カルダノの心臓部であるPoSとステーキングの魅力とは
様々な形式のコンセンサス・アルゴリズム
ビットコインなどのプルーフ・オブ・ワーク(PoW)に変わる、暗号業界最高峰の第3世代のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)・チェーンであるスマートコントラクト・プラットフォームのカルダノは、eUTXOなど多くのユニークな機能やメリットを保有しています。
今回はその中でもカルダノの基盤であり心臓部でもあるプルーフ・オブ・ステーク(PoS)とステーキングの仕組み、そのメリットについて、最近のいくつかの記事を紹介しながら掘り下げたいと思います。
分散型システムであるブロックチェーンには、取引の「検証」と通貨の「発行(採掘)」の方法には、さまざまなコンセンサス・プロトコルのバリエーションが存在します。このコンセンサスこそブロックチェーンの心臓部でもあり、その方法によってセキュリティの維持、スケーラビリティの確保、分散化を維持し、エネルギー効率などのバリエーションをもたらしています。
その中で最もよく知られているコンセンサス(合意形成)プロトコルは、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の2つです。このほかにもデリゲート・プルーフ・オブ・ステーク(DPoS)、プルーフ・オブ・オーソリティー(PoA)、プルーフ・オブ・キャパシティ(PoC)、PoUW(Proof of useful work)などがあり、下記のIOGのブログ記事で詳しく説明されていますので、興味がある方はご覧ください。
プルーフ・オブ・ワークとプルーフ・オブ・ステークの主な違い
最も初期のブロックチェーンである第1世代ブロックチェーンのビットコインや、最初のスマートコントラクト・プラットフォームである第2世代のイーサリアムは、プルーフ・オブ・ワークを基盤としていました。
その後スケーラビリティやエネルギー効率の問題を解決するべく登場したのが、第3世代のブロックチェーンで、その代表的なコンセンサスアルゴリズムとしてプルーフ・オブ・ステーク・プロトコルが登場しています。多くの人が早くからPoWの問題を認識しており、2011年にビットコインのフォーラムでプルーフ・オブ・ステークが提案されました。
プルーフ・オブ・ワーク(PoW)は、2009年にSatoshi NakamotoがBitcoinチェーンに適用した、最初のブロックチェーン・コンセンサス・アルゴリズムです。
プルーフ・オブ・ワークは、コンピュータ(マイナー)間の競争によって、適度に難しいパズルを解くことに依存しています。次にクイズの解答を見つけたマイナーは、ブロックチェーン上で新しいブロックを採掘することができ、その見返りとして報酬を受け取ります。
プルーフ・オブ・ステーク(PoS)はプルーフ・オブ・ワーク(POW)よりも新しく、エネルギー消費量が少ないため、より持続可能なコンセンサス・メカニズムとなっています。
例えば、ビットコインのシステムでは、暗号の報酬を得るためにブロックチェーン内のブロックを検証し、アルゴリズムのハッシュをマイニングして解くことで、電力を大量に使用する必要があります。
プルーフ・オブ・ステークは、コンセンサスを通じて、ブロックチェーン資産の保有者は、自分のステークをバリデーター(カルダノではステーク・プール・オペレーターと呼ぶことが多い)に委任することで、オンチェーン取引のセキュリティと検証に参加することができます。これによりバリデーターも資産を保有する参加者も報酬を得ることができます。
わかりやすくいうと、銀行が取引時に手数料を取るイメージで、その手数料の一部がバリデーターとネットワーク参加者(委任者)に支払われるという仕組みです。
以下はIOGブログ『ブロックチェーンの合意形成の仕組み6種類』によるPoWとPoSのそれぞれのメリットとデメリットによる比較です。
PoWのメリットとデメリット
メリット
- PoWチェーンを攻撃するには、ネットワークのコンピューティングパワーの51%をコントロールする必要があり、堅牢なセキュリティを誇ります。
デメリット
- クエリーを解決するためのエネルギー消費量が多いことが、PoWチェーンの大きなデメリットである(すべての採掘者がブロックを採掘するために活発に競争しているため)。
- 採掘者になるには高価で特殊なハードウェアが必要であり、分散化の妨げとなる。
- PoWは、ブロックサイズと作成時間が制限されるネットワーク設計のため、スケーラビリティに限界がある。
PoSのメリットとデメリット
メリット
- 検証者はノードを設置するために高価な専門機器を必要とせず、標準的なコンピュータで十分であるため、分散化が促進される。
- バリデータはリソースを大量に消費するパズルを解く必要がないため、PoSプロトコルは非常にエネルギー効率がよく、持続可能である。
デメリット
- 一部のPoSコンセンサスメカニズムでは、バリデータは少量の資産(プレッジ)をロックする必要があり、一定期間ロックが解除されることはない。
注:これはCardanoには適用されない。 - ステークされた資産の額が大きいバリデータ、または複数のプールを持つバリデータは、取引の検証において大きな影響力を持ち、セキュリティリスクをもたらす可能性があります。
- 一部のチェーンでは、バリデータが不正確な取引を検証したり、他のバリデータと一緒にオフラインになったり、ネットワークを攻撃したりすると、委任者とバリデータがステークした資金の一部を失う(スラッシング)リスクがある。
注:カルダノにはこのようなスラッシングはない。 - アクティブなバリデータの数が少ないPoSシステムや、中央でホストされているクラウドサービスに過度に依存しているシステム(ベアメタルやセルフホスティングのノードと比較して)は、分散化を抑制しています。
カルダノは学術的な査読を受けた研究に基づいた、初のプルーフ・オブ・ステーク・プロトコル
最も代表的なプルーフ・オブ・ステーク・プロトコルがカルダノです。そのネットワークの心臓部であるウロボロス(Ouroboros)は、学術的な査読を受けた研究に基づいており、数学的に証明されたレベルの安全性を持つ、初のプルーフ・オブ・ステーク・プロトコルです。
カルダノのプルーフ・オブ・ステーク・コンセンサス・プロトコルであるウロボロスについて記述した論文は、Crypto 2017で受理されました。その後、この論文は1,300回以上引用されています。IOGはその後、140以上の研究論文を発表し、その多くが査読付きでした。
カルダノがステークプールとデリゲーション(委任すること)を導入し、本格的なステーキングが始まったのは、ByronからShelleyのへアップグレードの時でした。その後カルダノは、日本時間の2020年7月30日木曜日の午前6時44分51秒にバイロンからShelleyにハードフォークし、プルーフ・オブ・ステークを”メインネット”で実現しています。
これによりADAホルダーのコミュニティメンバー全員が、「ステーク」を持つことができるようになり、2021年第1四半期には、ステークプール・オペレーター(SPO)コミュニティが新しいブロックを100%生産するようになりました。
2022年12月現在、3,000以上の運用中のステークプールがカルダノの分散化を維持、開発、貢献しています。現在ADAは120万個のウォレットアドレスからステークされており、ADAの全流通量の71%近くが委任されています。
カルダノとイーサリアムのステーキングの違い
今年入ってイーサリアムは「Merge」ハードフォークに成功し、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)からカルダノと同じプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行しました。これによりETH保有者はステーキングに参加できるようになりました。
ではカルダノとイーサリアムのステーキングには違いがあるのでしょうか?下記はIOGは下記のツィートで、カルダノとイーサリアムのステーキングを比較しながら、両者の違いを紹介しています。
下記に比較表を日本語翻訳してみましたので、ご覧ください。同じプルーフ・オブ・ステーク(POS)でも実際のステーキングには違いがあり、カルダノはより柔軟性に富んでおり、参加者のADAホルダーにとってはシンプルで有利な仕組みが備わっていることがわかります。
カルダノ
- ロックなしでステーク可能
- 好きな金額を好きなだけいつでも出金可能
- 最低ステークなし
- ステークに報酬が追加される
- ADAホルダー自身によるセルフカストディー
- 数千のステークプールから選択可能
- 技術的な専門知識はほとんど必要ない
- *スラッシングなし
- 新規に追加購入したADAは自動的にステークされる
- 重要な情報を開示する必要がない
イーサリアム
- ステークはロックされる
- 出金はまだできません
- 最低32ETH(サードパーティアシスタンスを除く)
- ステークに報酬が追加される
- カストディーはステーキングアドレスまたはサードパーティが管理
- ステークホルダーが検証ノードを設置・運営、または第三者に運営費を支払う
- 技術的専門知識または第三者のいずれかが必要
- 非稼働や設定ミスによる*スラッシング
- 新規に購入したETHは自動的にステーキングされない
- サードパーティが署名鍵を必要とする
*スラッシング:スラッシングとは、バリデータがダウンタイムと二重署名によるプロトコルルール違反で罰せられることで、ステークされたトークンの一定割合を失い、それを焼却するか他のステークホルダーに再分配する事象のこと。
カルダノ・ステーキングのハイライト
上記の通り、カルダノのステーキングの大きな優位性は、ロックなしでステーキング可能だということです。イーサリアムなど他のブロックチェーンには、ステーキング期間は資産はロックされ、ステーキングに必要な枚数もいくつか最低限必要です。
これについてU.TODAYが記事「Cardano Among Top Three Chains with Highest Daily Development Activity」で、ステーキング期間に予測不可能な事態が発生する可能性があるとして、例えば、国家間の緊張、パンデミック、中央銀行による高金利などが挙げられるとし、これらの事象において、ロックされるステーキングでは暗号通貨のボラティリティに対応することはできないと述べています。
そのため、資金がロックされている場合、予期せぬ下落に見舞われる可能性があり、その点で、カルダノの投資家は、ステーキングによって問題を抱えることがなく、ADAをウォレットからいつでも換金出来、ステーキングしたままの状態で、DeFiサービスに接続できるといった自由な流動性を持つことが可能になります。
また、カルダノはステーキングで預けたコインの買い戻し時間も優れており、わずか5日間で、すでに貯蓄した金額に相当する価値を受け取ることができます。
さらに、ステーキング中の暗号の保管についても、常にセルフカストディでその管理は自身に帰属する点(自分のウォレットで管理)を挙げており、FTXクラッシュに見る中央集権によるカストディのリスクがありません。これにより、カルダノのステークプール・オペレーターは委任者の資産を管理することはできないため、自身のADAをどうするか、保管するか換金するかは、常に自分自身の選択で管理することが可能になります。
参考記事
カルダノ・ネットワークはイーサリアムの8倍の非中央集権性を持つ
暗号研究者のSooraj氏によると、カルダノのネットワーク層はイーサリアムのネットワーク層よりも8倍も分散化されているとし、この結論に至った経緯をツィートで解説しています。
まず、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンにおけるバリデータノードの分散性は、ナカモト係数またはMAV(最小攻撃ベクトル)の式で決定されるとし、MAVは、ネットワークを51%支配するために、何人の独立した当事者が共謀しなければならないかの最小値であるとし、カルダノのMAVは24で、イーサリアムのMAVは3であるため、カルダノのネットワーク層が、イーサリアムのネットワーク層よりも8倍も分散化されていることを示していると述べています。
また、Sooraj氏のツィートによると、下記のステーキング・レシオに注目すれば、カルダノはイーサリアムや他のPoSブロックチェーンよりはるかに分散化されていると述べています。
▪️ステーキング比率、
▪️初期コイン分布
▪️中本係数(MAV)
▪️バリデータノードの総数
▪️ステーキングに参加する個々のウォレット
また、分散型レイヤー1ブロックチェーンに近道はなく、カルダノは、最も分散化された安全なブロックチェーンを計画的に構築しており、イーサリアムは「速く動いて壊す」アプローチを取っているとし、それはイーサリアムの非中央集権化を損なわせていると指摘しています。
現在のところイーサリアムのステーキング報酬とETHはイーサリアムにロックされたままであり、引き出しはできません。近々行われる『上海』アップグレードで出金可能になることが予定されています。同様に、イーサリアムのステーキングはLidoやCoinbaseのような中央集権型のステーキングプロバイダーに依存しています。
また、イーサリアムのノードには、ブロックを提案できるノードとできないノードの2種類があるとし、ブロックを提案するノードはイーサリアム上で少数であり、ステーキングされたETHなどの経済資源をコミットする必要があると指摘しています。
さらにステーキング比率を指す、流通している全コインのステーキングへの参加度合いについては、カルダノは71%、イーサリアムは13%となっています。
カルダノの個人ステーキングウォレットの総数は、イーサリアムの「ユニークデポジター」の総数と比較することができ、この点で、カルダノはイーサリアムの14倍もの参加者がいると指摘しています。
下記の関連記事もご参考ください。
ステークプール・オペレーターとADAホルダーが協力してカルダノのネットワークを保護する
カルダノ・ネットワークは、ADAホルダーとステークプール・オペレーターとの共同作業により、保護されています。そしてADAホルダーは、ステーキングしている資産を第3者を介さずに自分のウォレットから直接管理し、ステーキング報酬を受け取りながら、さらにDeFiサービスと接続して、資産を運用することが可能です。こうしたステーキング・システムは、既存の金融システムはもとより他のブロックチェーンシステムと一線を画す最高峰のものだと言えます。
これにステーブルコインが加われば世界最強の分散型金融システムが完成し、現在計画中のスケーラビリティと分散化が進むことで、世界最高峰の分散型の金融システムとなるでしょう。これらは2023年中にほぼ完了するとされており、これによりカルダノ・エコシステムの成長が一気に促進されることでしょう。こうしてカルダノは名実ともに世界最高のブロックチェーン・システムへと一つの完成を見るところまで来ています。
また、持続可能かつ自律的な成長(アップグレード)を可能にする基盤とその設計も、次の第4世代への進化を可能にするカルダノの将来性を担保しており、その土台は揺るぎないところまで来ている考えます。
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
ステーキングについて知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
ステーキング(委任)とは?
カルダノ分散型台帳システムによるステーキングの魅力とその方法:2021版
Q&A:カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
ニュース動向 in エポック379
カルダノ(ADA)、驚くべき開発の動きを見せ、競合他社を大きくアウトパフォームする
暗号分析ポータルのSantimentによると、カルダノ(ADA)は圧倒的に活発に開発されている暗号資産となっています。興味深いことに、このランキングで5位のイーサリアム(ETH)に対して、重要な開発の実装数で35.5%の差をつけています。
また、ProofofGitHubのツィートによれば、月間開発活動でも、カルダノは一位を獲得しています。
カルダノがステーキング・ネットワークの上位にランクイン、報告書で判明
暗号研究者のSooraj氏は、トップ・ステーキング・ネットワークで2位にランクインしているカルダノは、分散型ステーキング・ネットワークでイーサリアムよりも8倍も分散化されている指標を紹介しています。
カルダノ・ネットワークはイーサリアムの8倍の非中央集権性を持つ
暗号研究者のSooraj氏によると、Cardanoのネットワーク層はEthereumのネットワーク層よりも8倍も分散化されていることが判明するかもしれないと、この結論に至った経緯をツィートで強調しています。
アルゴリズムによるステーブルコインはデジテル時代のゴールドスタンダード
カルダノの開発会社であるInput Output Global (IOG)のCEO兼創設者であるチャールズ・ホスキンソン氏はツィートで、カルダノのアルゴリズム・ステーブルコイン『Djed』はデジテル時代のゴールドスタンダードであると述べています。
またそのコンセプトは、国民を不換紙幣から解放する方法であると述べています。
カルダノ(ADA)IO ScotFestでのチャールズ・ホスキンソン氏の基調演説「The Age of Voltaire」全訳 【第六回】37:04~45:50
カルダノ(ADA)を大量に買い占める投資家たち、その思惑とは?
様々なネットワークで主要な暗号投資家の活動を追跡するポータルWhaleStatsによると、Cardano(ADA)は過去24時間にBinance Smart Chainの上位2000人のクジラによって最も買われた資産の1つになり、カルダノが予想外にこの投資家たちの間で勢いを増しています。
【Midnight編】カルダノ(ADA)IO ScotFestでのチャールズ・ホスキンソン氏の基調演説「The Age of Voltaire」全訳 【第七回】45:50~53:49
カルダノのE-UTxOモデルのプログラマビリティ表現力をビットコインとイーサリアムとの対比
カルダノコミュニティを核に開発されたソーシャルコンテンツプラットフォーム「CARDANO SPOT」のβ版がリリース
カルダノコミュニティを核に開発されたソーシャルコンテンツプラットフォーム「CARDANO SPOT」のβ版がEMURGOによりリリースされました。
EMURGOの最新ブログ記事によれば、CARDANO SPOTは、カルダノコンテンツへの投資、配信、消費、収益化のために特別に設計された、ユーザー生成型のインタラクティブなプラットフォームを提供するとのこと。
また、CARDANO SPOTのプラットフォームは、カルダノ・エコシステムの信頼できるソースからの貴重で質の高いコンテンツを集約し、カルダノ・エコシステムの最新動向を伝えることで、カルダノ・エコシステムにおける断片化したコンテンツの問題を解決すると伝えています。
Djedのパブリックテストネットバージョン1.1.1がdjed.xyzで再アクティブ化
Mithril v2248.1リリース
カルダノ 週間開発レポート:2022年12月2日
ハイライト
ステーク駆動型データ拡散のリリース作業が進行中
Laceデスクトップアプリケーションのテスト実施
新MarloweはREST APIのエンドポイント作成
Mithrilに新機能追加
Project Catalystタウンホールが再開
カルダノ・ネットワークの現時点での統計
開始されたプロジェクト:108
開発中のプロジェクト:1149
ネィティブトークン:7.11m トークンポリシー:66011
Plutusクリプト:3944
トランザクション:55.8m
カルダノ(ADA)が2023年暗号通貨市場のハイライトになるかもしれない?
ステーブルコインとカルダノのアフリカ大陸での存在が2023年にカルダノを成長させるかもしれないとU.TODAYが伝えています。