世界が動いた5日間——Midnightローンチ・ガバナンス・そしてCharlesの宣言

序章:ビジョンと行動が同時に動いた5日間
エポック614で、私たちは「AIエージェント経済の夜明け」を見ました。
エポック618では、国家・AI・ブロックチェーンが交差しながら、新しい金融文明の設計図そのものが描かれ始めていることを確認しました。
エポック619では、その設計図が制度に変わり始めた瞬間を見ました。SECとCFTCの暗号資産分類、Nasdaqのトークン化証券承認。「選別の時代」が始まったことを確認しました。
そしてエポック620では、AIエージェントが実際にブロックチェーン上で動き始めた現実を見ました。MCPという一つのプロトコルが、3ヶ月で業界標準になり、Cardanoでは6つ以上のプロジェクトがMCPを実装しました。
概念 → 設計図 → 制度 → 実装。
エポック621で起きたことは、この流れの次のフェーズです。
行動。そして、歴史的なローンチ。
3月30日、Midnightメインネットがローンチしました。第4世代ブロックチェーンを謳うプライバシーL1が、ついに本番環境で動き始めました。Google Cloud、Worldpay、MoneyGram、Bullish、eToro、Pairpoint by Vodafoneなど世界的機関がフェデレーテッドノードパートナーとして参画し、midnight.funエコシステムポータルも同時公開されました。
チャールズ・ホスキンソン氏はこの5日間で4本の動画を公開しました。Midnightのメインネット最終段階、英国規制銀行との提携、業界へのリセット宣言、そして337ページのZK入門書の無料公開。8年間の開発が結実する瞬間に、彼が語ったのは技術の詳細ではなく、「原則に立ち返ろう」というメッセージでした。
同じ5日間で、SIPOはDRepとして5つのガバナンスアクションに投票しました。Budget Process Framework、DeFi Liquidity、Dingo、Orion Fund、Catalyst管理移行。ガバナンスが「議論」から「行動」に移った5日間です。
エポック620で「AIエージェントがチェーンを選ぶ」と書きました。
エポック621は、選ばれたチェーンの中で、人間が意思決定を始めた5日間です。
関連ツイートURL
・Daily Intel 3/30|CFが3投票YES https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2038393229314589069
・Midnight Deep Dive — フェデレーテッドmainnet最終段階 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2038086349090337250
・Intersect Weekly Update #104 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2038048667257745885
・チャールズ動画「Weekly Rollup」全翻訳 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2037695924106109090
・チャールズ動画「I Wrote a Book」全翻訳 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2037714628722278732
・チャールズ動画「Welcome Monument」全翻訳 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2036947440777515386
・BTC-ADA Atomic Swap初成功 https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2037681766778548472
・Midnightのメインネットがローンチ https://x.com/SIPO_Tokyo/status/2038620357645742442?s=20
第1章:チャールズが語った4つの動画
この5日間でチャールズ・ホスキンソン氏が公開した動画は4本。それぞれが独立した話題を扱っているように見えますが、並べてみると一つのストーリーが浮かび上がります。
Midnight Launch Week(3月24日)——「スペースシャトルの着陸」
最初の動画で、Hoskinson氏はMidnightのローンチを「スペースシャトルの着陸」に例えました。
暗号通貨のローンチには段階がある。テストネットで壊し、学び、鍛える。そして本番ネットワークに移行する。その過程は、時速3万マイルで降下するシャトルを滑走路に着陸させるようなものだと。
この段階は「ガーデッドローンチ」——パワーユーザーと開発者のための段階であり、400のdAppが一斉にローンチし、モバイルウォレットが日常使いされる段階ではありません。「地下室、1階、2階と順番に建てていく。それが唯一の合理的な方法だ」。
Welcome Monument(3月25日)——「Web 2.5」の始まり
2本目の動画の冒頭で、Hoskinson氏は「hungry commercial teamが本当に勝ちたがっている」と、Midnight Foundationの商業チームを称えています。
Monument Bankとの提携の核心は以下の通りです:
英国FSCS(金融サービス補償機構)保護の下、利息付きリテール預金をMidnight上でトークン化する。最大£250M(約470億円)規模の預金が対象で、ポンド建て1:1のデジタルトークンとして発行されます。取引データはゼロ知識証明により、銀行と顧客のみがアクセスできる構造です。
Hoskinson氏はこれを「小さなディールではない」と強調し、「Monument is a big bank and it’s very regulated」——規制された大きな銀行であることの意味を繰り返しました。
将来的には、プライベートエクイティや仕組み商品へのエクスポージャー、より柔軟な融資モデルへの拡張も計画されています。これまで機関投資家とプライベートバンクの顧客だけに提供されてきた金融商品が、トークン化を通じて一般のリテール顧客にも開かれる可能性があります。
Weekly Rollup(3月28日)——業界リセット宣言
3本目は約1時間の長編配信で、4つのテーマが展開されました。
まずMidnightについて。「これまで4回のローンチに関わってきたが、今回が最高のローンチだ」。候補ジェネシスブロックは3月17日にミント済み、すべてのFNO(フェデレーテッドノードオペレーター)が安定稼働、空ブロックの生成が安定的に行われています。
次にFluidTokensによるBTC-ADAアトミックスワップの成功を紹介。「0.01 BTCが58 ADAにスワップされた。Bitcoin is on Cardano. How about that?」
アルゼンチンのLibraスキャンダルについても経緯を説明しています。IOGがコンサルティング契約の提案を受けたが、「成果物なし、数百万ドル規模」の内容を見て拒否したこと。「もし我々がこの契約に署名していたら、Libraは存在しなかった」。
そして配信の後半は、業界全体への強いメッセージでした。
「市場が悪いのは、長年のダンプ・詐欺・虚栄の進捗が積み重なった結果だ」
「救世主に頼るのをやめよう。Trump、David Sacks、特定の政治家——救世主は必ず失望をもたらす。原則は裏切らない」
「原則から始めなければ、どんなシステムも不誠実と不正の上には築けない。それがMidnightを作った理由だ」
「次の90日〜180日は業界にとって非常に重要になる。上がっても下がっても、私たちはここにいる」
I Wrote a Book(3月28日)——337ページのZK入門書
4本目で、Hoskinson氏は337ページのZK入門書「Midnight: The Seven Layer Magic Trick」をGitHubで無料公開したことを発表しました。
クリエイティブ・コモンズ・帰属ライセンスで、誰でもダウンロード・共有・商用利用が可能です。
この本の核心は「7つのレイヤー」という分類法です。トラステッドセットアップ、言語、ウィットネス、算術化、証明システム、暗号、検証環境——すべてのZKシステムをこの7層で分解・理解できるフレームワークを提示しています。
「ゼロ知識証明とゼロ知識暗号について、驚くほど理解度が低いことに気づいた」
Midnightのメインネットが動き出す今、その基盤技術であるZKそのものへの理解を広めるために書かれた本です。50以上の研究論文への参照を含み、非技術者にも読める入門書でありながら、技術的な深さも備えています。
4本の動画が描いたストーリー
この4本を時系列で並べると、一つの弧が見えます。
3/24 Launch Week:ローンチの段階と方法論
3/25 Monument:最初の商業パートナーシップの実現
3/28 Weekly Rollup:業界の現状認識と、原則への回帰
3/28 I Wrote a Book:基盤技術の知識を世界に開く
技術の完成 → 商業の実現 → 精神の表明 → 知識の公開。
8年間の開発が結実するこの週に、Hoskinson氏が語ったのは「何ができるか」だけでなく、「なぜそれを作ったのか」でした。
第2章:Midnight——思想から実経済へ
メインネットローンチ——3月30日、歴史的瞬間
3月30日、Midnightメインネットがローンチしました。
候補ジェネシスブロックは3月17日にミント済みで、最終的なロードテストを経て、ついに本番環境での運用が始まりました。これはCardanoの技術を基盤としたプライバシー特化のL1ブロックチェーンとして、歴史的なマイルストーンです。
現在は5段階の分散化ロードマップの第1段階「Guarded」フェーズです。フェデレーテッド運用で安全性を確保する段階であり、ここから段階的に完全分散化へ向かいます。
- Guarded(現在)→ フェデレーテッド運用で安全性優先
- Open → デプロイメントガード解除、広範なフェデレーション
- Incentivized → インセンティブ付きテストネットがメインネットと並走
- Permissionless → パーミッションレスバリデータがブロック生成に参加
- Decentralized → Cardanoステークで完全分散化
Midnight FoundationのFahmi Syed氏はこの段階的アプローチについて、プライバシー強化インフラを慎重かつレジリエントな方法で導入することの重要性を強調しています。
フェデレーテッドノードパートナー——世界的機関の参画
ローンチ時点で以下の機関がフェデレーテッドノードオペレーターとして参画しています。
・Google Cloud
・Worldpay
・MoneyGram
・Bullish
・Pairpoint by Vodafone
・eToro
・AlphaTON Capital
・Blockdaemon
・Shielded Technologies
ミッションクリティカルなデータを扱う実績のあるグローバル機関がノード運用を担っているという事実が、このプロジェクトのインフラとしての信頼性を示しています。
技術アーキテクチャ——4つの柱
Midnightの技術的特徴を整理します。
ハイブリッドレジャーアーキテクチャ
パブリックデータとプライベートデータを統合処理する設計です。機密な個人・金融・商業情報を、ネットワークに露出させることなく処理・検証できます。
クライアントサイドプルーフ
機密データはユーザーのデバイス上に保持されます。ローカルのプルーフサーバーでZK証明が生成され、基礎データが外部に出ることなくオンチェーンで検証されます。ID、適格性、信用、コンプライアンスの検証が、データを手放すことなく可能です。
Shielded & Unshielded Assets
Shielded資産は残高・取引相手・トランザクションフローを非公開に保ちます。Unshielded資産はオープンな連携・交換のツールを提供します。機密性と監査可能性は二者択一ではなく、Midnightでは両方を持てます。
Selective Disclosure(選択的開示)
コンプライアンスロジックをアプリケーションに直接組み込めます。取引情報を誰にいつ開示するかを指定でき、カウンターパーティ・監査人・規制当局に、基礎データへのアクセスなしで特定レコードへの可視性を付与できます。
NIGHT / DUST デュアルトークンエコノミクス
Midnightは二層のトークンモデルを採用しています。
NIGHT(ガバナンス&ユーティリティ)
NIGHTはネットワークリソースであるDUSTを生成するトークンです。日常のトランザクションでは消費されず、エコシステムの価値保存手段として機能します。ガバナンス権も付与されます。
DUST(リニューアブルネットワークリソース)
DUSTはトランザクション処理に必要なリソースです。従来のガスモデル(トークンのバーンや支払い)とは異なり、バッテリーのような充電モデルで動作します。
・NIGHT保有量に比例してDUSTが生成されます
・フル充電まで7日間。部分充電は比例的に短時間です
・開発者がNIGHTを保有してユーザーのDUSTをカバーできるため、エンドユーザーはトークンを意識せずにdAppを利用できます(Sponsored Transactions)
この設計により、ネットワーク利用コストがトークン価格のボラティリティから分離されています。企業が「コストが読めない」という理由でブロックチェーンを避ける障壁を取り除く仕組みです。
Compact言語——ZK知識不要の開発環境
MidnightはCompactという静的型付きのドメイン特化言語(DSL)を使用します。TypeScriptベースで、プライベートステートとパブリックステートを単一コントラクト内で管理できます。ZK証明暗号の専門知識がなくても、プライバシーファーストのアプリケーションを構築可能です。
midnight.fun——エコシステムポータル同時公開
ローンチと同時に、midnight.funが公開されました。Midnight上に構築されたdAppsやゲームを一覧できるエコシステムポータルです。プライバシー強化型アプリケーションの第一波がすでに動いています。
Midnightが切り開くユースケース
Midnightのプライバシーインフラが可能にするユースケースは多岐にわたります。
・プライベートトレーディングと流動性形成(ダークプール型取引所)
・機密レンディングと資本市場
・機関投資家向け執行・プライムブローカレッジ
・規制対応型RWA(現実世界資産)のトークン化
・プログラマブルコンプライアンスと再利用可能なID
ローンチウィークイベント
・3月30日 6:30PM UTC → X Space ローンチセレブレーション
・3月30日 7:15PM UTC → Discord ローンチパーティ
・4月2日 5PM UTC → CoinDeskライブストリーム(Charles Hoskinson / Fahmi Syed / Mike Ward、モデレーター Jenn Sanasie)
・4月8日 → Fireside Dev Hang(Charles氏による開発者向けディープダイブ)
Midnight Explorerでライブネットワークメトリクスも確認可能です。
Monument Bank £250M——規制銀行がオンチェーンに乗った意味
Monument Bankとの提携は、単なるパートナーシップ発表ではありません。
英国FSCS保護付きのリテール預金が、パブリックブロックチェーン上でトークン化される世界初の事例です。預金は1:1でポンド建て、利息付き、既存の規制枠組み内で保護されます。
なぜこれが重要なのかを整理します。
まず、規制銀行が参加しているという事実。Monument Bankは「大きな銀行であり、非常に規制されている」とHoskinson氏が繰り返し強調しています。暗号資産ネイティブの企業ではなく、既存の金融規制の下で営業している銀行が、自らの預金をブロックチェーンに載せる判断をしたことの意味は大きいです。
次に、Midnightのプライバシー技術が規制準拠を可能にしている点。ゼロ知識証明により、取引データは銀行と顧客のみがアクセスできます。パブリックブロックチェーンのトランスパレンシーと、銀行業務に必要な機密性を両立する設計です。
そして将来の拡張ロードマップ。第1フェーズの預金トークン化に続き、トークン化投資商品(プライベートエクイティ・仕組み商品)やオンチェーン担保融資が計画されています。これまで機関投資家にしか提供されなかった金融商品がリテール顧客に開かれる可能性があります。
partner-chain × SPO × NIGHT報酬
SPOにとって注目すべきは、partner-chainモデルを通じた新しい収益構造です。
MidnightはCardanoのインフラを活用するpartner-chainです。ADAステーカーにNIGHT報酬が発生する可能性があり、SPOにとってはADAステーキング報酬に加えた新たな収益源になり得ます。
IOGはLace 2.0でMidnight mainnet統合を最優先事項として開発を進めています(2月10日に@lace_ioが発表)。シールドトランザクション、NIGHTトークン管理、DUST指定——ひとつのウォレットからCardanoとMidnightの両方にアクセスできるデュアルチェーン設計です。
DUSTの生成はすでに始まっており、LaceユーザーにはワンクリックのDUST生成ワークフローも準備中とのことです。
第3章:技術基盤の静かな進化
Node 10.7.0——UTxO-HDとRAM革命
Cardano Node 10.7.0のプレリリースが公開されました。これはvan Rossemハードフォークに向けた中核アップデートです。
最も注目すべき変更はUTxO-HD(オンディスクストレージ)です。従来はUTxOセット全体をRAMに保持していたため、約24GBのRAMが必要でした。UTxO-HDではLSM-Tree(Log-Structured Merge Tree)を採用し、UTxOセットをディスクに保存します。これによりRAM要件が約8GBに低減されます。
SPOにとっての実務的な影響を整理します。
・サーバーのRAM要件が大幅に低下し、運用コストが削減される
・ノードの再起動後のresyncが変わる可能性がある
・DB Sync v13.7.0.1がNode 10.7.0との互換性を確保済み
加えて、KESエージェントとCardano-rpcの対応も含まれています。
Plutusコストモデルの変更提案も進行中です。Parameter CommitteeがPlutusプリミティブの係数変更を提案しており、DApp開発者はvan Rossemハードフォーク前にスクリプトの再検証が必要になります。
Hydra——Directly Open Headsへ
Hydraの開発は着実に前進しています。
今エポックで注目すべき変更は、コンテステーション期間(Contestation Period)のデフォルトが10分から12時間に変更されたことです。これはメインネットでの安全性を考慮した判断で、ノードの同期状態に応じた入力拒否ロジックも強化されています。
また、「Directly Open Heads」の実装に向けた動きも確認されています。これはHydra 2.0.0の方向性の一つであり、Hydra Headの開閉をより効率的にする設計です。
BTC-ADA Atomic Swap——ブリッジなしの直接交換
FluidTokensがCardanoとBitcoinの間でメインネット初のアトミックスワップを実行しました。
0.01 BTC(ネイティブBitcoin)が58 ADA(ネイティブADA)に直接スワップされました。HTLC(Hash Time-Locked Contracts)を使用した従来型のアトミックスワップであり、ブリッジもラッピングも不要です。
Hoskinson氏はWeekly Rollupの中でこの成果を直接紹介し、「Bitcoin is on Cardano. How about that?」と述べています。
Bitcoin DeFiは業界全体の大きなテーマであり、CardanoとBitcoinは同じUTXOモデルを採用しているため、アトミックスワップの構造的な相性が高いことも注目に値します。
第4章:5つの投票——ガバナンスが「動いた」エポック
エポック621でSIPOはDRepとして5つのガバナンスアクションに投票しました。各提案の分析と投票理由はSIPO DRepブログで公開しています。
ここではその全体像を俯瞰します。
5つの投票の概要
1. Cardano Budget Process Framework → Yes
Cardanoのtreasury資金をどのように配分・管理するかのフレームワーク提案です。
2. Cardano DeFi Liquidity Budget – Withdrawal 1 → Yes
DeFiエコシステムの流動性強化のため、800,000 ADAのtreasury引き出しを承認する提案です。Governance Hours #1で詳細が議論されました。
3. Dingo: a Production-Grade Block Producer in Go by Blink Labs → Yes
Go言語によるCardanoノードの代替実装「Dingo」に、6,900,000 ADA(約$2.07M)の12ヶ月資金を提供する提案です。48リリース、1,226コミット、公式314適合テスト全パスの実績があり、Q2にテストネットブロック生成、Q4にDijkstra対応を目指しています。実装多様性(Ethereumのマルチクライアント戦略と同じ思想)がテーマです。
4. Cardano x Draper Dragon: Orion Fund → Yes(条件付き)
Draper DragonとのCardanoエコシステムファンド提案です。
5. Approve Cardano Foundation as New Managing Entity of Project Catalyst → Yes
Catalyst(コミュニティファンディングプログラム)の管理主体をCardano Foundationに移行する提案です。
on-chain vs off-chainの構造的対立
同時期に、ガバナンスプロセスそのものをめぐる議論も活発化しています。
Cardano FoundationがDeFi liquidity、Orion Fund、新Budget FrameworkにYES投票した一方で、一部のDRepはBudget Frameworkのoff-chain投票プロセス(Ekklesia polling)に反対を表明しています。
この対立の本質は「ガバナンスの意思決定をどこで行うか」という問いです。on-chain投票の透明性と改竄不可能性を重視する立場と、off-chainでの議論と合意形成を経てからon-chain投票に進むべきだとする立場。
また、Catalystの資金配分に対する批判(treasury drainやgrifter問題)も再燃しています。
こうした摩擦は、分散型ガバナンスが実際に動き始めた証拠でもあります。制度が紙の上にあるうちは摩擦は起きません。人々が実際に投票し、資金の使い道を決め、反対意見を表明する——そのプロセスが始まったということです。
Hoskinson氏がWeekly Rollupで「原則から始めなければならない」と語ったメッセージは、まさにこの文脈で読むべきものです。
第5章:世界の動き——SITIONjp・LifeMakers視点

Cardanoエコシステムの外では、この5日間に何が起きていたのでしょうか。SITIONjpとLifeMakersComの視点から、構造的に重要な動きを整理します。
マクロ経済:地政学がすべてを支配した週
・原油が$112に到達。ホルムズ海峡の「選択的封鎖」リスクが浮上し、地政学→原油→金利→リスク資産の連鎖が全市場を支配しました
・日本10年国債利回りが2.35%に急騰——2008年以来17年ぶりの水準。30年国債は3.55%に到達
・Bloombergが「日本にスタグフレーションの影」と報道。アリアンツ・アムンディが日本国債・株・円のポジション見直しに言及
・Fed利上げ確率が52%に。1ヶ月前のゼロから急変。「選別的リスクオン」は2日で終わりました
暗号資産・AI:制度化が加速
・Morgan Stanleyが大手銀行初のBTC ETF「MSBT」を直接発行
・Trump政権が401(k)($12兆市場)にcryptoとプライベートエクイティの投資を許可
・Anthropic Claude「Mythos」がCMS設定ミスで流出——「あらゆるAIモデルの中でサイバー能力が圧倒的に先行」と評価された次世代モデル
・CFTCがイノベーションタスクフォースを設立——暗号資産・AI・予測市場の規制枠組みの構築へ
テクノロジー×生活:自律インフラの制度化
・電気事業法が改正され、分散電力が「法律」になりました。131台の蓄電池が電力市場に参加
・2027年からGX ZEH蓄電池要件で日本の新築住宅基準が大きく変わります
・Google PQC(ポスト量子暗号)移行宣言——2029年までにすべてのサービスを量子耐性暗号に移行
・ヒューマノイドロボットが垂直農場で農業作業を実行。富士経済が2035年ヒューマノイド市場3.5兆円と予測
世界の動きを俯瞰すると、一つのパターンが見えます。金融、AI、エネルギー、いずれの領域でも「実装」と「制度化」が同時に進んでいます。Cardanoエコシステムで起きていることは、この大きな流れの一部です。
第6章:最新エコシステム更新
エポック621期間中のCardano / Midnightエコシステムの主要な更新をまとめます。
・Midnightメインネットローンチ(3/30)——Stage 1「Guarded」で本番運用開始。9機関がFNOとして参画(Google Cloud、Worldpay、MoneyGram、Bullish、eToro、Pairpoint by Vodafone、AlphaTON Capital、Blockdaemon、Shielded Technologies)。midnight.fun同時公開
・Monument Bank × Midnight——£250Mリテール預金トークン化。FSCS保護、ZKによるデータ保護
・Cardano Node 10.7.0 Pre-release——UTxO-HD(LSM-Tree)、KES Agent、RPC対応。RAM要件24GB→8GB
・Plutusコストモデル変更提案——Parameter Committeeが係数変更を提案。DApp再検証が必要
・cardano-cli v10.15.1.0——補助データム伝播バグ修正、手数料見積改善
・DB Sync v13.7.0.1 Pre-release——Node 10.7.0 / PV11対応
・Hydra——コンテステーション期間10分→12時間に変更。Directly Open Heads実装へ
・BTC-ADA Atomic Swap——FluidTokensがメインネット初のHTLCアトミックスワップを実行
・Surf Protocol V2——multi-collateral lending testnet公開。来週audit更新予定
・Intersect Committee Elections——Budget/Civics/Growth等の委員会応募開始(3/30〜)
・Cardano Foundation——DeFi liquidity、Orion Fund、Budget Framework、HF名称「van Rossem」等にYES投票
・Midnight/NIGHT——CoinSpotに上場
・Lace 2.0——Midnight mainnet統合を最優先で開発中(2/10発表、未リリース)
・cardano-ledger——GHC 9.14対応作業進行中
第7章:ステーキング状況

SIPO / SIPO2 / SIPO3 ステークプール
SIPOファミリーは3プール体制で安定運用を継続しています。
ステーキングすることで、Cardanoネットワークのセキュリティに直接貢献し、報酬を得ることができます。SIPOへの委任をご検討いただければ幸いです。
SIPO公式サイト:https://sipo.tokyo
DRep活動
今エポックでは5つのガバナンスアクションに投票しました。各投票の分析と理由はSIPO DRepブログで公開しています。
SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法
https://sipo.tokyo/?p=37580
SIPOのDRep投票履歴
https://sipo.tokyo/?cat=307
DRep ID:
drep1yffld2866p00cyg3ejjdewtvazgah7jjgk0s9m7m5ytmmdq33v3zh
終章:614で「夜明け」と書いた。621で「世界が動いた」と書く。

エポック614で、私たちはAIエージェント経済の夜明けを見ました。
エポック620で、AIエージェントが実際にチェーン上で動き始めたことを確認しました。
そしてエポック621。
3月30日、Midnightメインネットがローンチしました。Google Cloud、Worldpay、MoneyGram、Bullish、eToro、Pairpoint by Vodafoneなど世界的機関がフェデレーテッドノードパートナーとして参画し、プライバシーインフラが本番環境で動き始めました。これは単なるチェーンのローンチではありません。規制対応・機関投資家参入の基盤が動き始めたということです。
チャールズ・ホスキンソン氏は4本の動画を通じて、Midnightが「なぜ作られたのか」を繰り返し語りました。技術の達成ではなく、原則への回帰。業界リセットの呼びかけ。そして337ページの本を無料で世界に公開するという行動。
同時に、ガバナンスの現場では5つの投票が実行されました。Budget FrameworkにYesを投じたDRepもいれば、off-chain投票プロセスに反対するDRepもいる。その摩擦は、制度が動いている証拠です。
Monument Bankの提携は、Midnightが「プライバシーの概念」から「規制銀行の実務」に移行したことを示しました。そしてローンチ当日、NIGHT/DUSTのデュアルトークンモデル、ハイブリッドレジャー、Selective Disclosureといった設計が、理論から実働するインフラへと変わりました。
Node 10.7.0のUTxO-HDは、SPOの運用環境を根本から変える静かな革命です。BTC-ADAのアトミックスワップは、2つのUTXOチェーンが直接つながった最初の瞬間です。
概念 → 設計図 → 制度 → 実装 → 行動 → ローンチ。
Midnight Passport、Web 2.5オンボーディング、オンチェーンAIエージェント——ローンチは始まりに過ぎません。4月2日のCoinDeskライブストリーム、4月8日のFireside Dev Hangで、さらに多くが明かされるでしょう。
次のエポックで、何が動くのでしょうか。
もしこの記事が気に入っていただけましたら、SIPO、SIPO2、SIPO3への委任をどうぞよろしくお願いいたします!10ADA以上の少量からでもステーキングが可能です。
シリーズ連載:進化するカルダノ・ベーシック
エポックな日々
ダイダロスマニュアル
ヨロイウォレット Chromeブラウザ機能拡張版マニュアル
Laceマニュアル
SIPOはDRepへの登録と活動もしております。もしSIPOの活動に興味がある方、DRepへの委任方法について知りたい方は以下の記事をご覧ください。また委任もぜひお願いいたします。
SIPOのDRepとしての目標と活動方針・投票方法
SIPOのDRep投票履歴:https://sipo.tokyo/?cat=307
ダイダロスの方は最新バージョン7.0.2で委任が可能になりました。
SIPOのDRep活動にご興味がある方は委任をご検討いただければ幸いです。
DRep ID:
drep1yffld2866p00cyg3ejjdewtvazgah7jjgk0s9m7m5ytmmdq33v3zh
二つのIDはダイダロス以外のウォレットではどちらも有効です。ADAホルダーがSIPOにガバナンス権を委任する際に使用できます。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします。エポック619終了時点ステーキング動向
























