Cardanoの進化と未来:チャールズ・ホスキンソンが語るロードマップと予算戦略
2025年以降、Cardanoはどのように進化していくのか?その鍵となるのが、Ouroborosの進化、マルチリソース・コンセンサス、そしてAVS(アクティブ・バリデーテッド・サービス)です。チャールズ・ホスキンソン氏は、最新の動画でこれらの技術と、それらを支える予算について詳しく解説しました。
Ouroborosの進化とLeiosの登場
Cardanoの基盤となるOuroborosは、世界初の数学的に証明されたプルーフ・オブ・ステーク(PoS)プロトコルです。2015年に構想され、2017年に最初のバージョンが誕生しました。そして、2020年以降、本格的な最適化が進められています。
その集大成として「Leios(レイオス)」が開発されており、2025年以降に本格実装される予定です。Leiosは単一シャード型のプロトコルとしては最速レベルの性能を持ち、Cardanoの取引処理速度とスケーラビリティを大幅に向上させる技術となります。
しかし、暗号通貨業界は急速に進化しており、Ouroborosだけでは対応しきれない新たなニーズが生まれています。それを補うために考えられているのが、次の2つの技術です。
1. マルチリソース・コンセンサス
暗号通貨のコンセンサスメカニズムは、従来のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)やプルーフ・オブ・ワーク(PoW)だけではありません。近年、新たなコンセンサス手法としてマルチリソース・コンセンサスが注目されています。
これは、複数の異なるアルゴリズムを並行して動作させることで、以下のようなメリットをもたらします。
- ネットワークのセキュリティ強化:もしPoSが攻撃されたとしても、他のリソース(例:ハッシュパワー)が補完的に機能する。
- 多様な参加者の受け入れ:より多くの人々がコンセンサスプロトコルに参加できる。
- 新たな収益源の創出:PoS以外のリソースも活用することで、ステークプール運営者に追加の報酬がもたらされる。
Cardanoでは、「Minotaur(ミノタウル)」というプロトコルを開発し、このマルチリソース・コンセンサスの研究を進めています。
2. AVS(アクティブ・バリデーテッド・サービス)
もう一つの大きなトレンドがAVS(Actively Validated Services)です。これは、Cardanoの高いセキュリティを他のプロジェクトに販売するという新しいコンセプトです。
例えば、「EigenLayer」などのAVSプロジェクトは、既存のブロックチェーンのセキュリティを利用して、新しいネットワークの安全性を確保する仕組みを提供しています。Cardanoは、世界で最も安全なPoSプロトコルの一つとされており、このセキュリティを貸し出すことで新たな収益を得ることができるのです。
このモデルでは、以下のような仕組みが採用されます。
- Cardano上にスマートコントラクトを配置し、AVSの基盤を作る。
- Cardanoネイティブトークンと、外部ネットワークのトークンを統合。
- ステークプール運営者が外部ネットワークのセキュリティを提供し、報酬を受け取る。
- Cardanoトレジャリーにも利益が還元される。
この仕組みを導入することで、Cardanoのステークプール運営者やADAホルダーに新たな収益の機会を提供できるようになります。
Cardanoの未来:成長か停滞か?
これらの新技術を導入するかどうかは、コミュニティの判断に委ねられます。ホスキンソン氏は、「CardanoはBitcoinのように既に十分なネットワーク効果を持ち、進化を止めることができるのか? それとも、ネットワークを10倍、100倍に成長させるために進化し続けるべきなのか?」と問いかけます。
予算案の中には、これらの新技術の研究開発資金が含まれています。もし、この方向性が適切でないと判断されるなら、これらの研究を見直すことも可能です。しかし、暗号通貨業界がAVSやマルチリソース・コンセンサスの方向へ進む中で、Cardanoが停滞すれば競争力を失うリスクもあります。
この決断は、コミュニティがどのような未来を望むかによって変わります。
まとめ
チャールズ・ホスキンソン氏は、Cardanoのロードマップについて次のような重要なポイントを述べました。
- Ouroborosの進化:2025年以降に「Leios」が登場し、スケーラビリティが向上。
- マルチリソース・コンセンサス:PoSに依存せず、より多様なアルゴリズムでセキュリティを強化。
- AVSの導入:Cardanoのセキュリティを他のブロックチェーンに提供し、新たな収益モデルを確立。
これらの技術を推進するには、適切な資金配分と開発計画が必要です。今後のCardanoの進化に対して、コミュニティはどのような決断を下すのか? 2025年はCardanoにとって、重要な分岐点となる年になるでしょう。
あなたはCardanoの未来に何を望みますか?
ホスキンソン氏は今後もロードマップに関する議論を続ける予定です。最新情報をチェックし、ぜひコミュニティの一員として議論に参加しましょう!
以下はチャールズ・ホスキンソン氏公開動画「Not Cardano」を翻訳したものです。
チャールズ・ホスキンソン氏動画「Not Cardano」全翻訳:チャールズ・ホスキンソンが語るロードマップと予算戦略

こんにちは、チャールズ・ホスキンソンです。暖かく晴れたコロラドから生配信しています。今回は二本立ての動画ですが、特にこの動画は実践的な内容です。
これは予算に関するもので、何度も話題に上がっている問題です。人々が疑問や懸念を抱いている点について、明確にしておきたいと思います。また、ロードマップに関する提案について一連の動画を制作する予定です。これにより、現在進行中の事象を理解しやすくなるでしょう。
では、画面を共有して、ホワイトボードを使った解説を行います。
まず、ある方から「フィル、あなたの指摘は的確です」とのコメントをいただきました。私自身、考えを急ぎすぎてまとめてしまったと感じています。予算項目を読み進める中で、パートナーチェーンやCardano以外の研究に関連するものに納得がいかなかったのです。例えば、「Proof of Useful Work(有用な作業証明)」や「マルチリソース・コンセンサス」などです。なぜなら、これらはCardanoのトレジャリー(財務資金)を使って、Cardanoとは直接関係のないものに資金を提供するように見えたからです。
そこで、ホワイトボードを開いて、この点について詳しく話していきます。
まず最初に「Ouroboros(ウロボロス)」について説明しましょう。Ouroborosは技術的に非常に優れたプロトコルです。これは、最初に数学的に証明された安全なプルーフ・オブ・ステーク(PoS)システムとして誕生しました。2015年に構想され、2017年には最初のバージョンが完成しました。そして、2020年ごろから本格的に強化が進んできました。
現在、Ouroborosの研究第一世代の集大成として「Leios(レイオス)」という技術が存在します。これは、単一シャード型のOuroborosの最後のマイルストーンとなるもので、2025年以降に本格実装される見込みです。具体的な時期は、投入するリソースやプロトタイプ開発の進捗次第で変わりますが、本質的に「1-Δプロトコル」と呼ばれる方式を採用し、単一シャード型のシステムとしては最速レベルのものになります。
この10年間で非常にハードな研究が進められてきましたが、同時に暗号通貨業界では2つの重要なトレンドが生まれています。
1. マルチリソース・コンセンサス
現在、暗号通貨業界では「マルチリソース・コンセンサス」という考え方が広がっています。これは、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)だけでなく、異なるアルゴリズムを並行して運用するという発想です。
数年前、私たちは「Minotaur(ミノタウル)」というプロトコルを開発しました。これは、マルチリソース・コンセンサスの基本概念を確立するためのものです。「Leiosの次は何か?」という問いに対して、もしこの方向に進むとすれば、Cardanoは複数のリソースを活用できるようになります。
このリソースは、ネットワークの使用状況に応じて選択可能となり、新たな収益源を生み出します。さらに重要なのは、ネットワークの包摂性(inclusivity)と耐障害性(resilience)を向上させることです。
例えば、仮にPoSが攻撃された場合を考えましょう。米国政府がADAを大量に買い占め、51%攻撃を仕掛ける可能性もあります。しかし、もしPoS以外にハッシュパワーなど他のリソースも使えるなら、攻撃への耐性が強化されます。
「Proof of Useful Work」や「Minotaur」といった研究は、こうした可能性を探るためのものです。実際、2015年にOuroborosの研究を始めた際、多くのアイデアがすぐには採用されず、2019年後半から2020年にかけてようやく実装されました。そして、現在もさらなる進化が進んでいます。
2. AVS(アクティブ・バリデーテッド・サービス)
もう一つの重要なトレンドは**AVS(Actively Validated Services)**です。これは、Cardanoのセキュリティを他のネットワークに販売するという新しい概念です。
例えば、「EigenLayer(アイゲン・レイヤー)」などが有名なAVSシステムとして知られています。PoSの仕組みは非常に安全ですが、この高いセキュリティを他のプロジェクトに貸し出すことで収益化できるのです。
なぜなら、高いセキュリティを備えたブロックチェーンをゼロから構築するには、数百億円($25B)規模のコストがかかるため、新興プロジェクトにとっては莫大な負担になります。そこで、Cardanoが提供するAVSを利用すれば、高い安全性を低コストで確保できるのです。
これが「パートナーチェーン」の基本構想です。仕組みとしては、以下のようになります。
• Cardano上にスマートコントラクトを配置
• Cardanoネイティブトークン(ADA)と、外部ネットワークのネイティブトークンを統合
• Cardanoのバリデーター(ステークプール運営者)がこれらの外部ネットワークのセキュリティを提供
• 報酬として、AVSの収益がCardanoのステークプール運営者やトレジャリーに分配される
これにより、Cardanoのステークプール運営者は複数の収益源を持つことができるようになります。また、ADAホルダーにもAVSからのリワードが還元されるため、ネットワーク全体が成長する仕組みになります。
このように、Cardanoを「AVSプラットフォーム」として機能させることで、数十億ドル規模の市場価値を創出する可能性があります。
このような研究が含まれているため、予算案には革新的な要素が多く含まれています。しかし、「これがCardanoなのか?」という疑問を持つ人もいるでしょう。それは正当な問いです。
しかし、私たちが直面している現実は、Cardanoがこのまま成長を止めるべきなのか、それともネットワークを10倍、100倍の規模へ拡大するために新しい取り組みを進めるべきなのかという選択の問題です。
今月はロードマップについてさらに詳しく話していきますので、ぜひ考えてみてください。最終的には、コミュニティがこの方向性を支持するかどうかによって決まります。
それでは、今夜はこの辺で。ありがとうございました。