ネットワークの分散化『ダイナミックP2P』がもたらすもの
ネットワークの分散化:ダイナミックP2Pリリース
2023年3月16日、ついにカルダノのダイナミック(Dynamic)P2Pネットワーキングがメインネットで利用可能になり、分散ノード間の自動ピア選択と強化された通信ネットワークが提供されました。
カルダノの開発会社であるIOGは、ダイナミック(Dynamic)P2Pネットワーキングを含むnode v.1.35.6をリリースしました。この新機能により、ピアの選択プロセスが自動化され、分散ノード間の通信が強化され、リレーまたはブロック生成ノードの実行プロセスが簡素化されます。
ダイナミック(Dynamic)P2Pのリリースにより、ステークプール・オペレーターの静的構成や手動入力の必要性がなくなりました。SPOコミュニティは、P2Pトポロジーモードを使用するようにリレーの更新を行うことで、P2P機能をテストするように推奨されています。
ダイナミックP2Pは、通信遅延を最小限に抑え、障害、容量制限、または悪意のある動作に対するネットワークの耐久性を最大化するための、カルダノのネットワーキングプロトコルの進化の一部です。
ネットワークの分散化は、カルダノの分散化の三つの柱の一つとなる重要な進化であり、ネットワークのパフォーマンス、強靭性、分散性をさらに向上させます。
- コミュニティーによるブロック生成:完了
- ネットワークの分散化:ダイナミックP2Pをリリース、更なるネットワークの分散化の機能追加を計画中
- 分散型ガバナンス:現在進行中
分散化はカルダノが最も注力するものの一つで、カルダノ・ネットワークを利用するコアバリューとして、多くのユーザーを獲得する原動力となっています。世界各国の政府規制当局機関が暗号資産への規制と圧力を強める中、カルダノの存在価値は極めて高度な分散化技術の導入によって、よりその存在感を増してくることになります。
関連記事
ダイナミックP2Pがもたらしたより高度な分散化
カルダノは、2021年4月1日午前6時43分51秒エポック257(シェリーエポック49)を境界に、ブロック生成を完全にコミュニティの手によってなされ、100%完全分散化を実現しています。これは、カルダノが完全自律型分散台帳システムになるための一つ目のマイルストーンでした。
そして現在カルダノはブロック生産において完全に分散化された状態にあるため、ネットワークの接続性も分散化されることが不可欠でした。 カルダノでは、ダイナミックP2P接続の自動接続機能搭載によりこれを実現したことで、二つ目のマイルストーンを実現しています。
接続の手動から自動化をもたらすことは、P2Pネットワークの公平性を実現します。
P2Pネットワークの公平性は、SPOが同じ設定・構成で実行できるようにすることで、分散化された環境で同等の能力を誰もが簡単に確立する方法をもたらしました。これにより持続可能性を高めるものになり、カルダノのより高度な分散化を実現するものです。
この大きなマイルストーンとなる改良は、プロトコルの変更を必要とせず、ピアの選択と通信の自動化を可能にすることで、ネットワークの望ましい回復力を実現するものです。
ダイナミックP2Pを手がけたカルダノの開発会社であるIOGによれば、ネットワークの構築、維持、サポートにはガバナンスが重要な役割を果たしていますが、分散化があってこそ、すべてのステークプールに平等な機会を保証する真のネットワークの持続可能性が実現します。そのため、今回のダイナミックP2Pの目的は、すべてのステークプールが同じ構成で実行できるようにして、分散化された環境で同等の能力を確立することでした。
ネットワークの自動化がもたらす様々なメリットとは?
Dynamic P2Pリリースには、全体的なセキュリティ、拡張性、パフォーマンスが向上するなど、さらにいくつかの利点があります。
- Dynamic P2Pのリリースにより、全体的なネットワーク・サービス妨害(DoS)攻撃または分散型サービス妨害(DDoS)攻撃に対する抵抗力が向上し、SPOがブロック・プロデューサーとリレーを完全に保護することが容易になった。
- ブロック・プロデューサーは公開されていない他のSPOとのプライベート・ピアリング接続を確立することもできるようになり、ネットワーク全体へのDDoS攻撃に対する追加的な耐性が提供される。
- Dynamic P2Pによるネットワーク最適化手順は、理論上の最適解にかなり近づく結果をもたらすことができる。
- ダイナミックP2PによりSPOリレー間の自動接続が可能になるため、これまでのハイブリッド設定で必要となる静的設定や手動によるSPOメンテナンスが不要になる。
- ネットワークの分散化が向上し、ノードが増えることでセキュリティが向上する。
- 将来、エンドユーザー(ウォレット)にも同等の自動接続性を提供することで、カルダノ・ネットワーク全体が同じネットワーク環境を持ち、将来にわたって公平な接続が可能になる。
このリリースでは、例えば、全体のネットワーク・サービス妨害(DoS)攻撃または分散型サービス妨害(DDoS)攻撃に対する抵抗力をもたらします。これは、SPOがブロック・プロデューサーとリレーを完全に保護し、インターネットの残りの部分からファイアウォールで遮断することが容易になったためです。これは、ファイアウォールを設定して、すべての受信接続をブロックし、ブロック・プロデューサーからSPO自身のリレーへの出力接続を許可することで可能になります。
公開リレーに加えて、ブロック・プロデューサーは公開されていない他のSPOとのプライベート・ピアリング接続を確立することもできます。これにより、ネットワーク全体へのDDoS攻撃に対する追加的な耐性が提供されます。
これらの変更により、ネットワークのパフォーマンスと拡張性が向上しています。これは、P2PネットワークがDynamic P2Pリレーで構築され、最適解に近い最適化手順に従うためであり、IOGのシミュレーションデータがそれを裏付けているとのことです。
純粋にローカルな情報に基づくこのDynamic P2Pによるネットワーク最適化手順は、理論上の最適解にかなり近づく結果は、ネットワーク上のブロックのブロードキャストにかかる時間を非常に短縮する優れた結果をもたらします。これは、手動で行う場合よりも遅延が増加する可能性がある他の方法と比較して、より良い結果をもたらすことになります。
さらに、この作業を手動で実行する必要がなくなったことで、このDynamic P2Pリリースは、ブロック拡散時間というブロックをネットワーク全体に配信するのにかかる時間に関して包括的な結果、つまりスケーラビリティの改善を提供することにもつながり得るとのこと。
また、ダイナミックP2Pにより、自己検出と最適化によってSPOリレー間の自動接続が可能になるため、ハイブリッド設定で必要となる静的設定や手動によるSPOメンテナンスが不要になります。これにより、ノードやルーティングの障害などの変更に対してネットワークのパフォーマンスと復元力が向上し、分散された数千ものノード間の情報フローも合理化され、より分散性がもたらされます。そしてネットワークの分散化が向上し、ノードが増えることでセキュリティがより向上されます。
このように、今回はリリースは、ステークプールのネットワークの自動化ですが、カルダノ・ネットワークのセキュリティ、パフォーマンス、スケーラビリティ、高度な分散化をもたらしていることは、注目に値します。そして将来的にはエンドユーザー(ウォレット)にも同等の自動接続性を提供することで、カルダノ・ネットワーク全体が同じネットワーク環境と後世で公平な接続が可能になるとのことです。
カルダノダイナミックP2Pの技術的な詳細は、IOGテクニカルアーキテクトであるダンカン・カウツ(Duncan Coutts)氏による、最新のカルダノ・ネットワーク・エンハンスメントであるDynamic P2P(ダイナミック・ピア・ツー・ピア)について解説した動画『Cardano Technical Briefing: Dynamic Peer-to-Peer by Duncan Coutts』の翻訳記事とIOGブログ『IOGブログ:ダイナミックP2Pがメインネットで利用可能に』をご覧ください。
カルダノが目指す更なる完全分散型システムの実現:ダイナミックアベイラビリティ
カルダノは、完全分散型システムの実現を目指し、さらなる探究と進化を続けており、ダイナミック・アベイラビリティの重要性についても注目しています。
カルダノが実現しようとしているダイナミック・アベイラビリティは、ネットワークの活性化を提供し、真の分散型システムにとって不可欠です。ノードが簡単にシステムに再参加できるようにするために、ネットワークを観察し、生成ブロックを知るだけで、システムが動的に可用である必要があります。しかし、信頼できるピアによって提供されるチェックポイントの要件のような、さらなる信頼の前提は、分散化のビジョンに反しています。
2018年、IOGの研究は、上記の要件を証明的に満たすOuroboros Genesisアルゴリズムを発表し、分析しました。Genesisアルゴリズムは、基本的にPraosに斬新なチェーン選択ルールを追加したもので、信頼できるアドバイスや、過去の稼働率の知識などの助けを必要とせずに、当事者が安全にブロックチェーンに参加してゼロからブートストラップすることを可能にします。
Ouroboros Genesisは2023年度中にリリースされる可能性もあり、鋭意開発が進んでいます。
このようにカルダノは、より高度な技術を導入することで、ますます高度なセキュリティ、スケーラビリティ、分散性を導入していくこになるでしょう。
参考記事
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
ステーキングについて知りたい方は、下記の記事をご参考ください。
ステーキング(委任)とは?
カルダノ分散型台帳システムによるステーキングの魅力とその方法:2021版
Q&A:カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
ニュース動向 in エポック402
「カルダノと分散型ガバナンス」デジタル時代における民主主義の回復を目指す透明性に満ちた力の源
今回はデジタル時代における民主主義の回復と分散型ガバナンスについて考え、世界の現状と問題点をあげ、カルダノの分散型ガバナンスの取り組みについて最新情報とともにお届けします。
Coinbaseは、Tezos、Cosmos、Solana、およびCardanoのオンチェーンステーキングに移行へ、これにより分散化が進む
Coinbaseは、Tezos、Cosmos、Solana、およびCardanoのオンチェーンステーキングへの移行を発表しました。これにより、ステーキングの分散化が進み、ユーザーはCoinbaseではなくプロトコルから直接報酬を受け取ることができます。Coinbaseは、ユーザー、バリデータ、プロトコルをつなぐサービスプロバイダーとしてのみ機能します。Coinbaseは、ステークで得た報酬からCoinbaseの透明な手数料を差し引き、報酬を渡すとのこと。
カルダノ(ADA)が次の強気相場で15ドルに?! イーサリアムのデータをもとにアナリストが大胆予想!Hydraのメインネットのベータ版リリースも間近!
IOGブログ:Symphonyの元COOが、カルダノの開発会社IOGの新しいMidnightブロックチェーンプロジェクトのCEOに就任
カルダノの開発会社であるInput Output Globalが、開発中のデータ保護プロトコルであるMidnightの新しいCEOとして、Eran Barak氏を任命しました。Barak氏は、Symphony、Amdocs、Thomson Reutersでシニアポジションを歴任し、幅広い金融サービスの経験を持っています。
カルダノADA24時間で2040億トークンが取引される、カルダノDeFiのTVL(ADA)も史上最高を更新
カルダノADAが24時間で2040億ADAトークンが取引されるとWatcherGuruが伝えています。
DeFiLlamaによれば、カルダノDeFiのTotal value locked(TVL)はADA換算で384.42mを記録し史上最高を更新しており、確実に成長を遂げています。さらに現在カルダノADAはDeFiのTVLランキングでは19位となっており、こちらも昨年の26位付近から日を追うごとに順位をあげています。
銀行規制当局は憲法違反、彼らの行動を調査するよう求める:チャールズ・ホスキンソン氏動画『Cooper and Kirk Choke Point 2.0』
チャールズ・ホスキンソン氏は自身の動画『Cooper and Kirk Choke Point 2.0』を公開し、法律事務所Cooper and Kirkによる「チョークポイント」と暗号資産業界への影響についての35ページの文書について話しています。
サークルか?ピラミッドか?21世紀の5つの柱とブロックチェーンの存在理由について語る:チャールズ・ホスキンソン氏動画『The Five Pillars of the 21st Century』
チャールズ・ホスキンソン氏は、自身の動画『The Five Pillars of the 21st Century:21世紀の5つの柱』を公開し、21世紀の人類を定義すると考える5つの柱であるAI、量子コンピュータ、合成生物学、ナノテク、そしてブロックチェーン技術について語り、なぜブロックチェーンを構築するのか?その理由を説明しています。
EMURGO:タイ最大の仮想通貨取引所Bitkub ExchangeとBitkub Academyと戦略的パートナーシップを発表
カルダノブロックチェーンの商業部門であるEMURGOは、タイ最大の仮想通貨取引所であり、トップのデジタルアセット教育ハブであるBitkub ExchangeとBitkub Academyと戦略的パートナーシップを発表しました。
Genius Yieldは、カルダノ・コミュニティのためにPlutusアプリケーションバックエンドツール『Atlas』をオープンソース化
DeFiプラットフォームであるGenius Yieldは、カルダノ・コミュニティのために、Haskellで記述されたPlutusアプリケーションバックエンドツールであるAtlasをオープンソース化しました。