カルダノの予算プロセスが大幅に再調整:完全なコミュニティ主導へ
カルダノの予算プロセスが進化を遂げ、より透明性が高く、コミュニティ主導のものへと大幅に変更されました。これは、最初の試行から得られたフィードバックをもとに、意思決定プロセスの簡素化と参加のしやすさを向上させるための重要な改革です。
予算プロセスの主な変更点
- DReps(Delegated Representatives)が予算の優先順位を確定
- ベンダーが委員会経由ではなく、直接提案を提出可能に
- Intersectは監督とガイダンスを提供するが、決定権は完全にDRepsと憲法委員会に委ねられる
- スマートコントラクトを活用し、財務の透明性を強化
- 「ネット・チェンジ・リミット(NCL)」の導入により、一定期間内のADA出金上限を設定
特に、Intersectは従来のように意思決定を主導するのではなく、コミュニティが独立して決定できるようサポートする立場に移行しました。
スマートコントラクトによる透明性の向上
新たな予算プロセスでは、Intersect、監査人、その他の関係者が署名者となるマルチシグスマートコントラクトを導入し、資金配分の透明性と安定性を向上させます。この仕組みは、
- 資金の流れをコミュニティが監査可能
- 正当な理由(契約違反など)があれば支払いを一時停止できる
- スマートコントラクトによるガバナンスを活用し、透明性を確保
スマートコントラクトはSundaeLabsとXerberusが開発を進めており、より信頼性の高い財務管理の仕組みが提供される予定です。
ネット・チェンジ・リミット(NCL)の導入
カルダノの財務の持続可能性を確保するために、「ネット・チェンジ・リミット(NCL)」が導入されます。これは、一定期間内に財務から引き出せるADAの量を制限する仕組みで、
- 総準備金の一定割合を上限とする方式
- 固定数値の上限を設定する方式
の2つの案が現在議論されています。この決定は、カルダノ財務の長期的な成長を見据えたものとなるため、コミュニティの意見が重要となります。
DRepsとコミュニティの役割の拡大
今回の改革では、DRepsとカルダノコミュニティの役割がより重要になりました。
- DRepsがすべての提案を精査し、予算配分を決定
- 提案の審査プロセスが明確化され、コミュニティの意見を反映しやすくなる
- Intersectはプロセスの管理・監督を行うが、最終決定権はDRepsと憲法委員会にある
4月~5月には、DRepsによる提案の評価と資金配分の決定が行われ、その後オンチェーンでの最終承認が行われる予定です。
今後のスケジュール
- 3月初旬: 提案受付開始
- 4月: 提案の公開・レビュー開始
- 4~5月: DRepsが優先提案を決定し、最終予算を策定
- 5~6月: 最終調整とオンチェーン承認
カルダノの未来を共に築こう
この新しい予算プロセスは、コミュニティが主導する形で意思決定が行われる重要なステップです。Intersectは引き続きサポートを提供しながら、最終決定はDRepsとカルダノコミュニティが担う形へと移行します。
現在、Intersectではこの変更についてのフィードバックを募集中です。さらに、3月14日にはプロダクト委員会によるロードマップワークショップが開催される予定です。今後もコミュニティの声を反映しながら、より良いガバナンスモデルを構築していきます。
💡 今後のアップデートに注目し、カルダノの未来を共に築きましょう! 🚀
以下はIntersect記事「Recalibrating Cardano’s Budget Process: We’ve heard you」を翻訳したものです。
Intersect:カルダノの予算プロセスの再調整:皆さんの声を受けて:前翻訳

2025年3月8日
カルダノの予算プロセスは新しいものであり、進化し続けています。そのため、初年度が完璧でないことは私たちも認識しています。これまでのプロセスには多くの課題があり、ときに必要以上に複雑になってしまったこともありました。
こうした状況を踏まえ、コミュニティからのフィードバックをもとに必要な調整を行い、今後も継続して改善を進めます。具体的な調整点は以下のとおりです。
• プロダクトロードマップを通じて、カルダノのプロダクト資金調達の優先順位について合意を形成
• Intersectの委員会が、プロダクトロードマップに加えて資金調達の優先順位に関する見解をDRepsとカルダノコミュニティに提供
• 財務資金を求めるすべてのプロジェクト・プログラムに対し、提案を公募
• DRepsを通じて、カルダノコミュニティが予算に含める提案を最終決定
これらの変更は、コミュニティが意思決定を主導し、重要な資金が適切な取り組みにタイムリーに配分されることを確実にするために行われます。
DRepsおよび憲法委員会を通じて、コミュニティが最終的な決定権を持つ
財務資金の配分方法とタイミングについて最終的に決定するのは、DRepsおよび憲法委員会を通じたカルダノコミュニティです。
Intersectの役割は、プロセスが適切に構造化され、公平で、コミュニティの優先事項に沿ったものとなるよう支援・助言・管理監督を行うことです。
この調整されたアプローチにより、不要な複雑さや参加の障壁を取り除きながら、説明責任と戦略的焦点を維持し、より多くの人々が参加しやすくなります。
また、このプロセスの形成に積極的に貢献してくれた100人以上のメンバーに深く感謝します。
私たちは引き続き学び、適応し、この仕組みを正しく機能させることを約束します。
今後もフィードバックを受け入れ、改善を続け、コミュニティがカルダノの予算およびガバナンスプロセスの中心であり続けるよう努めます。
コミュニティからのフィードバックと適応の必要性
予算案を公表し、コミュニティと議論を進める中で、Cardano Development Holdings(CDH)や調達プロセスに関する透明性を求める声が多く寄せられました。
また、多くの人々がコアインフラ・オープンソースイニシアティブ・研究提案への注力を歓迎しましたが、改善点についての建設的な批判もありました。
これらのフィードバックは、私たちのアプローチを形作る上で非常に重要であり、プロセスの主要な改善につながりました。
特に、以下の点が重要であると認識しています。
• DRepの権限とオンチェーン・ガバナンスの原則をより強化
• コミュニティが予算承認により直接的に関与できる仕組みを確立
• プロセスを簡素化し、より多くの人が参加しやすい形に
• コミュニティメンバーがこれまで作成してきた予算案の草案を引き継ぎ、さらに発展させる
• カルダノの技術(スマートコントラクトや分散型監督)を活用し、透明性の高いガバナンスの先例を確立
ガバナンスは進化し続けるものであるため、今後もコミュニティからのフィードバックを受けて柔軟に対応していきます。
改訂されたアプローチ:カルダノ憲法により忠実な運用へ
プロバイダー選定方法の変更
エコシステムの開発者やコミュニティメンバーは、委員会が提出するブロック予算とは別に、直接提案を提出できるようになりました。
これにより、ベンダーや開発者がロードマップの特定の部分やエコシステムのニーズを特定し、DRepによる審査のもと、予算案に組み込むための提案を行うことが可能になります。
「カルダノコミュニティは、本憲法に規定される分散型オンチェーン・ガバナンスプロセスの実施・管理・維持に関連する費用を含め、カルダノブロックチェーンエコシステムの運用・保守・将来の発展のために、定期的に1つまたは複数の予算案を提案することが求められる」
— カルダノ憲法 第4条 第1節
資金管理
新しいプロセスでは、Intersectが管理者としてリストされた承認済みの資金の配分方法にも変更が加えられます。
Intersectは、資金配分の適正性とベンダーの安定性を確保するために、複数の監督署名者を持つ新しいスマートコントラクトの作成を支援します。
これにより、資金の流れの透明性が大幅に向上し、コミュニティ自身が監査を行える仕組みが導入されます。
スマートコントラクトの開発はSundaeLabsとXerberusが担当し、以下の特徴を持ちます:
• Intersect、監査人、その他の確立された組織によるマルチシグ契約
• 契約違反などの「正当な理由」がある場合、ベンダーへの支払いを一時停止可能
• 資金の流れを透明化し、不正利用を防止
「カルダノブロックチェーンエコシステムの予算策定および管理には、意思決定を促進し、透明性を確保するために、可能な限りスマートコントラクトおよびその他のブロックチェーンベースのツールを活用するものとする」
— カルダノ憲法 第4条 第2節
監督および管理者としての役割
Intersectは、管理者および監督機関として、メンバーおよび委員会を通じて以下のサポートを提供します。
• 承認されたベンダーや契約に関する指導・推奨を助言の形で提供
• ロードマップの継続的な開発を支援(および関連イニシアティブの支援)
• マイルストーン、財務状況の更新、必要に応じた仲裁などをコミュニティおよびスマートコントラクトの署名者に定期的に報告
「カルダノブロックチェーンの予算には、財務からの出金を監督するプロセスを明示するものとし、少なくとも1人以上の管理者を指定し、その監督責任を負わせるものとする」
— カルダノ憲法 第4条 第2節
ネット・チェンジ・リミット(NCL)
予算議論における重要な要素の1つがネット・チェンジ・リミット(NCL)です。
これは、一定期間内に財務から引き出せるADAの上限を決定する憲法上の仕組みであり、現在コミュニティ内で以下の2つのアプローチが検討されています。
1. 総準備金の一定割合を上限とする方式
2. 固定数値の上限を設定する方式
この決定は、財務資源の配分方法を左右するため、オープンな議論とコミュニティの合意形成が不可欠です。
Intersectの予算委員会は、すべての意見が考慮されるよう、このプロセスを引き続き推進していきます。
NCLの提案は3月末までにオンチェーン提出される予定です。
カルダノ財務は、カルダノの継続的な成長と発展を支援するために設計されています。
そのため、どのような支出計画であっても、財務の成長予測を考慮し、成長を促進する開発投資と長期的な財務持続性のバランスを取る必要があります。
カルダノの技術・プロダクトロードマップの共通認識の確立
予算プロセスにおいて重要なステップは、開発の優先事項について合意を形成し、オンチェーンで予算を提案する前に方向性を一致させることです。
これをより公式に測るため、カルダノコミュニティは2025年以降のロードマップに関する投票を行います。
このロードマップは、Intersectのプロダクト委員会が技術関係者の意見を取り入れて策定したものです。
このロードマップでは、カルダノの将来にとって重要な開発優先事項・技術的進展・戦略的目標を明確に定義しています。
DRepsはこの投票を通じてエコシステムの方向性を形作り、現在および将来の予算議論に直接影響を与えることになります。
📄 ロードマップは英語・日本語・スペイン語で公開されており、以下の方法で提案を提出可能です:
• GitHubまたはGitBook経由(編集者としての登録が必要)
• DRepsはCardano GovToolで投票可能
また、初期の予算プロセスの一環として、委員会が「ブロック予算」を作成しました。
これらは追加の資金調達優先事項を示し、コミュニティの参考となるガイドラインとなります。
あなたにとっての意味:関係者ごとの役割
ADA保有者・DRepの場合
• カルダノコミュニティ(DReps経由)が、資金を受けるプロジェクトとベンダーを決定
• 4月:提出された提案と委員会が提案したブロック予算をコミュニティがレビューし、優先順位を決定
• 4~5月:DRepsが資金配分の優先度を決定
• DRepsが最終候補の提案を絞り込み、オンチェーンで「予算情報アクション」として提出
• Intersect委員会の技術的妥当性評価・重複・不足の指摘は参考にできるが、最終決定はDRepsに委ねられる
さらに、どの提案を「予算情報アクション」に含めるかを明確に示すためのツールが今後提供予定です。
Intersectの委員会またはワーキンググループのメンバーの場合
• ベンダー提案についてフィードバックやコメントを提供し、予算の方向性に沿っているか確認
• DRepsが十分な情報を持って意思決定できるよう支援
• 特定のプロジェクトやプログラム提案を委員会としても提案可能
• 透明性と説明責任を維持するために積極的に関与
ベンダーまたはエコシステム開発者の場合
• 従来の委員会主導のブロック予算に依存せず、直接提案を提出可能
• 3月初旬:提案受付開始、コミュニティおよびDRepsが提案を審査
• Intersectを管理者として利用する場合、資金はマルチシグスマートコントラクト経由で配分され、透明性と安定性が確保
今後のステップとスケジュール
📌 3月初旬:
• コミュニティメンバー・ベンダー・エコシステム開発者向けの提案受付が開始
📌 4月:
• 提出された提案を整理し、公開し、コミュニティとDRepsがレビュー
📌 3~4月:
• ベンダー提案の審査と並行して、NCL(ネット・チェンジ・リミット)がオンチェーンで提出される予定
📌 4~5月:
• DRepsが優先ベンダーを決定、最終的な「予算情報アクション」をオンチェーンに提出
• 必要に応じてオンライン/オフラインの予算ワークショップを実施
📌 5~6月:
• 最終調整を行い、必要に応じて追加のガバナンスアクションを実施
予算プロセスの再調整と適切な前例の確立
このアプローチは、緊急性と透明性のバランスを取りながら、重要な資金を適切に配分することを目的としています。
Intersectとそのメンバーは、エコシステム全体を支援し、プロセスがコミュニティのニーズに対応できるよう調整し続けます。
フィードバックを募集!
今回の変更は重要な方向転換を示しますが、コミュニティのフィードバックを継続的に受け入れ、適応していくことも同様に重要です。
📢 来週、アメリカおよびアジア時間帯向けのTwitter Spaces(X)を開催予定!
さらに、予算委員会のAMA(Ask Me Anything)も複数回開催し、今後のステップや変更点について議論を深めます。
🔜 3月14日(木)16:00 UTC:プロダクト委員会による「カルダノのビジョンとロードマップ」ワークショップも開催予定!
まとめ(TL;DR)
• 戦略立案:プロダクトロードマップ、ブロック予算、NCLの議論
• 提案受付中!コミュニティとベンダーは新しい提案フォームから応募可能
• 最終決定はDRepsが行い、Intersect委員会は妥当性評価を提供
• プロセスを簡素化し、DRepの権限強化・透明性・コミュニティの関与を強化
💡 共にカルダノの未来を築いていきましょう! 🚀