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2023年はDeFiの時代からRealFiの時代へ:ニュース動向 & ステーキング状況 in エポック380

2023年はDeFiの時代からRealFiの時代へ

カルダノの創設者で開発会社IOGのCEOであるチャールズ・ホスキンソン氏は、自身の動画『What is RealFi?』を公開し、RealFiとは何か?2023年に向けた抱負について語りました。今回はIOGが2023年に最も注力すると宣言している『RealFi』について、動画『What is RealFi?』、分散型金融に関する論文『SoK(Sys- tematization of Knowledge:Decentralized Finance (DeFi)』、これまでの関連記事と共に、その考察をお届けします。

What is RealFi?
DeFiエコシステムを定義する分散型金融に関する論文『SoK(Sys- tematization of Knowledge:Decentralized Finance (DeFi)』

ホスキンソン氏は動画『What is RealFi?』の中で、スタンフォードでブロックチェーン会議に参加した際にブロックチェーンの科学という会議で、コーネル大学のICLチームによりプレゼンテーションされた、分散型金融に関する論文『SoK(Sys- tematization of Knowledge:Decentralized Finance (DeFi)』について紹介しています。

ホスキンソン氏は、この論文を紹介しながら特にDeFiをRealFiという新しい概念に変換する試みを動画で行っています。

まず、論文「Sok」では、DeFiエコシステムを、プリミティブ、運用プロトコル、セキュリティという軸で定義しています。また、技術的なセキュリティと経済的なセキュリティを区別し、後者を新しいモデルでつなぐことで、コンピュータサイエンス、経済学、金融学の知見を統合することを提案しています。

その内容は、スマートコントラクトとトランザクション、キーパー、オラクル、ガバナンスに加え、DeFiプロトコルの様々なサービスであるオンチェーン資産取引所、オンチェーン資産の貸し借り、ステーブルコイン、プライバシーの保護されたミキサー、ポートフォリオ管理、デリバティブなどが豊富にカバーされています。

論文は、これらのDeFiの技術的革新を総合的に評価し、この分野の初心者がDeFiのランドスケープの本質的な特徴と問題点を発見できるようにすることに重点を置いています。

さらに、DeFiがDeFi楽観主義者のビジョンを実現するためには、まず安全でなければならないとし、「本SoKの中心的な貢献は、DeFiのセキュリティ課題を、技術的セキュリティと経済的セキュリティに明確かつ網羅的に区分することで、この分類は、異なるタイプのモデルをそれぞれのセキュリティのタイプにきれいに対応させ、これまで曖昧だった『経済的リスク』の用語を明確にするという利点がある」と説明しています。

「経済的リスク」という曖昧な用語は、技術的な性質を持つ攻撃(例えば、DEXサンドイッチ攻撃)に誤って適用されることが多く、この論文以前は、経済的なセキュリティリスクは、コンピュータサイエンス、経済学、金融にまたがる洞察を統合する必要があるため、ほとんど未解明だったと述べています。

この論文「SoK」は、このようにDeFiそのものの定義とその課題を明確にし、初心者がDeFiの地形の本質的な特徴と問題点を発見できるようにすることに重点を置いています。

DeFiの急成長とリスク

論文「Sok」によれば、ブロックチェーンを利用したピアツーピアの金融システムである分散型金融(DeFi)は急成長し、2年前の2020年はDeFiシステムにロックされた総額(TVL:Total Value Locked)は約7億米ドルだったものが、2022年4月には、約1500億米超ドルに達したと説明しています。

また2022年4月時点では、イーサリアムだけでも750億ドルのTVLを占めており、最も資本力のあるユースケースは、TVLの約54%を占める担保融資と、2022年4月時点でTVLの約31%を占める分散型取引所(DEXs)であるとし、この上昇により、分散型暗号資産取引所の24時間取引量は、初めて主要な集中型暗号資産取引所のそれを追い越すことになりました。

DeFi Llamaによれば、執筆時点のTVLは420億ドル付近

しかし、「SoK」は、このようなエコシステムの急速な進化に伴い、これらのシステムの基本原理とセキュリティリスクを理解することが課題となっているとし、次のような問題があると述べています。

DeFiの非中央集権的な性質は、必然的にあらゆる行為者が監査されない、さらには悪意のあるスマートコントラクトを書くことを可能にし、ユーザーの資金はプログラミングミスによって失われたり、盗まれたりする可能性があります。さらに、監査プロセス自体は安全性を保証するものではなく、多くの監査済みプロトコルが深刻なエクスプロイト(ソフトウェアの脆弱性やセキュリティ上の欠陥を利用した不正プログラム)に遭っています。

DeFiとは?楽観主義者と悲観論者のそれぞれの見解

論文では、分散型金融(DeFi)の有望性について、次のような2つの見解(DeFi楽観主義者とDeFi悲観論者)を挙げて説明しています。

DeFi楽観主義者の見解は、「DeFiは画期的な技術的進歩であり、非カストディアン、パーミッションレス、オープンな監査可能性、(疑似)匿名性、そして潜在的に新しい資本効率を持つ新しい金融アーキテクチャを提供するものである」としています。この見解によれば、「DeFi はビットコインのホワイトペーパーの核となる約束を一般化し、非カストディアル取引の革新性を複雑な金融業務に拡張している」と説明しています。

DeFi悲観論者の見解は、「特に、規制されていない、ハッキングされやすいDeFiエコシステムが、自由で新しい形の金融犯罪を促進するのに役立つと懸念している」としています。この見解によれば、「DeFiの疑似匿名性は、暗号通貨攻撃者、詐欺師、マネーロンダリング業者が資本を移動、洗浄し、利息を得ることを可能にする」というものです。

論文は、DeFi楽観論者とDeFi悲観論者の間の議論の重要な部分は、「本質的に道徳的なもの」だと述べています。

DeFiの理想的な姿

論文では、「DeFiの理想的な姿」として、次の4つの特性を持っていると述べています。

DeFiは、
(1) ノンカストディアル(非保護型) – Non-custodial:参加者はどの時点でも自分の資金を完全にコントロールできる。
(2)パーミッションレス – Permissionless:第三者による検閲やブロックを受けることなく、誰でも金融サービスを利用できる。
(3)オープンな監査 -Openly auditable:誰でもシステムの状態を監査し、健全性を確認することができる。
(4)構成(組み立て)可能性 – Composable:金融サービスを任意に組み合わせ、新しい金融商品・サービスを創出できる(レゴの新しいモデルをいくつかの基本ブロックから発想できるのと同様)。

この4つの特性を活かし、更により安全に信頼されるべきものへと成長させるために必要な取り組みについてホスキンソ氏は動画で『RealFi』という言葉を用いて説明しています。

DeFiをRealFiに変換する

『RealFi』という言葉は、日本時間2021年4月30日に行われた「カルダノ・アフリカ・スペシャル」あたりで、ホスキンソン氏のスピーチ(個人的には世界のブロックチェーンの歴史に刻まれる名演説となった)「アフリカ・ビジョン」や、「アフリカ2025」についてパネルディスカッションが行われ際に、登場してきた言葉です。

RealFiとは、DeFiにプラスアルファを加えたものです。プラスアルファとは特にアイデンティティ(カルダノのATARA PRISM技術)のことで、ホスキンソン氏は動画『What is RealFi?』で先の論文を紹介しながら、次のように説明しています。

DeFiには欠けているものがあります。DeFiにはメタデータ、ガバナンス、標準、認証の4つのカテゴリーがあり、RealFiの意味はDeFiにアイデンティティを追加したものです。

RealFiと規制

ホスキンソン氏は、RealFiのゴールは、Defiにアイデンティティ、メタデータ、ガバナンス、標準化、そして規制を詰め込んで、銀行口座を持たず、クレジットカードも持たない人が、ブロックチェーンベースの暗号通貨、金融スタックを使えるようにすることだと述べています。

更にこのコンセプトは非中央集権的規制やdRegなどのレギュレーション・テクノロジーがあれば規制を導入することが可能になるとしています。

規制の基本的な機能としては、トランザクションの取り消しや、凍結、関係者の特定、KYC、マネーロンダリング防止などがあるとし、規制の導入には、基本的なプロトコルを変更する必要もなく、ビットコインやイーサリアムは自らのプロトコルを変える必要はなく、何らかのオーバーレイがあれば規制のスキームや基本的な機能を適用することが可能だとホスキンソン氏は説明しています。

RealFIとはユーザーベースで完全にコントロールすることを可能にすること

RealFIとは、自分のアイデンティティ、自分の評判、資産の管理もこれら全てを自分の手で完全にコントロールすることを可能にするということです。ホスキンソン氏は、これこそが自身がこの業界に興味を持った理由であり、「発展途上国の金融オペレーティングシステムになりたい、これが本当に重要なこと」なのだと述べています。

アイデンティティ、メタデータ、ガバナンス、標準、認証は、一国の政府、一個人、一企業によって管理されているわけではないとし、多くの場合、そこで生産される資産は、企業や多国籍団体、標準化団体、またはそのような組織が所有するのものではなく、ユーザー自身のものだと強調しています。

DeFiとRealFiの違いを簡単に説明すると、RealFiはDeFiのスーパーセットだということです。RealFiはユーザーベースに対する特別な哲学を持っています。

2023年はDeFiの時代からRealFiの時代へ

ホスキンソン氏は、数年以内に、DEXはより効率的になり、より効率的で、より速く、より優れたセキュリティーを持つなどの中央集権的な取引所よりも安全性が保証されるようになるとし、次のように分散型金融の未来を予見しています。

数年後には、知識情報データを表現する優れた方法を手に入れ、中央集権的な取引所よりもより優れた方法で、その真実性を表現できるようになるでしょう。また、アルゴリズムで安定性を生み出す価値をロックし非常に興味深いコミュニティ・バスケットが生まれることでしょう。

これらすべてのコストが下がります。なぜなら、イノベーションのコストを支払えば、それは誰にとっても公共財となり、これらのものはすべて、みんなのためのプロトコル上で実行されます。この分野の産業について、私はとてもわくわくしています。私の会社でも特に力を入れている分野です。

ホスキンソン氏は、IOGは2023年はこのRealFiに力を入れることになるとし、SoK論文のように業界の定義を作成し、DeFiの時代からRealFiの時代へ移行したいと動画を締めくくっています。

RealFiの実現は、暗号業界全体が進むべき未来であり、30億人の金融プラットフォームになるというカルダノの夢そのものです。

チャールズ・ホスキンソン氏の動画『What is RealFi?』についての全訳を、翻訳家のmizcaさんがアップしていますので、是非こちらもご覧ください。必見です!

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Q&A:カルダノ、ステーキングに関する基本的な説明集
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Project Catalyst2022年を振り返り2023年を展望

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開始されたプロジェクト:108
開発中のプロジェクト:1151 ネィティブトークン:7.2m
トークンポリシー:66530
Plutusクリプト:4347
トランザクション:56.3m

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