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Midnight が配備を開放、最低固定費案の賛成率32.79%に、k のポールは反対13倍:エポックな日々659

2026-10-07SIPO

エポック659(2026年10月2日〜10月7日)

序章:門を開ける前に、直してありました

日本時間10月7日6時44分、エポック659が終わりました。

この5日間の始まりは、順番の話でした。10月2日の3時台、エポック659が始まる3時間あまり前に、Midnight の台帳ライブラリにセキュリティ勧告が公開されました(GHSA-wr7g-rr4v-jmj8・評価値9.2の critical)。ゼロ知識証明が確かめる値と、コントラクトが実際に動かす値が食い違いうる、という指摘です。同じ日の16時37分、Midnight 財団は、メインネットで誰でもコントラクトを配備できる段階に入ったと告知しました。修正を入れたノードの公開版 1.0.400 が GitHub に出たのは、4日後の10月6日19時台です。リリースノートは、この修正がメインネットを含む3つのネットワークですでに動いていると書いています。

直してから門を開け、開けてから中身を広く配る。審査の門が外れる日には、直すべきところはもう直してあった、という順番です。

ガバナンスでも、前号とは違う側が動きました。前号では、2つの DRep の棄権が批准の分母を約7億ADA縮め、プールの最低固定費を下げる議案(minPoolCost)の賛成率が12.29%から17.50%へ上がりました。今回は、分母はほとんど動いていません(+約170万ADA)。そのかわり賛成の投票力が約5億8,107万ADA増え、賛成率は32.79%になりました。動いたのは、割る側ではなく、割られる側でした。

10月5日の23時16分には、プール数の目安 k を500から1000へ上げるかを SPO に問うポールに、5つのプールの反対が同じ1分のうちに記録されています。そのうち4つは、プール名に Cardano Foundation を掲げるプールでした。

同じ5日間、別々の場所で「開ける前に、何を確かめておくか」が続けて表に出ました。

  • Dijkstra のハードフォークで加わる新しいパラメータを、先に憲法へ書き込んでおく改正案 CAP-12 が出ました。書き込まないまま迎えると、新しいパラメータは立ち上げ時の値から動かせなくなります。
  • Leios の試作版は、他のノードが申告してきた件数を、メモリを確保する前に確かめるよう改めました。
  • 新しいドル USDrf を受け入れる側では、Lace がモバイル版での利用を一時止め、Indigo の提案は準備の開示欄を空けたまま投票にかかりました。

開ける順番と、開ける前に確かめておくもの。軸は「開ける前に、確かめておく順番がありました」です。

市場は、ADA が5日間で大きく上げました。12指標の日次の記録で$0.245635から$0.2699へ+9.88%、境界の確定値では+9.84%です。第7章で並べます。

第1章:エポック659の5日間を俯瞰する

まず、この5日間に何が起きたのかを領域ごとに並べます。この章だけで期間の全体像がつかめることを目的にしています。

ガバナンス

日付出来事一次ソース
10月2日Intersect の CAP ポータルに、Dijkstra で加わるパラメータを憲法の付録に書き加える改正案 CAP-12 が提出され、意見募集へCAP ポータル
10月3日SIPO が DRep として CAP-12 にコメント(最低プールマージンと最大プレッジレバレッジ)。同じ日、SIPO.TOKYO に Cardano の国庫と投票中の議案をまとめた常設ページを開設SIPO.TOKYO
10月3日〜6日minPoolCost の議案に DRep の賛成が21票加わり、賛成率は17.50%から32.79%へ。大口の CryptoCrow(3日)と Everstake(5日)を含むAdaStat
10月4日Intersect が Update #131(10月2日付)を公開。CIP 編集者2人を有償で募集、Intersect の予算と Se7en Labs の資金を USDM で保有Intersect
10月5日k のポールに、5つのプールの反対が23時16分にそろって記録。SPO の明示的な反対は23プール・約8億9,256万ADAで、賛成の約13倍に(10月7日朝の取得)AdaStat
10月5日Cardano 公式が、TOKEN2049 の108平方メートルのブース(20プロジェクト)は DRep が賛成した提案による出展だと紹介Cardano

開発・スケーリング

日付出来事一次ソース
10月3日Blink Labs が、参照実装以外のノードで動くブロック生成プールとして ZW3RK・TSUNA・OTG を紹介。ブロックヘッダーに実装の番号を残していたのは ZW3RK と OTG の2プールBlink Labs
10月4日Cardano 公式の改善提案の週次まとめで新提案6件(CPS-0038、CIP-0201〜0205)。ノードの外に置く緊急連絡網の案などCardano
10月5日Leios の試作版 2026w40 を公開。監査の指摘3件(LEI-004・005・009)を解消。10月7日未明には w40a もGitHub
10月5日Go 製ノード Dingo の v0.78.0 が、AI エージェント向けの MCP の窓口を内蔵(読み取り専用・既定は無効)GitHub
10月6日Amaru チームが企画する「Cardano Node Diversity Celebration Day」がシンガポールとオンラインで開催Cardano

Midnight・パートナー

日付出来事一次ソース
10月2日16時37分、Midnight 財団がメインネットでの許可不要のコントラクト配備を告知。翌未明、「アプリが利用者に代わって配備できる」と表現を訂正Midnight Foundation
10月2日台帳ライブラリ ledger 8.1.3 と Proof Server 8.1.3 を公開GitHub
10月3日ホスキンソン氏が、国連本部の FinTech サミットでの講演(10月2日・米国時間)の動画を公開Charles Hoskinson
10月4日Midnight の DEX、Pulse のトークン発行「Pulse Pump」に 1AM が連携。発行は1,000 NIGHT(手数料250・初期の流動性750)1AM
10月5日Midnight の改善提案 MIP-0025〜0027 と課題文書 MPS-0044 に番号。MIP-0027 は試験でブロックの作成時間を42.4%短縮GitHub
10月6日ノードの公開版 1.0.400。台帳 8.1.3 への更新で勧告を修正し、3つのネットワークではすでに稼働済みと説明GitHub

DeFi・アプリ

日付出来事一次ソース
10月3日Lace がモバイル版での RealFi の利用を一時停止。デスクトップ版は継続Lace
10月3日Indigo が、USDrf を iUSD の PSM の担保に加える提案を DAO に提出。発行0.5%・償還1.0%Indigo
10月3日DefiLlama の日次の値で、Splash の預かり資産が ADA 換算で約1,158万から約984万へ(UTC の2日→3日)DefiLlama
10月6日FluidTokens が「TVL が5日で20%増」と投稿。年6%の報酬は12月31日までFluidTokens
10月6日DefiLlama の集計で、SundaeSwap の週間取引額(9月28日〜10月4日)が約2,727万ドル、前週の約3.4倍。V4 の2プールの分は約1.4%DefiLlama
10月6日Lace が、Staking Center で USDrf と sUSDrf を扱えると紹介Lace

組織・資金・イベント

日付出来事一次ソース
10月2日Cardano Academy が、AI のコーディングエージェントでアプリを作る無料講座を公開(16ユニット・63本の動画)Cardano Foundation
10月4日ホスキンソン氏が、ビットコイン担保の貸し借り Pogun について「90日以内に始まる」と投稿Charles Hoskinson
10月4日Midnight City が、10月10日の東京・八芳園での催しを告知Midnight City
10月5日Iagon が、ステーキングされている IAG が1億3,020万枚に達したと告知Iagon
10月6日Cardano 財団が9月の月次報告を公開。FC バルセロナ、Mastercard、UCLA、ペトロブラスなどを総括Cardano Foundation
10月6日TOKEN2049 の Origins ハッカソンが開始。Cardano のトラックは x402 を使う課題Cardano

市場

日付出来事一次ソース
10月3日12指標の記録で ADA が−2.33%の$0.239712。期間の記録での最安本記事 第7章(12指標の日次記録)
10月5日CoinDesk が「値幅の小さい相場で ADA が上昇を主導」と報道CoinDesk
10月6日12指標の記録で ADA が+6.79%の$0.2699。期間の記録での最高本記事 第7章(12指標の日次記録)

この5日間でいちばん重かったのは、Midnight の門が開いたことです。3月のメインネット稼働から続いてきた一件ずつの審査がなくなり、その手前では重大度 critical の修正がすでに本番に入っていました。開いたあとには、トークンの発行場や処理を軽くする提案が続いています。第2章で扱います。

ガバナンスは、票そのものが動いた5日間でした。minPoolCost は賛成率が倍近くになり、OpenZeppelin への国庫引き出しは反対がさらに厚くなり、k のポールでは SPO の反対が賛成の約13倍まで積み上がっています。Dijkstra に向けた憲法改正案 CAP-12 も出ました。第3章と第4章です。

DeFi では、新しいドル USDrf の入口が増える一方で、一つの入口は一度閉じました。報酬で資金を呼ぶ動きと、資金が離れる動きも並んでいます。開発の側では、受け取ったものを確かめてから使う変更が続きました。第5章と第6章で扱います。

第2章:審査の門が外れる日、修正はもう入っていました

告知の13時間前に、勧告が出ていました

10月2日16時37分、Midnight 財団は X に「Midnight の次の段階が来た」と書き、メインネットで許可不要のコントラクト配備が始まったと告知しました。5分後には Midnight Network の公式アカウントが続き、財団の CTO、Sebastien Guillemot 氏も17時48分に「コントラクトはメインネットで稼働中」と開発者に呼びかけています(SIPO.TOKYO の解説)。

3月の稼働から9月まで、Midnight のメインネットに載るコントラクトは一件ずつの審査を通ってきました。改善提案のリポジトリへ申請書を出し、レビュアーの承認を受けて初めて配備できる仕組みで、10月2日夜の時点で申請書は19件置かれていました。審査の基準文書は、プライバシー・価値・状態量の3つの観点で段階を判定する一方、冒頭で「これは監査ではない」と明記しています。

その門が外れる13時間あまり前、10月2日の3時台に、台帳ライブラリ midnight-ledger のセキュリティ勧告 GHSA-wr7g-rr4v-jmj8 が公開されました。9月21日付の監査報告で見つかった指摘で、影響を受けるのは台帳 8.1.2 以前、修正版は 8.1.3 です。評価値は CVSS 4.0 で9.2(critical)でした。

証明が見る値と、実行が使う値

勧告の中身はこうです。Midnight のコントラクト呼び出しでは、台帳はゼロ知識証明を、ある素数 p で割った余りの世界の値として検証します。一方、コントラクトの状態を動かす仮想マシンは、送られてきた元の値をそのまま使います。値 x と、x に p を足した値は、証明の側から見ると同じ値に縮みますが、仮想マシンの側では別のバイト列です。

勧告が挙げる例は、支払い済みの請求番号を集合に記録して二重払いを防ぐコントラクトです。攻撃者が x+p の形で同じ請求を出し直すと、証明は「同じ請求」として通り、仮想マシンは「まだ記録にない番号」として支払ってしまう。上限の範囲で別名をいくつも作れるため、1回分の権利で何度も払い出しを受けられる、という説明です(SIPO.TOKYO の解説)。

台帳 8.1.3 は、こうした正規形でない値をコントラクト呼び出しの中で受け付けないようにしました。10月6日19時台に公開されたノード 1.0.400 のリリースノートは、自らを「プレビュー、プレプロッド、メインネットにすでに展開済みのセキュリティ修正の公開版」と位置づけています。チェーン上のランタイムは変えないバイナリだけの更新で、ガバナンスの手続きは要りません。修正がメインネットに入った正確な日時は書かれていませんが、10月5日の時点で3つのネットワークすべてで動いていると明記されています。

勧告自身が「この情報から攻撃を組み立てるのは容易」と評価している種類の脆弱性です。手順を公開してから各ノードが更新するまでの時間差は、そのまま攻撃の窓になります。直してから中身を明かす順番は、こうした脆弱性の開示で一般的な進め方です。そして今回は、その順番の途中に、配備の門が開く日が挟まっていました。

運用者に求められているのは、ブロックを作る全員が同じ台帳の版にそろえることです。8.1.3 のノードは、8.1.2 のノードが受け付ける呼び出しの一部を拒否するため、版が混在すると判断が割れます。アプリの開発者は、公式のコンパイラと midnight-js を使っていれば呼び出しの作り方を変える必要はないとされています。ただし勧告は、すでにコントラクトの状態に保存された別名の値は直らないと注意しており、払い出しや発行を Field 型の集合で守っているコントラクトの管理者には、保存済みの記録の点検を求めています。

番号の並びから、1.0.400 は10月1日に Guillemot 氏が「近くメインネットへ展開する」と書いた 1.0.4 にあたると読めます。ただ、両者の対応は公式の文面では明示されていません。

門が外れて、確かめる役は手前へ移りました

告知の文面には、翌日の未明に訂正が入りました。最初の投稿は「コントラクトが利用者に代わって別のコントラクトを動的に配備できる」と書いていましたが、10月3日1時4分の訂正は「アプリケーションが利用者に代わってコントラクトを配備できる」です。利用者ごとに1つのコントラクトを立てる設計のアプリで、利用者が自分で踏んでいた配備の手順を、アプリが引き受けられるようになる、という意味になります。

審査がなくなることは、裏返せば、配備されたコントラクトを誰も事前に見ていない状態が標準になる、ということでもあります。以前の審査も監査ではありませんでしたが、資金を預かる設計かどうかは一件ずつ見られていました。これからは、どのコントラクトに資金を預けるかの判断が、利用者とウォレットの側に移ります。

その変化は、門が開いた2日後に形になって現れました。10月4日、Midnight 向けのウォレット 1AM が、DEX の Pulse のトークン発行の仕組み「Pulse Pump」との連携を発表しています。Pulse のサイトでは、1,000 NIGHT を払うと固定供給量のトークンを作り、同時に取引のプールを開けます。内訳は手数料250 NIGHT と初期の流動性750 NIGHT で、発行者の取り分のトークンはなく、初期の流動性も引き出せない設計です(SIPO.TOKYO の解説)。作り手が流動性を抜いて去る手口を、費用の条件の中で封じる形ですが、発行の手軽さはトークンの裏付けを意味しません。ここで使う NIGHT は、Cardano 側の NIGHT をブリッジで移したもので、ブリッジは監査中を理由に1回の預け入れを30万 NIGHT までに抑えています。

使われるほど重くなるところに、先に手を入れる

10月5日の早朝には、Midnight の改善提案のリポジトリに、課題文書 MPS-0044 と提案 MIP-0025・0026・0027 が番号つきで取り込まれました(SIPO.TOKYO の解説)。MPS-0044 は、目標とする毎秒1,000件以上の取引に対して、いまの仕組みでは毎秒約42件が上限になる理由を数字で示しています。証明の検証が、ブロックを作る1台のノードに集中しているためです。

MIP-0027 は、同じ証明を何度も確かめていた無駄を削る提案です。試験のネットワークでは、1件の取引の証明がネットワーク全体で約7回検証されていました。一度通った検証結果を保存し、状態に依存する確認だけをやり直す設計で、8台のバリデーターの比較ではブロックの作成時間が42.4%、取り込み時間が41.1%短くなっています。提案自身は、これは処理件数の増加ではなく余力の増加だと書いています。MIP-0026 は、ブロックの途中で作られる台帳の状態を手放し、保存領域の増え方を約42%減らす案です。どちらもハードフォークを要しないノード側の変更とされ、番号が付いたことは採択を意味しません。

門を開けた直後に、使われるほど重くなる場所へ先回りで手を入れる。ここでも順番が先に立っています。

何が最初に作られるかの手がかりも出ています。9月の活動報告「State of the Network」によると、VIA Labs の開発スプリントには37人が参加し、Cardano から Midnight への USDM の送金が12件、決済アプリが5本完成しました。上位3作はいずれも請求書のアプリで、1位と2位はどちらも「金額と取引相手は伏せ、決済は公開で確かめられる」という同じ形を掲げています(SIPO.TOKYO の解説)。請求書の二重払いを防ぐ仕組みは、まさに今回の勧告が例に挙げた場面でもあります。

ホスキンソン氏は10月2日(米国時間)、ニューヨークの国連本部で開かれた業界団体 GBA の FinTech サミットに登壇しました。約35分の講演の中心は、規制当局が「何を守りたいか」という意図を示し、業界がそれをオープンソースのコードとして実装し、当局が認証するという提案で、Midnight はその部品のプライバシーと本人確認を受け持つものとして語られました(SIPO.TOKYO の解説)。講演の構想が実装の話へ進むかは、10月8日の TOKEN2049 と、10月10日の東京・八芳園での「Midnight City: Tokyo」で確かめられます。

第3章:今回は、分子が動きました

21の賛成と、2つの大口

対象は「Reduce minPoolCost to 75 ada」(Action ID gov_action1whncs25w727rj5tml7lmv48gnaf9mm66sdjds8s3l306et7xmkdsqzqd7s2・action_ref 75e7882a8ef2bc39517bffbfb654e89f525def5a8364d81e11fc5facafc6dd9b0)です。プールの最低固定費を170 ADAから75 ADAへ下げるパラメータ変更で、SPO の票は求められません。

Koios の投票記録で、エポック659の5日間に入った DRep の票を並べると、賛成が21票、明示的な反対が4票、棄権が3票でした。AdaStat の票数の増え方(賛成47→68、反対26→30、棄権11→14)と一致します。大きかったのは2つの票です。10月3日9時36分に DRep の CryptoCrow が、10月5日19時7分に Everstake の DRep が、それぞれ賛成を記録しました。10月7日朝の Koios の取得で、CryptoCrow の投票力は約2億8,636万ADA、Everstake は約1億9,237万ADA です。2つを合わせた約4億7,873万ADAで、この5日間の賛成の増加(約5億8,107万ADA)の約8割を説明できます。

前号と今号で、動いた側が違います

面前号(10月2日朝の取得)今回(10月7日朝の取得)
DRep 賛成47票・664,453,165 ADA68票・1,245,520,867 ADA
DRep 明示的な反対26票・495,284,034 ADA30票・516,383,114 ADA
DRep 棄権(分母から除外)11票・1,373,361,319 ADA14票・1,383,231,106 ADA
常時不信任135,365,324 ADA135,362,620 ADA
未投票2,501,274,310 ADA1,900,814,197 ADA
批准の分母3,796,376,833 ADA3,798,080,798 ADA
賛成率17.50%32.79%(必要な水準は67%)
憲法委員会賛成3・未投票4賛成3・未投票4

前号では、EMURGO と Yoroi の棄権で分母が約7億1,701万ADA縮み、賛成票がほとんど増えないまま賛成率が上がりました。今回は逆です。分母は約170万ADA増えただけで、未投票が約6億46万ADA減り、そのほとんどが賛成に入りました。賛成率は1.87倍になり、賛成が反対を上回る幅は前号の約1億6,917万ADAから約7億2,914万ADAに広がっています。

前号で分母から外れた棄権の投票力は、今回も約13億8,323万ADAとほぼ同じ水準で残っています。EMURGO と Yoroi の DRep は、10月7日朝の時点でも棄権の側に数えられていると読めます。予告されていた登録の取り下げは、本稿の時点では確認できていません。

67%まで、あと約13億ADA

それでも可決はまだ遠い位置にあります。いまの分母のままで67%に届くには、賛成をあと約12億9,919万ADA積む必要があり、これは未投票の約19億81万ADAの約68%にあたります。憲法委員会の側も賛成3・未投票4のままで、委員会の票も3分の2に届いていません。

期限はエポック661で、最後に投票できるのは日本時間10月12日6時44分頃までです。投票を受け付けるのは、いま始まったエポック660の5日間が最後になります。SIPO DRep は9月15日に、この議案に棄権を投じています。

OpenZeppelin:未投票がすべて賛成でも57%

「Withdraw 11,787,063 ada for the OpenZeppelin Stack administered by Intersect」(Action ID gov_action1gxxltxr02p28a398p8c6t08xhpg82wkkv9xgwvuxkly48lhgf20sqlkl2l8・action_ref 418df5986f50547ec4a709f1a5bce6b850753ad6614c873386b7c953fee84a9f0)。引き出し額は11,787,063 ADA で、この財務引出の種類に SPO の投票はありません。

面前号(10月2日朝の取得)今回(10月7日朝の取得)
DRep 賛成10票・129,703,043 ADA13票・169,312,183 ADA
DRep 明示的な反対52票・1,430,934,605 ADA70票・1,764,580,665 ADA
DRep 棄権(分母から除外)9票・761,086,560 ADA11票・760,983,648 ADA
常時不信任135,365,324 ADA135,362,620 ADA
未投票2,712,648,621 ADA2,351,212,546 ADA
批准の分母4,408,651,592 ADA4,420,468,015 ADA
賛成率2.94%3.83%(必要な水準は67%)
憲法委員会賛成3・未投票4賛成3・未投票4

明示的な反対は52票から70票へ、約3億3,365万ADA増えました。このうち最も大きいのは、minPoolCost に賛成した同じ CryptoCrow の反対(10月3日9時38分)です。同じ DRep が、2分の間に一方の議案に賛成し、もう一方に反対しています。議案ごとに判断が分かれていることが、票の記録にそのまま表れています。

結論の向きは、前号から変わっていません。未投票の約23億5,121万ADAがすべて賛成に回っても、賛成率は約57.0%で67%に届きません。SIPO DRep は9月25日にこの議案に反対を投じており、反対したのはこの版の提案に対してで、OpenZeppelin の Cardano への参入そのものは歓迎していることも前号で書きました(SIPO DRep:OpenZeppelin スタックの 1,178 万 ADA 引き出しに反対)。

この5日間、SIPO DRep は新しい票を投じていません。かわりに10月3日、Cardano の国庫の残高と投票中の議案を一つのページで見られる常設ページを SIPO.TOKYO に開きました(Cardano ガバナンスの今)。票を投じる前に、議案の全体を同じ場所で確かめられるようにするためです。

第4章:同じ1分に入った、5つの反対

k のポール:反対は賛成の約13倍に

対象は「Should stakePoolTargetNum (k) be raised from 500 to 1000? (SPO poll)」です(Action ID gov_action17m7nv7839mw93hv889tqzj0umv9ckm780f0nq02fep78f50uedxqq6g5mt9・action_ref f6fd3678f12edc58dd8739560149fcdb0b8b6fc77a5f303d49c87c74d1fccb4c00)。エポック656に提出された Info Action で、期限はエポック663、日本時間10月22日6時44分頃です。

面前号(10月2日朝の取得)今回(10月7日朝の取得)
SPO 明示的な賛成14プール・55,585,555 ADA17プール・67,849,674 ADA
SPO 明示的な反対17プール・502,250,435 ADA23プール・892,563,700 ADA
SPO 未投票8,516,284,750 ADA8,459,701,151 ADA
SPO 常時不信任16プール・50,156,752 ADA16プール・50,040,445 ADA
SPO の分母(全プール委任ステーク − 明示的な棄権 − 常時棄権)9,124,277,492 ADA9,470,154,971 ADA
SPO 賛成の割合0.61%0.72%
SPO 常時棄権(分母から除外)639プール・12,191,338,826 ADA636プール・11,797,139,077 ADA
DRep 賛成23票・123,702,637 ADA27票・109,037,834 ADA
DRep 明示的な反対17票・395,364,345 ADA26票・704,124,284 ADA
DRep 棄権19票・1,417,617,881 ADA27票・1,460,010,823 ADA
憲法委員会賛成1・棄権1・未投票5賛成1・棄権1・未投票5

5日間で、SPO の明示的な反対は6プール・約3億9,031万ADA増え、賛成は3プール・約1,226万ADA増えました。量では反対が賛成の約13倍で、前号の約9.0倍からさらに開いています。

反対の増加の大半は、2つの場面から来ています。1つは10月3日16時32分の Crowdano(CROW)の反対です。もう1つが、10月5日23時16分に同じ1分のうちに記録された5つのプールの反対で、CF1・CF2・CF3・CF4 と CAG でした。CF1〜CF4 はプール名に Cardano Foundation を掲げ、CAG のプール名は Cardano AG Pool です。10月7日朝の Koios の有効ステークで、5つを合わせて約3億2,553万ADAになります。CF1 の票には理由書へのリンクが付いていますが、本稿の時点では中身を取り出せていません。理由が読めた段階で改めて扱います。

前号の序章は、EMURGO と Yoroi の DRep が21分間に6つの棄権を入れた場面から始まりました。今回は、5つのプールが同じ1分に反対を入れています。大きな運営主体の票は、一度に、まとまって動きます。

常時棄権が減り、分母が広がりました

表には、もう一つ動いた数字があります。常時棄権(分母から除外)が3プール・約3億9,420万ADA減り、そのぶん SPO の分母が約3億4,588万ADA広がりました。未投票は約5,658万ADA減っただけです。常時棄権の設定を外したプールがあれば、そのステークは分母に戻り、票を投じない限り反対と同じ働きをします。どのプールが設定を変えたのかは、本稿では確かめていません。

上の分母は SIPO の取得経路の定義によるもので、ブロック生成実績のあるプールに絞った母数ではありません。その分母の約89.3%にあたる約84億5,970万ADAは、まだ投票していません。明示的な賛成が50%を超えるには、あと約46億6,723万ADAの賛成が要ります。DRep の票は提案書の判定には入りませんが、DRep の欄でも明示的な反対が9票・約3億876万ADA増えており、その大半は CryptoCrow の反対です。

SIPO の3プールは、10月7日7時30分ごろの確認時点で、このポールにまだ投票していません。第9章で書くとおり、SIPO の1号機は k=1000 の飽和点を上回る側にいて、SIPO2 はこの5日間でその水準に近づきました。票を投じるときは、立場と理由をあわせてこの場所に記録します。

CAP-12:憲法に名前のないパラメータは、動かせません

同じ5日間に、ガバナンスのもう一つの「開ける前」が始まりました。10月2日、Intersect の CAP ポータルに憲法改正案 CAP-12「Dijkstra era parameters」が提出されています(SIPO.TOKYO の解説)。

いまの憲法には、付録に名前が載っていないプロトコルパラメータは、パラメータ変更のアクションで変えてはならないという規定(PARAM-01)があり、ガードレールのスクリプトでオンチェーンでも機械的に守られています。Dijkstra で加わる新しいパラメータは、まだ付録に載っていません。このまま迎えると、新しいパラメータはすべて立ち上げ時の値で固定され、コミュニティが調整する手段がなくなります。Intersect は、技術の変更に加えて憲法の改正も要るハードフォークは、これが初めてだと説明しています。

CAP-12 が書き加えるのは4つのグループです。2024年6月の攻撃を受けて台帳に固定値で組み込まれた参照スクリプトの上限と手数料の曲線(4項目)、Leios の補助ブロックの容量・タイミング・投票委員会(9項目)、後のハードフォークで有効になる Peras(6項目)、そしてプール経済の最低プールマージンと最大プレッジレバレッジです。参照スクリプト・Leios・Peras の19項目は、変更に SPO の投票も必要な「ブロックチェーンの運用に不可欠なパラメータ」の一覧に入ります。一方で、上限・下限の値が未定の箇所は文案全体で43か所あり、数字はこれから埋まります。

SIPO のコメントと、MPC-03 の論点

意見募集が始まって3日で、コメントは4件つきました。焦点はプール経済の2つのパラメータです。

最大プレッジレバレッジは、プールの報酬の対象となるステークを、飽和点とプレッジの一定倍のどちらか低いほうで頭打ちにする仕組みです。超えた分には、運営者にも委任者にも報酬が出ません。文案では、未設定のまま導入できる唯一のパラメータで、最初の値は後のパラメータ変更で決まります。SIPO は10月3日、3つのプールを運営する DRep として、この2つについてコメントしました。最低プールマージンには上下限を設けるか、有効になる後のハードフォークに合わせた改正で載せる案を、最大プレッジレバレッジには、初めて設定するときと引き下げるときに、報酬の対象から外れるステークの分析とともに90日前に公表する規定を加える案を出しています(SIPO DRep の CAP 参加トラッカー)。

10月4日には別の参加者が、既存の規定 MPC-03(minPoolCost はプール運営の経済的なコストに沿って設定すべき)を問題にしました。最低プールマージンを入れると同時に minPoolCost を0にする変更が想定されるのに、MPC-03 が残ったままでは違憲と判断されかねない、という指摘です。追加だけで済ませるという CAP-12 の設計に、既存の条文にも手を入れるべきかという論点が加わりました。第3章の minPoolCost の議案と、同じ「プールの費用」をめぐる話がつながっています。

憲法改正のアクションに投票するのは DRep と憲法委員会で、SPO は投票しません。それでも、改正後に運用されるパラメータの多くは変更のたびに SPO の投票を要します。どの項目をどの一覧に入れるかという今の議論が、将来の SPO の発言の場を決めます。

第5章:新しいドルの入口は、開いたり閉じたりしながら増えました

一つの入口は、一度閉じました

前号の終わりに、RealFi のドル建てステーブルコイン USDrf は、SundaeSwap V4・Lace・Liqwid の3つの入口と同時に動き始めました。その2日後、10月3日5時31分に、Lace はモバイル版での RealFi の利用を一時止めたと告知しています。改善の作業のためで、デスクトップ版はそのまま使え、止まって見える注文はサポートが取り消しを手伝うとしています(SIPO.TOKYO の Daily Intel 10/4)。

10月6日の夜には、Lace が Staking Center で USDrf と、預けて利回りを受け取る sUSDrf を扱えると紹介しました。モバイル版の再開の告知は、本稿の時点では確認できていません。入口は増えながら、一つは確かめるために一度閉じた、という5日間です。

Indigo の提案は、空欄を残したまま投票へ

10月3日4時32分、Indigo は USDrf を iUSD のペグ安定化モジュール(PSM)の担保に加える提案を DAO に出したと発表しました。認められれば、USDrf を預けて iUSD を1対1で発行し、iUSD を USDrf に戻すこともできます。手数料は発行が0.5%、償還が1.0%で、償還を高くしたのは準備が短期の裁定で流れ出るのを抑えるためだと提案書は説明しています。比率が固定なので、価格のオラクルは値付けには使わず、USDrf がドルから大きく外れたときに交換を止める安全装置にだけ使う設計です(SIPO.TOKYO の解説)。

一方で、提案書のうち USDrf のドルとの連動を支える償還の仕組みと、準備の証明・監査・透明性の項目は、10月3日14時の時点で見出しだけが残った状態でした。提案書自身はリスクの表で、準備の不透明さへの対策として「準備の証明の公開」を挙げています。Clarity での投票は10月3日0時15分に始まり、10月5日0時15分に締め切られました。結果と、その後の正式な投票へ進むかは、本稿の時点では確認できていません。開く前に確かめておくべき欄が、空いたまま賛否を問われた形です。

見出しの2,727万ドルと、V4 の37万ドル

DefiLlama の集計で、SundaeSwap の取引額は9月28日から10月4日(UTC)の7日間で約2,727万ドルとなり、前の7日間(約798万ドル)の約3.4倍に増えました。ただ、V4 の2つのプールで成立した取引は、10月1日〜4日で合わせて約37万ドルです。USDCx と USDrf を1対1で交換する Linear Swap のプールが約35.9万ドル、USDrf と sUSDrf の Stableswap のプールが約1.5万ドルで、週間の取引額の約1.4%にあたります(SIPO.TOKYO の解説)。

既存の版で目立ったのは V3 の ADA/NIGHT のプールで、この7日間の取引額は約328万ADA、前の7日間の約4.7倍でした。DefiLlama の「SundaeSwap V2」のページの数字は、集計のコードを読むと Sundae のすべての版を合わせたもので、版ごとの内訳はページの上では見えません。見出しの数字を、どの版のどのプールで生まれたかに分けて読むと、V4 の滑り出しと市場全体の熱を取り違えずに済みます。

報酬が呼ぶ資金と、離れる資金

10月6日0時4分、FluidTokens は TVL がこの5日で20%増えたと投稿し、増えた分の大半は報酬を目当てにした利用だと説明しました。貸し出しに使われていない ADA に年6%を付ける報酬は12月31日まで続きます。DefiLlama の数字で確かめると、ドル建てでは9月30日から10月5日に約14%増、ADA 建てでは約1,212万ADAから約1,302万ADAへ約7%増です。ドル建ての伸びの一部は、同じ期間の ADA の値上がりによるものです(SIPO.TOKYO の解説)。前号で扱ったオラクルの攻撃と一時停止をはさんでも、ADA 建ての預け入れは増えました。FluidTokens が9月30日に「近く出す」とした攻撃の詳しい分析は、本稿の時点では確認できていません。

反対の向きの動きもあります。DEX の Splash の預かり資産は、ADA 換算で9月28日の約1,329万ADAから10月4日の約988万ADAへ、約26%減りました。減り方は2回の段差で、この5日間に入る2回目は、UTC の10月2日から3日に約1,158万ADAから約984万ADAへの約174万ADAでした。Splash からは理由の告知が出ておらず、誰が何のために動かしたのかは数字からは分かりません(SIPO.TOKYO の解説)。同じころ、Indigo は INDY のステーク量に応じた利息と手数料の払い戻しを、WingRiders はエポック660のファームの年率を示しました。年末までの報酬で利用者を取り合う局面です。

予算を、ドルで持つ

Intersect は10月2日付の Update #131 で、国庫から引き出された2件の資金が USDM で保有されるようになったと報告しました。Intersect 自身の2026/27年度予算(エポック646で2,540万ADAを引き出し)と、Daedalus を保守する Se7en Labs の提案(エポック647で178万5,333ADA)です(SIPO.TOKYO の解説)。

国庫の引き出しは ADA 建てで可決されますが、払う仕事の契約は多くが固定額で結ばれています。ADA で持ち続ければ、年の途中で価格が下がると合意した仕事を払いきれなくなります。可決した「金額」と、実際に払われる「価値」を一致させる措置です。資金を保持するコントラクトはオンチェーンで稼働しており、引き出しのアクションからコントラクトまでを追えるとしています。

Cardano のステーブルコインの総額は、第7章の Dune の集計(基準日10月5日)で$66.82Mでした。前回の$67.44Mから−$0.62Mで、USDrf はまだこの内訳に現れていません。新しいドルの入口は増えましたが、総額の数字が動くのはこれからです。

第6章:申告を、確かめてから受け取ります

Leios:数を確かめてから、メモリを確保する

10月5日朝、Cardano の次の処理能力拡張 Leios の試作版「prototype-2026w40」が公開されました。Anastasia Labs の監査で指摘された3件を解消したリリースです(SIPO.TOKYO の解説)。

  • LEI-004:信頼できない取引のハッシュが、検査なしに固定長のキャッシュへ届く
  • LEI-005:取り込みの入口で、Leios の本体のサイズ上限が守られていない
  • LEI-009:要素数の申告が、検証の前にメモリの確保を決めてしまう

どれも、他のノードが送ってきた値を確かめる前に使ってしまう点への指摘です。相手が申告した件数をそのまま信じて先にメモリを確保するノードは、大きな数を申告されるだけで資源を使い切らされます。w40 では、ハッシュを32バイトに固定し、申告された件数はすべてメモリを確保する前に検査し、頼んだ件数と食い違う返事は拒否するようにしました。リリースノートの言葉では、「ノードが確かめていない申告で、相手がメモリを確保させることはもうできない」。第2章の Midnight の勧告と同じく、受け取った値をそのまま信じない方向への修正です。

w40 は Leios 用のデータベースの構造が変わったため、試作版を動かしている参加者は、データベースを消して同期し直す必要があります。メインネットで動いている Cardano のノードには関わりません。10月7日未明には、続く w40a も公開されています。

実装番号は、自己申告です

10月3日、Go 製ノード Dingo を作る Blink Labs が、参照実装の Haskell ノード以外で動くメインネットのブロック生成プールとして、ZW3RK・TSUNA・OTG の3つを紹介しました。ブロックヘッダーには、台帳のルールが参照しない数字の欄があり、そこにどの実装が作ったかを記録する慣行が生まれています。その欄を1本ずつ確かめると、参照実装と違う番号を記録していたのは ZW3RK(67)と OTG(69)の2プールで、TSUNA のブロックには該当する番号がありませんでした(SIPO.TOKYO の解説)。

読み方に注意が要るのは ZW3RK です。改善提案 CIP-203 の草案の登録簿では、67は Gerolamo の番号ですが、Blink Labs の投稿は ZW3RK の実装を cardano-bean としています。番号はブロックを作る側が自分で書き込む値で、実際に動いているソフトの証明ではありません。登録簿がないと番号が重なり、多様性を測る物差しとして使えなくなる。CIP-203 が動機に挙げているのはこの状態です。識別番号つきのブロックは、最も多かったエポック658でも2プール合わせて15本でした。

10月6日には、Amaru のチームが企画する「Cardano Node Diversity Celebration Day」が開かれました。Intersect は、Dijkstra が近づくなかで、特定の実装を基準にするのではなく、実装をまたいだプロトコルへの準拠に重心が移っていると書いています。

止まったときに、どう届けるか

10月4日の改善提案の週次まとめでは、新しい提案が6件並びました(SIPO.TOKYO の解説)。そのうち CPS-0038 と CIP-0201 は、ノードの外に、SPO や委任者への緊急連絡網を作る構想です。開発チームから SPO への障害の連絡、プールから委任者への引退の連絡、DRep からの投票方針の連絡などを、発信者が本物であることと、書き換えられていないことを確かめられる形で届ける仕組みが、いまは規格として存在しないと問題提起しています。CIP-0201 は、配信用のノードに返金可能な保証金を預けさせ、偽の ID を大量に作って特定の受け手を囲む攻撃に費用をかけさせる設計です。

CPS-0038 は「沈黙からは、メッセージが握りつぶされたのか、送られていないのかを受け手は判断できない」と書いています。届いたものだけでなく、届かなかったことも確かめられるか。最初の利用場面に挙げられたのは、数千の SPO への緊急警報で、SIPO も受け取る側になる仕組みです。CIP-0205 は、Plutus のスクリプトを実行する前の「スコープ検査」を外し、取引の検証時間を約3%減らす提案で、ほかの言語や実装が別の段階で同じ確認をしていることを理由に挙げています。

AI の窓口は、既定で閉じています

10月5日に公開された Dingo の v0.78.0 は、AI エージェントがノードのデータベースから台帳の状態やガバナンス、ステーキングの情報を直接引ける MCP の窓口を内蔵しました(SIPO.TOKYO の解説)。道具は21個で、すべて読み取り専用です。窓口は既定で無効、有効にしても待ち受けは自分のマシンの中だけで、接続元ごとの要求の回数にも上限があります。トークンの名前など外から入ってくる文字列は、長さを制限したうえで「信頼できないデータ」と印を付けて返します。発行者が自由に書けるメタデータに、AI への指示を紛れ込ませる攻撃を想定した守りです。

開ける前に、何を受け付けないかを決めておく。Dingo の README は冒頭で「まだ本番での利用には向かない」と書き、メインネットでは使わないよう求めています。

こうした提案を審査する人の側にも手当てが入りました。Intersect は Update #131 で、CIP の編集者を報酬つきで2人募集すると発表しました。目安は週10〜12時間で、報酬は技術運営委員会への助成から出ます。Dijkstra の機能の大半を含むノード 11.2 のプレリリースも近いとしており、新しい提案が増える時期に、確かめる人を先に増やす判断です(SIPO.TOKYO の解説)。

第7章:エポック659 市場指標・KPI分析

マクロ12指標(エポック659期間・10月2日〜10月6日の日次記録)

はじめに、記録の性質についてお断りしておきます。12指標は1日1回の記録です。以下の「最高」「最安」は記録上のものであって、日中の高値・安値ではありません。また、10月4日の記録から、取得元が Hyperliquid の先物(perp)の価格に変わりました。10月2日・3日の記録とは取得元が違うため、ADA 以外の指標は、同じ取得元の記録どうしでだけ比べます。株価の指標も、10月3日までは S&P500・ナスダック総合・日経平均先物の前営業日の値、10月4日からは S&P500 連動先物・米テック100 連動先物・日経225 連動先物で、別の銘柄として扱います。10月7日朝の記録は、エポック659の終了(6時44分)より後の観測なので含めていません。

この5日間の ADA は、2日目に下げたあと、3日続けて上げました。

日次の記録で$0.245635(10月2日)→ $0.239712(10月3日)→ $0.2448(10月4日)→ $0.25271(10月5日)→ $0.2699(10月6日)。+9.88%です。期間の記録での最安は10月3日、最高は最終日で、10月6日の記録は1日で+6.79%でした。

エポック境界の確定値では、エポック658終了時の$0.244665からエポック659終了時の$0.268741へ、+9.84%。時価総額は$9.18bから$10.09bへ+9.86%です。ADA/JPY は¥38.6748から¥42.4960へ+9.88%、そのときの USD/JPY は158.07から158.13でした。境界の値は、最終日の記録(10月6日朝)の$0.2699を0.43%下回っています。

同じ取得元どうしで比べると、10月4日から6日の3日間で ADA は+10.25%、BTC は$84,682.7 → $85,878.0(+1.41%)、ETH は$2,685.4 → $2,715.6(+1.12%)でした。10月2日から3日の2日間は、ADA −2.41%、BTC −0.14%、ETH −1.31% です。前号は ADA が BTC と ETH より大きく下げる5日間でしたが、今回は ADA が両者を大きく上回って上げています。10月5日には CoinDesk も、値幅の小さい相場で ADA が上昇を主導したと伝えました。SIPO はこの上げを特定の材料には帰しません。

10月4日から6日の Hyperliquid の記録で、ほかの銘柄を上げ幅の大きい順に並べると、FET(+13.14%)、ICP(+7.52%)、ATOM(+6.46%)、SUI(+4.21%)、DOT(+3.96%)、BTC(+1.41%)、XRP(+1.28%)、ETH(+1.12%)、SOL(+0.96%)、WLFI(+0.75%)、HBAR(+0.11%)、LINK(−0.54%)、AVAX(−1.06%)、ALGO(−2.88%)です。同じ3日間の ADA の+10.25%は、この並びの中で FET に次ぐ上げ幅でした。

$NIGHT は、取得元が途中で変わっています。10月2日・3日は USDT 建ての記録で$0.03887158 → $0.04617263(+18.78%)。10月4日からは Cardano の DEX のオンチェーン価格で、$0.048882(10月4日)→ $0.044984(10月5日)→ $0.05078(10月6日)、+3.88%です。ADA 建てでは0.199682 → 0.178008 → 0.188142 ADA で、ADA の上げが大きかったぶん、ADA 建てでは下げています。2つの取得元の値はつなげて比べません。

地合いは、10月2日の記録が「BTC堅調×原油急騰(+2.8%)の複合局面」、3日が「方向感薄い横ばい局面」、4日が「リスクオン傾き——BTC・株式揃って上昇」、5日が「リスクオン——BTC・ETH上昇」、最終日が「方向感薄い横ばい局面」でした。

株式は、10月3日までの記録で S&P500 が7,666.45 → 7,722.72(+0.73%)、ナスダック総合が26,871.6 → 27,190.86(+1.19%)、ダウが50,926.56 → 51,176.96(+0.49%)、日経平均先物が68,525 → 69,785(+1.84%)。VIX は16.39から15.31へ下げています。10月4日からの先物の記録では、S&P500 連動先物が7,731.9 → 7,773.4(+0.54%)、米テック100 連動先物が30,846 → 31,092(+0.80%)、日経225 連動先物が69,823 → 70,211(+0.56%)で、どれも最終日が期間の記録での最高でした。

原油は、10月4日からの記録で WTI が$91.161 → $89.006(−2.36%)、ブレントが$102.56 → $100.03(−2.47%)で、どちらも最終日が記録上の最安です。10月2日・3日の WTI は同じ11月限で$92.91 → $91.26でした。金は10月4日からの記録で$4,141.0 → $4,143.6とほぼ横ばい、10月3日までの記録では$4,207.80 → $4,172.10です。為替は、EUR/USD が1.125 → 1.1225、USD/JPY(ECB の参照レートからの計算)が10月2日の157.675から10月5日の158.229へ動きました。

米10年債利回りは、米財務省の値で10月2日の5.28%から10月5日の5.31%へ上がりました。日本国債は、10年が3.057%(9月30日時点)から3.097%(10月2日時点)、30年が4.098%から4.148%で、日米10年金利差は2.18から2.213へ広がっています。BTC のボラティリティの指標(BVIV)は、10月4日からの記録で37.498 → 38.24でした。暗号資産関連株の COIN は、10月4日からの記録で184.2 → 187.97(+2.05%)です。

Cardano オンチェーンKPI

データ基準日は2026年10月5日23時59分40秒(UTC)です。エポック659の終了境界(10月6日21時44分51秒 UTC)より約22時間前の断面で、第9章のネットワーク指標とは出典も時点も違います。

指標エポック659(基準日 10月5日)前回記録(エポック658基準日 9月30日)
ステーキング率56.92% of supply56.92%
Nakamoto係数161161
日次Tx(最新日)22,857(9月20日)22,857(9月20日)
アクティブアドレス10,49210,492
Script Tx比率38.69%38.69%
ステーブルコイン総額$66.82M$67.44M
Treasury1,367,359,480 ADA(エポック659)1,363,711,222 ADA(エポック658)

日々の活動を表す3つの値は、今回も前回と同じでした。日次Tx の「最新日」は9月20日のままで、3回続けて更新されていません。Nakamoto係数は161で変わらずです。

ステーブルコイン総額は$67.44Mから$66.82Mへ、−$0.62Mです。内訳は、USDCx $45,757,254(前回$46,358,867・−$601,613)、USDM $13,579,656(前回$13,617,606・−$37,950)、USDA $4,103,640(±0)、Djed USD $1,462,027(−$14,903)、iUSD $1,438,033(+$33,695)。USDCx の比率は約68.5%、USDM は約20.3%で、2割を保っています。このほか USDC $299,077、USDT $107,775、MyUSD $68,571、DAI $7,984、PYUSD $199 が並び、RealFi の USDrf はまだ内訳に現れていません。なお、ブロックエクスプローラーの Cexplorer は10月5日、Cardano 上のステーブルコインの時価総額を$67.16Mとしています。集計の範囲が違うので、Dune の値と突き合わせないでください。

Treasury は1,363,711,222 ADA から1,367,359,480 ADA へ、+3,648,258 ADA です。前号の+3,631,452 ADA とほぼ同じ幅でした。

ガバナンスアクションの集計は、提案中4・批准0・失効73(基準日時点)です。本記事が追っている係属中の議案は3件(AdaStat で active)です。数え方の範囲が違いますので、突き合わせないでください。

SIPO DRep 活動

SIPO DRep の投票力は、2026年10月7日7時31分の確認時点で約₳87.05M です(Koios・登録済み・active・有効期限エポック677・委任者403名。AdaStat の委任者数は402名)。エポック658記事の時点では約₳89.03M・400名でしたから、量は−₳1.98M、委任者は3名増えています。委任者は9エポック連続の増加です。この5日間、SIPO DRep は新しい票を投じていません。係属中の3件のうち、OpenZeppelin には反対、minPoolCost には棄権を投じ済みで、k のポールは未投票です。かわりに CAP-12 にコメントを出し、議案の全体を見られる常設ページを開きました。

取得した時点の値であり、エポック境界で固定した値ではありません。

第8章:エポック659 配信記事の紹介

エポック659の5日間に、SITIONグループの3アカウントから配信した記事のうち、暗号資産・ブロックチェーン関連を中心に抜粋して並べます。

日付媒体種別タイトルURL
10月2日SIPO.TOKYOエポックな日々大口棄権で分母7億ADA縮小、FluidTokens にオラクル攻撃、RealFi が3入口で始動記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalMidnight メインネット、コントラクト配備が審査なしで可能に記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalMidnight、コントラクト連携の v9 も年内の見込み記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalRealFi メインネット稼働、ポイントは利用額に応じた倍率制に記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalSundaeSwap V4 稼働、まずはステーブルコインの 2 プールから記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalCardano PRIME、資金を出すアプリ全件に CIP-113 を要求記事
10月2日SIPO.TOKYOSignalPacific Meta、Cardano 財団の企業連携パートナーに記事
10月3日SIPO.TOKYOWeekly BriefWeekly Brief #26|Midnight メインネットで審査なしのコントラクト配備が始動記事
10月3日SIPO.TOKYOGovCardano の共同金庫と投票中の議案が一目でわかるページを開設X
10月3日SIPO.TOKYOSignalIndigo、USDrf を iUSD の PSM 担保に加える提案記事
10月3日SIPO.TOKYOSignalホスキンソン氏、国連本部の講演で規制のオープンソース化を提案記事
10月3日SIPO.TOKYOSignalCardano Academy、AI エージェントでアプリを作る無料講座を公開記事
10月3日LiveMakersSignalMidnight の NIGHT が7日で9割高、銀行預金のトークン化は11月予定X
10月4日SIPO.TOKYOSignalCardano の CIP 新提案6件、ノードの外に緊急連絡網の案記事
10月4日SIPO.TOKYOSignalCardano の代替ノード、メインネットで実装番号つきブロックは2プール記事
10月4日SIPO.TOKYOSignalMidnight の Pulse、1,000 NIGHT でトークン発行とプール開設記事
10月4日SIPO.TOKYODaily IntelLace モバイル、RealFi の利用を一時停止X
10月5日SIPO.TOKYOSignalCAP-12、Dijkstra の新パラメータを憲法に追加記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalIntersect と Se7en Labs の予算、USDM で保有へ記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalIntersect、CIP 編集者 2 人を有償で募集記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalMidnight の MIP-0027、ブロック処理を4割短縮する案記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalMidnight City、10月10日に八芳園で東京イベント記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalSplash の預かり資産、ADA 換算で1週間に約26%減記事
10月5日SIPO.TOKYOSignalホスキンソン氏、Pogun の始動は90日以内と投稿記事
10月6日SIPO.TOKYOSignalLeios 試作版 2026w40、監査指摘3件を解消記事
10月6日SIPO.TOKYOSignalSundaeSwap の週間取引額 2,727万ドル、前週の3.4倍記事
10月6日SIPO.TOKYOSignalFluidTokens の TVL、5日で20%増と告知記事
10月6日SIPO.TOKYOSignalDingo v0.78.0、AI エージェント向け MCP を内蔵記事
10月6日SIPO.TOKYOSignalMidnight の9月報告、開発スプリント上位3作は請求書アプリ記事
10月6日LiveMakersDeep DiveZcash 1年で8倍、国内の漏えい続発が映すプライバシー需要X
10月7日SIPO.TOKYOSignalMidnight ノード 1.0.400、重大な脆弱性を修正記事
10月7日SIPO.TOKYOSignalCardano 財団、9月の提携を月次報告で総括記事

この5日間の SIPO.TOKYO は、Signal を中心に、毎朝の Daily Intel、Weekly Brief #26、速報を配信しました。10月3日には、Cardano の国庫と投票中の議案をまとめた「Cardano ガバナンスの今」と、Cardano と Midnight のイベントをまとめたカレンダーの2つの常設ページを開いています。上の表に載せたほかにも、LiveMakers・LifeMakers の2媒体から市場・規制・AI・ライフスタイルの記事が出ています。LifeMakers の「星読み」は毎日配信を続けていますが、本表の対象外としています。

Midnight については、10月2日の配備の開放、5日の改善提案、6日の9月報告、7日の 1.0.400 と、門が開く前後を4本の Signal で続けて追いました。最後の1本で、開放の日の前に修正が入っていたことを確かめています。

第9章:エポック659 終了時点 ステーキング動向

3プール合計(エポック659:100%時点)

項目値前エポック比
ライブステーク112,025,661.52 ADA(112.03M)+8,451,037.44
有効ステーク103,574,624.08 ADA(103.57M)−528,112.38
委任者数2,131名−1
エポック生成ブロック110+12
累計生成ブロック47,822+110

プール別

プールライブステーク有効ステーク委任者エポックブロック累計ブロック
SIPO52,642,219.68(−961,461.96)53,603,681.64(−253,749.66)1,111(−1)59(+11)20,392
SIPO234,812,587.08(+9,424,939.48)25,387,647.60(+8,901.38)473(+1)29(+7)15,202
SIPO324,570,854.76(−12,440.08)24,583,294.84(−283,264.10)547(−1)22(−6)12,228

マージンは3プールとも3.9%、固定費340 ADA、保証金50,000 ADA です。ブロック数・累計ブロック・有効ステークはエポックの終了時点で確定した値です。ライブステークと委任者数は、10月7日6時54分、エポック660が始まってから約10分後に取得した値です。同じ朝に配信したステーキング状況の投稿と同じ取得です。

SIPO2 に、まとまった委任が入りました

前号の終章で、SIPO は「今回の減少が次のエポックで戻るか」を確認点に挙げました。答えは、戻っただけでなく、大きく上回った、です。3プール合計のライブステークは+845万1,037 ADA。前号の−52万ADAを埋めて余る増加です。

増加のほとんどは SIPO2 です。ライブステークが+942万4,939 ADA で、委任者は1名の増加でした。委任者が1名増えて約942万ADAが増えていますので、まとまった委任が1件入ったと読むのが自然です。SIPO2 のライブステークは約3,481万ADAになり、k=1000 の飽和点(提案書の基準で約3,750万ADA)に近づきました。

一方、SIPO は−96万1,462 ADA・委任者−1名、SIPO3 は−1万2,440 ADA・委任者−1名でした。SIPO は、委任が1件離れたか、既存の委任者のウォレットの残高が減ったか、その両方が重なったかのいずれかと読めます。いずれも、委任者の事情を SIPO は知りません。原因は断定せず、事実を記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。

有効ステークは3プール合計で−52万8,112 ADA です。これは前号のライブステークの減少(−52万8,112 ADA)が、1エポック遅れて有効ステークに反映されたもので、この5日間に新しく減ったものではありません。今回の SIPO2 の増加は、次のエポックの有効ステークに反映されます。SIPO のライブステークは、k=1000 の飽和点をいまも上回っています。

SIPO2 と SIPO3、また入れ替わりました

エポック659の SIPO2 は29ブロック、SIPO3 は22ブロックです。直近5エポック(655〜659)を並べると、SIPO2 は23・18・31・22・29、SIPO3 は30・32・17・28・22。前号でまた戻った差の向きが、今回はもう一度入れ替わりました。5エポックを足すと SIPO2 は123、SIPO3 は129で、前号の時点の差(108対138)からほぼ並ぶところまで縮んでいます。有効ステークは SIPO2 が2,539万ADA、SIPO3 が2,458万ADAで、ほぼ同じ規模です。

ブロック生成は確率的で、1エポックの数字からプールの状態は読めません。記録を続けます。3プール合計では98から110へ+12、SIPO は48から59へ増えました。

有効ステークとライブステークの照合

エポック658の終了時点のライブステークと、エポック659の有効ステークを並べます。

プールエポック658 ライブステークエポック659 有効ステーク差
SIPO53,603,681.6453,603,681.640.00
SIPO225,387,647.6025,387,647.600.00
SIPO324,583,294.8424,583,294.840.00

3プールとも、小数点以下まで一致しました。前号に続いて2回連続です。前号・今号とも境界の約10分後の取得で、条件がそろっています。境界の直後に取得したライブステークが、次のエポックの有効ステークの確かな予告になっていることを、この照合で確かめています。今回の SIPO2 の約3,481万ADAが、次のエポックの有効ステークにそのまま現れるかが、次の照合です。

累計47,822ブロック

3プールの累計ブロックは47,822です。SIPO 20,392 / SIPO2 15,202 / SIPO3 12,228。エポック659では110ブロックを積み上げました。

ネットワーク全体(エポック659終了時点)

前号・今号とも、境界の約10分後に取得した値です。

指標エポック659終了時点前エポック比
ステーキング率56.16%−0.02ポイント
総ステーク21,263,950,333 ADA−3,043,715
流通供給量37,860,398,184 ADA+6,153,793
委任者総数1,334,182名−553名
アカウント総数6,010,631+6,395
総プール数2,890−1
ステークのあるプール2,671−2
ブロック生成のあったプール933−19

委任者総数は10エポック続けて減りました。アカウント総数は+6,395で、「新しいアカウントは増え、委任している人は減っている」という構図は10エポック目に入っています。総ステークは−304万ADAで7エポック続けての減少ですが、減り幅は前号の−4,832万ADAから小さくなりました。流通供給量は+615万ADAで、ステーキング率は56.18%から56.16%へ下がっています。

ブロック生成のあったプールは933で、前号の952から19減りました。2,890のプールのうち、この5日間に実際にブロックを作ったのは約3分の1です。

SIPO の3プールは、この5日間で110ブロックを生成しました。委任していただいているみなさまのおかげです。

終章:開ける前に、確かめておきます

エポック658の終わりに挙げた確認点を、一つずつ答え合わせします。

minPoolCost と OpenZeppelin の期限は、まだ来ていません。期限の10月12日6時44分頃を前に、minPoolCost は賛成率が17.50%から32.79%に上がりました。今回は分母ではなく賛成の票が動いた結果で、67%まではまだ約12億9,919万ADAが要ります。OpenZeppelin は反対が70票・約17億6,458万ADA に厚くなり、未投票がすべて賛成に回っても約57.0%です。EMURGO と Yoroi の DRep の登録の取り下げは、本稿の時点では確認できていません。部分的に答えが出た、とします。

k のポールの SPO 票は、答えが出ました。反対の側に、さらに動きました。明示的な反対は23プール・約8億9,256万ADAで、賛成の約13倍です。増加の大半は、Crowdano と、同じ1分に入った5つのプールの反対でした。未投票は約84億5,970万ADA残っています。SIPO の3プールは、まだ投票していません。

11.1.3 の普及と 11.2 は、部分的に答えが出ました。10月7日朝の時点で、cardano-node の最新の正式版は 11.1.3 のままで、11.2 のタグはまだありません。Intersect は Update #131 で、Dijkstra の機能の大半を含む 11.2 のプレリリースが近いと書いています。Hydra の最新のリリースは9月2日の 2.4.1 のままでした。SPO の 11.1.3 への入れ替えの割合と、SIPO の3プールの Mithril の署名がエポック659の証明書に載ったかは、本稿では確かめていません。

Midnight の 1.0.4 と配備の開放は、答えが出ました。10月2日16時37分にメインネットでの許可不要のコントラクト配備が始まり、10月6日にはノードの公開版 1.0.400 が出ています。1.0.400 は、critical の勧告の修正を3つのネットワークに入れたあとの公開版でした。node-2.1.0 は rc.4 のままで、正式版は出ていません。10月10日の八芳園の催しはこれからです。

RealFi の最初の数字と Linear Swaps は、部分的に答えが出ました。SundaeSwap V4 の2つのプールの取引額は、10月1日〜4日で約37万ドルでした。USDrf の発行量は公表されておらず、Dune の内訳にも USDrf はまだ現れていません。USDM の2割は約20.3%で保たれています。Lace のモバイル版では利用が一時止まり、Indigo は USDrf を PSM の担保に加える提案を出しました。次に開くプールは、まだ告知されていません。

FluidTokens の事後報告と、Liqwid の Pyth による価格検証は、持ち越しです。FluidTokens は報酬で TVL を伸ばしていますが、攻撃の詳しい分析は本稿の時点では確認できていません。Liqwid の Pyth の稼働の告知も確認できていません。

CIP-113 の実装は、部分的に答えが出ました。Minswap の CIP-113 対応のコントラクトの公開は、確認できていません。Cardano 財団の9月の報告は、CIP-113 の最初のモジュールが重大度「高」以上の指摘のない監査を通り、スイスの証券トークン規格の団体 CMTA に認証を申請したと書いています。PRIME の RFP の締切(日本時間10月15日12時59分)はこれからです。

日々の活動の値の更新は、持ち越しです。日次Tx・アクティブアドレス・スクリプト比率は、3回続けて9月20日の値のままでした。

3プールのライブステークと委任者、照合は、答えが出ました。ライブステークは+845万ADAで、前号の減少を埋めて余る水準に戻りました。ネットワークの委任者総数は10エポック目も減り、照合は2回続けて3プールとも小数点以下まで一致しました。

9件のうち、答えが出たものが3件(k のポール・Midnight の配備・ライブステークと照合)、部分的に答えが出たものが4件(minPoolCost と OpenZeppelin・11.2 と Hydra・RealFi・CIP-113)、持ち越しが2件(FluidTokens と Pyth・日々の活動の値)です。

そのうえで、エポック660で確認すべきものを挙げます。

  1. minPoolCost と OpenZeppelin の期限(ガバナンス):10月12日6時44分頃に2件が同時に期限を迎えます。minPoolCost は賛成が未投票の約68%を集めて67%に届くか、委員会の4票目・5票目が入るか。OpenZeppelin はどの水準で終わり、再提出の動きが出るか。EMURGO と Yoroi の DRep が登録を取り下げるかもあわせて見ます。
  2. k のポールと CAP-12(ガバナンス):k のポールの期限はエポック663(10月22日6時44分頃)。5つのプールの票の理由が読めるか、未投票の約84億ADAがどう動くか。SIPO の3プールの票と理由は、ここに記録します。CAP-12 は、最低プールマージンの定義と、MPC-03 をめぐる論点に改訂版が応えるかを見ます。
  3. Midnight の門のあと(Midnight):10月8日の TOKEN2049 と10月10日の八芳園で、ホスキンソン氏が何を示すか。開放後にメインネットへ出てくるアプリと、Pulse の各プールの預かり資産。勧告のページに、既存のコントラクトの点検結果が書き足されるか。MIP-0026 と MIP-0027 の状態欄が Accepted に変わるか。
  4. 11.2 と Leios(開発):cardano-node 11.2 のプレリリースと、最初の公開 Dijkstra テストネットが始まるか。Leios の次の試作版で、監査の残りの番号が出てくるか。OTG のブロックに69の番号が戻るか、10月29日予定の Amaru のベータ版で新しい番号が現れるか。
  5. 新しいドルの入口(DeFi):Lace のモバイル版で RealFi が再開するか。Indigo の PSM の提案が正式な投票に進み、空欄だった償還と準備の開示が埋まるか。SundaeSwap の10月5日〜11日の週間取引額が、前の週の798万ドルを上回る水準を保つか。FluidTokens の ADA 建ての TVL と、Splash の約990万ADA がどちらへ動くか。
  6. オンチェーンの値(KPI):日々の活動の値が9月20日から先へ更新されるか。ステーブルコインの内訳に USDrf が現れるか、USDM の2割が保たれるか。
  7. SIPO2 の増加と照合(ステーキング):SIPO2 の約3,481万ADAが、次のエポックの有効ステークにそのまま現れるか。照合が3回続けて成立するか。ネットワークの委任者総数が11エポック目も減るか。

エポック659は、開ける順番と、開ける前に確かめておくものが、続けて表に出た5日間でした。

Midnight は、審査の門を外す前に critical の修正を本番へ入れ、門を開け、そのあとで修正の中身を公開版として配りました。門が外れたあとは、どのコントラクトに資金を預けるかを確かめる役が、利用者とウォレットの側に移ります。開発の側では、Leios が申告された件数を確かめてからメモリを確保するよう改め、Dingo は AI の窓口を既定で閉じたまま出しました。

ガバナンスでは、前号と違って分子が動きました。minPoolCost には大口の賛成が入り、k のポールには5つのプールの反対が同じ1分に入っています。CAP-12 は、新しいパラメータが来る前に、それを動かすための名前を憲法へ書き込んでおく提案でした。DeFi では、新しいドルの入口が増える一方で、一つの入口は確かめるために一度閉じ、別の入口の提案は確かめるための欄を空けたまま賛否を問われています。

市場のほうは、日次の記録で ADA が+9.88%、境界の確定値で+9.84%と、BTC と ETH を大きく上回って上げました。SIPO はこの上げを特定の材料には帰しません。事実として記録し、次のエポックで水準がどう動くかを見ます。

いつも SIPO / SIPO2 / SIPO3 へ委任をいただき、ありがとうございます。委任は、ブロック生成を支えるだけでなく、DRep を通じて判断の重みを託す行為でもあります。SIPO は SPO・DRep・観察者として、結論だけでなく、その結論へ至る理由と、まだ答えの出ていない問いを記録し続けます。k のポールに SIPO の3プールが票を投じるときも、その理由を同じ場所に記録します。

次の節目は、10月7日〜8日の TOKEN2049 シンガポールと、10月10日の東京・八芳園での「Midnight City: Tokyo」です。そして10月12日の朝6時44分頃に、minPoolCost と OpenZeppelin の2件が同時に期限を迎えます。

出典・参照