Paima StudioがもたらすトラストレスWeb3ゲーミングの未来
はじめに
今年はDeFiやNFTなどのブロックチェーンがもたらしたWeb3業界において、GameFiが注目されています。特にNFTやマーケットプレィスの導入によるPlay2Earn(P2E)モデルの台頭が、新たなオンラインゲーム市場の可能性をもたらしています。一方短期的な投機によるビジネスモデルが失敗を繰り返しており、持続可能なビジネスモデルの登場が待たれています。そんな中Web3ピュアな進化を牽引するであろう驚くべき進化を遂げた注目のプロジェクトも誕生しています。
今回はWeb3ゲーミングの現状と展望を交えつつ、次世代のWeb3を牽引する全く新しいWeb3エンジン(レイヤー2ソリューション)を発表した、大注目のPaima Studiosの取り組みについてお伝えします。
ブロックチェーンゲームの進化とGameFiの成長
2023年はWeb3がさらに発展し進化を遂げ、多くの既存Web2サービスからの段階的なWeb3への移行が進みつつ、一方ではブロックチェーン業界からWeb3ピュアな最先端のビジネスモデルが登場すると期待されています。
ブロックチェーンはビットコインの分散型暗号通貨の登場に始まり、スマートコントラクトによるDApps(分散型アプリ)の登場、DeFiやNFT、DAOなどの新しい市場の誕生をもたらしてきました。メタバースやオンラインゲーム、さらにはAI技術を取り込みながら進化し、Webそのもののダイナミックなアップグレードが進んでいます。そしてこの動きを俯瞰するならば、ブロックチェーン技術の進化が既存のWebを書き換え、現状のWeb2からWeb3への移行を牽引しています。
こうした中、特に今年はブロックチェーンゲームやGameFiの分野が、技術的な進化と相まって成長し、市場の注目を浴びると多くのメディアが取り上げています。このゲーム分野でもDeFi市場の進化のプロセスと同じように、世界的なビッグプレイヤーによるWeb2サービスからの段階的なWeb3への移行、規模は小さいもののブロックチェーン業界からのWeb3ピュアな最先端のビジネスモデルの登場といった、二つの勢力とプロセスが業界を牽引すると考えられます。一方でDeFi市場の進化のプロセスには、持続可能性といった面などで、多くの失敗や反省すべき点があったことも事実で、ゲーム市場にも同じことが起こる可能性が十分にあるともいえます。
今年はブロックチェーン技術によるNFTやマーケットプレィスを取り込んだ、より持続可能なゲームが登場するとの見方があります。将来的にはAIエンジンなど新技術を取り込みながら、ゲーム業界は持続可能なエコシステムの確立を目指して進化することになるでしょう。
ますます成長するゲーム市場
コンサルティング会社のPwCの2021年に発表されたレポート『Perspectives from the Global Entertainment & Media Outlook 2022–2026』は、若者を中心としたゲーム市場は最も成長を遂げている分野であると報告しています。2021年のビデオゲームの総収入(esportsを除く)は2142億米ドルに達し、2026年にはCAGR8.4%で321億米ドルに増加する見込みであるとし、ますますゲーム市場は優勢になると分析しています。
また、ゲーム市場の分野は、予測期間中に1,000億米ドル以上の収益をベースに追加するわずか3つのうちの1つとなっており(他の分野はインターネット広告とインターネットアクセス)、2026年には10.9%となり、ニッチな分野がよりメインストリームになると予想しています。さらに没入型体験やバーチャルアイテムを提供するゲームは、メタバースや次世代のデジタル広告、エンターテインメント、ブランド体験への道も切り開いていると報告しています。
ブロックチェーンがもたらすゲーム市場の可能性
PwCのグラフを見ると、特にソーシャルゲームやカジュアルゲームのブームが圧倒的に後押ししており、ソーシャルゲームの分野はP2P技術によるWeb3への移行が進めば進むほど、ブロックチェーン技術を採用したゲームの割合が大きくなっていくことが予想されます。
とはいえ、ゲーム市場におけるブロックチェーンゲームの割合は少なく、まだ始まったばかりです。
しかしブロックチェーンゲームは、Web3の発展と成熟に伴い、例えばNFTやマーケットプレィスなどを取り込みながら、Play2Earn(P2E)モデルを導入するなどして、短期的な投機ビジネスモデルから脱却し、ゲーム市場の更なる成長と持続可能性をもたらす存在になると考えられます。
トラストレスWeb3ゲーミングを牽引するPaima Studio
そんな中dcSparkチームのNicolas Arqueros氏とSebastien Guillemot氏、Robert Kornacki氏の3人が、2022年4月5日に新たにWeb3のゲーミングを牽引するためのPaima Studioを立ち上げました。
ちなみに、名前のPaimaはArapaima(アラパイマ)という魚がベースになっているそうで、ロゴが魚の形になっていますね。
dcSparkは、分散型オープンソースプロジェクトへの貢献を通じ、複数のエコシステムの構築をサポートしています。また、カルダノ・エコシステムにおけるスマートコントラクトをフルサポートするマルチチェーンWeb3ウォレットであるFlintや、主要なブロックチェーン (Algorand、Solana、Cardano) のパフォーマンスを強化する革新的なプロトコルであるMilkomedaなどは、カルダノ・コミュニティの間では最も馴染みのある開発会社の一つとなっています。
Paima Studioはブロックチェーンやゲーム業界を、時代遅れのWeb2.5モデルから、ロールアップ関連技術を用いたトラストレスでパワフルなWeb3の未来への移行をサポートするために設立されました。
実際にWeb3の未来とはどういったものでしょうか?実際にPaima Studiosの取り組みとその可能性について見ていきましょう。
Web3ゲーミングのプリミティブな研究から生まれたPaima Engine
Paima Studiosは、新しいWeb3エンジンでレイヤー2ソリューションのPaima Engineをリリースしました。Paima Studiosのブログによれば、Paima Engineは、ブロックチェーンゲーミングの世界で真に斬新なものを創り出すことを目的に、従来のWeb2.5(中央集権型)ブロックチェーンゲームと比較して、全く新しいカテゴリのトラストレスWeb3ゲーミングのプリミティブな研究と実装から構築されたソリューションです。
そして、Paima Engineは、アプリケーションがポイントシステム、ユーザー履歴、ゲーム進行などのデータを、システム上のアイデンティティを表すプレイヤー保有NFTに関連付けることができるステートフルNFT(Stateful NFT)などのいくつかの革新的な技術をもたらしました。
また、Paima Engineは、数百万人規模のユーザーに対応可能となっておりゲーミングに必要なスケーラビリティを最高レベルで実現しています。
またSolidityなどブロックチェーンに特化したプログラミング言語の知識を必要とせずに開発が可能で、ブロックチェーンを知らない既存の多くのゲーム開発会社の参入を容易にしています。事実、後ほど紹介する「Jungle Wars: NFT Rumble」ゲームは、Paima Engineで開発され全てC#で書かれています。
さらに、Paima Engineは現在、Milkomeda C1ブロックチェーンに展開されていますが、近い将来、Astar、Algorand、Cardano、Oasys、Ethereumなど複数のチェーンに対応することを目指しています。
Paima Studiosの共同創設者であるRobert Kornacki氏は「Paima EngineとステートフルNFTの潜在的な可能性を示し、これまで不可能だった全く新しいWeb3体験をユーザーに提供できる」と述べています。
Paima Engineは以下の機能と利便性を提供します。
- 既存の環境(Unityなど)を使ったまま、Web3に乗せられる
- アプリ内のデータをユーザーが持つNFTと自由に紐づけられる
- 複数のチェーンを一つのアプリで対応できる
- ユーザーがアプリ内のNFTを他のdAppsと連携させられる
- 大体スマートコントラクトを変えずにアプリを更新できる
- L2ソリューションのおかげで、取引代を安く提供できる
- ブリッジのリスクなどなしでアプリを提供できる
- 今後の技術(ゼロ知識証明など)と組み合わせられる
次世代のNFTs 2.0:ステートフルNFTとは?
ステートフルNFTは、次世代のNFTs 2.0で、数ヶ月の研究開発から生まれたNFTの新しい独自のクラスです。ステートフルNFTは、Web2.5ゲームのNFTと比較して、長期的な価値を提供し、ゲーム開発者のビジネスの成功や失敗に関係なく状態を維持することが可能で、文字通りオープンな持続可能性をもたらすことを可能にするものです。
既存のNFTとは異なり、ステートフルNFTはゲーム状態を持ち、NFTが統計/機器/成果を獲得し、さらにレベルアップ(進化)できる生きた全く新しい世界を開く可能性をもたらすものです。この画期的な次世代の規格であるステートフルNFTは、Paima EngineによってNFTにデータを連携させます。PaimaはステートフルNFTについて、NFT技術の世界で巨大な前進であるとし、次のように述べています。
つまり、ゲームの開発会社が倒産しても、Paima Engineで作られたゲームは存在し続け、ゲーム自体が永遠に継続できるオープントラストレスプロトコルであるため、ステートフルNFTは価値を持ち続けます。現在のほとんどのブロックチェーンゲームのように開発会社によるプライベートサーバは必要はありません。
ステートフルNFTの驚くべき優位性
ステートフルNFTはゲームで使用でき、セカンダリーマーケットで取引することも可能で、基本的にはユーザーのウォレットから移動することはない(オンチェーンに保存)ため、ハッキングやブリッジなどのバクにより失うことはないとしています。
また、供給量にも上限がないため、誰もが公平にゲームを楽しむことができます。
さらにNFTは価値を発生させ高めます。ゲームキャラクターや収集品は、デジタル資産、デジタル・アイデンティティとなり、使用することで価値が発生します。例えば、ステートフルNFTは何週間もプレイすることで高いステータスを得ることができ、NFTの価値を本質的に高め、トップレベルのトーナメントへの参加など新たな機会の扉を開くことができるとのこと。
ゲーム資産を最終的に自分のものにすることができ、これこそが持続可能性を保証するものとなります。
さらに、ステートフルNFTのステータスやデータはすべてオンチェーンに保存されます。つまり、中央集権的なプライベートサーバーがハッキングされたり、オフラインになったりして、現在のほとんどのブロックチェーンゲームのように突然自分の資産が使えなくなったりすることはありません。
Paima Engineを使用して構築された最初のゲームである「Jungle Wars: NFT Rumble(ジャングルウォーズ:NFTランブル)」のローンチを発表
Paima Studiosは、Paima Engineを使用して構築された最初のゲームである「Jungle Wars: NFT Rumble(ジャングルウォーズ:NFTランブル)」のローンチを1月10日にMilkomeda C1メインネットで開始したことを発表しました。
プレスリリースによれば、「Jungle Wars: NFT Rumble」は、6種類の獰猛なジャングルの動物から選択し、オンラインで他のプレイヤーと戦うターン制の戦闘ゲームとのこと。このゲームのユニークなデザインは、ブロックチェーンにプレイヤーのすべての動きが記録され、再生可能であることを保証するとしています。
これにより、プレイヤーの勝敗や引き分けなどのゲーム記録をオンチェーンで完全に発見することができ、ステートフルNFTと組み合わせることで、プレイヤーが楽しめる全く新しいゲーム体験の扉を開くことができるとのことで、これによりトラストレスなWeb3アプリケーションの新基準へトラストレスなWeb3の未来がすぐそこにあることを示し、プレイヤーにブロックチェーンゲームの新しいビジョンを提供します。
公式サイト:https://paimastudios.com
今後のPaima Studioの展開:よりピュアなWeb3へ
Paima Studioは、2023年中のロードマップとして、第二アプリ(ゲーム)、第三アプリ(ゲーム)をリリーする予定で、第三アプリはPaima Engine外部への公開も予定しています。
また、クロスチェーンを使用可能にするPaima Whirlpool、PaimaステートフNFTマーケットプレイス、モバイルSDKのリリース、スケーラビリティ用のL3 SDK Paimaメタレイヤーのリリース、zk L3 SDK(Paima zk)の開発開始を2023年度中に行う予定とのことです。
Paima Studioは正直これほどまでに凄いソリューションであるとは思いませんでしたが、Web3ピュアなトラストレスWeb3ゲーミングの未来がすぐそこまできていることを十分に実感させるものです。
Paima StudioのチームのNicolas Arqueros氏とSebastien Guillemot氏、Robert Kornacki氏の3人の素晴らしい活躍には、本当にワクワクさせられますね!
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