の飛躍的な向上が求められます。そこで注目されているのが、革新的なスケーリングプロトコルである「Leios(レイオス)」の導入です。
従来の直列的なブロック生成とは異なり、Leiosでは複数の「入力ブロック」を同時並行的に生成し、それらを「承認ブロック」で集約した上で、最終的に「ランク付けブロック」でトランザクションの順序を確定します。この並列処理の仕組みにより、カルダノのL1エンジンは劇的にスループットを拡大でき、現行システムよりも圧倒的に高い処理能力を実現することになります。
さらに、コードベースの最適化や技術的負債の解消、Log-Structured Mergeツリー(LSM)の統合によるメモリ効率改善、CPUベースの攻撃防止技術(Anti-grinding)の導入なども行われ、L1エンジン全体のパフォーマンスと安全性が格段に強化される計画です。
レイヤー2(L2)ソリューションの拡張:Hydra、Midgard、AVSパートナーチェーンの導入
カルダノはL1の性能向上だけでなく、レイヤー2(L2)ソリューションも拡張していきます。その中核をなすのが、「Hydra(ハイドラ)」および「Midgard(ミッドガルド)」です。
Hydraは、すでにカルダノのスケーリングソリューションとして知られており、トランザクション速度やネットワークの混雑解消に大きな成果を挙げています。今後はさらにその応用範囲を広げ、ガバナンス関連の議論や投票プロセスを支えるインフラとしても活用される予定です。
また、新たに導入されるMidgardはカルダノ初のオプティミスティックロールアップフレームワークで、EUTxOモデルの特性を活かした高スループット、低コスト、検閲耐性を備えます。中央集権的な仕組みに依存せず、分散型の透明性を確保したまま高い性能を提供します。
さらに、AVS(Actively Validated Services)レイヤーを活用したパートナーチェーンの構築も計画されています。AVSは柔軟かつ独立したブロックチェーンを迅速に構築・運営できる仕組みであり、企業や特定用途向けの専用チェーンをカルダノのセキュリティをベースに自由に開発できるようになります。
スマートコントラクトとプログラム可能な資産の高度化
分散型金融(DeFi)をはじめとした多様なユースケースに対応するため、スマートコントラクトの性能向上やプログラム可能な資産の拡充も進められます。
特に注目されるのが「Soul-boundトークン(譲渡不可トークン)」の導入です。これはウォレット間での譲渡が不可能なトークンであり、分散型アイデンティティ管理や資格認証など、個人情報や権利を安全かつ透明に管理するために利用されます。
また、安定性と信頼性が重要となる金融分野では、カストディアン(信託管理者)管理型のステーブルコイン(例:USDCやUSDT)の発行をポリシーベースで可能にする仕組みを導入します。これにより、より多くの金融機関や事業者が安心してカルダノを採用できるようになるでしょう。
さらに、NFTやコンテンツクリエイターを支援するためのロイヤルティメカニズムも構築されます。これにより、クリエイターが生み出した価値が公平に評価され、適切な報酬が提供される環境が整います。
カルダノのロードマップ2.0は、このように多面的な革新を進めることで、真に分散化されたグローバル経済圏の基盤構築を目指しています。2025年に向けて、カルダノが実現しようとしている技術革新は、単にブロックチェーンの性能向上に留まらず、社会や経済システム全体を支える新たなインフラとしての可能性を秘めているのです。
5. カルダノが目指す技術的革新と未来展望(IO Researchの視点から)
カルダノの未来を支える技術革新には、IO Research(IOR)が主導する戦略的研究が深く関わっています。2025年以降、カルダノが「世界のオペレーティングシステム」として社会のインフラを担うことを目指し、IO Researchは革新的かつ持続可能な技術の開発を積極的に推進しています。その中でも特に重要なテーマを見ていきましょう。
参考記事:
Ouroboros Omega:PoSプロトコルの究極の形態へ
カルダノのProof of Stake(PoS)コンセンサスプロトコルであるOuroborosは、これまでにもエネルギー効率やセキュリティの高さで評価されてきました。しかし、次世代プロトコルである「Ouroboros Omega」ではさらに進化し、トランザクション処理能力やスケーリング能力を飛躍的に向上させることを目指しています。
Ouroboros Omegaでは、シャーディング技術を取り入れてノードの負荷を分散し、効率的な水平スケーリングを実現します。また、有益な作業証明(Proof-of-Useful-Work: PoUW)を導入し、単なる合意形成のための計算作業を実際に有意義な計算へと転換する革新的なアプローチも研究されています。これにより、より持続可能で実用的なPoS運用が可能になるのです。
Tokenomicon(トークノミクス):持続可能なトークン経済の実現
カルダノのエコシステムが拡大する中、トークン経済(Tokenomics)の重要性もますます高まっています。IORの研究戦略の一つである「Tokenomicon(トークノミコン)」では、ADAを中心としたトークン経済の持続的な安定性と公平な成長を促すための経済モデル設計を進めています。
具体的には、ステーキング報酬やトランザクション手数料の最適化に加え、安定コイン(例:Djed、USDCなど)の設計を改善・拡充することで、カルダノの金融基盤としての魅力をさらに高めることを目指しています。これにより、エコシステムの安定性や持続可能性を長期的に維持しつつ、新規ユーザーや企業の参入も促進されるでしょう。
グローバルアイデンティティ(SSI)とゼロ知識証明(ZKP)の統合によるプライバシー保護
デジタル社会が成熟するにつれ、個人情報やプライバシー保護の重要性はかつてないほどに高まっています。カルダノはこれに対応するため、「自己主権型アイデンティティ(SSI)」を導入し、個人が自身のアイデンティティを安全かつ自律的に管理できる環境を構築します。
また、SSIと高度なゼロ知識証明(Zero-Knowledge Proof: ZKP)を統合することで、個人情報を明かすことなく、その情報の真実性を検証できる仕組みを提供します。この融合により、個人のプライバシーを保護しつつ、スマートコントラクトやガバナンス投票など、さまざまな場面での安全で効率的な本人確認や取引を可能にするのです。
ポスト量子時代への準備:量子コンピューターへの対応強化
量子コンピューターの技術革新は、従来の暗号技術に対して将来的に大きな脅威をもたらします。IORはこのリスクに対し、「ポスト量子ランドスケープ」の研究を進めています。これには、量子コンピューターでも解読できない量子耐性のある暗号技術(ポスト量子暗号)の導入が含まれます。
カルダノは、検証可能ランダム関数(VRF)やしきい値署名などの重要な暗号要素を、量子耐性アルゴリズムに置き換えるための研究と準備を進めています。これは、将来的な脅威に対応し、長期的な安全性を担保するために必要不可欠な取り組みです。
カルダノがこれらの戦略的研究を進めることで、単なるブロックチェーンを超えた新時代の分散型プラットフォームとしての存在感を一層強化していきます。高度な技術革新とコミュニティ主導の精神を融合させることで、カルダノ2.0は分散型社会の未来をリードする存在として、着実な歩みを続けていくことでしょう。
6. 開発者・ユーザーエクスペリエンスの向上戦略
カルダノが2025年に向けて目指す重要なテーマの一つが、「開発者およびユーザーエクスペリエンスの向上」です。ブロックチェーンが実社会で広く受け入れられるためには、技術の進化と同時に、開発者やユーザーが直感的に使える環境の整備が不可欠となります。ここでは、そのためにカルダノが進める具体的な取り組みを見ていきましょう。
API強化と開発者体験の向上:誰もが開発しやすい環境を実現
カルダノエコシステムの拡大を支える基礎となるのが、開発者が効率的に開発できる環境です。そこで2025年に向けて、API機能の強化が計画されています。特に、多言語対応のライブラリやRPC(Remote Procedure Call)機能が拡張されることで、様々な開発環境やアプリケーションとの連携が簡単になります。
さらに、ローカルノードの利用推進が図られ、開発者が容易にノードを運営・管理できるツールセットも提供されます。また、標準化されたトレーシング、ロギング、モニタリングの仕組みを提供することで、問題発生時の対応やメンテナンスも効率化されます。
これらの取り組みにより、初心者から上級者まで幅広い開発者がカルダノの可能性を容易に活用できる環境が整えられるでしょう。
複数ノード実装によるレジリエンスとセキュリティの強化
カルダノが次世代の「グローバルOS」として社会基盤を目指す上で、ネットワークの安定性と安全性は不可欠です。そのためには、一つのノード実装に依存することなく、複数の独立したノード実装を推進する必要があります。
IO ResearchとIntersectプロダクト委員会は、複数ノード実装を推進し、それぞれがフォーマルな仕様書に基づいて開発されるよう支援します。これにより、各実装が互いに相互検証を行い、セキュリティ上の欠陥を事前に検出しやすくなります。また、複数の実装が存在すること自体が、システム全体の検閲耐性やレジリエンスを向上させ、分散型エコシステムの健全性を高める効果も期待されています。
開発者支援プログラムとコミュニティ活動の促進
カルダノの持続的な発展には、技術的イノベーションだけではなく、活発で参加意欲の高いコミュニティが欠かせません。そのため、カルダノは2025年に向けて、開発者支援やコミュニティ活動にも積極的に力を入れています。
具体的には、定期的にハッカソンを開催し、新しいプロジェクトやアイデアの創出を奨励します。また、インキュベーターやアクセラレータープログラムを通じて、有望なプロジェクトやスタートアップ企業の立ち上げを実践的に支援します。これに加えて、開発者向けの助成金制度やエコシステムファンドも拡充され、有望なプロジェクトが資金調達や技術支援をスムーズに受けられる環境が整備されます。
これらの取り組みは、カルダノエコシステムに新たな人材やイノベーションを惹きつけるための基盤となり、カルダノのコミュニティがより多様で強固になることで、長期的なエコシステムの持続可能性や競争力を高めることが期待されています。
このように、カルダノは技術的イノベーションとともに、ユーザーおよび開発者が安心してエコシステムに参加できる環境の構築を目指しています。2025年に向けてのロードマップに示されたこれらの施策は、カルダノが分散型社会の実現に向けてさらに前進するための重要な基盤となるでしょう。
7. コミュニティの役割と予算策定プロセス
カルダノ2.0時代において、コミュニティの役割はこれまで以上に重要性を増しています。特に、2025年度の予算策定プロセスでは、コミュニティが直接的に参加し、意思決定をリードする仕組みへと完全に移行しています。ここでは、この新たな予算策定の仕組みとコミュニティが担う役割について詳しくご紹介します。
コミュニティ提案受付とDRepsによる予算決定
カルダノの新たな予算策定プロセスの特徴は、完全にコミュニティ主導型で進められる点にあります。コミュニティの誰もが自由にプロジェクト提案を行い、その提案は委員会を介さず、直接コミュニティに提出されます。これにより、開発者やベンダーがスピーディーかつ透明にカルダノエコシステムの改善に向けたアイデアを共有できるようになります。
提出された提案はコミュニティが選出した代表委任者(DReps:Delegated Representatives)によって審査・評価されます。DRepsはコミュニティの意見を集約し、プロジェクトの優先順位付けや予算配分の最終決定を行います。これまで委員会やIntersectが担ってきた決定権をDRepsが引き継ぎ、実質的にコミュニティが直接意思決定を下す仕組みが実現します。
また、このプロセスの透明性を高めるため、資金の移動や利用状況はすべてスマートコントラクトを通じて管理され、コミュニティによる監査や追跡が可能となります。
新たなガバナンスモデル(Democracy 4.0)の導入
カルダノが掲げる新たなガバナンスモデルは、「Democracy 4.0」と呼ばれています。これは従来の意思決定方法を超え、より高度で民主的な意思決定が可能となる仕組みです。
具体的には、レイヤー2上で投票システムを構築し、高度なプライバシー保護機能と検閲耐性を備えた仕組みを導入します。これにより、コミュニティメンバーは安心して意見を表明でき、各メンバーが公平かつ安全に意思決定に参加できるようになります。
さらに、ガバナンス参加を促進するインセンティブ設計も重要視されています。これはDRepsをはじめとしたコミュニティメンバーが積極的かつ誠実に投票へ参加し、最適な提案を選択することを促進するための制度設計です。このような仕組みが整うことで、カルダノは分散型ガバナンスモデルの最先端を走り続けることができるでしょう。
コミュニティフィードバックの重要性と持続可能性
コミュニティ主導型予算策定プロセスの成功には、継続的で活発なフィードバックが欠かせません。IntersectとIO Researchは、ロードマップや研究戦略に対するコミュニティの意見を常に受け入れ、必要に応じて計画を柔軟に調整していきます。
コミュニティフィードバックは、カルダノが長期的に持続可能で、実際のニーズに即したエコシステムを形成するために必要不可欠な要素です。カルダノは、この対話を通じてロードマップの進化を促し、コミュニティが自らカルダノの未来をデザインできる環境を作り出します。
今後の展開とコミュニティへの期待
コミュニティ主導型の予算策定が本格化する2025年は、カルダノにとっても、ブロックチェーン業界にとっても重要な転換点となるでしょう。DRepsを中心としたコミュニティの積極的な参加と提案が、エコシステム全体の持続的発展に繋がります。
カルダノ2.0では、すべての参加者がコミュニティの一員として重要な役割を果たすことになります。技術開発や予算決定に対する積極的な関与を通じて、より公正で透明性の高い分散型エコシステムが構築されるでしょう。
ぜひ皆さんも、この革新的なコミュニティ主導型の取り組みに参加し、カルダノが目指す未来を共に形作っていきましょう。
8. カルダノの2030年に向けた長期的なビジョン

カルダノは2025年のロードマップ2.0策定を経て、さらにその先の2030年を見据えた壮大なビジョンを描いています。その究極的な目標は、カルダノが単なるブロックチェーンプラットフォームを超え、「世界のオペレーティングシステム」として機能することです。このビジョンの実現には、技術的な革新に加えて、コミュニティ主導の持続可能な成長が必要不可欠となります。
参考記事:詳しくはこちらの記事もご覧ください。
「世界のオペレーティングシステム」としてのカルダノの未来像
IO Research(IOR)とIntersectプロダクト委員会が提唱する長期的ビジョンの核心は、カルダノを単なるブロックチェーンプラットフォームから、グローバル規模の分散型コンピューティングおよびストレージインフラへと発展させることです。これは言わば、次世代の「世界のオペレーティングシステム」としてのカルダノの姿を示しています。
このビジョンを実現するため、カルダノは以下の要素を軸に取り組みを推進していきます。
• グローバルアイデンティティ(SSI:自己主権型アイデンティティ)の普及
• クロスチェーンの相互運用性強化と安全なブリッジ技術の導入
• ゼロ知識証明(ZKP)の広範な利用によるプライバシー保護の高度化
• ポスト量子時代への準備としての量子耐性暗号技術の導入
これらの技術が社会的に広く受け入れられ、日常生活や経済活動のインフラとして根付くことで、ブロックチェーンが現代社会を支える「OS」となる未来が現実味を帯びてきます。
「デジタル国家(Digital Nation State)」構想への道筋
IORはさらに一歩踏み込んで、カルダノが「デジタル国家」の基盤となる可能性についても提唱しています。この構想では、カルダノの分散型インフラが、行政サービス、投票システム、社会的権利の管理といった国家機能を担う役割を果たすことが期待されます。
スマートコントラクトを活用した透明性の高い行政管理や、安全かつ検閲不可能な民主的な意思決定プロセスを構築することで、コミュニティ自身が主体的に社会システムを設計・運営できる未来が描かれています。この「デジタル国家」の基盤には、カルダノが持つ分散性、透明性、安全性という強みが最大限に活かされるでしょう。
5年間の戦略的研究アジェンダとロードマップ
IORは、この長期的なビジョンを達成するために、5年を見据えた「戦略的研究アジェンダ」を策定しています。この研究計画は2つの2.5年間のフェーズ(Vision & Impactフェーズ)に分けられ、各フェーズの進捗や成果はコミュニティに中間報告および最終報告という形で公開されます。
2025年から2030年にかけての具体的な戦略テーマとしては、
• Ouroboros Omegaを中心とした次世代コンセンサス技術の開発
• グローバルアイデンティティ(SSI)による分散型ID管理の標準化
• トークノミクス(Tokenomicon)による持続可能な経済モデルの確立
• インターチェーンの技術革新による異種ブロックチェーンとの高度な相互運用性の実現
• ゼロ知識証明(ZKP)のインフラ整備とプライバシー保護の標準化
• Hydraをはじめとするレイヤー2技術をさらに高度化し、エンタープライズ分野への適用促進
こうした戦略的テーマのもと、各年度のワークプログラムでは具体的なマイルストーン、成果物、そしてコスト管理が徹底され、透明性と説明責任を確保しながら研究が進められていきます。
コミュニティとの共創による新たな未来の実現
カルダノが描く長期的ビジョンを達成する上で最も重要なのは、技術革新と並行して、コミュニティが中心となって成長する仕組みを構築することです。IORやIntersectは、コミュニティの声を継続的に取り込み、研究内容や開発ロードマップを柔軟に進化させていく姿勢を示しています。
特に中小企業(SME)やDApp開発者への支援体制を強化し、コミュニティが技術革新のメリットを最大限に享受できる環境を整えることで、カルダノは分散型エコシステム全体の持続的発展を支えることを目標としています。
2030年に向けて、カルダノは単なるブロックチェーンを超えた社会インフラへと成長することを目指しています。この壮大なビジョンは、コミュニティ一人ひとりの積極的な参加やフィードバックによって初めて実現します。ぜひあなたも、この新たなカルダノの挑戦に参加し、共に未来を築いていきませんか?
9. まとめ:2025年はカルダノの歴史的転換点

2025年は、カルダノにとって大きな歴史的転換点となることが予想されます。この年に策定・実行される「ロードマップ2.0」と、コミュニティ主導で進められる「2025年度予算策定プロセス」は、カルダノエコシステムの方向性を決定づける重要な意味を持っています。
2025年ロードマップと予算策定がカルダノにもたらすインパクト
2025年のロードマップ2.0は、カルダノが真の分散型社会の基盤となるための重要な一歩となります。レイヤー1のスケーラビリティ革命「Leios」の導入や、レイヤー2ソリューション(HydraやMidgardなど)の拡張により、カルダノの技術性能とユーザー体験が飛躍的に向上します。また、スマートコントラクトやプログラム可能な資産の進化は、DeFiや社会的ユースケースをはじめとする多様な分野での応用を加速させます。
これらの技術革新を支える予算がコミュニティによって決定されることで、カルダノは真にユーザー目線で成長する仕組みを確立するのです。
完全分散化エコシステムとコミュニティの役割の重要性
カルダノが目指すのは、完全にコミュニティが主役となる「完全分散化されたエコシステム」です。このエコシステムでは、意思決定や資金管理が中央集権的な機関ではなく、コミュニティ自身に委ねられます。
この取り組みの中心的な役割を担うのが代表委任者(DReps)です。DRepsはコミュニティの声を直接反映し、予算策定やプロジェクトの方向性を最終決定する責任を負います。このようにコミュニティがエコシステムの運営に積極的に参画し、主体的な意思決定を行うことで、カルダノは真の分散型エコシステムとして業界をリードする存在になるでしょう。
コミュニティ参画の重要性と将来性への期待
カルダノの未来は、コミュニティの積極的な参画によって形作られます。技術開発や財務運営、エコシステムの方向性を決定するのは、コミュニティの一人ひとりです。カルダノ2.0では、すべてのメンバーが重要な意思決定に直接関与できる環境が整います。
読者の皆さんも、この歴史的なタイミングにぜひカルダノのコミュニティ活動に参加し、意見を出し、投票し、カルダノの未来を共に描いていきませんか?皆さんの一票や一つの提案が、カルダノが世界の分散型経済の中心地へと成長する原動力になります。
2025年という重要な節目を前に、私たちカルダノコミュニティは新たな挑戦と可能性に満ちた道を歩んでいます。ぜひこの貴重な機会を活かし、一緒に未来を切り拓いていきましょう。
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
シリーズ連載:進化するカルダノ・ベーシック
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ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
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SIPOはDRepへの登録と活動もしております。もしSIPOの活動に興味がある方、DRepへの委任方法について知りたい方は以下の記事をご覧ください。また委任もぜひお願いいたします。
SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法
SIPOのDRep投票履歴:https://sipo.tokyo/?cat=307
ダイダロスの方は最新バージョン7.0.2で委任が可能になりました。
SIPOのDRep活動にご興味がある方は委任をご検討いただければ幸いです。
DRep ID:
drep1yffld2866p00cyg3ejjdewtvazgah7jjgk0s9m7m5ytmmdq33v3zh
ダイダロス用👇
drep120m237kstm7pzywv5nwtjm8gj8dl55j9nupwlkapz77mgv7zu7l
二つのIDはダイダロス以外のウォレットではどちらも有効です。ADAホルダーがSIPOにガバナンス権を委任する際に使用できます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。